2011年07月28日 第177回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【625】 - 質問
不在者投票など遠隔地避難者への配慮要求
2011年7月28日、衆院本会議で、東日本大震災で延期されている被災地の地方選について、延期期限を現行の9月22日から12月31日まで延長する改正案が全会一致で可決しました。
本会議に先立つ政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会での質疑で、佐々木憲昭議員は、投票権を保障するため、自治体の不在者投票事務に対する政府の財政的支援、人的支援を求めました。
片山善博総務大臣は「職員の補充が必要になるので全国市長会等とつくっている職員の派遣システムを通じて応援をしたい」とし、不在者投票の郵送にかかる通信料についても支援していく考えを示しました。
佐々木議員は、総務省ホームページでの不在者投票方法の周知や、避難自治体の選管の場所の周知、立候補者情報が有権者に伝わるよう対策を求めました。
片山大臣は、インターネットを活用した情報の提供や選管の場所の分かりやすい周知を行い、総務省のホームページの改善の考えを示しました。
さらに、佐々木議員は「(複雑な)不在者投票制度が、有権者に認識されているとは言い難い」と指摘し、制度の周知を自治体の選管任せにせず、総務省が自ら行うべきと強調しました。
また、事業仕分けによってカットされた「明るい選挙推進費」を見直して、総務省が制度の周知を率先して行うべきと主張しました。
片山大臣は「適切な啓発と周知は必要。今後、意見も踏まえて、国民に選挙の正しい知識が周知されるよう、考えていきたい」と答えました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
私の方からは、不在者投票の問題から質問させていただきたいと思っております。
これから、被害が特に甚大な地域、それから避難者が非常に多い、そういう地域で選挙が実施されるということになりますと、投票権の最大限の保障というのが非常に大切だと思うんです。
そこで、期日前投票はかなり皆に知られていまして、かなりふえておりますけれども、不在者投票ということになりますと、先ほど大臣がおっしゃいましたように、この中身がなかなか周知されていないということがありますので、まず確認ですけれども、不在者投票の手順、これを説明していただきたいと思います。
○田口政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答え申し上げます。
今回の震災に伴いまして、それまでの住所地、名簿登録地の選管ですが、そこ以外の市町村に避難している有権者の方々は不在者投票事由に該当すると考えられます。
その手続につきましては、まず第一に、有権者の方が、選挙人名簿登録地の市町村選管に対して、郵便等で不在者投票用紙を請求する。そして第二に、当該名簿登録地の選管が、有権者の方に不在者投票用紙等を郵便で郵送する。第三に、それを受け取られた有権者の方が、受領した不在者投票用紙等を持って、最寄りの避難先の市町村選管に行っていただく、そこの投票記載場所で不在者投票を行っていただく。そして第四に、その投票を受け取った避難先の市町村選管が、その不在者投票用紙等を名簿登録地の選管に、そしてさらには投票管理者に送致をする、そしてその投票が開票に付されるというような手順になると存じます。
○佐々木(憲)委員 今聞いても、これは比較的複雑なんです。例えば、有権者は、自分が何をしたらいいのかというのがすぐぱっと理解できない。今聞いただけでも、3回の郵送が必要になるわけですね。郵送作業を行うというのも、かなり膨大な仕事量になると思うんです。その人員も必要である。それから、選挙のための広報、これも必要になる。
政府として、財政支援、人的支援、この点でどのようにお考えか、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○片山総務大臣 これは、主として人的支援とそれから財政的支援になると思います。
選挙を実施される自治体において、通常のときよりも作業が随分複雑になりますし、膨大になりますので、その面で職員の補充が必要だということになりましたら、全国市長会などと協力してつくっております職員の派遣システムを通じて応援をしたいと思います。
それから、場合によって、例えば域外から多くの方を避難者として受け入れている自治体において、不在者投票のために人員が必要だということになりましたら、それも実情に応じて人材の派遣をする。これは実際に、既に統一地方選挙のときに、遠野市などに自衛隊の皆さんの不在者投票のための人員を総務省から大勢派遣した経験もありますので、そんなことも考えなきゃいけないと思います。
それから、先ほど言われました、何回も郵便によるやりとりがありますので、かなり通信料といいますか郵送料がかかりますので、それに対しては、実情を伺いながら、特別交付税を通じまして支援をしてまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 有権者にとりましては、住んでいたところから避難されて、かなり遠いところで生活をされている。その場合に、だれが立候補して、どういう政策をその人がお持ちなのか、情報がなかなか届かない。どういう方法で有権者に政見を知らせることが可能なのか。選挙公報を郵送する、これは一つの方法です。しかし、選挙公報ができないところもあるし、つくっていないところもある。そうなりますと、また時間もかかる。手っ取り早いと言うと語弊がありますけれども、各選管のホームページに掲載する。そうすれば、どこに住んでいようが、そのホームページを閲覧できるわけでありますから、例えばそんな方法も考えられないか。
それからもう一点は、避難者が住んでいる、例えば千代田区なら千代田区の選管に行って投票するわけですけれども、その選管というのが一体どこにあるのか、なかなかわかりにくい。不在者投票所というようなものをすぐわかるような掲示ができないかというようなことですね。
この点についてどういう対応をされるか、お聞きしたいと思います。
○片山総務大臣 遠隔地に避難されている方に該当の選挙の情報が的確に伝わることは大変重要なことだと思います。特に、選挙の実施はもちろんですけれども、候補者が、どんな方が立候補されておられるか、それぞれの方がどういう公約を出されているのかということも伝わることが必要だろうと思います。
それには、先ほどの不在者投票の手続に従いまして、選管から、候補者の名簿でありますとか、それから選挙公報、これは任意でありますけれども、多くの自治体でつくられておりますので、それが的確に届くようにするということが必要だろうと思います。
さらに、先ほど来議論がありましたけれども、私は、やはり今回のことを考えましても、選管、選挙を実施する主体もそうでありますし、それから候補者の方もそうですけれども、インターネットを活用してそれぞれ必要な情報を有権者に届ける、そういうツールが早く公に活用できるようにする、そういう環境を整えるということは、この際、必要だろうと思います。
それから、避難先の自治体の選挙管理委員会がどこにあるのかというようなことは、これは尋ねていただければわかると思いますけれども、ぜひ、これは全国の市町村におかれまして、丁寧に対応していただくように、できるだけよくわかりやすく周知されるように、改めてこれはお願いをしたいと思います。
○佐々木(憲)委員 最後に広報活動です。
避難者に対して不在者投票の周知徹底を図る広報活動というのは大変重要だと思うんですが、自治体任せにしない、やはり政府として、この際、しっかり対応すべきだと思っております。
総務省のホームページに、不在者投票の方法とか各地の選管の住所、投票用紙の請求のひな形、一番最初に請求しなきゃならぬのはそこから始まるわけですが、どんな請求書をつくっていいのかわからない、そのひな形が出ていれば非常にわかりやすいということもあると思います。
そういうこともありまして、私は前回も指摘したんですけれども、明るい選挙推進協会に委託して啓発活動を行っておられましたが、これは事業仕分けだというのでカットされまして、これは復活すべきだと思うんですけれども、そういう点も含めて、御見解をお伺いしたいと思います。
○片山総務大臣 有権者の皆さんに、不在者投票の仕組みでありますとか、どんな様式であるかというようなことにつきましては、既に総務省のホームページに掲載をしております。これはできるだけ、さらにわかりやすく、わかりやすいところをクリックできるようにするとか、工夫をしたいと思います。
それから、先ほど申しましたように、政府広報を通じまして、不在者投票の仕組みというのをインターネットを使わない方にも知っていただくように努力をしたいと思います。
それから、明るい選挙の話が出ました。これは、選挙について広報することが、啓発することがいけないということではなくて、その契約の仕方でありますとか天下り関係とか、そういうことに着眼しての仕分けがあったわけでありますけれども、私は適切な周知と啓発は必要だろうと思います。
当座、これは政府広報などを通じましてやりくりをしながらやりたいと思いますけれども、今後の問題としては、おっしゃったようなことも念頭に入れながら、選挙について国民の皆さんに十分正しい知識が周知されて、しかも、いわゆる明るい選挙、選挙の浄化というものがなされるような、そういう努力は考えていきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。ありがとうございました。