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金権・腐敗政治 (閣僚等の疑惑)

2006年11月15日 第165回 臨時国会 倫理選挙特別委員会 【367】 - 質問

渡辺経済産業副大臣の疑惑を追及し「調査」を要求

 2006年11月15日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、佐々木憲昭議員は、8日の財務金融委員会に引き続き、渡辺博道経済産業副大臣の疑惑を追及しました。

 佐々木議員は、詳細な資料を配付して、「民事再生法などに明確に違反する」とのべ、調査を求めました。
 渡辺経産副大臣の親族らで経営する関連企業である「渡辺タクシー」は、2006年7月、24億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請しました。
 この会社から、2004年以降、渡辺副大臣に「借金返済」などとして6870万円が、副大臣の父(故人)や長女らに対して、合計約1億円が渡っていました。
 佐々木議員は「民事再生法が禁じている“詐欺再生”に当たるのではないか」と、指摘しました。
 これにたいして、法務省政治局は「個別事例について答えるのは難しい」と答弁しました。
 また、佐々木議員は渡辺副大臣が同社から献金を受けていた事実を示し「赤字企業からの献金を禁じた政治資金規正法に触れる」と指摘。
 渡辺副大臣は「赤字企業だとは知らなかった」としていますが、本人自身や家族が社長を務め、副大臣が株式の65%を保有しているのですから、佐々木議員は「赤字経営だったことを知らなかったはずがない」と述べました。 
 さらに、大臣、副大臣、政務官規範には「清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」とあります。佐々木議員は、「こういう疑惑を抱かせるような人物は副大臣にふさわしくない」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、法務省に民事再生法について伺いたいと思います。
 赤字が続いている会社が破産しそうだということで民事再生法の申請をしたとします。しかし、その前に特定の債権者だけが財産を確保したといたします。それは民事再生法に違反すると思いますが、民事再生法の何に違反するのでしょうか、簡潔にお答えください。
○深山政府参考人(法務省大臣官房審議官) 御指摘の事案につきまして、民事再生法上問題となる点は、まず第一に、民事的に、会社の財産を回復するための否認の問題と、刑事的に、会社あるいは弁済を実際に行った代表者、使用者等、それから相手方の債権者の罰則の適用の問題、この二つが生ずると思います。
 最初の否認の方ですけれども、債務の弁済行為につきましては、会社が支払い不能の状態になった後にしたもので、債権者がその行為の当時会社が支払い不能であったことを知っていた場合等には、裁判所によって選任された監督員等がその弁済行為を否認することができます。弁済行為が否認された場合には、債権者は会社に対して、受領した金銭、あるいは代物弁済の場合であればその目的物を返還する義務を負うことになります。
 次に、罰則の関係ですが、これは実は二つの刑罰が問題になり得ます。
 一つ目は、特定の債権者に対する担保の供与等の罪というものです。これは、会社が特定の債権者に対する債務について、他の債権者を害する目的で債権者に有利な方法または時期に弁済等を行って、しかも再生手続開始の決定がされた場合には、その特定の債権者に対する担保供与等の罪に当たりまして、五年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、これを併科することもありますが、ということになりますし、さらに詐欺再生罪が問題になります。
 これは、再生手続の前後を問いませんけれども、債権者を害する目的で会社の財産を債権者に不利益に処分する行為をした者、例えば債権者と結託をして債務額を上回る価値のものを弁済として代物弁済をしたというような場合ですけれども、こういうものは会社について再生手続開始の決定があった場合には詐欺再生罪に当たりまして、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またこの併科ということもありますが、科されることになります。さらに、この詐欺再生罪につきましては、結託した場合には債権者も同じ犯罪が成立します。
○佐々木(憲)委員 渡辺博道経済産業副大臣が1995年まで社長を務めていました渡辺交通という会社が、ことし7月、約24億円の負債を抱えて民事再生法の適用を東京地裁に申請しました。
 私が入手した資料によりますと、渡辺交通は、2003年3月期決算時から四期にわたって、少なくとも約七億円の欠損、損失を出しております。資料を見てわかりますように、赤字経営の中で、渡辺交通は、渡辺副大臣に対して6870万円を借金返済名目で2004年中に全額返済しております。それを含めて、その資料にあるように、2006年3月までに副大臣とその親族へ約1億7000万円が支払われております。赤字経営の中、どのように金を工面したかというと、渡辺交通が保有していた有価証券を売却して、この一部が副大臣らに返済されたと見られます。しかも、この経理は簿外処理されております。この行為は民事再生法に違反していると思いますが、いかがですか。
○深山政府参考人(法務省大臣官房審議官) 今お示しのあった個別具体的事件につきまして、民事再生法上の違法行為があったかどうかをお答えするというのはなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これは具体的に調査をするということが私は必要だというふうに思います。私が把握している事実では、明確にこれは違反していると思います。
 総務省にお聞きします。
 政治資金規正法では欠損会社からの献金は禁止されると思いますが、どのようになっていますか。
○久元政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 政治資金規正法第22条の4第1項の規定によりまして、3事業年度以上にわたり継続して欠損金を生じている会社は、当該欠損が埋められるまでの間、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているところであります。また、同条の第2項でありますが、何人もこの規定に違反してされる寄附であることを知りながらこれを受けてはならないものとされているところであります。
○佐々木(憲)委員 渡辺副大臣が支部長を務める自民党千葉県第六選挙区支部が、2002年から2005年までの間に渡辺交通から420万円の献金を受けております。この渡辺交通は2003年3月期決算から資本の部に欠損を記載しております。渡辺副大臣は、報道によると、欠損があるとは知らなかったと言っております。
 8日、私は財務金融委員会で質問をいたしました。渡辺副大臣は、献金は返却の手続をしたと答えました。しかし、副大臣自身も社長を務め、妻や実父、長男、長女まで一緒に、一族でやってきた会社であります。渡辺副大臣が会社の株の65%を所有しております。地元事務所と渡辺交通の住所が全く同じでありまして、同じ建物の中にあります。渡辺交通の経営がどんな状態か知らないはずはないわけです。
 総務大臣、これは政治資金規正法に違反するんじゃありませんか。自民党は2期連続無配当かつ赤字の法人からも寄附を自粛するという方針があるというふうに私は小泉前総理から答弁をいただいておりますが、それにも違反している。大臣の見解を伺いたいと思います。
○久元政府参考人 私どもといたしましては、個別の事案につきまして承知する立場ではありませんので、お答えは控えさせていただきたいと存じます。
○佐々木(憲)委員 私が提出した資料、それから政治資金規正法の条文、さらに自民党の献金自粛の方針、これに照らして明確に違反していると思いますが、大臣はどのようにお感じですか。
○菅総務大臣 今答弁しましたとおりに、個別の事案については具体の事実に即して判断されるものというふうに考えています。
○佐々木(憲)委員 具体的な事実を私は提出いたしました。したがいまして、この点について具体的に調査をするということは当然だと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○菅総務大臣 総務省には、実質、調査権というものがありませんので、お答えを差し控えたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これは、内閣の一員であります副大臣が、このようなことを、明白に私は法違反だと思いますが、やっているという事実を提起しているわけです。したがいまして、これは内閣として、あるいは政治資金規正法を担当される大臣として、情報をきちっと把握して対応を考えるというのは当然じゃありませんか。
○菅総務大臣 国民に信頼される政治を行うためにも、政治家一人一人が襟を正すのは当然なことであるというふうに思っています。政治資金については、政治資金規正法にのっとり適切に処理されることが肝要であると私は思いますし、今後も、政治資金の透明性を確保し、政治に対する国民の信頼を裏切らないようにしていくことが大事なことであると思います。
○佐々木(憲)委員 時間が来ましたので終わりますが、閣議では決められたものがあります。大臣、副大臣、政務官規範というのがありまして、「清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」とあります。こういう疑惑を抱かせるような人物は副大臣にふさわしくない、このことを指摘して、終わります。

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