2013年04月23日 第183回 通常国会 議院運営委員会 【731】 - 発言
「0増5減」区割り法案、衆院可決の与党強行に対して意見表明
2013年4月23日、衆院小選挙区の「0増5減」に伴う区割り改定法案が、衆院本会議で自公両党の賛成多数で可決され、参院に送られました。区割り改定法案は、4月19日に自民・公明両党が倫理選挙特別委員会で、採決を強行したものです。
日本共産党のほか民主、みんな、生活、社民の各党が反対。維新は欠席しました。
佐々木憲昭議員は、本会議に先立つ議院運営委員会で意見表明し、選挙制度はすべての政党にかかわる議会制度の土台だとのべ、与党が法案を一方的に委員会に付託し採決まで強行したことに強く抗議しました。
そのうえで、小選挙区制は比較第1党が4割台の得票で7割〜8割の議席を得るものであり、「民意の議席への公正な反映をゆがめ、比較第1党に虚構の多数を与える根本問題がある」と指摘しました。
また、小選挙区の区割り規定で19年前の導入時から2倍以上の格差を容認していたことをあげ、「投票価値の平等に反する違憲立法であり、出発点から根本的に問題がある制度だ」と強調。「選挙制度の基本に立ち返り、民意を正確に議席に反映する制度に抜本的に改めることだ」と主張しました。
さらに比例定数削減の動きを批判。議員1人当たり人口でみると主要先進国では10万人に1人が標準であり、歴史を振り返ると日本で男子普通選挙が導入されたときでも13万人に1人だったと指摘しました。それが今では27万人に1人だとのべ、「国際的にも歴史的にも日本の議員数は少ないほうであり、定数削減を行う合理的根拠はまったく存在しない」と批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、本日の議事日程第五、小選挙区0増5減法案について意見表明を行います。
0増5減法案は、去る4月16日、議院運営委員会で、野党が反対する中、与党の一方的な採決によって強引に倫選特に付託されました。その後、倫選特において、全野党の反対を押し切って、与党が単独で委員会を開会した上、法案質疑を強行し、質疑終局、採決まで強行したのであります。円満な運営を二重、三重に踏みにじった暴挙であり、その与党の横暴に強く抗議するものであります。
選挙制度は、全ての政党にかかわるものであり、議会制度の土台であります。その改革は、特定の政党だけで強行すべきものではありません。
昨年8月、与党民主党が、各党協議会を一方的に打ち切って、選挙制度法案を衆議院に提出、単独採決を強行したとき、自民党を含む11の野党がこぞって議院運営委員長に申し入れた文書には、「民主主義の根幹ともいえる選挙制度について、与党の多数をもって強行採決することは憲政史上類を見ない暴挙であり、断じて許すことはできない」と指摘していたのであります。
当時の自民党石原幹事長は、戦前戦後を通じ、与党単独で選挙制度を変えたことはない、こんなことを許したら日本の民主主義が破壊されると言いました。この発言は、今でも自民党のホームページに載っているのであります。
与党は、その批判がそのまま自分に向いていることを自覚すべきであります。
現行の小選挙区制は、300の選挙区で、一位になった候補者が当選する仕組みであります。最近の3回の選挙結果を見ると、第一党にわずか4割台の得票率で7割から8割の議席を与え、民意を切り捨てる制度であることは明らかであります。
我々は、19年前にこの制度が提案されたとき、これは選挙制度の基本である民意の議席への公正な反映をゆがめ、比較第一党に虚構の多数を与える根本的問題があるとして、強く反対をいたしました。
当時の小選挙区の区割り規定は、2倍以上の格差を容認していたのであります。我々は、この制度が、投票価値の平等に反する違憲立法であり、出発点から根本的に問題がある制度だと指摘してきたところであります。
さらに重大なのは、0増5減法案を通して小選挙区を維持、固定化した上で、比例定数をさらに削減するという動きがあることであります。
日本の衆議院議員の定数は、国際的に見ても、歴史的に見ても、決して多くありません。議員1人当たりの人口で見ると、連邦制であるアメリカは別として、主要先進国では、おおむね10万人に1人を基準に議員を選んでおります。
日本の歴史においても、1925年、男子普通選挙制度が始まったときには、人口12万8千人に1人でありましたが、現在では、人口26万7千人に1人の議員であります。
したがって、国際的にも歴史的にも、日本の議員数はむしろ少ない方であり、定数削減を行う合理的根拠は全く存在しないことは明らかであります。
今求められている改革は、選挙制度の根本に立ち返り、民意を正確に議席に反映する制度に抜本的に改めることであります。
以上で意見表明といたします。