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税制(庶民増税・徴税), その他 (大企業減税, 災害支援)

2011年03月29日 第177回 通常国会 財務金融委員会 【598】 - 質問

大企業優遇温存の租税特別措置「つなぎ法案」に反対 大震災被害・地域金融機関への支援を求める

 2011年3月29日、財務金融委員会が開かれ、3月末で期限が切れる租税特別措置を延長する「つなぎ法案」について、質疑採決が行われ日本共産党は反対しましたが、民主、自民、公明などの各党の賛成で可決されました。

 この「つなぎ法案」は、大企業の研究開発費の一定割合を最大で法人税額の30%まで差し引くことができる特別控除の3ヶ月間延長などを盛り込むものです。
 この特別控除は、ほんらい3月末で期限を迎え、上限が20%となる予定でした。
 佐々木憲昭議員は、採決に先立つ質疑で、仮に3ヶ月間の延長であっても、4月、5月に事業年度が始まるソニーやトヨタなど多くの大企業に減税が適用されると指摘しました。
 また、統計でも「研究開発減税の恩恵を受けるのは、圧倒的に大企業だ」と批判しました。
 野田佳彦財務大臣は、国税庁の2008年度の統計で、資本金1億円以下の企業の研究開発減税額が全適用額に占める割合は9.8%、10億円以上の大企業はその割合が66.4%にのぼることを明らかにしました。
 また佐々木議員は、研究開発減税のような大企業優遇措置を「つなぎ法案」であっても続けることは認められないと強調しました。
 そのうえで「中小企業の法人税率を18%(3月末まで)に軽減している特例措置の延長など賛成すべきものも含まれるが、総合的に判断して賛成できない」と述べました。



 また、佐々木議員は、「地域経済を復興するためには、経済の基盤である金融機能の復活が非常に大事だ」とのべ、政府、日銀に東日本大震災で被災した地域金融機関への支援を求めました。
 自見庄三郎金融担当大臣は、閉鎖した店舗が170店舗、本店が営業不能になった金融機関が6機関にのぼり、他の店舗に本部機能を移転するなどして機能を維持していることを報告しました。
 自見大臣は、「金融機関の資本増強を行う必要があると判断する際には、金融機能強化法の活用を選択肢の一つとして積極的に検討してもらいたい。金融当局としても積極的、前向きに応じる」と答えました。
 日本銀行の山本謙三理事は「日銀も土日、平日を問わず本支店の窓口を開けて、金融機関に対する現金の供給を続けている。今後、(金融機関の)窓口で増加する傷んだお金の引き替え希望についても、円滑に進むよう万全の態勢をとる」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、震災関連で確認をしておきたいんですが、地域の金融機能、この問題です。
 今回の震災で、東北6県と茨城県のゆうちょ銀行を除く預金取扱金融機関の2007カ店の中で、営業不能に陥っている店舗は何カ所あるか、本店が営業できなくなったのは幾つあるか。そして、これらの営業不能に陥った金融機関に対して、政府と日銀はどのような支援をするか、この点を確認しておきたいと思います。
○自見金融担当大臣 佐々木憲昭議員にお答えをいたします。
 御質問の閉鎖店舗数でございますが、3月28日現在、170店舗となっておりまして、また、本店が営業できなくなった金融機関は、6機関となっております。ただし、本店が営業できなくなった金融機関のいずれにおいても、他の店舗に本部機能を移転するなどして、その機能は維持しているというふうに承知をいたしております。
 それから、もう一つの御質問でございますが、営業不能に陥った金融機関に対して、政府はどのような支援をしていくのか、こういう御質問だったと思います。
 各金融機関においては、それぞれの自助努力によりまして、営業不能に陥った店舗の職員をオープンしている近隣の営業店舗に配置するとか、あるいは、商工会議所あるいは学校といった近隣施設に臨時の営業窓口を置かせていただいたり、こういった取り組みによって、営業不能に陥った店舗の店頭に掲示する、ここの店は閉めましたけれども近くのこういうところにかわりました、そういったお客様に対するお知らせを、周知徹底を図るということをしております。
 そういった自助努力をしておりますが、大事な点は、なお、被災地にある金融機関がその経営判断として、中小企業等に対する金融仲介機能、これがもう非常に大事でございますから、それを適切かつ積極的に発揮していくためには、金融機関の資本増強を行う必要があると判断する際には、金融機能強化法の活用も選択肢の一つとして積極的に検討していただきたいというふうに思っておりますし、金融当局といたしましても、こういった相談に積極的、前向きに応じてまいりたいというふうに思っております。
○山本参考人(日本銀行理事) お答えします。
 被災地にある金融機関では、閉鎖した店舗の業務を近隣の店舗で代替する、あるいは店舗の復旧に努めるなどしまして、地元での金融サービスの維持に懸命に努力をしておられます。
 そうした中で、まず、預金者による現金の手当てに応じていく、これが重要になります。日本銀行も、土日、平日を問わず、本支店の窓口をあけて、これら金融機関に対して現金の供給を続けております。
 また、窓口では、今後、傷んだお金の引きかえ、そうした希望が増加すると思われます。私どもとしましても、これが円滑に進むよう万全の体制を整えていく考えであります。
 さらに、地震の発生後、日本銀行は金融市場に大量の資金供給を続けておりまして、これが金融機関の資金繰りに大きな安心感をもたらしていくものと考えています。
 引き続き、被災地の状況を丹念に把握しますとともに、これらの取り組みをしっかりと行うことによって、被災地の支援に全力を尽くしていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 被災地の地域経済を復興するためには、経済の基盤でもあります金融機能の復活というのは非常に大事なことでありますので、ぜひしっかりと対応していただきたいと思います。
 日銀と金融担当大臣は、これで御退席いただいて結構でございます。
 次に、つなぎ法案についてお聞きをしたいと思います。
 46項目の租税特別措置について3カ月延長というものでありますが、その中には、今まで我々が、これはもう大企業優遇じゃないかということで批判をしてきた研究開発減税、産業活力再生法に基づく減税措置、こういうものが含まれております。
 確認をしておきたいのは、研究開発減税についてですが、資本規模別企業の割合で、資本金1億円以下の中小企業が金額で幾ら、全体の割合は幾ら利用しているか、それから資本金10億円以上の企業の金額と割合はどうなっているか、確認をしておきたいと思います。
○野田財務大臣 佐々木委員にお答えをいたします。
 国税庁が実施しました平成20年度分会社標本調査におきまして、これは連結法人を除きでございますが、資本金1億円以下の法人の試験研究費に係る税額控除の適用額は282億円であり、その全適用額に占める割合は9・8%となっています。
 資本金10億円以上の法人、これも連結法人を除いたものでありますが、その適用額は1912億円であり、その全適用額に占める割合は66・4%となっています。
○佐々木(憲)委員 圧倒的に大手企業が利用しているわけであります。
 もう一つ我々が疑問に思っておりますのは、政府自身が研究開発減税をやめる方針だったと思うんですよ。現に、政府提出の所得税法等改正案では、2010年度末に終了して、法人税減税の財源に充てるとされていたわけですね。そういうことではなかったのか、この点、確認をしておきたい。
○野田財務大臣 平成23年度税制改正においては、法人実効税率の引き下げに伴う課税ベースの拡大の一環といたしまして、御指摘の研究開発税制の税額控除の上限額の上乗せ措置を平成22年度末の期限到来をもって終了することとしておりました。
○佐々木(憲)委員 要するに、課税ベースの拡大ということで、この研究開発減税についてはやめようということであったのでございます。
 ところが、今回、提案者の提案した内容を見ますと、やめるはずのものがいわば復活して、延長、こういう形になっているのでありまして、これはつじつまが合わないのではないかと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
○竹下議員 今回提出しましたつなぎ法案でございますが、これは単純に、平成23年3月31日に期限の到来するものを、そういう租税特別措置を一律に3カ月間単純延長するという内容でございまして、一つ一つ政策判断をして行ったというものではございません。なぜかといいますと、経済活動あるいは国民生活に支障を来さないようにという緊急的な措置であったわけであります。
 ですから、我々自身の中にも、この暫定租税特例措置はううんというものがないわけではありませんが、その議論はこれから所得税法の本格的な議論の中で我々の見解も示していこう、こう考えておる次第であります。
○佐々木(憲)委員 そういう意味では、かなりざっくりと、切れるものは全部延ばしちゃおう、そういう話でありまして、我々としては、その中に、どうも反対してきたものも入っておりますので、単純に賛成とはいかないんです。
 もちろんこの中には、中小企業に対する法人税の減税措置ですとか、それから漁業、農業で利用するA重油の石油石炭税の免税措置、こういうものは我々賛成ですけれども、そういうものが入っておりますが、先ほどの、このつなぎ法案の中に、中小企業がほとんど利用しない、専らは大企業だけが利用する、こういうものが通るとなると、トヨタ、ソニーなど多くの企業にそれが適用されるということになってしまう。
 例えば、3カ月延長しますと、事業年度を開始した法人に適用されるとなりますから、4月から6月の間に開始するという企業にこれは適用されることになると思うんですけれども、いかがですか。
○野田(毅)議員 その点はそのとおりです。
 もしこれをなくすると、根っこからなくなるわけですよね。もう御承知のとおりです。そういう意味で、この点は、我々は暫定措置の一環としてそういう扱いをしたということです。
○佐々木(憲)委員 この点確認をして、我々の態度としては、先ほど申しましたように、賛成できないということでございますので、その点申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

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