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財政(予算・公共事業) (大型公共事業・再開発)

2010年02月25日 第174回 通常国会 予算委員会第8分科会 【554】 - 質問

東海環状自動車道 御望山にトンネルを掘るルートはやめよ

 2010年2月25日、佐々木憲昭議員は、22時30分から23時にかけ、予算委員会第8分科会で、前原誠司国土交通大臣に質問しました。
 佐々木議員がとりあげたのは、東海環状自動車道・岐阜市御望山(ごもやま)ルートの問題についてです。
 このルートは、過去何回も崩壊を繰り返し、岐阜県からも「危険区域」に指定されている御望山の山中にトンネルを掘り、高規格幹線道路を建設するものです。
 佐々木議員は、国・専門家・地域住民の三者で構成する御望山調査検討会が、「安全性は確認できない」と満場一致で結論を出しているにも関わらず、国が強引に推進していることを批判しました。
 その推進の「根拠」としている住民アンケートが、国が意図しているルートが最も安全であるかのような誘導的な内容であることを指摘し、誰が作成したのかをただしました。
 金井道夫道路局長は「国交省の出先機関が作成した」と、事実上、アンケートに客観性がないことを認めました。
 また、佐々木議員は、地域別の集計が未公開であるため各地域の意見が正確に反映していない点を追及しました。
 これにたいして前原誠司国土交通大臣は、「地区別にまとめて提出する」ことを確約しました。
 佐々木議員は、「検討会」に参加した専門家の意見も聞かずに国交省が独自に再調査を行ったことは税金の無駄遣いであると改めて批判しました。
 金井道路局長は、ボーリング調査のためコンサルタント会社への委託費として約1億4000万円も税金を使ったことを明らかにしました。

議事録

○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 もう夜の10時半を過ぎておりまして、大変遅くまでお疲れさまでございます。私が最後ですので、どうかよろしくお願いいたします。
 まず、前原大臣に確認をしたいんですが、高速道路、高規格道路、こういう大型の公共事業を進める場合に、地域の住民の命と安全を守るあるいは環境を守る、これは非常に重要なことだと思います。
 大臣は、国交委員会の所信表明でこのように述べておられます。「公共事業については、これまでのしがらみを断ち切り、まず、歳出の中身を徹底的に見直していく必要があります。その上で、コンクリートから人への考え方に基づき、これまではつくることを前提に考えられてきたダムや道路、空港や港湾などの大規模な公共事業について、国民にとって本当に必要なものかどうかをもう一度見きわめてまいります。」こう所信で述べられていますが、このことをまず確認しておきたいと思います。
○前原国土交通大臣 佐々木委員にお答えをいたします。
 人口減少、少子高齢化そして莫大な財政赤字、こういった中で今までのような公共事業というのはできないと思いますし、また、これは共産党さんとも同じ認識に立てると思いますけれども、社会保障、教育、こういった人への投資というものがまだまだ足りないという状況でございます。税金の使い道を変えるといって政権交代を果たさせていただきましたので、それを実際に平成22年度の予算案では実行させていただいた。
 しかし、大事な事業については、例えば、ミッシングリンクでも、命の道というような観点も含めて、単なる費用対効果のみならず、そういったことも勘案しながら、必要なインフラ整備はしっかりとやっていくということでございます。
○佐々木(憲)分科員 私がきょう取り上げたいのは、岐阜県岐阜市を通る予定の高規格幹線道路、東海環状自動車道の問題であります。
 もとの計画では岐阜市の御望山という里山をトンネルを掘って抜けていく、こういう構想であります。
 配付した図を見ていただきたいんですが、この計画は点々の赤いルートになっておりまして、もともとは上の大きな丸のところが一つの案として検討されたことがあるそうです。流れを見ますともとの赤い丸の方が自然なルートなんですね。ところが、それをわざわざ下の方に曲げまして、トンネルを掘って抜ける、こういう案になっているわけです。
 御望山というのは標高が200メートルほどなんですが、過去に何回も大規模な崩落、崩壊を起こしたことがあります。古くは1586年に発生した天正地震、この崩壊が有名ですけれども、昭和41年から46年にかけて、山の南側に第2千成団地の宅地造成というのが行われたわけです。この団地造成後も、大きな石が転落をしてきたり、豪雨で山の上の山林に亀裂が発生したり、台風によって山崩れで小学生が死亡するという非常に痛ましい事故も起きているわけです。二枚目の写真が、岩盤の崩壊で死亡事故が起きた1976年の写真でございます。
 確認をしたいんですが、岐阜県が急傾斜地崩壊危険区域にこの地域を指定していると思いますが、それはそのとおりでよろしいですか。
○金井政府参考人(国土交通省道路局長) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、昭和52年の6月に岐阜県が急傾斜地崩壊危険区域に指定をしております。
○佐々木(憲)分科員 こういう危険な地域だからこそ、トンネル計画の都市計画決定に当たって、県の都計審で旧建設省あてに附帯意見というのが出されました。安全性について地域住民に十分説明することと明記されたわけです。
 この附帯意見に基づきまして、国交省によって、行政それから専門家、住民、この三者の御望山調査検討会というのが設置されたんです。この三者の構成による検討会というのは非常にすばらしいものだと私は思います。これは、国交省がこういう形で設置したんですね。この行政というものの中には国、県、市が入っております。
 この検討会は、三者が同じ資格の委員として参画をして、傍聴者も発言が保障され、議事と議事録が公開される。そして、日本を代表するコンサルタント各社による表層地質調査、各種の物理探査、そういうものに4年の歳月をかけました。その上2年を費やしてまとめたものが発表されたわけです。計6年かけてですね。それが、「御望山の安全性は確認されない」「計画を再検討する」、こういう結論が満場一致でまとめられたわけです。
 この検討会の結論について、歴代の大臣であります石原大臣も冬柴大臣も、調査検討会の結論は尊重する、こういうふうに述べてきたわけです。このことは事実だと思いますが、確認をしたいと思います。
○前原国土交通大臣 平成16年3月1日に当時の石原大臣は、「御望山検討会がどのような結論を出すのか見守る。もちろん、見守る中で重要な要素としては安全性。地質学上、そこに坑口を開くことに危険があるというような結論になれば、その意見は十分に参考にさせていただくということは言えるんだと思います。」とおっしゃっています。
 また、冬柴大臣は、平成20年3月13日に、報告書の結論を守るのかという質問に対して、「しっかり守ってまいります。守ってまいります。」「今八か所にも及ぶ地質ボーリング調査をやっているわけでございます。したがって、それが結論を得次第そういうものを整理して、皆様にこれを公表をして、そして決めていくべきもの」と答弁をされております。
○佐々木(憲)分科員 検討会の結論は、「御望山の安全性は確認されない」という結論です。ですから、当然、別のルートを検討する。道路をつくるなというんじゃないんですよ、つくる場合のルートを変更してほしいというのが結論だと思うんですね。
 私は、別なルートを検討することになるんだろうと思っておりましたが、昨年3月27日に国交省は、優位と考えるルート帯という案を公表して、7月にこの案に基づいて事業者計画案というのを発表したんです。
 これによりますと、御望山トンネルを掘る当初の都市計画ルートとほぼ同じBルートというのを選定して、これはトンネルを掘る計画なんです。見ていただけばわかりますように、次の次の四枚目の資料ですが、これを見ますと、この赤い太いルートがBルートということなんですが、もとの案はこの点々の案です。ですから、ほとんど同じルート。わざわざここを選定して、このルートが望ましいと。
 なぜこの安全でないと言われた御望山を通るルート、トンネルを掘るという案になったのか。その理由について、ここで端的にお答えをいただきたいと思います。
○金井政府参考人(国土交通省道路局長) お答えをいたします。
 先生御指摘の検討会の後、私どもとして、いわゆる事業予定者としてさまざまな検討をさせていただきました。その中でいろいろなルートを検討させていただいたわけでございますけれども、例えば地元に御提示申し上げたのは、今先生御指摘のBルートのほかに、Aルート、Cルート、例えば南側の市街地を通す案、北側の市街地を通す案、そのようなものも提示をさせていただいて検討させていただいたわけでございますけれども、南側、北側のルートにつきましては、移転が必要な家屋が非常に多くなる、市街地を通過する延長が非常に長くなるということで、地元からもかなり大きな反対をいただいたということでございます。
 一方、さっき先生も御指摘のBルートでございますけれども、都市計画の原案を基本としつつ、ルートを少し御望山の中で北の方にずらしまして、山を直接改変する区間の延長を都計ルートより小さくする、それから、前も御指摘いただきましたけれども、オグラコウホネ、こういった自然への影響を都計ルートより小さくする、このようなことを基本としたBルートを提示させていただき、さらにその段階で地元の御了解もいただきましてボーリング調査を新たにやらせていただきました。
 検討会では安全性は確認されないという御指摘をいただいたわけでございますけれども、ボーリング調査の結果、一応専門家から基本的にトンネルが安全に施工できるのではないかという御指摘もいただきましたので、そのような趣旨で、繰り返しになりますけれども、現地調査の結果、専門家の意見、いろいろ私どもの方で検討した結果、それからアンケートの結果、そんなものを中心といたしまして、Bルートを、これは都市計画ということではなくて事業者の原案ということで作成をさせていただいて提示を地元に申し上げた、概略そのような経緯でございます。
○佐々木(憲)分科員 いろいろ長い説明がありましたが、要するに、地元にアンケートをとりましたと。その中で比較的Bルートが多かった、それから安全性の検討をした、これはボーリングをやったとかそういうことなんですが。
 ここでアンケートということなんですが、本来、アンケートというのは、誘導質問とか、あるいは偏った情報だけ提供して、それでとるというようなことは、これは一般論ですけれどもやってはならないと私は思うんですが、大臣はアンケートのとり方についてはどう思いますか。
○前原国土交通大臣 あくまでも一般論でございますけれども、誘導をして、意図的に何らかの結論に導くようなアンケートのとり方はすべきではないと思います。
○佐々木(憲)分科員 それで、具体的な資料を見ていただきたいんですが、次のページに「道からの手紙」というものがあります。「計画の再検討について、あなたの声をお聞かせください。」アンケートがこれでとられたわけです。もともとは少し大判のこういうものであります。
 そして、この中にこういうふうに、今のルートなど、皆様にもお配りしてあります、そういうものが入っておりまして、ここにアンケートの回答、これは手紙、はがきになっておりまして、この裏側にこういうふうになっているわけですね。
 それで、このアンケートを私見て、これはちょっといかがなものかと思いました。六枚目を見ていただきたいんですが、ここにBルートのみ書かれておりまして、都市計画ルートより「より安全と考えられます。」というふうに書いているんですね。都市計画ルートより「より安全」と書かれていますが、なぜBルートのみしか書いていないんでしょうかね。これは都市計画ルート、もともとのルートと比較するなら、Aルートはどうなのか、Cルートはどうなのか、そういう評価が書かれなければいけないのに、それと比べてBルートだけ安全ですよ、そういうふうに書いているんですよ。
 私は、専門家から聞いた限りでは、BよりAはさらに安全だ、Cはもっと安全だと。それを、AとCを外して、わざわざBだけが安全であるかのような書き方をしている。これは私は非常に誘導的だと思いますね。
 それから、もう一枚をあけていただきますと、絶滅危惧種に分類されているオグラコウホネという植物がありますが、「Bルート帯では、池の湧水量に与える影響が小さくなると考えられます」と。一体、この文章はどなたがつくったんでしょうか。どなたが書いたんでしょうか。
○金井政府参考人(国土交通省道路局長) 先生御指摘の「道からの手紙」につきましては、国土交通省の、現地の岐阜国道工事事務所、そちらで作成をさせていただいております。
 なお、御質問の内容でございますが……(佐々木(憲)分科員「いやいや、この質問の内容は、どこが、だれが書いたのか」と呼ぶ)それは、岐阜国道工事事務所で作成をいたしております。
○佐々木(憲)分科員 結局、岐阜国道事務所が書いたものであると。何でこういう書き方をするのか。全く客観性がないですよ。
 それで、Bだけが安全であるかのように書いていますが、AとCについては何も書いていない。Aはもっと安全で、Cはさらに安全だ、そういう専門家の意見を聞いております。
 それからもう一つは、このページですね。このページは、ここに記入する欄があるわけです。そのページの一番最初のところと、一番目につくところにこれが書いてあるわけです。これを見ながら回答すれば、どうしてもBに誘導されてしまうわけですね。
 それから、いや、ほかのものも書いているんだと。裏を見ますと、確かに検討会の報告書の要約が書いてありますが、そっちの方はえらい小さい活字だし目立たない。こういうアンケートのとり方というのは、私は、これはだれが見てもBを選ぶように、ついうっかり私なんかも書きそうな、そんなやり方ですよ。
 この点については、平成20年3月13日の参議院の予算委員会、ここで民主党の平田議員がこう言っているんです。国交省は費用のかかるトンネルをつくることがよっぽど好きだと見えて、トンネルを掘るBルートに世論を誘導しているかのようにしか読めないと指摘して質問しております。私も本当にそう思いますよ。
 こういうA、B、Cというものを、これは地元の岐阜国道事務所でつくり、そしてBルートが一番いいんだと。しかし、これは第三者の目から見たものではなくて、国交省の出先機関の考えなんですよ。どこか別な機関からこういう評価が出たんですか、Bが一番いいという。
○金井政府参考人(国土交通省道路局長) お答えいたします。
 この資料につきましては、先ほども御説明いたしましたが、事業者としていろいろ検討結果を取りまとめて、都市計画権者である県であるとか市に提出を最終的にさせていただくという前提でやらせていただきましたので、あくまで事業者の素案として作成をさせていただいております。
○佐々木(憲)分科員 これは第三者が見て評価してBが一番いいと言ったのじゃなくて、国交省の出先機関でそういうふうに判断をし、そういう角度からアンケートをつくった、こういうことがはっきりしました。
 さあ、それでは、このアンケートの結果なんですけれども、その後の報告によりますと、ともかくBが一番多い回答があったというんですが、この危険性を感じている地元の第2千成団地の方々が住んでいるのは、黒野地域という地区なんですね。この地区の回答が、一番関心が高いのでしょうか、多いわけです。その黒野地域の回答者の中で、このアンケートはどういう結果が出ているか、ちょっと報告をしていただきたいと思います。
○金井政府参考人(国土交通省道路局長) お答えいたします。
 アンケートにつきましては、平成19年9月に実施をいたしまして、全体で約1500ぐらいの回答をいただいておりまして、全体としてまとめて報告をさせていただいております。
 したがいまして、黒野地区という限定でアンケート結果を把握はしてございませんが、若干お時間をいただければ、原票はございますので、オリジナルから拾い出して黒野地区のアンケート結果を取りまとめることは可能でございます。
○佐々木(憲)分科員 一番危険性を感じている黒野地域の方々の結果がどうかというのは、私はぜひ出していただきたい。それはできるというわけですから、後でここに、ここでいいのか、私自身にも報告をしていただきたいと思いますが、いかがですか。大臣、どうですか。
○前原国土交通大臣 地区ごとにまとめて提出をさせていただきます。
○佐々木(憲)分科員 この調査は、アンケートと、もう一つ調査をやったというわけです。その調査は、ボーリングも含めてやったというんですけれども、三者構成で参加をしていた専門家がいますよね。そして、その専門家も含めて三者全体で、御望山は安全性は確認されないという結論が出ていた。
 その専門家の意見を聞いてボーリング調査を例えば国交省がやる、少なくともその計画段階でそういう方々の意見も参考にして調査するというのは当然だと思いますが、そういうことはやりましたか。
○金井政府参考人(国土交通省道路局長) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、地元の御了解をいただきまして、検討会の後に新たにボーリングをさせていただきました。その場所については、例えば、検討会で指摘をいただいた、坑口で断層があるのではないかと言われたところのボーリングをいたしまして、それについては応用地質学会、専門家集団にお願いをいたしまして中身を見ていただいて、トンネルを掘ることには影響がないというような結論を得ましたので、そのような形で最終的に報告をさせていただいているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 結局、この検討会の専門委員の意見を聞いていないんです。その専門委員の方々は怒っているわけですよ。再調査をするならば、なぜ我々検討会専門委員の意見を聞いて調査計画を立てなかったのか、多額の税金が無駄かつ不当に使われたと言わざるを得ない、こう言って怒っているわけですね。
 このボーリング調査をした業者は株式会社ダイヤコンサルタントということらしいんですが、その委託費というのは一体幾らかかったんですか。
○金井政府参考人(国土交通省道路局長) 平成19年の10月から21年の3月まで、ダイヤコンサルタントに委託をいたしまして、企画競争方式で契約をいたしております。契約金額につきましては、約1億4千万程度でございます。
○佐々木(憲)分科員 1億4千万かけてやったわけです。
 もともと、この御望山は安全性は確認されていないんですから、したがって、別なルートを検討するというのであれば、わざわざこのボーリングをもう一回やる必要はないんです。だから、無駄にお金をかけて、しかも、その間、道路建設そのものもおくれてしまうわけです。全く無用だと私は思いますね。
 御望山調査検討会の委員長は、こういうふうに言っているんです。将来的に崩壊を起こす要因となる断層は確実に存在する。特にK1断層は、再調査によって得られた各種のデータによって、ますます疑うべくもないものとなった。再調査のデータを見たらやはり崩壊を起こす要因となる断層というのは確実に存在する。こういうふうに言っているんですね。
 このような山というのは、ソフトで均質な地盤とは全く異なり、トンネル掘削には甚だ不都合である。その最も大きな問題は、地山の不均質性にある。幾らかたいところがあっても、破砕されたところや軟弱なところと複雑に入りまじっていれば、トンネル掘削に際しても、その後のメンテナンスや周囲の影響に関しても、はるかに軟弱だが、均質な地盤よりはるかに厄介である。御望山の場合、その予測がつきがたい。特に、水の動きにかかわる地山状況の把握と経時的変化予想はほとんど不可能と言わざるを得ない。
 難しい言葉を使っていますけれども、要するに、再調査をやったデータを見ても、危険だというのは変わらないと言っているんですよ。
 大臣、最初にやった専門家の地質調査を含めた非常に危険だという見解、それから、国交省の専門家に依頼した結果はそうではないという見解が出ているわけです。私は、少なくとも、それぞれ専門家なんですから、これだけ意見が違うのであれば、やはり一堂に会していただいて、そしてそれぞれの見解を述べていただき、この際、一層突っ込んだ検討というのを行うべきだと思うんですよ。
 何か、あっちの専門家の意見と違うものは、国交省がやったんだからこっちが正しいんだといって突っ走る。しかし、それに対して地元の住民や専門家からごうごうたる非難が起きるような、そんなやり方はおかしいと私は思います。アンケートのとり方にも疑問がありますし、それから、専門家に依頼したというんですけれども、違う結果が出ている。
 そういう状況で、しかも、税金が1億円以上無駄に使われた、そういう指摘もある中で、この際やはり、前の政権がやったものでありますが、新しい政権になりまして前原大臣にかわりましたから、こういうものをもう一度精査して、そして、専門家の検討を、それぞれ違う意見があるのはいいと思います、あるのはあり得ると思います。したがって、両方の意見をしっかり聞くような機会を設ける、少なくともそういうことをやるのが新しい政権の役割ではないかと私は思いますが、前原大臣の御意見を伺いたいと思います。
○前原国土交通大臣 前政権のもとでやられたことでございますけれども、さまざまな再検討、あるいは現地調査、専門家の意見、安全性の検討結果などを総合的に勘案して案がつくられて、現在その案が岐阜市と岐阜県に渡されている。あくまでも、この事業を採択するかどうかの決定は地元の岐阜県そして岐阜市が行われるわけであります。
 ですから、今、都市計画変更に向けた検討がなされているところでございますので、岐阜県や岐阜市がさらに何らかの形で国土交通省に発言を求めるとか、そういうことがあれば我々としては協力をしていきたい、このように考えております。
○佐々木(憲)分科員 ちょっと歯切れの悪い答弁だったんですが。
 要するに、計画を出していると言いますが、その計画自身は今までやってきた検討会と違うものが出ているわけですよ。検討会は、安全性に疑問がある、そういう結論を出したわけです。国交省は、独自に何か別な調査をやって、安全性は大丈夫ですという結論を出して、それを出しているわけですね。
 ですから、三者協議でやった結論と違うものを国交省が出している状況ですので、これはもう一度洗い直すということを大臣のリーダーシップのもとできちっとやってもらいたいと思います。どうですか、最後に。
○前原国土交通大臣 繰り返しになりますけれども、検討会の報告書の取りまとめでは、今先生がおっしゃったように御望山の安全性は確認されないという報告書が出ている。ただ、その後にルートを少し奥に変えて、そしてまたボーリングをして、そして安全性については問題ないということで、その結果として今岐阜県と岐阜市で都市計画見直し、変更に向けた検討がなされている。
 先生がおっしゃるように、もし岐阜県、岐阜市がやはりその中身に疑問を感ずるということであれば、岐阜県や岐阜市が戻されるということになると私は思いますよ。そのときには我々また、そういったことが仮にあれば、検討をさせていただきます。
○佐々木(憲)分科員 このBルートというのは、かえって危ないと言われているんですよ。トンネルの中で曲がりぐあいがもっと激しくなるんですよ。専門家に言わせると、トンネルの中でカーブがこんな急カーブなトンネルはかえって危険であるという指摘もあるんですよ。
 こういう指摘があるのに、国交省はどんどんこのトンネルの案を進めたいという立場に立っていると私は思います。しかし、それを政治家である大臣がしっかりと監視して、こういう指摘をここでやりましたから、それを頭に入れて今後対応していただきたい。最後にそのことを確認したいと思います。
○古賀主査 皆様の御協力で、ちょうど時間になりました。最後の質問でよろしゅうございますか。
○前原国土交通大臣 政権もかわったことでありますので、委員の御指摘もありましたので、一度岐阜県、岐阜市の意向確認をさせていただくということでよろしゅうございましょうか。(佐々木(憲)分科員「もっと積極的に言ってください」と呼ぶ)
 もう11時になりましたので。
○佐々木(憲)分科員 それでは、ともかくもう一度確認をして、これだけ私がはっきりと具体的な事実を指摘しましたので、大臣のリーダーシップでやっていただくということを要請して、質問を終わりたいと思います。

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