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金融(銀行・保険・証券) (消費税, 中小企業融資, 社会保障・税一体改革)

2012年03月21日 第180回 通常国会 財務金融委員会 【666】 - 質問

企業再生支援機構のあり方ただす 99%が大企業

 2012年3月21日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、企業再生支援機構のあり方をただしました。

 返済猶予など貸し付け条件の変更を金融機関に課す中小企業金融円滑化法に関して、細溝清史金融庁監督局長は、申請229万件のうち約9割が支援対象となり、おおむね30万〜40万社に適用されたと報告しました。
 佐々木議員は、中小企業金融円滑化法延長が今回で最後という自見庄三郎金融担当大臣に対し、今後の経済状況を見て判断すべきだと批判しました。
 佐々木議員は「条件変更を受けた約40万社の中小企業が望めば、必ず機構の支援を受けられるのか」と質問。
 古川元久経済財政政策担当大臣は「地域経済の再建に資する産業」が機構の支援対象だと述べ、その他は民間銀行が支援すると答えました。
 佐々木議員は、中小企業金融円滑化法と企業再生支援機構が「車の両輪」だとする政府の説明と矛盾すると批判。これまで機構の支援対象になったのは22件にとどまり、融資額では大企業が99.8%を占めており、「利用しているのは大企業だ。中小零細企業は対象にならない」と指摘しました。
 古川大臣は、機構の支援業務で損失が出た場合、出資額の範囲で国と金融機関が負担し、それを超えれば国が負担すると答弁。
 佐々木議員は「金融機関などが負うべきリスクを国民の税金で肩代わりするものだ」と批判し、支援機構存続に反対しました。

 この日の財務金融委員会で、中小企業金融円滑化法と銀行等株式等の保有制限法の改正案、企業再生支援機構法の修正案が可決しました。
 採決に先立ち、佐々木議員が討論を行いました

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、中小企業等金融円滑化法についてお聞きをしたいと思います。
 この法律で、貸し付け条件の変更等が実施をされておりますが、その実態についてお聞きをしたいと思います。変更等が行われた件数、それから会社数をお答えいただきたい。
○細溝政府参考人(金融庁監督局長) お答え申し上げます。
 中小企業金融円滑化法の施行以降、金融機関が、中小企業者に対して、これまで約229万件の条件変更を行っております。これは、申し込みに占める実行の割合は、9割を超える水準となっております。
 私どもは、一債務者が複数の借り入れを行っている実態というものを踏まえて、件数ベースで把握しておりますが、そういう関係上、条件変更した社数については、確とした数字は把握しておりません。ただ、民間の信用調査機関のデータなどから推計いたしますと、おおむね30万から40万社程度ではないかと考えております。
○佐々木(憲)委員 229万件で、30万から40万社が対象であったと。
 私は、中小企業への支援として、これは一定の効果があったと考えております。これは引き続き効果が上がるように期待をしたいと思っております。
 先ほども若干議論がありましたが、今後の経済情勢がどうなるか、これは1年後どうなるかわかりません。今回の延長で打ちどめなどということを今の時点で決めるというのは早計だろうと思いますが、自見大臣、いかがですか。
○自見金融担当大臣 佐々木先生御存じのように、経済は生き物でございます。しかしながら、中小企業金融円滑化法案については、金融機関による円滑化への対応は基本的に定着してきたところもございますし、また、同時に、貸し付け条件の再変更等が、リ・リスケジュールと申しますか、これが増加しているなどの問題点を指摘する声もございまして、こういったことを考え、今さっきも答弁申し上げましたけれども、民間の金融機関というのは、基本的に、人様からお預かりしたお金に一定の利子をつけてお返しするというのが基本でございますから、そういった意味で、いわば金融規律だとかモラルハザードだとか、そういったことも非常に私は大事なことだというふうに思っております。
 このような点に鑑み、しかし、同時に、中小企業も、これは今さっきも申し上げましたように、2800万人がここで職を得ているわけでございますから、中小企業者等の経営改善支援を含む総合的な出口戦略を講じるとともに、事業再生等の支援に軸足を円滑に移していくソフトランディング、そういったことを図る必要があるということでございまして、今回に限り1年間再延長するということにさせていただいたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 経済は生き物と言いながら、1年に限るなどということを今の時点で決めるというのは無理があるわけで、ですから、この実施状況を踏まえて、延長するかどうかについては1年後の状況を見て検討するというのが当たり前のことだと私は思います。
 さて、そこで、企業再生支援機構法改正案についてですけれども、この円滑化法と裏腹の関係にある、表裏の関係にあると説明されてまいりました。
 この法案の概要という説明を読みますと、中小企業金融円滑化法の延長に伴い、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮を後押しするため、同法の延長期間に合わせて機構の支援決定期限を延長する、こういうふうに書かれているわけです。これは間違いありませんね、古川大臣。
○古川経済財政政策担当大臣 メーンは金融担当大臣がお答えになることかと思いますが、議員御指摘のとおり、企業再生支援機構は、円滑化法により条件変更を行っている間、対象となる中小企業の抜本的な再生支援を行うに際して重要なツールであって、円滑化法と車の両輪をなす、表裏の関係にあるものというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 車の両輪であると。
 そこで、この円滑化法で条件変更の対象となった中小企業が望んだ場合には、必ず企業再生支援機構が相談に乗って支援をする、こういう理解でよろしいですね。
○古川経済財政政策担当大臣 相談には、どういう企業であっても乗ることになろうかと思います。
 ただ、企業再生支援機構というのは、これは地域経済の再建を図り、あわせて、これにより地域の信用秩序の基盤強化にも資することを目的として、それに資するような事業の再生を支援していくということになっております。
 したがいまして、中小企業金融円滑化法の対象事業者につきましては、基本的には金融機関がコンサルティング機能を発揮して事業再生支援を行っていくことになりますが、その際、債権者間調整が困難な先などを中心にして、その困難性に応じて、企業再生支援機構であるとか、あるいは中小企業再生支援協議会といった外部専門機関を活用できるよう、おのおのの機能強化を検討しているところであります。
 その中で、では、機構はどういう役割を果たすかということでございますが、機構は、出資して、ハンズオンで短期再生を図る機能を生かしたテーラーメードの支援を行う組織であります。そうしたことから、中小企業再生支援協議会その他の組織と役割分担、連携をしっかりして、地域経済の再建に資する中堅中小企業の再生、特に各都道府県にまたがる案件、メガバンクが絡む案件、また医療、交通等のインフラ産業など地域経済の再建に資する産業の再生に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 今、いろいろな長い説明がありましたが、要するに、この円滑化法の対象となった中小企業については、基本的には金融機関に任せますよ、この再生機構に対応する対象というのは、一定の限定つきの、地域経済の再建等々、そういう限定つきのものですから違うんです、今の説明はそういうことですね。これはおかしいんじゃないですか。何が裏腹ですか。全然違うんじゃないですか。
 機構は、昨年10月に、一度、支援申し込みの受け付けを終了したんです。2014年10月に業務を完了する、こういう予定だった。ところが、この中小企業金融円滑化法を1年延長するということを受けて、それに伴って、金融機関のリスケを受けた中小企業を再生する手段の一つとして活用する、そういう理由で企業再生支援機構の受け付け再開を決定して、この改正案を提出したんですよ。
 ということは、円滑化法との関係でいいますと、それに便乗してといいますか、便乗するんだけれども、説明は、いや、それは中小企業の再生なんだと言いながら、どうもやっていることは違う。具体的な実績を聞いてみますと22件しかないということですから、大体、中小零細企業は対象にならない。
 具体的に聞きますけれども、融資額、出資額のうち大企業が占める比率は幾らでしょうか。中小企業が利用したのは何件で、比率は幾らですか。
○神田政府参考人(内閣府大臣官房審議官) お答えします。
 まず、出資についてでございますけれども、全体で12件出資いたしておりますが、そのうち大企業の案件が3件でございます。全体では出資決定額が3691億でございます。その中で、3500億円のJALを含めまして3643億円の決定額でございますので、率としますと、額では98・7%ということでございます。件数でいいますと、12分の九がその他の事業者ということで、48億の出資ということになってございます。
 それから、融資についてでございますが、融資枠につきましては、全体で、支援決定段階の融資枠としては3631億でございます。この中には、3550億のJALを含めまして、3624億円の大企業の融資枠がございます。ただ、JALにつきましては、枠は3550億設定いたしましたが、実際に使われましたのは800億円ということでございます。それ以外の七件のうちの五件はその他の事業者ということで、融資枠ベースですと7億ということでございます。
 以上でございます。(佐々木(憲)委員「パーセントは」と呼ぶ)パーセントは、大企業分でいいますと、融資枠については99・8%ということでございます。
○佐々木(憲)委員 結局、中小企業のためとか再生が必要だといいながら、実際にやっているのは、出資額は大企業が98・7%ですよ。それから、融資額についていいますと99・8%ですよ。大企業がごっそりとこれを利用している。
 先ほども若干ありましたが、中小企業というのは、リスケを受けた中小企業の数は30万社から40万社ある中で、この支援機構の対象になったのはほとんどありませんね。こういうやり方です。しかも、ほとんどが日本航空への支援が中心であります。こんなやり方を我々は到底容認できない。
 原則3年以内で支援を完了し、その後、機構が業務を完了するということになりますけれども、仮に損失が出た場合、これは誰が負担するんですか。
○古川経済財政政策担当大臣 お答えいたします。
 企業再生支援機構が支援事業者に対する出融資等を回収できず解散時に欠損が生じた場合には、機構の出資金が毀損し、国と金融機関が出資額に応じて負担することとなります。
 さらに、債務超過となり資本金の全額を超える損失が生じた場合には、政府は、債務を完済するために要する費用を補助することができるとされております。
○佐々木(憲)委員 結局、国民にそのツケが回るわけですよ、財政がそれの受け皿になるということになりますからね。これは本当に、私たちはこういうやり方には到底賛成するわけにはいかない。
 あと若干時間がありますので、自見大臣にお聞きしたいと思うんです。
 「日曜討論」というのがNHKでありまして、国民新党の亀井政調会長は、こういう発言をされているんです。民主党は、マニフェストで消費税を上げないと約束しているのに、うそをついた、国民新党との約束も破る、モラルの問題だ、こう非常に厳しく批判をしているんですね。
 亀井静香代表も、首相との会談の後、この問題について、党として署名には応じられないという考えを示しております。そのとき、こう言われているんです。民主党は、連立政権をつくるとき、消費税は上げないと合意した、国民や連立相手との約束を破る党は地獄に落ちる、こういう激しい発言をしていますけれども、自見大臣、この発言をどのように受けとめていますか。
○自見金融担当大臣 亀井静香党首は、30年以上の国会議員のキャリアを有しておりまして、与党自民党の政調会長、あるいは閣僚を何度もいたしておりました。私と性格が違いまして、結構言葉も激しいのでございますが、なかなか風雪に耐えた与党の政治家だというふうに私は尊敬いたしております。
 いろいろ私が一々、党首はどう言った、こう言ったということについては、私は新聞、テレビで聞くことはございますが、いずれにいたしましても、これは今さっき公明党さんにもお答えをいたしましたけれども、この公約、こういう消費税の話は、私は政調会長でございましたから、まさにこの公約をつくったときの責任者でございますが、後から鳩山総理大臣がたしか国会で言われたと思いますが、もし政権交代をすれば、その間じゅう消費税を上げることはないんだけれども、論じることは自由だということを何度も鳩山総理も予算委員会でも言っておられましたし、我々も、論じることを禁止するということは、そこまでは、国会でございますから、やはり自由な論議があっていいというふうに思うわけでございます。
 また、いろいろ状況も変化いたしまして、先生御存じのように、ギリシャを中心としたいわゆるソブリンリスク、財政規律ということが非常に大きな問題に世界的になっておりますし、そういったことも時代の変化としてあるのかな、そういうふうに思うわけでございますから、やはり、論じることは公約違反だというふうに私は政治家としては決して思っておりません。
○佐々木(憲)委員 今は論じている段階は過ぎているんです。もう既に大綱が決定され、自見大臣はそれを署名されましたね。3月中に法案化されるわけです。
 亀井代表は、党として署名には応じられない、こういうふうに発言しているんです、党としてと。自見大臣はこの党の方針で行動するのかどうか、確認をしたいと思います。
○自見国務大臣 党首がいろいろ発言しておられることは仄聞いたしておりますが、まだ我が党としては、きちっと議員総会等々を開いて話を決めたということは私はないというふうに記憶いたしております。
 いずれにいたしましても、まだ仮定の問題でございますから、大変重たい課題であることは先生もうおわかりだと思いますけれども、その具体化に当たっては、今後、大綱に寄せられた民意等も踏まえて、さらに多角的、多面的な、各政党の中でも賛成、反対があるようでございますから、そういったことで議論を尽くしていく必要があるというふうに考えておりまして、今、大綱に賛成したから法律はどうするのか、態度いかに、こういう御質問だと思いますけれども、今の時点では、お答えすることは政党人として適当でないというふうに私は思っております。
○佐々木(憲)委員 奇妙な答弁ですね。党として署名しないと言っているのに、政党人としては従えないような話、何かよくわかりませんね。
 私は、最終的な態度が近々決められるんだろうと思いますけれども、署名をしたらマニフェスト違反になるんですよ。国民新党としては公約違反なんです。国民に対する裏切り行為になるんです、署名をすれば。署名を拒否したら、これは内閣にとどまることはできないわけですね。そういうどっちかの選択しかないということを申し上げておきます。
 以上で質問を終わります。

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