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金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (保険会社の不払い)

2011年04月12日 第177回 通常国会 財務金融委員会 【600】 - 質問

保険金不払いの「社内文書」を追及

 2011年4月12日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、第一生命保険による保険金不払い問題について質問しました。

 参考人として出席した第一生命の渡辺光一郎社長(生保協会会長)にたいし、第一生命が不払いを過小に見せるため金融庁に虚偽報告をし、さらに政界工作を指揮してきたと追及しました。
 まず、第一生命が、保険金が支払われる可能性がある契約者に対して請求するようお知らせする「請求案内」を、1998年の決裁文書「103号回議書」で「廃止する」ことを決めていたと告発しました。
 この「回議書」では、ガン、脳卒中、心筋梗塞の「特定疾病」に関する「請求案内を今後廃止としたい」と明記してます。
 佐々木議員は、「保険金を支払わなければならない契約者に対して、払わなくてもよいと会社が決めたことになる」不払い事件の原因となる重大な問題文書だと批判しました。
 第一生命の渡辺社長は、この文書の存在を認めながら「その後、改善している」と説明しました。
 金融庁も問題を重視し、2008年3月に、これ以外に類似のものはないかと調査しましたが、第一生命は「ない」と報告していました。
 しかし、第一生命が内部で作成していた「事案リスト」(第一生命保険金企画課作成、08年2月18日)で、4件の「請求案内廃止」の事例がありました。
 佐々木議員は、第一生命が金融庁に対して「他の分野ではない」(3月)と虚偽報告していたと指摘。「明白な虚偽報告だ」と批判しました。
 そのうえで、金融庁に08年の処分を見直し厳正に処分を行うよう求めました。
 自見庄三郎金融担当大臣は、「金融機関は国民の信頼が大事なので、公平、公正、厳正にそのことにしっかり答えていかねばならない」と答弁しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、大変お忙しい中、参考人の皆様には当委員会に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 金融機関の震災対応の問題については、これまで私は当委員会で質問もいたしました。また、きょうはほかの議員の方も取り上げましたので、きょうは保険を中心にお聞きしたいと思います。
 まず、生保協会会長、損保協会会長に確認をしたいんですが、例えば震災でお亡くなりになった父親が生命保険とか損害保険に入っているかどうか、家族が詳しく知らない、先ほど吉野議員の質問もありましたけれども。そうなりますと、確認がなかなか難しいわけであります。
 被災した地域の契約者については、生損保の会社が当然その契約者を把握しているわけでありますから、したがって、家族に対して会社の側から契約内容を率先してお知らせするということが大事だと思いますが、まず、その姿勢があるかどうかを確認しておきたいと思います。
○渡邉参考人(社団法人生命保険協会会長) お答えいたします。
 私どもの生命保険協会は、協会として年間で25兆円の保険金をお支払いしております。当社1社でも1兆8千億の保険金、給付金をお支払いしております。こうした保険金を生活者としての御契約者、あるいは国民の皆様にお役立ていただけるということが私たちの協会の存在意義だというふうに思ってございます。
 したがいまして、今回、御指摘のような場合におきましても、被災地におきましても、実際、私どもは、本社の人間だけではなくて、現場の営業職員という制度、あるいは代理店、そういった職員も含めて、現場だけでも1万人を超す職員がいるわけですけれども、今、お見舞い訪問とともに、そういったお客様の安否確認、それから支払いのいろいろな御案内といったことに、みずからが被害者であるにもかかわらず、あるいはガソリンが不足しているにもかかわらず、朝5時から並びながらガソリンを入れて現地を訪問するというようなことで、保険金の支払いを一生懸命するための訪問を開始しているところでございます。
 そういった現地に働く職員の心情、そういったものとあわせてみましても、生保業界全体では、御指摘のような支払いの姿勢というものを全面的に押し出して、業界全体として取り組んでまいりたいと決意しております。
○鈴木参考人(社団法人日本損害保険協会会長) お答えを申し上げます。
 まずもって、被災された方々への情報提供機会、これを充実させるために、新聞、テレビ、ラジオ、こういったマスメディアを最大限活用し、協会あるいは会員各社の相談窓口を御案内申し上げるということに努めております。
 また、御案内のとおり、まだまだ避難所にいらっしゃる方も多数いらっしゃるわけで、会員各社の相談窓口等を記載いたしましたポスターを8万枚作成いたしまして、各地の避難所や公民館、あるいは市町村の窓口、行政の皆様にも御協力をいただきまして、あるいは会員各社が手分けをいたしまして、掲出をしておるところでございます。また、政府発行の壁新聞に連絡先を掲載していただくなど、広報に努めておるところでございます。
 一方、先生から御指摘いただきましたとおり、御本人が亡くなられる、あるいは御家族の方が認識されていない、こういったケースもあろうかと思われます。現在、業界より、保険会社による戸籍謄本の交付請求、これが可能にならないかということを御提案させていただいておりまして、こういったことにより御家族との御連絡も図れるようになっていくのではないかというふうにも考えております。
 行政機関の御協力、御支援をさらにお願いいたしまして、業界としてでき得る限りの対応をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 これまで、保険金の不払い問題というのが大きな問題になったことがあります。今回、大震災の被災者に対する保険金の支払いに当たりまして、こういう同じようなことを繰り返してはならないと思いますが、その保証があるかどうか、確認をしておきたいと思います。
○渡邉参考人(社団法人生命保険協会会長) お答えいたします。
 私どもの生命保険協会は、御指摘のように、行政からの改善命令というものをいただいておりますし、それから、この国会の場でも、私どもの業界につきまして、先生初め、いろいろな御指摘を受けてまいりました。
 そういった御指摘の一つ一つを踏まえまして、業界で改善のためのガイドラインを作成する、あるいは、会員各社がそれぞれ改善のための、PDCAを回すというような言い方をしておりますが、改善のための諸施策を打って改善に尽くしてまいりました。そういった改善の努力を積み重ねながら来てございますので、こうした震災を機にして、より一層私どものこの決意を深めたい、そういう決意でございます。
 以上でございます。
○鈴木参考人(社団法人日本損害保険協会会長) お答え申し上げます。
 大変恥ずかしながら、損保業界におきましても、2005年、付随的な保険金の支払い漏れ、あるいは第三分野商品における保険金の不適切な保険金不払い、こういった信頼を損なう問題を惹起してしまいました。
 業界といたしまして、このような事態を二度と起こさないように、保険金支払い部門の体制整備、あるいはシステムの構築、社員の教育、また保険約款用語のわかりやすさ、また募集人の資質向上等々、必死で取り組んでまいりました。
 また、協会といたしましても、保険金支払いに関するガイドラインを初めとする各種ガイドラインを策定し、会員各社の取り組みを支援してまいりました。現在も、会員各社におきましては、さらなる業務品質の向上に努めておるところでございます。
 今回の震災における保険金の支払いに際しましても、こういった保険金の問題を二度と起こさない、御迷惑をかけないということは当然のこととして、1日でも早い迅速な保険金のお支払いに向けて最大限の努力を図ってまいりたいというところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 昨年、私は、9月に、保険金の不払い問題で当委員会で質問いたしました。自見大臣は、そのとき、保険会社の支払い漏れについて、2008年7月に生命保険会社十社に対して業務改善命令を出し、各社で業務改善を進めておりますという答弁を行いまして、昨年の10月29日には改めて報告を求めるというようなこともやられているようであります。
 ただ、この調査がまだ終わっていないんですね。これはいつ終わるのでしょうか。それから、なかなかこれは結論が出ないんですけれども、その理由はどこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。
○和田金融担当大臣政務官 可及的速やかにしていただきたいと思いますが、私どもに期限を設定する権限まではございませんので、そこから先は、我々の方としては、それをより期待するということに尽きるかと思います。
○佐々木(憲)委員 第一生命の社長でもあります渡邉さんにお聞きしますけれども、第一生命は、がん、脳卒中、心筋梗塞という三大疾病、これは特定疾病と呼ばれていますが、これを対象とするシールドという保険商品を販売していたと思いますが、間違いありませんか。
○渡邉参考人(社団法人生命保険協会会長) 私どもの、特約ですとか、それからシールドという単品での商品と両方ございますけれども、販売商品でございます。
○佐々木(憲)委員 資料でお配りしておりますが、資料の3枚目ですね。1998年に、103号回議書と呼ばれる決裁文書を作成されております。
 「標題」として「特定疾病に関する保険金・給付金担当間相互の回付事務による請求案内の廃止について」となっております。この請求案内というのは、あなたに保険金が支払われる可能性がありますので請求をしてください、簡単に言うとそういう内容です。これは、きちんと保険金を払う上で、大変大事なものであります。
 ところが、この回議書は、請求案内を廃止するということを会社の方針として決めたということを示しておりますが、「主旨」の欄を見ますと、「現在、保険金請求・給付金請求があった際に、主請求以外の支払事由が請求書類から判明した場合には他担当へ案件を回付し、査定を行った上で請求案内を行っているが、別紙に説明のとおり、今後特定疾病保険金単独詮議における給付金請求案内、および給付金単独請求における特定疾病請求案内を今後廃止としたい。」と書かれているわけです。
 この文書は第一生命の内部で作成されたものと思いますが、いかがですか。
○渡邉参考人(社団法人生命保険協会会長) お答えいたします。
 私どもの社規規程というのがございまして、これは基本方針というのがありまして、それから規程、基準書、マニュアルというのがございます。これが会社がルールとして定めている体系でございますけれども、ここに記載の、回議書というふうにありますが、これはそのどれでもございません。部門内での担当者同士のやりとりの確認をするという位置づけでございます。これはちょうど10年以上前の資料になってございますが、当時、担当者間ではこういうやりとりが行われていたということであります。
 ただ、今現在の、先ほど言った改善の努力をずっとしております。それによってこの実態そのものはすべて改善しているというふうに御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 当時は、社内でこういうものがつくられて、回覧もされているわけであります。それで、決定をされているということです。
 これは、私は大変重大だと思うんですよ。保険金を支払わなければならない契約者に対して、乱暴に言いますと、払わなくてもいいというような話につながるわけでございます。こうなると、保険金の大量の不払いをもたらす原因をみずからがつくるということになりまして、これは保険会社の役割を否定する行為だと私は思うんです。今、これは余りよくないということで、改善されているというふうにおっしゃいました。
 金融庁は、これを見て、第一生命に対して、類似のものがほかにないかと疑うのが、私は当然だと思うんですね。
 そこで、従来は実施していた請求案内事務を廃止した事案がほかにあるのかどうか、当時、2月下旬に任意で報告を求めたというふうに聞いております。さらに金融庁は、2008年3月に、全保険会社に対しまして、過去に請求案内を行う事務体制を構築していたが、その事務を取りやめた事実を報告するよう指示をしているというふうに思いますけれども、これは事実ですね。
○和田金融担当大臣政務官 佐々木委員御指摘のとおり、私どもも、こうした新聞報道を契機に、生命保険全社に対しまして、こうした請求案内を取りやめた事例があるのかということを、任意ではございますが、ヒアリング調査をさせていただきました。
 その結果として、全社から報告をいただいておりますが、その中身は、請求案内の取りやめ事例はないということでございました。
○佐々木(憲)委員 ほかの分野ではなかったということなんです。
 ところが、今の回議書の次のページを見ていただきますと、「過去請求案内を実施していたが中止した事案」というリストがありまして、平成20年2月18日付の保険金企画課作成というふうになっております。
 詳しい内容は省きますけれども、例えば、左上を見ますと、「他病院での入院・手術に対する請求案内の廃止」「診断書五項の手術について病院照会不可の場合の案内極小化」等々というふうに、過去請求案内を実施していたが中止した、そういう事例としてこのリストが書かれているわけです。保険金を払わなければならない契約者に対して、請求案内を廃止して払わなくてもいいというような事例がこれだけリストの中にある。
 この文書は、第一生命の中で同じようにつくられたものであります。渡邉さん、この内容については報告をされていますか。
○渡邉参考人(社団法人生命保険協会会長) お答えいたします。
 先ほどの資料と同じように、この資料の「実施日」あるいは「資料の形式」というところを見ていただきますと、一番上の実施日は平成9年でございます。したがいまして、これも、10年以上前に担当者がメールでどのようなやりとりをしていたのか、そういう資料だというふうに思われます。
 したがいまして、こういう内容につきましては、当然、私は当時は報告を受けるような性格のものではございません。先ほど言った当社の社規規程体系の中では、先ほどの繰り返しになりますけれども、規程ですとか基準書ですとかマニュアルですとか、これを社内ルールとして定めております。それに該当しない職員間のメールのやりとりが、10年以上前にこういうものがあった、そういう整理でございます。
 それからもう一つ、私どもは、こういったものがどのようにその後の請求勧奨等に影響を与えているのか、独自の業務監査等において、一昨年からすべて洗い出しをいたしました。その結果の改善事項というものもすべて整理をいたしまして、昨年、社内において、この改善を推進する支払品質改善推進室というような組織もつくりまして、こういった一つ一つの項目をすべて改善するという取り組みを既に実行しております。そういったもので改善した結果につきまして、こういった内容の経緯も含めまして、御当局の方にも報告させていただいているところでございます。
 したがって、10年以上前のこの実態というものについては、その後の私どもの毎年毎年の改善努力で、全体としては改善の中に入っているということで御理解を賜りたいと思います。
○佐々木(憲)委員 社内でこういう文書をつくられたということはお認めになっているわけです。職員間のメールのやりとりといいますけれども、これは保険金企画課が作成をしたものでありまして、つまり、社内でこういうリストがつくられていた、これは今、お認めになったとおりでございます。
 そうしますと、ほかに類似のものはないかというふうに問われたときに、作成が2月18日でございますので、3月に問われたわけですから、当然これは、社内でこういうものがあるというのは、もう明確なんです。10年前といいますけれども、平成17年のものまであるわけですからね。ですから、こういうものをなぜ金融庁に報告をしなかったのか、私は非常に不思議だと思うんですよ。これは、金融庁に対して報告を意図的にしなかった、こういうことになるのではないかと私は思います。
 例えば、報告の資料提出を求められた場合には、事実は隠さないで正確に報告をし、改善すべきものがあれば改善するということをしなければならない。それで、先ほども御答弁ありましたように、全社に一斉にこういうものはありませんかと問い合わせたが、第一生命としては、ありませんというお答えをされたわけですから。今お認めになったのは、あったわけです、こういう形で。
 これは、金融庁に対して正直な報告ではないんじゃありませんか。
○渡邉参考人(社団法人生命保険協会会長) お答えいたします。
 私どもは、先ほど申し上げたように、社内ルールとして定めたものをどのように改善していくのかという視点で見てございます。
 したがいまして、これは、平成20年2月18日時点で、保険金企画課という担当者ベースで、過去、どのような経緯で、請求勧奨等の、あるいはそれの関連事項として、どのような担当者間のやりとりがあったとか、そういったものを整理したものだというふうに理解しております。したがって、そういった担当者レベルでのやりとりということでしたので、私のところにも、当然、当時については報告はされていませんし、社内のルールという位置づけでの整理ではないというふうに理解しております。
 ただし、こういったことも含めまして、繰り返しになりますが、私どもでは、業務監査の中で、一つ一つの項目に該当するような項目についても、すべて社内で確認をし、改善項目を洗い出し、それについては昨年の時点で改善をしてございます。
 あるいは、まだ継続的な改善を続けて、こういった請求勧奨というものはいろいろなやり方がございます。当社のやり方、各社のやり方、いろいろなやり方がございます。そうしたものを創意工夫しながら改善していくということでございますから、常に問題を発見して改善する努力がこれからも必要だ、そういう認識でとらえてございます。
 したがって、放置したわけではございません。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 このリストを見ますと、一番上のところに「他病院での入院・手術に関する情報が診断書に記載されていた場合、支社経由で請求案内していたが、これを廃止した。」それで、理由がここに書いてあるわけですね。つまり、会社としては、請求案内をそれまでしていたんだ、しかし、これ以後は廃止した、こういう事実。
 これは、何か担当者間が意見の交換をしたんじゃないんですよ。会社としてのルールを変えたということなのであって、社内ルールがどうのこうのと今おっしゃいましたが、これは、社内ルールとして案内を中止した、ルールを変えたということになるわけですね。ですから、これはちょっと、今おっしゃったのは、私は腑に落ちませんね。
 それで、当然、金融庁に対して正確に報告をすべきだと私は思っております。虚偽の報告をした場合は、刑事罰が科される。これは、保険業法の128条、「内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、保険会社に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」317条で「報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者」は「1年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。」私は、この疑いが非常に強いと思います。
 2007年に報告徴求をしておりまして、私は、その延長線上で、この類似のものはないかという調査も行われたというふうに思っております。私は、報告をしなかったというのは、事実上、非常に大きな虚偽報告に当たる、そのように思います。
 それで、第一生命の保険金部の職員の話をお聞きしますと、第一生命は、1990年代の終わりまでには、すべての保険商品について請求案内を禁止するという方針を会社の方針として確立していたんだ、そういう話まであるわけです。請求案内を一律にやめるというのは、私はとんでもない話だと思うんですけれども、第一生命の保険金不払い問題というのは、この請求案内の禁止という方針があって発生したものだ、そこにメスが入らないと問題は解決しないと私は思っているんです。
 その背後に、保険商品はどんどん複雑になっていきますから、リストラで人員が不足する、しかし専門家が足りない、保険金の支払い担当の部署がパンクするというような事例が発生する、そういうことが請求案内を禁止した根源にあるのではないか。そういうところを反省しないと、やはり改善がなされないというふうに思うんです。
 私は、昨年の8月3日に、第一生命を初めとする保険業界の政界工作についてただしたことがあります。それは、第一生命の側が自分の会社に対する処分を軽くするために働きかけたものでありまして、参考人質疑の時間を短くするように、この衆議院の財務金融委員会のメンバーあるいは政党の幹部に働きかけるというようなことをやった。これは議会制民主主義を破壊する非常に重大な問題だと、私は大変頭にきたわけでございます。
 資料を見ていただきますと、ともかく非常に事細かく、政治家との関係を強めようということがある。これはつまり、いろいろな問題について処分がありそうだというようなときに、働きかけるというようなことを組織的にやっているということの証拠であります。
 例えば3ページを見ますと、これは第一生命の社内でつくられた文書ですが、参考人質疑の時間が短縮されたものでありまして、第一生命の側はこう言っているんです。「議員にご支援いただき、明日の参考人質疑は生損ともに1時間ずつとなった。ただ、当初より生保の質疑時間が減る代替案として午前に明治安田生命のコールセンターの視察が入った。」つまり、コールセンターの視察を入れて質疑時間を短くしたんですよ。
 私はあのとき理事会に出ておりまして、いきなりコールセンターが入ってきた、これは何でかなとは思ったんです。その背景は知らなかったんですよ。しかし、そういうことがあった。
 これで、議員の方は「委員会ではないのだから良かったのではないか。」と。「先生のおかげであり、ご配慮に感謝する。あとは、与野党間で9月末をめどに複数社での参考人招致が握られたとの話もあるが。」「今は、気にしなくて良いのではないか。その時はその時で、また頑張るということだ。それから、山本筆頭には、ずいぶん頑張ってもらった。くれぐれもよろしく頼む。」というようなこともですね。
 この参考人質疑については11ページのところも、時間がないので全部は紹介しませんが、こういう「参考人お礼訪問対応」というのがつくられております。この中に、自民党、民主党、共産党、当時の質問をしたメンバー、それから理事会のメンバーが書かれておりまして、だれがどのように訪問したか。私の名前も出ておりまして、これは「事前質問通告にご協力」というんですから、こういう質問をしますよということをお知らせしたということについてのお礼訪問があったということなんですが、私は余り記憶がないんですけれども、そういうことが全部こういうふうに書かれているわけです。
 それから、それ以外にもいろいろありまして、例えば4ページ目を見ますと、「渡邉常務」というのは渡邉光一郎社長のことだと思いますが、この右の方を見ますと、「「生保は約款、法令を越えて、保険金を払える可能性のあるもの見つけ出して、払って行こうとしている。それに、行政処分を行ってよいのか。」といったことを議員から発言いただけないものか。」というふうに発言をされたということがメモになっておりまして、これは委員会での発言要請までしているということなんですが、渡邉さん、こういう発言をされたんですか。
○渡邉参考人(社団法人生命保険協会会長) お答えいたします。
 当時、私は、生命保険協会の一般委員長という立場でございました。したがって、生保協会として当時の支払い関係について御説明をするという機会は多々ございました。したがって、こういった委員会でも、私どもの協会として説明をしてほしいという要請は当時も受けてございました。
 当初、私どもに要請があったのは30分でございました。したがって、私どもの単独会社ということで見ますと、結果的には1時間で、延びております。したがって、私どもの立場で、時間を短縮しようという意図で動いたならば、こんな話にはならないはずでございます。
 要するに、当時の私どもの協会長というスタンスでは、当時の協会長は私の前任者でございましたけれども、こういった問題はできるだけ先生方に実情をよく御説明することが大切なのだということを言っておりました。私も、一般委員長という立場で、こういった委員会に説明を求められた際には御説明いたしました。
 当然、当時の不適切な不払い、それから事務ミス等による未払い、それから今問題になっております請求勧奨というふうな、そういう段階を経たわけですけれども、当時も、とりわけ請求勧奨というものをどう考えるのかということについては、当時の先生方にもいろいろな御議論がありました。そういったものについてはやはり私どもから実情を説明して、どのように私どもが活動しているのかということを御理解いただかなければならなかったということであります。したがって、私どもは、その時間をいただきながら説明に歩いたということであります。
 また、ここで言っているのは、恐らく生保協会と損保協会のバランスの話として話し合われた話だと思います。結果的に明治生命さんのコールセンターを入れてこういうふうになったということについては、当然、私どもは、どういう経緯でなったかについては全く承知しておりません。それは先生方の中での決定事項だというふうに承知しております。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 時間が来てしまいましたからこれ以上はやりませんけれども、今の説明は全然納得できないんです。
 実際に、時間を短くしてもらいたいという働きかけが行われておりましたし、それで、コールセンターを入れたことによって短くなったわけであります。しかも、処分について、第一生命だけ突出するのは困る、したがって横並びでやってもらいたいと。
 先ほどの資料の提出についても、それが行われていなかったから、当時は、金融庁の2008年の処分というものは、横並びの処分だったんです。しかし、第一生命の先ほど言ったリスト、あれがもし金融庁に報告されていたら、別な処分になっていたと私は思います。
 そういう意味で、まだ今調査中でありますから、金融庁は、こういう点について、十分に念頭に置いてしっかりと調査を行って、厳正、公正な対応をしていただきたい。
 大臣の見解を最後にお願いしたいと思います。
○自見金融担当大臣 生命保険業でございますから、当然、きちっと国民の御信託をいただいて私はこの今のポストにあるわけでございますから、公平、公正、厳正に、きちっと、やはり金融機関というのは基本的に国民の信頼が大事でございますから、そのことにしっかりこたえていかねばならない、こう思っております。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。終わります。

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