2013年05月21日 第183回 通常国会 財務金融委員会 【736】 - 質問
金融商品取引法改正案 責任ない者に負担を押しつけるな
2013年5月21日、佐々木憲昭議員は財務金融委員会で、金融商品取引法等改定案を取り上げ、証券会社や保険会社等にまで公的資金投入の仕組みをつくるものだと批判しました。
佐々木議員は改定で、銀行が破たんした場合などにそなえる預金保険制度の対象が、銀行だけでなく保険会社や証券会社にも広げられることについて「業界の中で相互扶助的に負担し補完するべきなのに、それを最終的に税金でみることになる」と指摘。
さらに資金増強や政府補助まで可能としていることをあげ、税金投入の拡大は許されていないと強調しました。
麻生太郎財務大臣は、「費用負担については金融業界全体でセーフティーネットを構築することが制度の基本的考え方だ」とのべながら「金融システムに混乱を生じさせる例外的な場合には、政府補助も可能としている」と税金投入を合理化しました。
佐々木議員は、金融の規制緩和で銀行と証券会社の分離が形骸化するなどバブルが発生し金融危機をまねいたとして、「今こそ投機的な金融市場の規制をやるべきだ。それをやらず公的資金投入の制度をつくるのは本末転倒だ」と批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
この提案されている法案の内容は大きく五つあるということですが、それぞれ別の内容なんですよね。破綻処理は預金保険法の改正でありますし、資本性資金の供給強化というのは銀行法の改正でありますし、インサイダーや資金運用規制などは金商法の改正であります。別々に本来なら出すべきものでありまして、十把一からげでこういう形で出すと。
これは、大臣、何でこんなに一つにしちゃったんですか。
○麻生財務・金融担当大臣 どういう理由で一緒にしたか。皆さん方の審議を促進させるためだと思いますが。
○佐々木(憲)委員 つまり、まともな質問をやらずに、すいすい通そうというような意図があったとしたら、これは非常に重大な問題ですよ。こういう重要なものが五つ入っているものを一本にするのが何か効率がいいかのような、これはちょっと問題だと思います。
何かありますか。
○麻生財務・金融担当大臣 提案理由を説明したときにおられたと思うんですけれども、あのときにきちんと御説明申し上げたと思います。「喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、」と言って、きちんと提案理由のときに説明を申し上げたので、改めて聞かれましたので今のような答弁をさせていただいたのであって、何となく、今のとり方によると、妙にひっかかってこられるなと思いましたけれども、申し上げたとおりであります。
○佐々木(憲)委員 この出し方にひっかかったものですから、そういうふうにお聞きしたんです。
これは、本来なら、きちっと一つ一つ時間をとって質疑をして、内容を吟味した上で、その上で採決をしていくというのが筋だと私は思っております。
まず、金融機関の秩序ある処理の枠組みという柱であります。
これまでの金融機関の危機対応のための仕組みとして預金保険というものがありますが、金融機関が負担する保険料で成り立っております。預金保険の責任準備金の残高は今幾らになっているか、確認をしておきたいと思います。
○細溝政府参考人(金融庁監督局長) 手元に資料がございませんが、約1兆円前後だったと記憶しております。
○佐々木(憲)委員 たしか、1兆円を超えているはずですね。
預金保険の対象となってきたのは、これまでは預金取扱金融機関だったんです。銀行だったわけです。今度の法案では保険会社、証券会社にその対象を広げるということでありますが、そういう理解でよろしいですか。
○島尻内閣府大臣政務官 はい、そのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 預金保険の対象が広がると。つまり、預金者を保護するための金融機関の保険制度が、今度は証券会社の破綻処理、こういうものに使われる、あるいは金融商品取引業者の破綻処理に使われる。
例えば、証券会社の破綻が仮にあった場合に、なぜ銀行とか預金者が負担しなければいけないのか。その理由はどこにあるんでしょうか。
○島尻内閣府大臣政務官 金融機関の秩序ある処理に伴う費用負担については、金融市場、金融業全体でセーフティーネットを構築するという制度の基本的な考え方のもとで、万一損失が生じた場合の負担は金融業界の事後負担というものを原則としているところでございますが、これは現在の金融危機対応措置と同様でございます。
金融機関の具体的な費用負担については、現在の金融危機対応措置における費用負担のあり方を参考にしつつ、今後詳細に検討していくことでございますけれども、制度の基本的考え方を含めて、銀行等からも理解されているものと考えております。
なお、金融機関の秩序ある処理において、銀行預金に係る預金保険料が充当されることは現時点では想定しておらず、銀行の預金者からも理解されるものと考えております。
○佐々木(憲)委員 今回の法案は、預金保険機構による資金調達に政府保証を付すとしておりますが、これはどんな事態を想定しているんでしょうか。
○森本政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えいたします。
金融市場が危機的状況にある中で、預金保険機構が、政府保証によりまして資金調達をし、その措置の対象となっている金融機関に流動性供給や資金援助を行うことによりまして、重要な市場取引等を履行させるということを考えております。こうしたことによりまして、市場を通じた連鎖的な危機の伝播を防ごうとするものでございます。
○佐々木(憲)委員 本来なら、金融機関、銀行業界、それから証券とか保険もそうかもしれませんけれども、そういう業界の中で相互扶助的に負担をしてそういう事態に備えるというのが基本でありますが、その中に、この政府保証ということになっていきますと、最終的には税金で面倒を見るということにつながるわけでありまして、私どもは、この仕掛け自体が非常に問題だと思っております。
それから、流動性供給、資金援助等の措置ということでありますが、これはどういうことを想定していますか。
○森本政府参考人 金融機関が債務超過でない場合につきましては、預金保険機構が流動性を供給いたしまして、重要な市場取引を約定どおり履行させるということでございます。
一方、金融機関が債務超過等である場合は、重要な市場取引等を承継金融機関等に迅速に引き継ぎまして、そこに対しまして資金援助を行うことによりまして、当該債務を履行させる。これによりまして、市場型の金融危機を防ぐということを考えております。
○佐々木(憲)委員 これは、財政負担ということも、その中には、最終的にはあり得るということなんでしょうか。
○森本政府参考人 こうした措置をとりますと、損失が発生する可能性もあるわけでございます。そうした費用負担につきましては、金融業界によります事後負担、これを原則としております。
ただし、例外的に、事後負担の徴求をいたしますと金融機関の財務状況を著しく悪化させまして我が国金融市場その他の金融システムの著しい混乱を生ずるおそれがあるといった場合には、現在の危機対応措置でも同様でございますが、政府補助も可能であるというふうにしておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 これは、これまでも、金融危機以降、我々は、銀行を救済するというような形で税金を投入することになるということで、批判的な態度をとってまいりました。今回のこの措置も、それをさらに拡大するということになっておりまして、非常に内容的に問題だと思っております。
債務超過でない場合、必要に応じ、資金増強も可能だと。これは、要するに、金融機関に経営不安が若干ある、それが金融システム全体に影響を及ぼす可能性がある、つまり、破綻する前の段階でそういうものを見て資金増強を行うというものでありまして、そうすると、最終的な負担が国の財政の方に回ってくる、そういう危険が私はあると思うんですね。しかも、政府補助を行うことが可能になるとなっております。
麻生大臣、この政府補助というのは、これは財政負担、税金投入、こう理解してよろしいでしょうか。そういう場合は、当然、予算計上しなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 基本的には、金融機関の秩序ある処理ということに伴う費用負担につきましては、これは金融業界全体でセーフティーネットを構築するというのが制度の基本的な考え方であります。したがって、現在の金融危機対応措置と同様に、万一損失が生じた場合の負担は、金融業界の事後負担ということが原則ということにいたしております。
ただ、事後負担の徴収等々によって金融機関の状況というのを著しく悪化させ、日本の金融市場その他金融システムに著しい混乱が生じるおそれがあるといった例外的な場合には、現在の金融危機対応措置と同様に、政府補助も可能としていることであって、かつて、これはアイルランド等々で似たような状態が起きて、国の財政状態は極めてよかったにもかかわらず、銀行の破綻によって全銀行が破綻し、国民のいわゆる預金等々全てという状態になって、アイルランドの政府が介入し、アイルランド政府が財政破綻ということに至るちょっと寸前まで行った、御記憶のとおりであります。
○佐々木(憲)委員 これは、予算上はあらかじめ計上するんですか、それとも、そのとき対応するという形になるんでしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 今からあらかじめ、どの銀行がどれだけの破綻を来すであろうということを予想しているわけではございませんので、今のうちから予算を計上しているわけではございません。
○佐々木(憲)委員 このスキーム全体として、私は、銀行だけではなくて、さらに証券会社、保険会社、そういうところにまで最終的には財政的な支援も含む支援措置を決めるものであるというふうに思っておりまして、これは、至れり尽くせりであり、ちょっとやり過ぎだと思っております。
リーマン・ブラザーズから学ぶべきことは、これまでの欧米それから日本、各国で金融緩和が行われて、例えば銀行、証券の分離の原則というものが形骸化する、そういう中であのようなバブルの発生、新しい金融商品の開発等々が行われて、大変な金融危機に陥ったわけであります。
したがって、投機的な金融市場にならないように、どのようにルール化し、規制するかということが大事でありまして、そちらの方は余り見えてこないんです。ところが、それをやらないで、銀行から保険から証券にまで破綻処理したときの公的資金投入のスキームをつくる、これはちょっと本末転倒だというふうに私は思います。
次の柱は、インサイダー取引の規制の問題ですけれども、インサイダー情報の伝達・取引推奨行為に対する規制でありますが、他人にインサイダー情報を漏らして取引させて利益を得させることを規制するものだということですが、今回の法改正で果たして効果があるのかどうか。
処罰の対象となるのは、利益を得させたり損失を回避させる目的をもってインサイダー情報を漏らし、取引の推奨を行うことだということでありますが、そういうことですか。
○森本政府参考人 先生御指摘のような、重要事実の公表前に取引をさせることにより利益を得させる目的で情報伝達・取引推奨を行った場合を規制の対象とすることとしております。
○佐々木(憲)委員 ということは、単にインサイダー情報を伝達する、あるいは取引推奨行為がある、それだけでは処罰の対象にはならない。
つまり、目的を持っているかいないか、これが肝要であって、そういう目的を持っていれば刑事罰や課徴金の賦課の対象になる。しかし、目的は、そういうものを証明はできないんだけれども、あるいは目的を持っていないということがあれば、単なるインサイダー情報の伝達・取引推奨行為があったというだけなら処罰の対象にならない、こういうことですか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
企業は、資金調達でありますとか事業提携等を行います場合に、内部情報を含む情報について意見交換等を行う必要がございます。
したがいまして、結果として、伝えられた情報に基づいてインサイダー取引が行われた場合に、さかのぼって今申しましたような正常な企業活動等に基づいて情報伝達が行われた場合も、これは規制の対象だということになりますと、経済活動を阻害するおそれがございますので、そうした観点から、先生御指摘のような目的要件を設けておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 これはなかなか判断が困難だと思います。
つまり、利益を得させたり損失を回避させるという目的を持ってやっているのかいないのか、情報を流すときに利益を得させようとして情報を流しているのかどうか、それは主観的なことであります。それは至難のわざじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
利益を得させる目的であるか否かにつきましては、行為者自身の供述のほか、関係者の供述、それから伝達、推奨の相手方との関係、あるいは伝達、推奨を行った経緯、状況、取引資金、取引利益の流れなどに基づきまして、総合的に立証していくものと考えております。
○佐々木(憲)委員 それがなかなか難しいんです。
目的を持ってやっているのかいないのかというのは、その人の主観的な問題であって、それをどのように客観的に評価できるか。本人は、いや、そんな目的はありませんよ、通常の意見交換あるいは情報交換でありまして問題ないんだ、こう言ったときに、いや、そうではない、目的があっただろうと。一体どうやってそれが証明できるか。
これは、こういう目的を持っているかいないかということで判断をするということになりますと、ほとんど証明が難しい、すり抜けになる可能性があるというふうに思います。
しかも、その上に、情報伝達・取引推奨が投資判断を促して実際に取引が行われたことを要件とする、こうしているんですね。つまり、インサイダー情報を伝達したり取引を推奨するという行為があっても、実際に取引が行われていなければ処罰の対象にはならない、こういうことですか。
○島尻内閣府大臣政務官 お答え申し上げます。
情報伝達・取引推奨行為に対する規制はインサイダー取引の未然防止を図るものであることを踏まえれば、実際にインサイダー取引に結びついた場合に処罰対象とすることが適当だと考えられます。
また、実際にインサイダー取引に結びつかないような場合にも処罰の対象となり得ることとした場合には、企業の通常の業務、活動に萎縮効果が生じ、本来必要な情報の流通に支障が生じるという指摘も実際にございました。こうしたことから、今般の改正法案では、取引要件を設けることとしたところでございます。
なお、証券会社に対しては、業規制において未公表の法人関係情報を提供した勧誘が禁止をされておりまして、こうした業規制と今般の規制案がお互いに相まって、適切に違反の抑止が図られていくものと考えております。
○佐々木(憲)委員 要するに、企業の活動を萎縮させないというような理由でこういうふうに、私から見ると、これは抜け穴をたくさんつくっていると思わざるを得ないんです。
このワーキング・グループにおける議論では、情報伝達・取引推奨行為自体が一般投資家の市場に対する信頼を害するものであるということで、取引と結びつかない情報伝達等であっても処罰の対象にすべきである、こういう意見も出ていたはずであります。しかし、この意見は採用されずに、主観的要件あるいは取引要件を規制の条件に盛り込んでいるわけですね。私は、これはほとんどすり抜けになってしまうと思ってしまいます。
規制が厳密になると証券会社が必要な情報をやりとりできなくなるというような声もあるということでありますが、しかし、処罰の対象は、インサイダー取引をさせる目的で情報を漏らし、情報に基づいた不正取引が実際に起きた場合に限るわけだから、インサイダー情報を流したとしても、あるいは、この取引、どうですか、ぜひやってくださいよ、本人は情報を持っていてそういうことをやっても、ほとんどこれはひっかかってこないんですよ、こんなことになっちゃったら。だから、これは実にざる法でありまして、こんなことじゃどうしようもない、規制強化でも何でもないと私は思います。
去年12月26日付の読売新聞によると、弁護士の田島優子氏は、「立証のハードルが高く、実効性が乏しい」、こういうふうに指摘をしております。
ヨーロッパでは、EUの市場行為阻害指令を受けて、各国で職務の適切な遂行を行う場合を除き、インサイダー情報を第三者に漏らす行為自体が禁じられているわけであります。また、証券会社等がインサイダー情報に基づいて取引推奨を行うことも禁じられております。アメリカでは、情報伝達者がインサイダー取引の共犯として処罰される可能性がある。そのほか、証券取引委員会の公正開示規制によって、上場会社やその経営者がインサイダー情報を証券会社のアナリストや機関投資家のファンドマネジャーに漏らす行為が禁じられております。
これが欧米の実態ではないかと思いますが、いかがですか。
○島尻内閣府大臣政務官 欧州では、規制上、情報受領者が取引を行ったか否かにかかわらず、情報伝達・取引推奨行為を規制対象としてはおりますが、フランスやドイツにおいては、実務上、情報受領者が取引を行った場合に限り制裁等が行われているものと承知をしております。なお、米国では、情報受領者が取引を行った場合に限り情報伝達行為の規制対象になるものと承知をしております。
○佐々木(憲)委員 日本よりもきついということは今の答弁でも明確でありまして、何で日本だけがこんなに穴だらけにしちゃうのかなと思います。
次に、AIJ事案を踏まえた資産運用規制の見直しについてお聞きします。
AIJ事件というのは、デリバティブ取引等における運用の失敗を隠して、虚偽の基準価額あるいは運用利回りを報告して、順調な運用を行っているんだと装って、顧客である厚生年金基金の被害を拡大したわけであります。
虚偽の報告書を使って順調な運営を装うということができたのはなぜなのか。証券取引等監視委員会、金融庁の監督検査体制、このどの辺に問題があったというふうに思われますか。
○島尻内閣府大臣政務官 監督当局といたしましては、さまざまな情報の収集、分析を行うことにより、投資一任業者の業務の状況を適切に把握するように努めております。また、こうして把握した情報を検査当局に提供するとともに、検査当局において、リスクベースで検査対象先を選定し、検査結果を監督業務に適切に反映させ、必要に応じて、行政処分等の監督上の措置を講ずることとしております。
しかしながら、AIJ事案においては、昨年の行政処分に係る一連の対応まで不正の端緒をつかむことができず、中小零細企業の役職員等の年金資金が毀損したということについては、まことに遺憾でございます。
今後、検査、監督、双方において、限られた人的資源を的確かつ有効に活用しながら、情報収集能力、そして分析能力やリスク感度をより一層高め、再発防止策を徹底してまいりたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 平成17年以降、AIJ投資顧問株式会社に関する情報は、証券取引等監視委員会の情報窓口に四件提供されていたということであります。検査に入ったのは2012年になってから。なぜこの情報が見逃されていたのか。
再発防止策としてとられた今回の措置、これは内閣府ガイドラインもしくは法改正でありますが、この教訓をどのように生かして万全の体制をとろうということになっているのか、その辺をもう少し具体的にお答えいただきたい。
○岳野政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) 検査を担当しております監視委員会事務局より御説明を申し上げます。
証券取引等監視委員会は、金融商品取引業者等の検査を行っておりますが、検査対象先数が多数ある中で、どのように個別業者の検査実施の優先度を判断しておるかと申しますと、業態ですとか規模、あるいは顧客の特性、その時々の市場環境等に応じまして、検査対象業者に関するさまざまな情報を収集、分析いたします。個別業者の市場における位置づけや抱えている問題点等を総合的に勘案して、リスクベースで検査対象先を選定することとしております。
先生から今御指摘のございました、私どもの情報受付窓口に外部から四件の情報が寄せられていたではないかという点についてでございますが、外部から寄せられる情報、私ども、検査、監視のためには多数の情報をいただきたいということで、情報をたくさんいただいております。一つ一つの情報は大変貴重でございまして、そのありがたさに差はないと思っておりますけれども、実際に個別業者の検査実施の優先度を判断する際の重要性、有用性の程度、個々の情報の評価ということになりますと、大きな差があるのが実情でございます。
先ほど先生から、四件の情報を見逃していたのではないかという御指摘がございましたが、決してそういうことはございませんで、私どもとしては、一つ一つの情報を見ながら判断をしていたということでございます。
結果として、検査に入るのが昨年の年初であったではないかという点でございますが、この点については、先ほど申し上げましたような、私どもの検査の取り組みに当たってのいろいろな要素、外部からの情報だけではございませんで、その業態の特性だとか顧客の特性、これは個人投資家なのか年金基金なのか、そういったような問題、あるいは、取引がケイマン籍の海外私募投信というスキームでございまして、こういった金融商品取引のリスクについてどのように見ていたかなどなど、総合的な事情がございます。
私どもとしては、ただいまの先生の御指摘についての再発防止策、監視委員会みずからの再発防止策といたしまして、情報の収集、分析体制の強化が重要でございます。一方的に受け取るだけではなくて、とりに行かなければいけない、そういったことを考えまして、昨年、年金運用に関しましては、年金運用ホットラインというものを開設いたしまして、そこには、任期つきで採用いたしました……
○金田委員長 時間が参りましたので、まとめてください。
○岳野政府参考人 一言。年金運用ホットラインで質の高い情報収集に努力するということが、私どもの現場での再発防止策として行っているところでございます。御理解いただければと存じます。
失礼いたしました。
○佐々木(憲)委員 答弁が長過ぎます。もう時間がオーバーしちゃって、これで質問が終わりと。
したがって、次回に回しますので、以上で終わります。