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金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入)

2013年05月22日 第183回 通常国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【737】 - 質問

金融商品取引法改正案 参考人質疑で公的資金投入の拡大を批判

 2013年5月22日、財務金融委員会は、前日に引き続いて金融消費取引法等改定案について審議を行い、佐々木憲昭議員が質問に立ちました。
 この日は、参考人として、國部毅・全国銀行協会会長、前哲夫・日本証券業協会会長、岩間陽一郎・日本投資顧問業協会会長が、出席しました。

 全銀協の国部会長は、公的資金を証券・保険会社に投入することについて「安全面の機能強化」と正当化。「新たな破たん処理の枠組みが整備されたと述べました。証券業協会の前会長も「機動的な資金調達が可能」と持ち上げました。

 佐々木議員は、「国民の税金である公的資金を投入する仕組みをつくるもので重大な問題がある」と指摘しました。
 佐々木議員は、金融緩和にもかかわらず、住宅ローンや企業向け貸し出しの金利があがり、景気に悪影響が出ていると強調。
 国部・全銀協会長は、「年金基金が国債を売って株を売っている」と述べ、銀行の行動については答えず、「いずれ適切な水準に落ち着く」と根拠なく述べました。
 株高について、前・証券業協会長は「海外の投資家が株を買っているからだ」と答え、海外投資家を引きいれてつくり出されたものだと認めました。
 佐々木議員は、国内大手銀行の中小企業向け貸し出し比率がリーマンショック以降最低の60.4%だと指摘し、中小企業向け貸し出し支援を強めるよう求めました。
 国部・全銀協会長は「資金需要がない」ことも原因の一つだと述べました。

 また、佐々木議員はインサイダー取引が野村証券など特定企業に集中していることが問題だと指摘。前・証券業協会長は「社員が利益を得ようとして、行き過ぎた情報提供があった」と述べましたが、原因を究明する姿勢は示しませんでした。
 岩間・投資顧問業協会長は「AIJは悪質巧妙に顧客を欺いていた」と述べました。

議事録

○金田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人全国銀行協会会長國部毅君、日本証券業協会会長前哲夫君、一般社団法人日本投資顧問業協会会長岩間陽一郎君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からそれぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のために申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いをいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承を願いたいと思います。
 それでは、まず國部参考人にお願いをいたします。
○國部参考人(一般社団法人全国銀行協会会長) 全国銀行協会の会長を務めさせていただいております、三井住友銀行の國部でございます。
 先生方におかれましては、日ごろより銀行界に対し格別の御指導、御理解を賜り、この場をおかりいたしまして改めて御礼を申し上げます。また、このたびは、金融商品取引法等の一部を改正する法律案について私ども銀行界の意見を述べさせていただく貴重な機会を頂戴いたしまして、重ねて感謝を申し上げます。
 さて、現在審議されております金融商品取引法等の一部を改正する法律案では、金融システムの信頼性及び安定性を高めるために必要となる幅広い措置が講じられております。本日は、その中でも銀行界に特に関係が深い項目について、私どもの考えを申し述べさせていただきます。
 まずは、金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置が整備されることについてであります。
 2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻等に端を発する国際的な金融危機の中で、システム上重要な金融機関の破綻等が、例えばデリバティブ取引損失等の形で金融市場を通じて伝播し、信用収縮等を伴って実体経済に深刻な影響を及ぼすおそれがあることが明らかとなりました。
 これを受けまして、世界の主要国・地域の中央銀行、金融監督当局などで構成される金融安定理事会におきまして、システム上重要な金融機関の秩序ある処理を可能とする枠組みについて検討が行われ、2011年10月には、金融システムの混乱等を回避しつつ、迅速に金融機関の破綻処理を行うための制度のあり方を定めた「実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」、いわゆるキーアトリビューツが策定されました。その後、G20において、各国の破綻処理制度をこのキーアトリビューツと整合的なものとすることが合意され、各国において破綻処理スキームの改革が議論されているものと認識をしております。
 今回の法案も、こうした国際的な動きに対応したものであり、銀行、証券会社、保険会社など業界横断的に広く金融業界全体を対象として、新たな秩序ある処理の枠組みを構築するものと理解をしております。
 近年、金融のグローバル化が進展し、市場等を通じた金融機関同士の相互連関性、いわゆるインターコネクテッドネスが高まっておりますが、このような状況下では、金融機関の破綻が生じた場合、それが瞬く間に連鎖、拡大をしていくことが懸念をされます。こうした背景を考えますと、今回のような手当てが行われることには非常に大きな意義があると考えております。
 次に、銀行等の議決権の取得等の制限、いわゆる5%ルールの見直しが行われることについて意見を述べさせていただきます。
 銀行法では、銀行が本業以外の事業を行うことによって健全性を損なうことがないようにするという他業禁止等の趣旨を徹底するため、銀行等は、その子会社と合算をして、国内の一般事業会社の議決権の5%を超えて取得し、または保有することは原則として禁止をされております。
 今般の法案では、その趣旨を踏まえる形で、現行規制の枠組みを基本的に維持しながらも、地域経済の再活性化や事業再生に資する効果が見込める一定の分野について、銀行等による資本性資金の供給をより柔軟に行い得るよう規制が緩和されるものと認識をしています。
 5%ルールの一部を見直すことにより、銀行等のとり得る資金供給の選択肢がふえることによりまして、地域経済の再活性化や事業再生等に関するお客様の多様なニーズに即した最適なソリューションを御提供できるようになるのではないかと考えています。
 一方で、銀行は、預金者保護のため経営の健全性確保が不可欠でありまして、私どもが本制度を利用して株式を保有する際には、この株式保有に係るリスクを適切に管理していく必要があります。すなわち、今回の5%ルールの見直しによって、銀行が取得する株式の多くは非上場の中堅中小企業のものになると思われます。その場合には、金融審議会でも議論されましたように、株式を処分できないリスク等が増大するおそれがあることから、より一層の高度なリスク管理が求められるということになります。さらには、リスクに見合ったリターンの確保も重要なポイントとなります。
 したがって、こうした点を総合的に検討して、各金融機関がそれぞれの経営判断で取り組むことになりますが、地域経済の活性化、あるいは企業再生に資するという観点から、目的を限定した形で株式を保有していくことは、政策趣旨に沿う意義があると考えております。
 なお、今回、法改正の中には、今申し上げたこと以外にも、インサイダー取引規制や資産運用規制の見直しのほか、外国銀行の業務の代理、媒介に関する規制緩和や、海外MアンドAに係る子会社の業務範囲規制の緩和など、邦銀によるアジアを初めとする海外への業務展開を後押しするための措置も盛り込まれており、銀行界にとっても大変有益なものと受けとめております。
 以上、簡単ではございますが、銀行界の意見を述べさせていただきました法改正案につきましては、いずれも金融業界のセーフティーネットのさらなる整備、そして一層の機能強化等の観点から、大変有意義なものであると考えておりますので、御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 最後に、本日は発言の機会をいただきまして、改めて御礼を申し上げます。(拍手)
○金田委員長 ありがとうございました。
 次に、前参考人にお願いをいたします。
○前参考人(日本証券業協会会長) 日本証券業協会の会長をやっています前でございます。よろしくお願いします。
 諸先生方におかれましては、常日ごろ、証券市場、証券界に対しまして御理解と御支援を賜り、まことにありがとうございます。この場をおかりし、厚く御礼申し上げます。
 今回の金融商品取引法等の一部を改正する法律案について意見を述べます前に、昨年の公募増資に係るインサイダー取引問題やAIJ投資顧問による企業年金消失問題に本協会の会員証券会社の役職員が関与し、発行企業や投資家の方々はもとより、広く国民の信頼を失うような事態となりましたことを、心より深くおわび申し上げます。
 今回の金融商品取引法等の改正案につきましては、これら問題への対応を初め、投資家への情報提供の充実等を図るための投資信託法制の見直しや金融危機に対する国際的な議論を踏まえたものとなっており、最近生じた諸問題に適切に対応していく上で不可欠な内容のものと理解しております。
 本協会といたしましても、この法案が、国会での審議を経て、速やかに成立し、早期に実施されることを望んでいる次第でございます。
 私からは、公募増資インサイダー取引事案等を踏まえた対応、金融機関の秩序ある処理の枠組み及び投資法人の資金調達・資本政策手段の多様化等の三点について、申し述べます。
 まず、公募増資インサイダー取引事案等を踏まえた対応として導入が提案されております、会社関係者が行う情報伝達・取引推奨行為に対する規制については、今回の一連の事案を踏まえますと、必要な措置であると考えております。
 発行会社や証券会社においては、情報提供行為は通常の業務、営業活動を行う上で重要なものであり、こうした規制の導入に当たっては、これらの行為に支障を来すことのないような配慮が必要であると考えておりましたが、今回の法案において、情報伝達や取引推奨の禁止規定の要件として、公表前に取引させることにより利益を得させる目的との主観的要件が設けられていること、及び情報伝達や取引推奨を受けた者により公表前に取引が行われたことが刑事罰及び課徴金を課す要件として明確にされていることは、適切な措置であると考えております。
 二点目は、金融機関の秩序ある処理の枠組みとして導入が提案されております、新たな金融危機対応等の枠組みの問題でございます。
 この枠組みの整備は、G20のカンヌ・サミットや金融安定理事会、FSBにおける国際的な合意を踏まえた上での取り組みであり、深刻な金融システム混乱の回避を目的としていることから、その必要性については十分理解しており、日本としても適切に対応していくべきものと認識しております。
 その金融機関の秩序ある処理において万一損失が生じた場合については、金融業界全体での事後負担が原則とされております。
 我々といたしましては、この枠組みにより、金融システムの混乱が回避され、金融市場全体がメリットを受けることから、その費用については金融業界全体で負担するものと理解しております。したがいまして、万一の場合の具体的な費用負担の算定においては、制度から受ける恩恵、業務の特性等を十分に加味した上で検討する必要があると考えております。
 三点目は、投資法人の資金調達・資本政策手段の多様化等ですが、この措置により、投資法人は、マーケットの状況に応じた機動的な資金調達やより効率的な資本活用が可能となり、J―REIT市場の魅力向上につながるものであると考えております。
 また、投資信託についても、改正案に示されている施策を通じて、投資家の皆様が資産をより安心して有効に活用できることとなるよう期待しております。
 特に、投資信託の運用報告書については、投資家への交付が二段階化されるとともに、グラフや図が活用され、平易かつ簡素な表現で記載されることとなります。
 来年1月からは、個人投資家の自助努力による資産形成を支援するとともに、経済成長に必要な成長資金の供給につなげる観点から、上場株式や株式投資信託の配当金や売買益が非課税となる少額投資非課税制度、NISAが導入されることとなっております。NISAは、投資未経験者を初め比較的投資知識や経験の浅い方々による利用も予想されております。
 そのような状況におきまして、今般の改正により、投資家が投資信託の運用状況等を容易に理解することが可能となり、より適切に投資判断が行えるようになることは、まさに時宜にかなった施策であると考えます。
 最後に、日本証券業協会の取り組みについて申し上げます。
 本協会は、金融商品取引法上の自主規制機関として、投資者の保護や金融資本市場への信頼確保のため、市場関係者みずからが策定した規則によってみずからを律する役割を担っております。
 公募増資に係るインサイダー取引問題に関しましては、一番、証券会社への自主点検要請を行いました。二番、違反証券会社に対する協会処分を行いました。三番、自主規制規則の整備及び行動規範の策定といった対応を行っております。
 自主規制規則につきましては、従前よりインサイダー情報の管理に関する規則を制定しておりますが、今回の問題は、規則の不備というより、証券会社において自主規制規則への対応が適切に行われていなかったことによるものと結論しております。
 このため、本協会としましては、自主規制規則に関するガイドラインを策定し、証券会社が情報管理において留意すべき事項について具体的な例を示しました。また、自主規制規則の改正を行い、インサイダー情報の管理が適正に行われているかについて、日常的なモニタリングを義務づけました。
 投資信託法制の見直しに関連した対応としましては、投資家が保有する投資信託の累積損益、トータルリターンを把握しやすくなるような制度の整備を行うことを予定しております。
 本協会は、自主規制機関として、我が国の金融資本市場に対する信頼を取り戻し、市場のさらなる活性化に向け、今後とも積極的に種々の課題に取り組んでまいる所存であります。
 以上、法案に対する意見並びに我々の取り組みについて申し上げましたが、私ども証券界といたしましても、金融資本市場の信頼性の向上及び活性化に向けて貢献してまいりたいと存じます。引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げ、私からの意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○金田委員長 ありがとうございました。
 次に、岩間参考人にお願いをいたします。
○岩間参考人(一般社団法人日本投資顧問業協会会長) 日本投資顧問業協会会長の岩間でございます。
 本日は、このような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
 さて、今般の金融商品取引法等の一部を改正する法律案におきまして、当協会が関係する箇所は、公募増資インサイダー取引事案等を踏まえた対応と、AIJ事案を踏まえた資産運用規制の見直しでございます。これらについて、当協会の考え方及び対応について御説明申し上げます。
 まず、公募増資インサイダー取引事案等を踏まえた対応の中の、資産運用業者が他人の計算で違反行為を行った場合の課徴金額の引き上げについてでございます。
 公募増資インサイダー取引事案におきましては、顧客の資産を運用する資産運用業者が、公募増資に係るインサイダー情報を主幹事証券会社等から入手し、当該情報に基づく有価証券の売買によって利益を得たとして行政処分を受けております。
 このため、今般の改正案には、資産運用業者の違反行為に対する課徴金額の引き上げが盛り込まれました。
 これにつきましては、資産運用業者がこうした行政処分を受けたことに鑑み、インサイダー取引の抑止、牽制の観点からも、課徴金額の引き上げは妥当であると考えております。
 なお、当協会におきましては、会員会社によるインサイダー取引を防止するため、自主規制ルールでございます内部者取引の未然防止についてのガイドラインを本年2月に改正いたしました。
 主な改正点は、一、会員は、いわゆるインサイダー情報またはそれに該当するおそれのある情報を知り得る可能性のある者に対し、当該情報を提供するよう働きかけをしてはならない。二、会員は、有価証券等の取引に係る発注先である証券会社の評価や選択に当たって、いわゆるインサイダー情報またはそれに該当するおそれのある情報の提供の有無や内容を考慮してはならない。三、会員の役職員は、有価証券等の取引に係る発注先の役職員から、社会通念上妥当な範囲を超えた接待や金銭、物品の供与を受けてはならない。この三点を追加した次第でございます。
 次に、AIJ事案を踏まえた資産運用規制の見直しについてでございます。
 この中で、まず、不正行為に対する罰則の強化が盛り込まれております。すなわち、資産運用会社における運用報告書等の虚偽記載、顧客勧誘の際の虚偽告知、顧客との投資一任契約の締結の偽計に対する罰則が引き上げられることとされておりますが、AIJ事案におきましては、極めて悪質かつ巧妙に厚生年金基金等の顧客を欺いていたという事実がございますことから、こうした罰則の強化は、類似の金融犯罪の抑止、牽制の観点から、必要かつ有効であろうと考えております。
 また、本改正案には、厚生年金基金が特定投資家、いわゆるプロになるための要件を限定することも含まれております。これは、具体的には、プロになれるのは、運用体制がきちんと整備された厚生年金基金に限定しようというものと理解しております。
 先般のAIJ事案を踏まえますと、被害者に多くの総合型厚生年金基金が含まれており、これらの年金基金におかれましては、資産運用等に関する知識経験が必ずしも十分ではなかったことが、これら年金基金が被害者となった原因の一つでもあると考えられます。
 したがいまして、こうした年金基金がプロである特定投資家になるための要件を限定することは、やむを得ないことと考えております。
 なお、当協会におきましては、AIJ事案と類似の事案の再発を防止し、投資者の保護と当業界に対する社会的信頼の回復を図ることを目的としまして、自主規制ルール等の協会規則の見直しを行っております。
 主な内容としましては、「業務運営にあたり留意すべき基準について」の改正を行い、昨年の12月に公布されました金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の改正内容を受けまして、会員が厚生年金基金と投資一任契約を締結する際に遵守すべき事項及び厚生年金基金等の年金投資一任口座にファンドを組み入れることができる要件、これらを明示することといたしました。
 また、本自主規制ルールの改正におきまして、会員の関係外国法人等が外国で設定するファンドを顧客の口座に組み入れる場合には、会員は、顧客の利益及び信頼を損なわないように十分に留意し、組み入れについて事前に顧客の同意を得ること、また、当該関係外国法人等の名称などを事前に顧客に開示すること、組み入れ後には、速やかに、組み入れたファンドの名称、組み入れが顧客の利益に資すると判断した理由などを顧客に開示することを義務づけました。
 最後になりますが、当協会では、投資顧問業務に対する年金基金等の顧客からの信任や社会からの期待に一層応えるために、投資顧問業務を行う上での根幹となる三つの要素について倫理綱領を定め、当協会の会員全てが本倫理綱領を遵守することを宣言し、投資顧問業者の社会的使命を再確認いたしております。
 具体的には、第一として、受託者責任の徹底。すなわち、年金基金等の資産を運用する者として、その受託者としての責任を再認識し、顧客に対する忠実義務及び注意義務を全うすること。そのために、高い職業倫理意識を持って、顧客の利益を最優先し、全ての顧客に公平に対処し、細心の注意を払って投資顧問業務を運営することであります。
 第二として、コンプライアンスの強化。すなわち、コンプライアンスの重要性を再認識した上で、あらゆる法令やルールを誠実に遵守し、また、コンプライアンス体制のより一層の強化を進めること。
 第三として、ガバナンスの確保。すなわち、ただいま申し上げました受託者責任の徹底とコンプライアンスの強化を図るため、意思決定プロセスや内部管理体制など、投資顧問業者としてのガバナンスの確保を図ることでございます。
 以上を周知徹底する努力を協会としても重ねて努力してまいる所存でございます。
 私からの御説明は以上でございます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○金田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
―――――――中略――――――
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、全銀協会長の國部さんにお伺いしたいと思います。
 今回の法改正で、預金保険の制度が、これまでは銀行を対象としておりましたけれども、証券あるいは保険の業界にも対象が広がるということであります。
 仮に、証券業界の特定の企業が破綻処理をするというような場合には、銀行が今まで保険料を払ってつくり上げてきた制度といいますか基金をほかの業界のために使う、こういうシステムになるわけですね。この点について銀行の側としてどのように受けとめておられるか、この点についてお聞きしたいと思います。
○國部参考人 お答え申し上げます。
 今回、銀行、保険、証券、いわゆる金融業態を含めた新たな破綻処理の枠組みというのが整備されたわけですが、ここで、どこかの会社が破綻をした場合の費用というのは、いわゆる今の預金保険機構のものではなくて、事後的に全業態が負担をするものというふうになっております。
 これは、今回の法の趣旨が、そういう市場のリスクが伝播をする、そういったことに伴って金融システム全体が不安定化することを防ぐためのものというふうに理解をしておりますので、金融業界全体で事後的に負担するということについては理解をしておるところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 私どもは、このシステムを支える内容として、財政支援といいますか、公的資金が入るという、その部分が非常に問題があると思っておりますので、それは我々の評価であります。
 次にお聞きしたいのは、今、アベノミクスと言われている中で、金融緩和がかなり進んでいると言われておりますけれども、2005年に三大メガバンクができて以来、中小企業向けの貸出比率が、ことし3月期決算で、三メガで2005年以来最低という状況になっております。なぜこうなったのかということなんです。
 三メガの合計で、国内貸し出しに占める中小企業向け貸し出しの比率が60・4%。これまで最低だったのが、リーマン・ショック直後の2009年3月期の60・8でありました。これを下回っております。それから、昨年3月よりも、中小企業向け貸出残高を見ましても、これは減っております。
 異次元の金融緩和というような中で、なぜ、銀行から先に、とりわけ中小企業に対して資金が流れないのか。その点について御説明をいただきたいと思います。
○國部参考人 お答えを申し上げます。
 まず、私どもの基本的な考え方といたしまして、中小企業のお客様の企業のニーズにきめ細かく対応いたしまして金融仲介機能を果たしていくということは、銀行の本来的な業務であり、社会的使命であるというふうに認識をしておりまして、これは、傘下の金融機関全てそういう認識で積極的に取り組んでおるところでございます。
 その中で、先生御指摘のとおり、中小企業の比率が少しずつ低下をしてきているということでございますが、私ども、一生懸命努力をしておるところでございますが、なかなか資金需要がない面もあり、また、リーマン・ショック以降は、国内の企業の、特に大企業、中堅企業が多いと思いますけれども、資金需要が拡大をしたということもあり、比率は低下をしてきております。
 私ども、個別行の数字で申し上げますと、2013年3月末の中小企業向け貸出残高というのが6年ぶりに前年同月比プラスに転じました。対外的な資料では、中小企業等の中に個人も入っておりまして、マイナスになっておるのでございますけれども、個人を除きますと、中小企業向け貸し出しが6年ぶりにやっとプラスになったということで、何とかこの傾向を続けていきたいというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 次に、金利の問題ですけれども、金融緩和で本来金利が下がるというのが常識なんですが、長期金利の指標であります新しく発行される10年物国債の利回りが、このところ昨年4月下旬以来の高水準と言われておりまして、それに連動して住宅ローン金利が上がる、それから企業向け貸出金利も上がる、こういう状況であります。
 この理由をどのように把握されているのか。日銀が市中から国債を大量に買い上げるということとどういうふうにこれが関連をして、こういう事態を招いているのか、このところを説明していただきたいと思います。
○國部参考人 お答えを申し上げます。
 4月4日に、日銀が政策決定会合で、大胆な金融緩和、ある意味、そのときの市場参加者の想定を大きく上回る大胆な緩和策を発表いたしました。潤沢にマネタリーベースをふやすということで、基本的には金利は下がるわけですが、長期金利が今非常に変動率が高くなって、ボラタイルになっています。
 これは、私が思いますのは、日銀の政策が市場の想定を大きく上回る大変大胆な緩和策であったことから、特に長期金利については、今、落ちつきどころを模索している、探しているというようなマーケットの状況になっているんだと思います。
 実際、例えば、去年の11月14日の十年物日本国債の金利は0・75でございました。それが年初から緩和策を前倒しで織り込んできまして下がってきて、4月4日の発表後は一旦0・3125まで下がりましたが、今、足元は0・8台とかその辺で変動しているということでございまして、まさに落ちつきどころを探しているということだと思います。
 日銀の方もいろいろ市場との対話というのを緊密にやっていただいていまして、機動的な政策を打ち出しておりますので、いずれ適切な水準に収れんしていくものというふうに認識をしております。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 それでは、前参考人にお伺いしたいと思います。
 昨年のインサイダー取引の事案が六件発生しておりまして、課徴金等の処罰が下されております。そのうち、野村証券が四件、JPモルガン一件、大和証券一件、こういうことで、特定の証券会社に集中しているわけでございます。
 これはなぜ、こういうふうに何度も何度も同じような事案が発生するのか。それをどのように見ておられますか。
○前参考人 お答えいたします。
 このインサイダー事件を起こした時期が2010年ごろでございまして、ちょうど、リーマン・ショックの後の、株式市場が非常に停滞している時期であった。そのときに、大型の公募増資ファイナンスが何件か出てきた。その中で、引受証券会社、今先生が述べられた野村証券、大和証券、JPモルガン等々の大手証券が主幹事を務めるなり引き受けの量が非常に多い。引き受けた以上はそれを販売するという中で、買っていただけるところへのサービスとして情報提供を行う。それの一つの中に、ヘッジファンド等々の、今回問題になった先があった。
 それが、行き過ぎた情報の提供といいますか、証券会社の職員そのもの、営業の職員は、インサイダー情報の漏えいに当たるとは思っていなかったという認識のもとで情報提供を行っていた。あるいは、いろいろ、この調査の結果でございますけれども、そういう情報を持ってきたところに注文を出すというようなヘッジファンドもあったということで、できるだけいい情報を提供したいという営業マンがそういう問題を起こした、このように考えておりますので、今回の法律改正で、推奨行為を行った、情報の提供を行った者も、取引が行われれば罰するというような法改正になった、このように認識しております。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 客観的な状況として、今説明があった背景があるというのはわかりますけれども、特定の会社に集中してこういうことが起こるというのは、何か問題があるのではないかと当然思わざるを得なくなるわけですね。
 これ以上ここで、特定の会社がどうしたという話はしにくいだろうと思いますから、やりませんけれども、今までも野村証券は非常に多いんですよ。ですから、どこに問題があるかというのは、証券業界としても、あるいは協会としても、明確にする必要があるというふうに思っております。
 それから、株に関連して、株価が上昇しているということがございますのでお聞きしたいと思うんですが、昨年12月以降、買いに来ている主体はどこにあるのかというと、海外投資家というのが一般に言われておりまして、これは、今、株を押し上げている要因といいますか、買い越している主体というのは、なぜそういう海外の投資家なのか。国内の場合は、特に国内法人、これは売り越しの方が上回っているように思いますが、なぜ海外が買っているのに国内が売っているのか。この関係はどのように説明していただけますでしょうか。
○前参考人 お答えします。
 海外の投資家は、ヘッジファンドが最初、出てきていましたね。それは、短期売買中心の投資家が日本の変化を敏感に嗅ぎつけて、はっきり言えば、民主党から自民党にかわるというところで、安倍政権の公約その他を聞いておって、日本の経済が変わるというのを敏感に察知して、買いがまず入ってきた。それが、実際に安倍政権が誕生して、いろいろな施策が出てくる、日銀の緩和も行われるという形の中で、長期の、ロングの外国人投資家も出始めてきている。それで外国人の買い越しが、先ほどの12月からこの5月の間に8兆円を超えてきているという状況になってきています。これが、買いの主体であり背景であると思います。
 それに対して、では、なぜ日本の投資家は売っているのかというのは、一つ大きく売っておるのは年金基金でございます。
 ここが資産運用の方針を決めておりますね。そうしますと、日本の株式を13%、今は10%強だと思いますが、13%に決めておれば、株価が上がってきますと比率が高くなりますね。そうすると、その分を売却していくということになりますので、主な主体の売りは、一番は年金基金の売りだ、このように理解しております。
 以上でございます。
○金田委員長 時間が参りましたが、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、岩間参考人にお聞きする時間がなくなりましたので、以上で終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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