2004年03月01日 第159回 通常国会 予算委員会第8分科会 【226】 - 質問
東海環状自動車道・御望山トンネル「住民との合意を踏まえて対処」と国土交通大臣
東海環状自動車道の御望山トンネル建設計画(岐阜市)のルート変更を求め、佐々木憲昭議員が、2004年3月1日の予算委員会第8分科会で国土交通省の対応をただしました。
佐々木議員は、御望山トンネル計画の問題点として、(1)歴史的に崩落を繰り返してきた急傾斜地危険地区でのトンネル建設であり住民の生命に危険があること、(2)絶滅危惧種の新種である可能性が大きいギフヒメコウホネの生息地でありトンネル建設による絶滅の恐れがあること、を指摘し、ルート変更を求めました。
石原伸晃国土交通大臣は、トンネルの是非を検討している「御望山調査検討会」(行政・有識者・住民代表で構成)が3月末までに出す結論を受けて、「危険があるということになれば、その意見は十分に参考にさせていただく」「安全性というファクターは重視していかなければならない」などと答弁しました。
国土交通省がトンネル建設を計画している御望山は、急傾斜地崩壊危険地区に指定され、長年にわたり土砂災害が多発しています。トンネル建設にともなう斜面崩壊の危険性が指摘されており、地元住民による反対運動を受けてつくられた「御望山調査検討会」(行政・有識者・住民代表で構成)のなかで、トンネルの是非が検討されています。
佐々木議員は、「検討会」が3月末までに結論を出すとしているが、「検討会が専門的見地から出した結論に従うのか」とただしました。
石原大臣は、「十分に参考にさせていただく」と述べ、佐藤信秋道路局長は「(議論を)一方的に打ち切って事業にかかることは考えていない」と答弁しました。
また佐々木議員は、御望山で絶滅危ぐ種であるヒメコウホネの新種と見られるギフヒメコウホネが発見されたことを指摘。「トンネル建設で絶滅することがあってはならない」と主張しました。
環境省の小野寺浩自然環境局長は、「新種であるか否か、大きな関心を持っている。関係者と連携して保護に努めたい」と答弁。石原大臣は、「地元との合意を踏まえて適切に対処しなければならない」と保護の観点から「検討会」の結論を尊重する考えを示しました。
佐々木議員は、10年前から地元自治会の皆さんと運動し、政府要請に同席してきました。
議事録
○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
きょう最後の質問ですので、どうかよろしくお願いをいたします。
まず、石原大臣に確認をしたいのですけれども、高速道路あるいは高規格道路のような大型の公共事業を進める場合に、地域住民の命と安全を守り環境保全に努める、このことは大変重要だと私は思うんですが、大臣の基本的な姿勢をまず確認しておきたいと思います。
○石原国土交通大臣 これは国土交通委員会の所信でも述べさせていただいておりますが、今後とも、国民生活の安全性を確保する観点、そして環境問題を、生活に負が多くかからないような、負担のかからないような形で道路整備を進めていくということは重要な視点であると認識しております。
○佐々木(憲)分科員 私がきょう取り上げたいのは、岐阜県岐阜市を通る高規格幹線道路、東海環状自動車道の問題でございます。
これは配付いたしました資料を見ていただければわかると思うんですけれども、資料1、資料2がその図であります。計画では、岐阜市の御望山という里山をトンネルで抜けるという構想になっているわけでございます。
この御望山の南側の地域に、昭和41年から46年にかけまして、第二千成団地の宅地造成が行われました。この地域は、これまでも土砂崩れなどの災害が多発をしている地域でございます。
確認をしたいんですけれども、トンネルの計画地域が急傾斜地崩壊危険区域に指定されていると思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人(国土交通省道路局長) 先生御指摘の御望山、これは、東海環状自動車道がこの御望山の下を通る、こういうことになっておるわけでございますが、これについては、南側斜面の一部について、昭和52年6月21日に、急傾斜地崩壊危険区域に指定されているということであります。
○佐々木(憲)分科員 実際にこれまでも何度も山崩れというのが起こっておりまして、古くは、配付した資料の3枚目を見ていただきたいんですが、1586年に発生した天正地震のときに、左上の部分の黄色いところが御望山の崩壊場所でありますけれども、団地造成後、昭和49年にも、大きな石が転落してきたり、豪雨で上の山林に亀裂が発生したり、あるいは次の年に山の上部に地すべりが発生する。さらに次の年、昭和51年になりますと、防災工事を行ったわけですが、その工事で削った斜面に新たな亀裂が三カ所発生する。その直後に、大雨による山崩れの危険のため住民が近くの中学校に避難をする、そういうことが続いております。そして、その年の9月11日には、台風17号の大雨による山崩れがありました。それが配付をした資料の4枚目ですけれども、この山崩れで小学生が死亡するという大変痛ましい事故が発生しているわけでございます。このときは、団地の裏山で11カ所が崩壊をいたしました。
そのために、次の年、昭和52年に、急傾斜地崩壊危険区域、それから、建築基準法の災害危険区域に指定をされたわけでございます。これは先ほど確認をいたしました。
その後も、台風で雨が降るたびに、山の斜面に亀裂が発生したり巨大な岩石が崩落するなど、大変危険な状況にあるわけです。そのために住民が避難するというのが、本当にたびたびそういう状況があらわれているわけであります。
資料の5を見ていただきますと、西坑口予定地付近の写真でありますけれども、砂利業者が土取りをした跡。埋め戻し命令が出たんですけれども、ところが、上からどんどんどんどん崩れてきまして復旧ができない、こういう状況になっていまして、大変もろい山だということがはっきりしているわけです。
この御望山にトンネルを掘りまして東海環状自動車道を通す、そういう計画が出てきまして住民が大変びっくりするということでありまして、1994年でありますが、不安が高まったわけです。
そこでお聞きをしたいんですけれども、平成8年、1996年ですが、トンネル計画の都市計画決定に当たって、県の都計審で旧建設省あてに附帯意見が出されていると思うんです。その中に、「安全性について、地域住民に十分説明すること。」と書かれていると思いますが、間違いありませんか。
○佐藤政府参考人 経緯を多少申し上げさせていただきたいと思います。
ここの部分の都市計画の手続は、平成6年の2月に着手いたしました。その後、平成6年の10月11日から11月25日にかけて地元説明会を開催いたしましたところ、地域住民の一部から、御望山をトンネルで通過することに対する安全性に不安の声が寄せられた、これが平成6年でございます。
平成七年の3月に、岐阜市議会から、住民の不安が集中している御望山に関して、南側斜面も含めた詳細な調査を行い、その結果を公表し、地域住民に説明されたいとの意見書が提出されました。
これらを受けまして、都市計画を決定する岐阜県は、平成7年6月に都市計画手続を中断いたしまして、斜面及びトンネルの専門家から成る御望山南斜面調査専門委員会、それと、トンネル影響評価委員会の二つの専門委員会を設けて、安全性について再確認いたしました。
その結果、知事は、トンネルが斜面の安全性に及ぼす影響はないと判断し、また、現状斜面そのものの安全性確保については、大きな崩壊のおそれは少ないと考えているが、今後も引き続き安全性を高めるために必要な対策について万全な処置をとっていくことを表明した上で、沿線市町村からの強い要望にこたえるべく、平成8年2月に、都市計画の手続を再開した。
こういった経緯の中で、平成8年8月23日に開催された岐阜県都市計画地方審議会におきまして、審議会会長から岐阜県知事あてに、先生御指摘の、「今後行われる地質調査等必要な調査結果を公表し、安全性について、地域住民に十分説明すること。」との内容が付され、原案を適当と認められた、こういう経緯でございます。
○佐々木(憲)分科員 この附帯意見に基づきまして、現在、学者、住民、行政の三者によります御望山調査検討会が設置されているわけです。国土交通省も行政側としてこれに参加をしているわけですね。
設置に当たりまして、建設省岐阜国道工事事務所と第二千成団地自治会との間で合意・確認事項というものが取り交わされております。「検討会の準備委員会に向けての第二千成団地住民との合意・確認事項」というものでありまして、私もここに持っておりますけれども、この中でこういうふうに述べているんですね。「御望山の安全性確認の調査をし、検討会において重大な結論が出された場合、ルート変更もあり得る。」こういうふうに明確に述べているわけでございます。
こういう合意をしたことは、これは間違いありませんね。
○佐藤政府参考人 そこで先ほどの経緯の続きになるわけでございますが、平成8年の10月4日に都市計画決定がされました。その後、岐阜県の都市計画地方審議会から出された「十分説明すること。」との附帯意見を踏まえまして地域住民と話し合いの場を設けてまいりましたが、調査の目的で地域住民と行政側の意見が平行線となった。
そこで、平成10年3月には、御望山の安全性に関する検討会を設置することを地域住民に提案し、検討会の目的、構成メンバー、具体的な調査項目などの話し合いを継続してきた。
さらに、平成11年3月に、この調整の場として準備会を設けることを地域住民に提案し、案内を送付したところ、調査目的の表現、ルートに対する安全性などの了解が得られず、さらに話し合いを継続した結果、平成11年10月には、準備会の設置に向けて合意、確認ができるようになった。
このような経緯を経まして、平成十一年の10月14日には、第二千成団地自治会長及び対策委員長と当時の建設省の岐阜国道工事事務所の事業対策官との間で「検討会の準備委員会に向けての第二千成団地住民との合意・確認事項」の文書を交わしているということであります。
その中で、一、調査の目的について、御指摘の「検討会において重大な結論が出された場合、ルート変更もあり得る。」との内容が記述されています。また同時に、6、検討会の運営方針という中で、「検討会は専門委員と住民代表と行政代表が議論し合意を図っていく場とし、調査を進める段階で必要により専門委員のみによる専門部会、住民代表と行政代表による小部会の開催を行うものとする。」などの、進め方の取り決めもここで交わされている、こういうことであります。
○佐々木(憲)分科員 今説明がありましたように、三者でつくられた調査検討会、これは大変画期的なものだと私は思うんですね。そのもとで、御望山の安全性について専門的に検討する専門委員会、今御説明あったように、それが設置されたわけであります。
ことしの1月25日に調査検討会が開かれまして、この専門委員会が見解を表明しております。ここにその議事録の全文がありますけれども、これによりますと、御望山の地質は非常に悪く、ルート変更を考えるケースだというふうに述べられております。全体に不均質で、がさがさの深層風化した特異な地質構造である、それから、トンネルの坑口が特に偏圧で、断層や破砕帯があり、崩れて山ろくの団地に影響が及ぶ可能性があるというふうに述べているわけです。
そこで、大臣にお聞きをしたいんですけれども、この検討委員会は、3月末までに三者で協議して結論を出すということになっております。検討委員会が専門的な見地から結論を出した場合、当然、国土交通省はその結論に従うというのが筋だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 先ほども申し上げましたが、大変経緯のあるやりとりを経てきた検討会であります。この検討会の準備に当たりましても、この場をどういう性格のものにするのかという点について、先ほども申し上げましたように、専門委員と住民代表と行政代表、行政代表の方は国と県と市とそれぞれが入っていろいろやってきている、こういうことであります。
この中で、先生先ほど御指摘の部分で申し上げますと、専門委員の中にもまたいろいろ意見がある、こういうことも承っております。何分にも、都市計画を決めた段階では、そのための委員会もまた別途に開いて、何とかなるのではないか、何とかなるというか、影響はないんじゃないか、こういうような御結論も出した。その後いろいろなことを調査してきておられるんですが、そういう意味では専門家の間でもいろいろ議論のあるところである。
そういうことで、地下水位変化とか水脈とか地質調査とかいろいろやりながら、ようやく水位の変化等に関する予測なども、昨日でございますか、出された、こういう状況だと聞いております。
そうすると、いろいろな御意見があるので、そういう意味では、この合意の形成のあり方というものが、特に、何とか委員会として多数決で決めるとか、そういう形でもないということもありますので、この委員会、検討会の中のいろいろな議論を踏まえながら、どういう形の合意形成を図っていかれようとするのか。私どもとしては、これをしっかりと見ながら必要な対応をしてまいりたい、そんなふうに思っているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 今、いろいろな意見が専門委員会の中で出ているというふうにおっしゃいました。ただ、議事録を見ますと、この専門委員会の代表が話をしているところによりますと、これは私個人の意見として報告したのではない、いわば全体の意向を踏まえて総括的に報告したんです、このように言っているわけでございます。したがいまして、いろいろな意見があって分かれているという話ではなくて、専門委員会としては、総体として、今私が紹介したような方向が報告されたということでございます。
そこで、当然その専門委員会の意見も踏まえて、大臣、検討委員会というのが3月末までに結論を出すわけです。それに行政も参加をしているし、専門家も参加しているし、地域住民も参加して、そこで出た結論については当然これは尊重する、それに従うというのは当然だと思うんですが、いかがでしょうか。
○石原国土交通大臣 道路局長から御答弁させていただいてきておりますように、検討会設置の経緯、また、検討会が専門調査会を開いて、主に地質調査を中心に安全性について検討を加えて今日に至っているということは、委員の御指摘のとおりでございます。
そんな中で、私どもの立場は、御望山検討会がどのような結論を出すのか見守る。もちろん、見守る中で重要な要素としては安全性。地質学上、そこに坑口を開くことに危険があるというような結論になれば、その意見は十分に参考にさせていただくということは言えるんだと思います。
○佐々木(憲)分科員 今は検討委員会の結論が出る前ですけれども、当然、結論が出るまでは着工しないというのは当たり前だと思うんですが、そこだけは確認しておきます。
○佐藤政府参考人 そこでそういう、非常に緩やかなといいますか、行政と専門家と住民の皆様と集まって、どういうような形での合意が図り得るかといろいろおやりいただいているということは事実だと思います。
したがいまして、そういう状況の中で、一方的にその話し合いなり検討会を打ち切って事業にかかる、工事にかかる、こういうことは考えてはおりません。
○佐々木(憲)分科員 次に、自然環境の面からお聞きをしたいんですが、環境省にお聞きします。
御望山の南側のトンネル東坑口付近に当たる於母ケ池という池がございまして、そこにヒメコウホネという大変貴重な生物が生息をしているそうであります。写真を見ていただきたいんですけれども、上の方がヒメコウホネの写真です。
これは、国のレッドデータブック、ここに絶滅危惧種として記載されていると思いますが、いかがでしょうか。
○小野寺政府参考人(環境省自然環境局長) 御指摘のヒメコウホネは、環境省のレッドデータブックで、絶滅の危険が増大している種として、絶滅危惧2類に分類されております。
○佐々木(憲)分科員 この於母ケ池のヒメコウホネは、専門家から、ヒメコウホネの中でもさらに貴重な新しい種ではないかと指摘をされております。これは、下の写真のように、少し上と違うわけですね。葉っぱが水の上に浮いているのが上の方ですが、下のは水の中に葉っぱがあるというんです。そういう点で、素人が見ても違う感じがしますけれども、これはギフヒメコウホネと呼ばれておりまして、近く学会でも発表される見通しだと言われております。
このトンネルの建設で万が一にもこれが絶滅するというようなことになりますと大変重大なことになると思うんです。環境省としても当然強い関心を持っていると思いますが、いかがでしょう。
○小野寺政府参考人 コウホネの仲間は、種の分類が必ずしもはっきり確立しておりません。今委員がおっしゃったギフヒメコウホネにつきましては、今、専門家がDNA鑑定をしておるところだというふうに聞いております。
環境省としては、この種が、分類学上、新種であるか否かについて非常に大きな関心を持っているところであります。
○佐々木(憲)分科員 そういう大変貴重な生物なわけですけれども、地元の自治体であります岐阜市では、4月から自然環境保全条例というものが施行されることになっております。希少種であることが確認された場合、自治体が条例で保護していくということが可能になっていくわけですが、環境省としてはこのことについてどのように受けとめておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
○小野寺政府参考人 岐阜市が条例に基づいて希少な野生生物の保全に取り組む予定ということは、我々も承っております。ただ、ギフヒメコウホネがこの対象に入っているかどうかについては、まだ確認しておりません。
いずれにしても、希少な野生生物保護が、国だけではなくて、条例等によって自治体も一緒になって保護していただけることは、種の保存の観点からまことに結構であるし、喜ばしいことだと思っております。
○佐々木(憲)分科員 では、希少種であることが確認された場合、国としてもこれを保護するというのは当然必要なことだと思うんですけれども、環境省としてはどのような方策をとっていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○小野寺政府参考人 このギフヒメコウホネと呼ばれている植物につきまして、まず新種であることが確認されて、かつ全国的な分布の中で希少さがはっきりした場合には、はっきりする可能性がかなりあると思います、その場合には、環境省としても、種の保存の観点から、岐阜市が条例をつくって保護を進めるということもありますし、自治体その他関係者と連携しつつ、今後、保護の方策について検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)分科員 岐阜県の都計審の附帯意見によりますと「貴重な動・植物等の自然環境の保全に配慮すること。」と書かれておりまして、それから、先ほど御紹介した旧建設省と第二千成団地住民との合意・確認事項では「ヒメコウホネ等、地域の環境に与える影響を評価する。」と書かれております。
国土交通省として、これらの意見や合意、これは大変大事だと思うんですが、大臣、これは遵守するというのは当然だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○佐藤政府参考人 事実関係だけ一言申し上げます。
先ほどの、一月の時点でのルート変更云々という委員会の御意見、その後、その次の検討会で、委員の間から、私どもはそういう意見を持っていないというふうな御意見が出たということが一つの事実として、先ほど私が申し上げた、いろいろな意見があるというのはそういう意味であります。
それから、ヒメコウホネの方は、昨日なものですから恐縮なんですが、2月29日の21回の委員会で於母ケ池の水位変化の予測結果などが報告されたそうでありますが、トンネル掘削によって地下水源への影響やヒメコウホネに影響はないというような報告がなされて、一部の委員からも報告内容は妥当であるとの見解が述べられた、こういうことでございまして、オンゴーイングでありますから、やっている最中でありますので、いろいろな意見があるということを、一言事実としては申し上げておきます。
○佐々木(憲)分科員 いろいろな意見があるといいながら、地元の圧倒的多数の住民や専門家の意見、それがほぼ一致する方向に行っているのに、ごく少数の意見が、別な意見があるということによって何かそれをひっくり返そうとしているかのような意図が見え見えなので、そういうことでは、地元の合意形成を図っていこうというせっかくの努力に水を差すことになるので、そこは十分気をつけて発言していただきたい。
やはり、こういう、それぞれ全く立場の違う三者が協議をしてこれから決めていこうというわけですから、しかも、専門委員会が専門的に調査をし、それに基づいて合意を図っていこうというわけでありまして、そういう点で、ヒメコウホネなどの環境に与える影響を十分考慮するというのは、私は当然のことだというふうに思うんですね。
専門委員会の中で、於母ケ池のヒメコウホネについて、トンネル掘削で地下伏流水の水量、水質に変化が起きる可能性があり、ヒメコウホネは絶滅の危機にさらされるだろうということで、トンネル掘削の悪影響を危惧しているわけであります。
絶滅危惧種の保護という観点からも、これは検討委員会の結論を当然尊重しなきゃいけないと思うんですけれども、この基本的な姿勢について、石原大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○石原国土交通大臣 今のことも含めまして、前段で、都市計画地方審議会が出した「自然環境の保全に配慮すること。」という附帯意見ですか、それと、国道事務所と自治会との間で確認されました「ヒメコウホネ等、地域の環境に与える影響を評価する。」という合意文書ですか、こういうものはしっかりと踏まえて、適切に対処しなければならないと思っております。
○佐々木(憲)分科員 配付した1枚目の地図をもう一度見ていただきたいんですけれども、この図は国土交通省が出したものであります。これは間違いありませんね。
○佐藤政府参考人 これはいろいろな検討をしたでしょうというふうにある先生に御指摘をいただいて、私どもは、通常、いろいろなルートを検討しながら、適切な案はどれだろう、こういうふうにやってくるものですから、では、それを、例えば考えられるものとしたらという意味でもいいからと。以前の検討というよりは、例えば今のこの都市計画の状況から、ルートから見て、考えられるルートがほかにあるとすればどんな感じですか、こう聞かれて、私どもの担当が、あり得るとすれば、幾つもあるわけですけれども、例えばこんなことだってあんなことだってあるかもしれませんという意味でお出しさせていただいたと聞いています。
○佐々木(憲)分科員 ですから、この黒丸でつないであるルートというのは一つの可能性のあるルートである、いろいろな検討の過程で、一つのアイデアとしてこういうものもあったと今確認をできたわけです。
ですから、この御望山の下をトンネルでくぐり抜けなければならない、どうしてもここしかないんだというわけではなくて、別なルートの可能性というのもある、これは、こういうふうに示されたことによっても明らかだと思うんです。この上の黒丸の点のルートであるならば、これは住民にとっても大変安全でもあり、また、絶滅危惧種の保護も可能になるわけでございます。
大臣、最終決定はこれからですけれども、国土交通省として、住民の安全の保障それから絶滅危惧種の保護、この二つをしっかり前提にして対応していく、そういう姿勢、一番最初にも確認しましたが、もう一度、最後に再確認をさせていただきたいと思います。
○石原国土交通大臣 前段は安全性の問題で、御望山調査検討会の検討結果を見守るというのが立場でございますが、安全性というファクターは重視していかなければならないと先ほど御答弁をさせていただきました。
さらに、後段の、ヒメコウホネでございますか、これにつきましても、委員が御開陳されました附帯意見や合意・確認事項を踏まえて適切に対処していかなければならない問題だと考えております。
○佐々木(憲)分科員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
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