アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

その他 (選挙制度)

2010年11月26日 第176回 臨時国会 倫理選挙特別委員会 【585】 - 質問

事業仕分けで選挙啓発切り捨て 平成の大合併で地方議員が10年間に4割減

 2010年11月26日、佐々木憲昭議員は、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、事業仕分けで選挙啓発が切り捨てられる問題とこの10年間に地方議員数が4割減となっている問題について取り上げました。

 佐々木議員は、民主党政権が行う事業仕分けで選挙にかかわる啓発事業などが切り捨てられているとただしました。総務省の逢坂誠二政務官は、事業仕分けの議論について「極めて乱暴だ」との認識を示しました。
 佐々木議員が取り上げたのは、明るい選挙推進強化に選挙の啓発活動を委託する「明るい選挙推進費」。昨年の仕分けで「歴史的役割を終えた」として廃止と判定され、今月15日の再仕分けでも改めて廃止の「確実な実施」とされました。
 佐々木議員は、「いきなり廃止というのは目的に合致しているのか。効果測定が難しいというが、啓発の効果を数値で示すのはもともと困難だ」と指摘。
 逢坂政務官は「数値で示せないから効果がないものだというのは極めて乱暴だ。こういう啓発は不断の取り組みが大事だ」と述べました。
 佐々木議員は、「議会の中で審議するのが本来の姿であり、与党・内閣の中で調整したうえで国会に提出し、議会がチェックする機能を果たすべきだ」とのべ、「いまの(事業仕分けの」あり方に疑問を持っている」と批判しました。片山善博総務大臣は、「おっしゃることに違和感はない。内閣が連帯して国会に責任を負っている」と答弁しました。



 市町村合併などにより、1999年からの10年間で全国の地方議員数が4割減っていることが、佐々木議員の質問で明らかになりました。
 全国の都道府県・市区町村議員総数は、1999年末に6万2496人いましたが、2009年末には3万6909人で6割にまで減少しています。
 佐々木議員は、「自治体の範囲は合併によって広がる。行政と住民が遠くなったという声も聞かれる。こんなに議員が減ると地方自治の役割、住民の声を十分に反映するという点で問題である」と述べました。
 片山総務大臣は「人口が減ったから定数が減るということを、これで本当にいいのかと思ったこともある」と述べる一方で、「数だけでものは言えない」とも答弁しました。
 佐々木議員は、「一定の数があってはじめて多様な意見が議会に反映できる」と指摘しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、基礎的なことからお聞きをしたいと思いますが、地方自治にとって、住民の意思を自治体に反映させるということは極めて重要だと思うんです。そのために、中心的な役割を果たすのが地方議員だというふうに思います。何人の議員をどう選ぶか、あるいはどのような議会をつくるか、これは民主主義の基本だというふうに思うわけです。議会というのは、住民と密着し、住民の意思が十分に反映されるものでなければならないというふうに私は思います。
 まず、この点を大臣に確認していきたいと思います。
○片山総務大臣 自治体というのは、その地域に住む住民の皆さんの便宜のために、住民の皆さんに必要な共通の仕事を行うというのが原点であります。
 したがって、当然のことながら、構成をする住民の皆さんの意思をできるだけその自治体の行政に反映しやすくする、そのための手段が首長の選挙と議会の議員の選挙でありまして、特に議会が、現行法制上も議事機関として、最終的な意思決定機関として位置づけられておりますので、議会が最も重要だと私も思います。
○佐々木(憲)委員 平成の大合併というのが行われて以来、都道府県議員、市区町村議員の数がどんどん減ってきております。都道府県議員、市区町村議員の総数、1999年と直近の数字を示していただきたいと思います。
○片山総務大臣 統計によりますと、1999年の12月31日現在では、6万2496人おられましたが、10年後の2009年12月31日現在の統計によりますと、3万6909人となっております。
○佐々木(憲)委員 これは大変な減り方だと私は思うんです。合併とそれに伴う定数削減等によって、約10年間で地方議員の数が6割に減少した。4割減ったわけです。しかも、自治体の範囲というのが合併によって広がります。行政と住民が遠くなったのではないか、こういう声も聞かれるわけですね。
 こんなに議員が減ると、先ほど片山大臣がおっしゃったような地方自治の役割、住民の声を十分に反映するという点で問題があると私は思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○片山総務大臣 これは考え方だと思います。
 私も鳥取県で知事をやっておりましたときに、人口がどんどん減って過疎化、高齢化が進行して課題は多くなるけれども、人口が減ったから議員の定数が減るということ、これで本当にいいのかなと思ったこともあります。
 ただ一方では、アメリカなどを見に行きますと、かなり人口の大きな自治体であっても、例えば十人未満で議会を構成していて非常に活気があるような議会を見たこともあります。
 ですから、一概に数だけで物は言えないのではないか、最近そう思っております。
○佐々木(憲)委員 私は、活発に議員としての活動を行うというのは必要なことで、非常に大事なことだと思うんですが、同時に、一定の数があって初めて多様な意見が議会に反映できるというふうに感じております。4割減る、これは平均といいますか総計で4割も減るというのは、たった10年で大きな減り方だ、私はそのように思います。問題があると思っております。
 次に、地方選の投票日を統一する法案に入ります。
 利点として、国民の関心を高めるということが挙げられております。
 そこで、地方選の関心を高め投票率を向上させるというために、前回、2007年の統一地方選では、総務省は、内閣府、明るい選挙推進協会と連携をしまして、投票日の周知あるいは投票参加、こういう呼びかけを行っております。総務省としては、明るい選挙推進協会に委託して啓発事業を行っていたわけですが、次回の2011年の統一地方選挙ではどのような計画になっているんでしょうか。
○田口政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答え申し上げます。
 前回の統一地方選挙につきましては、財団法人明るい選挙推進協会に常時啓発事業を委託した中で、その常時啓発事業の一環として統一地方選挙の啓発事業が実施されたところでございます。
 財団法人明るい選挙推進協会への常時啓発事業の委託につきましては、昨年11月の事業仕分けの結果を受けまして、22年度予算は大幅に削減されており、また、来年度の予算要求の取り扱いについては現在検討中でございますことから、来年予定されております統一地方選挙につきまして、財団法人明るい選挙推進協会においては啓発事業を実施する予定はございません。
 いずれにしても、統一地方選挙の対象になります各地方団体におきましては、それぞれ地域の実情に応じた啓発事業が実施されるものと考えてございます。
 総務省といたしましても、統一地方選挙に関連します有権者に対する必要な情報提供につきましては、報道機関等を通じまして提供してまいりたいというふうに考えてございます。
○佐々木(憲)委員 どうも、前回までやっていた啓発事業ですとか投票参加の呼びかけとか、これは非常に大事だと思うんですけれども、明るい選挙推進費というのは、明るい選挙推進協会に委託して行われてきたさまざまな事業が、事業仕分けで来年度はわからない、こういうことになっている。私は非常に問題があると思うんですね。
 それで、明るい選挙推進費というのは、この11月15日の再事業仕分けで、廃止とされた第一弾の評価結果の確実な実施という結論が出されたと聞いております。出席されていたのは逢坂政務官だと思いますが、これをどのようにお感じでしょうか。
○逢坂総務大臣政務官 お答えいたします。
 仕分けにおいて廃止という言葉があったわけでございますけれども、今回の仕分け結果は、常時啓発の重要性は認める、さらにまた、全国のボランタリー的な取り組みも大事なことだということを前提として、この常時啓発のあり方は本当にいいのかどうか、あるいはその見直しをもっとスピード感を持ってやりなさい、そのことに対しての仕分け結果だったというふうに思っております。
 我々としては、今後、この常時啓発のあり方をどうやっていくのかということを多くの皆様の多様な意見を踏まえて検討していきたい。具体的には、地方の選挙管理委員会の皆さんでありますとか、あるいはNPOの皆さんでありますとか、さらにまた学識経験者の皆さんでありますとか、あるいは、選挙についていろいろと御議論いただく上で教育ということも大事だというふうに思っておりますので、そういう教育関係者の皆さんからも多様な御意見を伺った上で、この常時啓発のあり方をスピード感を持って見直していきたいなというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 見直しというのは必要なことだと思うんですけれども、ただ、いきなり廃止というのが果たして目的に合致しているのか。私は非常に問題だと思っているんです。
 例えば、非常に議論が乱暴といいますか、再事業仕分けの中で、効果測定が難しいというふうに言われるけれども、難しいということは効果がないということだ、こういう指摘があって、私はこれはとんでもない言いがかりだというふうに感じるんです。
 大体、啓発の効果を数字で示すというのはもともと困難だと思いますよ。啓発度何%、そんなことはどうやってはかるんでしょうか。政務官、どう思いますか。
○逢坂総務大臣政務官 私自身も選挙管理委員会の事務局員を務めたこともありますし、投開票事務にも携わったことがございます。当然、明推協の活動についても、地域の皆さんにお願いをしていろいろな取り組みもさせていただいた経験もございます。
 その中で、確かに、佐々木委員御指摘のとおり、数値でどの程度その活動が上がったのか下がったのかということは簡単ではないというふうに思っております。だから、逆に言うと、数値で示せないからそれは効果がないものだと言うのは極めて乱暴だというふうに私は思っておりまして、こういうものは不断の取り組みが大事なんだろうというふうに思うんですね。特に、選挙が近づいたり選挙の直後になるとこういう話題が出てくるんですけれども、そうではなくて、日常的に、普段、選挙が身近にない時期であっても選挙の大切さをみんなで認識し合うとか、投票に行くことの重要性を確認し合うということが大切なことだというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 この再事業仕分けの議論の中で、一たん事業を廃止して、廃止してから検討すればいい、こういう指摘もされていますけれども、廃止すると空白になるわけですよ。そうすると、もう一度再構築するというのは非常に困難が伴うというふうに私は思いますけれども、政務官、どうですか。
○逢坂総務大臣政務官 私自身も御指摘のとおりだというふうに思っております。
 私自身の経験からいいまして、選挙の啓発をいろいろなレベルでやっていくために、選管の事務局員として自分の足で回っていろいろなお願いをするんですね。会長さんと一緒に、役員の方を、どなたを選任したらいいだろうかなんということもやってきているわけですね。そういう中で、では、その活動を一回全部リセットをかけて、一回白紙にして、また再来年から考えましょうなんということになると、それは現実的ではないというふうに思っておりますので、やはり継続ということが一つ大事なポイントだというふうに思っております。
 しかしながら、それでは、これまでのやり方に問題がなかったのかといえば、それは見直す必要があるというふうに思っています。
 私の経験では、明るい選挙推進協会とか協議会と書いた傷ばんを配ったりしたこともあったんですけれども、あれが果たしてどの程度効果があったのかなとか、そういうところについては見直すということもあろうかなというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 無駄を削るというのはいろいろあると思いますけれども、目的そのものを否定する、あるいは廃止するというようなやり方は非常に問題があると私も思います。
 例えば、期日前投票の立会人なんかを確保するというのも非常に大変ではないかと思うんですね。明推協のボランティアにお願いをしているという話も聞いたことがございます。この明推協のボランティアというのは具体的にどのような活動をしているんでしょうか。
○逢坂総務大臣政務官 明推協のボランティアの皆さんには本当にさまざまな活動をしていただいているところでございまして、私も全国の状況を必ずしもつまびらかに承知しているわけではないので事務方にもいろいろ聞いてみたところです。
 まず、全国の明推協は、自治会、婦人会、青年団体、マスコミ関係者、教育関係者などで構成されているということで、全国で8万6千人のボランティアの皆さんがおられるそうでございます。そして、選挙管理委員会といろいろ連携協力をしてさまざまな啓発活動をしている。
 具体的には、講演会でありますとか学習会の開催あるいは学校教育と連携した出前講座、最近多いのが模擬投票というのが結構多いそうですね。いろいろ選挙のモデルみたいなものをつくって、実際に投票みたいなことをしてもらっている。そういうことをしながら、啓発活動、選挙時の投票参加の呼びかけなど、地域に密着した各種の啓発事業を行っているということだそうでございます。
 それから、最近は、若者グループの活動が徐々に芽生えている。啓発CMの制作、先ほど指摘のあった投票立会人への従事、選挙管理委員会の事務補助、立候補予定者のインタビューのネット配信など、こうした動きも若者の間で広がっているというふうに聞いているところでございます。
○佐々木(憲)委員 非常に多面的な活動をされているという御紹介があったわけですが、これまで、明推協の8万6千人と言われるボランティアの方々にかなりの部分を支えられてきているというふうに思います。
 この推進費を一たん廃止するとなりますと、そういう関係にどういう影響が出るとお考えでしょうか。
○逢坂総務大臣政務官 この事業費を全部廃止してしまいますと、ボランティアのさまざまな活動に抑制がかかる、制限がかかりかねないというふうに思っておりますので、その灯を消さないようにしていくことがこれから大事ではないかなというふうに思っております。
 そこで、これまで、私の経験からいいまして、若干惰性で来ていた部分もあるのかなと思っておりますので、そこは皆さんの御意見をよく聞いて、この啓発活動の重要性といったものを再確認しながら、では、どんなことをやればいいのか、そのチャンネルをもっと広げていきたいなというふうに今思っているところであります。
○佐々木(憲)委員 私は、事業仕分けというのは本来政府内の、あるいは政府・与党の問題であって、国会との関係でいいますと、政府・与党の中でああいう事業仕分けをやった上で、しっかり統一した案あるいは予算案を国会に提出する、その上で国会がそれをチェックする、つまり、政府と議会の関係というのはそういう関係でなければならぬと思うわけです。
 それを、何か政府の中の仕分け人という方々が、自分たちが決定したことがすべてであって、あとは、それに従わなかったのはけしからぬ、廃止と言ったのに廃止しなかった、だから、もう一度これは廃止すべきであるというようなことで政府内でやり合う。これは極めておかしな現象であって、それを国民に見せるのはいいですよ。いいけれども、その結果を、国会に統一した見解を出していただいて、その上で、議会の中で各議員、各会派がそれを審議する、これが本来の姿だと思うわけです。
 ちょっと、私は今のあり方を非常に疑問に思っております。大臣、その点、いかがですか。
○片山総務大臣 佐々木委員がおっしゃることに私も違和感はありません。
 最終的には、先ほどちょっと申しましたけれども、内閣が連帯して国会に対して責任を負っているわけでありますから、最終的なその責任は、私を含めた閣僚の集合体であります内閣にあることになります。
○佐々木(憲)委員 もともと、この事業仕分けの対象をどう選ぶかということ自体も、これこそ再検討すべきだと私は思っておりまして、こういう選挙関係のさまざまな予算というものを事業仕分けの対象にする場合には、その評価の方法というのは、単に数字が示せないからいけないとか、何%上がったとか下がったとか、そういうことで割り切れるものだろうか。やはり国民の政治に対する不信という問題はさまざまな原因があるわけであって、それをこの活動の成果があらわれていないからということでばさっと切ってしまうというやり方は、非常に単純であって、効率第一主義といいますか、そういうものに偏重していっているような感じがするわけです。
 そういう意味で、本来、例えば政党助成金のあり方、これはどうなっているんだ、こういう仕分けをやるならまだわかりますけれども、やっている対象がどうも違うんじゃないか、私はそういうふうに思います。
 次に、今回の統一地方選挙の法案ですけれども、我々の立場を申しますと、国民の選挙に対する意識を高めるということにつながる、そういう利点があるということで、私たちは賛成です。
 ただ、統一率を高めれば高めるほどよいという議論があります。しかし、我々はそうは思わないんです。
 なぜかというと、統一率を高めるということは、選挙日の前後の、本来4年たって投票するという、その期日を集めるわけですから、例えば、投票日の前後1カ月の投票の予定されているものを一定の日にちにそろえて、そこで投票する、こういうふうにするわけですね。それを高めるということになりますと、前後4カ月分を統一する、あるいは前後6カ月、半年分を統一して一本にする。こういうことになりますと、もともとあった4年間という任期、つまり住民は、この議員に4年間託そうということで投票する。ところが、統一率を高めるということが最優先されますと、6カ月分、例えば、任期4年を3年半でやめなさい、選挙だ、あるいは4年あるものを4年6カ月やらせる、その間は選挙はありません、こういうふうになりますと、本来の選挙の意味といいますか、4年間の任期というものの住民の選択から離れていくんじゃないか、こういう感じがするわけなんです。
 ですから、統一率を高めるということが経費削減とか啓発意識ということでプラスの面もありますが、行き過ぎますと、正確な投票を損ねたり、あるいは民意の否定につながりかねない、そういうマイナス面があるんじゃないかというふうに私は思うわけです。
 その点、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
○片山総務大臣 これはやり方でありますけれども、委員がおっしゃったように、任期を狭めたり延ばしたりしてやるというのはちょっと強引過ぎると思います。今やっていますのは、任期は任期で守るわけですけれども、その任期で、通常の範囲内の選挙を少し先取りしたり、それから後送りしたりして、まあ後送りはないでしょうか、選挙日を統一するだけでありまして、任期は保障されているわけです。
 問題は、どうなるかというと、余りそれを長くすると、選挙が終わって次の人が決まっているのに前任者の任期がずっとあるとか、そういう違和感を感じるケースが多々出てくる可能性がある。ですから、それも、現行のやり方もほどほどのところでとどめるべきだろうと私は思います。
○佐々木(憲)委員 私も今おっしゃったことが大事だと思いまして、ほどほどのところでとどめておかないと、何か統一率をどんどん高めていくことを追い求めるようになってしまいますと、これは逆に、何か効率化とか経費削減ありきみたいなことが金科玉条のごとく掲げられてやられるということになりますので、本末転倒になりかねないというふうに思うわけです。
 そういう意味で、今回の法案については、ある合理性というものが感じられる範囲ですので、我々としては賛成をしたいというふうに思っております。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる