2006年11月21日 第165回 臨時国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【369】 - 質問
サラ金問題で参考人質疑 参考人が17日の佐々木議員質問に「非常に励まされた」
2006年11月21日、財務金融委員会で貸金業法等改正案に関する参考人質疑がおこなわれ、佐々木憲昭議員が質問しました。
参考人として出席したのは、貸金業制度等に関する懇談会・吉野直行座長(慶應義塾大学教授)、未来バンク事業組合・田中優理事長、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会・本多良男事務局長、日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部・宇都宮健児本部長代理(弁護士)、国民生活センター・田口義明理事、東京都産業労働局・塚田裕次金融部長です。
吉野直行氏は、多重債務の理由として「生活費」のためが31%、続いて失業倒産収入減少が25%を占めていることをあげました(2004年)。
このことからも、多くの方々が生活苦からサラ金に手を出し、高い利息のために借金が雪だるまになり、返済ができずに多重債務におちいっていることがわかります。
全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長の本多良男氏は、全国一斉に過払い返還請求訴訟をしていることを紹介し、この運動がサラ金業者の金利が利息制限法違反の違法金利であることを周知させることになるとのべました。
佐々木議員が17日の参考人質疑で、弁護士などに頼らなくても利用者本人が過払いの返還を求めてきた時に、サラ金業界としては誠実に対応すべきではないかと質問したところ、アイフルの福田社長は「誠実に対応する」と答弁しました。
本多氏は、あのような答弁を引き出したことに「非常に励まされた」とのべ、「ほんとうにそうかどうか、確かめたい」とのべました。
佐々木議員は、サラ金会社は「利息返還損失引当金」を積み増ししているのだから、すぐにでも返還すべきであり、返還請求に対して不誠実な態度をとれば、あらためて取り上げることを約束しました。
宇都宮弁護士は、アジアとりわけ韓国における日本のサラ金の進出と、被害のひどさについてお話があり、委員会であらためて驚きの声があがりました。
議事録
【参考人の意見陳述と佐々木憲昭議員の質問部分】
○伊藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、慶應義塾大学教授・貸金業制度等に関する懇談会座長吉野直行君、未来バンク事業組合理事長田中優君、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長本多良男君、弁護士・日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部本部長代行宇都宮健児君、独立行政法人国民生活センター理事田口義明君、東京都産業労働局金融部長塚田祐次君、以上六名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
急なお願いにもかかわらず本委員会に御出席を賜りまして、本当にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からお一人10分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず吉野参考人にお願いいたします。
○吉野参考人(慶應義塾大学教授)(貸金業制度等に関する懇談会座長) おはようございます。慶應義塾大学の吉野でございます。
私は貸金業に関する懇談会の座長を務めさせていただきましたので、その立場から、今回の法案に関しまして私見を述べさせていただきたいと思います。
今回の法案は、私たちがずっと考えてまいりましたほぼすべての点に関しましておこたえいただいておりまして、さらにこれから進めるべきことはあるとは思いますが、私は今法案には賛成でございます。
お手元の方にきょう配付資料をお配りさせていただいておりますが、学士会の会報と書いているものでございます。それの次のページをごらんいただきたいと思います。30ページと31ページに図がございますので、これを見ながら御説明をさせていただきたいと思います。
では、ただいま配付していただいておりますので、表紙のページの1ページをおあけいただきますと、右側に30ページ、それから左側に円グラフの図がございます。私は、この右側の図を使いながら、きょう、約10分間でお話をさせていただきたいと思います。
30ページの図を見ていただきますと、左側の方に利用者、借り手、それから右側の方に貸金業、いわゆる供給者、こういう二つのグループがございます。
まず、利用者の立場の方から申し上げたいと思いますが、私が見るところでは、大体三つの利用者のグループがおられます。貸金業に関しましては、一番左側の「生活苦」の方々、それから「浪費者」、それから私が掲げております「健全な借手」、この三つのグループが現在貸金業を利用されているということでございます。
ただ、本来的にこの貸金業を使われるべき方々は「健全な借手」、こういう方々が最も重要でありまして、残念ながら、現在のところは「生活苦」あるいは「浪費者」の方が使われている、こういうところが一つ問題だと思います。
それから、最近グラミン銀行の話がございますが、このグラミン銀行は日本の消費者金融とはちょっと違いまして、生活者が物をつくるためにお金を借りるというのがグラミン銀行であります。ですから、生活苦のためにお金を借りる銀行ではない、このことが、やはり多重債務があるかないかという大きな違いではないかと思います。日本の場合には、残念ながら、生活苦の方々あるいは浪費者の方々がこういう消費者金融を利用されるというところに問題があったと思います。
それから、今後でありますけれども、下の方を見ていただきたいと思いますが、こういう生活苦の方々には、やはりこういう貸金業から借りるのではなくて、何らかの公的扶助あるいは事前のカウンセリング、こういうことがぜひ必要ではないかと思います。それから、真ん中の「浪費者」のグループに関しましては、下の方にずっと線がございますけれども、中学校、小学校、高校を通じて金銭教育、こういうものがぜひこれからも必要であると思います。
三番目の、右側のところの「健全な借手」というところでございますが、これは一番大きいところは、例えば新規の企業というようなところが多いと思います。
なかなか最初の起業、新しく企業を起こそうといたしますと、銀行から借りられません。こういうところはやはり最初は貸金業に行かれる。そして、そこでうまくやっていかれますと、2年、3年すると銀行から借りられるということになります。特に、新規企業の場合には成功する確率が非常に低くなっておりまして、一万数千社に一件だけ新規企業は成功する、こういうような統計がございます。ですから、なかなか銀行としては、最初に、初めて来られても貸せないということがあると思います。
それから、ほかの健全な借り手としましては、つなぎ融資、短期的にお金を借りたい、こういう方々がおられるというわけであります。
次に、今度は右側の貸金業の方に参りたいと思います。
現在は参入が非常に自由でありまして、登録制というふうになっております。このために、1万6000とか1万8000、こういう業者が、右の上の方でございますが、ございます。今回はここに資本金を課すことによりまして、5000万あるいはそれに近い資本金、こういうことによりまして参入を制限していく、いい業者だけが入るようにする、こういうことでございます。
今後でありますけれども、例えばペーパーテストを課すというようなこともあると思います。暴力的にいろいろ取り立てをする方々はペーパーテストに弱い、よくこういうふうに言われておりますので、試験をこういうときにやるといいんではないかというふうに思います。
それから、参入のところでありますけれども、フランスとかイギリスの場合には非常に厳しく、免許制になっておりまして、これは銀行と同じように、免許を取らないとできない、こういうような国もございます。
それから、右の方の、丸が書いてございますが、「信用情報機関」というところをごらんいただきたいと思います。
現在、三つの大きな信用情報機関がございます。必ずしも全部の業者がその信用情報機関に入っているわけではありません。このために、信用情報機関の情報が足りませんので、多重債務に陥る、何回も借りて多重債務を繰り返す、こういうことになります。
今後は、やはりこの信用情報機関にある程度強制的に入っていただく、こういうことが必要ではないかと思います。そのためには、やはりいい業者が参入して貸金業に入るということがもう一つ重要であります。そういたしませんと、その信用情報を利用してまた悪いことが行われるということになると思います。
さらには、この信用情報機関、現在三つございますが、情報の交流をしっかりすることによりまして、ホワイト情報それからブラック情報、いい情報、悪い情報、これをしっかりとモニターするということが重要ではないかと思います。
次に、下の方の「行為規制」でございますが、これはやはり、これまで悪い業者の方は取り立てを相当厳しくされていたわけであります。これに関しましては、地道にこの取り立てに対する罰則を科していくということが必要ではないかと思います。
次に、右の下の図をごらんいただきたいと思います。金利の問題でございます。
金利に関しましては、一つの見方としましては、アメリカやヨーロッパ、イギリスのように、均衡の金利、交点のところで決めるべきである、金利を規制するのはおかしい、こういう考え方が一つあると思います。
ただ、消費者の場合に、リスクの高い人に対しては高い金利を課すべきである、こういう御意見の場合には、リスクの高い借り手というのは生活苦の方々であります。そうしますと、均衡の金利で金利を決めるべきであるということは、生活の苦しい方は高い金利、それからある程度お金のある方は低い金利、こういうことになると思います。
私どもの懇談会の議論の中では、そういうふうに日本の中で消費者に対していろいろ区別するのはおかしいんではないか、こういう議論になりまして、今回はやはり金利を引き下げるということになったわけでございます。それで利息制限法と同じ、上限が20%、こういうふうになりました。
そういたしますと、この図を見ていただきますと、必ず借り手はふえてまいりますし、貸し手の業者は少なくなってまいります。そういたしますと、経済学の言葉で申しますと超過需要、つまり、借りたくても借りられない人たちが出てくる、こういうことになります。
そこに対しましてはやはり二つございまして、もう一度一番左の上を見ていただきますと「生活苦」、こういう方々は市町村の窓口あるいはそのほかの公的な扶助を通じて手を差し伸べる、こういう手段をつくること、それからもう一つは、この超過需要の方々が、下の方にありますブラックマーケットに流れないようにする、こういうことが必要ではないかと思います。その際には、警察の例えばOBの方々でこういう専門の分野の方々を再雇用していただきまして、その方々にブラックマーケットの取り締まりをしていただく、こういうようなことが必要ではないかと思います。
それから最後に、カウンセリングに関する問題点、この重要となる点を申し上げたいと思います。
事前のカウンセリング、つまり借りる前にカウンセリングする、それから今度は借りてからカウンセリングに来る、こういうカウンセリングの充実もぜひ必要ではないかと思います。
以上、ありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
次に、田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人(未来バンク事業組合理事長) おはようございます。
私は、未来バンク事業組合というNPOバンクの代表をしております田中優といいます。
きょう、お手元の方の資料に「NPOバンクを改正貸金業規制法から適用除外されることを希望します」というペーパーをお出しさせていただきました。
私たちは、基本的に、今回のこの改正案に対して非常に賛成しております。今回、ああ、ようやっとここまで来られたのかというふうに非常に思っているんですけれども、ところが一方で、これによって、特に財産的要件の部分で、私どもの方の非営利でやっている貸金業の方が影響を及ぼされてしまうということを非常に懸念しております。
まず、私たちがどのようなことをしているかですけれども、今話に出ましたバングラデシュのグラミンバンク、今回ノーベル平和賞をとったユヌス博士のところですけれども、このユヌス博士から、私たち、12年前に未来バンクを設立するときにお祝い状をいただいています。ユヌス博士とはその以前からのおつき合いがありまして、こちらの方を若干紹介させていただきましたけれども、私たちは未来バンクの船出を心から祝いたいと思います、私たちは飢餓と貧困から解放された世界を創造するため皆さんとともに働いていけることを楽しみにしていますというふうなことで、お手紙をいただいています。
そこにありますように、私たちが目指しているのは、非営利でお金を借りられる状況というのをつくっていきたい。特に、社会の中で融資を受けることが非常に困難なところにお金を回していくことによって、非営利の経済を発達させたいという思いがあります。
例えば、一般的に言うところのNPO、非営利団体は、残念ながら、現時点では、どこかからお金を、融資を受けようと思ったとしても、なかなかその融資が実現することはありません。というのは、もともと財産的にも乏しいですし、NPOはそもそも出資を受けることができませんから、基礎的な財産がほとんどできにくいという構造の中で、融資を受けることが極めて困難。法的にも無責任構造になっていますので、いざというときに個人的な債務を引き受けるわけでもないという中で、NPOが融資を受けるのは極めて困難になっています。そういうところに私たちは融資をしていこうという思いのもとに12年前につくったものです。
未来バンクが融資する相手は、福祉、環境、市民が社会をつくろうとする市民事業、そこだけに融資をするという形で運営していまして、金利は3%の固定、単利で、物的な担保は一切とらずという形でやっています。もちろん、私ども、取り立てというようなこともしていませんし、そこら辺は信頼関係の中だけでやっていくという形でこれまで続けてきています。
幸いなことに、私たち、とにかく進めていく中で、顔の見える関係でお金の貸し借りをやっていく中では貸し倒れは発生しにくいというふうに考えて進めてきたんですが、果たして結果はそのとおりでした。これまで12年間やってきて、これまでに7億円以上融資をしましたが、貸し倒れはゼロ。当初はたった7人、400万円出し合って始めたものなんですけれども、現時点では一億七千万の出資が集まり、そして12年前は私たち一つだけだったんですけれども、現時点では全国に9つのこういった非営利のバンクができ上がり、そして今つくろうとしている団体に至っては、ほぼ全国の都道府県すべてに存在しています。
そういう状態に今なれたところなんですけれども、今回の規制が、たまたま規制の要件の部分が私どもの非営利バンクの方にもかかってしまうという事態になってしまいました。今回の金融商品取引法、金取法の方では、私たちのお金については、これは配当を予定しない出資であるから投資とは呼ばないというふうに、らち外に位置されております。同じように、今回の改正貸金業規制法の中であっても、私たちとしてはらち外の扱いを受けたいというふうに考えています。
と申しますのは、私たちが希望するのは、日本じゅう各地が、地域自立した形で金融が成り立っていくというのが望ましい形だというふうに考えています。ですので、未来バンクは、12年前からそうですが、全国に一つ大きくなるという方向は全く考えていません。そもそも各地域の人たちが、各地域で自分たちの貯金を集めていって、その中で地域に回せるお金を持っていくということが一番重要だというふうに考えてこれまで続けてきています。そのために、各地域でバンクをつくりたいんだがという話があると、私たちは常にそれに参加して協力してきました。もちろん私たちは、すべての活動が手弁当です。全く一銭のお金も受け取りません。そういう中で、各地域の中で始まろうとしている小さな運動、そしてまた社会的な企業家の人たち、そういった人たちに小さな可能性を提供していくようにしたい、それが高い金利のもとでつぶされることなく発展していけるようにそのインフラを提供したい、そういう思いで続けてきています。
その中で、今やっと各地の中に生まれ、また有名なところでいいますと、APバンクといいまして、ミスターチルドレンの桜井さん、小林武史さん、坂本龍一さんが出資してやるというような非営利のバンクもスタートしております。そこも私は監事としてかかわっておりますけれども、そこの融資も着々と毎年ふえてきて、そういう中から各地域に、そこは環境のことをやっていますので、環境活動をする緑の拠点が日本じゅう各地域に今生まれてきたところです。
どうか皆様にお願いしたいのは、この可能性を、この小さな芽のような可能性をぜひはぐくんでいただきたいというふうに思うんです。私ども、残念ながら、こういったことについて、法案とかについて決して詳しいわけではありません。しかしながら、皆様、立法府の方々にぜひそういうものがあるということをお考えいただいて、それにうまく適合する形での法律の適用の仕方を実現していただけたら幸いだというふうに思っています。
そのNPOバンクの方でも幾つか、変なことにならないようにということで、自主規制的なことも既に考えております。幾つか紹介したいんですけれども、三つだけきょうは紹介します。
私たちNPOバンクの方では、現在、融資先について基本的にすべて公開しています。どこに幾ら貸して現在どの程度の返済が来ているということについては、融資の時点で、あらかじめ相手との話し合いの中で、特に個人情報として問題にならない部分、個人以外のものについては、最初からお互いの了解のもとに公開するということを約束にしています。といいますのは、融資を受ける側のグループも、基本的には社会的な意義のあることをやりたいと思っているグループですので、極力知られたいという思いがあります。それで公開をしているということ。
そして、その中で、例えば私たちが無理な取り立てをしたりとか高い金利を取ったりとかいうことが絶対ないように、公認会計士の皆様、弁護士の皆様、今協力いただいている方々がいらっしゃいますので、その方々に検証して報告していただくという準備が既にございます。
そして三つ目に、私たち、NPOバンク連絡会というのを現在持っていまして、全国九つあるグループについてはすべて連絡をとり合っております。そういう関係の中で、NPOバンク連絡会がこういった制度の状況について保証していくということを準備したいと思っています。
具体的に言いますと、そういった非営利のバンクが出てきたいといったときに、私たちの団体の方に連絡を下さい、私たちの団体としてそのグループがそぐうのかどうかについて判断させていただきたい、以上のように考えております。
そのような方向の中で、私たちとしては、変な方向に進むことがないよう進めていく所存でありますので、ぜひ今回の法案の中で私たちの扱いを適正に考えていただけると幸いです。
ありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
次に、本多参考人にお願いいたします。
○本多参考人(全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長) おはようございます。
私、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長をしております。通称被連協というふうに言っておりますので、よろしくお願いします。
私自身は、昭和53年、1978年、今から28年前ですが、法律事務所の事務員という立場で弁護士さんの事件にかかわり、その当時は第一次サラ金地獄と言われた時代がありました。私は、事務員としてサラ金事件にかかわるようになり、その後、21年前に、被害者の会、太陽の会というものをつくって相談員をしております。
全国クレ・サラの被連協というのは、被害者の会の集まりです。全国で37都道府県、79の被害者の会があります。私たちの太陽の会はその一つです。今、この太陽の会は、神田で事務所を設けて毎日相談活動をやっています。各地の被害者の会では、サラ金被害、とても高金利のために支払いができずに途方に暮れ、そしてやがては破産あるいは自殺にまで追い込まれるという感じの、本当にあすをもわからないような感じの困った人たちが本当に毎日相談に押しかけてきている状況です。
そういう中で、私たち、24年前に被連協を結成したわけですけれども、その当時はまだサラ金規制法がありませんでした。金利が109.5%、それこそ今のやみ金の取り立てと同じ、本当にひどい内容でしたし、私たちは、弁護士さんからいろいろ御指導を得、利息制限法を武器に債務者の救済ということで取り上げ、運動をしてきました。
そういう点では、金利引き下げというのは、本当に、我々が運動を始めたときからの悲願でした。こうしてきょう議論をしていただき、多重債務者をなくすための、金利引き下げを中心とする、そしてさまざまなセーフティーネットを初め施策を議論されている、御討議していただいているということについて、大変私はある意味で感動といいますか、この悲願がいよいよ達成できそうだという立場で、皆さん方に本当に感謝を申し上げておきたいと思います。
そして、この国会、会期末はもう間もなくですけれども、ぜひこの臨時国会の中で、12月15日までに、今提案されています貸金業規制法の改正案、ぜひ実現、成立をしていただきたい、このことをまず強くお願い申し上げたいというふうに思います。
私たちは被害者の会ですから、やはり被害の実態を訴える、そのことで法律の改正を求めるということで運動をしてきております。今でも私たちは、利息制限法を武器に生活を立て直す、困った人たちの、破産をしないでもしっかり立て直すことができるということで運動をしているわけですけれども、一方では、自殺や破産、そのほか犯罪にまで走ってしまうというケースがあり、心を痛めているところです。
皆さん方は御承知かと思うんですが、ついこの前、群馬県の太田市というところで、現職の警察官が郵便局に強盗に押し入った、強盗を働いたという事件がありました。この方も、約4600万、複数のサラ金などの負債を抱えて借金苦で困ったということを自供しております。
もう一つ、実は郵便局の強盗なんですが、これは2001年、5年前の話なんです。盛岡で起きた事件でございまして、2001年に郵便局に強盗に入る、それから昨年にはコンビニなど4件の強盗に入る凶悪犯です。一審では懲役11年の実刑判決が出て、今、仙台高裁にかかっているわけですけれども、仙台に青葉の会という被害者の会があるんですが、そこの会長さんを長年やってくださっていた小野寺弁護士さんが国選弁護でその事件をお引き受けしました。
そして、その被告人の方から、実は私はサラ金から借金を抱えているんだというお手紙をいただいた。小野寺先生は念のため取引経過を出させて、利息制限法で引き直し計算すると、この方は400万の借金を抱えていたんですが、実は350万の過払い金があった。その被告人の方は、過払い金があったということを知らされて、私はそのことを知っていたら強盗なんかせずに済んだのにということで大声を上げて泣いた。本当に悲しい事件、泣ける事件です。
まさに、高金利の被害というのはそういう問題も抱えているんですね。私たちは、生活を立て直すために積極的に過払い金返還請求の運動をしております。払わなくていい利息があるんだ、利息制限法を超えては払わない、こういう運動をしていまして、先日では、全国で2981件、32億円の過払い金返還請求をしております。
それから、過払い金返還請求をするともう一ついいことがあるんですね。
実は、尼崎あすひらく会というものがあるんですが、そこの被害者の方が、35年間サラ金にずっと支払いを続けてきて、もう破産しかない、300万ぐらい借金を抱えている。実は、計算してみますと、2社で400万の過払い金がとれた。親族その他の借金も返済して、実は国民健康保険料金の82万を滞納していた、そして市民税も13万円滞納していた。合わせて95万余りを一括して尼崎市に返納、完納しようとしたんです。そこの尼崎の担当者の方は、前例がないということで当初受け取りをちょっと戸惑っていたようなんですが、実は何も好きこのんで滞納したわけじゃないんだ、払おうと思ってもそのお金がサラ金に行っちゃっていたんだ、それをこうして取り戻すことによって払うことができたんだということを言い、そのことが市議会でも話題になり、行政として多重債務対策を進めるという方向に進んでおります。
長野県や岐阜県、あるいは奄美大島でも行政として取り組みが始まっておりますし、今度のセーフティーネット、それからカウンセリング等の問題についても、すべての市町村議会、市町村の行政で相談窓口を設置していただきたいということを強くお願い申し上げたいというふうに思っています。
それから最後に、やみ金の問題です。
やみ金は、本当に取り締まりをしっかりやらないといけないと思います。私たちは、不法原因給付を主張して、借りたお金についても返還しない、払ったお金は不当利得だから返せ、これは札幌高裁の判決及び最高裁での上告棄却で確定しております。ですから、私たちは、払わない、全件被害届を出すということで運動をしておりますが、本当に残念なんですが、警察官は、借りたお金については払えばいいじゃないか、それでおさまるじゃないかという対応しかしてくれないんです。深川警察署のある警察官はしっかり対応してくれますけれども、ほとんどの警察官がそういう対応です。これではやみ金の撲滅はできません。これは本当に、あすをもわからないような状態に来ていますから、一刻の猶予もならないんです。すべての警察官がきちっと対応していただきたいというふうに思っております。
それからもう一つ、済みません、貸金業協会によるカウンセリング、債務整理の問題です。これは今度の法案の中にもそういう位置づけがなされておりますけれども、そもそも、貸し手がカウンセリングするというのは本当におかしな話です。これは愛媛県でも現在裁判になっています。本来過払いのはずなのに払わせる、破産状態であるにもかかわらず払わせていく。15万の収入しかない人に、毎月6万ずつ払わせていく。そして、二次被害なんです。
ですから、私は、このカウンセリング、相談というのは、中立を持った行政がしっかりやるべきであって、貸し手たる貸金業協会はタッチさせるべきではない、このことを強く求めたいと思います。
ちょっと長くなったようですが、どうも失礼しました。ありがとうございます。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
次に、宇都宮参考人にお願いいたします。
○宇都宮参考人(弁護士)(日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部本部長代行) どうもおはようございます。日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部の本部長代行をしています弁護士の宇都宮といいます。
まず最初に、今回の法案の全体的評価について意見を述べさせていただきます。
今回の法案につきましては、多重債務問題を解決するために、金利規制を強化するとともに、参入規制を強化し、それから行為規制を強化し、過剰貸し付け規制の強化、あるいは罰則とか監督の強化なども図られておりまして、私たちは基本的には高く評価しております。
特に、金利規制に関しましては、日本弁護士連合会や被害者団体それから労働団体、消費者団体等が強く反対してきた、利息制限法の金額刻みを変更することによって利息制限法の制限金利の実質引き上げを図る、あるいは特例高金利を盛り込む、こういうようなことが盛り込まれておりません。みなし弁済規定を撤廃し、出資法の上限金利を利息制限法の制限金利の上限である20%に引き下げる、それから利息制限法の制限金利と年20%の間は行政処分の対象とする、そしてまた、日賦貸金業等の特例金利を廃止して、保証料等についても金利と合算して規制することになっております。
我が国は、1954年から民事的規制と刑事的規制を分離する二元的な規制をやってきたわけですけれども、ここで、基本的にはほぼ民事的規制と刑事的規制を一元化する、半世紀ぶりに大きな改革を行ったことになります。この点は高く評価しております。
また、それ以外の、金利規制以外につきましても、財産的基礎要件の引き上げによる参入規制の強化とか、借り手の自殺により保険金が支払われる保険契約の締結の禁止、公正証書の委任状の取得の禁止とか、利息制限法の制限金利を超える貸し付けについての公正証書の作成の禁止、年収の3分の1を超える過剰貸し付けの禁止など、各種業務規制が強化されております。それから、やみ金に対しての罰則の強化、業務改善命令の創設、行政処分の強化などの監督の強化が図られております。こういう各種業務規制も高く評価しております。
それから、現在の多重債務問題の深刻な状況ですけれども、今、被害者の会の代表として、本多参考人の方からも意見を述べられましたけれども、このところ消費者信用団体生命保険の問題が大きな問題になって報道されております。
金融庁の調査によりますと、消費者金融17社が、消費者信用団体生命保険で、昨年1年間で借り手が亡くなったことによって受け取った保険金の支払い件数は延べ5万1997件、支払い額は302億円に上るということです。その中で死因が判明しているケースは二万四千七百九十件で、全体の47.7%、そのうち自殺は4908件で、19.8%を占めているということが明らかになっております。これで、もし死因が判明していないケースもほぼ同じ割合だとしますと、借り手が自殺によって保険金が支払われたケースは1万295件になります。つまり、1万人以上の人が昨年は自殺しているわけです。
こういう深刻な多重債務問題は一刻も早く解決する必要があるかと思います。したがって、私たちは、この法律案はこの臨時国会において速やかに成立させることを強く要望しております。
それから、この法律案の問題点、課題について述べさせていただきます。
まず、金利規制に関する問題なんですけれども、これは見直し規定が置かれております。2年半以内に検討を加えるということになっております。ただ、私たちは、この見直しの中で、金利規制を緩和したり、あるいは問題になった特例高金利を復活させるということについては強く反対しております。
それから、金利の引き下げ、みなし弁済規定の撤廃、日掛け金融の特例金利の廃止まで、施行から2年半以内、それから公布からおおむね3年の経過措置が置かれておりますけれども、この深刻な多重債務問題の現状を考えますと、出資法の上限金利の引き下げ等はできるだけ速やかに行うべきだと考えております。
特に、過剰貸し付け規制等につきましては、信用情報機関等の整備から、準備期間がかかるのは理解できることなんですけれども、金利の引き下げ等について果たしてこれだけの時間をかける必要があるかどうか、疑問に感じております。
それから、多重債務者対策本部がいずれ内閣官房に設置されるということになっておりますけれども、これを実効性のあるものにしていくことが極めて重要だと思っております。
私たちは、多重債務者対策本部につきましては、まず最初に、自治体や政府系金融機関などの低利融資制度、生活保護、社会保障の充実などセーフティーネットの拡充強化、それから多重債務者に対する弁護士会、司法書士会、それから十月からスタートしております日本司法支援センターなどの相談窓口の情報の提供と相談窓口の拡充強化が図られる必要があるかと思います。この点については、日弁連も重い責任の一端を負担しなきゃいけないという覚悟でおります。それから、やみ金融対策の強化が図られる必要があるかと思います。それから、内閣官房に多重債務者対策本部をつくるだけではなくて、都道府県とか市町村、こういう自治体においてこういう多重債務者対策の組織をつくる必要があるのではないか、そういう方向でぜひ政府は指導していただきたいと思っております。
それから、今後の課題ですけれども、今回の法規制でまだ十分規制対象になっていない問題として、おまとめローンの規制とか顧客等の居住用不動産の保護、それから消費者ローンにおいて保証人をとることの制限、それからクレジットも含めた過剰与信規制。これは、今回の過剰与信規制については消費者金融に限られているものですから、実際弁護士等が多重債務者の相談を受けておりますと、クレジット債務も含まれる多重債務者が一般的です、クレジット債務をあわせてどう規制していくかということをぜひ検討される必要があるかと思います。
それから最後に、利息制限法の制限金利の引き下げ等もぜひ検討していただきたいと思っております。
御承知のように、利息制限法は1877年、明治10年に制定されております。当時は、制限金利は12%から年20%となっております。これが、銀行の貸出平均金利、市場金利等が下落しましたので、1919年、大正8年には、制限金利は10%から15%に引き下げられております。この利息制限法が戦後、1954年、昭和29年に改正されて、制限金利が15%から20%になって現在に至っているわけです。ところが、当時の銀行の貸出平均金利は年9.08%でしたが、現在は、銀行の貸出平均金利は1.6%になっております。こういう状況を考えますと、現在の制限金利がこれでいいのかどうか、こういう点も十分検討していく必要があるかと思います。
いずれにしても、今回の法案については、先ほどお話ししましたように、こういう問題点はありますけれども、私たちはぜひこの臨時国会で成立していただくよう強く要望するものです。
以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
次に、田口参考人にお願いいたします。
○田口参考人(独立行政法人国民生活センター理事) 貸金業規制法等の改正案につきまして、意見を申し上げます。
私ども国民生活センターは、各地の消費生活センターなどと連携いたしまして、消費生活に関する情報の収集、提供、苦情相談の処理などの面で中核的な機関としての役割を果たしております。
そうした中で、消費者の方々から全国の消費生活センターに寄せられます多重債務に関する相談は、お配りいたしました資料にもございますように、平成7年度は約6400件でございましたが、昨年度は約6万3000件に増加しております。これら相談には、消費者金融等からの過剰与信の問題、支払い能力の乏しい人や判断能力の十分でない方々への貸し出し、さらには強引な取り立てなどの実態があらわれております。多重債務者が置かれました現状は極めて深刻でございまして、多重債務問題の解決が急がれております。
そこで、国民生活センターにおきましては、多重債務問題を抱え返済に困っている方々の実態を明らかにし、多重債務問題への対応のあり方を検討するために、昨年11月から12月にかけまして、弁護士事務所や司法書士事務所等への相談者585人を対象といたしまして実態調査を行い、その結果を本年3月に取りまとめました。本調査の結果、多重債務に悩む相談者の方々が複数の貸金業者から借り入れをしているという実態に加えまして、貸金業者の過剰融資あるいはグレーゾーン金利の問題、さらには借金が債務者の生活に深刻な影響を与えている状況などが明らかになったところでございます。
そこで、この調査結果のポイントと、それを踏まえました課題、提言を三点申し上げたいと思います。
第一は、債務に関する相談者が消費者金融あるいは信販会社等から借り入れるに当たりましての勧誘方法などについてでございます。
相談者の回答結果によりますと、勧誘に際し、「貸付可能金額の増額を提案された」が61.7%、「必要な金額以上の借入れを勧められた」が38.6%、「ATMで借入れ限度額が表示されるので、つい必要以上の借入れをしてしまった」が37.8%でございました。また、借り入れ理由のうち、借金返済のためとする比率は、借り入れを始めたころは19.8%でございましたが、返済が困難になってきた時期には51.5%にふえております。
このように、多重債務の背景には、借り手の返済能力を超えた過剰な融資の実態があると考えます。また、近年、無人契約機やATMが普及しておりますが、手軽に借り入れられますことから、借金意識が希薄化しており、過剰融資に拍車をかけております。こうした点を踏まえますと、借り手の返済能力を超える過剰融資の防止ということは極めて重要な課題でございます。
ポイントの第二は、借入金利についてでございます。
実態調査によりますと、借入金利に上限があり、それ以上の金利については支払う義務がないということを相談者の九割が知らなかったと答えております。また、知っておりましても、借り手の多くは生活費や借金の返済資金に困って借り入れをせざるを得ないという実態も浮き彫りとなりました。
こうした実態を踏まえますと、制度をわかりやすいものとするために、みなし弁済規定を廃止するとともに、出資法の上限金利を利息制限法の上限金利まで引き下げることが必要と考えます。
ポイントの第三は、貸付金利等の認識についてでございます。
多重債務の背景には、大量の広告宣伝により借り入れを勧誘するという事業形態の問題などに加えまして、消費者の不用意な借り入れ行動もございます。調査において、貸付金利に対する認識を尋ねましたところ、「貸付の金利はわかっていたが、返せると思った」が51.5%、「貸付の金利はよくわからなかった」が32.1%であるのに対しまして、「初めからこの金利で返すことが厳しいと理解していた」は3.2%にすぎません。
消費者にとって借り入れは、日々の生活に必要な場合もございますが、合理的な判断に基づく確実な返済がその前提でございます。このため、金利等の制度面の解決が何よりも重要でございますが、同時に、クレジットや現金借り入れに係る消費者教育の充実が欠かせません。高い借入金利のもとで返済負担がどのように高まっていくのか、また、そうした中で、借入額が増加すると、家計の可処分所得が急速に低下し、返済を困難にしていくということを理解できるように、実践的な消費者教育を行うことが重要だと考えます。
国民生活センターが実施いたしました実態調査の主な結果と、それに基づく課題、提言は以上のとおりでございます。
今回の貸金業規制法等の改正は、こうした当センターの調査に基づく提言にも沿ったものでございまして、消費者の利益を擁護する観点から適切な内容だと考えます。特に、本法案の過剰貸し付けに係る規制強化とみなし弁済制度の廃止、上限金利の引き下げについては高く評価するものでございます。
本改正案の速やかな成立、施行を強く期待いたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
次に、塚田参考人にお願いいたします。
○塚田参考人(東京都産業労働局金融部長) おはようございます。東京都産業労働局金融部長の塚田祐次でございます。本日は、発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私は、地方自治体の立場で、貸金業の登録、指導を担当するという立場で意見を申し述べさせていただきます。
まず、東京都の状況について申し上げますと、ことしの3月末現在、都知事登録の事業者数は3167でございまして、これは、財務局登録を除く全国の都道府県知事登録業者1万3534の約4分の1を占めております。
東京都におきましては、平成14年6月の都議会における所信表明におきまして、石原都知事が、業務の停止や登録の取り消しなど厳格な処分をかつてない規模で行い悪質な業者を排除したいと発言されるなど、貸金業対策の強化に取り組んでおりまして、同年8月には、違反情状が特に重い業者に対し、全国で初めての登録取り消し処分を行いました。現在では、産業労働局金融部の中に貸金業対策課を設けまして、37名の体制で業務を進めております。
東京都が受けております相談や苦情の件数は、平成14年度に2万件を超えました。これがピークでございまして、その後、平成15年度の貸金業規制法の改正により減少し、平成16年度には7千件を切るまで減少いたしました。一方、平成14年度には一転して増加に転じまして1万件を超え、本年度も月平均大体1000件程度で推移をしております。
その増加した原因を考えてみますと、これは無登録業者による融資保証金詐欺、これを私どもは貸します詐欺と呼んでおりまして、貸しますと申しますのは、大手金融機関や登録貸金業者を装って、お金を貸しますといいながら、実際に融資をせずに、逆に保証金や保険料名目でお金をだまし取る、こういう手口でございます。この増加に対応しまして、昨年11月に、貸します詐欺被害ホットラインという電話相談窓口を開設し、全国にこのホットラインをPRしたことなどによるものと考えております。
相談、苦情の最近の傾向について申し上げますと、二つほど例を挙げてみます。
まず一つが、複数の貸金業者からの債務を一社に借りかえたいけれども、こういう名前の会社は大丈夫だろうかという御相談でございます。これは、よく話を聞きますと、実は多重債務者の方の場合が多く、関係の弁護士会等を紹介している次第でございます。
また、もう一つ主なものは、契約書の見方がわからない、さらに、どうも返済金を払い過ぎているような気がするけれどもどうかと。これは、東京都内の方であれば、窓口に来て一緒に計算をしてさしあげることもできますが、対象の方が全国に広がっておりますので、それぞれの相談機関を御紹介するなどしております。
また一方、取り消し処分の内容を見ますと、やはり高金利の事例が多く、例えば、20万円の融資を申し込んだ男性に対しまして、1カ月当たり1万8000円の利息を23回、約2年近くでございます、これで支払わせ、法定利息の2.6倍に当たる41万4000円の利息、融資は20万円、利息が41万4000円でございます、これを支払わせたという事例があります。これにつきましては、法定利息の超過分を返還するよう指導いたしますとともに、業者の登録を取り消す処分を行いました。
また一方、東京都におきましては、本年の3月に、東京都議会が国会及び政府に対しまして、出資法及び貸金業規制法の改正に関する意見書を提出するなど、行政、議会を挙げた取り組みを行っております。
最近の登録の状況を見ますと、若い人たちが安易に登録をするという傾向があります。この間の事例では、繁華街を一人で歩いていたらば、一緒に事業をしようと誘われた、それで、手続を、一緒に登録をしたと。起業家精神が旺盛なのは結構でございますけれども、その辺は十分事業の内容を吟味していただきたいと思います。
貸金業の健全化のためには、法制度や事業の内容をきちんと理解しているか否かを登録の段階でチェックする必要があると考えます。そうした意味から、特に、貸金業務取扱主任者の制度の充実が有効というふうに考えております。この制度は、平成15年度の法律改正で設けられましたが、資格取得まで登録後6カ月の猶予期間があることなどから、法令に対する知識などの検証が十分になされないままに営業が行われる例も見受けられます。
東京都が最近行った行政処分の状況を見ますと、平成17年度には、違反情状が特に重い者に対する取り消し処分を266件行いました。そのうちの約82%、217件が登録後3年未満のいわゆるトイチ業者でありました。昔は、トイチといいますと、10日で1割の利息ということで定説でございましたが、最近は、東京都の1回目の登録業者もトイチという名前で関係者の間では有名のようでございます。
東京都は、かねてから、貸金業務取扱主任者制度につきまして、資格試験を実施すること、貸金業務取扱主任者の配置を貸金業の登録及び更新の条件とすることなど、制度の改正を国に要望してまいりました。このたびの改正案でこれらの要望を改正案に反映していただき、感謝申し上げる次第でございます。
また、東京都に寄せられる相談の8割が、実は都外在住者からのものでございまして、都道府県知事登録業者と申しましても、ダイレクトメールや電話勧誘、インターネット上の広告など、業務の範囲は全国に広がっております。まさに、北は北海道、南は沖縄から相談を受けております。
その中では、遠隔地で情報が少ないことを悪用しまして、東京都知事登録の業者の登録番号をかたる者、実在しない登録番号を使う者なども少なくありません。こうした不心得な者に対する対策についても、ぜひ実現していただきたいと思います。
都民を初め、国民の皆様から数多くの声を聞かせていただいている行政実務に携わる者といたしまして、被害者を一人でも少なくするため、そして登録業者の健全化を速やかに進めるため、このたびの法律改正を一日も早く成立させ、また、一日も早く実施していただきたいと切に望む次第でございます。
貸金業の健全性を確保するためには、まじめに事業を行っている事業者が事業をしやすい環境を整備する必要もございます。そういった点で、東京都といたしましては、今後とも、東京都貸金業協会、関係行政庁と十分な連携をとりながら、貸金業の適正化を進めてまいります。
以上で私の意見陳述を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
○伊藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。(中略)次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
参考人の皆様方、長時間にわたり大変御苦労さまでございます。なるべく重複を避けてお聞きをしたいと思います。
まず、吉野参考人にお伺いします。
先ほど、利用者の側を三グループに分けまして、生活苦から借りる、浪費的に借りる、健全な借り方、こういう三つのグループにお分けになりましたけれども、私は最近、生活苦の要因が非常にふえているのではないかというふうに思いますが、まずはその点の認識をお聞きしたいのと、多重債務が発生するのは、借りる側の問題もありますが、同時に貸し手の側の責任、これが非常に大きいのではないかと思います。その辺の認識をお伺いしたいと思います。
○吉野参考人(慶應義塾大学教授)(貸金業制度等に関する懇談会座長) 御質問、ありがとうございます。
先ほど私、この左側のところで図を書かせていただきましたが、同じページの左側の31ページというところに円グラフがございまして、今先生の御指摘のように、ここでは1990年と2004年の多重債務の原因というものを見ております。
これを見てみますと、2004年の右側を見ていただきますと、31%が生活苦の方であります。それから、左の方に行きますと、失業とか倒産、それの収入の減少が一番左の25%というふうに書いてございます。ですから、もう半分以上の方が生活費あるいは失業、倒産、これは1990年のバブル直後と大分違った様相になっております。ですから、そういう意味では、生活苦の方々が現状ではこういう貸金業からお金を借りているというのは事実でございます。
それから、今の御質問ですけれども、多重債務に陥りやすいと。これは、銀行とこういう消費者金融がこれまで違いましたところは、銀行は最終的に、お客様に貸しますと全部自分のところの不良債権として返ってきます。ところが、一部の消費者金融の場合には、返さないと、ほかのところへ行って借りてこい、こういうことをしましたから、幾らでも貸すことによって自分のところには不良債権が返ってこない。ここが銀行とこれまでの消費者金融の違いだったと思います。
そういう意味では、今後、3回以上借りないようにする、それから情報を緊密にしまして、ブラック情報、ホワイト情報を交換する、こういうことによりまして、多重債務、何回も借りられる方々を防止するということがぜひ重要ではないかと思います。
以上です。
○佐々木(憲)委員 次に、今回の法案の提出に至る経過のことについてお伺いしたいと思います。
これは吉野参考人と宇都宮参考人にお伺いしますが、ことしの4月の段階では、グレーゾーンをなくすということでほぼこの懇談会では一致していたというふうに聞いておりますが、9月に出された案が、特例高金利を認めるとか、それから利息制限法を実質的に引き上げる、こういう内容になっておりました。
私も何でこんなのが出てきたのかなとびっくりしたわけですが、私は、これは一時的な揺り戻しがあったと思うんです、またもとに戻りましたからいいんですけれども。なぜ、そういう懇談会の意向と違うものが出てくるのかよくわからないんです。
そこで、お二人にどういうふうにお考えかをお聞きしたいと思います。
○吉野参考人(慶應義塾大学教授)(貸金業制度等に関する懇談会座長) 私のお示ししました図には、まさに需要曲線と供給曲線がございまして、それで、需要者から見ますと、やはり金利は低ければ低いほどいいわけです。ですからゼロ金利で貸していただくのが一番いいわけですし、供給者の側としますと、自分の供給するためのコスト、人件費、物件費がありますから、そこにある程度のリスクを上乗せすることによって金利を設定する、こういうことになると思います。
最終的な懇談会の判断では、先ほど申し上げましたけれども、やはり日本人の場合には、借り手、いわゆる消費者の、借り手に対しては金利を区別すべきではない、こういう最終的な議論にはなったと思います。
一部の議論の方には、欧米のように、金利というのは均衡の交点のところで決まるべきである、ですから、リスクの高い方には高い金利でいいのである、こういう議論もあったわけです。まさにそれは、こういう貸金業の市場をどういうふうにやって今後日本で見ていくのかという議論だったと思います。ですから、そういう中では、リスクの高い方には高い金利というのであれば、やはりある程度の高い金利、20%以上になる、そういう議論になったと思います。
最終的には、やはり、我々国民は九割以上が中産階級である、そういう人たちに対して、消費者である限りは金利を差別すべきではない、こういう結論になったということでございます。
以上でございます。
○宇都宮参考人(弁護士)(日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部本部長代行) 9月5日に出された金融庁案というのは、金融庁の懇談会の議論を正しく反映していない議論だと思っております。
御承知のように、4月の中間整理では、金利引き下げの方向性、グレーゾーン金利の撤廃の方向性が打ち出されています。それから、7月6日に与党の方から貸金業制度に関する中間的な取りまとめが行われていますけれども、その後、7月の27日と8月の24日に金融庁の懇談会が開かれています。
私も日弁連の上限金利引き下げ実現本部の本部長代行として、オブザーバーとしてこの会議に参加していたんですけれども、大体、この特例の問題が議論になったときは、ほとんどの委員がこれは反対であるという意見になっております。
それから、利息制限法の制限金利の問題について金額区分を変えることについても、それを変えるのであれば、先ほど私がお話ししましたように、金額区分だけを変えるんじゃなくて、制限金利についても検討しないとバランスを失する。といいますのは、1954年の銀行の貸出金利というのは9.8%、今は1.6%ですから、それに合わせて制限金利を下げないといけないのではないか。それから、利息制限法の金額区分等を考える場合も、利用者が本当に返済できる金利であるかどうか、こういうところを考えて検討すべきだということで、全体的には金額区分の変更も否定的な意見が大勢だったと思います。
ところが、そういう意見を全く反映されない法案が出されましたので、後藤田政務官なんかも抗議して、政務官自身が辞任されたわけで、こういう意向、法案が出されるというのは、我々は全く予測はしなかったんですけれども、やはり業界側の圧力とか働きかけ、それからアメリカ政府なんかの働きかけがあったと聞いていますから、そういう意向も反映された法案になったのかなというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 吉野参考人にお伺いしますけれども、金融庁懇談会の座長をされているわけでありますが、吉野さんは、金融庁の座長と同時に、消費者金融サービス研究学会の理事もされておられるということをお聞きしました。この学会の中にはプロミスの社長も参加しておられて、特別賛助会員として消費者金融サービス振興協会というのがありまして、プロミスの社長がその理事をされている、そこから助成金を受け取っている、こういう学会だというふうに理解をしておりますが、この学会というのはどんな役割を果たしているのか、確認のためにお伺いしたいと思います。
○吉野参考人(慶應義塾大学教授)(貸金業制度等に関する懇談会座長) 私はそこから一切お金はいただいておりません。
それで、さまざまな学会がございまして、それぞれ事務局がございます。私は学者としていろいろな学会に参加しておりまして、消費者金融の側の学者としての勉強をずっと続けてきております。一番最初は、例のノンバンク問題が盛んになりました1992年のときに、東大出版会の本に「ノンバンクと金融政策」という章を書きました。それで、ある先生から御紹介いただきまして、消費者金融の学会ができるのでそういうのに参加してぜひ活動を続けてくれということでございますので、私は活動しているということでございます。
一切、どういう業者がそこに入っているとか、どういう学会だからそこに入る入らないというのは全く私は関係ございません。ですから、中立的に、私は学者としてずっと研究を続けております。
以上です。
○佐々木(憲)委員 業者との癒着関係を言っているわけじゃありませんで、こういう学会というものがサラ金の業界から助成金を受け取ってやるというのが果たして真っ当なのかなというふうに私は思ったものですから、お聞きをしたわけでございます。
それから次に、本多参考人にお伺いしますけれども、全国クレ・サラ被害者連絡協議会、被連協が中心になりまして、全国一斉に過払い金返還請求を訴訟されておられるというふうにお聞きしました。全国で約3000件、三十数億円ということなんですが、その目的と効果といいますか、どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
○本多参考人(全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長) お答えいたします。
目的は、直接的にはサラ金被害に、私生活の立て直しに役立てるということで、払い過ぎたお金を取り戻し、生活する上での立て直しに使うことということですが、集団的にやるという意味は、一つは、払わなくていい利息があることを広くアピールするということにあります。
払わなくていい利息があって、それを取り戻すことによって、実は金利引き下げを先取りするような効果にもなるということで、三年前から運動しておりまして、マスコミの方々もかなり注目していただいて、新聞、テレビでも報道していただくことによって、今、私も過払い金があるのではないかということで相談が非常に多くなっています。
○佐々木(憲)委員 それは大変重要なことだろうと思うんですね。
先日、私も、第1回目の参考人質疑の際に、業界の関係者に、弁護士を代理人として請求しなくても、本人が自分で計算をして、これは過払いではないかということで利用者自身が直接請求をした場合、どう対応するのかということを聞きました。その際、過去の借金の経過全部を開示するというのを業界にやらせるのは当然のことなんですが、それに基づいて請求した場合、誠実に対応するかというふうに聞きました。そうしましたら、アイフルの社長は、誠実に対応するというふうに言ったわけです。
ただ、実態はどうなのかというのは、実際に請求されておられる、そういう運動をされておられる本多さんの方でどう感じておられるか。こんな事例があるとか、そういうのがありましたら、お聞きしたいと思います。
○本多参考人(全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長) お答えします。
17日のここでの福田さんの答弁ですよね。私たちも非常に励まされました。
実際どうなるかということなんですが、本人請求の場合は、大体、アイフルさんもそうなんですが、弁護士さんを立てなさいとか、司法書士さん、代理人を立てなさい、本人だとなかなか、取引経過の開示も渋ったりします。
今、いろいろな情報もあって、福田さんがそういうふうに誠実に対応すると言うならば直ちにやってほしいというふうに思いますし、6年、7年、サラ金から借りている人、少なくとも10年だとかだったら完全に過払いですから、私は過払いになっているはずです、過払い金を利息制限法で計算していただいて、払い過ぎたお金は返してくださいということを窓口に行ってやってみたいと思っています。そのときにどういう対応をとってくれるか、ちょっと私たちも、実際に行ってみたいというふうに思っています。
実は、本人でやっているケースが一つあります。それはきちっと法律にのっとってやるというのが誠実な対応であって。債務者の人は完全に過払いになっていると思っている。ところがアイフルさんは、過払いになっているとは思われない、根拠があるんだったら示してくださいみたいな形で対応がなされているやに聞いています。
○佐々木(憲)委員 国会で質問をされて、誠実に対応するというふうに言ったわけですから、当然そのようにしてもらわなければ国会にうそをついたことになりますので、これは引き続き、私ども、事実関係を調査した上で、また問題にすることがあればやりたいと思います。
それから次に、利息制限法の金利の水準なんですけれども、これ自体まだまだ高過ぎるという声もあります。本多参考人の感想をお聞かせください。
○本多参考人(全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長) 利息制限法、本当に高いと思います。20%、15%、18%ですね。石川県の県議会、石川県のほとんどの市町村の議会の決議は、金利引き下げを求める意見書、これは利息制限法も引き下げろという意見書になっています。
実際、100万、50万を借りて18%というのはやはり高いですよ。せいぜい10%以下にしていただきたいな、それだったら何とか生活もしっかりやっていけるんじゃないか、実際の感覚としてはそういうふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 最後に、吉野参考人と宇都宮参考人にお伺いします。
高金利の被害というもの、日本国内でもいろいろ問題になっていますが、例えばアジア地域ですとか、国際的にいろいろ広がっている。それは、高金利で貸す業者が出ていってやっている場合もあるでしょうし、また、向こう側の業者が日本のそういうのをまねてやっている場合もあると思うんですが、その辺の実態がどういうふうになっているのか、また、それに対する規制の動きというものは一体どうなのか、これらの点について、国際的な広がりの問題についてお聞きしたいと思います。
○吉野参考人(慶應義塾大学教授)(貸金業制度等に関する懇談会座長) ちょうど先週、中国に行きまして、中国の人民銀行の方と、農業に対するいわゆるコミュニティーバンクというのを中国ではつくりたい、こういう議論でした。それで、そのときに、今日本では、金利を低く、20%ぐらいに引き下げると言ったんですが、中国は自由金利でやると。全く逆でした。驚いたのですけれども、思想と反しないのかというんですけれども、自由金利でやると。それで、農家の方々にマーケットメカニズムでやっていくことを今考えているけれども、日本は引き下げようとしているけれどもどうしてなんだ、こういうことだったわけです。
なぜ日本と中国が違うかと申しますと、ちょっと申し上げたのですけれども、中国の場合は、農家が生産をするためにお金を貸すわけです。これまで米のところで機械がなかったものですから、そこのちょっとした機械を買うために貸す。ですから、彼らは生産性を上げられるわけです。つまり、自由金利であっても、いいことをやる人たちにはどんどんお金が行くメカニズムがいいんだ、こういうのが中国だと思います。日本は、消費者の借り手でありまして、その方々が生産のために借りるわけじゃないわけです。ここがやはり一番のポイントだと思います。だから、コミュニティーバンクとかグラミンバンクが成功しているのは、消費者が生産のために使って自分の所得を伸ばす、だから少しぐらい高い金利でも返せる、こういうメカニズムだと思います。
ですから、先生のおっしゃいますように、高金利で苦しむというよりは、借りて自分の将来のためにやろう、こういうような形でぜひ日本の消費者金融も進んでいただくということが必要じゃないかと思います。
○宇都宮参考人(弁護士)(日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部本部長代行) 実は、日弁連では昨年三月に韓国の調査をやっています。韓国は、1997年にアジア通貨危機の影響で経済危機に陥り、IMFの管理体制下に置かれます。その翌年、1998年に、日本と同じような、韓国は一元的な規制ですけれども、利子制限法が撤廃されます。これは消費を活性化させるという目的だったようですけれども、その後、韓国の中では国の統制下に置かれていない私金融というのが爆発的にふえまして、これは数百%から高いのは数千%、こういうのが横行しまして、4800万人の人口の中で360万人から370万人の信用不良者が出て大きな問題になっております。
それで、私金融は、お金を貸すときに身体放棄覚書という念書をとって貸すらしいんです。これは、お金を払わない場合は、腎臓とか肝臓を本当に売って回収している、あるいは女性を売春街に売り飛ばすというようなことをやっていまして、これが大きな社会問題になって、急遽、2002年に貸付業法、日本の貸金業規制法に似たような法律をつくりまして、この中で、登録をした貸金業者については上限金利は66%に規制するということになっています。ただ、無登録業者については金利規制がないわけですね。
私は、先週の11月15日に韓国の方に呼ばれまして、ハンナラ党、ウリ党それから民主党と民主労働党の議員とこういう討論会があったんですけれども、そこでも日本の金利規制の状況を報告したんですけれども、韓国でもどうしたらいいかという大きな議論に今なっています。
実は、問題なのは、1980年ごろ、金利規制が撤廃した後に、日本の消費者金融、サラ金の韓国進出が始まっています。当時は、日本のサラ金は100%から150%で貸しています。
昨年3月に私が韓国を訪問したときに、韓国の金融庁に当たる金融監督院に調査に行ったんですけれども、そこに寄せられる苦情は、韓国の私金融を上回るぐらいの苦情が日本のサラ金業者の関係で寄せられている。さらに、ことし11月15日、先週行ったときは、驚くべきことに、山口組の関係者が韓国に出てやみ金融を始めようとしている。つまり、日本で金利規制を強化すれば、金利規制が甘い韓国に進出して悪いことをやろうとしているということがわかってきたんですね。
それで、あと、先週の土日に、本多さんたちの被連協とクレ・サラ対協のメンバーがやっている全国交流集会、この問題の交流集会があったんですけれども、その前日に、台湾と韓国のこの問題に取り組む弁護士とか関係者の会議があったんですけれども、台湾にも同じような問題が起こっているんですね。
だから、ぜひ国会の先生方は、日本が規制をすると甘いところに行く、だから我々は、アジア的な観点から、この規制の情報交換それから取り締まりが必要だと。だから、私は、できるだけ韓国とか台湾でも日本のような金利規制とか貸金業規制が必要だ、ぜひそういう立法をやってもらいたいと訴えているんですけれども、日本で規制をしている関係者が韓国に出て悪いことをやったら日本の免許を剥奪するというようなこともやらないと、日本が悪い業者をどんどん輸出していることになりますよね。
こういう問題がありますので、こういうアジアの問題をぜひ先生方も関心を持って調査して、必要な規制をやっていただけたらと思います。
○佐々木(憲)委員 どうもありがとうございました。
○伊藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。