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税制(庶民増税・徴税), 雇用・労働, その他 (大企業減税, 規制緩和, 「成長戦略」, 国家戦略特区)

2013年11月21日 第185回 臨時国会 本会議 【762】 - 討論

国家戦略特区法案が可決、本会議で反対討論

 2013年11月21日、日本を「世界で一番企業が活躍しやすい国」につくり変えるため、総理大臣の規制緩和指示を押し付ける国家戦略特区法案が、衆院本会議で自民、民主、公明、みんな、維新各党の賛成で可決され、参院に送られました。日本共産党と生活、社民両党は反対しました。

 前日の内閣委員会に引き続き、討論に立った佐々木憲昭議員は、(1)規制緩和を「国家の意志」だとして上から一方的に国民に押し付ける(2)規制緩和に対する勤労者の懸念や、社会的・経済的悪影響を受ける被害者の声をまともに反映する筋道がない(3)対日「規制改革」など米国の要求に応え、外国資本を特別扱いする優遇策を検討している―と3点の反対理由を指摘しました。
 その上で、「規制緩和と大企業減税というすでに破綻した政策を繰り返すことをやめ、国民生活に軸足を置いた政策に抜本的に改めるべきだ」と主張しました。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特区法案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 反対する第一の理由は、この法案が、戦略特区における規制緩和を、国家の意思として、上から一方的に国民に押しつけるものとなっているからであります。
 法案では、内閣府設置法に基づき、戦略特区諮問会議という強い権限を持つ組織をつくり、総理が任命するメンバーで構成されることとなっております。そこには、大企業の代表が参加し、規制改革推進の司令塔としての役割が付与されているのであります。その意思決定過程には、労働者や消費者などの国民はもちろん、関係閣僚さえも参加させない構造となっております。
 国家戦略特区諮問会議と各地域の特区会議を足場に、財界言いなりの規制緩和と支援を行い、巨大な多国籍企業に特別の利益を与えることになるのであります。まさに、総理大臣を中心とするトップダウンの体制づくりであり、戦略特区諮問会議は、ブレーキのない、規制緩和暴走機関となるのであります。
 反対する第二の理由は、規制緩和に対する勤労国民の懸念の声、社会的、経済的な悪影響を受ける被害者の声をまともに反映する筋道がないことであります。
 森ビルなどの大企業が提出した特区提案の多数が非公開にされ、いまだに公開されておりません。そのため、国民は、提案の内容に即して、労働条件の悪化、環境破壊、医療被害、他事業者の経営悪化等についてどのような影響が出てくるのか、具体的な検討さえできない状況にあります。
 しかも、計画が実施された後、悪影響が出ても、被害者の声を聞いて事業を変更する筋道も手だてもありません。
 被害者の声をまともに聞かず、国民を実験台にするような姿勢は、到底許されるものではありません。
 第三の理由は、対日規制改革要望など、アメリカの積年の要求に応え、外国資本を特別扱いする余地を残しているからであります。
 対日投資の倍加を掲げ、税制などで外資への特別の優遇策を検討していることも明らかとなりました。
 仮に、今交渉中のTPPが妥結し、それが発効するという最悪の事態を招いたなら、国内の規制緩和がそれと重なり、国民の暮らしと健康を守る規制項目が一気に緩和、撤廃され、日米の多国籍企業が横暴を振るう、殺伐とした日本になる危険性をはらんでいるのであります。
 この法案が、大企業優遇税制とワンセットで提案されていることも重大です。
 大企業に対して法人税の減税を行う一方、国民には消費税増税を押しつけ、十三・五兆円もの所得を奪い取るなど、とても許せるものではありません。
 これでは、総理の言う失われた二十年は、克服できるどころか、一層深刻なデフレと経済の低迷をもたらすことになるではありませんか。
 大企業は、多国籍企業化して世界じゅうで利益を上げながら、内部留保を史上空前の二百七十兆円に積み上げております。
 その一方、国内経済を空洞化させ、非正規労働者は、二千四十三万人にふえ、雇用不安と低賃金に苦しんでおります。正規労働者の平均年収は、この間、七十万円も減少しました。ブラック企業が広がる中で、長時間超過密労働と過労死という深刻な社会問題を引き起こしております。
 安倍総理は、失われた二十年について、自民党に大きな責任があると答えました。それなら、規制緩和と大企業減税という既に破綻した政策を繰り返すことをやめ、国民生活に軸足を置いた政策に抜本的に改めるべきであります。
 このことを指摘して、反対討論といたします。(拍手)

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