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その他 (大企業減税, 規制緩和, 「成長戦略」, 国家戦略特区)

2013年11月13日 第185回 臨時国会 内閣委員会 【754】 - 質問

国家戦略特区法案審議入り「創設過程が秘密だらけだ」

 2013年11月13日、地域を指定して大企業のための規制緩和と優遇税制を進める国家戦略特区法案が内閣委員会で審議入りしました。
 8日の本会議質問に引き続いて、佐々木憲昭議員は、この法案が立案段階から「非公表」部分が多く、情報公開に消極的な政府の姿勢をただしました。

 佐々木議員は、国家戦略特区の具体策を検討したワーキンググループ(WG)の重要資料・議事録の一部が「非公表」とされていることを指摘。「内容を公開するのは当然だ」とただしました。
 新藤義孝地域活性化担当大臣は「自由な議論を担保するため」「座長が決めたこと」などとの言い訳を繰り返しました。
 佐々木議員は、自由な議論も対立もすべて公開するのは当然だと主張。再三の要求でやっと公開された新藤大臣がWGに提出した素案には、「事業者のリスクを最大限軽減」「グローバル企業の呼びこみ」など、特定の企業の利益に直結させる特区づくりの狙いが露骨に示されていることを指摘しました。佐々木氏は、成案では、これらの文言が削られ、あいまいな表現になっていることもあげ、「情報を隠すのは、やましいことがあるからではないか」と強調しました。
 さらに、佐々木議員は、特区の規制緩和について事前の提案募集に応募した242団体・197件の内容も一部、非公表とされており、団体名も提案内容も隠されているのが11件あると指摘。「基本原則として、提案や議論の中身は公表するルールにすべきだ」とただしました。新藤大臣は「別に隠しているわけではない」としか答えられませんでした。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 国家戦略特区法案の審議の前提として、この法案のもとになっております日本再興戦略について確認をしておきたいと思います。
 この再興戦略の中で、「失われた20年」という言葉が出てまいります。例えば、こういうふうに書かれております。「経済が長期停滞に陥ったこの期間を指して「失われた20年」と言われているが、経済的なロスよりも、企業経営者が、そして国民個人もかつての自信を失い、将来への希望を持てなくなっていることの方がはるかに深刻である。」こう書かれております。
 このような失われた20年をもたらした政治の責任は誰にあるか、この点、甘利大臣にお答えをいただきたいと思います。
○甘利経済再生担当大臣 バブルが崩壊をして、資産価値が下がりました。借り入れをしている企業は、金融機関に担保の追加を申し入れられる、あるいは返済が滞らないように、いろいろと企業側は、それに対処するために、過剰債務、過剰設備、過剰雇用と言われましたけれども、かなり無理をして対応していったわけであります。
 固定費を抑えて返済に回す、賃金が抑えられると、今度は消費が停滞をし、生産の減少にはね返ってくるという悪循環が始まってしまったわけであります。
 一方で、新規の事業を起こすための金融についても、金融機関は不良債権の処理を先送りして、一向に抜本的な解決ができない。
 そこで、小泉内閣のときに、期限を切って公的資金も入れるということで、各金融機関に問題処理の決断を迫ったわけであります。
 不良債権処理がなされて、金融が、経済の血液を送る心臓のポンプの役割が回復してきて、事態が多少は改善をしてきた。しかし、デフレマインドはちっとも改善されないので、心臓のポンプ機能は回復しても、抜本的な問題解決には至らなかった。
 この間、もちろん、政府がとるべき対処がおくれたということもあると思います、民間で、きちんと問題を解決する決断をしないで先送りをしてしまった、もろもろの対処の不適切さがこの課題解決を先延ばしにしてしまったというところであろうと思います。どこの誰々が全ての責任ということよりも、政府の側にも、あるいは民の側にも、きちんと対処できなかった、あるいは対処がおくれた責任があろうかと思っております。
○佐々木(憲)委員 今、小泉改革以来のことを触れましたけれども、この20年となりますと、その前も含めてであります。20年を振り返りますと、自民党が一番長く政権についていたわけでございまして、この間、自民党以外の党が政権についた時期は、細川、羽田内閣の十カ月と民主党政権の3年三カ月で合わせて約4年、これを除きますと、あと16年は自民党が政権についていた時期であります。
 そうなりますと、この失われた20年というふうに、何か他人事のように言っていますけれども、それをつくり出した主な政治責任は自民党にあると言わなければならないと思うんですが、そういう自覚はありませんか。
○甘利経済再生担当大臣 自民党政府にも大きな責任はあろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 デフレ克服のためには、失われた20年をつくり出した経済的な要因をはっきりさせなければならないというふうに思います。その要因はどこにあったのか。
 統計を見ますと、1990年代の前半までは可処分所得は増加をしておりました。97年以降に大きく落ち込み始めたわけです。再興戦略では、このことについてこのように書いています。「消費者も、将来への不安や所得減少から消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレを加速するという悪循環から抜け出せずにいた。」つまり、根本的な要因は需要の低迷にあったということではないかと思いますが、いかがでしょう。
○甘利経済再生担当大臣 デフレがどういう原因で起きたのか、そのメカニズムはと世界じゅうが注視しているところでありますけれども、資産価格が落ちて、企業は、いわば自己防衛をするために、一企業、一個人としては適切な行動をとったと認識をしているんでありましょうけれども、その企業が全部集まった経済の集合体としてはいい選択ではなかった。いわゆる合成の誤謬と言われる問題がございます。
 企業は自己防衛のために、固定費を切り詰めて返済に回し、自身が倒れるのを防いだ。しかし、そういう企業の集合体、同じような行動に出ると、消費というのは圧倒的に減退してしまうわけでありますし、賃金が下がれば消費力はもっと下がっていくという負の連鎖が始まってしまう。そうこうしているうちに、デフレマインドが定着をしてしまった、こびりついてしまったということだと思います。
 つまり、お金は使わない方が価値がどんどん上がっていく、物の値段はどんどん下がり続けるわけでありますから、消費はしない方が得、投資はしない方が得という判断に次第になっていってしまったんだと思います。
 ですから、安倍内閣におきましては、こびりついたデフレマインド、つまり、景色を変えるということは、物価は少しずつ上がっていく方向に行きます、だから、購入する必要な物があれば今買った方が得ですよ、あるいは設備投資であるならば今行動を起こした方が得ですよというふうに、ある種、景色を変えていくということ。
 それから、それによって投資が起こる、企業業績がよくなったら、それは従来のように自己防衛でため込んでしまわないで、それを経済の好循環に使った方が全体としては得なんですよ、そういう環境をつくっていく。賃金や雇用を拡大させていくのに資するような税制をつくる。
 あるいは、政府も相当批判を浴びましたけれども、それを覚悟で、復興増税前倒し廃止。これだけ我々もリスクをとりました、企業の皆さん方も好循環を回すための一歩の踏み込みはされないんですかということを迫っていく。
 それぞれがやるべきことをやるという決断をするところから、経済をマイナスの循環からプラスの循環に変えていく歯車が動き出すんだというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 今買った方が得ですよという雰囲気をつくると言いますが、一番肝心なことは、買うための所得がなきゃならぬのですよ。
 デフレ克服のために一番大事なことは、GDPの6割を占めております家計消費をどう温めていくか、そこに焦点を当てた対策、これを実行しなければならないということだと思います。
 小泉内閣から第二次安倍内閣に至るまで、これまで延べ18回、経済対策を行って、69兆8500億円、約70兆円かけてきたわけですけれども、財政措置をとったり規制緩和をやったり、やってきたけれども効果がなかった。それは家計に軸足を置いた対策にしっかり重点を移していなかったからだと私は思うんですよ。そういうことではありませんか。
○甘利経済再生担当大臣 いわゆる緊急経済対策のようなものは、御指摘のように、累次行いました。
 つまり、それは何かというと、政府が、公が需要をつくって、需給ギャップを埋めていくわけであります。ですから、埋めた瞬間は景気がよくなるんでしょう。しかし、その後、民需がついてこないと、その支出が途切れたときに効果は終わってしまう、その繰り返しで借金がふえちゃったということであります。
 なぜ民需がついてこなかったかというと、お金は今投資するタイミングではない、お金は持っていた方が価値は上がっていくというデフレマインドを払拭できなかった。デフレマインドを払拭して、なおかつ投資環境を整備していく、投資に対する障害物を外していって、今使った方がいいですし、その障害になる障害物はどんどん取り除いていきますよということが規制緩和であろうというふうに思っておりまして、金融対策と機動的財政出動とそれから規制緩和を含む成長戦略、この三つをワンパッケージでやっていくという手当てが政府にできなかったところに、今日まで日本経済が苦しんだ原因があろうかと思っております。
○佐々木(憲)委員 民需がついてこないといいますけれども、民需の中心は家計消費なんです、GDPの6割ですから。この部分が落ち込み続けてきたというのが非常に重大な事態を招いたわけであります。
 政府の文献でも、例えば労働経済白書、昨年版の337ページにこういうふうに書いてあります。日本経済において需要不足が続いているが、国内需要の大きな割合を占める家計消費を押し下げている最大の要因は所得の低下である、マクロ的には必ずしも労働生産性の上昇に見合った所得の増加が見られておらず、それは主に非正規労働者の増加によるものであり、また、非正規労働者の増加が低所得者の増加につながっている。
 それから、2010年版によりますと、非正規雇用の増加の背景としては、相対的に賃金の低い者を活用しようとする人件費コストの抑制志向が強かった、そのほか、労働者派遣事業の規制緩和がこうした傾向を後押しした面があったと考える、このような非正規雇用の増加は、正規雇用者、非正規雇用者を含めた雇用者の平均賃金を引き下げる方向に作用してきた、このように指摘をしているわけです。
 私は、これは分析としては非常に真っ当であり、当たっていると思うんです。
 つまり、国民の所得が低下をした、その最大の原因というのは、賃金が下がり続けた。なぜ下がったか。正規雇用が減って、非正規雇用がどんどんふえた。今、史上最高ですよ、非正規雇用は。こういう状態を放置したまま、幾ら経済対策をやっても、これは大企業は投資をするというふうにはなかなかいかない。そういうところに問題の根本があったのではないかと思います。
 20年間の経済指標を見ましても、平均給与総額というのは、90年代に入って、98年まで増加を続けております。その後、一貫して低下傾向にあるわけです。一方で、大企業の内部留保は、ともかく、リーマン・ショックがあろうが不況になろうが、どんどんふえて、270兆円、こういう事態になっているわけです。
 つまり、日本の大企業がどんどん大きくなって、多国籍企業化して外国に出ていく、しかし、国内では空洞化が進んで賃金が下がり、内部留保ばかりがふえてくる。売り上げが横ばいでも利益を出そうとするから、賃金を抑制する。こういうことで、国内経済の中で家計をないがしろにした、そういう大企業の行動が今のような事態を生み出しているわけです。そのことをよく見ないと、やはり原因を明確にして対応しないといけない。
 したがって、私は、こういう内部留保を膨大に抱えた、そしてまた、これまでも法人税の減税をやり続けてきた、それでもデフレがおさまらない、そういう状況というのは、結局、政策の基本が国民の所得をふやすというところに直接行かないで、いわば内部留保を抱えている大企業に幾ら支援しても、それはなかなか内需拡大につながっていかないわけなんです。
 そこに問題があるというふうには思いませんか。
○甘利経済再生担当大臣 バブル崩壊以降、企業は、自己防衛の考え方で個々の企業行動をとってきたわけであります。
 内部留保が200数十兆円になった。ただ、この内部留保は現預金がそのままあるわけではなくて、設備に変わったりしているわけでありますから、必ずしも現金や預金あるいは金融商品だけではないということが一つありますが、それにしても、御指摘のとおり、GDPの6割以上を占めるのは消費でありますから、消費力が回復してこないと日本経済は本格回復軌道に入らないのは事実であります。消費力をつけていくためには賃金が上がっていかなければならない、これも事実であります。
 そこで、私どもは、かなり政府としてはやるべき範囲を超えているという御指摘もありますけれども、賃金の交渉は民民の使用者側と労働側の交渉でありますけれども、それに我々は大きく介入するつもりはありませんけれども、好循環を回していくためには賃金が物価の上昇を上回って上がっていかないと、結局、短期的にはいいという企業行動でも中長期には間違ったことになりますよという、まあ、若干ちょっと踏み込んだ提言をしております。
 そうやって消費力、消費する力をつけていくということが投資する力になっていくし、製品開発力になっていく。それが企業の力、収益力になってくるし、それがまた賃金にはね返っていけばさらにその循環は強くなりますということを、経済主体、構成する各主体にお願いをして説得をしているわけでありまして、基本的には、消費力をしっかりつけていくために賃金が上昇していくというサイクルをつくらなければならないということは、我々も感じております。
○佐々木(憲)委員 ただ、今政府がやっている政策を全体として見ますと、消費税の増税は来年4月から実行しますよと。これは大変な負担増になるわけで、消費はもちろんそれで落ち込んでいく。社会保障についても、よくなるかなと思っていたら何か負担ばかりふえて、年金も減らされる。こんな状況が生まれる。
 その一方で、大企業に一定の負担を求めようとしたら、なかなかそれが波及しない、負担を求めようとしても大企業が実行しようとしない。例えば、内部留保が設備に回っていると言いますけれども、現預金は44兆円ありますからね。さらにその倍以上の株式ですとか、債権があるわけです。すぐ現金化できるのがそれだけあれば相当なことができるわけです。しかし、やろうとしない。
 そういう状況の中で、さらに企業支援だということで、そのうちパイがふえれば庶民も潤うだろうというような、そういう回り回ってそのうち何とかなるだろうというような感じがするわけです、政府の政策は。これでは、なかなか現在の日本経済の内需を中心とした力強い発展にはつながらないと私は思うわけです。
 そこは見解の相違かもしれませんけれども、そういう点を指摘しておきたいと思うんです。
 さて次に、国家戦略特区の形成過程、成り立ちについてお聞きしたいと思うんです。
 政府は、あらかじめこの特区のプロジェクトについて提案を募って、それをもとに戦略の内容を組み立てております。国の政策として進めるわけですから、当然、この内容については国民に公開して進めていくというのが基本だと思いますが、新藤大臣の基本的な姿勢、これを聞きたいと思います。
○新藤地域活性化担当大臣 これは、公開性、透明性、そういったものを重視するのは当然のことだと思います。
○佐々木(憲)委員 それでは、お配りした資料を見ていただきたいんですが、ことし8月に開催した第五回国家戦略特区ワーキンググループの配布資料のリストであります。
 この資料一の「国家戦略特区コンセプト」、これについては、非公開資料、こうなっているんですね。それから、参考資料の三です、一番下、八田座長提出資料ですね、これも非公開資料になっているわけです。これは基本中の基本だと思うんですね、コンセプトなんというのは。
 私は、この資料を出すように、この間ずっと要求をしてきたんですが、なかなかこれは出てこないんですよ。ようやくきのう、私の手元のところに参りました。
 この国家戦略プロジェクトというのは、今までこれは誰が出したのかなと思っておりましたが、昨日受け取って初めて新藤大臣が出したものだというのがわかりました。
 新藤大臣はなぜ、この間、非公開にしていたのか。どう見てもこれは極秘文書とは思えないですよ、この内容は。非公開にしていた理由、これを聞かせていただきたい。
○新藤地域活性化担当大臣 このワーキンググループにつきましては、運営要領というものをつくっております。そして、このワーキンググループは座長が招集することになっておりますし、審議の公表につきましても、座長が適当と認める方法により行っていく、こういうふうになっているわけであります。
 そして、今回の資料が、委員が御指摘のように、極秘というわけでもない、そのとおりでございますが、ワーキンググループの委員の間で自由な討論をしていただく上で、コンセプトの内容を固めていく、その途上にあって、ワーキンググループの座長の御判断により、当初非公開として、この議論を自由なものとしたい、こういう御要請があって、その中でこのように措置されたものでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、素案の段階はまだ議論の途中であるから、成案になったらそれを出すということで非公開にしていたと言うんですけれども、例えば、成長戦略、これは素案で公表しているんじゃありませんか。再興戦略という成案にする前、「成長戦略(素案)」で公表しているじゃないですか。あるいは一体改革、これも素案で公表して、いろいろな議論があって、そのうち成案になった。両方公開しているわけです。最初から公開して議論をして、その結果、こういう成案になりましたよ、こういうことをやっているわけで、大臣の理屈は成り立ちませんよ。
○新藤地域活性化担当大臣 ですから、これはワーキングの座長の御判断で、そして、このコンセプトペーパーについて議論があったわけであります。その中で、自由な議論を担保するために、当初、この問題は、結論を得るまでの間は委員間で議論の素材としていただこう、こういうことで公表をしなかったということだと私は理解をしております。
○佐々木(憲)委員 全く理解できない。座長が何でそんな勝手な権限を持ってやるんですか。大臣が出した資料を、座長がこれはだめだ、こう言って隠すんですか。そんないいかげんな座長、あした来ますから、何を考えているのか聞いてみたいと思いますけれども。
 そこで、経済財政担当大臣の甘利さんにも聞きたいんですが、経済財政諮問会議、これは中断を挟んでまた再開されました。この間約10年、たくさんの参考資料、提出資料が出されておりますけれども、その資料のうち、非公開になったものは幾つありますか。
○中村政府参考人(内閣府大臣官房審議官) お答えいたします。
 経済財政諮問会議におきましては、資料を非公開とした例は三回ございますけれども、不良債権問題あるいは地球環境問題など、市場や外交交渉に多大な影響を及ぼすおそれがある場合に限定をしております。
 なお、これらの資料についても、その後公開をされております。
○佐々木(憲)委員 過去、不良債権処理の金額、これはマーケットに影響を与えるということで、その当時、一時非公開がなされたことがある、あるいは、外交交渉に影響を与えるというようなこと、その場合はそのとき非公開だった、たった三例ですよ、10年間で。今回は、始まったとたんに非公開ばかり、これは二件出てきた。これは余りにも私は異常だと思いますね。
 安倍内閣で今回、経済財政諮問会議が再起動しましたが、ことし、これは非公開にしたのはありますか、幾件か。
○中村政府参考人 お答えいたします。
 再開して以来、非公開という扱いはございません。
○佐々木(憲)委員 ですから、このワーキンググループの非公開の仕方というのは極めて異例だと思うんですね。
 第五回ワーキンググループの議事概要というのが出ていますね。これを見て驚いたんですが、議事概要の四ページを見ますと、八田座長がこういうふうに言っている。「まず、議事2の「「国家戦略特区コンセプト」について」について議論したい。」と発言した部分が記録されております。しかし、その後、その後というのはその文章の後、非公開というのがぽんと書いてあって、中身は完全に隠されているんですよ。これは一体何ですかね。
 しかも、七ページのところを見ますと、八田座長が、「先ほどのコンセプトのところに戻りたいと思う。」と発言をしているんですが、中身は、読もうと思ったら白紙なんですよ、議事概要というものを見ましたら。何でその議事内容を白紙にするのか。
 それから、八田座長提出資料は、今見たところ、最後の参考資料三、これも、昨日初めて私のところに来たんですけれども、この部分の議事概要もあるはずなんですね。ところが、その七ページ以降に記されていたはずなのに、これも全く何も書かれていない、議事概要に。再三要求をして、ようやくきのうの段階で出てきて、その資料だけは出してきたけれども、肝心のその議論の中身が全く隠されたままだ。
 これは、新藤大臣にかかわる部分ですよ。あなたの提案部分にかかわることで、資料を公表したんですから、当然、今指摘した関連部分の議事概要というのは全面公開すべきだと思うんですが、いかがですか。
○新藤地域活性化担当大臣 まず、このワーキンググループというのが、これは、物事を決める前の本当の一番最初の初期のころのものであります。そして、そこで自由な議論をしていただこうと。
 ですから、中には意見が一致しない部分もあって、そういったものも含めて、議論を自由にするために座長がこのように御判断をされたんだと私は思っております。中身は、今、委員がごらんいただいたように、特別に何か秘密事項があるわけではありませんが、解釈をめぐってのいろいろな議論があったんだと思います。
 ですから、それについて、最終的に議論を収れんさせたもので資料を公表しているわけでありますし、閣議決定をして、自由な議論が、討論に影響が出ない、こういう判断のもとにこの資料の公開をさせていただいたということでございます。
○佐々木(憲)委員 理解できないですね。自由な議論が行われるのは当たり前じゃないですか。議論すれば一致しないこともあるのは当たり前じゃないですか。経済財政諮問会議の議事録は全部出ていますよ、一致しないものも、自由な議論が。あの当時、小泉総理は議長で、大臣が発言をしたことについて、これはだめだ、こういうことだって全部載っていますよ。すぐ公開されている。
 何で八田座長がこんなことをやるんですか、勝手に。自由な議論を公開したって当たり前じゃないですか。
 これは、公開されることは当然、基本原則として当たり前だと思うんですが、どうですか。
○新藤地域活性化担当大臣 経済財政諮問会議とこのワーキンググループの位置づけは全く違うものであります。だからいいんだとは言いませんが、やはり自由な議論を、これは本当に、ワーキングというのはもともとの内輪の本当の議論であります。ですから、いろいろなけんけんがくがくの議論があって、それらをまだ表に出す段階でない、こういう座長の御判断があったものというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 大臣にあるまじき発言ですね、今のは。
 座長の判断に全部お任せして、大臣の主導権は一体どこにあるんですか。こんなの、公開するのは当たり前でしょう。資料を公開したんだったら、議事概要も公開するのは当たり前でしょう、それに関連してどんな議論があったか。それをなぜ隠すんですか。何が悪いんですか。それを隠している。おかしいじゃないですか。公開してくださいよ、八田座長に言って。
○新藤地域活性化担当大臣 このワーキングの議事の概要については、それは委員間の御了解が得られれば出すことになる、このように思いますよ。
○佐々木(憲)委員 次に、この素案の三枚目にある、「必要な法令等の整備により、事業者のリスクを最大限軽減」と最初のところには書かれていたんですね。これが成案になりますと、この資料を見てわかりますように、見当たらないんですが、この部分は特区のかなめ中のかなめのところでありまして、この「事業者のリスク」というのは何を指すのか、これをなぜ削ったのか、これをお答えいただきたいと思います。
○川本政府参考人(内閣官房地域活性化統合事務局長) お答えを申し上げます。
 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、この素案について委員の間で御議論をいただいて、言葉遣いについても誤解を生じないようにということで最終案が構成されたものでございます。
○佐々木(憲)委員 誤解というのは、どういう誤解を想定されたんですか。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
 事業者のリスクを軽減するという言い方が、法令の整備が事業者のために行われるというように読まれかねない、そういう問題があったというふうに私は理解をいたしております。
○佐々木(憲)委員 事業者のために行うというふうにとられかねない。でも、これは、事業者が主体になってその事業をやるんじゃないんですか。それを、今の説明だとよくわかりませんね。
 それからもう一つは、グローバル企業の呼び込みというのがあったんですが、これは「アジアのビジネス拠点の形成」というふうに変わっているんですね。「グローバル企業」という言葉をなぜ削ったんですか。
○川本政府参考人 この部分については明確な記憶はございませんけれども、特に言葉を削ったというよりは、より適正な表現に変えたということではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 グローバル企業は不適切な表現であると。なぜ不適切なんですか。グローバル企業というのは当たり前じゃないんですか。何が悪いんですか。
○川本政府参考人 お答え申し上げます。
 「グローバル企業」という言葉が不適切だと申し上げたのではなくて、よりわかりやすく適切な表現に変えたということで申し上げたところでございます。
○佐々木(憲)委員 変えた結果、よりわかりにくくなっておりますね、これは。「アジアのビジネス拠点の形成」というふうになっておりまして、極めて漠然とした表現になっているんですよ。
 それからもう一つは、「提案者以外の関係者の批判的意見も広く聞き内容を検証する」というのがあったんですが、成案になりますと、「反対意見も含め広く国民から意見聴取」、これもかなり拡散した、漠然とした表現に変わっております。「提案者以外の関係者」という言葉を削ったのはなぜなんでしょうか。プロジェクトによって悪影響を受ける関係者を連想するので都合が悪い、こういうことなんでしょうか。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
 特にそういう趣旨ではなくて、通常使う用語に変えただけだというふうに理解をいたしております。
○佐々木(憲)委員 通常使うという意味は、どういうことでしょうかね。「提案者以外の関係者」というと、関係者ですから、その周辺の人たちですよね。その周辺というのは、一定の影響を受ける可能性のある人たちですね。それを削ってしまうというのは、私は何か意図を感じるわけであります。
 それから次に、提案を募集しておりますけれども、その募集の件についてお聞きしたいんですが、応募したのは242の団体で、197件の提案があったと聞いております。私は、先日の本会議で、その242団体のうち企業数は幾らかとお聞きしたんですが、安倍総理は、自治体は61件ですと答えたんですね。
 自治体の数を聞いたんじゃないんですけれども、これはよくわかりませんので、内訳を明らかにしていただきたいと思います。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
 242の団体でございますが、御指摘のように、公共団体は61、したがって、民間事業者等が181団体でございます。この民間事業者等の中には、企業の団体も含まれておりますし、それから個人も含まれております。個人は九件でございます。
○佐々木(憲)委員 この197件の提案の中にも非公開というのがあるんですよ。あちこち非公開が出てきますけれども、非公開としたのは何件あるんでしょうか。この非公表とした理由、それをお聞かせいただきたいんです。
 なぜかといいますと、自分はいい提案だと思って提案しているわけでしょう。悪い提案と思って提案する人はいないんだから、堂々と名前を名乗って提案内容を公表するのが当たり前じゃありませんか。なぜ隠すのか。自分だけぼろもうけを上げるという仕掛けなので人に知られたら困るな、こういうことなのか、勘ぐらざるを得なくなるわけですよ。
 提案した団体も、プロジェクトの内容も、両方とも非公開というのが11件ある。これは極めて不可解で、この11件の内訳はどうなっているんですか。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
 11件のうち、民間事業者等が十件、地方公共団体が一件でございます。
○佐々木(憲)委員 これは一つ一つ聞かないとその内容がわかってこない。これはおかしいですよ、何で非公開にするのか、これだけこれから国家戦略特区というものをやろうとしているときに。
 我々は別の意見を持っていますけれども、しかし、提案する方々は、日本経済をよくしたい、こういうふうに思って提案しているんでしょう。だったら、堂々と私の提案を見てください、こんな立派な提案ないでしょうということで、それを名前も名乗り、提案者、内容についても当然公表して説明をする、これは当たり前なんであって、何で隠すのかというのがよくわからない。
 それは、隠すのは何かやましいことでもあるのかなと思うじゃないですか。これは、やはり基本原則としては、こういう、提案ですとかあるいは議論の中身ですとか、こういうのは公表するというルールにすべきだと思いますよ。
 小泉内閣のとき、我々はあの中身については非常に批判的でした。しかし、議事録の公開とか資料の公開というのは、経済財政諮問会議の場合は非常に細かくやっていました。ワーキンググループも含めてです。そういうことをせっかく自民党の小泉内閣時代からやってきたのに、ここに来て、何か急にあれも隠すこれも隠す、非公開、非公開、これはちょっとまずいんじゃないでしょうかね。
 やはり、ここは見直して堂々と国民の前で公表して議論をする、そういうことに踏み切るべきだと思いますが、新藤大臣どうですか。
○柴山委員長 質疑時間が終了いたしますので、簡潔にお願いします。
○新藤地域活性化担当大臣 別に隠しているわけではなくて、議論をする過程のものでお出しできるものと、それから出す必要のないものもあるというのは、当然判断があると思います。
 ただ、これは先ほどから申しておりますけれども、ワーキングというのは、もう本当に一番最初の、まだ素案中の素案のときのものでございます。先ほどの委員の質問も、最初に出してある私の素案というのは、そもそもの、このプロセスは何のためにあるのかとか、そういう解説も含めた、主催者側のことも含めたいろいろな要素が入っている資料なんです。一方で、次のものは、もう一つ簡素化されているものは、説明会をやって、国家戦略特区はこういうことでやりますのでという提案者用の資料なんです。
 ですから、当然中身が、主催者側でチェックするものと提案者にお見せするものとは、これはおのずと役割が違ってくるから内容も変わってくるということであって、字数の関係で削られたりしているわけなんですね、今後わかりやすくしようとか。それが何か臆測を呼ぶようなことがあっても、これまた、まことに私も残念だ、こういうことであります。
 しかし、今後の議論というのは、これは明らかに、この法律を設定した後は、諮問会議をつくり、そしてその中でやっていくわけですから、当然、御指摘の点は我々ももとより承知の上で進めていきたいと思います。
○柴山委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○佐々木(憲)委員 公開して最後はやっていただきたいと思います。
 次回は法案の仕組みについてお聞きしたいと思います。
 ありがとうございました。

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