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金融(銀行・保険・証券) (中小企業融資, 政府系金融機関)

2010年05月21日 第174回 通常国会 財務金融委員会 【570】 - 質問

「政策金融公庫の冷たい窓口対応を是正せよ」と財金委で要求

 2010年5月21日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、日本政策金融公庫の冷たい窓口対応を是正せよとせまりました。

 佐々木議員は、昨年12月に中小企業金融円滑化法が実施されてから、金融庁が民間金融機関に対し貸し付け条件の変更や、さらなる融資などの相談に、従来以上に前向きに応じるよう指導しています。
 にもかかわらず、政府系金融機関である日本政策金融公庫が中小業者に「2〜3ヶ月、売り上げをのばし、きちんと支払いをするなど誠意を見せたら相談に応じる」などの冷たい対応をしています。

 日本政策金融公庫の安居総裁が「財務状況や経営実績だけでなく、経営実態をきちんと把握して相談に乗っている。職員にはお客様を大事にするよう徹底している」などと答弁しました。
 佐々木議員は「その答弁は事実と違う」と厳しく指摘しました。
 たとえば「8年間で2〜3回、1〜2日くらい返済が遅れただけの業者が、信用にかかわり追加融資は難しいと断られた」「あなたには融資しないので、別の信用金庫や大手銀行にあたってくれ」など、同金融公庫の窓口で冷たい対応をされた事例をあげて、調査と是正を求めました。
 安居総裁は「調べて、もし問題のある事例があれば是正したい」と約束しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 中小企業金融についてお聞きをしたいと思います。
 中小企業金融円滑化法が制定されまして、それに伴い、金融検査マニュアル、監督指針の見直しが行われました。
 お手元に配付しております資料は、金融庁が作成をしたものであります。「中小企業の事業主の皆さんへ!」、これが表紙でありますが、それをあけますと、条件変更を行う際に経営改善計画等がなくても、最長1年以内に計画等を策定することができる見込みがあれば不良債権とみなしません、開きますと、こういうのが右上に書いてあります。中面の左の下の方に「先に返済条件を変更し、時間をかけて一緒に計画を作っていきましょう!」、こういうふうに銀行の職員が声をかけているわけです。これこそまさに私はコンサルティング機能だというふうに思うわけです。
 亀井大臣に確認しますけれども、これですべての金融機関に対して徹底するということだと思いますが、そういうことですね。
○亀井金融担当大臣 全くそのとおりであります。鋭意徹底をさせております。
○佐々木(憲)委員 これは民間金融機関を想定したパンフだとは思いますが、当然、政府系金融機関あるいは信用保証協会等も同等の対応が求められていると思うんです。
 昨年の財務金融委員会、11月25日でありましたが、私が亀井大臣に質問をしたときに、大臣はこうお答えになっているんです。「政府系金融機関の果たしている役割というのは、民間金融機関と同様、あるいは、場合によってはそれ以上の重要性がある」「政府系金融機関も、職員を徹底的に、本当に徹底的に鍛え直すということをぜひやっていただきたい。」「コンサルタント的な機能を果たしておるかどうかということが今後の金融検査の、これが眼目だ」、非常に力強いことをおっしゃっているわけであります。
 政府系金融機関も当然この立場からコンサルティング機能を発揮するよう指示していると思いますけれども、政策金融公庫の所管は財務大臣なんです。菅大臣も当然こういう立場で指導なされていると思いますが、確認をしたいと思います。
○菅財務大臣 日本政策金融公庫を財務省が所管しているということはそのとおりでありまして、財務省としてはこれまでも、経産省等とともに、公庫等の政府系金融機関に対し、中小企業金融円滑化法の趣旨にかんがみ、条件変更へのより一層積極的な対応や相談体制の整備等を図るとともに、これまで培われてきた経営支援や財務アドバイスの知識、経験も存分に活用して、万全の体制で中小企業等の経営支援に臨むように求めてきたところであります。公庫においても、これらを踏まえて条件変更の積極的な対応などに努めていると承知をいたしております。
 今後とも、引き続き、中小企業などへのきめ細かい配慮を要請してまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 では、日本政策金融公庫の総裁にお越しいただいておりますので、お聞きをしますが、こういう中小企業に対してのコンサルタント的機能、これをどのように公庫として実施されているのか、職員に対してどのような指導を行っているのか、確認をしたいと思います。
○安居政府参考人(株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁) 現在、いろいろな中小企業診断士の勉強等も、昔からですけれども、さらに加速して進めておりますし、各店ではお客様に、当然、政府の機関として、ただお金を貸したりということじゃなくて、コンサルティング機能を従来から進めております。そういう意味で、今、教育も両方、一緒になって進めているところでございます。
○佐々木(憲)委員 実態をいろいろ私ども聞いておりますと、必ずしもそれが徹底されていないというふうに思います。
 例えばこんな例がありまして、ある業者が相談に行きました。その業者に対しまして公庫の職員はこういうふうに答えた。とにかく2、3カ月売り上げを上げて、返済日にきちんと支払いができて、誠意を見せてくれれば相談に乗りますよ、こういうふうに言われた。こういう態度はコンサルティング機能の発揮と言えるでしょうか、総裁。
○安居政府参考人 お客様からの相談に対しましては、私ども、財務内容の分析とかあるいは今おっしゃったお話ということですべてを決めるということは一切いたしておりませんで、お客様のお話を伺ったり、あるいは事業現場を見せていただいたり、経営の実態を全体的に把握して、いろいろ判断をしているということでございます。
○佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、2、3カ月売り上げを伸ばして、支払い日にきちんと支払いができて、誠意を見せてくれれば相談に乗ります、こういう対応の仕方はコンサルティング機能を発揮しているやり方だと言えるのかと聞いているんですよ。
○安居政府参考人 今おっしゃった、返済が、あるいは売り上げがという問題については、そういうことはよくないと思います。
○佐々木(憲)委員 具体的な事例はいろいろ聞いておりまして、例えば具体的に言うと、愛知県の日本政策金融公庫に相談に行ったある中小業者、Aさんと言ってもいいんですが、そういう対応をされたんですよ。2、3カ月売り上げを上げる。上がらないから相談に行っているわけですね、リーマン・ショック以降こんなに景気が悪くなって、努力しても売り上げが伸びないという状況で。だから、返済条件の変更も含めて何とか相談に乗ってもらいたい、そういう相談に行ったら、いや、売り上げを伸ばしてくることが条件だ、こういう対応をされる。
 それから、公庫から言われて、例えば店舗家賃の領収書はどうなっているか、これもわざわざ取り寄せて持っていった。そうしたら、それはもう要らない、こういう対応をされた。こちらが提出した資料も、持って帰りたい資料があったら持って帰っていいよ、こちらはもう要らないから後は捨てるだけだ、こういう人をばかにしたような態度をとったというんです。
 職員に対して、総裁、このような態度を指示しているとは私は思えませんけれども、先ほど教育をしていると言いますが、どんな教育をしているんですか。こういうことをやるということが現に起こっているわけだから、徹底していないということじゃないんですか。
○安居政府参考人 今おっしゃった個々の案件はちょっと私承知しておりませんが、例えば、現実にセーフティーネット貸し付けとかあるいは条件変更というのは非常に大きく伸びております。したがいまして、全体的に私は、今それぞれの従業員に対して、お客様をきちっと大事にするということは徹底しておると思っております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、こういう態度は基本的な公庫の態度とは違う、もしこういう態度をとっていれば、それは当然是正すべきものである、こういうことですよね。
○安居政府参考人 今おっしゃった、売り上げが2、3カ月減ったということだけで判断した、あるいはそういうことであればおっしゃるとおりだと思いますが、私は、そういう、ただ2、3カ月だけ売り上げが減ったということで……(佐々木(憲)委員「上がることを条件にと言っているんです」と呼ぶ)売り上げが上がるということ、そういう意味では、私は、きちっと教育しておりますし、それだけでは判断していないと思っております。
○佐々木(憲)委員 だから、現実にこういう対応をしているということに対して、そんなことは知らないとかしていないとかと今言われても、実際にそういうことを言われている業者がいる。
 では、もう一つ挙げますけれども、例えば8年間を超えて返済期間がある、そういう中でたまたま2、3回返済がおくれた、しかし2日以内にすべて返済しているんですよ。1、2日おくれたということですね。こういう債務者に対して、こういうふうに言われたというんですよ。返済日がおくれることが2、3回あったね、このようなことは信用にかかわり、融資は難しいですねと。
 これはパンフに書いていることと全く違うわけでありまして、公庫では一般に、返済日が2、3日おくれた、例えば8年、10年返済の期間があって、2、3回そういうことがあった、それだけで融資ができない、信用力がない、こういう判断をするという基準があるんですか。
○安居政府参考人 私どもは、先ほども申しましたように、一つのことだけで判断はいたしておりませんし、今おっしゃった、2日、3日おくれたからいけないというルールはございません。
○佐々木(憲)委員 そうすると、こういうことを具体的にやっているとすれば、これは基本方針から外れた間違った対応である、こういうことになりますね。
○安居政府参考人 今おっしゃった、単に2日、3日返済がおくれたということだけでそういうことを申し上げたとすれば、これはルール違反でございます。
○佐々木(憲)委員 それから、こういうこともあるんです。売り上げが落ちているところには融資はできませんよと。公庫の職員は、不況で落ち込んだ場合にはもう融資はできないんだ、つまり、新規融資の謝絶の理由として、売り上げの落ち込みということを言っているわけです。これも基本的な方針とは違いますね。
○安居政府参考人 私どもは、お客様からの御相談に対しまして、先ほどもちょっと申しましたように、財務内容の分析だけじゃなくて、お客様から事業のお話を伺ったり、いろいろな分析あるいはお話を伺って、できるだけ融資の可能性を追求するという姿勢で融資判断を行っております。
 したがいまして、売り上げが落ちているお客様でありましても、その原因や改善のための対策を行い、今後の事業見通しが立ち、御返済力が認められるお客様には積極的に融資に応じるところでございまして、売り上げが少し落ちているということだけをもって一律にお断りするようなことはいたしておりません。
 また、追加の御融資が難しい場合でも、既往融資の返済条件緩和の御相談をお受けして、少しでも資金繰りを緩和できないか、そういう可能性を追求するように努めております。
 私どもとしましては、お客様の御相談に親切に、丁寧に、迅速に対応するように心がけている次第でございます。
○佐々木(憲)委員 総裁がそういうふうにここできれいなことを言っても、現場ではそうなっていないというのがあちこちの実態なんですよ。
 例えば、こういうこともあるんですよ。信用金庫か大手銀行に融資を受けてもらってはどうですか、うちではもう対応しませんと。そんなのは政府系金融機関じゃないでしょう。
 本来なら、民間の金融機関が貸せない、そういう中小零細業者に対して、駆け込み寺としての公庫の役割というものがあったはずなんです。私も何度も、政府系金融機関の再編の際に、そういう機能はなくならないんですねと確認したんです。そうしましたら、それはもう、引き続きそういう役割を果たすのが公庫の仕事ですと。ところが実際に、民間に行きなさい、うちには、売り上げが落ちたり返済が2、3回おくれたのはだめだ、こういう態度をとっているようでは、駆け込み寺ではないですよ。
 このチラシを見ますと、一枚目の一番最初に書いてありますね、店の売り上げが落ち込んでおります、返済の相談に乗ってもらえませんか。そうしたら、もちろんです、返済の御相談に従来以上に前向きに応じております、経営改善の見通しを立て、返済の計画を見直しましょう、相談に乗ります、こうやっているわけですよ、こっちの方は。
 これ以上のことをするというのが亀井大臣の答弁なわけだから、実際にやっていることが全然違う、こういうことでは公庫としての役割を果たしていないと私は言わざるを得ない。基本的な、少なくともこのパンフレットに書かれている内容を現場の一人一人の職員に徹底する、まずそういう約束をしていただきたい。
○安居政府参考人 先ほどおっしゃいました、公庫で融資できないから民間機関に相談に行くようにというような対応は、私どもはしておりません。
 それから、当然、政策の実施機関でございますので、我々は、きちっと政府の指針、指示に基づいて、これからもますますきちっとお客様に対応するように努めてまいりたいと思います。
○佐々木(憲)委員 しておりませんと言っているけれども、しているんだから、実際に。
 では、調査してください。愛知県の日本政策金融公庫でそういうことをやっていないかどうか調査の上、もしあったら是正すると、はっきり言ってください。
○安居政府参考人 個々の話は私はここではちょっと申し上げられませんが、できるだけ、もしおっしゃることがございましたら、調べまして、もし何かございましたら是正するというふうにしたいと思います。
○佐々木(憲)委員 亀井大臣に最後にお聞きしますけれども、大臣は、現場の職員を一人一人徹底的に鍛え直さなきゃならぬとこの場でおっしゃいました。私は、これはもうしっかりした腹構えを示していただいたというふうにその場で思いました。
 実際のこの政府系金融機関の対応というのは、どうも極めて官僚的で、非常に冷たい。民間金融機関よりも冷たいという声も上がっております。公庫の総裁が今このようにおっしゃいましたが、行政の側としても、こういう問題は、本当に一人一人の業者の気持ちを受けとめて、人情ある対応をするというのが新しい政権の担当の大臣の仕事だと思いますが、大臣としては、最後にその決意をお聞かせいただきたい。
○亀井金融担当大臣 私はもちろんでありますけれども、財務大臣も経産大臣も、鳩山政権の友愛精神、言葉だけではなくて、職員並びに関係先、監督指導下にあるところがそれを実行してくれるように、大臣としてそれぞれ全力を挙げておるつもりでございますので、今後とも私は、財務大臣も経産大臣もそれをされていかれるだろう、このように確信をいたしております。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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