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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (消費税, 社会保障・税一体改革)

2012年11月15日 第181回 臨時国会 本会議 【706】 - 討論

赤字国債発行自由化法案「憲法・財政法に違反」「国会の監視機能奪う」

 2012年11月15日、2015年度まで赤字国債を自動的に発行できる公債特例法案が、衆院本会議で、民主、自民、公明など賛成多数で可決され、参院でも財政金融委員会で可決されました。衆院では日本共産党、生活、みんな、社民党は反対しました。

 14日の財務金融委員会に引き続いて、反対討論に立った佐々木憲昭議員は、消費税増税を前提とし、社会保障の連続改悪を進める予算を支えるために多額の赤字国債を発行することは認められないと主張しました。
 憲法が定める国会の議決(83条)、予算単年度主義(86条)や赤字国債の発行を禁じた財政法第4条に反していると指摘。赤字国債をいくらでも自動的に発行でき、国会のチェック機能を奪うことになり「議会制民主主義の重大なじゅうりんだ」と批判しました。

 自民、公明両党は「国会のチェックを受けることなく素通りすることは財政規律を緩める懸念がある」(公明・竹内譲氏)などとのべながら賛成し、無責任な姿勢を示しました。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、公債特例法案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 野田内閣は、さきの通常国会で廃案となったものと全く同じ内容の法案を提出したのでありますが、その後、民自公三党の合意によって、重大な修正が加えられました。
 公債特例法案は、予算と一体のものであります。
 野田内閣による今年度予算は、消費税増税を前提としており、さらに、年金の支給額の削減、子ども手当の削減など、社会保障の連続改悪を進めるものとなっております。
 これは、国民の暮らしも、経済も財政も破壊する道に踏み出すものであり、このような予算には賛成できませんし、この予算を支えるために多額の赤字国債を発行することは、到底認めるわけにはいきません。
 議員立法による修正部分について言えば、民自公三党で確認書が交わされ、議員立法として昨日提案されたばかりであります。しかも、提案したその日に、財務金融委員会で質疑を行い、質疑終局、採決を行ったのであります。余りにも乱暴であり、委員会における充実した審議を否定するこんなやり方は、到底受け入れられる話ではありません。厳しく抗議するものであります。
 やり方も乱暴ですが、修正内容にも重大な問題が含まれています。
 修正案では、2012年度から2015年度までの4年間、特例公債の発行を自動的に認める内容となっております。
 憲法83条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定めております。どこから財力を調達するかも含め、主権者である国民を代表する国会の議決に基づくものとしているのであります。
 憲法86条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と、予算の単年度主義を規定しております。
 その上で、財政法第四条は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」としているのであります。公債や借入金は、財政法では認めていないのであります。これは、過去の戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政と国民生活を破綻させた、痛苦の経験があったからであります。
 財政法第四条で辛うじて認めているのは、公共事業等のための公債発行と借入金だけであります。それも、返済計画を提出するなどの条件つきなのであります。
 かつて、大平正芳大蔵大臣は、1975年12月、衆議院大蔵委員会で、赤字国債発行について、こう述べたことがあります。
 財政法は、公債の発行は四条国債以外認めていないわけでございます、特例国債の発行が習い性となっては困るわけでございますので、異例の措置であればその年度限り、その特定の目的のためにこれだけのものをお願いするというように限定しなければならぬと。
 公債特例法案は、閣法として出し、その都度国会の承認を得るというのが原則であり、単年度に限定したのは、財政規律を保つための最低限の措置だったのであります。
 一体、民自公三党は、この重みをどのように受けとめているのでしょうか。公債特例法案を政局の駆け引きの道具にし、そのあげく、もう邪魔だからという理由でその限定を外してしまうのは、余りにも御都合主義ではありませんか。
 もしも4年にわたって特例公債の発行を認めれば、財政規律はどうなるのか。2013年度、14年度、15年度の予算は、まだ、全く影も形もないではありませんか。どのような内容の予算が組まれるかわからないのに、赤字公債の発行だけを先に認めてしまう。まさに、赤字国債発行自由化法案ではありませんか。
 中期財政フレームで歯どめをかけるとか公債の発行額の抑制に努めるという努力規定を入れても、全く歯どめにはなりません。フレームは、単なる枠組みであり、入れ物であります。
 予算編成の内容はそのときの政権の判断で決められますから、赤字国債は、予算の組み方によっては、幾らでも自動的に発行できるのであります。
 しかも、国会のチェック機能を今後3年にわたって奪うことになるのであります。議会制民主主義の重大なじゅうりんであります。
 自民党の国土強靱化計画によれば、10年で200兆の大規模投資を行うとしております。その上、最初の3年間を集中期間とし、15兆円を追加投資すると書かれております。つまり、3年間の投資は毎年25兆円となり、法案の骨子には、日本再生債を創設すると書かれております。これは、赤字国債の増発ではありませんか。
 総選挙後に仮に自民党政権ができると仮定すると、2013年度から2015年度までの3年間は、どんな大規模な予算を組んでも自由に赤字国債を発行できることとなるのであります。これは、消費税増税前に際限のない無駄遣いに道を開くことになり、財政破綻の危険性をますます高めることになるのであります。
 なお、民自公の三党合意に基づいて行われたさきの内閣修正は、本年度分の基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げるための財源を、当初案の交付国債から年金特例国債に変えるというものであります。
 そのような修正を加えても、償還財源に消費税増税分を充てることに何ら変わりはありませんので、賛成できません。
 以上で反対討論といたします。(拍手)

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