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税制(庶民増税・徴税), 景気回復, その他 (消費税, 「成長戦略」)

2014年10月15日 第187回 臨時国会 内閣委員会 【795】 - 質問

「賭博場の解禁やめよ」カジノ推進の政府批判、消費税10%絶対だめ「消費回復してない」

 2014年10月15日、佐々木憲昭議員は、内閣委員会で、カジノ解禁推進法案の法案成立を待たず、安倍内閣が内閣官房に大がかりな特命チームを立ち上げるなどカジノを推進していることを批判し「賭博場の解禁は中止すべきだ」と求めました。

 カジノ法案は、自民、維新、生活3党の議員立法として国会に提出され、現在、同委員会で継続審議中です。政府提出法案ではないにもかかわらず、菅義偉官房長官は3日の記者会見で「成立させるべく全力で取り組んでいる」と発言しました。

 佐々木議員は、「これは議会に対する官邸の介入ではないか」と追及。菅官房長官は、閣議決定した「改定成長戦略」でカジノについて「関係省庁において検討する」とした「趣旨をのべたものだ」と強弁しました。

 佐々木議員は、昨年6月に在コンゴ日本大使館で日本人職員が放火と約2500万円の公金横領事件を起こした背景をただしました。

 外務省の上月豊久官房長は、この職員が「カジノ通いのために公金を横領し、これを隠ぺいするために放火したと認識している」と答えました。

 佐々木議員は、ギャンブルがらみの事件は、外務省にとどまらず自衛官や警察、地方自治体職員でも枚挙にいとまがないことをあげ、ギャンブル依存症の深刻な弊害を指摘。「カジノ解禁よりもギャンブル依存症対策をこそ優先すべきではないか」とただしました。

 菅官房長官は、「カジノのことばかりいうが複合リゾートではカジノはわずか数%だ」と居直りました。

 佐々木議員は「その中核にあるのがカジノだ。バクチで経済が成長するはずはない」とのべました。



 また、佐々木議員は、家計消費落ち込みが深刻な中、来年10月の消費税率10%への引き上げは「絶対にやるべきではない」と主張しました。

 佐々木議員は、直近の景気動向指数(8月)や、10日発表の内閣府・消費動向調査の「消費者態度指数」(9月)がいずれも下降、減少していることを示し、「消費は、回復するよりも落ち込んでいるのではないか」と甘利明経済財政担当相の認識をただしました。甘利大臣は、「『消費税が上がるから大変だ』と言えば影響する。調査によってバラツキがある」と答えました。

 佐々木氏は、日銀「生活意識に関するアンケート調査」でも暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と答えた人が今年3月の38・1%から9月には48・5%に増加していると指摘。「家計調査」では、収入の一番低い階層で今年5〜8月期の実収入が前年同期比マイナス5・9%、消費支出が同マイナス8・5%と大きく落ち込み、「格差が拡大しているという認識はあるか」と追及しました。

 甘利大臣は、「収入の低い層で、実質賃金より消費を抑える生活防衛にまわっている」と認めました。佐々木議員は、「消費税増税すれば消費も経済も壊滅的になる」と述べ、税率10%への再増税の中止を求めました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、菅官房長官に確認をしたいと思います。
 10月3日の記者会見で、IR法案、カジノ賭博解禁法案でありますが、これについて、今国会で成立させるべく全力で取り組んでいると述べたと報道されておりますけれども、これは事実でしょうか。
○菅官房長官 政府としては、6月24日に、日本再興戦略に基づいて、閣議決定をいたしております。現在国会で審議中のIR推進法案の状況やIRに関する国民的議論を踏まえ、関係省庁で検討を進めることといたしております。
 御指摘の点につきましては、この閣議決定の趣旨を私から申し上げたということです。
○佐々木(憲)委員 当委員会で継続審議となっているのは、自民、維新、生活の三党が出した議員立法でございます。それを官邸側が成立させるべく全力で取り組むと言うのはちょっと奇妙な発言でありまして、先ほども官房長官は、議員立法については内閣というより国会でという答弁をされましたね。
 官邸と議会というのは、それぞれ独立しているものであります。議員立法の法案を成立させるために官邸が全力で取り組むということになりますと、これは議会に対する介入というふうに受け取らざるを得なくなるわけで、これは具体的にどんな取り組みをしているのか、言っていただきたいと思います。
○菅国務大臣 日本再興戦略、これは閣議決定したものでありますけれども、この中には、いわゆるIRについては、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待をされる、他方、その前提となる犯罪防止、治安維持、青少年の健全育成、さらに依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なことから、IR推進法の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進めている、そういうことです。
○佐々木(憲)委員 これは、議会に対する取り組みというよりも、政府部内の話だということですね。
 それでは、新成長戦略に基づいて7月に約20人のチームを発足させたというふうに聞いていますが、これは事実でしょうか。
○渡辺政府参考人(内閣官房内閣審議官) お答えいたします。
 ことしの7月に、内閣官房に、特命担当をする者として私以下20数名の者が発令をされまして、IRに関する関係省庁の検討の勉強ということを始めているところでございます。
○佐々木(憲)委員 20人のチームというのは事実なんですかと聞いたんです。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
 10月の1日現在で、常勤25名の体制でございます。
○佐々木(憲)委員 報道によりますと、政府は10月2日、カジノを中心とした統合型リゾート施設の整備を促す推進法案の成立を見据え、50人体制の推進本部事務局を設置する方針を固めた、内閣官房の検討チームの人員を倍増し、関連法案や規制機関のあり方など具体化に向けた協議を行う、また、有識者による審議会も設けて治安上の問題点や依存症対策を検討し、2020年東京五輪・パラリンピックまでの施設整備を目指す、こういうふうに報道されていますけれども、こういうことをやっているという理解でよろしいですか。
○菅国務大臣 そうした報道があったことは承知しておりますけれども、事実は全く違います。
○佐々木(憲)委員 これは、法案が通るかどうかはまだわかりませんからね、審議中ですから。それなのに、こういう形で、25人の体制をまずつくった、これは新成長戦略に基づいて政府部内でやったと。今度は、法案が通ることを前提にして50人でこうだああだという細かな報道までされるということになりますと、これは事実ではないと今否定されたのであれですけれども、もしそういうことになると、ちょっとこれはやり過ぎじゃないかと思ったものですから、確認をしたわけであります。
 それで、次は、政府はギャンブル依存症対策ということも行うと言っていますけれども、この依存症の実態がどれほど深刻かということを知っているのかどうか。その依存症の問題というのは、政府の中にもいろいろな問題点としてあらわれているわけであります。
 例えば、外務省にちょっと確認をしたいと思います。
 昨年6月20日、在コンゴ民主共和国日本大使館事務所で放火事件がありましたね。外務省は在コンゴ日本大使館三等書記官を放火と公金横領で告発したと聞きますが、これは事実でしょうか。また、横領した公金は幾らでしょうか。
○上月政府参考人(外務省大臣官房長) お答えいたします。
 山田真也元外務省職員でございますけれども、25万8637ドル及び21万600コンゴ・フラン、合計で日本円にしますと2200万円相当でございますけれども、横領したとの事実により、平成26年2月13日に起訴されております。
○佐々木(憲)委員 この外務省職員が日本円にして約2200万円横領した、その理由は何でしょうか。その金は何に使ったのか。外務省、把握していますか。
○上月政府参考人 お答えいたします。
 昨年6月にこの在コンゴ民主共和国日本大使館事務所の火災が発生しましたが、その直後に公金の亡失が確認され、外務省として原因及び経緯等の調査を行いました。
 山田元職員が当時現地のカジノに通っていたことを把握しております。山田元職員がカジノ通いのために公金を横領し、これを隠蔽するために放火したものと認識しております。
○佐々木(憲)委員 この外務省職員はカジノに出入りをしていた、そのための資金を横領した、こういうことであります。
 この2200万円を横領しただけではなくて、放火したわけですからね。これは、焼けた大使館の部屋あるいは机、こういう物的損害もありますね。それから、この事務所全体の損害賠償金が請求される。借りているわけですから。そういう可能性もある。これは、損失が一体どのぐらいの総額になるのかですね。幾らですか。
○上月政府参考人 お答えいたします。
 本件火災により焼失した物品の損害額については、現時点で判明しているものは約500万円でございます。
 また、現地の大使館は、現地のオフィスビルの四階の全てと三階の一部を賃貸していたところ、本件火災により、このうち四階部分が半焼いたしました。この事務所に係る損害額につきましては、現在この賃貸主の家主と協議中であり、いまだ確定しておりません。
○佐々木(憲)委員 総額で億単位という話も聞いておるわけです。これは大変な事態だと私は思います。前代未聞ですよ。大使館の職員が自分で火をつけて、金を横領して、横領したのを隠すために火をつけたわけであります。
 こういうことに何でなるのかということで、これは「ギャンブル依存とたたかう」という著書があります精神科医で作家の帚木蓬生さんという方がいらっしゃいまして、こう言っているわけです。病的ギャンブラーは、ギャンブルでつくった借金はギャンブルで勝って返すという妄想じみた不合理思考に支配される、本人は今度こそと思い続けて、いよいよ深みに落ちていきます、そして、どうにもならなくなったときに一挙に逆転の決意で犯罪に手を出します、そのとき、善悪の判断基準は二の次になり、目の前の金策が優先されます、こういうふうに指摘しているんです。これはギャンブル依存症の特徴なんですね。
 この外務省職員の放火横領事件も典型的なケースだったのではないか。外務省は、この職員がギャンブル依存症であったかどうかという点は調べていますか。
○上月政府参考人 現在、山田元職員は勾留中でございまして、ギャンブル依存症であったかどうかということについては、検証をまだしておりません。
○佐々木(憲)委員 これはその可能性が非常に高いんですが、そういう検証をする意思が外務省に十分ないんじゃないかと私は思います。
 これは外務省だけじゃありませんよ。ギャンブル絡みの横領、詐欺、殺人事件というのは枚挙にいとまがありません。
 報道されたものだけを紹介しましても、例えば、自衛隊の陸自一佐の収賄事件。借金が数百万円あった、返済に困り業者に現金要求、陸上自衛隊の装備品の発注をめぐる汚職事件で逮捕され、この一等陸佐は、パチンコなどのギャンブルでつくった消費者金融への借金が数百万円に上っていたという報道があるわけです。
 また、現職警官、強盗未遂、懲役7年を求刑という見出しがありまして、かけごと過熱、公金に手を出す。あるいは、職場に広がる動揺、国保料10億円着服容疑などなど、これは一々日付も何も今言いませんでしたけれども、ギャンブル依存症というのは社会的に深刻な被害を与えているわけであります。
 厚労省の調査では、ギャンブル依存症は540万人に上るという報告があります。
 菅官房長官にお聞きしたいんですけれども、IRを推進するよりも前に、ギャンブル依存症の対策、これをまず優先させるということが必要なんじゃないですか。
○菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、日本再興戦略の閣議決定においては、いわゆるIRについては、観光振興、地域振興、産業振興、こうしたことに対して期待をされる。一方、その前提となる犯罪防止、治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要である。そういうことから、この推進法の状況を見ながら、国民的な議論を踏まえ、関係省庁において政府としては検討をしているということであります。
○佐々木(憲)委員 ギャンブル依存症の対策を優先させてやらずに、この法案が通ると同時にそっちもやるんだという程度の対応では、賭博場を開いて、そして新たにギャンブル依存症をふやすような話、これはまことに奇妙な、私どもは認められないというふうに思っております。
 我が国では、賭博というのは1300年にわたって禁止されてきた歴史があるわけです。人の金を巻き上げ、人を不幸にしてもうけを上げるというのは、これは犯罪ですよ。到底これは認められない。そういう認識が定着してきたから、賭博は犯罪である、こうなっているわけですね。
 最近、公明党の井上幹事長が10月1日の記者会見で、マイナス面が非常にあり、懸念もある、こう発言をしておられます。それから、谷垣幹事長、この方も極めて慎重な態度をとっております。マイナス面が非常にある、こういうふうに言っているわけですね。朝日の世論調査でも、カジノ解禁法案について、反対は59%。賛成30%を大きく上回っております。
 菅官房長官、このような状況をどのように受けとめておられますか。
○菅国務大臣 我が国の経済の成長と地域の活力のために、観光は大変重要な分野だというふうに私たちは考えています。
 委員はカジノの話ばかりされておりますけれども、IRというのはまさに総合リゾートでありまして、そのうちのほんの数%がカジノというふうに私どもは承知をいたしております。
 ですから、そういう意味で、治安や青少年への悪影響等の観点から制度上の措置を講じることも必要だろう、そういうことで、今、政府で閣議決定に基づいて検討をしているところであります。
○佐々木(憲)委員 カジノを核とするIRというのが、政府が表現をしているわけでありまして、何で核にしなきゃいかぬのですか、こんな賭博を。
 賭博はおいておいて、観光にしっかりと取り組むという、これは当たり前の、我々は賛成ですよ、それは。観光に取り組むというのは、日本の自然あるいは日本の文化、そういうものを国際的に、大いに観光に来ていただいて世界に発信していく、これは賛成ですよ。しかし、何でその中核に賭博場を設けるんですか。賭博場を設けなくたってやれるじゃないですか。そのことを私は強調しておきたいと思います。大体、ばくちで経済が成長するはずなんかありませんからね。
 次に、甘利大臣にお聞きしたいと思います。景気の現状認識であります。
 4月から消費税8%に引き上げられたことから、4―6月期のGDPは前期比で年率7・1マイナスということで、大変衝撃的な落ち込みとなりました。政府は、駆け込み需要の後の反動減で、やがて回復する、こういうふうに言っておりましたけれども、余りにも楽観的ではないかと思うんです。
 まず、議論の前提として、数字を確認しておきたいと思います。
 景気動向指数、最近発表されました、これはどうなっているか。先行指数、一致指数、遅行指数、それぞれの直近の数字を前月比で示していただきたい。また、何カ月ぶりの下落になっているか、そういう点も明らかにしていただきたいと思います。
○道上政府参考人(内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官) 景気動向指数の数字についてお答え申し上げます。
 ことし8月分速報の景気動向指数の一致指数でございますが、前月差で1・4ポイント下降し、二カ月ぶりの下降となりました。また、景気動向指数の先行指数につきましては、前月差で1・4ポイント下降し、三カ月ぶりの下降。それから、景気動向指数の遅行指数につきましては、前月差0・4ポイント下降し、四カ月ぶりの下降となりました。
○佐々木(憲)委員 駆け込み需要の後の反動減、その後、8月。これは回復軌道に乗っていないんじゃないですか。三カ月ぶりとか四カ月ぶりの下降局面に入ってきている。ですから、景気は全体として下降局面に入ったんじゃないか、数字を見ますと。甘利大臣の認識をお聞かせいただきたい。
○甘利経済再生担当、社会保障・税一体改革担当、経済財政政策担当大臣 確かに、消費は力強い回復というところまでいかないのは事実であります。
 ただ、日本経済の基本的な数字に関しては、いい数字がたくさんあるわけであります。雇用情勢であるとかあるいは有効求人倍率であるとか、あるいは企業業績も、余り報じられていないんですけれども、売上高利益率というのが発表されましたけれども、5・2%です。これは統計をとって以来の最高数値です。いつから統計をとったかというと、1954年ですから、60年間で一番いい数字が出ているわけです。
 要は、ですから、共産党さんも指摘されているように、内部留保がたまっているじゃないかと。もちろん、これは現金だけたまっているわけじゃなくて、設備に置きかわっているのもありますけれども、好循環を回していく、企業がしっかりもうけたのであるならば、次なる好循環を回していくための対応をとるような環境整備を我々がするということが必要だというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 力強い回復ではないということで、消費は最近かなり落ちてきている。失業率が減ったと、有効求人倍率の話もされました。
 ただ、問題は、非正規雇用の方はふえていますけれども、常用雇用の方、正規雇用がなかなかふえていかない。そういう構造的な問題というのがあるわけです。これは改善されていないと思います。収益が上がっても内部留保に回って、なかなか労働者の賃金に回らない、そういう状況だと思うんですね。一番肝心なことは、国民の消費購買力が上向くのかどうか、これがやはり鍵だと思うんですよ。
 その点で、例えば、内閣府が10月10日に発表した消費動向調査、これがありますけれども、9月の時点の消費者態度指数、これがどうなっているか。前年同月比で何%マイナスになっているか、また、消費者態度指数を構成している意識指数の中で、暮らし向き、収入のふえ方、雇用環境、これが対前年比で減少率はどうなっているか、示していただきたい。
○道上政府参考人 9月の消費動向調査におきます消費者態度指数でございますが、消費者態度指数は前年同月差で5・5ポイント低下いたしました。その消費者態度指数を構成いたします四つの意識指標について、それぞれ前年同月差を申し上げますと、暮らし向きにつきましては5・1ポイントの低下、収入のふえ方は2・3ポイントの低下、雇用環境は5・8ポイントの低下、耐久消費財の買いどき判断は9・0ポイントの低下となっております。
○佐々木(憲)委員 今確認したように、消費者態度指数、9月になっても回復しないばかりか、逆に悪くなっているんですよ。
 家計調査で、勤労者世帯の実収入、これは昨年10月からことしの7月まで連続十カ月マイナス、可処分所得は昨年8月からことしの7月まで12カ月マイナスであります。消費支出も4月以降連続マイナスですね。
 大臣もおっしゃったように、消費は回復するよりもどんどん落ち込んできている、これは事実じゃないんでしょうか。
○甘利国務大臣 この種の統計調査は、内閣府と厚労省、そして総務省とやっているんですね。
 内閣府の動向調査というのは、今どうかという、これから六カ月先を見越して、どんな感じになりそうですかという肌感覚を聞いているものですね。ですから、これから先、消費税も上がる、物価も上がる、大変だぞ、大変だぞと言えば、やはり気持ちとしては大変になるんじゃないかなと。佐々木委員が、これから大変だ、大変だとおっしゃると、影響力がありますから、本当に大変かなというふうになってくるという部分はあるんですね。
 事実関係の調査というのは、総務省の家計調査と、それから厚労省の毎勤調査というのがあります。これは、今実際にお金がどうなっていますかという調査ですね。その、お金がどうなっていますかという調査だと、毎勤調査、前にやっていらっしゃった方がいらっしゃいますけれども、ここだと2・1ぐらい上がってきている。ただ、総務省だとマイナス1・6。この乖離は何なのかという議論はこの間もさせていただきましたけれども、必要ならいろいろ議論していきますが、実態調査ではいろいろばらつきがあって、プラスのいい面もかなり出ているというところであります。
 だから、これからの暮らし向きがどうなりそうですかというところにできるだけ明るい希望が持てるような方向性を示していくことが大事だと思っております。
○佐々木(憲)委員 要するに、先行きが暗くなっている、こういうことですよね、実感として。何で暗くなっているかというと、私が言っているんじゃなくて、政府の政策が暗くしているわけですよ。だから、負担ばかりふえて、物価が上がって、それで先行きに希望を持てと言われても、なかなかこれは展望が持てないわけです。
 だから、例えば日銀の生活意識に関するアンケート調査を見ましても、この9月時点の調査ですけれども、ことしの3月、ゆとりがなくなってきたと答える人は38・1%だと。9月は48・5%にふえているわけです。ゆとりが出てきたと答える人はわずか4・4%、もうほとんどいないんですよ。収入の低い階層ほど駆け込み需要をするほどのゆとりがないから駆け込み需要がないので、反動減だけ起こってマイナスになっている、こういう状況です。
 これは数字を一つだけ確認したいと思いますが、家計調査で収入階層の一番低い第一分位、一番高い第五分位のそれぞれについて、実収入、消費支出、これの対前年比の伸び率を直近で示していただきたい。
○道上政府参考人 家計調査の数字でございますけれども、年間収入階層五分位別の実収入の、ことし、2014年5月から8月の結果を前年同月と比較いたしますと、収入が最も高い階層におきましては実額で86・7万円、前年比でマイナス1・6%、収入が最も低い階層では金額で29・1万円、前年比でマイナス5・9%でございます。それから、消費支出につきましても、同じくことしの5月―8月でございますが、収入が最も高い階層では42・3万円、前年比で0・9%、収入が最も低い階層で20・6万円、前年比でマイナス8・5%という数字になっております。
○佐々木(憲)委員 これは事実の数字ですけれども、収入が高い方はそんなに落ちていないわけです。しかし、収入が低い方は、収入も落ち、消費もがくっと減っている。これは格差が広がっているということだと思うんですが、格差の拡大という認識はありませんか。
○甘利国務大臣 収入と消費の関係を追ってみますと、所得の比較的低い層では、実質賃金の目減り以上に消費を抑えているんです。これは生活防衛に入っている。つまり、どういう消費行動かというと、これから消費税がさらに上がってくるし、より財布のひもは、無駄なものには使わないようにしようという行動なんだと思います。
 一方で、年齢層の高いところですと、所得のぐあい以上に、収入以上に消費しているという、年齢別に調査をしてみると、そこも出てきます。そこは、将来に向けてどれくらい安心感を醸成できるかということになるんだと思います。
 ですから、何度も申し上げていますけれども、好循環、つまり、企業が収益を拡大した、それがきちんと次の循環を回すような方に回っていく。一巡目は一通りはできたと思うんです。二巡目以降をしっかりしていくことが、一回限りじゃなくて、これからも給与は上がっていくんだという感覚を持ってもらうことが消費拡大につながるんだというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 生活防衛に回るというのは実態だと思いますよ。
 将来物価が上がる、賃金がそれ以上に上がらないかもしれない、こうなってくると、余り無駄遣いしちゃいけないな、こうなるわけですね。だから、政府の方は、何かインフレ期待で、インフレが将来進むから早く消費しようという話で、消費はふえるだろう、そっちの方に軸足を置いた議論がありますが、これは余り現実的じゃないと思いますね。
 実体の経済の動きを見ていると、これだけ負担がふえ、物価が上がっている、こういう状況の中で、収入が実質的には減っているし、消費も抑えられている。将来の明るい見通しが出ると言うんだけれども、将来、消費税増税と言っているわけでしょう。だから、そういうことになってくると、ますます消費が減って、日本経済はおかしくなる。
 だから、今の状況はいいことは何もありませんので、消費税増税はやらない方がいい。消費税増税をしたら、かえって逆ですよ。税収が逆に落ち込みます。
 このことを指摘して、時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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