2013年11月14日 第185回 臨時国会 倫理選挙特別委員会 【756】 - 質問
都道府県議の選挙区割法案「市町村合併に選挙区を合わせるもの、定数削減に歯止めかけるべき」
2013年11月14日、佐々木憲昭議員は、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、与党提出の「公職選挙法の改正案」について、質問・討論をおこないました。
現行の公職選挙法では、都道府県議の選挙区は「郡市の区域」、指定都市の場合は「区の区域」で設定することになっています。この法案は、「郡」や「配当基数」の制約を受けず、都道府県の条例によって、選挙区を任意に定められるようにするものです。
この間、都道府県議の定数は削減され続けてきています。総務省は、1995年末から2012年の間に、都道府県議が262人も減らされていることを明らかにしました。
佐々木議員は、「地方自治にとって、住民の意思を自治体に反映させることは極めて重要であり、その中心的役割を果たすのが地方議員だ。議会は、住民の意思を十分に反映されるものでなければならず、そのためには一定の議員数が必要だ」と主張。提案者の北側一雄衆院議員(公明)は、「その通りだ」と答えました。
佐々木議員は、「議員数が減っている。これは問題だ。地元(住民と議会)とのパイプが細くなる」と指摘。今回の法案に、議員定数削減に歯止めをかける条項があるのかとただすと、北側氏は、そのような条項がないことを認め、「今回の法案は選挙区割りの自由度を高めたということ。選挙区は都道府県の条例で決めることになる。定数削減とは無関係」と答弁しました。
佐々木議員は、「11年に地方議員定数の法定上限も撤廃され、区割り作業と同時に定数削減の可能性も生まれる」と批判しました。
また、提案者は「郡の存在意義が大きく変質している」ことを改定理由にあげています。この法案は、議員定数削減と市町村合併により、一郡一町村や飛び地など、郡市による選挙区設定がいびつになっている現状を解消しようという背景があります。
佐々木議員は「市町村合併は、住民と行政が遠くなるなど、住民サービスの低下を招いている。その市町村合併に、選挙区区割りを合わせるやり方には同意できない」と反対しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、議論の前提として確認をしておきたいことは、民意の正確な反映ということが基本だということでございます。
地方自治にとって、住民の意思を反映させるというのは極めて大切であって、中心的役割を果たすのは地方議員であります。何人の議員をどのように選ぶか、どのような議会をつくるか、これは民主主義の基本が試される問題であります。基本的には、議会というのは、住民と密着して、地域住民の意思を十分に反映されるというものでなければならないと思いますし、そのためには一定の議員数が必要だと思います。
まず、この基本点を確認しておきたいと思います。
○北側議員 そのとおりだと思います。
○佐々木(憲)委員 ところが、この間、都道府県議会議員の定数が相当削減されてまいりまして、確認をしておきたいのは、1995年末と2012年末、直近の都道府県議会の議員の定数、これはどうなっているか、総務省にお伺いしたいと思います。
○安田政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 1995年、平成7年と2012年、平成24年の12月31日現在の都道府県議会議員の定数のそれぞれの合計でございますが、1995年、平成7年は2941人、2012年、平成24年は2735人となっております。
○佐々木(憲)委員 この数字は、定数が206マイナスになっているんですね。比率では7%削減をされております。
別に都道府県が合併したわけではありませんし、47都道府県、数は同じであります。逆に、人口は95年と比べてふえておりまして、議員の数がどんどん減っている。これは、やはり私は問題だと思うんですよ。減ればいいというものではなくて、やはり地元とのパイプがそれだけ細くなる、こういうことであります。
2011年に地方自治法改定が行われまして、議員定数の法定上限が撤廃されたわけです。法定上限というのは、自治体の議員定数の目安となっていたものであります。これを撤廃したことによって、定数削減に目安がなくなって、歯どめがきかなくなっているのではないか、我々はそのように見ております。
そこでお聞きしたいのは、この法案で、都道府県で選挙区割りの条例が策定されることになりますけれども、その過程の中で、区割りと同時に定数削減もまた盛り込まれていくという可能性はあると思いますね。法案の中に、議員定数削減に歯どめをかける、そういう条項はあるのかどうか、これを確認しておきたいと思います。
○北側議員 ございません。
○佐々木(憲)委員 私は、これは非常に残念な内容だと思っておりまして、民意の反映ということを考えますと、数を減らすことに何らかの歯どめが必要だというふうに思っております。
今回の法案で、今度は巨大な選挙区ができる、巨大というか大きな選挙区ができる、それが可能になりますけれども、そのことによってどういう効果があるか、まず確認をしておきたいと思います。
○北側議員 今回の法改正によって直ちに巨大な選挙区が生まれるとは認識をしておりません。地方の都道府県議会の自由度、選挙区の区割りの自由度を高めたということでございます。
その区割り、選挙区をどの程度の地域にしていくのかということは、あくまでこれは各条例で、県議会の条例で決めることであるというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 現状でも定数が減っていまして、また、選挙区が小さくなってきている。こういうことによって一人区の選挙区が大変多くなっているんですね。これは、民意の反映には大変マイナスだと私は思っております。一人区での選挙は死に票が多くて民意がなかなか反映しにくい。
しかし、例えば、一人区と一人区の選挙区が、今度は一緒になった、こうしますね。そうなったからといって、これは二人区になるとは限らないんです。それは、そこの自治体の判断といいますか、議会の判断だと思いますけれども、条例によって決められるわけですね。法定上限もないわけですから、区割り作業と同時に定数削減の可能性も生まれる。つまり、一人区と一人区が一緒になって二人区になるのではなく、一緒にして一人区にしてしまうというふうになると、これは半分に減っちゃうわけですね、定数は。そういう可能性があるので、それを非常に私は危惧しているわけでございます。
今回の改定で一人区がさらにふえるという可能性は否定できないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○北側議員 先ほど篠原委員から出された資料でもおわかりのとおり、政令市になって、逆に、行政区単位で選挙区を規定しましたから、一人区がふえてしまった、こういうところが多いわけなんです。そういう意味では、今回の改正は、政令市においては、政令市全体の中で二以上の選挙区であればいいよということでございまして、逆に一人区は減る方向に働くのではないかというふうに私は認識をしております。
それから、先ほど来委員がおっしゃっている定数の削減の問題ですが、確かにこれは大事な論点だと思います。県会議員選挙でどの程度の定数が適切なのかというのは非常に重要な論点であると思いますが、今回の改正とこの定数の削減とは全く無関係でございまして、今回はあくまで、これまで原則は法律で全て選挙区というのを決めていたのを、これをできるだけ条例にお任せしましょうというのが改正の一番のポイントでございます。
○佐々木(憲)委員 一人区と一人区を一緒にして二人区になるから一人区が減るという可能性もあるという答弁でしたね。それは、定数が同じであればそういう可能性もありますけれども、定数が減らされる可能性ももう一方でありますので、これは、地域的に言いますと、一人区が地域的に広がっていく、そういう可能性もありますので、そこは必ずしも今説明されたとおりだとは私は思っておりません。
それから、もう一つは、定数削減はこの法律とは関係ない、確かにそのとおりです。ただ、問題は、定数削減をより一層行う可能性につながる面もあるという点です。つまり、一人区と一人区で、そのままであれば二人ですけれども、一緒にして、二人のところを一人にしちゃえば、これは定数削減と小選挙区がまたできるということになりますから、これは非常にマイナス、以前よりは議員の数が減るという点でマイナスだというふうに私は思うんですね。
それから、もう一点は、今までも議論が若干あったかもしれませんが、地域代表の面、これは私、地方選挙の場合は非常に大切な観点だと思います。
この間、面積は大きいけれども過疎化のために人口が減少して、一郡一町村の自治体がふえたり、単独で選挙区を維持できずに近隣市に合区されるということで、人口が少ない地域から代表を選出できない状態というのが生まれてくるという事例があります。
例えば愛知県でいいますと、新城市及び北設楽郡選挙区は、面積は県全体の20%もあるわけです、大変大きい。しかし、人口は県全体の1%に満たないわけです。広大な面積があるにもかかわらず定数一で、過疎地域からの議員選出が非常に困難になっているわけですね。
同じようなことはほかの地域でも見られるわけでありまして、大きな選挙区になることによって地域との関係が希薄になる、そういう可能性も生まれるのではないかなというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
○北側議員 これも、先ほど篠原委員から出た資料の長野市の例なんか、非常に典型的だと思います。長野市が合併することによって旧町村からの代表が長野県議会に出なくなったというお話であったかと思います。
だから、今委員の御指摘のあったことは、都道府県議会の場合は、一つはやはり地域代表という性格が大変大きいと思いますから、そういう面でいかがなものかという御主張だというふうに理解します。
これについては、例えば長野市の中で、これは将来の課題ですが、今は市の縛りがまだ残ったままなんですね、この市の縛りを将来外して、一つの大きな市の中で選挙区を幾つかつくるというふうなことができれば、今のような問題も解決できる方策が生まれてくるわけでございます。
これは、今回の改正案には入っておりませんが、附則四条で書いておりまして、将来の課題として、ぜひ検討事項の一つとして考えていきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 市町村合併との関係の問題について考えたいと思いますけれども、今まで市町村合併は相当進んでまいりまして、自治体の数が非常に減りました。しかし、地域が非常に広くなって、役場が目の前にあったのがなくなってしまって、非常に遠いところに行かなければならない、過疎の地域の方々にとっては非常にサービスが低下する、こういう問題が起こってきたわけです。
私どもも、この合併の問題については、住民サービスという観点からいうとマイナスが多いんじゃないかということで、かなり地方議会でも発言をしてまいりました。
今回の、選挙区の合区を可能とする案は、合併した地域に、今度は選挙区の方を合わせて大きくするということが可能になる。そういうふうになりますと、例えば、今まで町村から県に議員がいたのに、合併して地元代表がいなくなった、そういうことも生まれる。
それから、もう一つは、まだ合併はしたくないという自治体もあるわけですね。しかし、この法律が実行されますと、いや、合併したくないというところも、県で、この地域は一緒に選挙区としてはまとめた方がいい、こういうことになりますから、そうしますと、しようがない、それに合わせて合併という方向をもっと今度は考えようかというような話にもなりかねないので、逆に、合併を加速することになるんじゃないかという面も出てくる可能性もある。
この点についてどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○北側議員 今回の法律改正案は、先ほどの定数削減の問題も同様ですが、市町村の合併の問題について何も書いておりません。それについては全く中立でございます。
市町村合併を進めるかどうかというのは、これはあくまで地元の市町村が、それぞれの議会がやはり判断をしていくべき事柄でございまして、いずれにしましても、今回の法改正とは関係はないというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 確かに、法案の中にそれを書いているわけじゃありませんから。ただ、問題は、客観的な状況の変化というものがあって、法律が出てくるわけですから、その法律が実態との関係でどう作用するか、これはやはり考えていかなければならないことだというふうに思います。
以上の点を指摘して、質問を終わらせていただきます。