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金融(銀行・保険・証券), その他 (災害支援)

2011年05月30日 第177回 通常国会 震災復興特別委員会 【612】 - 質問

震災復興 過去債務凍結と二重ローン解消求める

 2011年5月30日、佐々木憲昭議員は、東日本大震災復興特別委員会で質問し、「新たなスタートのために既存債務を何とかしてほしいというのが被災者の声だ」と強調し、具体的な対策を求めました。

 佐々木議員は、大門実紀史参議院議員が二重ローン解消の枠組みを提起したのに対し菅直人首相が「大変検討に値するスキームだ」(13日の参院予算委員会)と述べたことを紹介し、「首相と同じ立場か」とただしました。
 これに対し枝野幸男官房長官は「同じ考えだ」と述べ、海江田万里経済産業大臣は「関係省庁と連携をとり、(対策を)実施する」と明言しました。
 その上で佐々木議員は、二重ローン対策として返済を20年間猶予するとともに、公的機関が利子補給する枠組みが考えられると提起。「公的資金の投入を受けて救われた銀行が恩返しすべきだ」とのべ、利子補給の財源の一例として預金保険機構を活用することなどを求めました。
 枝野官房長官は、「(活用が)許されるかはかなり慎重な検討がいる」とのべる一方、「資金が必要なら財政資金も含めて検討すべきだ」と表明しました。
 佐々木議員は二重ローン対策を2次補正予算に盛り込むことを要求。
 野田佳彦財務大臣は「首相からの指示もあり、関係省庁と幅広い検討をしている。成案がまとまれば、すみやかに予算措置、税制措置をとる」と表明しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 復旧復興を考える前提として、まず、被災した沿岸地域の特徴について確認をしたいと思うんです。
 農林漁業が中心でありまして、零細な中小業者が多い、しかも、高齢者の比率が大変高いという特徴がございます。
 資料を見ていただきたいんですけれども、被災地の人口統計です。1枚目は、ちょっと数字が細かいんですが、津波被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県の沿岸部と、計画的避難区域を含む市区町村の統計であります。これは2005年の国勢調査をもとにしております。2枚目に岩手県、3枚目に宮城県、4枚目に福島県、それぞれ対象地域を示しております。
 1枚目のちょうど真ん中のところに、60歳以上の人口とその比率が示されております。参考として載せてありますけれども、これを見ても明らかなように、この沿岸地域で60歳以上の方々が占める割合というのは大変高いんです。岩手県で35・2%、宮城県で25・8%、福島県で28・3%であります。岩手県は特に比率が高い。市町村別に見ますと、一番比率の高いのは岩泉町で41%、釜石は39%、陸前高田38%。人口の大体4割を60歳以上が占めているわけです。この実態を踏まえた地域経済の復興というのが大変大事だと私は思うわけであります。
 片山大臣にお聞きしますけれども、この被災地の特徴をどのようにとらえておられるか、どのような復興の筋道が必要と考えておられるか、まずお聞きをしたいと思います。
○片山総務大臣 今次の大震災の被災地は広範にわたり多様でありますけれども、特に今御言及のありました岩手、宮城などを見ますと、沿岸部は非常に高齢化が進行している、過疎化も進行している、それから、産業基盤でいいますと第一次産業が中心となっている、こういう地域特性があると思います。
 この復興といいますものは、復旧復興は要諦は何かといいますと、現時点で、今本当に不安に駆られて絶望に陥っている皆さん方に、不安を解消して少しでも安心の心を持っていただく、絶望をいやして多少なりとも希望を持っていただく、これが一番の基本だろうと思います。
 そのためには、まず、生活基盤の安定ということで、住むところをいかに確保するか。これは幸いに、長年のいろいろなこれまでの経緯を踏まえまして、既に住宅再建支援というものができておりますので、これを中心に取り組んでいただくということでありますし、もう一つは、生業の安定ということで、特に高齢者の皆さんが多いというところ、一次産業ということですから、その方面で、高齢者の皆さんの生業の取り戻しということもありますし、高齢者の皆さんを地域全体で支える若い皆さん方の生業の場、就業の場ということも必要になってくる。
 したがいまして、まずは生活基盤の安定、それから生業の回復ということ、これが目下の一番の課題だと思います。
○佐々木(憲)委員 漁業就業者の高齢化は大変進んでおりまして、2008年の農業センサスによりますと、被災自治体の漁業就業者のうち60歳以上の占める比率は、岩手県が51・3%、宮城県46・5%、福島県32・7%、こうなっているわけです。漁業従事者の中で平均して60歳以上が半分、こういう状況であります。
 復興を考える場合、こういう農業、水産業、中小企業を担ってきている方々、60歳、65歳になってこういう被災に遭って、もう一度事業を復活させるというのは、これは並大抵のことじゃないんです。60歳以下の方にも当然頑張っていただかなければならない。被災した地域経済の復興というのは、非常に、そういう意味では、どのようにその意欲に対して国が手を差し伸べるかということだと思うんです。
 枝野官房長官に、そういう方々に国がしっかり支援の手を差し伸べるということが大事だと思うんですが、確認をしておきたいと思います。
○枝野官房長官 御指摘のとおり、この地域は、過疎化、人口減少と高齢化がもともと顕著であるところでございますし、またその基盤である産業を支えていらっしゃる方が高齢化が進んでいるということでございます。
 地域をしっかりと復興、復活させるためにも、こうした高齢者の皆さんが意欲を持って復興に取り組んでいただけるような支援をしてまいりませんと、そうした個々人の皆さんの暮らしも、そして地域も復旧、復活、復興させることはできないというふうに考えておりますので、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これらの業者が営業再開する際には、当然資金が必要であります。その場合、私が聞いておるのは、金融機関から非常に不当な扱いを受けているんだという話が伝わってきます。
 例えば、例を挙げますと、宮城県の多賀城市の飲食店の例ですけれども、津波で非常に大きな被害を受けた。そこで、政策金融公庫に相談に行って、200万円融資を申し込んだ。ところが、こう言われたというんです。前の借入分と住宅ローンの返済を合わせたら、借りても返済できないでしょうと言われて、断られた。津波で店舗がだめになって、それでも何とか営業再開しようというときに、今までの借金分の返済もあわせて返せと言われると、これはだれも借りられないですよ。これでは復興ができない、こういう声が上がっております。
 それから、岩手県の宮古市の業者の場合、震災で仕事がなくなったので、運転資金を借りたいと銀行に相談に行った。ところが、以前に融資を受けたものについての支払い方法の相談には応じるけれども、仕事がないんだから新規は無理です、こういうことで断られた。これは、今までの負債があるから新たな資金を融資しないということでは、再スタートというものは切れないんですよ。
 自見大臣に確認しますけれども、被災者に対して、過去の債務があるという理由で新規融資を断るというようなことがあってはならない、被災した中小企業に対して別枠で融資をきちんと行う、金融庁としてそういう立場で指導すべきではないでしょうか。
○自見金融担当大臣 佐々木議員にお答えいたします。
 震災当日から、3月11日でございますが、金融庁においては、金融機関に対して、災害の影響を直接、間接に受けている顧客から返済猶予等の貸し付け条件の変更等やつなぎ融資の供与等の申し込みがあった場合には、中小企業円滑化法の趣旨を踏まえて、できる限りこれに応じるように繰り返し繰り返し要請をしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 そういう要請をされても、実際には現場には届いていないというのが多くの皆さんの声の中にあります。もう一度その点をしっかりと調査していただきたいし、是正をしていただきたい。
 被災した業者が営業再開のときに最大のネックになっているのが、過去の借金を抱えながら新規の借り入れをしなければならぬ、こういう二重ローンの問題であります。
 5月10日に宮城県震災復興金融協議会というのが開催されまして、その場で七十七銀行の頭取はこう言っております。被災企業は工場などを再建しても事業規模が従来に戻るとは限らず、実質的には三重、四重の債務を抱えることになる、多くの企業が債務の大きさに立ちすくみ、やる気を失うのを非常に心配している、こういうふうに発言をしております。
 この委員会でも、マイナスからではなく、せめてゼロからのスタートができるようにしてほしいという言葉が繰り返し皆さんから話されております。
 菅総理は二重ローン解消について、我が党の大門実紀史参議院議員に対しまして、政府として何とかしなければならない大変重要な課題だ、二重ローンにならないようにする大門議員の提案は大変検討に値するスキームだ、しっかりと検討させていただきたい、こう述べたわけです。
 この点について、枝野官房長官、海江田経産大臣、総理と同じこういう姿勢で取り組むということを確認したいと思います。
○枝野官房長官 総理と全く同じ考えでございます。
○海江田経済産業大臣 私も総理と同じ考え方でございますので、枝野官房長官ともども、関係省庁とよく連携をとって、1日も早くこの実施に努めたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 とりわけ信金、信組の場合は、みずからも被災しながら零細の貸出先を支えているわけであります。
 資料の5枚目を見ていただきたいんですが、これは信用金庫の従業員規模別の貸出先の構成比でございます。従業員がゼロから10人までの零細企業は実に85・8%を占めております。6枚目は信用組合の場合でありますが、従業員が1人から4人の零細企業は8割台。圧倒的に信金、信組の場合には相手が零細企業でございます。
 そこで、自見大臣にお聞きしますけれども、被災した中小企業や個人向け融資の総額、これはおおよそどのくらいと見ているか、数字を示していただきたい。
○自見金融担当大臣 お答えをいたします。
 被災地の各金融機関において、現在、顧客の状況等について確認作業を進めているところと承知をいたしておりますが、現時点では、先生御存じのように、被災地向けの貸付債権については、利子総額も含めて具体的に正確な数字を申し上げる状況にはないというふうに御理解をいただきたいと思います。
 その上で、金融庁は、預金取扱金融機関、主要行3行、地域金融機関それから労働金庫からのヒアリングをもとに、実は22年9月末の時点での被災地に所在する営業店の貸出金残高を集計したところ、これは1兆1900億円から2兆7800億円となりまして、この貸出残高をもとに、貸出平均金利が2%あると仮定しますと、あくまでこれは仮定に基づいた機械的な推計でございますが、利子総額は年間240億円から約560億円程度になるというふうに推計いたしております。
○佐々木(憲)委員 答弁を求めた次の質問の答弁までしていただきまして、ありがとうございます。
 総額として、この地域の被災された中小業者を含む貸出先、これは農林漁業も含んでおりますが、総額として1兆2千億円から2兆7千億円という額ですね。まあ2兆円程度であります。これは利子だけでどのくらいかということで、最後に答弁をされたのは、240億円から560億円なんですね。ですから、金額としてはそれほど大きくはないわけです。
 今の統計は、資料7枚目に3県に本店を置く地方銀行の統計がありますし、03県に本店を置く信金、信組の統計も8枚目にあります。
 それで、被災者の場合、どうしても、過去の債務を何とか棚上げしてほしい、簡単に言いますとチャラにしてほしい、そういうのが率直な気持ちなんです。それが無理なら、せめて、少なくとも既存の債務を一時棚上げしてもらいたいと。
 例えば、20年ぐらい棚上げして、その間に、当然この利子を払わなきゃならぬけれども、その利子補給をしてもらう、そういうことが考えられるわけですね。そうすると、利子補給だけだと、先ほどの数字でいいますと500億円以下、毎年500億円から300億円程度で、そのくらいの金額があれば、20年間、これらの何十万という被災者の方々を救うことができるわけです。そのくらいの数字だという点であります。
 そこで、鹿野大臣にお聞きしますけれども、農水省として、東日本大震災の被災地にある農協、漁協に対する支援策というのはどうなっているか。九枚目は農協、漁協の貸出金残高で、合わせて8千億程度でありますが、農水産業協同組合貯金保険機構というのがあるんですね、これを利用したスキームを考えていると伝えられておりますけれども、その内容を説明していただきたいと思います。
○鹿野農林水産大臣 今、先生から指摘されますとおりに、今回の極めて大きな被害のために漁業者、農業者が甚大な影響を受けておりまして、そういう中で、何とか営農を再開したい、漁業をまた再びやりたい、こういうようなことになってまいりますと、どうしても農協なり漁協というふうなところが、被災漁業者なりあるいは農業者の事情に応じた資金の円滑な融通というふうなところが必要になってくるわけでございまして、そのためには、農漁協等の経営の健全性というものを確保することが不可欠だと思っております。
 そういう意味で、被災地域の金融機関の機能強化については、先般、金融庁におきまして、今般の震災に対応した金融機能強化法改正案が国会に提出されたわけでございますけれども、私ども、これらの動きというものに合わせまして、農漁協系金融機関につきましても同様の措置を講じてまいりたい、こんなようなところで今詰めておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 これは貯金保険機構を利用しながら行うという点と、それから、これは二重ローンの解消にも役立つと考えてよろしいかどうか、ここをもう一回確認したいと思います。
○鹿野農林水産大臣 前段の件はそのとおりでございますが、二重ローンのことにつきましては、当然、金融機関の体力を強化するというふうなことが必要でございますけれども、それとは別に、やはり二重ローンの問題というものは幅広い観点から対策というものを、先ほど官房長官、経産大臣からもお話がありましたけれども、具体的な措置を講ずるべく検討していかなきゃならないんじゃないかな、こういう認識でございます。
○佐々木(憲)委員 この貯金保険機構の活用というのは大変参考になる制度だと思うんですが、銀行の場合は預金保険機構というのがあるわけです。
 自見大臣にお聞きしますけれども、金融機関が支払っている預金保険料の総額は年間どのぐらいか、それから、責任準備金は現在幾らで、来年、再来年の見通しはどうか、数字を確認したいと思います。
○自見金融担当大臣 平成22年度の預金保険料の収入は6800億円でございまして、これはちょっと、将来の見通しということは、私、資料を持ってきておりませんが、先生御存じのように、これは大体、ことしは日本振興銀行がございましたから、あれで預金保険料は減りましたけれども、通年に戻れば大体6800億円ということで、今までずっと、なかなか、金融機関がつぶれましたので、赤字ということも大きかったわけでございますけれども、見通しとしては大体6800億円。今後は、収入がきちっと、預金者から当然、1万分の8・4いただいておりますから、見通しとしては、順調に入ってくる予定でございます。
○佐々木(憲)委員 今の数字は、一番最後の資料に配付をしたとおりであります。資料で配付しております。
 要するに、過去の不良債権処理というのは既に一段落をしまして、赤字部分はもう解消されて、来年ぐらいからは6800億円毎年積み上がっていく、こういう状況にあります。先ほど確認したように、利子補給分だけでも最大500億円程度、1年間の預金保険料の1割にも満たないわけでございます。
 銀行は、1990年代の金融危機の際に、公的資金の投入を受けて救われたわけですね。赤字だった責任準備金も解消して、毎年黒字が積み上がっていく。今度は、銀行の側が恩返しをすべき番だと私は思うんです。その資金を利用して二重ローンの解消につなげる、こういうことも十分できると思うんですね。
 枝野官房長官、このことも含めまして、財政資金も当然必要だとは思いますが、その前に、銀行にあるこういう預金保険機構の基金、農水産の場合には貯金機構から一定の資金ということもありました。これを含めて、二重ローン解消のスキームとして考えていくということも十分考えられると思いますが、いかがでしょうか。
○枝野官房長官 御指摘のお気持ちはわからないではないんですけれども、言うまでもなく、御承知のとおり、預金保険制度は、万が一の金融機関の破綻時に預金者の保護等を図ることが目的でございます。そして、基本的には、銀行のものというよりは、預金者がその一部を拠出して、それが積み重なるという形になっておりますので、それを今御指摘いただいたような形で使ってしまうことが果たして許されるのかどうかというのは、かなり慎重な検討が要るのではないだろうか。むしろ、もしそうしたことに資金が必要であるならば、財政資金も含めて検討をするべきではないだろうかというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 預金保険機構というのは、預金者を保護するのが基本だというのはわかります。ただ、銀行としての、金融機関の相互の、いわば互助会的な、そういう性格を持った機構でもあるわけです。したがって、こういう被災地を支援する、あるいは、被災地の信金、信組等、弱体化したそういう金融機関、そこを全体として支援していくスキームとしては十分考えられると私は思うわけでございます。
 それでは次に、野田財務大臣に聞きますけれども、二重ローン解消ということについては非常に前向きな答弁も、今まで、我々財務金融委員会で質問されたときに、債務者が困窮していくということは一番避けなければならない、しっかり協議をさせていただきたい、こういうような答弁をいただきました。当然、第二次補正予算案の中にこの二重ローン対策というのも盛り込まれるべきだと私は思うんです。枝野官房長官も、財政資金ということも必要だ、こういうふうに今御答弁がありましたので、ぜひ、二次補正の中に二重ローン対策というものも組み入れる、これは当然のことだと思うんですが、いかがでしょうか。
○野田財務大臣 一応、第一次補正でも、金融支援という意味では二重ローンに対する対応は一定のものが入っておりますけれども、総理からの御下命もございまして、先ほど来、官房長官を中心に御答弁しておりますが、内閣府、金融庁、経産省、農水省、国土交通省等々、今関係省庁と、普通の金融レベルの対応だけではなくて、幅広い検討をしています。そこで成案がまとまれば、当然のことながら、速やかに予算措置、税制措置等を対応させていただきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今まで被災地では、二重ローンの問題で意欲を失う方々が非常にふえてきているんです。復興どころではないということになってしまわないように、そういう方々が安心して事業の再建ができるように、政府として全面的な支援、こういうことをやっていただくことを要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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