アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金権・腐敗政治, その他 (選挙制度)

2013年04月05日 第183回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【722】 - 質問

ネット選挙運動法案 ネット以外の選挙運動規制の見直しを

 2013年4月5日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会は、4日に続いて、インターネットを利用した選挙運動を解禁する問題について質疑を行いました。
 質問に立った佐々木憲昭議員は、インターネットを利用した選挙運動だけにとどまらず、ネット以外の選挙運動の規制を改めるよう主張しました。

 佐々木議員は、例としてネット選挙運動解禁で、選挙政策をパソコン等の画面上で表示することは自由になるのに、それを印刷したり、貼りだすことができないなどの矛盾があると指摘。前日の参考人質疑でも戸別訪問もできない日本は「世界の非常識だ」と批判されたことを上げ、見直すよう求めました。
 法案提出者である自民党の逢沢一郎議員は「非常に大事な点を指摘した抱いた」と発言。民主党の田嶋要議員も「検討事項として各党で協議をしていかなければいけない」と述べました。
 また、佐々木議員は、民主・みんな両党案が、企業などに選挙運動での電子メール利用を認めていることについて言及。「(営業目的で収集した顧客のメールアドレスは)目的外利用はできない」との田嶋議員の答弁にふれつつ、営業用メールの本文中に選挙運動の文言を含めることはできるのかとただしました。
 田嶋議員は、「そういうケースは選挙運動用メールを出していることになる」と説明しつつも、「参院選に向け混乱のないようガイドラインをつくっていきたい」と答弁しました。
 佐々木議員は、有料広告に関連し、これまでも国民の税金である政党助成金を使って、テレビや新聞、ネット上など巨額の広告が出されてきたことは大きな問題があると述べ、政党助成金制度は廃止すべきだと主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 前回の質疑で、私は、企業の選挙運動に関して提案者にお聞きをいたしました。その際、企業、団体の選挙運動を禁止すれば八幡製鉄事件の判例に反するという答弁が自民党の側からありました。しかし、私はそれは違うと思っております。
 この判決は、会社の政治的行為の一環としての寄附についてのものでありまして、企業の選挙運動についての判決ではありません。これが第一点。
 しかも、答弁で引用された判決文のすぐ後ろにこう書いてあるんです。国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすかどうか、これが基準である。
 この判決で企業献金を容認したことは、我々とは見解を異にしておりますが、大事な点は、判決が、企業というのは本来国民の選挙権、参政権の行使に直接影響を及ぼしてはならない、こういう立場に立っているという点でございます。これが二点目です。
 その点でいいますと、企業の選挙運動というのは、国民の選挙権、参政権の行使に直接影響を及ぼす行為でありますから、むしろやってはならない部類に入るわけであります。
 したがって、この判決文を引用して企業の選挙運動を容認する論拠とするのは、私は筋違いであるというふうに思っております。判決をよく読んで理解して答弁をしていただきたい。初めにこの点を指摘しておきます。
 では、民主、みんなの党の提案者にお聞きしますが、具体的な内容になりますが、顧客名簿に基づく企業メールについてでございます。
 前回、企業が顧客名簿をもとに選挙運動用のメールを送ることについて、断られたところに何度も送ることはできないが、それ以外であれば送れます、こういう答弁でございました。
 もう少し具体的にお聞きしますけれども、顧客が商品案内をもらいたいということでメールを送って、その会社にアドレスを登録する、その後、商品案内も来る、その際、その名簿を使って、いきなり選挙運動用のメールが送られてくる。こうなりますと、それは目的外使用ということになってまいります。それは、前回、他の議員への答弁で確認をされました。
 では、会社が、顧客名簿に基づいて商品案内をメールで送る、その際に、そのメールの最後の部分に、誰々さんを当選させよう、こういう一文が書かれている。こういう場合は認められるのか、認められないのか、お答えをいただきたいと思います。
○田嶋議員(民主党) 個別具体の事案に即して判断というふうに言うべきなんだと思いますけれども、恐らくそういうケースは選挙運動メールを出しているということになると思いますので、主なところに営業用の言葉が書いてあっても、やはりそこに選挙運動メールを入れれば、それは選挙運動メールということになろうかと思います。
 そういう個別事例を、今後、実際の参議院選挙に向かって混乱のないように、これから私どもみんなでガイドラインというものをしっかりつくっていきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 次に、民主、みんなの提案者にお聞きしますけれども、有料ネット広告についてです。
 私たちは、有料ネット広告で選挙運動を行うということを認めることには反対でございます。
 当初、私も参加している各党協議で、民主、みんなの側からは、選挙運動用の有料ネット広告を候補者、政党に解禁してもよろしい、こういうふうにおっしゃっていたと思うんですが、法案では、選挙運動用については禁止、政治活動用の広告は政党と候補者に認める、こういうふうにされているようであります。
 選挙運動用について禁止をした理由について、お答えいただきたいと思います。
○田嶋議員(民主党) もともと、有料のインターネット広告全般についても、候補者についても解禁するというような考え方も確かにありました。しかし、それは与野党協議の中で、やはり限定的に考えていった方がいいのではないか。それは、やはり際限なくということも考えられますので。
 現時点での私どもの案の唯一の違いというのは、自、公、維新案が、政党等に関して選挙運動をやっているサイトへ直接リンクを張られたバナー広告だけ認めるということに対して、それに加えて、私どもは、候補者に関しても同じことを認めていこうということでございます。
○佐々木(憲)委員 ネットの上で政治活動用の政策広告を行うというのは、現在でも政党が行っているわけでありまして、我々は、政治活動の自由という観点から、これは基本的に保障されるべきものだと、政治活動はですね、思っております。
 民主、みんなの案は、政党だけではなく、候補者にも政治活動用の有料ネット広告を認める、こういう答弁でした。
 昨日の参考人質疑で三浦参考人が指摘しておられたように、今は候補者個人の政策広告は制限されている。参考人が言うには、法定制限以内であれば幾らでも有料広告ができるようになる、2010年参議院比例選挙で187人の立候補者の平均支出額は約1010万円、法定選挙費用が5200万円であるため、それに到達するまでには4千万のお金を投入できるわけであります。
 政治活動用であっても候補者に有料広告を認めるということは、金のかからない選挙ということからいうと、これに反するというふうになると思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。
○田嶋議員(民主党) みんな平等に上限があるという点では、金のかかる選挙というか、お金持ちが有利になるということはないというふうに考えておる次第でございます。
 きのう、三浦先生のその発言を私も聞いておりましたけれども、それは、そもそも枠自体が大き過ぎるんじゃないかなという、そっちの方の議論もあるのかなというふうに聞いておりまして、やはりみんな平等のルールだという点に関しては変わらないものというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 枠が大きいかどうかという議論はあると思いますけれども、現状の枠を変えるという話ではありませんね、現在、提案者の場合は。したがって、現状の選挙費用と間が相当あいているわけですから、これを使ってネット選挙の広告も可能になるということはあるわけでありまして、参考人の御意見というのはなかなかリアルな話だなと私は受けとめております。
 さて、次に、現実に今テレビのCMとかラジオとか新聞一面広告などを出したりして、資金力で政治活動用の政策広告に差があらわれるということは現実にあるわけです。
 例えば、この広告に政党助成金を使う。政党助成金というのはもともと国民の税金であります。政党助成金を使って巨額の広告ができる。これは一体どういうふうに提案者はお考えなのか。両案の提案者それぞれにお答えいただきたいと思います。
○逢沢議員(自民党) どういう意図で佐々木先生が御質問されておられるのかということをいろいろ考えながら今御質問を伺っていたわけでありますが、御承知のように、政党助成法に基づいて政党助成金が、日本にはきちんとした政党法がございません、政党助成法によれば、国会議員現職の五名以上を抱える政党が政党、その対象になる、そういう規定に基づいて支給をされているわけでございます。
 中選挙区から小選挙区に移行する大議論がございました。それに基づいて、やはり政党中心、政党の政策中心、そして選挙もあるいは政治資金も政党本位、政党中心でこれからの議会政治をしっかりとつくっていこう、そういう一つの理念に基づいてこの政党助成法も成立をしたというふうに理解をいたしております。
 政党助成金が現実問題、各政党、共産党を除くそれぞれの政党の相当部分の財政を支えているという現実はそのとおりでございますが、それぞれの政党の、まさに政党の判断、政治判断でどうそれを有効に活用していくか。その中のうちの一つとして、平素の政治活動、その政治活動の中でバナー広告を打つというのも判断の一つに入ってきているということは事実でございます。
 しかし、政治活動というのはあらゆる活動で構成をされているわけでございまして、その全体の政治活動をある意味で財政的に支える、それが政党助成金だ、そのように国民にも理解をいただいているものというふうに我々は承知をいたしております。
○田嶋議員(民主党) 佐々木先生の問題意識は、インターネット選挙運動の解禁とは直接関係はなかろうと思いますが、考え方としては、今、逢沢先生から発言があった内容と全く同じでございます。
○佐々木(憲)委員 我々は全く違う考えがありまして、政党助成金というのは国民の税金でありまして、それは、個人個人の有権者が、自分が支持する政党に献金をする、これは国民の権利であり、自由な活動であります。ただ、それを国の制度で政治献金、大枠でいいますとね、そういうものを強制的に集める、そしてそれが支持しない政党にも使われていく、こういう形は果たしていかがなものか、思想、信条の自由からいってどうなのか、そういう疑問を我々は持っております。
 しかも、それを、政党が国民の税金を山分けして懐に入れながら、さあ、今度は消費税の増税だ、こんな話になってきますと、政治不信がかなり広がっていく、そういう要因にもなるというふうにも思いますので、私たちは、この政党助成金は廃止すべきである、こういうふうに考えております。
 次に、今度はネット選挙の運動の自由化に踏み出すわけですけれども、それ以外の現実の選挙運動、リアルの世界といいますけれども、これはなかなか、さまざまな規制が残ってしまうわけですね。音や紙では細かい規制が残って、例えば、選挙期間中に選挙政策をディスプレー上で表示することは自由でも、印刷して配る、あるいは見せる、張り出す、印刷して張り出す、こんなことはできないわけですね。これは何かおかしいんじゃないか、ちょっと考えますと。
 それから、この前の協議でも、当然そういう、選挙の現在の規制については今後改めていく必要があるのではないか、検討すべきだと。昨日の参考人質疑でも、日本の常識は世界の非常識である、こういう発言もありまして、これは非常に重要な課題だと思うんですが、それぞれ、今後どのように改善していくか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○逢沢議員(自民党) 将来を展望する中で、非常に大事な点を佐々木先生から御指摘をいただいたものというふうに思います。
 インターネットを選挙告示後、公示後に実際に使えるようになる、そのこと自体は我々は画期的なことというふうに思っておりますが、確かに、御指摘のように、その他の選挙運動として、我々が今まで行ってきたさまざまな活動あるいは広報物とのバランス、これはよく考える必要性が恐らく出てくるんだろうというふうに思います。
 例えば、法定ビラは個人演説会場とそれから街頭演説をやっているその声が聞こえる範囲でしか配れないでありますとか、選挙事務所に置いておいてそれを持って帰るのはいい、例えばそういう制約と、ネットを使えるような選挙とのバランス。ではどうなんだろうかな、恐らく国民の皆さんからもそういった指摘が出てこようかというふうに思います。広報物の量でありますとか、質でありますとか、あるいは種類でありますとか。もっとふやせというのかあるいはもっとコンパクトでいいではないか。あるいは法定はがきというのはどうなんでしょうかね。こんな議論も出てくるかもしれません。
 非常に大事な御指摘というふうに私どもも承るところでありまして、全体としてバランスのとれた、国民の、また有権者の皆さんから、よりよい選挙に参加ができる、そう評価できる方向をより一層お互いの努力で目指してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田嶋議員(民主党) 委員御指摘のとおり、おかしなことがたくさんあるかと思いますが、おかしなことを是正していくための大きな部分の第一歩が今回のネット選挙の解禁だろうというふうに思っております。
 そうはいいながらも、今、逢沢先生からあったとおり、まだまだやり残しもたくさんありますので、そこは私どもも検討条項ということで、附則の五条の二項ということで、各党協議をしていかなきゃいけないというふうに思っております。
 一つ、例を挙げますと、インターネットの解禁の中で、私たちは選挙後の御礼、挨拶、それは解禁をしていくということにいたしておりますが、それはいわゆるリアルの世界では解禁はされていない、禁止条項というふうになっております。
 それから、もう一つ言うならば、ファクスを送る選挙運動、これは今できないことになっておるんですが、おかしいという声もたくさんいただいてございまして、やはりそこも今後考えていかなきゃいけないというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる