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税制(庶民増税・徴税) (大企業減税, 災害支援, 国家戦略特区)

2013年11月22日 第185回 臨時国会 財務金融委員会 【763】 - 質問

復興より大企業支援の「税制改正」批判、日銀政策は「国民負担の軽減こそ必要だ」

 2013年11月22日、佐々木憲昭議員は財務金融委員会で、企業減税の問題を取り上げ、東日本大震災の復興よりも大企業支援に力を入れる安倍政権の姿勢をただしました。

 佐々木議員は、政府がまとめた「民間投資活性化等のための税制改正大綱」に言及。大綱は、設備投資について、機械装置などに加え建物・構築物でも、投資額の全額を初年度に利益と相殺でき、その年に納める法人税額を少なくできる「即時償却」を可能とする仕組みを盛り込んでいます。

 佐々木議員は、東日本大震災の復興特区では建物・建築物の「即時償却」を認めていないと述べ「被災地の復興支援より企業への軽減税制の方が優遇されている」と指摘。被災地で立ち上げられた漁業生産組合に法人税の課税が発生し、経営が困難となっている事例を示し、しっかりとした復興支援を行うよう要求しました。麻生太郎財務大臣は「十分配慮したい」と答えました。

 次に、佐々木議員は、2年で2%の物価上昇率を目指して金融緩和を進める日本銀行の金融政策は、国民生活を引き下げるだけだと追及しました。

 佐々木議員は、アベノミクスの柱の一つである「異次元の金融緩和」で日銀が供給する資金量は増えているものの、資金需要が低迷し、銀行から先には流れていないと指摘。家計消費を上向かせることに力点を置くべきだと主張しました。
 物価上昇目標のもと、ガソリンや電気、都市ガス料金などの上昇で国民生活がいっそう厳しくなり、原材料の高騰から中小企業が倒産・廃業に追い込まれている実態を提示。消費税増税で、約4%の物価上昇になることも指摘し、物価上昇を上回る所得の増加がなければ庶民の暮らしが引き下げられると強調しました。

 黒田東彦日銀総裁は「景気が回復すれば物価上昇分を販売価格に転嫁できる。賃金が上昇していく」と述べるにとどまりました。
 佐々木議員は、「今の政策で所得が物価よりも上がる保証はない」「国民の負担をどう軽減するかを考えるべきだ」と批判。家計消費に軸足を移した根本的な政策の転換をしなければ失敗を繰り返すだけだと主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、麻生財務大臣に確認をしたいと思います。
 読売新聞の11月16日付に、一面トップですけれども、「特区で企業本格減税」、こういう記事が出ておりまして、国家戦略特区で七項目の減税、免税策が盛り込まれた減税原案というものが作成されたというふうに報道されておりますが、この中身は事実でしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 この「特区で企業本格減税」、これは11月16日の読売新聞。この内容は、与党の内閣部会の国家戦略特区における減税策に関する要望内容というものをそのまま丸写しにしてあるというような感じの記事だと存じますが、現段階でこのような減税策というのは導入が決まっているわけではありません。
 これらの部会の要望内容というのは今から精査することになろうと思いますけれども、どのような税制を講ずるべきかにつきましては、この年末に向けて検討させていただくことになろうと存じます。
○佐々木(憲)委員 この記事を見ますと、外資系企業それから新興企業の進出を促したいということで、外資系企業だけを特別優遇する減税を行うということが書かれておりますけれども、この外資系企業を優遇する法人税制というものを容認されるのかどうか、この点はどうでしょう。
○麻生国務大臣 先生の場合、これは御存じだと思いますけれども、外国企業というものを誘致するためというか、それを目的として、東京都からの提言だと思いますが、外国企業のみにいわゆる持ち株会社などの優遇税制というものを与えるということに関しましては、これはOECDでよく議論されております有害税制に該当するということははっきりしておりますので、この御提言を採用するのは基本的には困難、これははっきりしておると思います。
 また、こうした点も踏まえつつ、国家戦略特区についてどのような税制を講ずるかというのはまた全然別の問題だと思いますが、年末に向けてその点につきましても検討させていただきますが、外国企業だけこういった優遇をするということは、OECDの関連からしても、これは基本的には無理です。
○佐々木(憲)委員 わかりました。
 東京都の国家戦略特区提案書というのを見ますと、外資系企業を誘致するために特区内に新設される多国籍企業の日本法人に対する法人税の減免として、設立後5年間、軽減後の法人実効税率20・2%にするという本当に大変な減税を行うというわけでありまして、今、こういう制度そのものについては、有害税制ということで、認める立場はとらない、はっきりと答弁をいただきました。
 さて、それでは次に、自民、公明の税制改正大綱、これを確認したいと思いますが、生産性向上設備投資促進税制の創設(案)というところがありまして、それを見ますと、機械装置などに加え、建物、構築物でも即時償却を可能としております。
 東日本大震災の復興特区ですら、建物、構築物の特別償却は25%で、即時償却ではないわけでございます。こうなりますと、復興支援よりも企業支援の方がえらい手厚くなってしまうということになりはしないかと思いますが、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 佐々木先生の御指摘のあっております復興特区の税制に関しましては、これは、被災地の再建を促進する事業の用に供する建物などについて、いわゆる生産性向上の要件等々を付さずして、幅広く25%の特別償却並びに8%の税額控除をしてきたところであります。
 一方、先般の与党税制改正におきましては、投資減税として、長期のデフレの中で消極的な投資マインドから抜け出せない企業経営者のマインドを反転させ、そして、利益を内部留保ではなく投資に結びつけさせるため、特に大胆な政策が必要という認識から、その認識自体間違っているわけではありませんが、即時償却制度を導入するということにしたところであります。
 ただし、今回の投資減税におきましては、日本の産業競争力を高めるという観点から、生産性の向上などにつながる建物であるといった要件を付しております。そして、税額控除については、八ではなくて3%ということにしている面もありまして、必ずしも復興特区の税制に比べて優遇されているとは言えない面もあろうと思います。
 さらに、今回の投資減税は、全国一律に適用されるものであります。したがって、復興特区におきましては、復興特区の税制と今回の投資減税の両方を活用していただけるという意味では、復興特区の方が優遇されているということになろうと存じます。
    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕
○佐々木(憲)委員 先日の当委員会で、私は、国の補助金、助成金と比べて復興税制が不十分なために、震災後に立ち上げた漁業生産組合の問題を取り上げました。その場合の法人税の課税が発生しまして、経営が非常に困難になっているという事例でございます。そのとき、麻生大臣は、圧縮記帳の制度は支援金は対象とならない、支援金のみを特別扱いしろというのはなかなかできないんだ、こういう御答弁でありました。
 しかし、この日本再興戦略に基づく国家戦略特区法案あるいは産業競争力強化法案などでは、これまで以上に踏み込んだ法人税の軽減、免税措置をやろうとしているわけであります。建物、構築物の特別償却、この部分を見ても、被災地支援の復興特区よりも、民間投資活性化等のための企業への軽減税制の方がやはり優遇されていると言わざるを得ないわけであります。被災地の復興よりも民間投資を優先する、これはちょっとアンバランスだと思うんですね。
 やはり、今大変な事態にあるこの漁業生産組合がしっかりと生産を維持し、その地域の、地場の生産力として発展するように、そういう支援をきちっと行う、この投資減税という発想から見てももっとしっかりと支援を行う、こういうふうな姿勢はないんでしょうか。
○麻生国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、今回の分につきましては被災地も使えることになりますので、そういった意味では、決して今度の方が優遇されているということにはならず、全国一律だと思っておりますので、そういうぐあいに思います。
 また、被災地において新しく企業を起こされるということになりますと、その分に関して外からの支援で丸々という、先日の御質問に関して、被災地に対する支援というものが、これまでのあれとは全然別にやったときにはというお話だったので、先生、それはちょっとなかなか区別が難しくなりますと申し上げたと思います。
 我々としては、被災地というものを十分に常に頭に入れておかねばならぬ、被災地の復興なくして、日本のほかのところは景気がよくなって東北三県だけが全然というようなことはとてもデフレ脱却とは言いがたいということになろうと思いますので、十分に配慮してまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 この漁業生産組合で法人課税が突然発生するというような事態はぜひ避けるようにしていただきたいというふうに思います。今、復興の方が大切だ、こういうふうにおっしゃいましたので、そこはしっかりとやっていただきたいと思っております。
 次に、黒田日銀総裁に質問したいと思います。
 まず、国債の買い取りと保有の問題でございます。
 アベノミクスの柱と言われる異次元の金融緩和の一環として、日銀は、市中から国債の買い取りを大変ふやしております。数字の確認をまずしたいと思いますが、ことし3月末と直近の数値で、残高と構成比、それぞれ示していただきたいと思います。
○内田参考人(日本銀行企画局長) お答え申し上げます。
 資金循環統計で見ました日本銀行及び銀行等の長期国債の保有残高及び全体の残高に対する構成比で申し上げますが、まず、3月末時点では、日本銀行の保有残高は93・9兆円、構成比で11・6%、銀行等の保有残高は314・6兆円、構成比で39・0%となっております。次に、6月末時点でございますが、日本銀行の保有残高は112・0兆円、構成比は14%、銀行等の保有残高は292・9兆円、構成比は36・6%となっております。
○佐々木(憲)委員 今、日銀の保有と銀行の保有と両方の数字を答えていただいたわけであります。
 ここではっきりとしておりますのは、わずか三カ月で日銀の保有が急増しているわけです。大体18・1兆円ほど伸びていると思いますけれども、この理由を説明していただけますか、総裁。
○黒田参考人(日本銀行総裁) いわゆる量的・質的金融緩和というものを4月4日の金融政策決定会合で導入を決めたわけでございますが、このもとでは、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するように買い入れを進めるということになっておりまして、量的・質的金融緩和の一環として、日本銀行の保有国債残高が増加しているということでございます。
○佐々木(憲)委員 銀行の保有残高が同様に減っておりまして、ほぼ同じぐらいの金額が日銀がふえているわけですね。
 これを見ますと、日銀が銀行から買い取っているということは明らかでありまして、これは直接引き受けるわけじゃないんですけれども、限りなく直接引き受けに近い状況になっているのではないかと思いますが、どういう認識をお持ちでしょうか。
○黒田参考人 従来から申し上げておりますとおり、量的・質的金融緩和は、日本経済が長らく陥っておりましたデフレ状況から脱却して、消費者物価上昇率2・0%という物価安定目標をできるだけ早期に、2年程度を目途に達成するべく導入された金融緩和措置でございます。
 したがいまして、その内容としては、先ほど申し上げた、年間約50兆円に相当するペースで長期国債の保有残高をふやしておりまして、その結果、私どもとしては、三つの効果を期待しております。
 一つは、国債を含めたさまざまな金融資産に対してリスクプレミアムを圧縮し、金利の上昇を防ぐということで、経済に刺激的な効果を与えよう。二番目が、金融機関を含めた投資家のいわゆるポートフォリオリバランスという形で、国債以外の金融資産、貸し出しであれ、株式であれ、あるいは海外への投資であれ、そういったものを促進していく。三つ目には、こういった思い切った金融緩和を打ち出すことによって、人々の期待を転換させ、デフレ脱却に役立てたい。
 こういうことでございまして、以上三つの中の二つ目のいわばポートフォリオリバランスというものが徐々に進んでいる一環であるというふうに理解しております。
○佐々木(憲)委員 間接的ではありながら、市中を通じて国債を大量に買い込んでいくと。
 今言われたのは黒田さんの考え方でしょうけれども、大きく言いますと、日銀ルールというものを中止して、そして、財政のいわば財布がわりに日銀が使われる、そんなことになっては原理原則がどこかに行ってしまいますので、注意をしていただきたいと思っております。
 そこで、大量の国債を買い取る形で、当然、マネタリーベースはふえていくわけであります。マネーストックのふえ方については、午前中に他の議員からいろいろ質疑がありました。
 この間、例えばマネタリーベースでいいますと、3月と10月を比べますと、146兆円から189・8兆円、前年比でいっても5割近く増加しております。マネーストックの方は、逆にそんなに伸びておりませんで、834兆円から852兆円ということで、約4%しか前年比で伸びていない。
 これはどういうことを意味するかといいますと、結局は、日銀からたくさん通貨が供給されていることは事実であります。それはマネタリーベースが急増しているということにあらわれているわけですけれども、問題は、銀行から先にお金が流れない、先ほど麻生大臣の御指摘ありましたとおりでございます。
 したがって、このままじゃぶじゃぶと資金を供給するということで、マネタリーベースは確かに、ことしの年末には200兆円を目標にしている、さらに来年末には270兆円だ。こういうことでどんどんとふえているのは、それはふやせるからそうでしょうが、問題は、そこから先のマネーストックの部分がふえていかない。これをふやさない限りは、日本経済の活性化につながっていかないわけであります。これはなぜそういうふうにならないのか、理由を説明していただきたいと思います。
○黒田参考人 委員御指摘のとおり、マネタリーベースは非常なスピードで増加をいたしております。
 私どもの量的・質的金融緩和のもとでは、年間60から70兆円増加するペースで毎月毎月の金融調節を行っております。その内容として、先ほど申し上げたように、国債保有残高を年間約50兆円ふやすようなペースで国債の買い入れを進める等々の措置を講じているわけでございます。
 その結果、先ほど申し上げたように、長期金利の低下圧力、それからポートフォリオリバランス、そして期待の転換ということが起こっておりまして、金融市場は極めて緩和された状況にございますので、10年物国債をとっても長期金利が0・6%程度で推移しておりまして、非常に安定している。貸出金利もずっと低下してきておりまして、既往最低水準まで低下している。銀行貸出残高は、確かにまだ2%台前半の伸びでございまして、緩やかな増加にとどまっております。これは、日本経済全体として景気が回復しつつあるわけでございますけれども、企業の設備投資が、ふえてきてはいますけれども、特に製造業の設備投資はようやく出てきたところでございまして、まだ銀行貸出残高は全体としては緩やかな増加にとどまっているということでございます。
 そうしたことを背景に、マネーストックの増加も、御指摘のように、マネタリーベースが非常なスピードで伸びているのに対して、マネーストックは4・1%ぐらいの伸びでございますのでまだまだ低いわけですが、これでもたしか1999年以来ぐらいの伸びでございまして、銀行貸し出しも緩やかながら増加しておりますし、マネーストックの伸びもだんだんと加速してきているということで、全体として、量的・質的金融緩和のもとで金融が緩和した状況になり、徐々に経済も回復してきているということではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 今の説明ですと、なかなかこれは明るい展望につながるような感じがしないわけであります。資金需要が非常に低迷している。低迷しているのは、設備投資もありますし、全体としては投資を喚起する市場の広がりというのが非常に少ない。その一番基本にあるのはGDPの6割を占める家計消費だと私は思っておりまして、家計消費が急速に上向く、そういう状況にないわけです。
 したがって、そこに力点を置いた政策に変えるというのが私は大事なことだと思うんですけれども、どうも政府がやっているのは、今度は負担をふやす方を4月から実行しようと。それを打ち消すためにいろいろな対策を打ってはおりますけれども、やはり不安の方が国民は今大きくなっておりまして、駆け込み需要といってもそんなに大きくはないですね。
 したがって、このままじゃぶじゃぶ日銀がお金をふやしても、先にずうっと流れていかないという大変危険な事態に逆に今度は陥る可能性があるという感じが私はしているわけです。
 もう一方では、物価が上昇しつつある。その物価上昇は2年で2%という目標を掲げていますけれども、やはり庶民の生活を直撃するような物価上昇が今あらわれているんじゃないか。
 そこで、物価上昇に寄与した品目について、多い順番に五つか六つ、紹介していただきたいと思います。
    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕
○内田参考人 生鮮食品を除くベースの消費者物価指数の前年比に対する寄与度ということで、ことしの9月それから3月を比較してみた場合で、寄与度の拡大幅が大きい順に申し上げますと、ガソリン、電気代、テレビ、ルームエアコン、それから任意の自動車保険料、都市ガス代のようになっております。
○佐々木(憲)委員 これは、やはり生活に極めてかかわる部分の物価が上昇している。ガソリン、電気代、都市ガス代、こういうわけですから、これは日常我々が生活をする上で必要な公共料金、あるいはそれに近い部分がぐうっと上がっている。これは、輸入物価が上昇し、とりわけその中でも石油製品、こういうものが、燃料が上がっているというのが根本にあると思うんですね。
 こういう状況で、庶民の暮らしは大変厳しくなっておりまして、消費者はもちろんそうですけれども、中小業者の場合は、原材料が非常に高騰しておりまして、しかし余り売れ行きはよくない、経営がなかなか厳しくなって、倒産ですとか廃業とか、そういうところに追い込まれているというのが実態だと思うんです。
 日銀としては2%を目標に上げると言いますけれども、その中で、生活関連の方はもっと上がっているわけです、実際上。同時に、消費税の増税が来年の4月以降加わりますから、これが加わったら4%の物価上昇、大ざっぱに言いますと。そうなると、当然、それを上回る所得の上昇がなければ、庶民の暮らしは下がっていくわけです。
 これは大変なことになるのではないかと思いますが、所得の伸びと物価上昇をどのように展望されているのか、総裁の見解を伺いたいと思います。
○黒田参考人 まず、中小企業などを中心に、仕入れ価格を販売価格にどのくらい転嫁できるかということが、輸入品の値上がり、あるいは来年の消費税の導入の際に議論になるところでございます。
 具体的にどの程度転嫁できるか、特に輸入物価が上がった部分を、どのように仕入れ品の価格を製品価格に転嫁できるかということは、基本的にはやはり当該製品に対する需給動向に依存すると思いますので、景気が回復して需要が高まる中で仕入れ価格が上昇している際には、販売価格への転嫁も行いやすくなっていくというふうに考えております。
 私どもが目指しているのは、あくまでも日本経済が全体として成長する中で物価が上昇するということでございます。
 賃金につきましても、過去の統計データを分析いたしますと、賃金の上昇と物価の上昇とはほぼシンクロナイズした、若干タイムラグを伴ったりはしますけれども、基本的には似たような動きをしております。
 賃金、雇用者所得につきましては、午前中も申し上げましたとおり、現時点では所定内賃金はまだ若干のマイナスを残しておりますけれども、そのほかの項目はプラスになっておりますし、労働需給のタイト化に伴って、所定内賃金も含めた名目賃金がさらに上昇していくのではないかというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 黒田総裁のお話を伺っていると、何か漠然と夢を見ているような、そういう感じしか伝わってこないんですよ。
 つまり、景気が上昇する場合は転嫁がやりやすくなると。だけれども、まずは上昇するのかどうかが問題なんです。今のような政策でいきますと、所得は物価よりも上がるという保証はありませんよ。賃上げ4%以上になりますか。これは、現実にはなかなかそうはならないでしょう。厳しい状況ですよ。
 だから、我々は、国民の負担をどう軽減するかということをもっと考えないと、このまま消費税も増税します、景気もよくなるでしょうって、そんなふうにはならないですよ。消費税増税したら、もっと景気は悪くなる。だから、景気対策をやろうとしているわけでしょう。景気対策だって、本当に国民の所得が4%以上上回るような景気対策になっているかというと、決してそうはなっていない。
 私は、こういう点で言いますと、今アベノミクスで金融緩和を異次元でどんどんやっているといいますけれども、これは極めて一部の、日銀と銀行の間で過熱しているだけで、あとの国民の圧倒的多数の市場は冷え込んでいる。この冷え込んでいるところに、てこ入れをするようなことをやらないで、また同じようなことをやったら、これは失敗を繰り返すだけだと思うんです。
 この点では、もう時間がありませんからまた議論したいと思いますけれども、日銀と政府のやっていることは、どうも国民の暮らしを引き下げる結果をもたらすしかないんじゃないか。私たちは、根本的な政策の転換をこれからも求めていかなきゃならぬ、そういう確信をいよいよ深めてまいりましたので、これからも議論していきたいと思います。
 以上で終わります。

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