2011年04月22日 第177回 通常国会 議員運営委員会 【605】 - 発言
震災決議「復興は住民合意で」「原発見直しを」と主張 「日独決議」に侵略戦争の歴史認識後退と反対
2011年4月22日、衆議院本会議で、東日本大震災に関する決議が全会一致で議決されました。
「速やかな被災者の生活の回復と被災地の復興を実現する」とし、原発事故については「情報公開を確保し、政府の責任のもと内外のあらゆる英知を結集して、一刻も早い収束を図る」などとしています。
本会議に先立つ議院運営委員会で佐々木憲昭議員は、決議案の内容について、復興計画や原子力行政に関して、不十分さや弱点があるので共同提案はできないと意見表明しました。
佐々木議員は、復興のあり方の土台の問題として、「被災者の生活再建と地域社会の再建を基本」とすることを明記すべきだと主張。上から復興計画を押し付けるのではなく、「被災地域の住民の意見を尊重して合意を得て」すすめる点をはっきりさせるべきだが、明確でなく不十分だと述べました。
佐々木議員は、「原子力行政については、今回の事故の反省に立って国内すべての原子力発電所の総点検を行い、安全最優先で根本的に見直すこと」の文言を少なくとも盛り込むべきだと提起。かつてない深刻な原発事故を引き起こし、事態収束の見通しもたたないもとで、原子力行政のあり方に言及するのは当然だと強調しました。
また、本会議では、大震災への国際的支援に感謝する決議が全会一致で議決されました。
2011年4月22日、衆院本会議で、日独交流150周年決議が民主、自民、公明などの賛成多数で議決されました。
日本共産党、社民党、たちあがれ日本は反対しました。
本会議に先立つ議院運営委員会で意見表明した佐々木憲昭議員は、当初、議運委理事会に示された決議案は「侵略行為により、近隣諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」としていたが、今回の決議案では「侵略行為」が削除され、「各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけるに至り、両国も多くの犠牲を払った」と書き換えられており、「到底容認できない」と述べました。
村山首相談話(1995年)では「国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と表明していたことを指摘。「少なくとも村山談話が明らかにした歴史的到達点を踏まえるのが当然であり、侵略という認識を大きく後退させる決議をあげることは許されない」と述べました。
さらに、ドイツ連邦議会が今年1月にあげた日独交流150周年記念の決議では、「ドイツと日本は侵略・征服戦争を行い、被害を受けた近隣国の人々に破滅的な結果をもたらした」と侵略戦争に対する痛切な反省の文言を盛り込んでいることに言及。「日本の決議が過去の戦争に真しに向き合うことなく、侵略行為にも言及しないとすれば国際的批判を免れない」と述べました。
社民党は同趣旨で反対を表明。たちあがれ日本は「多大な迷惑をかけた」との文言を入れるべきでないとの立場から反対しました。
議事録
○川端委員長 これより会議を開きます。
まず、決議案の取扱いに関する件についてでありますが、昨21日、川端達夫君外24名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合、みんなの党、国民新党・新党日本、たちあがれ日本、国益と国民の生活を守る会の八会派共同提案による東日本大震災に関する決議案及び川端達夫君外24名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合、みんなの党、国民新党・新党日本、たちあがれ日本、国益と国民の生活を守る会の九会派共同提案による東日本大震災への国際的支援に対する感謝決議案並びに川端達夫君外15名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、みんなの党、国民新党・新党日本、国益と国民の生活を守る会の六会派共同提案による日独交流150周年に当たり日独友好関係の増進に関する決議案が、それぞれ提出されました。
この際、発言を求められておりますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 まず、東日本大震災に関する決議案について意見を述べます。
大震災に係る決議案について与党側から提起された案文に対して、我が党が特に指摘し修正を求めたのは、次の二点であります。
一つは、復興計画についてであります。
復興のあり方の土台の問題として、被災者の生活再建と地域社会の再建を基本とするということをきちんと明記すべきであります。また、その進め方は、上から復興計画を押しつけるのではなく、被災地域の住民の意見を尊重し合意を得て進める点についても、はっきりさせるべきだと考えます。この点が本決議案では明確でなく、不十分であります。
二つ目は、原子力行政についてであります。
我が党は、少なくとも、原子力行政については、今回の事故の反省に立って、国内すべての原子力発電所の総点検を行い、安全最優先で根本的に見直すこととの文言を追加すべきだと提案しましたが、取り入れられませんでした。今回の地震、津波によって、かつてない深刻な原発事故を引き起こし、いまだに事態収束の見通しが立たないもとで、決議に当たって原子力行政のあり方に言及するのは当然のことだと考えます。
以上の二点について我が党の提案が取り入れられなかったために、本決議案は、今やるべき震災決議としては不十分であり、弱点があると考えます。したがって、本決議案を共同提案することはできません。
態度としては、賛成であります。
次に、日独交流150周年に当たり、日独の友好について決議するのは当然だと思います。
しかし、問題は、その内容であります。特に、日独伊三国同盟やさきの戦争についての歴史認識についてです。
当初、議運理事会に提示された決議案は、「両国は、その侵略行為により、近隣諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えることとなった。」と、侵略行為に言及していました。
ところが、今提出されている決議案は、侵略行為が完全に削除され、「各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけるに至り、両国も多くの犠牲を払った。」と書きかえられたのであります。これは到底容認できるものではありません。
さきの戦争は、侵略戦争であるということを抜きに語ることはできません。国会がこの歴史認識にかかわって立場を表明する場合、少なくとも、村山談話が明らかにした歴史的到達点を踏まえるのは当然であります。
村山談話は、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」と明記しているのであります。
今回の決議に当たって、その核心部分である侵略という認識を大きく後退させる決議を上げることは、許されるものではありません。
加えて、ドイツ連邦議会の決議は、ドイツと日本は侵略・征服戦争を行い、被害を受けた近隣国の人々に破滅的な結果をもたらしたと、痛切な反省の文言を盛り込んでおります。
我が国の決議が、過去の戦争に真摯に向き合うことなく、侵略行為にも言及しないとすれば、国際的批判を免れません。
以上の点を指摘し、反対の意見表明といたします。
○川端委員長 服部良一君。
○服部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、日独交流150周年に当たり日独友好関係の増進に関する決議案の採決に反対する立場から討論を行います。
本決議は、日独交流史を回顧するだけでなく、豊穣な交流の歴史と真摯な歴史への反省の上に立って、日独関係のさらなる発展、そして、両国の世界平和への一層の貢献をうたうものとなるはずでした。
ドイツ連邦議会でことし1月に採択された日独150周年記念決議には、あえて日本の国名も入れて、独と日本は侵略・征服戦争を行い、被害を受けた近隣国の人々に破滅的な結果をもたらした、第二次世界大戦は両国にとって1945年に無条件降伏で、そして政治的、道徳的破滅の中で終了したとあります。
日本政府においても、1995年、戦後50周年に当たっての村山談話で、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことの反省とおわびの気持ちを表明し、この村山談話は、現政権まで一貫して継承されております。
本決議案も、最初に理事会において提示された案文は、日独友好議員連盟や外務省の意見も踏まえて練り上げられたもので、日独両国が「侵略行為により、近隣諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えることとなった。」との歴史認識を表明しておりました。ところが、土壇場において、侵略行為という文言が削除されました。
このように誤った歴史認識に立った決議を採択することは、政府見解と明白にそごを来すのみならず、国会の権威と品位をおとしめるものであり、同時に、ドイツ連邦議会の友人たちの志を裏切ることとなります。
昨年8月、菅直人総理大臣は、いわゆる菅談話の中で、「私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたいと思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。」と述べました。
この言葉を結びとして、私の反対討論といたします。
○川端委員長 それでは、まず、東日本大震災に関する決議案、東日本大震災への国際的支援に対する感謝決議案の両決議案は、本日の本会議において議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
次に、日独交流150周年に当たり日独友好関係の増進に関する決議案は、本日の本会議において議題とするに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
○川端委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。
なお、東日本大震災に関する決議案、東日本大震災への国際的支援に対する感謝決議案の両決議案の趣旨弁明は、提出者の私、川端達夫が行います。
また、日独交流150周年に当たり日独友好関係の増進に関する決議案の趣旨弁明は、提出者の田中眞紀子君が行います。
なお、各決議に対しまして、内閣を代表して、菅内閣総理大臣から発言があります。