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金融(銀行・保険・証券)

2013年11月13日 第185回 臨時国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【752】 - 質問

みずほ銀行の反社会勢力との取引問題、提携ローンのシステム見直しが必要(参考人質疑)

 2013年11月13日、財務金融委員会は、金融機関における反社会勢力との取引問題について、参考人質疑と対政府質疑を行いました。

 参考人として、國部毅・一般社団法人全国銀行協会会長、佐藤康博・株式会社みずほ銀行取締役頭取、谷正明・一般社団法人全国地方銀行協会会長、稲野和利・日本証券業協会会長、大森一廣・一般社団法人日本クレジット協会会長が招致されました。

 参考人質疑と対政府質疑に立った佐々憲昭議員は、問題の提携ローンは、銀行の貸付債権なのに銀行が顧客と直接会うこともなく、相手が暴力団かどうか、返済能力があるのかどうかといった「融資のための審査」を自ら行わないという欠陥があると指摘。
 銀行は提携ローンを組むに当たって、顧客窓口業務をオリコという信販会社に丸投げしていました。これでは融資先に暴力団が入り込むのを、銀行として阻止することができません。提携ローンのシステムの見直しが必要です。

 佐々木議員の「辞任する考えはないのか」との質問に、佐藤・みずほ銀行頭取は「今後、反社会的勢力排除に全身全霊であたるのが使命。ご理解をお願いしたい」と答弁。佐々木議員は、「理解できない」と批判しました。

 また、対政府質疑では、みずほ銀行の暴力団融資を把握できなかった政府の責任について、麻生太郎金融担当大臣に質問しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、みずほの佐藤頭取にお聞きをしたいと思います。
 この提携ローン、キャプティブローンは、みずほ銀行の貸付債権でありますから、本来なら自行の責任で反社管理をきちんとしなければならない。にもかかわらず、銀行として、顧客と直接会うこともない。反社会勢力かどうか、返済能力がどうかといった融資のための審査、これをみずから行うこともない。そして、顧客窓口業務の一切をオリコとその加盟店に委ねていた。つまり、提携ローンという仕組みのもとで、審査は信販会社に丸投げであった。問題の本質はそこにある、こういう認識はお持ちでしょうか。
○佐藤参考人(株式会社みずほ銀行取締役頭取) お答えを申し上げたいと思います。
 この提携ローンにつきましては、自動車の購入とかあるいは住宅のリフォームとか、そういった目的のために広く利用されているローンでございます。この四者提携ローンにつきましては、信販会社の持っている得意分野、それは小口の審査も含めてでございますが、そして金融機関が持っている得意分野、これは調達ということでございますけれども、この両方の得意分野をそれぞれ生かすことによりまして、お客様あるいは加盟店の皆様方のニーズに対して応えていこうという商品となっているわけでございます。
 したがいまして、この提携ローンの枠組みそのものに問題があったということではないと認識しておりまして、むしろ、その中での反社取引の排除に関して、私ども、大変申しわけないことでございますけれども、不十分な点があったんだというふうに反省をしなければならないというふうに考えているところでございます。
 したがいまして、反社取引について、オリコとの提携ローンについては、徹底的に排除できるような仕組みを既に確立して、運営していきたいというふうに考えているところでございます。
 以上、お答え申し上げます。
○佐々木(憲)委員 この提携ローンは、みずほの前身であります第一勧銀で、1997年の3月から取り扱いが開始されております。みずほ銀行がオリコを関連会社にしたのが2010年の5月でありますが、その前の2003年9月に、オリコを含む信販会社との販売提携ローンの融資先の属性チェックについて検討したことがあったというふうに聞きますが、これは事実ですか。
○佐藤参考人 事実でございます。
○佐々木(憲)委員 そのときに、オリコ側が独自の保証審査を実施するという前提で、銀行としての独自の保証審査は不要、こういう結論を出したと聞きますけれども、それは事実ですか。
○佐藤参考人 そのように認識してございます。
○佐々木(憲)委員 みずからの金銭消費貸借契約なのに、オリコの保証審査で十分と考えられた理由は何でしょうか。
○佐藤参考人 お答え申し上げます。
 提携ローンの相手方としては、代理店等になるわけでございますけれども、その代理店のどういう人がどういうことをやっているかについての認識は、割賦販売をやっているオリコの方が知見があるというふうに考えたことがベースになっていたのではないかというふうに考えてございます。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 融資先がどんな状況にあるかということを銀行側が直接把握する、そういう姿勢がこの段階から見られないというのは、私は問題だと思うんですね。つまり、反社勢力が入ってくる可能性があるにもかかわらず、それについては信販会社が責任を負うんだ、こういうふうな仕掛けをつくったわけですね。したがって、この融資の最終的な責任というのは銀行にあるにもかかわらず、その点については責任は自分にはない、信販会社の方なんだ、こういう仕掛けを容認して、それを前提としてやってきたというところに非常に大きな問題があったというふうに思います。
 そこで、日本クレジット協会の大森会長にお聞きしますけれども、業界の自主規制ですね。これは、いただいた資料によりますと、昨年9月に暴力団排除を掲げたとされていますけれども、それ以前はこういうものは自主規制の内容にはなかった、こういうことなんでしょうか。
○大森参考人(一般社団法人日本クレジット協会会長) 本件につきましては、警察庁と相談の上、暴排条項を入れなさい等々の指導、御要請がございました。それに基づいて、協会としては、一連の自主規制規則の中で制定をいたしまして、今現在、各会員個社の中に定着をしておりますが、まだ対応し切れていない会員会社が一部ございますので、それを早急に満たすように今動いているところでございます。
○佐々木(憲)委員 いや、私がお聞きしたのは、昨年9月に自主規制の中に暴力団排除というものを入れたけれども、それ以前にはこの自主規制の中にはそれが入っていなかった、こういうことをお聞きしています。
○大森参考人 それは入っておりませんでした。
○佐々木(憲)委員 信販の方、クレジット協会としての対応が、昨年の9月まで自主規制の中に暴力団排除が入っていない、これは非常に問題だったと思うんですね。
 経産省の割賦販売業者に関する監督指針というのがありますけれども、その中に暴力団排除の項目が入ったのはいつですか。
○大森参考人 承知しております。(佐々木(憲)委員「いや、いつですか」と呼ぶ)
 それに基づきまして、先ほど申し上げましたように自主規制規則を制定いたしまして、これに基づいて会員各社に周知を徹底し、あるいは、弁護士さんあるいは大学教授等を入れた勉強会、研修会を定期的に続けてきておりました。
○佐々木(憲)委員 今回の事件以前に、所管の経産省から反社会勢力排除についての報告を求められたということはありましたでしょうか。
○大森参考人 報告を求められたことはございません。
○佐々木(憲)委員 結局、信販会社の方は、暴力団排除についての自主規制もつい最近なんですよ。経産省も、暴力団排除についての報告を出しなさい、こういうことをそれまでは言ってこなかったんですよ。
 そういう状況のもとで、審査はともかく信販の責任であると。そういう状況で、丸投げをして信販の方に責任を押しつけても、信販会社の方はその自覚がない、所管の省庁からの指導もない、こういう状況であったわけですよ。
 したがって、これは、銀行側としては、当然そういう状況があるということを認識して、みずから、反社会勢力に対する融資が行われないような、そういう体制をつくらなければならない。それが不十分であった。つまり、銀行側も、信販側も、暴力団排除についてまともな対応をこれまでしてこなかった。ここに重大な問題があるわけです。
 私は、そういう点でいいますと、先ほどの佐藤頭取のお答えの中では、これは仕掛けとして信販会社に責任があるというふうに判断をしたと、そこに非常に大きな弱点があった、こういうふうに思いますが、どうですか。
○佐藤参考人 反社の取引の排除という観点につきましては、私ども、2010年の9月、持ち分法適用の状態になる時点を目指して取り組みを強化いたしまして、私どもの反社データを、事後的なチェックではありましたけれども、オリコに開陳することによって反復取引を遮断するということはその時点から行っております。これを入り口のチェックからやれればもっとよろしかったわけでございますけれども、そこのところには幾つかの障害があってできなかったということにつきましては、反省をしているところでございます。
 したがいまして、反社の排除という観点から申し上げますと、その時点からは、少なくとも、反復継続で同じ人間がこの提携ローンを使って資金を手に入れるということはできないような仕組みはつくったつもりでおりました。しかしながら、本来は代位弁済をしなければいけないということにつきましては着意が不足していたということにつきましては、深く反省を申し上げたいというふうに思います。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 2010年の話ですけれども、そのときは、オリコをグループの中に入れたわけですよね。したがって、そういう意味では、銀行と信販会社が一つのグループに入ったものですから、それを契機として反社勢力の問題をやらなければならないな、こういう自覚が出てきた、そういう話だったと思います。しかし、その以前の対応、それから、そういう自覚があったと言いながら、銀行側としてチェックが実際には行われていなかった、こういう問題が生まれているわけです。
 オリコの齋藤社長は、提携ローンは重要な資金調達手段と述べて、今後も重点を置く事業として継続する、こういうふうに言っているわけです。
 この提携ローンというのは、約1兆3千億円。そのうち、8千億円、実に6割以上をみずほ銀行が占めているわけであります。今後も提携ローンを継続する、こうおっしゃいますけれども、継続する場合は、みずから銀行側として審査をするか、あるいは反社会勢力のチェックをみずから行うか、こういうことをしなければならないと思うんです。
 審査の最終的な責任はグループの中核である銀行が負う、そういう自覚で、そういうシステムでやるつもりはあるんでしょうか。
○佐藤参考人 お答えを申し上げたいと思います。二点あったと思います。
 一つは審査の問題でございますけれども、オリコは、グループ会社でございますけれども、持ち分法適用の会社でございまして、100%子会社というわけではございません。したがいまして、オリコ自身が、いわゆる信販会社としてのお客様に対する目きき、審査能力を持っているという状況でございますので、そこに銀行レベルの審査を入れるという考えは今は持っておりません。
 しかしながら、反社ということに関して申し上げれば、これは、私どもの反社データをオリコに使っていただくというところまで踏み込みましたので、反社のチェックという意味においては、銀行レベルと同じ反社のチェックレベルができているというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 責任をオリコの方に押しつけるような、そういうことではいけないと思うんですね。今回の状況を見ますと、やはり銀行の責任のとり方が非常に甘いと私は思いますね。
 みずほ銀行の件では、オリコが代位弁済をしてみずほ銀行の金銭消費貸借契約というのは解消される、こういうこととなっておりますけれども、これで確かに銀行側としてはきれいになるわけですよ。しかし、オリコに債権が移るだけなんですね。オリコに移ったらどうなるか。結局、オリコが自分の責任でそれへ対処しなければならない。
 その際、どういう事態が起こるかといいますと、例えば、預保の整理回収機構、オリコとしてはそれに頼れないわけです。なぜかといいますと、銀行の債権しか扱わないから。銀行の債権だから、それを扱うわけです。そうなりますと、結局、オリコの方に債権を移すということは、問題の解決をかえっておくらせることになる。
 銀行としては、みずからの責任でこれを解決するということをしなければならない。そういうつもりは一切ありませんか。
○佐藤参考人 今先生が御指摘いただいた点は、私も十分認識しているところでございます。オリコの持ち分法適用の時点でも、先生がおっしゃった問題点は議論した経緯が残っております。
 したがいまして、今の段階で申し上げますと、グループ会社の一角であるオリコに対して代位弁済をしてしまえば銀行としてはもう庭先がきれいになっておしまいというふうに考えることは、私は間違っているというふうに考えております。
 したがいまして、私どもとオリコが、弁済した債権のその後の回収を一緒にやっていくという仕組みを、協働の委員会組織を立ち上げまして、これを私ども自身の、グループ全体の問題として、最後の反社の解除のところまでモニタリングをしていくという体制をつくらせていただきまして、銀行としても、私どもの情報ルートを含めて、グループ全体としてオリコに弁済した債権の回収に鋭意当たっていきたい。そのように取り組んでまいる所存でございますので、よろしく御理解のほどお願いしたいと思います。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 これは地銀の方ですけれども、オリコと提携ローンを契約する14行のうち九行が相次いで取引中止に動いているという報道があります。それは事実でしょうか、理由はどういうところにあるのか、地銀協会長に聞きたいと思います。
○谷参考人(一般社団法人全国地方銀行協会会長) お答えいたします。
 地方銀行会員行の中で八行がこのローンを取り扱っているというふうに承知をいたしております。
 その取り扱いにつきましては各銀行で検討されるべきものだというふうに思いますが、事情につきまして私どもの方で調査いたしましたところ、全部ではございませんけれども一部銀行から事情を聞きました。その回答といたしましては、このローンは、反社対応について不十分な点があったので一応取引を中止しておる、今後につきましては全銀協の追加対策等も含めて方向性を検討しておるということでございます。
○佐々木(憲)委員 全銀協の会長に聞きますけれども、銀行業界としては、提携ローンをみずほのように取り扱って、融資対象者の審査を提携先の信販あるいは消費者金融業者に任せている、こういう事例は今でもかなり多くあるのでしょうか。
 提携ローン契約を取り扱う取り扱い方、あるいは提携ローンそのものに対して、全銀協としてはどのような認識をお持ちでありましょうか。
○國部参考人(一般社団法人全国銀行協会会長) お答え申し上げます。
 今回の問題となりました提携ローンにつきましては、銀行とお客様の間に信販会社と加盟店が介在をし、ローン契約の当事者である銀行は、みずからお客様と面談することもなく信販会社の口座に融資金を入金し、またローンの返済につきましても信販会社経由で受領しているという意味で、ある意味で特殊なスキームだと思います。
 この特殊性によりまして、銀行が本来行うべき反社会的勢力のチェックが十分に行われてこなかった面があることは、率直に認めざるを得ないというふうに思います。具体的には、入り口である信販会社におけるチェック体制の強化ということと、銀行サイドでの反社会的勢力のチェック、この両面で不十分な点があったというふうに認識をしてございます。
 今回全銀協として決定をいたします追加対策につきましては、こうした反省を踏まえまして、本スキームの提携ローンに関し、銀行界全体として、反社会的勢力のチェック体制の整備、強化を目指すというものでございます。
 いずれにしろ、銀行界として、しっかりと反社会的勢力との関係遮断を徹底し、信頼が確保されるよう、業界一丸となって追加対策を着実に実行してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 先ほど三井住友としてはこういう提携ローンはやっていないというふうにお聞きしましたけれども、全銀協加盟の銀行の中で全体として何行がこういう形の提携ローンを行っているか、全体の中の比率はどの程度なのか、教えていただきたいと思います。
○國部参考人 全銀協傘下の各金融機関が今回のような提携ローンをどれくらいやっているかということにつきましては、調査をしておりませんし、全体像はわかりません。
 ただ、何行かの金融機関が信販会社とこの種の提携スキーム、提携ローンを行っているというふうには認識をしております。
○佐々木(憲)委員 この提携ローンの根本的な欠陥は、銀行側が直接融資先と面談もせず、直接個別の審査をやらないというところに非常に大きな問題があると思うんですよ。こういう融資のシステムというものは、銀行の責任を非常に曖昧にして取引先に反社勢力が入り込む余地を残す、こういうことが今回の事案で明らかになったと思うんです。
 したがって、この提携ローンについて、銀行協会あるいは銀行業界全体として、根本的な見直しが私は必要だと思います、こういうシステムそのものについて。この点についての検討を行う、そういうことは想定されているんでしょうか、あるいは、もうこれ以上これはしない、こういう立場なんでしょうか。
○國部参考人 お答え申し上げます。
 今回の提携ローンのスキームにつきましては、大変特殊なスキームではありますが、このスキーム自体に問題があるということではなくて、やはり、反社取引に関する、入り口である信販会社によるチェック、そして銀行サイドでのチェック、これが不十分だったというところが問題というふうに認識をしておりますので、ここの問題点について、さまざまな対策をとっていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 最後に、みずほの佐藤頭取にお聞きをしたいと思います。
 10月28日に発表した処分ですけれども、現役、OB、合わせて54人に上る大量処分だということが報道されておりますが、佐藤頭取はわずか半年の無給処分で頭取に留任、前頭取は銀行を辞任するものの親会社のフィナンシャルグループの会長は続投する。これは、私は、今回の事案の重さに比べると、処分としてツートップには極めて甘い、そう思うんです。
 実際にこの10月の処分発表以後も次々と新たな反社勢力への融資が発覚している、こういう状況を考えますと、その責任も含めて、頭取として、辞任をするとか、あるいは何らかの対応をする、そのつもりは一切ありませんか。ここでお聞きしておきたいと思います。
○佐藤参考人 お答え申し上げます。
 今先生がおっしゃられたように、今回の処分について厳しい御意見があることについては、私自身も承知しているところでございます。
 この処分の案につきましては、私ども、第三者委員会の調査、私どもの行内調査を含めまして、その調査結果を踏まえて処分案をつくりまして、それを第三者委員会にも事前に確認をし、また、社外取締役三名と私の四名でつくる指名委員会で審議した結果として御発表申し上げたものでございます。
 しかしながら、そうした厳しい意見があるということは十分承知しておるつもりでございますので、この反社取引の排除ということに関しまして、提携ローンだけではなくて、あるいはみずほ銀行だけではなくて、みずほグループ全体でこの反社の取引の徹底排除に対して全身全霊で当たっていきたいというふうに思ってございますし、また、そういうことを実際に成果を出していくことによって社会的責任を果たしていくということが私の使命ではないかというふうに考えるところでございます。どうぞ御理解のほどお願いしたいと思います。
○佐々木(憲)委員 私としては理解できませんが、時間が参りましたので終わります。

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