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金融(銀行・保険・証券) (消費者金融・サラ金・ヤミ金)

2006年11月17日 第165回 臨時国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【368】 - 質問

財金委でサラ金業界の代表に質問 「財務者本人の請求にも誠実に対応する」と答弁

 2006年11月17日、財務金融委員会で参考人質疑がおこなわれ、佐々木憲昭議員が質問しました。
 参考人として出席したのは、全国貸金業協会連合会(全金連)会長の石井恒男会長(富士信社長)、プロミスの神内博喜社長、アイフルの福田吉孝社長、全国銀行協会の畔柳信雄会長(三菱東京UFJ銀行頭取)、信託協会の森田豊会長(住友信託銀行社長)、生命保険協会の斉藤勝利会長(第一生命保険社長)です。

 現在、200万人の多重債務者がおり、20万人の自己破産が毎年生まれており、これはきわめて異常な事態です。
 佐々木議員は、これら多重債務者が「自分の債務がどのようになっているか、資料も手元にないひとが多い。最近は、過払い返還請求が各地で起こっているが、これまでの債務履歴を開示することがもとめられている。誠実に対応すべきだ」と質問。
 これにたいして、全金連の石井会長は「金融庁のガイドラインに沿って、開示することになっている」と答弁。

 次に、プロミスとアイフルの社長に、「弁護士が代理人とならない場合でも、債務者本人が直接、過払い返還請求をした場合、誠実に対応するか」とただしました。
 プロミスの神内社長は、「弁護士等第三者を含めて、任意性があったかどうか判定をいただく」と答えましたが、アイフルの福田社長は、「弁護士の介在なしに、債務履歴や過払い請求があったときにも誠実に対応させていただく」と答えました。
 国会ではじめて、サラ金業者が「債務者本人にも誠実に対応する」と答弁したものです。

 この参考人質疑の冒頭で、全金連の石井会長は、今度の法案にある金利規制も総量規制も「副作用が強い」ので賛成できない旨の意見陳述がありました。
 佐々木議員は、これまで全金連は、金利引き上げを求めて政治家などにさまざまな働きかけをおこなってきたのではないか、と問いただしました。
 たとえば、2003年のヤミ金規制法制定の際、出資法の上限金利を29.2%から34.675%に引き上げる方針を決め、その実践組織として「金利・業法部会」をつくって、福田吉孝氏(現アイフル社長)が責任者となって活動してきました。
 そのさい、全金連は「議員の業界に対する理解が不足」しているという考えのもとに、マスコミ、行政、政治に働きかけてきました。
 関係者の話によると、全金連の理事会で福田氏は「ヤミ金がひろがったのは、我々にとっては金利引き上げへの追い風だ。ミサイルが手に入ったようなものだ」と、重大な発言をしていたそうです。
 佐々木議員が、この事実を確かめると、福田社長は「記憶にない。前後関係があったのではないか」とのべ、発言を否定しませんでした。
 ところが、全金連の石井会長は「ヤミ金対策活動を、利上げのためにやったというのは見当違い」と開き直りました。
 佐々木議員は、「それなら証拠として、議事録を提出せよ」と求め、財金委の理事会で検討することになりました。

 また、この日の午前中には、財務金融委員会で、神田駅周辺のサラ金業者雑居ビル、三井住友銀行のプロミス自動契約機を視察しました。

議事録

【参考人の意見陳述と佐々木憲昭議員の質問部分】
○伊藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、社団法人全国貸金業協会連合会会長・株式会社富士信代表取締役石井恒男君、プロミス株式会社代表取締役社長最高執行役員神内博喜君、アイフル株式会社代表取締役社長福田吉孝君、全国銀行協会会長・株式会社三菱東京UFJ銀行頭取畔柳信雄君、社団法人信託協会会長・住友信託銀行株式会社取締役社長森田豊君、社団法人生命保険協会会長・第一生命保険相互会社代表取締役社長斎藤勝利君、以上六名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人10分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。
 それでは、まず石井参考人にお願いいたします。
○石井参考人(社団法人全国貸金業協会連合会会長)(株式会社富士信代表取締役) 10分間でございますけれども、時間をいただきまして、まことにありがとうございます。社団法人全国貸金業協会の会長であります石井でございます。
 私どもは、この法改正に当たりまして、一番当業界が問題としております多重債務者問題、それからもろもろの問題につきまして、この解決については何が有効かということにつきまして、かねてより提言をしてまいりました。
 それは、まず、悪質業者の排除ということで、業者の業界に対する参入要件を極めて厳格なものにするということと、債務者のあるいは利用者の人権を侵すような、そういう行為があってはならないということで、行為規制を厳しくすること。そして、これらを実現するためにインフラ整備が必要である。つまり、自主規制機関であります貸金業協会の充実、改革。それと、どうしても必要な個人信用情報機関の整備、まだ発展途上にございます、これの整備ということ。それから、多重債務者になる方の諸条件、特に債務者の個性に起因する問題が多うございますので、これに対する対応策として、インフラ整備として、カウンセリング機関の体制の整備ということを提言してまいりました。
 このインフラ整備、それから参入規制、行為規制の強化が実現された暁には、今起きています多重債務者問題等の解決は、ほぼ解決できるという自信を持っておりまして、いまだにその認識は不変でございます。
 しかしながら、残念なことに、このたび、いわゆる価格規制、金利規制ですね、経済的には価格規制というものが導入された。それから総量規制という、いわゆる経済行為を規制する二つの規制が導入されました。これについては、恐らく歴史的ないろいろな事象からかんがみて、やはりすべきではない、こういう意見に変わりはございません。
 この上限金利規制とそれから総量規制につきましては、できれば先ほど申し上げました改革、インフラ整備が整って、その効果を見定めた上で本来であれば導入すべきである、こういうふうに思います。極めて副作用の強い、現下の私どもの国が目指している市場経済というものからほど遠いものである。
 この副作用について言及いたしまして私は陳述を終えたいと思いますけれども、これが導入されますと、私ども供給者側にとっては、ほぼ500億円未満の中小零細業者、4400社余りありますけれども、これはすべて廃業となります。そして、大手中堅業者、これは500億円以上の業者においても、恐らくそのビジネスモデルはなかなか描きにくいんではないか、いずれその中では廃業あるいは倒産ということも考えられる、こういうふうに思います。
 そして、私どもを利用している資金需要者にとっては、中小業者においては320万人、この利用者が利用の道を閉ざされます。それから、大手業者によっては、彼らの発表によりますと、400万人の方々の需要を謝絶しなきゃいけない。それから、私どもだけではなく、クレジット産業、日商連、日専連その他を含めますと、恐らく1000万人ほどがこの影響を受ける。その上、総量規制ということで、もうこのクレジットクランチははかりがたい、想像を絶するものになるというふうに思われます。
 日賦が廃止されますけれども、日賦を利用しております中小の飲食店等が10万軒、これが資金需要の道を閉ざされる。それから、事業者金融においても、短期資金、無担保の資金を利用しているところが約30万社ございますけれども、これもすべてこの利用から排除されるということで、極めて大きな副作用がそこに待っている。
 また、私どもで働いておる従業員も、中小業者、大手含めまして約3万人がリストラの対象になります。家族を含めますと7万人が失業するということでございます。
 もう時間も少なくなってまいりましたが、最後に申し上げますけれども、このたび導入されようとしている価格規制は、刑事罰、それから行政罰も含めて、下は15%、上は20%で刑罰になる。これは古今東西あり得ない話であります。初めて我が国で実現することでありまして、恐らく、これは決してやってはいけない、本来であればやってはいけないものであるということを再び申し上げまして、私の陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、神内参考人にお願いいたします。
○神内参考人(プロミス株式会社代表取締役社長最高執行役員) ただいま委員長より御指名をいただきましたプロミス株式会社の神内でございます。
 本日は、御審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会をいただき、心から感謝申し上げます。また、本日は、御多用の中、私どもの自動契約機コーナーを御視察いただきまして、重ねて御礼を申し上げます。
 それでは、弊社につきまして簡単に触れさせていただきたいと思います。
 設立は1962年となっております。以後44年間、個人向け小口無担保を中心として経営を行ってまいりました。これまでにお取引をいただいたお客様は、約600万人を数えるまでとなっております。
 このように、一人一人のお客様に支えられ、現在、貸付金残高約1兆2700億、顧客数は約225万人となっております。私どものビジネスモデルまたは存在意義としては、従来の金融機関ではなし得ない、小口無担保の金融をタイムリーに庶民の方々に提供するところにあり、この点を支持されてきた結果であると考えております。しかし、近時の多重債務者問題については憂慮しているものであります。
 このように、消費者向け金融サービス市場は、弊社のみならず広く消費者の方々に支持され、マーケットがつくられてまいりました。このような現状のもと、より健全で公平、安全な市場にする法案として御審議いただいているものと理解しております。
 そこで、本法案に関しまして、私の考えを三点ほど述べさせていただきます。
 一点目としては、本法案に付随する対応として挙げられております内閣府に設置する多重債務者対策本部があります。
 多重債務者問題は、これまで専門的な研究がされてこなかったこともあり、その対応についても進んでいない状況にあると考えております。また、具体的な対応策として、カウンセリング機関の拡充が挙げられております。カウンセリング機関は、これまで必要不可欠であると言われていたインフラであったものの、なかなか拡充が進まなかった経緯もありますので、期待するところであります。
 二点目は、参入規制の強化であります。
 貸金業界は、これまで、庶民の金融機関だからこそ、その開業規制も低いハードルと定められていたものであろうと思います。しかし、真っ当な庶民の金融機関になる気もない者がこれらの制度を悪用するという現状があるのであれば、規制強化は利用者にとって健全なマーケットを提供するために必要な措置であると考えます。
 三点目は、みなし弁済規定の廃止が挙げられます。
 これは、1983年に成立した現貸金業規制法において、小口金融を健全に育成することを目的とし、利息制限法を上回る利息について、一定要件を満たすことで、出資法で定める利息まで法的に認められることが定められました。これがみなし弁済規定でありますが、近時の裁判判決において、この法規定が空文化に近い状態に陥ってしまったため、その必要な措置として、さまざまな方法論はあったかと承知しますが、当該みなし弁済規定を廃止するという判断をされたことは、法の安定化を図る意味でも重要なことであると考えます。
 しかし、一方、みなし弁済規定の廃止とともに、定められます上限金利の引き下げを行うことが本法案として定められております。これによる影響を、弊社を含めアコム、アイフル、武富士、三洋信販、GEコンシューマー・ファイナンス、CFJの7社で推計させていただきましたので、御報告をいたします。
 こちらにつきましては、資料を配付させていただいておりますので、資料一をごらんいただきたいと思います。
 これまで、企業努力と競争原理のもとで実質的な提供金利は低下してきておりましたが、今回定められる金利への引き下げを行いますと、資料にありますとおり、大手七社の集計では、新規申込者は、これまで約53%の契約率であったものが約半数の24%の契約率に低下することが予測されます。また、既存利用者への影響としても、現在七社合計で1123万口座への与信供与を実施しておりますが、与信供与可能口座は737万口座となり、386万口座に影響が出るものと予測されます。
 一方、上限金利規制強化とともに挙げられているものとして、総量規制がございます。この影響についても7社で推計をしておりますので、同じくお配りさせていただいている資料二をもとに御報告させていただきたいと存じます。
 この集計は上限金利引き下げの影響とクロスをしておりませんが、7社で取引のある総口座数は約1200万口座あり、現時点において融資枠の設定がある口座数は約72%の約900万口座となっております。これに3分の1規制が加わりますと、融資枠の設定が可能な口座は約10%となり、約800万口座へ影響が出ることとなります。
 お配りをさせていただいております資料三は、この8年の大手5社の経費率と平均金利の推移を示したものでありますが、これらの数値から、平均金利の急激な低下とともに、融資できなくなった利用者の不良債権化が進むことによる貸し倒れコストの上昇及び後ほど御説明させていただく過払い金費用の上昇により、経営に大きなインパクトとなるものと考えております。
 一方、弊社プロミスにおける影響とその対応について御説明させていただきます。
 私どもは、長年個人への融資を行う中で、与信審査ノウハウを構築してまいりました。このノウハウは、お客様の属性や取引データをもとに自動与信システムを構築して厳格に審査するものであり、お客様別に信用度合いをはかり、適正な融資額や金利を提示させていただいておりますが、上限金利引き下げ、総量規制のインパクトは、七社推計と同様に大きな影響が想定されます。
 また、近時のみなし弁済規定に対する最高裁判決により過払い金返還請求が急増するとともに、それに伴い、公認会計士協会による過払い金に対する引当金計上基準の変更により、将来発生が予想される過払い金引き当てを行うこととなりました。これらの影響により、今期の純利益は約1400億円の赤字を予測しております。
 最後に、本法案への要望を二点述べさせていただきたいと思います。
 一点目としては、本法案は、消費者、事業者に対して大きなインパクトを与えるものであります。つきましては、セーフティーネットとしてのカウンセリング機関の充実や信用情報機関の整備等、必要なインフラの整備状況を見定めていただくとともに、事業者としてもビジネスモデルの変更を余儀なくされるものであるため、その対応は一朝一夕に整えることができないことも考慮いただき、そのための必要な期間をおとりいただくことをお願い申し上げます。
 二点目としては、本法案は、市中金利が超低金利下で議論されたものであるため、今後、需給、経済環境を踏まえた必要な検討をお願い申し上げます。
 本法案を御審議いただいております諸先生方にお礼を申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、福田参考人にお願いいたします。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) アイフルの福田でございます。
 本日は、現在御審議中の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につき意見を申し上げます前に、弊社が本年4月に近畿財務局より行政処分を受けるに至りました事態の原因とともに、現在取り組んでおります再発防止策等につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、行政処分を受けるという事態に至りましたことはまことに遺憾であり、弊社を御利用いただいておりますお客様はもとより、関係者の皆様に多大な御迷惑や御心配をおかけすることになりましたことを、改めて深くおわびを申し上げます。現在に至るまで、この処分を厳粛に受けとめまして、再発防止と信頼回復に向けて全力で取り組んでいるところでございます。
 行政処分を受け、弊社では再発を防止すべく、御当局に提出しております業務改善計画に基づき社内規定等を見直すなど、社内体制の整備を鋭意進めております。さらには、信頼回復に向け、コンプライアンス体制の強化を図るべく、社外有識者の視点による提言を踏まえながら、法令違反に至りました原因の徹底究明に努めてまいりました。
 その過程において、どの違反事案におきましても、その根底には行き過ぎた成果主義が顕在化しており、私自身、このことが根本原因であるととらえ、反省をしております。業績の向上を目指す営業活動におきまして、結果に焦点が当てられ、そこに至るプロセスの把握が不足していた、すなわち、法令遵守のためのルールは存在しておりましたが、十分に機能していなかった点がございます。
 これは、多数のお客様に御利用いただいている企業としての自覚不足が招いたことと受けとめており、企業の社会的責任に対する認識、とらえ方の甘さを痛感し、反省する次第でございます。
 続きまして、再発防止に向けた取り組みと抜本的な改革について御説明をさせていただきます。
 まず、役職員全員の進むべき方向といたしまして、すべての行動の源であります企業理念を、お客様の笑顔を我々の喜びとすることとし、コンプライアンス重視とお客様第一主義の徹底という経営テーマを掲げております。
 法令遵守は最低限のこととして、営業などの進め方や社内のルールがお客様のためであるかを常に考える、そのような意味でのお客様第一主義に即したプロセス重視の企業風土への転換を図ってまいります。お客様が借り入れをふやしていただくことよりも、お客様に完済していただくことをともに喜ぶ企業風土を目指してまいります。
 具体的施策としては、行政処分を受けた事案と同様な事案の再発を防止するため、組織規定関連、社員教育体制、モニタリング環境に至るまで、業務や規定、ルール等を網羅的に整備いたしました。
 さらには、法令違反に至った原因の究明と抜本的改革の打ち手といたしまして、全社横断的に立ち上げております信頼回復プロジェクトにおきまして、行き過ぎた成果主義を是正する新たな営業価値観の醸成と全社への浸透、法令違反の原因分析と内部管理体制の再構築を推進しております。
 加えて、社内からは見えにくい企業風土、カルチャーにも踏み込むことを目的といたしまして、社外有識者の方々の御支援による第三者の視点を積極的に取り入れることといたしております。
 これらの施策を通して、お客様並びに社会の皆様の御意見を迅速に反映できる企業への変革を進めてまいります。
 以上が、行政処分を受けるに至りました事態の原因とともに、現在取り組んでおります再発防止策の概要でございます。これらすべての取り組みによって、お客様並びに社会からの信頼を回復すべく、役職員一同さらに努力してまいる所存でございますので、何とぞ御理解を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、御審議中の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案でございますが、総じて、業界にとって大変厳しい内容であると認識しております。
 出資法の利息制限法レベルへの引き下げ、総量規制の導入、参入規制の強化等、いずれも厳しい改正でありますが、業界全体にとりましても大きな影響を及ぼし、同業者の中でも、特に純資産の少ない数多くの会社が廃業せざるを得ない事態になるものと危惧されるところでございます。
 参入規制により悪質業者が排除されることは望ましいことですが、当委員会でも、1万4000社が3700社まで減少するというお話が出ているとお伺いしております。弊社におきましても、上限金利引き下げ、総量規制により、現在のお客様への御融資残高のうち、約30%から40%程度が残高の減少が想定されます。
 そう申し上げても、御審議中の法案が成立した際には、弊社として、新たなビジネスモデルのあり方を模索することによって、健全に御利用いただけるお客様にできる限り御迷惑をおかけすることのないよう努力し、お客様、国民の皆様の信頼にしっかりとこたえてまいりたいと思います。
 以上、私の意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、畔柳参考人にお願いいたします。
○畔柳参考人(全国銀行協会会長)(株式会社三菱東京UFJ銀行頭取) ただいま委員長から御指名をちょうだいいたしました全国銀行協会会長の畔柳でございます。
 本日は、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の御審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今回の法案は、多重債務問題という社会問題の解決の重要性及び貸金業の社会的役割を勘案しまして、大きく三つのポイント、すなわち、貸金業の適正化、過剰貸し付けの抑制、金利体系の適正化といった課題に幅広く対応する内容であると認識しております。全体といたしまして、消費者信用市場及び業界をより健全、適正なものにする大きな改革であると認識しております。
 少々法案の内容について述べさせていただきますが、当委員会の諸先生方はもう既に本法案の内容をよく御存じでいらっしゃいますので、繰り返しになる部分があり、大変恐縮ではございますが、私ども銀行界として、十分に理解し、対応しなければいけないポイントを中心に、以下述べさせていただきたいと存じます。
 まず、貸金業の適正化に関する規定では、参入要件の厳格化、行為規制の強化、監督の強化などが盛り込まれておりまして、いずれも重要な内容であると思います。このうち、参入要件の厳格化では、純資産を最終的には五千万円まで引き上げることや、法令遵守の助言指導を行う貸金業務取扱主任者に資格試験を導入して、営業店ごとに配置することを求めております。また、勧誘に関する規制や取り立て規制など、行為規制を強化することで、利用者により安心して御利用いただける手当ても講じられております。さらに、貸金業協会の自主規制機能を強化して、広告や過剰貸し付け防止等の自主ルールを当局が許可することとしております。
 このように、業者及び業界サイドの自己規律を強化すると同時に、金融行政の事後チェック機能を強化する枠組みも用意されております。これまで貸金業者に対しましては、登録取り消しとか業務停止という、ある意味で最終的な措置のみが用意されておりましたけれども、今回の改正によりまして、銀行に対してと同様な業務改善命令が創設されまして、貸金業者の業務運営をより機動的に改善、適正化することが可能になるものと考えております。
 次に、過剰貸し付けの抑制というところでは、総量規制が導入されるとともに、借入総量の把握を可能とするための制度整備として、指定信用情報機関制度が創設されます。このうち総量規制では、貸金業者に借り手の返済能力の調査を義務づける、総借入残高が年収の3分の1を超える貸し付けなど、返済能力を超えた貸し付けを原則禁止するといった内容が盛り込まれております。
 融資の実行に際しまして、借り手の返済能力を調査して、返済能力を超える貸し付けを抑制するということは、金融業におきまして、貸し手にとって基本的な行動であると考えます。しかしながら、特に個人のお客様の場合には、法人とは異なって、そのバランスシートなどを容易には把握できないというのが実感でございます。今回、指定信用情報機関による残高情報等の交流が義務づけられたことは、適正な与信判断に大いに資するものでありまして、多重債務問題の解決に向けた一つの有力な措置ではないかと考えます。
 第三に、金利体系の適正化についてでございますが、これまで、出資法と利息制限法という異なる金利規制の間に、御案内のとおり、いわゆるグレーゾーン金利が存在しておりました。このことは、利用者にとりましても業者にとりましても、わかりにくさや法的不安定さなどの面で課題があったと認識しております。今回の法改正は、これまで五十年以上にわたって存在してまいりました二つの上限金利体系を一本化して、そのグレーゾーン金利を撤廃するという大改革でございます。上限金利の引き下げは、貸金業の適正化や過剰貸し付けの抑制と相まって、多重債務問題を中心とした消費者信用市場をめぐる問題の解決に向けた重要な対応であると認識しております。
 なお、本法案の最後の部分には、政府の責務として、関係省庁相互間の連携強化により、資金需要者が借り入れや返済に関する相談、助言、支援を受けることができる体制の整備等に努めるという規定が置かれております。多重債務問題の解決には、貸し手に対する抑制とあわせて、借り手みずからが自分自身の返済能力を十分に把握、勘案した上で借り入れを受けることが必要でありまして、その意味で、本条文も重要な内容であると認識しております。
 さて、銀行は従来、個人のお客様とは預金取引が中心で、融資業務は法人のお客様との取引が主体でございました。しかし、我が国のマネーフローが大きく変化する中で、個人のお客様の資金ニーズが拡大しておりまして、それにしっかりとおこたえしていくことが銀行の今後の社会的責務であると考えております。
 本法案は貸金業界に関する法律ではございますが、個人のお客様の資金ニーズにしっかりこたえていく上で、銀行業界としてもこの法律の趣旨を徹底的に理解し、認識を共有しまして、コンプライアンスの遵守は当然のことでございますが、より健全、適正な消費者信用市場の育成に役立てるように努めていくことが重要であると考えております。そのため、本法案が成立いたしましたら、全国銀行協会として、今回の法律の趣旨を会員銀行に周知徹底してまいりたいと思います。
 さらに、より健全、適正な消費者信用市場を育成する上でますます重要になると思われます消費者相談機能につきましても、全銀協の取り組みを強化したいと思います。全銀協では、平成十一年四月から、銀行とりひき相談所で個人向けローンの利用者を対象とするカウンセリングサービスを実施しております。しかし、今日の多重債務者問題、より健全、適正な消費者信用市場の育成に貢献するとの観点から、その機能を強化することが必須でございまして、検討に着手したところでございます。
 最後に、繰り返しにはなりますが、消費者信用市場の適正な発展に向けて本法案はまことに重要なものであると認識しております。御審議いただいております諸先生方にお礼を申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、森田参考人にお願いいたします。
○森田参考人(社団法人信託協会会長)(住友信託銀行株式会社取締役社長) 信託協会長をしております住友信託銀行の森田でございます。
 本日は、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の御審議に当たり、意見を述べさせていただく機会をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。
 なお、信託協会は、信託制度の発達を図り、公共の利益を増進することを目的として活動しておりますので、本日は、消費者金融業界とお取引のある銀行としての立場から、個社として意見を述べさせていただけましたらというふうに思っております。
 銀行であります弊社は、銀行法にもありますように、銀行の業務の公共性から、信用の維持、預金者等の保護の確保が求められております。金融業務は極めて社会性が高く、本業を健全に営むこと自体が重要な社会的責任であります。特に預金者保護の観点からは、お客様から預金という形でお預かりいたしました御資金を貸し出しという形態で万全に運用することが広く国民から求められていると認識をしております。
 かかる観点からは、私どもの貸出先につきましては、その借り入れニーズが健全であること、かつ、その貸出先自体が健全であることのみならず、業界全体としても健全な業界であることが前提ではないかと思っております。
 貸金業に対する規制法は、昭和50年代に社会問題となりました高金利、過剰融資等のいわゆるサラ金問題等に対処するために制定されまして、これまで幾度かの改正がなされ、問題の是正につきまして大きな役割を果たしてきたものと考えております。しかし、社会経済の大きな変革に伴いまして、個々人の生活のあり方も大きく変わっていく中で、新たな側面を持った多重債務問題等が生じまして、業界として改善、是正すべき点があったというふうに理解をしております。
 今回の貸金業法の改正は、その現在の問題につきまして抜本的、総合的な対応を目指すものでありまして、平成16年1月1日に施行されましたいわゆるやみ金対策法の附則で3年をめどに見直すとされていたことを踏まえまして、平成17年の3月から議論が始まりました貸金業制度等に関する懇談会を契機にして、現在に至るまで、政官学、法曹界等の各位の御議論の積み重ねによりましてまとめられてきたものと認識しておりまして、各位の御尽力に敬意を表するものであります。
 この法案におきましては、貸金業の適正化、過剰貸し付けの抑制、金利体系の適正化、やみ金融対策の強化等を図る対策が示されております。
 これらの対策は、貸金業者が法令、コンプライアンスを遵守し、借り手の知識、経験、経済状況等を踏まえた責任ある業務遂行を図る、よき企業としての社会的責任を果たすことに資するものでありまして、また、返済能力を超える過剰な貸し付けによって借り手が脆弱な経済状態になることを防ぎ、多重債務者の救済に資するものと理解しております。
 これらの対策で構成されております本改正法案は、現在まさに社会問題となっています多重債務者問題や被害の拡大が続くやみ金融問題といった、消費者金融の発展のひずみとして顕在化してしまった諸問題に抜本的に対応し、それを是正するものであります。結果として、消費者金融業界をより健全な方向に導くものと確信しておりまして、金融界にとっても望ましいものと考えております。大いに歓迎し、賛同する次第であります。
 折しも、企業は、多様なステークホルダーとの関係の中で、経済的、法的責任を超える社会的責任を強く求められているところであります。消費者金融業界におかれては、企業の社会的責任の観点からも、この貸金業法の改正の趣旨にのっとり、多重債務者問題等に真摯に取り組み、法令遵守、コンプライアンス遵守を最優先に掲げながら、本来の適正なニーズを持つ利用者に対してしっかりとおこたえしていく健全な業界として発展していただきたいと考えているところでございます。
 弊社といたしましても、今回の貸金業法の改正の趣旨を十分に理解し、さらには勉強をし直して、健全な消費者金融市場の育成、発展に少しでも貢献できればと考えております。その意味で、消費者金融業界がそのような方向に円滑に進んでいくよう、相応のサポートを行っていく所存でございます。
 以上、私なりの意見を述べさせていただきました。繰り返しになりますが、今回の貸金業法の改正は、消費者金融業界をより健全な方向に導くものであり、ひいては金融界にとっても望ましいものであります。その観点から法案の御審議をいただければありがたいと考えております。
 以上、意見を述べさせていただきました。まことにありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 次に、斎藤参考人にお願いいたします。
○斎藤参考人(社団法人生命保険協会会長)(第一生命保険相互会社代表取締役社長) 生命保険協会会長の斎藤でございます。
 本日は、貸金業の規制等に関する法律の改正案に関しまして、保険者並びに投資家としての立場から意見を申し述べさせていただきます。
 今回の法改正の趣旨は、いわゆる多重債務問題の解決に向けた総合的な制度整備を行い、利用者保護等に係る必要な措置を講ずるものであると認識しており、関係者の皆様の御努力に敬意を表させていただきたいと存じます。
 貸金業者と私ども生命保険業者との関係で申し上げますと、まず、生命保険会社は保険者としての立場で、消費者金融会社に対し消費者信用団体生命保険という商品を提供させていただいております。この商品は、消費者金融会社等が契約者となり、融資を受ける借入人を被保険者として、保険者である生命保険会社と契約する保険であり、被保険者に万一のことがあった場合に支払われる保険金を債務残高の返済に充当することで債務を消滅させ、御遺族の方等の生計の安定を図ることを目的とした保険でございます。
 この保険の適切な取り扱いに向け、生命保険業界では、平成18年4月に施行されました金融庁の監督指針に沿って、保険の加入時に保険契約者である団体が被保険者に契約概要、注意喚起情報を手交する等、保険の内容の説明について徹底を図ってまいりました。
 一方、本保険に関しましては、消費者金融をめぐるさまざまな問題が指摘される中で、被保険者の加入について同意の確認が十分に行われていないのではないか、あるいは、比較的少額で短期の貸付債権の回収のために保険が不当に利用されているのではないかといった御指摘をいただいておりました。また、金融庁からも、生命保険協会に対し、消費者信用団体生命保険に関して、被保険者同意の確認の強化、保険金支払い請求実務のあり方等について検討を行い、業界自主ガイドラインを策定するよう要請がございました。
 これらを踏まえまして、生命保険協会としましては、今般、この保険の適正な取り扱いに向け、大きく三つの対応を行っております。
 まず、一点目としましては、業界自主ガイドラインの策定でございます。9月28日に公表いたしましたこのガイドラインの中では、保険加入申込書とローンカード等の申込書の別書面化による被保険者の同意確認の強化や、保険金の請求に係る被保険者の御遺族の了知の徹底等を盛り込んでおり、既に会員各社へ周知しております。
 次に、二点目としまして、先ほど意見を述べられました貸金業の関係団体であります全国貸金業協会連合会に対し、10月10日に、消費者信用団体生命保険の取り扱いに関する協力の依頼を行っております。内容は、この保険につきまして、保険制度の趣旨並びに当会作成のガイドラインの趣旨にのっとった適正な運営を行うこと、及び貸し付けに当たってこの保険への加入を条件とするような取り扱いを行わないことであり、同団体からは、傘下の各都道府県の貸金業協会へ周知を行った旨、連絡をいただいております。
 三点目は、消費者に対する啓発活動でございます。消費者信用団体生命保険について、より理解を深めていただくために、10月12日より、当会のホームページにこの保険に関する専用ページを設け、その商品概要、よくある質問、回答、ガイドラインの解説等の掲載を行うとともに、当会内に設置しております生命保険相談所において、専門知識を有する相談員が対応する体制の整備を行っております。
 以上、御説明させていただきましたとおり、生命保険業界としては、この保険の適正な取り扱いに向けた努力を行っているところでございます。
 一方、この間、消費者金融会社からは、契約の幹事会社である生命保険会社に対し、この商品を解約したいとのお申し出が相次いでおります。現時点では、消費者金融会社との当該保険契約について、すべて解約等の申し出がなされたと伺っております。
 次に、投資家としての立場について申し上げますと、生命保険会社は、資産運用手段の一つとして、法人、個人へ投融資を行っております。以下、生命保険会社の投融資に関する取り組みの状況及び貸金業者への投融資の状況について御説明をいたします。
 生命保険会社の資産運用は、保険商品の販売によりお客様から付託された長期にわたる保険料を、保険金のお支払いに備え運用することを目的としており、一般的には、運用の大原則として、安全性を確保することと収益性を追求することが求められております。また、保険料として集められた資金を資金の需要者に供給するという資金仲介機能もございます。
 これらを踏まえまして、生命保険会社は、国内外の株式や債券の保有、国内外の法人、個人への融資、不動産の保有等を行っております。現在、生命保険協会に加入しております38社の平成18年3月末の総資産の額は209兆円超となっており、うち公社債が32.7%、外国証券が18.8%、貸付金が17.5%、国内株式が14.7%、不動産が3.3%となっております。
 生命保険協会では、生命保険事業の拡大に伴いまして、当該事業が元来有している公共性と資産運用行動の国民経済に及ぼす影響力の大きさとにかんがみ、平成3年の4月に「生命保険会社の資産運用における行動規範について」というものを作成し、会員各社に周知しております。具体的には、「生命保険事業の性格を踏まえ、資産運用においても社会性・公共性の観点に一層配慮した行動をとることとする」と規定し、生命保険会社の資産運用に当たっての基本的な考え方と努力目標を掲げ、資金運用に関する諸問題に対し、「金融・経済環境と各社の良識に照らして対応していくこと」としております。
 これら投融資の基本的な考え方を踏まえまして、一例として具体的な貸金業者への融資の状況について御説明をいたします。なお、生命保険業界全体としては個別企業への融資状況等について公開情報がございませんので、第一生命の融資の状況をもとに御説明をいたします。
 まず、個人向けの貸し付けを主体として事業を行っているいわゆる消費者金融業者あて融資としましては、平成18年9月末で、上場している大手社のうち6社へ、総貸付額に占める割合が1.9%程度の貸し付けを行っております。
 消費者金融業者は、小口金融の分野で我が国の一般消費者向けの資金供給の円滑化に寄与するという社会的な役割があると考えております。また、株式の上場、社債の発行、借り入れの実施等、資本市場において一定のプレゼンスを有していること等を踏まえまして、当社といたしましては、融資行動基準等を踏まえた上で、個別に信用リスクやコンプライアンスの状況を審査の上、融資を行っているところでございます。
 ただし、消費者金融業者が社会的な批判にさらされやすい業態であることや、多重債務者の問題についての全容を把握することが困難なこと等にかんがみまして、融資の対象は消費者金融業者のうち、情報開示の進んでいる上場企業に限ることとしております。
 以上、投資家としての立場から貸金業者との関係について御説明を申し上げました。
 最後に、本法案につきましては、冒頭申し上げましたとおり、社会問題化しております多重債務問題の解決に向けた制度整備を目的としたものと認識しており、利用者保護等に資するべく、貸金業に係る諸制度のより適切な導入、運営に向けた御議論をお願いしたいと存じます。
 私ども生命保険業界としましても、本法案の今後の動向を踏まえまして、関連業界として適切な保険制度の運営及び投融資行動につきまして引き続き留意して取り組んでまいりたいと考えます。
 簡単でございますが、以上をもちまして私からの意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。



○伊藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。(中略)次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 現在、200万人の多重債務者、20万人の自己破産、毎年生まれておりまして、大変深刻でございます。ところが、債務者にとりましては、自分の債務がどういう状態になっているかということがなかなか、記録が手元にない、そういう方が多いわけです。仮に過払いの払い戻し請求をするという場合も、資料がなくてなかなか計算ができないということが多いわけです。
 そこで、石井会長にお伺いしますが、これまでの債務の履歴を開示するということが求められているわけですが、そういう請求があった場合、誠実にこれに対応することが大事なことだと思いますが、どのように対応されますでしょうか。
○石井参考人(社団法人全国貸金業協会連合会会長) 貸金業規制法では、帳票等、3年間保存義務がございます。現実的に、今はコンピューター、IT化が進んでおりますので、かなりの年数の履歴があると思います。
 そこで、今のガイドラインによりますと、ある限りの内容の取引履歴は開示しなければならないということになっておりますので、それは当然だと思います。
○佐々木(憲)委員 誠実に対応するということでやっていただきたいと思います。
 次に、アイフル、プロミスのそれぞれの社長さんに伺います。
 弁護士を代理人として過払い返済の請求をする場合だけではなくて、債務者本人が開示された資料に基づいて計算をして請求をするという場合もあると思うんですね。そういう場合、個々の個人に対しても誠実に対応するというのは私は当然のことだと思いますが、いかがでしょう。
○神内参考人(プロミス株式会社代表取締役社長最高執行役員) 当社では、お客様との取引につきましては、任意の取引ということで考えております。その結果、現在、過払いの請求につきましては、弁護士等第三者を含めて、後々の紛争を防ぐ意味で、その取引が任意性があったのかどうか、これを含めて判定をいただくということで対応させていただいております。
 以上でございます。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) 弁護士を介さずに、直接お客様より履歴開示並びに過払いの返還請求という場合に、誠実に対応させていただいております。
○佐々木(憲)委員 これはきちっと対応していただきたいというふうに思います。
 それでは次に、先ほど、全金連の石井会長は、金利規制それから総量規制、この導入は副作用が大変強いので、今回の法改正には反対であるという趣旨の意見が表明されました。これまでもさまざまな働きかけが、先ほどの議論にありましたように、行政あるいは政治、マスコミ、こういうところに行ってきたというふうにお聞きしております。
 例えば、2003年のやみ金規制、このとき、出資法の上限金利の引き上げ、さらにそれを引き上げるということを求めて、このときは34.675%に引き上げてもらいたいというのが全金連の方針だったようでありますが、マスコミ、行政等を含めて働きかける方針を決めた。その実践組織として、金利・業法部会というものをおつくりになったということですが、その際、アイフルの福田さん、部会長で、2001年から2003年10月までそういう活動をされてきたということでありますが、これは事実ですか。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) 事実でございます。
○佐々木(憲)委員 そのときに、2002年10月からは特別賛助会費というものを集めていたということなんですが、これは幾ら集まったんでしょうか。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) 必ずしも正確ではございませんが、1000社以上の業者から3億7000万近い資金を拠出いただいております。
○佐々木(憲)委員 3億7640万円というふうに私は聞いておりますので、多分、今の回答のとおりだと思うんですが。
 そこで、この使途というのはいろいろあると思うんですが、その際、議員の業界に対する理解が非常に不足しているというお話があったそうでありますが、議員に、あるいは政党にも働きかけたということですね。全政連も含め、政党、政治家への接待、政治献金、これはその際、行われましたか。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) 今、接待、何とおっしゃいましたか。(佐々木(憲)委員「接待、政治献金」と呼ぶ)ちょっと接待と政治献金とは別だと思うんですが、先ほど全金連会長が、政治献金はないとおっしゃっておりますので、ちょっと私も記憶定かではございませんが、そのお言葉に合わさせていただきます。
 それから、接待等はございません。
○佐々木(憲)委員 先ほど献金がないという話がありましたが、私どもが調べたところ、2003年、寄附が112万円、2004年133万円、2005年60万円、これは献金でありますが、あるんじゃありませんか。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) 今の御指摘の2003年、2002年ですか、その資料というのは、全金連での資料でしょうか。全金連におきましては、社団法人ですので、献金、パーティー券等の購入は一切ございません。全金連の中に、法制対策委員会というのがございましたので、そのような出費はないはずです。
○佐々木(憲)委員 私は、全国貸金業政治連盟、全政連、この寄附について申し上げたわけでありますが、石井会長、先ほどのお話と実態は違うんじゃありませんか。
○石井参考人(社団法人全国貸金業協会連合会会長) 全政連のことについては、まことに申しわけないんですが、ちょっとわかりません。
 ただ、その特別賛助会費、3億7640万集めておりますけれども、この中で、献金とかあるいは接待とか、そういうものに使われたものは全くございません。すべて、やみ金を暴くための資料づくりと、あるいはやみ金被害者を救うための活動費でございます。
○佐々木(憲)委員 私が指摘をしたのは、全国貸金業政治連盟、それから議員の政党支部の政治資金報告書で知り得る限りの数字について、先ほど御指摘をいたしました。したがって、これは先ほど、全政連も含めて、ないとおっしゃいましたので、そうではないという事実をここで指摘しておいたわけであります。
 次に、福田さんは、全金連の理事会で、当時何度も理事会があったと思うんですが、こういう発言をされているというふうに私は業界の関係者から聞きました。やみ金が広がったのは我々にとっては金利引き上げの追い風だと。ミサイルが手に入ったようなものだというふうに発言したと言われていますが、本当ですか。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) 今から4年前ですか、5年前のコメントを私は記憶しておりません。ただ、考えるに、その前後の話があろうかと思います、もしそれが事実とするならば。前後の話としては、2000年に上限金利が引き下げになりました。その後、やみ金がばっこをいたしました。結果として、金利が下がることはやみ金がはびこるんだということから、今のような発言につながったのではないかと想像するところです。
○佐々木(憲)委員 これは当時、多分、今おっしゃったような状況があって、やみ金が広がったということは、金利を引き上げると、出資法の金利の上限を、当時は29.2に下がっておったのをもとに、もとにといいましても34.675%に上げる、これは当時の全金連の基本方針、そのためにいろいろ働きかけるということをお決めになった、そういう中で、やみ金がはびこることはミサイルを手にしたようなものだ、これを持って我々は攻め込んでいくんだと、戦争みたいな話をやっている。これは私は非常に問題の、重大な発言だと思うんですが、この記録は当然議事録の中にあると思うんですが、その議事録、当時どんな議論があったのか、全金連の議事録があるとすれば、私はあると聞いているんですけれども、資料として提出していただけますか。
○福田参考人(アイフル株式会社代表取締役社長) 今、私は全金連と一切かかわりをしておりませんので、資料請求については、私が申し上げる立場ではございませんので。
○佐々木(憲)委員 それでは、石井会長に、当時の議事録もここに提出をしていただく、あるいは、最近までの議事録がもし提出されるのであればもっといいんですけれども、いかがでしょう。
○石井参考人(社団法人全国貸金業協会連合会会長) 議事録を提出しなければならないのかどうかということについては、その義務のありやなしやも検討いたしまして、検討いたします。しかし、やみ金対策活動が我々の金利を上げるためにやったというのは見当違いであります。これだけは申し上げたいと思います。
 これは、金利が下がったことによって、我々さえも想像を絶するようなやみ金のばっこがありました。これはだれも予想しておりませんでした。これは御存じだと思うんです。それを白日のもとに示したのが私どもの活動でありました。この巨額な費用をもって、なおかつ全国の会員2000名が一月間この業務に当たって、そして貴重な資料が集まった、それによって五菱会を初めやみ金が摘発された、そういう成果を御認識いただきたい。私どもは、金利を上げるためにこれをやったのではありません。
○佐々木(憲)委員 今そのようにおっしゃいました。それならば、証拠として出していただかなければ信用できませんよ。平成14年の……(石井参考人「ですから、この成果物は……」と呼ぶ)ちょっと待ってください。
○伊藤委員長 委員長が指名してから御発言をお願いします。
 佐々木君。
○佐々木(憲)委員 私は具体的な関係者の情報に基づいて質問しているわけですが。私は、そういうふうに明確な発言をされたと、しかもそれが議事録に残っているんだという話を聞いたんです。今否定されましたね、そんなはずはないと。それなら、議事録を出してください。具体的に言いますと、平成14年7月16日の議事録を出してください。
○石井参考人(社団法人全国貸金業協会連合会会長) 議事録の閲覧は、多分、これは地方の協会長でさえ今制約されております、することについては。ですから……(佐々木(憲)委員「そんなの関係ないじゃないか」と呼ぶ)これは、いわゆるやみ金の、だから、趣旨がありまして、目的に照らして、そのような発言を福田部会長がしたとはとても思われませんので、いずれにしても、このあれにつきましては検討させていただきます。
○佐々木(憲)委員 では、検討するということですから、私ども、理事会でこの提出を求めていただきたい。委員長、お願いします。
○伊藤委員長 ただいまの佐々木委員の要求につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 つまりこれは、全金連の石井会長のこの御発言が正確かどうかということを確かめるために私は求めているわけであります。今これを否定されましたので、否定された以上、その証拠を出していただかなければいけないということであります。
 次に、全銀協の会長さんにお伺いしますが、この資金提供、消費者金融の、サラ金の資金の半分ぐらいは、大ざっぱに言って銀行が提供しているんじゃないかと私は思っておりますが、非常に金利が低いんですね。1.7%台というふうに聞いておりますが、なぜそういう低い金利でこれが提供できるのか、その理由についてお知らせいただきたいと思います。
○畔柳参考人(全国銀行協会会長) お答えいたします。
 個々の企業への貸し出し方針につきましては、加盟行それぞれの銀行がそれぞれの融資基準に基づいて判断していると思いますが、私どもの銀行の例で申し上げますと、貸し出しを実行する際には、業界とか業種に関係なく、債務者ごとに定めた信用格付ですね、格付と案件ごとの回収見込みなどから利ざやというものを設定しておりまして、貸金業者だからといって特別な利ざやで貸し出している事実はございません。
○佐々木(憲)委員 いや、特別に高い金利で貸していると言ったんじゃなくて、特別に低い金利で貸している理由は何かと聞いたんです。ですから、利ざやを問題にしているのではなくて、つまり、銀行の貸出金利の平均は大体3、4%だろうと私は思うんですが、なぜ1.7%台で貸せるのかということを聞いているわけです。
○畔柳参考人(全国銀行協会会長) お答えします。
 業界にかかわらず、格付が、レートが高ければそれに応じたレートを適用しているということで、それはほかの業界の会社でも、その格付であれば同じレートを適用しているということでございます。
○佐々木(憲)委員 いわばサラ金業界は格付が非常に高いと。サラ金業界自身が利用者に貸すのは、20数%と非常に高い金利で貸しているわけですね。ですから、そういう構造にあるということの一端が今の答弁でも明らかになったと思います。
 今後、この法案の審議、具体的な資料も求めましたので、民主党からも出ておりますから、その資料の提出なども含めて、しっかりとした審議をしていきたいというふうに思います。
 以上で終わります。

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