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2006年03月08日 第164回 通常国会 財務金融委員会 【343】 - 質問
税関の労働者を増やし激務を軽減するよう要求/「互助会・共済事業が不利益を被らないようにすべきだ」と要求
2006年3月8日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、関税定率法の一部を改正する法律案について質問しました。
平成12年から16年のあいだに、輸入件数は1214万件から1599万件へと、3割も増加しています。
また、知的財産侵害物も手口の巧妙化や流通形態の多様化があり、輸入差し止め件数は、1589件から9143件へと6倍に激増しています。
ところがそのために増やされた職員は8人だけ。増加する貿易の実態に対応できておらず、定員の抜本的増員を求めるべきではないかとただしました。
谷垣財務大臣は、定数のなかで効率的にやるが、増員のためにも努力していきたいと答弁しました。
引き続いて、佐々木議員は互助会・共済の存続問題について質問しました。
改正保険業法が4月から施行されるに当たって、小規模な互助会・共済が大幅に負担が増えて、存続の危機に立たされています。
佐々木議員は、「組合員の相互扶助という性格を持ち、まじめで堅実な運営をしてきた互助会・共済事業が不利益を被らないようにすべきだ」とただしました。
これに対して、与謝野金融担当大臣は、「きちんと相談にのり実態も把握して、共済事業が運営できるようにできる限りのことはしたい」と善処を約束しました。
もともと、昨年の保険業法の改正は、マルチ商法など共済を悪用した一部の業者を規制する目的でおこなわれたものです。
ところがその一方で、助け合いの精神でやっている共済も、1000万円以上の資本金や保険専門スタッフが必要なミニ保険会社にならないと運営できないことになり、互助会のような小規模共済にとっては、重い負担となります。
親が資金を出し合いボランティアで運営している知的障害者互助会などが対策を求めてきました。
佐々木議員は、「消費者の利益を守るための改正で、これまでやってきた互助会が続けられなくなったり、障害者が排除されるようなら、本末転倒だ」と指摘しました。
与謝野金融担当大臣は、最低資本金を7年間、1000万円から500万円に軽減すると答弁しました。
また、三國谷金融庁総務企画局長は、保険数理に関する業務に5年間従事するなど一定の条件を満たせば、専門のアクチュアリーに代わって業務ができる移行措置をもうけると答弁しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
提案されている法案は、にせブランド品などの知的財産侵害物品の水際での取り締まりを強化したり、輸入の際の事前報告を義務化する、または輸出面でチェック体制を強化する、こういう内容でありまして、それは必要なことだと思います。ただ、牛肉のセーフガードの発動要件を安易に変更していることなど、問題点もあります。しかし、法案としては、総合的に判断して、我々賛成したいというふうに思っております。
一点だけただしておきたいことがございます。
配付資料のように、平成12年から16年の間に、輸入件数が1214万件から1599万件へと3割ふえております。知的財産侵害の手口も巧妙化、流通形態の多様化等々、そういう中で輸入差しとめが、資料のように1589件から9143件、6倍に激増しているわけですね。しかも、輸出してはならないものを新たに取り締まりの対象に加えている。それは、輸入して、この日本で積みかえて、また輸出するという形で、知的財産侵害物品の中継地に日本がなっていると言われているからだと聞いております。これもチェックするわけでありますから、当然これは仕事量はふえると思うのです。
まず関税局長に確認しておきたい。仕事量はふえる、これは確認できますね。それだけで結構です、一言だけ答えてください。
○竹内 政府参考人(財務省関税局長) おっしゃるとおりでございますが、限られた人数の中、いろいろ工夫をしていきたいと思っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 仕事は当然ふえるわけですが、知的財産侵害に関する人員増は8人だと聞いているわけです。全国8カ所の税関に1人ずつふやすだけだ、こういうことになりますね。
知的財産侵害については、総理が本部長で財務大臣が本部員となっている知的財産戦略本部というところが、知的財産推進計画2005で、税関の検査設備や情報システムの強化、必要な税関職員の確保、税関職員の能力の向上を進める、こう決めているわけですが、その中で、たった8人ということでいいのかというふうに思うわけです。
やはりこの定員増ということ、これが大事だと思うのですが、財務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○谷垣 財務大臣 佐々木委員からこの法案に賛成するという御表明がございまして、ありがたく思っております。
それで、定員の関係は、田村委員の御議論の中にもございましたけれども、委員御指摘のように、業務はふえる、それから難しいものもふえてくる、知的財産なんかは日進月歩のものに対応しなきゃいかぬということもございます。それに加えて、テロや治安対策といった側面もますます重要になってきているということを考えますと、いかに効率的に業務をやるかという工夫は一方で一生懸命やらなきゃいけませんが、なかなかそれだけでは追いつかないというところがありまして、定員の確保に努めなきゃいけないと思っているんです。
先ほど御議論がございましたけれども、ことしは水際でテロ対策、密輸取り締まり強化等で220人の新規増員、こういうことでございますが、いわゆる定削がございますので、実質は55人、純増は55人ということでございます。しかし、今の定員事情の中ではかなり傾斜配分をしていただいたとは思っているんですが、今後とも所要の定員の確保には努めなければならないと思っております。
○佐々木(憲)委員 次に、この機会にぜひただしておきたいと思っておりますのは、共済問題であります。
昨年、保険業法が改正をされまして、来月、4月から施行されることになっております。政省令は昨日閣議決定をされました。もともと法改正の目的というのは、マルチ商法などの共済を利用した悪い業者を規制して消費者を保護するということにあったと思うんです。したがって、堅実にやってきて何の問題もない互助会的な共済については、事業をきちんと継続できるように保障するのは当然のことだと思うんですが、与謝野大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○与謝野 金融担当大臣 今般の保険業法改正においては、保険業法の適用範囲について、契約の相手方が特定か不特定か、営利か非営利かといったことにかかわらず、およそ保険の引き受けを行う者については、その契約者を保護し、健全な運営を確保するために必要な規制の対象とすることとしたものでございます。
いわゆる根拠法のない共済の中に有意義な活動を行っている方が多くおられることはよく承知しておりまして、こうした方々が新制度へ円滑に移行し、事業を継続しながら健全な運営と契約者保護等が実現することが望ましいと考えております。
○佐々木(憲)委員 配付した資料の2枚目を見ていただきたいんですが、これは新聞記事ですが、知的障害者の互助会の記事が載っております。全国39団体、8万7千人が参加をしているわけですが、この知的障害者の方々は、なかなか生命保険に入れないわけです。そのため、仕方なく互助会をつくって、親などが資金を出し合って入院の際の医療費を支えるという運営をしているわけですね。これは無給のボランティアで支えていて、ぎりぎりのところでやっているというのが実態なんです。
これが今度の保険業法の改正で、少額短期保険業者に切りかえないと運営ができない。こうなりますと、監査法人への委託料など新たな負担がふえてくる。だから、新聞でも書いてありますように、「知的障害者 入院時の支え」「互助会存続の危機」このように書かれているわけです。
もともと消費者の利益を守るために改正が行われたにもかかわらず、これまでやってきた互助会が続けられなくなる、あるいは負担に耐えられない障害者はそこから排除される、こういうことになるとすれば、これは本末転倒だと思うんですね。こんなことが起こらないようにすべきじゃないでしょうか、大臣。
○与謝野 金融担当大臣 知的障害者の方々の互助会が長年にわたり有意義な活動をされてきたことは私も十分承知しておりまして、そのことには敬意を表するものでございます。実際、私自身も互助会の方々からいろいろ直接御意見を伺いましたし、また、御要望されていることについてはなるほどなと思うことが実はたくさんございました。
こういうことを踏まえた上で、知的障害者の互助会に限らず、現在共済を行っている団体の中には小規模に運営されているところが実はございまして、こういうことにも配慮をしなければならないと考えまして、業法の施行令改正案においては、一つは、相手方とする者の総数が5000人以下の場合、施行日から7年間、少額短期保険業者に係る最低資本金、純資産額、供託金について、1000万円を500万円とするという経過措置を設けたところでございます。
こうした経過措置も活用しながら、共済を行っている方々が新制度へ円滑に移行し、健全な運営と契約者保護等が図れるよう、今後とも、それぞれの事情をよく伺いながらよく相談に乗ってまいりたいと思いますし、そういう方々のお立場も理解しながら御相談に乗りたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 今、最低資本金、供託金の額について説明をいただきました。
しかし、私が問題だと思うのは、新たな費用負担なんですね。監査法人に対して委託料を払わなきゃならない、あるいは税理士の費用、アクチュアリーという保険計理人への委託料、こういうものはかなりの負担になるというふうに聞いております。一体それはどうなるのかということですね。
例えば、アクチュアリーがいないと保険業務はできないということになっておりますが、日本には1900人しかいない。それも、ほとんど大手の生保、損保、信託が押さえている。そうなりますと、このアクチュアリーを確保すること自体が非常に困難である、あるいは費用負担がどうなるのか、こういうことになるわけです。この点は一体どう改善するのか、お聞きをしたい。
○三國谷 政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えいたします。
アクチュアリーでございますが、少額短期保険業者が選任する保険計理人の資格要件につきましては、改正保険業法の施行に伴い整備いたします内閣府令におきまして、社団法人日本アクチュアリー会の正会員または準会員で、かつ保険数理に関する業務に一定の期間従事していた者を定めることを予定しているところでございます。
ただし、現状におきまして、少額短期保険業者が保険計理人を確保するに当たりまして、保険計理人の資格要件を具備する者の数が十分ではないこともあるかと考えられるために、少額短期保険業制度の円滑な実施を図る観点から、法施行後5年間に限り、日本アクチュアリー会の正会員または準会員以外の者でも選任が可能となるよう、一定の経過措置を定めることを予定しているところでございます。
○佐々木(憲)委員 例えば、具体的に言うと、どういう条件を備えた場合は、その正会員、準会員以外でもアクチュアリーの仕事ができるというふうにされているんですか。
○三國谷 政府参考人(金融庁総務企画局長) いろいろな、広い意味でアクチュアリーを志している方ということになりましょうか。一つは、旧大学令または学校教育法の規定による大学において数学を専攻する学科その他これに準ずるものを卒業した者であり、かつ保険数理に関する業務に5年以上従事した者。社団法人日本アクチュアリー会の準会員、これは、原則五年でございますけれども、保険数理に関する業務に3年以上従事した者、こういった方々もこの経過措置の間中は対応できることと考えております。
○佐々木(憲)委員 今の説明ですと、アクチュアリー会の正会員、準会員以外でも、従来その組織の中で5年以上経験があり、かつ大学で数学を専攻している、あるいはそれに準ずるものを卒業した者、こういうことですから、従来その組織の中でやってきた方が、そういう資格があれば実際には仕事ができる、こういうことになるということがわかりました。
そこで、最後に与謝野大臣にお伺いします。
私、昨年この保険業法に関連をして質問をした時点では、金融庁は無認可共済の実態そのものをまだ正確に把握していない状態でございました。そういう中で法律を施行するわけでありますから、慎重にやるというのは、もうこれは当然のことだと思うんですね。
営利を目的に不特定多数の者を相手にやっている会社と、そうじゃなくて、今紹介したような、組合員の相互扶助という性格を持っていて、まじめにお互いに助け合いでやっている事業、これは、大きな規模も小さな規模も含めまして、そういう事業というのはやはりきちっと継続するということが、保障するということが私は大事だと思うんです。
先ほども少しおっしゃいましたけれども、そういう当事者の声をきちんと聞いて、まじめにやってこられた方々が不利益をこうむらないようにする、こういう対応が必要だと思うんですね。最後にその決意をもう一度はっきりお聞きしておきたいと思います。
○与謝野 金融担当大臣 佐々木委員御指摘のように、きちんと実態把握もしなければなりませんし、今まで共済を通じて貢献されてきたことも十分踏まえながら、よく実態を把握しながら、きちんと御相談に乗り、これらの共済の皆様方の事業がきちんと運営できるように、私どもとしてできる限りのことはさせていただきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。
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