税制(庶民増税・徴税), 金権・腐敗政治 (高齢者への年金課税強化, 銀行の収益性, 閣僚等の疑惑)
2006年10月27日 第165回 臨時国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【362】 - 質問
佐々木議員「高齢者への大負担やめよ」財務大臣・金融大臣に質問
2006年10月27日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、高齢者負担問題について質問しました。
佐々木議員の質問で、尾身財務大臣は、高齢者への年金課税強化によって2007年度の所得税・住民税の税額が2001年度と比べて約40倍に達するケースのあることを認めました。
夫の年金収入が年225万円(妻の年収79万2000円)の高齢者夫婦世帯の場合、2001年度には所得税・住民税の合計額がゼロ円だったものが、07年度には2万7600円に増加すると、尾身大臣が認めました。
同様に、夫の年金収入が300万円(妻の年収79万2000円)の場合、2001年度に3600円だった所得税・住民税額が、2007年度には14万1600円に、約40倍に税額が増加することも認めました。
また、厚生労働省は、この増税に加え、介護保険料や国民健康保険料の引き上げ、介護の利用者負担増を加えた場合、夫の年金収入が年225万円(妻の年収79万2000円)の高齢者夫婦世帯の場合、2007年度の負担額が、年に約120万円にもなることを明らかにしました。
尾身大臣は、「世代間のバランス」だとか「制度の持続」などの理由をあげましたが、このような負担増の事実を否定できませんでした。
佐々木議員は、「所得税・住民税だけでも30倍、40倍のたいへんな負担増だ。保険料や利用料を加えると、年収の半分近くが消える。高齢者を身ぐるみはぐような過酷な仕打ちではないか」と批判しました。
そのうえで、佐々木議員は、空前の利益をあげている大企業が、まともに税金を支払っていないと指摘しました。
特に6銀行グループが、3兆円以上の利益をあげながら法人税ゼロという異常な実態こそ是正し、応分の負担を求めるべきだと主張しました。
この問題は、11月10日の財務金融委員会でも引き続いて質問しました。
また、佐々木議員は、山本大臣の政治資金パーティーのパーティー券の購入先に金融機関が含まれているかと質問。これにたいして、山本大臣は「調査して、またご報告したいと思います」と答えました。
この報告は、11月10日の財務金融委員会で行われました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、山本大臣、突然ですが、一昨日、25日の夜、東京芝公園の東京プリンスホテルで何かの集まりに出席したそうですが、どんな集まりだったんでしょうか。
○山本金融担当大臣 私の後援会の会合がございました。
○佐々木(憲)委員 後援会の会合ではなくて、資金集めパーティーだったんじゃないですか。
○山本金融担当大臣 私の認識としては、例年、後援会の皆さんに一同お集まりいただく定期的な会合という認識の方が強くございましたものですから、そういう意味におきましては、年に一度お目にかかれるチャンスということのウエートの方が高かったというように考えております。
○佐々木(憲)委員 たしか案内状に、政治資金規正法第八条の二に規定する、そういう政治資金パーティーだという案内状を出されたんじゃないですか。後援会の案内状ではないでしょう。
○山本金融担当大臣 例年、そうした意味において、政治資金規正法にのっとって事業報告を正確にさせていただいているパーティーであることは間違いありません。
○佐々木(憲)委員 結局、後援会じゃなくて、資金集めを目的としたパーティーだと思います。
これは、企業に幾ら買っていただいたのか、中に金融関係含まれていませんか。
○山本金融担当大臣 現在、どこにどれだけという報告をまだ聞いておりませんけれども、例年ですと、金融関係の方には余りそういう御負担はいただいていないというように承知しております。
○佐々木(憲)委員 今回はどうなんですか。
○山本金融担当大臣 例年どおりであるというような認識をしております。
○佐々木(憲)委員 つまり、金融関係も含まれていると。
これは極めて重大だと思うんですね。金融担当大臣でありながら、それを金融機関に買っていただいて資金集めをする。しかも「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」というのが閣議決定でございまして、この中には「パーティーの開催自粛」、つまり大臣となった場合には自粛をするんだ、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」と。この規定にも抵触する可能性が非常に高い。
また、今おっしゃったように、その資金の対象をみずから所管する金融機関から資金を集めていたとなると、二重に重大な問題だと思いますが、そこは調査をして是正をされたいと思います。いかがですか。
○山本金融担当大臣 できるだけ、特定の業界、特定の者に負担をかけることのないように、広く薄くお願いをするように考えております。
また、善意で、たまたま私の後援会に協力という形でパーティー券を取得される方、購入される方については、非常にありがたいとは思いますものの、そのことによって、政策、特に金融政策において何らかの不公平等があることが絶対にないように戒めながらやっていく所存でパーティー事業等を開かせていただいているという認識でございまして、御懸念、もっともであろうと思いますけれども、いよいよ、そういった観点、ますます律しながらやっていきたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 金融機関は、これは含まれているかどうか調査をして、含まれていた場合には返還をする、当然そうすべきだと思いますが、いかがですか。
○山本金融担当大臣 調査して、また御報告したいと思います。
○佐々木(憲)委員 尾身大臣に伺いますが、このような政治資金集めのパーティーを開く予定はありますか。
○尾身財務大臣 これは閣僚の規範がございまして、大規模な政治資金パーティーは自粛する、こういうことでございまして、大規模な資金パーティーは自粛をするつもりでおります。
○佐々木(憲)委員 大規模の基準がいろいろ問題ですけれどもね。大臣は自粛するというのが本来あるべき姿だと思いますので、よくこの規範を念頭に置いて対応していただきたいと思います。
きょうは最初ですので、この程度にしておきたいと思います。調査の上、問題があれば、さらに追及をしていくつもりでございます。
そこで、尾身大臣に、景気の認識からお伺いをいたしますが、所信表明で、「我が国経済は、長い停滞のトンネルを抜け出し、民間需要に支えられた景気回復を続けております。」このように述べておられます。しかし、多くの国民には実感が伴わないというのが聞かれるわけですね、そういう声が。
お配りした資料を見ていただきたいんですが、確かに大企業の利益は非常に伸びているわけです。それは確かに回復をしていると私は思います。例えば経常利益、右の上の方にありますが、10億円以上のところを見ますと、2001年には15兆3300億円、これが2005年には29兆4300億円、2倍近い伸びを示しておりますし、役員賞与に至りますと、716億から6126億、これは10倍近いわけであります。それから、社内留保はどんどん積み上がっている。これを見ると、確かに大手企業の利益の拡大は際立っている、このように思います。中小と比較しましても、その特徴は歴然としていると思います。
しかし、もう一枚目をあけていただきますと、家計の側は決してそういうテンポで収入が伸びているわけではございません。逆でございまして、例えば収入の内訳を見ますと、実収入、7期連続の実質減少、そのうち世帯主定期収入は、これも7期連続実質減少、それから臨時収入・賞与、2期ぶりの実質減少、配偶者の収入、3期連続の実質減少、こういうふうになっているわけです。しかも、そういう中で、非消費支出、6期連続の減少、可処分所得、7期連続の実質減少、消費支出、2期連続の実質減少、こういうふうに、直近の統計を見るだけでも大変な停滞状況であります。
この背後にはさまざまな要因がありまして、例えば、リストラで雇用不安、そういう中で賃金が非常に抑えられる、そういう給与の面での低下というのは非常に大きく進んでいる。さらに、負担が非常にふえているということで、消費支出が低迷しているわけですね。一番下のグラフがそれを端的に示しておりますが、これは2000年を100としまして、ちょうど真ん中に線がありますけれども、ずっと沈んだままなんですね。水面下に低迷しているというのは直っていないわけでございます。
こういうことを考えますと、尾身大臣、一部の大手企業の利益を中心に非常に大きな伸びを示しているけれども、しかし、庶民の暮らしは水面下を低迷しているんじゃないか。そういう意味では、この格差というものは非常に開いているというふうに私は思いますけれども、大臣、どのような認識でしょうか。
○尾身財務大臣 景気が全体として順調に回復しているというのが私どもの実感でございまして、収益改善あるいは設備投資の増加などが続いているというふうに考えております。
この企業部門の好調さが徐々に家計部門へも及びつつあるというふうに感じておりまして、特に直近、足元でございますが、正規雇用者の増加、あるいは消費につきましても基調としては増加を続けているというふうに感じているところでございます。
○佐々木(憲)委員 どうもこの数字と合わないですね。増加を続けているんじゃなくて、実質減というのがずっと続いているわけでありまして。
では、具体的にもう少しお聞きをしていきたいと思います。
まず、山本大臣に、再チャレンジ担当大臣ということでもございますので、特に高齢者の場合、これは再チャレンジで頑張れと言われてもなかなか大変だということであります。若者は再チャレンジというと多少何とかしようかなという気にもなるかもしれませんけれども、高齢者の場合、それよりも安心して暮らせるようにしてもらいたいというのが実際の声だと思うんです。その声にどうこたえるか、これは大事だと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○山本金融担当大臣 先生おっしゃるとおり、高齢者の中で、勤労のチャンスがない方の上に、さらに勤労の能力という意味での労働参加ができない方、こういった方にはセーフティーネットをしっかりするということの方がむしろ大事であろうと思います。
しかし、チャンスに恵まれないという方で能力がある方、そこのところでは、むしろ再チャレンジ支援策というのが大事になってくるようでして、今回の概算要求の中にも書かれてありますが、70歳以上の雇用促進というようなテーマで各企業にお願いするという施策も今回盛り込まれているのは、それは一つは、まだまだ若者には負けない、頑張ろうという人にチャンスを与える必要があろうというように思っておりますので、高齢者のそれぞれの方々の特性に応じて、こういった施策を講じたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 セーフティーネットをしっかりするのは大事だというのは、私もそのとおりだと思うんですね。ところが、なかなか負担が重いために、セーフティーネットが今壊れつつあるんじゃないか、こういう感じがするわけです。特に高齢者の生活は非常に厳しいところに追い込まれております。
そこで、具体的な数字を確認したいんですが、厚労省、来ていらっしゃると思います。
高齢者の保険料、利用料、税の負担、この数字を確認したいんですが、例えばモデル年金世帯、夫が平均的収入で40年間就業して妻がその期間すべて専業主婦であった、こういう世帯と言われておりますが、その場合は、夫が年に200万円、妻が79.2万円、合わせて279.2万円の収入のある年金世帯、こういうことになると思うんですね。その場合、介護保険料、国民年金保険料、これは自治体によって違いますけれども、全国平均の数字を聞きたいと思うんです。
2001年度と2007年度を比べると、介護、国保の保険料、それぞれ年額幾ら負担がふえるか、この数字を示していただきたい。
○御園政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) まず私から、介護保険の保険料についてお答えしたいと思います。
介護保険料でございますけれども、御承知のように、高齢化の進展なりあるいは介護保険制度の普及、定着ということで介護保険給付費が増加しておるところでございまして、その結果、平成18年度から平成20年度までの第3期保険料の全国平均も増加をしているわけでございます。
御質問のモデル年金世帯の介護保険料の合計額、全国の加重平均の介護保険料を用いて機械的に試算をさせていただきました。この私どもがいたしました機械的な試算によりますと、平成13年度は1月当たり夫婦2人で4400円でございまして、平成19年度はこれが5100円となりますので、増加額は1月当たり700円でありまして、年間約8400円の増ということになっております。
○白石政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) あわせて、国民健康保険料のお尋ねがございました。
税制改正に伴いまして、国民健康保険料の影響というのは、御案内のように、基礎年金のみで生活されている年金受給者は影響を受けないわけでございますが、一定以上の収入がある方については段階的に引き上げているわけでございます。
本当にいろいろ前提を置いてやらなきゃいけないわけでございますけれども、御案内のように、国保はそれぞれの市町村で財政状況でいろいろ違いがありますが、あくまでも試算ということでしてみますれば、御主人が200万円ぐらい、奥様が79万2千円という高齢者世帯ということでは、税制改正のこと、それから応益割りの軽減、負担割合の区分が変わること、それから医療給付費がふえる等々の理由によりまして、機械的にお尋ねの年度の間では約4万3千円の増加でございます。
○佐々木(憲)委員 4万3200円というのが一番細かな数字だと思うんですが。
今、介護保険料は2001年から2007年の間に8400円の負担がふえる、さらに国保が4万3200円ふえる、合わせますと5万1600円、こういう負担になるわけです。この介護と国保の二つの保険料で、これまで年間10万5600円の負担だったのが15万7200円にふえる。
この世帯の場合、例えば仮に夫が特養ホームに入所したという場合、利用者負担、食費、居住費、いわゆるホテルコスト、合わせて幾らふえることになるんでしょうか。
○御園政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) 御指摘の、介護保険の利用者負担の合計額の増加でございますけれども、在宅と施設の給付の負担の公平を図るという観点から、介護保険施設における食費、居住費につきましては、所得の低い方が入所が困難にならないような、所得の低い方に対する配慮をしつつ、食費、居住費について保険給付の対象外としたことによってその負担が増加をしているわけでございます。
御指摘の、モデル年金世帯で食費、居住費を含めた利用者負担の合計額を見てみますと、平成13年度は1月当たり約3万9800円でございましたが、これが平成19年度は約5万4100円になりますので、増加額、1月当たり約1万4300円でありまして、これを年間に直しますと、17万1600円の増ということでございます。
○佐々木(憲)委員 これも17万1600円、こういう負担になる。実際の負担額でいいますと、約48万円だったのが65万円になる、17万円以上の負担、大変なふえ方だと思うんですね。
では、もう一つのケースですが、夫が70歳以上で病気になって療養病床に入院したケース、その場合の医療費の負担は幾らふえますか。
○白石政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) お尋ねの、モデル年金世帯におきまして療養病床に入院したケースということでございますが、月額で当初3万9800円のものが19年度には5万3500円、1万3700円月々ふえるものというふうに試算はできます。
ただ、療養病床の場合、平均在院日数が大体半年ぐらいなものでございますので、年額にというお尋ねはちょっといかがとは思いますけれども、単純に12倍いたしますと、16万4400円の増でございます。
○佐々木(憲)委員 これも大変な負担増なんですね。
ですから、今確認いたしましたけれども、年収約280万円のモデル年金世帯の場合、介護保険料、国民健康保険料の負担というのが年に5万1600円ふえる、その上、特養ホームに仮に入所した場合17万1600円ふえる、合計して22万3200円の負担増なんですよ。病院に入院した場合、これも機械的試算ですけれども、合わせると21万6000円の負担増。これでは1カ月分の年金が全部吹っ飛んでしまうわけです。
今確認をいたしましたのは、年収約280万円のモデル年金世帯の場合であります。これが年収が300万、400万という高齢者世帯になりますと、さらに税金の負担が出てくるわけです、所得税、住民税。
尾身大臣にお伺いしますが、高齢者世帯の場合、年収304.2万円、379.2万円、それから400万円、こういう世帯の場合、所得税、住民税の増税というのは一体どういうふうになりますか、2001年から2007年の比較で。
○尾身財務大臣 304万円の高齢者年金世帯の場合でございますが、税だけで見まして、平成13年、2000年前後の税がゼロでございましたのが、仮に言うと年金304万円でいいんですね、標準型といいますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)304万円の方々については2万7千円になっております。
ただ、同じ所得であっても、給与所得者、つまり現役世代と高齢者世代では現役世代の方がはるかに大きい負担になっている。同じ所得で高齢者世代が非常に優遇されていて現役世代が厳しい状態になっているということの是正をするという意味で、年金課税の見直しを2004年、平成16年にしたわけでございます。
例えば、今の例で税負担を見ますと、所得税、住民税を合わせまして、同じ304万円の収入で、高齢者負担は2万7千円の負担でありますが、給与所得の現役の世代は14万円の負担をしているということでございまして、同じ所得の現役世代と高齢化世帯では五倍ぐらいの税負担がある、現役世代の方が負担が多いということでございます。そういう意味で、高齢化世代に対しましての税負担という面では、なお現在でも相当に優遇されている、優遇しているというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 数字、まだお答えになっていないのは、年収379.2万円と年収400万円、この数字をお答えになっていないんです。
それから、先ほどの、何か現役世代の方が負担が大きいという話でありますが、年金世帯で、体力も弱まり、それからいろいろな病気の可能性も出てくる、稼得が少ない、そういう方々は特別の支援が必要である、これが今までの考え方だったんですね。ですから、何か、バランスだ、バランスだと言うんだけれども、私は考え方が全く違いますので、それはそれとしてまた議論をしていきたいと思いますが、言われなかった数字だけつけ加えていただきたい。
○尾身財務大臣 これは、佐々木委員は数字だけとおっしゃいましたが、私どもも感想を述べさせていただかないと国会の議論になりませんから申し上げさせていただきますが、所得が380万円の場合、年金世帯の場合は、5年前は4千円の税負担でございましたが、これが14万円になっております。他方、給与世帯の場合は、5年前13万円の負担であったものが21万円に、税負担、所得税、住民税合わせてなっているわけでございまして、同じ380万円の所得で、片方は14万円の税負担、片方は給与世帯は21万円の税負担ということで、同じ所得でありながら、給与・現役世代は1.5倍の税負担をしているという現実も理解をしていただきたいと考えている次第でございます。
○佐々木(憲)委員 年収で379.2万円の場合、2001年と2007年を比べますと年間13万8千円の増税になると思うんです、今おっしゃったのは。うなずいておられるからそのとおりだと思うんですが。それから、年収400万円の場合は年に16万4400円の増税になると思うんです。これは大変な増税なんですよ。
同じ所得でありながら、現役がこうで高齢者が少ないとおっしゃいますけれども、高齢者の場合だって現役のときにはちゃんと払っているんですから。高齢者になった場合には、長年働いてこられて退職されてそういう年金生活をされるということで、それを全体で支えていこう、こういうことで今までやってきているわけです。それを、支えを外してどんどん増税だ、こうなると、これは304万円の場合でもゼロからいきなり2万7600円、年収379万の場合、3600円だったのが14万1600円、40倍ですよ。400万円の場合、5500円から16万9900円、31倍。これは数倍とか十倍という話じゃなくて、何十倍という世界の負担に急になってくるわけですね。
その上に、先ほどの保険料の負担が加わってくるわけです。これは、例えば304万の世帯では、介護保険料と国民健康保険料、所得税、住民税の負担、合わせますと14万2800円から23万5200円にふえる、負担の増加分は9万2400円になる。しかも、特養ホームに入ると、さらに48万7200円も負担がふえる。それを加えると57万9600円の負担になる。負担増だけでですよ。夫が入院した場合、医療の自己負担が64万2千円もふえる。合計すると73万4400円の負担増なんです。ふえる分だけでですよ。
負担額を見ますと、額でいいますと、例えば304万円程度の年収の場合、半分近くの120万円から135万円がこれらの負担によって消えていくわけです。これは大変な額なんですよ。379万2千円の場合の世帯は、介護保険料、国民健康保険料、所得税、住民税の負担、22万8千円から43万3200円へ20万5200円も負担がふえる。特養ホームに入ると、負担は29万4千円ふえる。合わせた負担増は49万9200円。夫が仮に入院したら、38万8800円の負担増。合計すると59万4千円、こういう負担がふえる。380万の収入のうち140万円とか155万円が、これらの保険料、税金、介護利用料または病院代、これで消えていくわけです。これは余りにも急激な、大変な負担増だというふうに思います。
この数字自体は、これはそのとおりですね。
○尾身財務大臣 保険料負担が幾らふえたかという数字は先ほど厚生労働省の方がお答えしたとおりでございますが、年収379万円という標準世帯で、私どもは、年金あるいは医療保険、介護保険等のサステーナビリティー、持続可能性ということをどうしても考えていかなければならないと思っております。つまり、制度自体がパンクをしてしまいましたら、これは国民全体が困るわけでございますし、特に高齢者の皆様が困るわけでございますから、制度の維持可能性ということをしっかりと確保していかなければいけないというのが我々の考え方でございます。
そういう中で、税あるいはいろいろな社会保障負担についても増額をお願いしてきたことも事実でございますが、その結果としてそれではどういうことになっているかといいますと、379万2千円の標準世帯で見て、税全体及び保険料負担全体で見て、年金の世帯の場合には43万円、現役世代の場合には72万円の税、社会保障負担を払っているということでございまして、同じ380万円の世帯が、片方は43万円、片方は72万円という税負担になっております。
そういう意味で、私どもは、高齢者の方々に対しては、現役世代と比べて物すごく大きな負担軽減を実際に実施しているというふうに考えておりまして、高齢者の皆様に対してかなり優遇した税制及び社会保険制度をとっているというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 優遇していると言いますけれども、とんでもない話で、制度維持のためにこういう負担増を押しつけていきますと、生活が成り立たないという声が広がっているわけです。本当にこれ以上とれないような状況のところに突き落として、身ぐるみはぐような、こういうやり方なんです、実際上。今ここに挙げたのは一つの部分にすぎない。ほかにもいろいろあるわけです。現役世代と比べてと言いますけれども、高齢者は現役世代のときはちゃんと現役世代の負担をしているわけだから。高齢者になったら支えましょうということで始まったわけです。
それが、ともかくこういうことで、私のところにもいろいろな訴えがありますけれども、一体幾らになるのかと考えるとそら恐ろしい感じがします、こういうことを言われます。ことしの税額通知が役場から送付され、その額を見てびっくりしました、すぐ役場に向かいましたが、国の税制が変わったからだという答えのみでした、私の市では保険料なども一緒に上がったのでなおさらです。これは住民税の増税の通知に対する声です。
それから、税金の請求が来て頭にきています、介護保険はこれまで3600円だったのが1万2400円の天引き、国保税は1回1万7千円だったのが3万5900円、これを6回払えと言うんです、非課税だったのが、県民税、市民税も2人合わせて6万9700円の請求になっています。それだけの請求が来た、負担だけでも年金の1カ月分になる、生活できない、こういうふうに言われております。
私も、先日出演したあるテレビの番組で、90歳の高齢者が、国会の前に連れていってくれ、国会の前で私は死んで抗議したい、こういう声まで出ているんです。これはちょっと余りにもむごいやり方ではないかというふうに私は思います。
それで、厚生労働省に確認したいんですが、ことしに入って高齢者の負担がどんどんふえてきましたが、ことし1月から来年12月までの期間、既に決まって実施されているもの、これから実施するものもあわせて、すべて、どういうものがあるか示してください。
○白石政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) 便宜、私の方から税も含めまして御説明申し上げますと、まず、本年の1月に所得税の定率減税が2分の1に縮減がありました。
それから、4月に、給付額の増あるいは税制改正等によりまして、介護保険料の改定と国民健康保険料の改定が行われておりますが、これはそれぞれ激変緩和措置つきでございました。それから、現役世代の負担とのバランスの観点から、年金のマイナス物価スライド、マイナス0.3%がございました。それから、一般の低所得者世帯との均衡を図る観点から、高齢者の生活実態を踏まえまして、平成16年度から段階的に縮小しております生活保護の老齢加算の廃止があります。
それから、6月に、個人住民税の老年者控除の廃止と国民年金等控除の見直し、それから個人住民税の定率減税の2分の1への縮減、それから段階的に廃止されます個人住民税の老年者非課税限度額が3分の2になりました。
7月、公的年金等控除の見直しなどの税制改正に伴いまして、介護保険の一割負担と、それから食費、居住費に係ります利用者負担段階の改定がありました。これは激変緩和措置を講じております。
それから、8月に、同じく税制改正に伴いまして、医療保険の1割負担と食費負担に係ります患者負担区分の引き上げ等がございましたが、これも激変緩和を講じております。
10月、今月でございますが、医療保険におきまして、御案内のように、制度の持続可能な展開ということと、現役と高齢者の負担の公平という観点から、70歳以上の現役並みの所得の方の患者負担が見直されております。2割から3割でございます。それから、介護保険との負担の均衡の観点から、療養病床の入院患者に係ります食費と居住費の負担の見直しが行われております。
来年の1月でございますが、所得税の定率減税が廃止されることになっております。
また、6月に、先ほどのことし6月の残り分といいますか、引き続きでございますが、個人住民税の定率減税の廃止と、それから段階廃止であります個人住民税の老年者非課税限度額が3分の1に縮減でございます。
○佐々木(憲)委員 これだけの、高齢者に対する負担増の大波が次から次と押し寄せているという状況なんですよ。全部で15項目もあるじゃありませんか、ことしから来年にかけて。当然、こうなってくれば、今までの30倍、40倍の負担になるんですよ。こんな高齢者いじめというのは私はやめるべきだと思う。
厚労省に聞きますけれども、これからこれ以上の負担は一切ない、はっきりと答えてください、一切ないと。
○白石政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) 例えば、先般の医療制度の改革によりまして、平成20年4月施行が決まっております70歳から75歳未満の高齢者の患者の負担の割合は、1割から2割へ見直しなどがございます。また、このほかにも、平成20年度におきましては、税制改正に伴う国民健康保険料あるいは介護保険料の上昇等に関する、先ほど来御説明しております激変緩和措置の終了等がございます。
申すまでもないことでございますけれども、こういった制度改革というのは、先ほど財務大臣の方から御答弁ございましたように、社会保障制度の持続可能性を高めるセーフティーネットとしての機能を発揮するというために、低所得者には配慮しつつも、世代間の公平であるとかということを考えますと、特に負担能力のある高齢者に対して応分の負担をお願いするということで、現役世代も含めた国民の負担を極力抑えるという観点から行われたものでございますので、医療、介護等のサービスが引き続き続けられるようにするための見直しということでございます。
○佐々木(憲)委員 これ以上ないのかと思ったら、まだあると。とんでもない話だ。
では、もうかっている大企業、大銀行は税金を払っているんですか。大銀行の6大グループ、連結決算で最終利益は幾らになっていますか。法人税、ことし3月、払っていますか。
○山本金融担当大臣 18年3月期の大手六銀行グループの当期純利益は、傘下銀行合計で約3兆円を計上しております。
○佐々木(憲)委員 法人税を払っていますか。
○山本金融担当大臣 法人税は、3月期に納税額は発生していないと思料しております。
○佐々木(憲)委員 銀行は空前の利益を上げているんです、3兆1215億円。法人税はゼロなんだよ。そういう状況で……(発言する者あり)ボーナスも。本当に私は、何で金のあるところに払ってもらわないのか。
もう、ともかく大変な状況にある高齢者をどんどんどんどん痛めつけて、わずか2年間で15項目も負担増を重ねて、その前もあわせたら大変なものだ。そういうことを放置しておいて、何が再チャレンジか。再チャレンジというなら、まずこの負担を全部減らす、全部もとに戻してから言うべきだ。私は、こういう負担増をこのまま放置していいとは思わない。
最後に、尾身大臣、こういうものに対して何らかの対応というのが必要だと思うんだ、私は。どうですか。
○伊藤委員長 質疑時間は終わっていますので、簡潔にお願いします。尾身財務担当大臣。
○尾身財務大臣 今、佐々木委員のおっしゃいましたように、日本の財政を維持していかなければなりません。そして、もしこれができなければ、後世代に負担を、ツケを回さざるを得ないという状況の中にあるということは御理解をいただきたいと思います。
そして、同時に、この今の金融機関の所得でありますが、これは税制上のルールでございまして、過去7年間に損失が出たものは損失として繰り越していくということができることになっております。これは銀行だけではなしに、すべての企業に平等に適用されるわけでございます。その過去七年間の損失の累積が相当ありまして、その損失の累積を全部消化するまでは税金は払わなくてもいい、つまり昔7年間の間に損失が出たことが、ここ1、2年、利益が出ていますが、この7年、今のことしも入れて8年間分の全体としては銀行は赤字でございまして、そういう意味で、ことしは税金を納めなくていい、納めない、これが税法上のルールでございまして、これはあらゆる中小企業、大企業、全部共通のルールであります。
○伊藤委員長 時間が終わっておりますので、簡潔におまとめください。
○佐々木(憲)委員 もう時間ですから、終わりますが、税制上のルールといいますけれども、こんなルールをつくった方がおかしいんですよ。大体、税金をまともに払わないようなルールを……
○伊藤委員長 時間が経過しておりますので、佐々木委員、結論をまとめてください。
○佐々木(憲)委員 こういう銀行からいわば献金をもらって、こんな政策をやり、お年寄りをいじめる、こういう政治はもうやめるべきだ、はっきりと申し上げたいというふうに思います。
以上で終わります。
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