財政(予算・公共事業), 金融(銀行・保険・証券) (政府系金融機関, 大型公共事業・再開発, 国有財産)
2007年05月09日 第166回 通常国会 財務金融委員会 【393】 - 質問
政投銀への国有地格安払い下げを追及
2007年5月9日、財務金融委員会が開かれ、佐々木憲昭議員は、8日に引き続き政策投資銀行法案について質問しました。
佐々木議員が取り上げた問題は、日本政策投資銀行(=政投銀)が完全民営化の前に、会計法上の優遇待遇を用いて安価に国有地を取得しようとしていることです。
問題の国有地は、政投銀の本店に隣接する東京駅前大手町の土地約860平米。現在は、駐車場として賃貸契約で政投銀が利用しています。
財政法上、国有地の売却は一般競争入札により適正な価格で行わなければならないとされています。
ただし、会計法および予算決算及び会計令で、地方自治体や日本政策投資銀行などに対しては、公共的利用を支援する目的から随意契約で優先的に売却できることとなっています。
政投銀は、現在国会で審議されている株式会社日本政策投資銀行法で、将来、完全民営化されることが明記されています。
この大手町の土地一体の再開発は、内閣の都市再生本部が都市再生プロジェクトとして認定しているものです。
佐々木議員は、再開発で地価が上がるのではないかと指摘しました。専門家がこの地域は年3割から4割地価が上昇していると評価しているからです。
その国有地を、政投銀が安価に民営化前に駆け込み取得しようとしています。
尾身幸次財務大臣は、売却するとしても不動産鑑定士の評価を参考とし時価で売却するとの答弁を繰り返すだけで、今後の地価の上昇については答弁を拒否しました。
大手町再開発の母体となっている「大手町まちづくり推進会議」に、民間企業とともに政投銀も当初から地権者として参加しています。
地価の上昇を十分に知りながら、国民の財産を不当に安く払い下げてもらおうとしていることは明らかです。
この事業の実施主体である「大手町開発」の内容が、匿名となっておりきわめて不透明です。
佐々木議員は、参加企業と出資額について委員会に資料を提出するよう求め、理事会で協議することとなりました。
また、佐々木議員は、政投銀(前身の日本開発銀行及び北海道東北開発公庫)が、苫小牧東部開発、むつ小川原開発、臨海副都心開発などの大型開発に投融資してきた責任を追及。
むつ小川原開発、苫小牧東部開発につぎ込んだ資金のうち償却した金額は、合わせると貸し付けで1309億円、出資では合わせて35億円、合わせると1345億円を償却しています。
佐々木議員は、「国民の財産をそれだけ毀損した、その責任は一体どこにあるのか」と追求。
尾身財務大臣は、当時の全国総合開発計画で、何十年にもわたり、推進、追求してきたプロジェクトであり、その地域における企業の立地が計画どおり進まなかったと結果になったことは残念と述べ、「どこの責任というよりも、国全体としてそういう方向を一時大いに推進したわけで、そういう方向のやり方というのが現在の目から見るとやはり問題があったなと言わざるを得ない」と答弁しました。
佐々木議員は、当時の高度成長の延長線上で、土地神話という幻想の中で、極めて巨大な開発に突入していった政治的な責任、政府の責任が極めて大きいと批判しました。
この質疑の中で、政策投資銀行の小村総裁は、この大手町開発に政投銀は出資していないと否定しました。しかし、これは事実と全く違うものでした。
22日の質疑の冒頭、小村総裁は訂正と謝罪の答弁を行いました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
昨日に引き続きまして、質問をさせていただきたいと思います。
冒頭ですけれども、総裁は先ほど、政治との関係はない、あるいは採算の合わないものはやらない、このようにおっしゃいました。
そこで、お尋ねをしたいんですが、日本政策投資銀行、これは前身の日本開発銀行及び北海道東北開発公庫の時代から、苫小牧東部開発、むつ小川原開発、臨海副都心開発などの大型開発、これに投融資をされてきましたね。大手銀行などと共同で、自治体を巻き込んで、こういうプロジェクトを推進してきたわけであります。しかし、その多くが失敗をしてきたんじゃありませんか。
これまで政投銀として、むつ小川原開発、苫小牧東部開発、ここにつぎ込んだ資金のうち償却した金額は幾らになりますか。
○多賀政府参考人(日本政策投資銀行理事) お答えいたします。
まず、苫小牧東部開発でございますが、貸付金償却額は647億円、出資金償却額は15億円、それからむつ小川原開発でございますけれども、貸付金償却額は662億円、出資金償却額は20億円でございます。
○佐々木(憲)委員 今紹介されましたように、合わせると貸し付けで1309億円の償却であります。これは、要するに財産が毀損しているわけですね。それから、出資では合わせて35億円。合わせると1345億円を償却している、こういうことになりますね。これは極めて莫大な金額であります。
国民の財産をそれだけ毀損した、その責任は一体どこにあるのか。総裁と財務大臣にお聞きしたいと思います。
○小村政府参考人(日本政策投資銀行総裁) かつて北東公庫時代に、御指摘の苫東、むつ小川原という大きなプロジェクトについて北東公庫が関与いたしました。その際、政府も地方公共団体も財界も、やはり土地神話を信じてこうした大プロジェクトを展開した、その中に北東公庫も一員として加わっていたということであります。日本国全体として土地神話が生きていたときの大変不幸な歴史であったと思います。
こうしたものについて、私ども新政策投資銀行が発足するときに、やはりきちっとした形で解決をして、それで新しい銀行に引き継いでもらいたいということで、政府において改革がなされました。その改革の結果を受けて、私どもが今それを承継しているということでございます。
○尾身財務大臣 むつ小川原開発、苫小牧東部開発は、昭和40年代の半ばの新全国総合開発計画から始まりまして、その後、累次の全国総合開発計画におきまして、むつ小川原地域、苫小牧東部地域が大規模工業の適地として位置づけられてきたことを受けて実施されたプロジェクトでございます。
このプロジェクトは、この地域の開発のため、工業基地用の用地取得、造成、分譲から、港湾、道路、工業用水、都市基盤といった関連基盤の整備まで、広範囲な事業を展開いたしました。北海道東北開発公庫は、同プロジェクトの中核となる二つの開発会社に対しまして、その事業開始とともに出融資による支援を開始しており、ピーク時の融資残高は合計1930億円でございました。
その後、二度にわたる石油危機を初め、円高等による産業構造調整の進展などが生じる中で、経済産業構造の急速な変化等により、結果的に企業立地が進展せず、土地分譲等が思いどおりに進まなかったこと、大規模工業用地の建設という性格上、出融資規模が極めて大きくならざるを得なかったことなどの理由により、この両方のプロジェクトが北海道東北開発公庫全体の業務運営に大きな影響を及ぼすこととなったものと認識をしております。
御指摘の償却損という点につきましては、北海道東北開発公庫については、平成11年9月期決算において苫東開発株式会社に対しまして、日本政策投資銀行につきましては、平成13年の3月期決算においてむつ小川原開発株式会社に対して、貸付金償却及び出資金償却を実施しているところでございます。
これは、平成10年12月25日閣議了解の「「苫小牧東部開発」及び「むつ小川原開発」の両プロジェクトの取扱いについて」及び平成11年12月24日閣議了解の「「むつ小川原開発」プロジェクトの取扱いについて」において、開発会社を清算し、借入金に依存しない形での土地の一体的確保、造成、分譲を行う新会社を設立するとの抜本的処理策を踏まえまして、開発会社に対する北海道東北開発公庫及び日本政策投資銀行の債権の取り扱いについては、債権者平等の原則に基づき償却を行うこととされたことを受けたものであると承知をしております。
今後は、閣議了解にのっとった根本的な処理策に基づいて設立された新会社のもとで、関係者による支援体制を維持して計画を推進していくことが重要であると考えております。
○佐々木(憲)委員 長い事実経過と細かな数字の紹介がありましたが、質問には答えておりません。どこに責任があったかと聞いているんですよ。
○尾身財務大臣 当時の全国総合開発計画におきまして、何十年にもわたりまして推進、追求してきたプロジェクトでございまして、当時の計画どおり、全国のいわゆる総合開発が全体として大変に意欲のあるものであったと思いますけれども、そこの地域における企業の立地が予想どおり、計画どおり進まなかったという点で、基本的には、こういう結果になったことはまことに残念であります。
これは、どこの責任というよりも、国全体としてそういう方向を一時大いに推進したわけでございますので、そういう方向のやり方というのが現在の目から見るとやはり問題があったなと言わざるを得ないところでございます。
○佐々木(憲)委員 当時の高度成長の延長線上で、ますます日本経済が大規模な開発を必要とするだろうという想定のもとに、またかつ、土地がどんどん上がっていくという、土地神話というお話もありましたが、そういう幻想の中で、極めて巨大な開発に突入していったというその政治的な責任、政府の責任が極めて大きいと思います。やり方に問題があったということは、半分認めたようなものですけれども。
しかし、根本的に、この開発のあり方、今の時点でもそれの反省をきちっとしない限りは、また同じことを繰り返すということにならざるを得ないと思いますので、一言申し上げておきたいと思います。
それから次に、総裁にお聞きしますけれども、この二つの事業、苫東と新むつ、ここに新たに出資した金額、これは現在幾らになっていますでしょうか。
○多賀政府参考人 18年3月末の出資残高でございますけれども、苫東の方が312億円でございまして、新むつ小川原の方が440億円ということでございます。
○佐々木(憲)委員 これが新たな不採算とならないという保証、償却をするような事態にならないという保証はどこにあるんでしょうか。
○多賀政府参考人 お答えいたします。
もう御案内のとおりでございますが、土地の売却を行うことによりまして、有償減資を行って、その減資分を私ども等出資者に返還するというスキームになっているわけでございまして、これはひとえに、その土地が売れるかどうかということにかかっているわけでございます。
この両地域の土地の処分等につきまして、関係者の協議等もいろいろ進んでおるというふうに聞いておりまして、適切な処分が今後進んでいくのではないかということを期待しているところでございます。
○佐々木(憲)委員 次に、政投銀に対する国有地の払い下げ問題についてお聞きをしたいと思います。
政策投資銀行は、国に対して、大手町のビルに隣接している駐車場の土地を、これは国有地でございますが、それを購入するため申請する予定と聞いておりますけれども、それは事実でしょうか。また、その目的は一体何でしょうか。
○小村政府参考人 現在、私どもの銀行が国からお借りをしている駐車場、これはもう20年来お借りをしております。この駐車場につきまして、取得をしたいということで、先般の予算要求との関係で財務省にお話をし、資金計画に計上をいたしてもらいました。
この駐車場は、毎年、1年ごとの契約になっており、契約関係が非常に不安定であるということ、それから、種々の思惑に基づいてこれを取得しようという、地上げ屋と言ってはなんですが、いろいろな人たちもおります。そういう面で、私どもが業務上支障のないように、あの地帯は、先生御存じのように経団連がそばにありまして、違法駐車もいっぱいあります。ぜひこういう駐車場をきちんと確保して業務に支障のないようにいたしたい、こういうことで要求いたしたものです。
○佐々木(憲)委員 今のお話によると、毎年契約を更新しなきゃならぬ、これはどこでもやっているんじゃないですか、国有地を貸している場合は。それから、ほかの業者が買い上げる可能性があるということで、先に押さえておかなければならないというようなことをおっしゃいました。
では、財務省に聞きますけれども、ほかの会社に売る予定というのはあるんですか。
○丹呉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の国有地でございますが、現在、私ども、日本政策投資銀行に貸しているわけでございますが、まだ政策投資銀行から取得の正式な要望が参っておりません。仮に出てきた場合におきましては、私どもは、会計法の規定等に基づきまして適切に対応したいと思っております。
なお、一般的に、国有地につきましては、さきに成立いたしました行革推進法におきましても、売却可能な国有地については売却を促進するということが言われております。また、当該土地は、私ども国が現時点でみずから利用する計画はございませんので、会計法の法令にのっとって売却するというのが基本的な考え方でございます。
○佐々木(憲)委員 ほかの会社に売る可能性は今のところはないと。
そうすると、政投銀としては、土地が値上がりする前に押さえておこう、こういうことですね。
○小村政府参考人 土地が値上がりするかどうかは、私どももわかりません。ただ、政府において、行革推進法において、国有財産の売却を促進しようということであります。その際に、利害関係人である私どもが、それをぜひ取得いたしたい、他の人の手に渡る前に業務上必要な土地を取得いたしたい、こういうことで申し入れたものでございます。
○佐々木(憲)委員 定足数が達していないようですが、どうですか。
○伊藤委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○伊藤委員長 速記を起こしてください。
佐々木君。
○佐々木(憲)委員 それでは、この土地の申請は幾らでやるつもりでしょうか。平成19年度の資金計画上の金額、これは幾らになっていますか。
○小村政府参考人 この金額は、私どもが予算要求をする際の路線価を参考にいたしまして要求をいたしました。この額がすなわち売買価格になるということではございません。一応の目安として、路線価をもとにして約90億円の予算要求をいたした、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 いや、その価格は幾らかと聞いているんです。
○小村政府参考人 これは、仮に私どもが見積もった価格でございますが、91億2000万円でございます。当時の路線価にその後の私どもが見込んだ値上がり率を掛けまして算出した金額でございます。
○佐々木(憲)委員 その基礎になった路線価とそれから値上がりを見込んだ金額、これを平米当たりで示してください。
○岡本政府参考人(国税庁課税部長) お尋ねの路線価についてでございますけれども、政策投資銀行の周辺の路線価と思われますけれども、千代田区大手町1丁目9番の日比谷通りの平成18年分の路線価は、1平方メートル当たり969万円となっております。
○佐々木(憲)委員 それに若干上乗せをして申請をする資金計画を立てたと。それは幾らなんですか。
○小村政府参考人 ただいま御説明のありました路線価に、これは私どもの変動率9.5%を一応の目安として置いて計算をいたしました。
その結果、路線価969万円、それに面積を掛け、1.095を掛けますと、先ほど申し上げました91億2000万円ということで……(佐々木(憲)委員「1平米当たりで幾らですか」と呼ぶ)平米当たり969万円、これが路線価であります。(佐々木(憲)委員「それプラス」と呼ぶ)その平米は859.49平米であります。これに9.5%の上昇率を掛けますと、私が申し上げました金額になるわけであります。
○佐々木(憲)委員 財務省にお聞きしますけれども、これは随意契約によって行うと想定されますけれども、その基準は何ですか。随意契約の基準。
○丹呉政府参考人(財務省理財局長) 国有地を随意契約することについては会計法等の規定に定められているわけでございますが、取得者として政府関係金融機関という規定がございまして、先ほど申し上げましたように、仮に日本政策投資銀行から要請があれば、こういった規定に基づいて私ども判断していくことになると思います。
○佐々木(憲)委員 その基準というのは何ですかと聞いているわけです。政府系金融機関は随意契約をしてもよろしい、こういうことになっているんですか。
○小村政府参考人 会計法に基づきまして予決令というのがございます。予決令に私どもが随意契約適格者であるということが成文化されております。その根拠に基づいて私どもが申請をしたということでございます。
○佐々木(憲)委員 元事務次官の答弁ですが、今は総裁ですから、これは財務局に答えていただかなければならぬことであります。
この地域では、大規模な国家プロジェクトとして再開発が進められております。平成15年1月31日に政府の都市再生本部が都市再生プロジェクトの第五次決定というのを行っておりまして、この第五次決定にはこう書いてあるわけであります。
「大手町合同庁舎跡地の活用による国際ビジネス拠点の再生」、こういう見出しで、「千代田区大手町地区において、大手町合同庁舎第1号館・2号館跡地を平成15年中に売却する。これを契機とし、段階的かつ連続的な建て替えにより、にぎわいのある国際的なビジネス拠点としての再生を目指す。」こういうふうに大変大きな構えを示しているわけであります。
都市再生本部に来ていただいておりますが、具体的にはどんな形でどういう手順でこれを進めるのか、お答えをいただきたい。
○松葉政府参考人(内閣官房都市再生本部事務局次長) お尋ねの件でございますが、大手町地区の開発につきましては、先生御指摘のように、平成15年1月に決定されました都市再生プロジェクトの「国有地の戦略的な活用による都市拠点形成」に位置づけられておりまして、旧大手町合同庁舎1号館、2号館の跡地を種地といたしまして、いわゆる連鎖型再開発事業が展開されております。現在、第一次の再開発事業として、日本経済新聞社、経団連、JAグループが旧合同庁舎跡地に再開発ビルを建設中でございまして、先月に着工したところでございます。
今後、一次再開発事業が進行した段階で、これらの者がそれぞれ竣工した新しいビルに移転をし、次に、これら地権者の現在の土地が新たな種地になるということで、第二次の再開発事業がスタートしていくことになるのではないかと思っております。
このように、旧大手町合同庁舎1号館、2号館跡地を種地として活用し、再開発事業を連鎖して、貴重な国有地を一度のみの単発の開発ではなくて、二度三度と再開発事業に結びつけていくことで、戦略的な都市再生を進めていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 お配りした資料を見ていただきたいんですが、今説明があったのは、この1枚目の連鎖型都市再生プロジェクトというものでありまして、周辺の会社の土地をこの合同庁舎跡地と換地をいたしまして、そして移る。あいた土地に今度は第二次事業ビルをつくって、さらにそこに周辺の会社が換地をし、そこに入ってくる。こういう連続的な再生プロジェクトということであります。
2枚目をあけていただきますと、ちょうどその真ん中に日本政策投資銀行があります。そこに隣接する形で駐車場というのがあって、これが国有地であります。その国有地を日本政策投資銀行に売る話が一方である。そして他方で、この地域全体が再開発の大きなプロジェクトの枠の中に入っている。こういう関係になっているわけです。
問題は、大手町合同庁舎第1号館、第2号館の跡地を都市再生機構に売却した、それが核になっているわけでありますが、その売却は幾らで行われたのか、1平米当たりの金額は幾らか、これを示していただきたい。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
御指摘の旧合同庁舎1号館、2号館の売却につきましては、法令の手続によりまして時価により売却することといたしまして、不動産鑑定士に鑑定を依頼いたしました。その評価をもとに売却したわけでございますが、1平方メートル当たりの単価は970万円、売却価格は1300億円でございます。
○佐々木(憲)委員 めちゃくちゃ安いんじゃないんですか。路線価とほとんど変わらない。1平米当たり970万円。こんな、いわばたたき売りみたいなことをやっている。不動産鑑定士がかんだと言いますけれども、極めてまゆつばでありまして、この周辺の市場価格は、別の不動産鑑定士に聞きますと、1平米2500万から2800万と言われておるわけであります。さらに高い価格を示す方もいらっしゃる。
連鎖型再開発が行われるわけでありますから、当然、その再開発が進みますと、この地域の地価は上がることになると思いますが、いかがでしょうか。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、合同庁舎1号館、2号館の売却は、17年3月でございます。先ほど日本政策投資銀行からお話のありました単価は18年1月でございまして、時点が違うわけでございます。
それから、私どもといたしましては、売却に当たりましては、不動産鑑定士に鑑定を依頼し、その結果に基づいて売却しているところでございまして、正当な価格というふうに理解しております。
○佐々木(憲)委員 いや、私が尋ねたのは、こういう形で再開発が進みますと、この地域の地価は当然上がりますねと聞いたわけです。不動産鑑定士の話だとか、その時点が何年何月だとかという話じゃない、上がるかどうかと。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
売却する際には時価ということでございますが、その際、繰り返しでございますけれども、不動産鑑定士に鑑定を依頼する。その際、不動産鑑定士は、その時点で予想し得る状況を要するに織り込んで価格を決定するということでございまして、私どもとしては、不動産鑑定士による鑑定の評価に基づいて売却するのが適正な方法であるというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 現実に、この地域の不動産鑑定士の話による地価の値上がり方は、大手町1丁目の地価は、再開発の影響で、1年で3、4割上がっているんですよ。実際にあなた方の都市再生プロジェクトを見ますと、にぎわいのある国際的なビジネス拠点として再生すると。これは当然地価が上がるのは当たり前じゃないですか。どうですか。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
繰り返しのお答えでございますけれども、私どもといたしましては、売却する時点で不動産鑑定士に鑑定をお願いする、その鑑定士の方は、国土交通省の通達等に基づきまして、鑑定時点で見込めることについて見込まれ、それに基づいて鑑定評価を行うということでございまして、私どもとしては、売却する際には、その鑑定評価によって売却するというのが適正な手続というふうに理解しております。
○佐々木(憲)委員 質問に答えてください。
○丹呉政府参考人 繰り返しでございますが、私どもは、要するに……(発言する者あり)
○伊藤委員長 御静粛にお願いします。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
私どもは、国有財産の売却は時価によることとしております。繰り返しでございますが、時価は不動産鑑定士の鑑定によると。不動産鑑定士はその時点で見込めるものは見込んでいただいておりまして、そういったことで出てきた鑑定については、正当、適正な価格であると理解しております。
○佐々木(憲)委員 現実に再開発が進めば地価が上がる、これは当たり前のことであります。この地域は現実に上がっているんですよ。そうじゃないんですか。
○丹呉政府参考人 お答え申し上げます。
本件の鑑定につきましては、複数の鑑定業者にお願いいたしまして鑑定をしていただいております。鑑定に当たっては、当然、不動産鑑定士の方は、見込める変動等々につきましては織り込んで見込んでおられるというふうに理解しておりまして、私どもとしては、その専門家の意見を踏まえまして、いただいた鑑定評価で時価を決定するということになっておりますので、ぜひとも御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 全然質問に答えていないじゃないですか。再開発をやったらその地域の地価は一般的に上がる、そういうことになるんじゃないですかと聞いているわけですよ。鑑定評価の話を言っているんじゃないんです。
大臣、当然上がるでしょう。
○尾身財務大臣 不動産鑑定士が客観的に評価をした価格で売買をしたということであります。
その鑑定士の評価は、そういう地域のいろいろな開発の状況等も総合的に勘案した結果の評価であるというふうに今局長は説明をしたと思いまして、私ども政府としては、これが正式の答弁であると考えております。
○佐々木(憲)委員 再開発をすれば、当然その土地が上がるのは当たり前じゃないですか。そうでしょう。再開発をしたら土地が上がるというのは当たり前じゃないですか。現実にこの地域の土地は上がっているんですから、そうじゃないかと聞いているんですよ。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
今大臣から御説明がありましたように、不動産鑑定士としては、その時点で見込めることについて見込んで、その上で鑑定評価をしているということでございまして、私どもとしては、その評価に基づいて時価により売却するということで御理解いただきたいと思います。
○伊藤委員長 もう一度答弁できますか。
丹呉理財局長。
○丹呉政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に、不動産鑑定を行う場合には、不動産鑑定士の方は、長年の経験と知識によりまして、その売却対象の土地の周辺の状況等を十分見込んで、その時点で見込める状況については見込んだ上で不動産鑑定の評価を行うと理解しておりますので、私どもといたしましては、そういった評価を正当な時価というふうに理解しておりまして、それによって売却したところでございます。
○佐々木(憲)委員 一般的に上昇するというのは、現実にここも上昇しておりますし、それを目指して再開発するという事例が多いわけであります。
もう一度確認しますが、1平米970万というこの都市再生機構に売却した価格というのは、その後、その周辺の状況等も勘案して新たな価格の設定になっていくわけだ、これに縛られない、こういうことですね。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
先生おっしゃるように、私どもが売却をお願いしましたのは、17年3月時点での鑑定による評価でございます。したがいまして、その後、状況が変化すれば、価格が変わる可能性はもちろんございます。
○佐々木(憲)委員 当然、上がるのは、この地域が現実に3割、4割、1年で上がっておりますし、市場価格は2500万とか2800万というふうに言われているわけですから、大体その売却価格が低過ぎると私は思いますけれども、しかし、上昇傾向にあることは極めて明確であります。
そこで聞きますが、この推進母体になっております大手町まちづくり推進会議の構成メンバー、これは何社ありますか。
○松葉政府参考人 お答え申し上げます。
地権者等で53でございます。
○佐々木(憲)委員 その中に政投銀は入っていますか。
○松葉政府参考人 政策投資銀行も入っているというふうに聞いております。
○佐々木(憲)委員 このまちづくり推進会議というのは、この再開発全体を企画し推進していくいわば母体であります。その中に政投銀が入っている。
それから次に、平成16年6月に大手町開発という事業の実施主体が設立されております。この実施主体は、平成16年の6月に設立をされておりますが、平成17年には、先ほど言ったように都市再生機構にまず随意契約でこの1号、2号跡地が売られた、11月にこの大手町開発、ここにそのうちの3分の2が売られているわけです。その価格は、随契で都市再生機構が買ったものに若干管理事務費を上乗せしたと言われておりますが、ほぼ随契で買った価格でこの大手町開発というところに売却をされているわけです。
お聞きをしますけれども、この大手町開発、これは民間の会社ですが、随意契約で売ったのでしょうか。これは簡単にそういうことができるのでしょうか。
○松葉政府参考人 先生のお尋ねは、都市再生機構から有限会社大手町開発に随意契約で売却をしたかというお尋ねでございますか。そのとおり、随意契約で売却したと聞いております。
○佐々木(憲)委員 なぜそれが可能になるんでしょうか。
○松葉政府参考人 当該土地の譲渡の手続につきましては、直接は私どもの事務局がお答えする立場ではないと思っておりますけれども、都市再生機構において適切な手続にのっとって判断をされたのではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 だから、その適切な手続というのはなぜ行われたのかと理由を聞いているんですよ。この民間都市再生事業計画の認定事業者だからできるんじゃないんですか。認定事業者になっていなければできないんじゃないですか。改めて確認したい。
○松葉政府参考人 先生今お尋ねの件でございますが、繰り返しになって恐縮でございます。直接には当該会計の規定に照らしてどうかという判断だろうと思っておりまして、その意味で、恐れ入ります、私どもで直接その売買について監督をしている立場でございませんので詳細を承知しておりませんが、適切にやられたのではないか、こう推測をしておるということでございます。
○佐々木(憲)委員 ここに私、議事録を持っていまして、第218回国有財産関東地方審議会議事録。これは、平成16年6月18日、大手町合同庁舎で行われたものですが、ここで、この1号館、2号館跡地を土地区画整理事業用地として売り払いすることについてという議題が出されております。その議題の中でこういう議論が行われているんですね。これは、財務省理財局国有財産業務課長の説明であります。そこでこういうことが言われております。
随契の正確性がいろいろ問われるわけでありますが、こういうふうに言っているんです。「国が特定の民間に国有地を売却したという社会的批判を招かないように、ここで担保し、配慮したい」と。何を担保するかというと、「認定事業者になりますと、直接国がこの事業会社に随意契約で売ることもできます。」と。
つまり、認定事業者にしてあげますから、そうすれば随意契約で売ることができる。つまり、随意契約をするために国が認定事業者としてこの大手町開発を認めましょう、こういう経過で随意契約が行われ、そして土地が、国有地が売却された、こういう経過じゃないんですか。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。
本事案につきましては、事業者である都市再生機構において、大手町合同庁舎跡地を公益の事業の用、すなわち、都市再生プロジェクトにおいて活用するということが認められましたことから、随意契約により売却したものでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、認定事業者としてこの大手町開発を認め、その上で売却をしたということであります。
それで問題は、この大手町開発というのはどういう会社なのかという点ですよ。この会社の構成メンバー、これはどこでしょうか。それから、出資金はそれぞれ幾ら出しているでしょうか。
○松葉政府参考人 恐れ入ります。有限会社大手町開発の出資者等についてお尋ねがございました。
私どもといたしましては、一般に都市再生プロジェクトが着実に実施されるようにフォローすることが役割だと思っております。ただ、そういう意味で、逆に申しますと、個別の事業者に関する情報については、直接に事業者にお問い合わせいただくのが適当ではないかと一般には考えております。
それから、大手町の都市再生プロジェクトにつきましては、旧大手町1号館跡地を種地として活用され、再開発が二度三度と連鎖することが大切だと考えております。その限りでの状況の把握には努めようとしておりますが、直接の事業者については、そこにお尋ねをいただくのが適切ではないかと考えております。
○佐々木(憲)委員 国家プロジェクトとして推進しているんですよ。しかも、これは都市再生プロジェクトということで、内閣挙げて推進をしているわけです。その目玉として大手町の再開発事業がある。それを実際に推進している事業主体、その事業主体がどうなっているかというのを把握し、国会に報告するのは当たり前じゃないですか。何でその当事者に聞かなきゃいけないのか。国を挙げて推進している事業の中身を聞いているんですから、当然ここで明らかにしていただきたい。
○松葉政府参考人 基本のスタンスにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、さらに、当該事業者については匿名組合出資というふうに聞いておりまして、具体の出資者については公表されていないというふうに聞いております。
○佐々木(憲)委員 だからだめだと言っているんですよ。要するに、認定事業者にしてあげますよと言って認定したわけでしょう。あなたのところはふさわしいです、この再開発を進めるための事業主体として真っ当な構成ですと。だから、その構成の中身を我々にここで明らかにしていただかなければ、本当にまともな認定をしたかどうかわからないじゃないですか。当然、資料を出してください。
○松葉政府参考人 今、民間都市再生事業の認定についてお尋ねがございました。
当該認定につきましては、まことに恐れ入ります、私どもで担当しておるものではなくて、国土交通省の方で認定作業をしておるということで、そちらで適切に御判断がされているものだと理解をしております。
○佐々木(憲)委員 あなたは都市再生本部の事務局次長じゃないんですか。都市再生本部の都市再生プロジェクト第五次決定の内容の一番最初に出ているのがこのプロジェクトですよ。その中身を明らかにするのは当然じゃないですか。
委員長、この大手町開発を構成している会社名、それから出資しているその出資額、これを資料として当委員会に提出していただけるよう取り計らっていただきたい。
○伊藤委員長 ただいまの御要望の件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 この大手町開発の出資者の中に政投銀が入っていますね。
○小村政府参考人 ディベロッパーの皆さんの集まりだと思います。私どもは出資、参加いたしておりません。
○佐々木(憲)委員 そんなでたらめなことを言わないでくださいよ。業務報告書があるでしょう、政策投資銀行。これを見ますと、「都市再生ファンド(大手町開発)」。この24ページ、200億円出資をしているんじゃないですか。だめだよ、そんな答弁。全然だめだよ、そんなの。
○小村政府参考人 私どもは、この大手町開発には出資をいたしておりません。この公表したものは、同じ名前になっておりますが、実は、富士銀行跡の開発について、東京建物等々と一緒に、同じ都市再生ファンドを形成したことがございます。その関係の数字がここに掲げたものでございます。ただいま先生御指摘のところには、私どもは参加いたしておりません。
○佐々木(憲)委員 そうすると、この大手町開発と括弧して書いているのは、特定の固有の名前ではなくて、大手町地域における富士銀行跡地に対する出資、その事業に対する出資、こういう理解でいいんですか。
○小村政府参考人 さように御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、ますますこの有限会社の大手町開発の内容が非常に重要になってくるわけでありまして、三菱地所、サンケイビル、NTT都市開発、東京建物等々が、この大手町開発に入っているというふうに我々は聞いておりますけれども、しかし、本当にそうなのかどうか、それから、その出資額がそれぞれ幾らか、これは後で理事会で協議ということですので、しっかりと資料を提出していただきたいと思います。
それから次に、政投銀としては、この推進会議に最初から参加をされている、これは先ほどお認めになった、そして、大手町地域の開発に200億円という出資をしている。したがって、これは大変な金額でありまして、例えば苫東には207億円、むつには284億円ですから、それとほぼ並ぶ、大変大きな出資額であります。ですから、先ほど総裁は一番最初に、この地域の土地の価格がどのように値上がりするかわかりませんというお話がありました。
しかし、この地域の全体のプロジェクト、国家プロジェクトとして推進されているこの連続した再開発の中で、この駐車場がどのように扱われていくか、それは政投銀としての意思もそこに働くだろうと思いますけれども、十分熟知をして、こういう駐車場を買いたいという申請をされているというふうに理解してよろしいと思いますが、いかがでしょうか。
○小村政府参考人 繰り返し申し上げますが、富士銀行跡の大手町の開発は全く別の案件でございます。私どもは地権者として参加している。これは、将来再開発をされたときに、地権者としてどういう意見を持っているかということで参加をいたしております。200億円の件は全く今回の件とは関係ございません。これは、新しくこの地域を再開発するときに、一種の都市再生ファンドとして私どもが参加した案件でございます。これは十分ビジネスになり、苫東等とは全然違う種類の新しい形の出資案件でございます。
○佐々木(憲)委員 だから、そのことを聞いているのではなくて、この開発全体としてどういう大手町の姿になっていくかということは、十分熟知をしているはずだということを聞いているわけですよ。
○小村政府参考人 大変失礼いたしました。
これは、この地域が大手町の中で一番おくれた地域であります。この再開発の重要性というのは私どもも認識をしております。正式に参加するということは決めておりません。
ただ、私ども、この駐車場を国から買い上げておっても、国が全額出資をしておりますから、仮に値上がりをしても、それはいずれは国に帰属するわけでありまして、私どもがそれだけ利得を図るということではありません。株式の売却の際には、それは実現される利益であります。
○佐々木(憲)委員 それは全然違うんじゃないですか。完全民営化が5年から7年後ですね、来年以降決められているわけですよ。今は確かに政策投資銀行は国の機関ですけれども、しかし、結局は民間企業になるわけです。民間企業に国から、あらかじめ政策投資銀行として国からその土地を、払い下げといったら変だけれども、路線価に非常に近い価格でもらって、この連鎖型都市再生プロジェクトの流れの中でそれを生かしていこうと。
つまり、本来なら、民間会社に直接は随意契約で売れないわけです。しかし、今の段階で、政府系金融機関だから売れるわけです。今度は、民間になったときにその財産を利用して、値上がり利益を手に入れながら新たな戦略を組んでいきたい、こういう意図が働いていることは見え見えなんですね。ですから、私は、このやり方というのはもともと非常に問題のある、不透明なものが含まれていると言わざるを得ない。
そこで、委員長に提案ですけれども、この委員会として、この大手町開発の現地ですね、この国有地は当然財務省の所有地ですから、国の所有地ですから、どういう状況で開発されるのか、この視察を行っていくべきだというふうに思いますが、ぜひ実現をしていただきたい。
○竹本委員長代理 後刻理事会で協議いたします。
○小村政府参考人 ただいまの先生の御質問で、やはり誤解を解いておかなければなりません。
これは、例えば現在、私どもの土地をディベロッパーに売れば、その開発利益はディベロッパーが将来利得をいたします。しかし、私どもが現在ディスカウントをしてもらうわけではございませんが、適正な価格で購入し、将来その土地の価格が上がったとしても、その上がった利益というのは国に帰属するわけでありまして、他の業者には帰属するわけではありません。もちろん私どもにも帰属するわけではございません。全額政府が出資した機関でありますから、完全民営化し株式が売却されたときには、その利益が実現するということでございます。
○佐々木(憲)委員 株式は民間に売却をされるわけですから、民営会社になるわけでしょう。民間の会社になるわけですから、私が先ほど言ったのが正しいと思います。
ディベロッパーに売ればと言うけれども、売ればそれはますますひどい話なんだけれども、保有していて、その土地をもとに換地というのが行われるわけです。第二次事業が行われた際に、それに参加するかどうかまだ決めていないとおっしゃいましたが、これはこの地域全体が対象になっていますから、当然ここに入るか入らないかの判断をせざるを得ない。そのときに、この保有している土地をもって有利に換地ができる、民間企業としてですよ、そういうことになるじゃないですか。全然説明になっていませんね。
もう時間も参りましたので、きょうのところはこの辺にしておきます。また続きは、この次にやりたいと思います。
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