2011年11月14日 第179回 臨時国会 復興特別委員会 【638】 - 質問
「二重ローン」 選別せず幅広く支援せよと主張
2011年11月14日、佐々木憲昭議員は、復興特別委員会で、「二重ローン」救済のための債権買い取りなどを行う東日本大震災事業者再生支援機構法案について、幅広い事業者が救済されるのかとただしました。
佐々木議員は、参院で日本共産党を含む野党の賛成多数で可決したものを民主・自民・公明3党で修正し、その結果を国会に押しつけるやり方を批判。債務免除や返済猶予などが「義務」から「できる」という努力規程に後退していることを指摘しました。
震災から8カ月経過し多くの中小事業者が意欲を失い再建をあきらめていることを紹介し、再生支援機構の設立を持たずに支援対象を広げることを求めました。
提案者の近藤洋介議員(民主)は、「排除ではなく政府の機構と連携して分厚い支援を行う」と答弁し、平野達男復興担当大臣は「幅広い事業者を支援の対象とする」と答えました。
また佐々木議員は、緊急機関の対象とはならなくても支援機構が相談に乗り支援するよう求めました。
これに対して、西田実仁議員(公明)は、「(銀行の)支援対象とならない事業者も相談でき、門前払いとせずテーブルに乗せる」と答えました。
佐々木議員は、希望する事業者が幅広く救済されるべきだと強調。平野大臣は「できるだけ幅広く支援するという趣旨に沿って現場の運用状況を見ていきたい」と答えました。
質疑ののち、討論・採決が行われ、佐々木議員が賛成討論を行いました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず最初に、この法案の取り扱いの経緯について確認をしたいんですが、参議院では、日本共産党も含む五つの野党会派がさまざまな形で協議をして法案がつくられた。その法案が、参議院で可決されて衆議院に来ました。ところが、衆議院での法案の修正議論は、自民、公明、民主の三党だけで行われるようになったわけであります。協議の内容はこうですよというのは伝わってはきましたけれども、参議院で賛成した日本共産党やみんなの党などを修正協議からなぜ外したのか、まずその理由を明らかにしていただきたいと思います。
○近藤(洋)委員 佐々木委員にお答えをいたします。
参議院通過法案の修正協議を三党で進めてまいったわけですが、その経緯を簡単に申し上げれば、安住当時民主党国会対策委員長を初めとする三党の国対委員長間の確認事項で、次期臨時国会において二重ローン法案の成立を図るという合意がなされたところでございます。その三党合意に基づきまして、三党間で議論を進めてきたのは事実であります。
しかし、その議論の途中の中で、少なくとも、例えば我々民主党においては、連立を組んでおります国民新党さん、とりわけ金融担当大臣を輩出しておるわけでありますが、国民新党さんには適宜情報を共有し、また野党においても、この協議の内容については、参議院通過に賛成をされた各党に対して連絡をし、情報を共有していた、このように理解をしております。
○佐々木(憲)委員 国会は三党だけではありませんのでね。三党で時間をかけて協議して、出た結論を国会にぽんと出して、審議時間を短くぱっと済ませばいい、そういう話じゃないんですから、その点をしっかりと心してやっていただきたいというふうに思っております。こんなことをやっていくと国会は空洞化しますからね、議会というものが。
内容について具体的にお聞きします。
参議院から送られてきた法案が三党協議でどうなったか。まず、27条の「債権の管理及び処分等」のところでありますが、参議院から送られてきた法案では、この一項で、「機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該買取りの価格がその債権額を下回る場合においては、当該対象事業者の経営状況等を考慮し、特別の事情がない限り、その差額に相当する額について、当該対象事業者の債務を免除しなければならない。」こうなっておりました。これはどう修正されたんでしょうか。
○大口委員 今先生がおっしゃった27条の1項でございますが、それが今回、「機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該買取りを行った日から一定期間を経過した後の当該対象事業者の経営状況その他の事情を勘案しつつ、当該対象事業者の債務の一部を免除することができる。」こういう規定になったわけです。
○佐々木(憲)委員 「しなければならない。」というのを、「できる。」こういう規定に変わったということでありますが、三党協議で、これは明らかに後退だと私は思うんですね。債務免除をしてもいいが、しなくても別に問題はない、こういうことになってしまうんじゃありませんか。
次に、2項について言いますと、参議院から来た法案は、機構は、特別の事情がない限り、当該買い取りを行った後の一定期間、弁済を猶予しなければならない。弁済の猶予ですね。これは義務でありますが、修正案ではどうなりましたか。
○大口委員 修正案の27条の2項でございますけれども、そこでは、「その弁済を猶予することができる。」こういう規定になっております。
○佐々木(憲)委員 これも義務規定からできる規定で、必ずしも猶予しなくてもいいということになってしまうわけであります。
次に、4項、当該債権に係る保証人に対する保証債務の免除、当該債権に係る物上保証人に対する担保の解除、負担の軽減に資する措置をとらなければならない。これはどういうふうになりましたか。
○大口委員 これは27条の3項でございますけれども……(佐々木(憲)委員「4項」と呼ぶ)もとのあれは4項なんですが、今回の修正においては3項になるわけです。3項が削られて、それで4項が3項になるということでございます。
それについて条文を読みますと、「機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該対象事業者の経営状況その他の事情を勘案しつつ、できる限り、当該債権に係る保証人(その保証を受けた法人たる対象事業者の代表者その他これに準ずる者及び保証を業とする者を除く。)に対する保証債務の免除、当該債権に係る物上保証人」、括弧の中でまた「保証を業とする者を除く。」「に対する担保の解除その他の当該対象事業者の債務の保証に係る負担その他これに類する負担の軽減に資する措置をとるように努めなければならない。」ということで、「とらなければならない。」というのが「とるように努めなければならない。」こういうことになったわけです。
○佐々木(憲)委員 これも、措置をとらなければならないとなっていたのが、できる限り措置をとるように努めなければならないと。これも義務規定から努力規定に後退しているんですよ。
これは一体どういうことなんでしょう。参議院では、野党全体が修正協議を行って、統一して、これでいこうということで全部賛成で通ってきたわけです。衆議院に来たら、共産党、みんなの党は入れない形で三党だ、三党でやったら後退してしまう、これは非常に私は問題だと思うんですが、自民党、公明党の提案者はなぜこれを受け入れたのか。もともとこの部分は、修正案の協議に今回参加していなかったみんなの党が入れたものだと聞いていますけれども、みんなの党はこの修正部分についてどう受けとめているのか。それをお聞きしたいと思います。
○谷委員 お答えいたします。
佐々木委員の言われる、まず、三党だけということでございますけれども、できる限り幅広く政党でというのは理想かと思います。ただ、この二重ローン救済法案は非常に大部である、時間的なものもこれあり、とりあえず三党で先行させていただき、情報は逐次お伝えして、そしてまとめてきた、そういう経緯だろうと思います。瓦れき処理法案は全党で、私もやらせていただきましたが、ただ、二重ローン救済法案は、御存じのように、80条近い新たな法律で、論点も大変多岐にわたり、そういった御事情も御理解を願いたいと思います。
また、衆議院でなぜ修正したか。端的に申しまして、修正しなければ通らなかったからでございます。
実際、政治は、やはり衆議院で圧倒的多数を、議席を有する与党の御理解なしに法律は通りません。そこで、ぎりぎりその中でこの法案も修正して、現在の修正案の形になった。何よりも、ただでさえおくれている二重ローン救済法案を1日でも早く成立させたい、そのことが、ベストではないかもわかりませんけれども、ベストに近いベターの選択であるという最終的な判断をさせていただいたところであります。
○桜内参議院議員 お答えいたします。
みんなの党で窓口をやっておりました。みんなの党といたしましては、まさに御指摘の23条そして27条、買い取り価格及び買い取り後の債権の管理、処分についての修正を出させていただきました。
そういった意味では、今回の三党合意によります衆議院での新たな修正案、まさに私どもからすれば、理屈のなき言語道断な修正であるというふうに考えております。
また、その手続に関しましても、三党合意と称しまして我々は排除された。我々が参議院で野党皆で力を合わせて通したもの、そして、特に我が党から修正を出した部分について、何の議論もなく、このような修正、特に、内容面からいきますと、本当に後退しております。心臓部分が殺されたような、そういった状態になっております。
被災地のためといいながら、全く被災地の救済にならないようなこういった修正を民主党が行ったということを指摘しておきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 みんなの党の憤りは大変よく理解できるわけであります。
先ほど、修正案の提案者の方々からの言いわけのような話を聞きましたけれども、80条近いから三党でやるんだ、時間がないからと。これはちょっと言いわけにならないと思うんですね。先行したと言うのなら、ちゃんと全党入れてもう一度やればいいわけであって。それは、参議院で全体として、共産党もみんなの党も参加して、全体が多数になって、それで通ったわけですから、それで民主党を説得するというのが本当の野党の役割であって、それを、野党の一部を排除して民主党の言うことを受け入れる、それで後退するというようなこと、それでみんなの党は怒っているわけですから。我々だって怒っているんですよ。
そういうことをやっていいのか。今回のやり方は非常に問題だったと思います。瓦れき処理のやり方はよかったと思いますけれども。そういう意味で、この法案の内容については、我々はいろいろな問題を感じているところであります。
次に、産業復興機構の問題についてお聞きしたいと思うんです。
岩手県で、現に準備が進められている産業復興機構に先立って、県産業復興相談センターというのが10月3日に発足をいたしました。相談センターは、被災事業者の立場に立って事業の再建支援を行うという重要な役割を担うところであります。
参議院の審議ではどのような答弁があったかといいますと、仮に被災事業者が金融機関に融資を断られても、相談センターが被災事業者と金融機関の間に入って親身に交渉や調整を行うといった役割を担うと。こういう認識に変わりがないかどうか、確認をしておきたいと思います。
○鈴木政府参考人(中小企業庁長官) ただいま委員から御指摘ございました産業復興相談センターでございますけれども、私ども、幅広い事業者の方々を御支援の対象といたしまして、できる限り多くの事業者の方を御支援するということで、その体制について構築をしてきたところでございます。
議員が御指摘のとおり、金融機関に行って新規の融資をお願いしました、それで断られてしまいました、そういう方々と金融機関との調整を行うというのが、まずこの相談センターの目的だと思っております。加えまして、金融機関からも相談が来ると思います。そういう相談につきましても、私ども、できるだけ相談に乗りまして、どうすれば新たな、ニューマネーが借りられるか、また金融機関も貸せるか、そういうような相談を親身になって行うようなセンターにしたいと考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 ところが、岩手県の実態を聞いてみたら、相談センターに37人の専門家がいまして、そのうち29人が金融機関から派遣されたメンバーで構成されている。機構の運営には、企業再生ファンドのルネッサンスキャピタルグループの完全子会社、東北みらいキャピタルというのが内定した。このルネッサンスキャピタルというのは何かというと、BNPパリバの投資会社であります。
こうなりますと、被災事業者が相談センターに相談しても、まず金融機関の意向で債権買い取りの判断を下される、その次に、復興機構に回されると、投資会社の意向で判断される、こういう形になってしまうわけですね。果たしてこれで救われるのかどうか。
これでは、被災者ではなくて債権者の立場から対象を選別するということになって、結局、優良企業に限定されてしまうんじゃないか、この復興機構の対象は。だから、県内の商工会議所とか行政の担当者からも、これは余り期待が持てない、本当に困っている人たちは対象にならないと、非常に冷めた受けとめが出ているわけです。この不安に対して、これをどう払拭するのか、答えていただきたい。
○鈴木政府参考人(中小企業庁長官) 岩手県におきまして、私ども、そういうような御懸念があるという点につきましても伺いました。私ども、中小企業庁の職員をできるだけそのファンドといいますか相談窓口の現場に派遣をいたしまして、運営がおかしくならないようにぜひしていきたいと思っております。私どもの目でしっかりと、その相談窓口が先ほど申し上げましたような運営になっているかどうかチェックさせていただきたいと考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 この「(三党合意修正案)のポイント」という文書によりますと、各県の産業復興機構は各県が実情に応じて支援対象を決めており、その整理を尊重するとなっているんですね。最初から優良企業だけを対象にするというふうに決めて、その整理を尊重するというふうになったら、これは、厳しい状況に置かれている中小企業は排除されるんじゃないでしょうか。その上で支援機構が後で対象とするというのは、この産業復興機構が支援対象とすることが困難なもの、つまり、復興機構が排除した中小企業、非常に困難な中小企業、こういうことになってしまうんじゃないでしょうか。
○近藤(洋)委員 お答えをいたします。
我々としては、民主党の立場とすると、当初、産業復興機構のみで十分対応できるという立場でありましたが、より厚みを増すという観点から新たな機構の設立に踏み切り、現在の修正に至っているわけでありますが、産業復興機構の買い取り価格は、いわゆる将来のキャッシュフローを予測して算定を行う、こういう形になっているわけであります。
将来のキャッシュフロー、いずれにしろ、事業再生の意思のある方々を救う、こういうことでありますから、このキャッシュフローというのが一つの算定基準になるわけでありますが、このキャッシュフローの算定がなかなかすぐにはできないという事業者さんもあろうか、このように考えております。
したがいまして、その算定がなかなか難しい、すぐには算定できないといった企業さん、例えば、一つの例ですけれども、町の床屋さんといったような事業者もあろうかと思いますので、こうした事業者の方々に対して新たな機構がきちんと対応するということでございますので、決して排除するのではなくて、双方が連携をして分厚い支援を実行する、こういうことだろうと思っております。
○佐々木(憲)委員 それでは、この新たにつくる支援機構が設立されるのはいつですか。
○近藤(洋)委員 法案が成立をして、定める3カ月以内、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 これは「遅くとも3月11日より前」、こういうふうに書かれておりますけれども、それまでの間はどうなるんですか。
各県の復興機構が自分の判断で、対象について、これは再生可能だと。比較的一定規模以上で優良なところが最初は対象になりますよね。後は支援機構がやるんですといったって、支援機構は来年の3月と。こうなると、その間は一体どういう扱いになるのか。
震災から8カ月たって、もう既に意欲を失って、もう再建をやめたと言う人は半分ぐらいいるんですよ。年末年始、この年を越せるかどうかというのは次の問題ですよ。そのときには、復興機構は、いや、もう私のところは対象はこれだけ決めましたと。しかし、それから漏れたところは、すぐ支援機構が支援するかというと、そうじゃないんですよ。来年3月まで待たなきゃいかぬ。その間にばたばたつぶれるんじゃないですか。それをどう助けるのか、どう対応するんですか。これは政府にも聞いておきたいと思います。
○平野復興対策担当大臣 もともと、産業復興機構につきましても、できるだけ幅広い事業者を支援するということでこの復興機構を設立するということで全体の制度設計がされております。
岩手県は、相談センター、11月11日からは復興機構ができまして、宮城県においても相談センターが設立されると聞いておりますけれども、支援機構の設立を待たずとも、まずできるだけ幅広い事業者の支援をする、そういう考え方でこれを運営していくということでやっていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 そうすると、産業復興機構は、再建を望む小規模事業者それから農林水産事業者、医療福祉事業者、こういうものも、当然要請があればそれを受け入れて支援していく、これは当たり前のことだと思うんですが、政府としてはっきりそこを答弁していただきたい。
○平野復興対策担当大臣 各県に設置する産業復興機構につきましては、小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者を含めて幅広い事業者を支援の対象とすることにしておりまして、その方針に変わりはないというふうに承知しております。
ただ、先ほど近藤委員からも御説明がございましたように、この支援に厚みを持たせるという意味においての支援機構が設置されるというふうに理解をしております。
○佐々木(憲)委員 この「(三党合意修正案)のポイント」というのを見ますと、「棲み分け」となっておりまして、産業復興機構、これは「実情に応じて支援対象を決めており、」こうなっているんですよ、「決めており、」と。その整理を尊重するとなっているんですよ。そして、その対象となることが困難なものは、後でつくられる支援機構がやりますよと。そうなると、最初に対象を決めてしまって、まあ優良なところですよ、それでその後は支援機構、こういう二段構えになっている。すみ分けといったって、いいとこ取りをやって、後は支援機構でやってくださいと。これはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
まずは全部対象にする。何とか再建したいんだ、そういう事業者に対して、すべて受け入れて、事業計画を一緒に考える、銀行と交渉する、そういう形で、この年をどう越せるのか、どのようにしたら生きていけるのか、こういうところを支援するというのが、産業復興機構としても当然やるべきだというふうに思いますが、どうですか。
○鈴木政府参考人(中小企業庁長官) ただいまの委員の御指摘に対しまして、私ども少し実績を述べさせていただきたいと思います。
既に岩手県では相談を開始しておりますけれども、食品製造業22件、飲食店九件、その他の小売業九件ということで、小規模の方々も御相談に来ていただいております。こういう方々との御相談を親身に私ども調整させていただきまして、何とか再建のめどを立たせたいというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 今度は支援機構の役割ですけれども、被災事業者の立場に立って金融機関との調整を含めて再生を支援する、こういう相談機能が重要だと考えるんです。
例えば、金融機関が、この企業は支援しても銀行にとってはなかなかもうからないと。しかし、事業者の方は、どうしても再建したいんだ、何とかしてほしい、こう表明する。そのときに、相談センターで親切に相談に乗って支援する、これは大変重要ではないかというふうに思いますけれども、発議者として、この点はどのように考えているか。
○西田(実)参議院議員 まさに、今御指摘いただきましたように、この法律では、特に第16条の3項におきましては、この機構は、「事業者の依頼に応じて、その事業の再生等に関し必要な助言を行うことができる。」というふうになっております。
この規定におきましては、当然、再生支援を申し込もうとする事業者からの事前の相談を受けるということは想定しておりますけれども、これだけではなくて、ここに「等」とございますように、仮に支援決定の対象とならないような事業者に対しましても、その事業の再生等に関して必要な助言を行うことができるというふうに規定をしております。
ここのところは大変重視しておりまして、例えば、これまでの中小再生支援協議会では、ともすると、協議会の関与の条件として、関係各金融機関、特にメーンバンクの同意が得られる見込みのあることというのが規定されておりまして、それがない場合に門前払いのような形になっているケースが間々見られることは私も承知をしております。
そこで、この支援機構では、まず門をあけてテーブルにのせてお話を伺う、その上で、再建の見通し等について話し合い、債権者に対しても、専門家チームを派遣して、解決の道筋を示して説得する助け船を出す、そこまでやろうということが、この第16条第三項には立法者の意思として込めさせていただいているところでございます。
○佐々木(憲)委員 参議院から来た法案では、支援機構に対する事業者の再生支援の申し込みに際し、事業の再生計画に加え、債権者である金融機関などが貸し付けや出資を行うことを約束している証明書のようなものが必要だ、こういうふうになっていると思うんですが、これは今の答弁ですと、証明書が必ずしもなくても、当然、その証明書をもらえなかったというところに対しても、再生のために相談に乗って、計画を相談しながら考えて、金融機関と交渉していく。これは当たり前だと思うんですね。そういう立場でやることになるのかどうか、そこをきちっと確認しておきたいと思います。
○西田(実)参議院議員 今、16条の第3項に込めさせていただいている私どもの思いとしては、まさにそういうことを想定しているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 義務規定が若干後退しているという面がありまして、これは全体としてはなかなか、我々が期待したような方向に行くのかなと思っていたら、何かゆるゆるになっちゃって、そして被災者の相談も非常に厳しく扱われるようなことになってしまうと、何のためにこういう法律をつくったのかということになってしまうわけであります。
厚みを増すというのであれば、今動き始めている県の産業復興機構、これがすべて親切に相談に応じて、銀行の証明あるいは銀行の約束などなくても、まずは全部受け入れる、その上で再建の道筋をつけていく、こういうことをやらないと、もう既に現地ではどんどん意欲を失ってきているわけです。
年を越せないような事態になって、今半分ぐらい、もうともかく何とかしたいと思っていても、3分の1になり、4分の1になると、そこを全部助けたって、地域経済は4分の1ということになるわけですよ。これでは本当に意味がなくなってしまう。
そういう意味で、今すぐ政府は前向きに、再建を希望しているすべての事業者を対象にして行うと、もう一度最後に復興大臣の見解を伺って、終わりたいと思います。
○平野復興対策担当大臣 相談センター、産業復興機構、支援機構もそうでございますけれども、被災した事業者が、とにかくこの地で復旧するんだ、復活するんだ、そういう思いのある方々に、できるだけ幅広く支援して立ち直っていただく、こういう趣旨で設立されるというふうに理解しております。その趣旨に沿った運用がされるように、しっかり私どもも、背中を後押しなり、現場の運用状況については見ていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。