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金融(銀行・保険・証券) (消費者金融・サラ金・ヤミ金)

2006年11月22日 第165回 臨時国会 財務金融委員会 【370】 - 質問

佐々木議員「過払い金利は即時返還せよ」と要求

 2006年11月22日、財務金融委員会で、サラ金業界と銀行の関係とサラ金の高金利引き下げ問題について佐々木憲昭議員が質問しました。

 佐々木議員は、サラ金業界と銀行の関係について、その実態を確認しました。
 金融庁の佐藤監督局長は、サラ金大手4社の調達資金のうち約3分の2が金融機関からの調達で、調達金利は1.45%から2.11%の間、極めて低い調達金利であることを明らかにしました。
 佐々木議員が、11月17日の参考人質疑で、全銀協会長に、「サラ金業界になぜこの低金利で貸すのか」と質問ところ、「それは優良な貸出先である」と答弁。
 金融機関は、大手サラ金4社に対して約3兆円貸し付け、1.7%程度の低金利で年間約500億円の利益を上げています。銀行は、貸し付けだけでなく出資もし、銀行自身も収益を上げています。
 また、大手サラ金4社は、1.7%程度の低金利で金融機関から調達し、貸出金利は23%台から27%台と非常に高金利で貸し出し、ぼろもうけを上げています。
 大手サラ金4社は、無人店舗やATMを増やし、どんどん利用者を取り込んでいます。しかも、銀行との提携分のATMは、わずか4年間で倍増しています。その一方で、銀行は、店舗もATMも職員の数も大幅に減っています。
 佐々木議員は、「金融機関は、これまで低金利で融資をしてきた銀行の利用者に対しても、サラ金の消費者ローンを利用するようにという形で紹介をし、そちらに誘導しているのではないか」と指摘。そして、昭和58年6月30日の大蔵省通達「金融機関のいわゆるサラリーマン金融向け融資について」を紹介し、銀行がサラ金業者に対して融資をするのは慎重でなければならないし、かつ抑制的でなければならない、それは、銀行自身が公共的性格を持っているからだ、という指摘を、山本有二金融担当大臣に確認しました。
 山本大臣は、「銀行経営においては、収益性だけではなく、御指摘のとおり、銀行業務の適切性や健全性、社会的責任といった観点も大変重要なものであろう」「特に、消費者金融におきまして多重債務者の発生や増大といった社会問題が起きている状況等を踏まえ、消費者へ提供されるローンのあるべき姿について真摯に検討していただき、適切に対処していただきたい」と答弁しました。
 また、佐々木議員は、利息制限法の上限を超えて支払った金利について、「サラ金業者はすぐにでも自主的に返還するのが当然。返還請求できることを国民に広く知らせるべきだ」と政府を追及しました。
 山本大臣は「弱者の立場でしっかりやっていく」と答弁しました。
 サラ金大手各社が利用者からの過払い金返還請求に備えて、2000億円から3000億円も引当金を積んでいます。
 佐々木議員は、「受け取りすぎた金だから、請求があれば返そうと大手4社の合計で1兆円も用意している。アイフル社長は、参考人質疑で『誠実に対応する』と答弁している。全部返して当然だ」と指摘。
 山本大臣は、「業者が誠実に対応するというなら、その方向で進めていただきたい」と答えました。

 この日、日本共産党と民主党は、政府が提出した貸金業規制法等改正案に対する修正案を国会に提出しました。
 政府案が、上限金利の引き下げ時期を「公布後、おおむね3年後」としているのに対し、公布から1年以内(施行と同時)に引き下げることを盛り込んでいます。
 また、出資法の上限金利については、政府案では一律20%に下げるとしていますが、修正案は、利息制限法の上限金利(15%〜20%)に完全に一本化するとしています。
 さらに、安易な利用につながりやすい無人契約機によるサラ金のカード発行を禁止し、初回は対面方式の発行を義務づけることとしています。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、サラ金業界と銀行の関係について、その実態をまず確認したいと思います。
 アイフル、アコム、武富士、プロミス、この大手サラ金4社、膨大な利益を上げております、しかも上場企業にまで短期間にのし上がっているということでありますが、主な大手金融機関から大変な資金を調達しております。
 そこで確認をしたいんですが、2005年度のサラ金大手4社の金融機関からの資金借入残高、平均調達金利、これはどうなっていますでしょうか。
○佐藤政府参考人 平成18年3月期の有価証券報告書によりますと、御指摘いただきました大手消費者金融会社4社の各社ごとの金融機関等からの借入残高、連結ベースでございますが、まず、アコムは7496億円、アイフル1兆1289億円、武富士4193億円、プロミス6298億円となっております。
 また、同じく、各社ごとの金融機関等からの平均調達金利でございますが、アコムが1.75%、アイフルが1.71%、武富士が2.11%、プロミスが1.45%となっております。
○佐々木(憲)委員 これは大変な金額でございまして、もう一つお聞きしたいのは、それぞれの調達資金のうち、金融機関からの借り入れの資金の比率、どのくらいの比率なのか、わかったら言っていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 先ほど申しました有価証券報告書を見てみますと、例えばアコムでございますと、金融機関等からの借り入れが7496億円と申しましたが、このほかに社債、CP等で3150億円の調達をしているということでございまして、合わせて1兆646億円の中の7496億円だったということでございます。
 他の社についても申し上げますか。(佐々木(憲)委員「言ってください」と呼ぶ)はい。それで、アイフルにつきましては、金融機関等からの借り入れが1兆1289億円に対しまして、その他といたしまして、これも社債、CP等ですけれども、6638億円。それから武富士でございますが、金融機関等からの借り入れが4193億円に対しまして、その他が2966億円。さらにプロミスにつきましては、金融機関等からの借り入れが6298億円に対しまして、その他が2550億円。こんな数字になっております。
○佐々木(憲)委員 この数字は大変大きな数字でございまして、サラ金大手4社の調達資金のうち約3分の2、これが金融機関からの調達でありまして、しかも、調達金利は、先ほど御紹介いただきましたように1.45%から2.11%の間でありますから、極めて低い調達金利であります。
 銀行はなぜこんな低い金利で貸しているのかということも問題になるわけですが、その前に、銀行の平均貸出金利ですね。これは、数字はどうなっていますでしょうか。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) これは日本銀行の統計によりたいと思いますが、国内銀行による18年3月時点の国内銀行の貸出約定平均金利は1.600%というふうになっておると承知いたしております。
○佐々木(憲)委員 それから、例えば住宅ローンですね、こういう場合は3%台だと思いますが、大体そんなものでしょうか。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) ちょっと手元にデータがございませんけれども、おっしゃるような近辺の水準かと思います。
○佐々木(憲)委員 一般の国民が借りる場合の銀行の貸出金利というのは、例えば住宅ローンの場合は3%台だというふうに私は聞いておりますけれども、その半分程度の金利でサラ金には貸している。サラ金業界は、こういう特別の低金利で3分の2の資金を調達しているわけですが、銀行も、ここに貸し出して、低い金利だけれども、それでもかなりの利益が上がっている。持ちつ持たれつの関係ということになっているわけですね。
 先週、参考人質疑で、私は全銀協の会長に、サラ金業界になぜこの低金利で貸すのかというふうにお尋ねしたところ、それは優良な貸出先であるというふうに言いました。だから低いんだというわけですね。金融機関は、この4社に対して約3兆円貸し付けているわけであります。そして、この1.7%程度の低金利でも、年間約500億円ぐらいの利益を上げているわけですね。それ以外にも、銀行は貸し出しだけじゃない、出資もしておりますし、さまざまな関係があるわけです。そういう中で、銀行自身も収益を上げている。
 そこで、次にお聞きしたいのは、このサラ金4社の貸出金利ですね。これは、消費者向け無担保ローンの貸出残高、それから平均約定金利、それぞれ示していただきたいと思います。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 大手消費者金融会社4社の18年3月期の有価証券報告書によりますと、各社ごとの平均約定金利は、アコムが23.78%、アイフルは27.10%、武富士が25.48%、プロミスは24.19%となっております。
 それから、無担保の消費者向け貸し出しの残高でございますけれども、アコムが1兆6490億円、それからアイフルが1兆7092億円、武富士が1兆5400億円、プロミスが1兆5775億円という数字でございます。
○佐々木(憲)委員 大手4社は、1.7%程度の低い金利で金融機関から調達をして、そして、今御紹介ありましたように、貸出金利は23%台から27%台。非常に高い金利で貸し出して、いわばぼろもうけを上げている。もちろんコストは違いますけれどもね。それでも大変な利益を上げているわけでございます。
 しかも、このサラ金大手4社は、だけではありませんけれども、無人の店舗をふやし、ATMをふやし、この前神田の周辺でも視察しましたように、そういう形でどんどん利用者を取り込んでいるわけですね。
 そこで、この数字をお聞きしたいんですが、2001年度から2005年度までの4年間で、無人の営業店舗の数、それから自動契約受付機の数、それからATMの設置台数、特に、銀行やコンビニと提携しているATMの数、これはかなりふえているんじゃないかと思いますが、どのようになっていますでしょうか。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 御指摘の4社につきまして、まず無人営業店舗でございますが、2001年度が4664店舗、これに対しまして2005年度が5546店舗でございますので、882店舗増加しているという計算になります。
 それから、自動契約受付機の増減でございますが、自動契約機及び契約受付機等の台数の合計、2001年度が6649台、2005年度が8280台でございますので、1631台の増加でございます。
 それから、ATMの増減でございます。大手4社が自社で設置しているもの、それから提携先のATMを利用しているもの、これの合計の台数でございますが、2001年度が16万9582台、2005年度が32万6413台ということで、15万6831台の増加ということでございます。
 このうち銀行等との提携分というのが、2001年度が16万1978台、2005年度が31万8939台ということでございまして、15万6961台の増加ということになっております。他方、消費者金融会社自身の自社分につきましては130台の減少というふうになっております。
○佐々木(憲)委員 今、ちょっと細かな数字をお聞きしたんですけれども、この数字をお聞きしますと、いわば無人の契約機というのは大変ふえている。特に、銀行との提携分、ATMの台数が、わずか4年間で倍増している。これは大変な数であります。この委員会でもその一部を視察したわけであります。
 このように、全体としてサラ金大手の営業というものは、ATM、無人の契約機等々を通じて急速に伸ばしているわけであります。銀行がそこと提携をして、消費者ローンへの提携関係を強め、かつそこから利益を上げる、こういう関係になっているわけですね。本来の銀行の業務は一体どうなっているんだろうか。銀行は、もともと消費者に対して本来の低金利での融資というものが仕事ではないのかということを疑問に思うわけであります。
 そこで、銀行の店舗数、これは一体どうなっているのか。銀行のCD、ATMの設置台数、これはどうなっているか、数を教えていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) まず、銀行の店舗の数でございます。
 全国銀行協会の全国銀行財務諸表分析によりますと、2001年度末は1万4353店、2005年度末が1万3146店ということで、1207店の減少ということでございます。
 それから、同じくCD、ATMの増減でございますけれども、これは全国銀行協会の決済統計年報でございます。これは9月末というところでとっておりますけれども、2001年の9月末が7万8178台、2005年の9月末は7万2447台ということで、5731台の減少ということでございます。
○佐々木(憲)委員 銀行の方は、店舗も減る、それからATMも大幅に減っておりますし、職員の数も減っております。そういう中で、提携が、どんどんどんどんサラ金との関係がふえていく。私は、非常に異常な状況ではないか、数年前までと比べても、大変大きな変化が起こっていると思います。
 結局、金融機関は、個人に対する無担保の貸し付け、これを後退させているんじゃないか、それで、サラ金との提携にそれを置きかえていく、こういう傾向が非常に強まっていると思います。これまで低金利で融資をしてきた銀行の利用者に対しても、サラ金の消費者ローンを利用するようにという形で紹介をし、そちらに誘導しているのではないか。
 先日、視察の際に、三井住友銀行に行かせていただいたわけですけれども、そこで、カスケード事業の概要についての説明がありました。そこで紹介をしていただいたものを見ましても、銀行自身が直接やっている消費者向けのローン、それから真ん中のアットローンの顧客、それからプロミス、三段階に分かれていましたね。
 この三段階を見ますと、銀行の顧客の中で、あなたはアットローンの方いかがでしょうかとアットローンに紹介をする、あるいは、お客さんによってはプロミスに紹介をする、アットローンのお客さんをさらに今度はプロミスに紹介する、こういう形で金利の高い方に、お客さんの水準によって、所得水準あるいはその方の年齢その他あるんでしょう、そういうものを判断して、いわばサラ金業者の方に誘導する、そういう仕掛けができている。ところが、逆に、では、サラ金会社から銀行に対して、あなたは銀行の方がいいですからどうぞ、こういう紹介はあるのかと聞きましたら、いや、そういうことはありませんというふうなお答えだったですよね。
 ですから、結局、銀行がやっていることは、できるだけ高金利でお客さんに貸す仕掛けをつくっているのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございます。私は、この点について非常に疑問に思うわけですね。
 そこで、これは山本大臣に、このような実態、それから銀行の経営のあり方、こういうものを踏まえて、私は、もう少し銀行自身の公共的性格を重視した対応というものが必要ではないかと思っているわけなんです。
 昭和58年6月30日の大蔵省通達というのを見ますと、「金融機関のいわゆるサラリーマン金融向け融資について」というのがあるんですよ。それによりますと、「かねてより、金融機関の公共的性格にかんがみ、社会的信頼を損なうことがないよう慎重に配慮することを要請してきたところである。」こういうふうに書いてあります。
 そして、「しかし、最近、いわゆるサラリーマン金融専業者(サラ金業者)の経営姿勢について再び社会的批判が高まるとともに、金融機関のサラ金向け融資のあり方が問われるに至つている。」こういうふうに指摘をしておりまして、さらに、「サラ金業者への融資については、当該サラ金業者の経営姿勢や経営実態を十分に把握し、当該サラ金業者による過当な収益の追求、高金利による貸付け、過剰貸付け、その他利用者の利益を不当に害する行為を助長するおそれがあると考えられる場合には、厳にこれを抑制すること。」つまり、銀行がサラ金業者に対して融資をするのは慎重でなければならないし、かつ抑制的でなければならない、それはなぜかというと、銀行自身が公共的性格を持っているからなんだ、こういう指摘をしていたわけです。
 私は、今振り返っても、これは大変大事な指摘ではないかと思いますけれども、山本大臣としてはどのようにこれをお受けとめになっておられるか、お考えを聞きたいと思います。
○山本金融担当大臣 御指摘のとおり、一部の大手銀行におきまして、リテール業務の強化といった観点から、消費者金融業者との連携を深めているところであろうと思います。
 建前論からいいますと、民間企業たる銀行がいかなる先と提携するか、あるいは提携しないかは、個々の銀行の経営判断に属する事柄ではございます。けれども、銀行経営においては、収益性だけではなく、御指摘のとおり、銀行業務の適切性や健全性、社会的責任といった観点も大変重要なものであろうというように考えております。
 特に、消費者金融におきまして多重債務者の発生や増大といった社会問題が起きている状況等を踏まえますと、各行におきましては、消費者へ提供されるローンのあるべき姿について真摯に検討していただき、適切に対処していただきたいと考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 少し公共的性格というものを重視された答弁だったと思います。答弁としてはもうちょっと踏み込んでほしかったと思いますけれどもね。
 しかし、どんどんこういう形で今までどおりのやり方を拡大していくということになりますと、非常に大きな問題が発生いたしますから、やはりこの辺でしっかりとした歯どめをかける必要がありますし、また、銀行の役割ということを根本的にもう一度もとに戻って考え直す必要があるのではないか、このことを指摘しておきたいと思います。
 次に、利息制限法を超えた融資の問題であります。
 今、過払い金の返還ということが大変大きな問題になっております。利息制限法第一条では、上限金利の超過部分は無効というふうに書いてあるんですね。最高裁判決では、貸金業規制法が要求しているみなし弁済の適用条件を満たしていない利息制限法を超過して支払った利息は無効という判断が出ております。
 最近の判決は、この任意性についても厳しい判断を示しておりまして、契約では、返済がおくれれば期限の利益を喪失し残金を一括返還しなければならないという、期限の利益喪失特約というのがついているらしいんですね。しかし、ことし1月13日の最高裁判決は、期限の利益喪失特約のもとで債務者が利息制限法を上回る利息を払った場合、特段の事情のない限り、自由な意思による超過利息を払ったと言うことはできないという判断を示しているわけです。つまり、利息制限法を超える部分は無効である、非常に強いそういう意思を裁判所自身が示したわけであります。
 このことについては、大臣、どのようにこれを受けとめておられますか。
○山本金融担当大臣 最高裁の判決を政府側から評価というような考え方でコメントするのは適切かどうかはわかりませんが、今の現状の社会のありようからしまして、借り手に保護を与えるという観点からすると、大変借り手に対する思いやりのあるいい判決であったというように思っております。
○佐々木(憲)委員 それでは、次に広告の問題でありますが、私、ここに一つの新聞広告を持ってまいりました。
 これは、先日視察に行きました三井住友銀行の広告なんです。これはどういうふうに書いてあるかというと、去年の4月、提携が発表された後のものであります。三井住友銀行というのは真ん中にありまして、上にアットローンがあって下にプロミスがあって銀行が挟まれている、こういう感じのものでありますが、「日本のカードローンを変えるのは三井住友銀行グループです。」と。
 問題は、この下にあるところの金利なんです。三井住友カードローンが8%から12%、アットローンが15%から18%、ここまではいいんですが、プロミスですね、18%から25.5%、こういうふうにはっきりと利息制限法を超える金利を書いて、これで宣伝をしているわけであります。しかも、遅延利息、これが年利29.2%。出資法の上に張りついたようなことまで書いてありますけれども、いずれにしても、大手の銀行とそれから大手のサラ金の提携のもとで行われているこういう広告、これは、今ありましたように、利息制限法を超える金利を、こういう金利でやりますよというふうに宣伝することは、私、非常に問題があると思っております。
 つまり、任意の支払いということなんですけれども、任意の支払いといったって、これはまだ契約前なんですから、こういう形で25%が当たり前のようなそういうやり方をすることは、私は正しくないと思うわけですけれども、ここは渡辺副大臣に感想をお聞かせいただきたいと思います。
○渡辺(喜)内閣府副大臣 そのような御批判があることを踏まえて、今回の改正案の中では、自主規制ルールをつくってください、そしてそのルールについて内閣総理大臣が認可をしますよ、そういう枠組みにしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、多重債務者をなくそうというありとあらゆる仕掛けを盛り込んであるのが今回の改正案でございますので、何とぞ早く結論を出していただくようお願いを申し上げます。
○佐々木(憲)委員 自主規制ルールということでありますが、問題は、今まだ法律ができる前であります、しかし最高裁の判例があって、利息制限法以上は無効だというのが、基本的な方針であります、方向です。
 今こういう状況で、法律が施行される前、その段階で、やはり広告について一体どういう対応をするか、これが問われているわけです。その点はどうですか。
○渡辺(喜)内閣府副大臣 いずれにしても、利息制限法を超える金利で商売をやろうという場合には、最高裁の判例がかなり厳格になってきておりますから、過払い請求のリスクを当然負いながらやるわけですね。
 ですから、こうした議論がますます活発になれば、当然競争が起きて、利息制限法の範囲内で商売をやっていこうという動きが起きることを期待したいと思います。
○佐々木(憲)委員 コマーシャルをやる場合は、今言われたように、利息制限法を超える場合は無効であるということなんですから、例えば、あなたの場合は払い過ぎの可能性がありますというコマーシャルをやったらどうでしょうか。それから、その場合は返還できますというようなコマーシャルですね。これは当然の方向だろうと思いますけれども。まあ、これは強制するわけにはいきませんけれども、仮にそういうコマーシャルがあるとしたら、これはいいと思いますが、副大臣、どうですか。
○渡辺(喜)内閣府副大臣 いずれにしても、現行法のもとで最高裁の判例も踏まえながら御商売をやっておられるんでしょうから、我々の法案が国会を通過すれば、おのずと業界の皆さん方もこの法案が頭に入って、それにできるだけ近づこうという努力が行われることを期待したいと思います。
○佐々木(憲)委員 期待だけじゃなくて具体的にリーダーシップを発揮していただきたいと思うんですね。
 さて、そこで、この利息制限法を超えた部分について、過払いであるということで返還の請求が今たくさん起こっております。そこで、問題は請求を受けたサラ金業界の側の対応ですね。これが今大変問われているわけであります。
 例えば、公認会計士協会が、こういう、通達というんでしょうか業界内部に対して出している文書がございます。
 これは18年、つまり、ことしの10月13日付のものです。「消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い」、こういう文書なんですけれども、これは利息返還損失引当金、こういう引当金なんですよ。これは余り今まで聞いたことのない名目の引当金なんですけれども、なぜこういうものを積むようにという指示をしているかといいますと、最高裁判決で「貸金業規制法が要求しているみなし弁済の適用条件を満たしていない利息制限法を超過して支払った利息は無効との判断が示された。」先ほど私が紹介をしました最高裁判決が出ております。そこで、「グレーゾーン金利が解消したとしても、過去に債務者等が利息制限法の上限金利を超過して支払った利息部分の請求はその後も残り、今後とも、債務者等からの請求が予想される。」と。
 つまり、グレーゾーン金利がなくなっても、過去のグレーゾーン金利で払っていた部分について、返しなさい、返してほしい、そういう請求が予想される、当然のことですね。それに対して、こういう引当金を計上することによってそれに対応しなさいということが書かれているわけであります。今後これがふえていく可能性があるという見通しのもとに、この引当金を計上することを指示しているわけです。
 そこで、事実をお聞きしたいんですけれども、では、どのぐらい積まれているのかということです。大手4社でそれぞれ幾ら積まれているか、あわせて、さらに合計金額は幾らか、この数字を教えていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) お尋ねの大手消費者金融会社4社の先般公表されました中間決算におきまして、各社の利息返還損失引当金が計上されております。
 まず、アコムでございますが、3575億円、アイフル2281億円、武富士2845億円、プロミス2144億円ということで、4社の合計額は1兆846億円でございます。
○佐々木(憲)委員 これ、私は非常に不思議な引当金だと思うんです。なぜかといいますと、法に違反して、違反か無効かという議論がありましたけれども、無効な金利を取っているわけですね。無効な金利を取って、いや、返しなさいと言われた、それに備えて利益の一部を積み立てておる、こういう姿なんですよ。しかもその金額は、1社当たり2000億台から3000億円台と極めて大きいわけで、たった4社だけで1兆円を超えているわけですね。それだけのお金があったら過払い請求にすぐ返したらどうかというのは、これ、当たり前のことであります。
 私は、参考人の方に、請求が弁護士などを通じてやられた場合も、あるいは個人が単独で過払いだから請求して返してほしいと言われた場合にも、当然こたえるべきだというふうに言いました。そうしましたら、アイフルの社長さんは、それは誠実に対応します、こういう話でありました。それなら、私は、これだけの積み上がったお金があるのだから、当然これは、業者に対して請求があったら、一々複雑なことをしないで、利息制限法を超えた部分については全部お返しする、こういうことは当然のことだろうと思うんですけれども。しかもお金はたくさんあるわけですから。
 山本大臣、いかがですか。
○山本金融担当大臣 大変難しい質問でして。過払い返還請求に関する司法判断の趨勢ということはあるんですけれども、個々の貸金業者と債務者の間における契約上のそれぞれの立場立場や、いわゆる任意性の問題とかいうものを司法判断を超えて何かするということに対しては、特に、先生のおっしゃることを、貸金業者に対して一律に過払い返還請求を認諾するよう金融庁が指導というようなことは、当局としては権限がありませんし、これはかなり問題は残るわけであります。
 しかし、先生のおっしゃる意味は非常に理解はしているつもりでございまして、このような請求の前提となる取引履歴の開示についてなどを推し進めることによりまして、同様の結果を得られるように頑張っていきたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 履歴の開示はもう当然のことであります。それは既にガイドラインで開示しなさいということでありますし、私も先週の参考人質疑で全金連の会長さんにどうなんだと聞いたら、それはガイドラインに沿ってやりますと。それはもう決着済みといいますか、言われたら出さなきゃならぬのです。
 その上で、計算をしますね、自分の過去の借金の経歴、幾ら借りて幾ら返したか、どこの会社に幾ら返したか。こういうものをすべて計算して、自分の部分は、これはもう返し過ぎている、過払いである、それを、業者、会社に請求をする。これは司法判断の云々ではなくて、既に基本方向が明確であるわけです。過払い請求に対しては誠実にこたえるということを言っているわけですし、利息制限法を超えた部分は無効であるということがはっきりしているわけですから。ですから、それに対して誠実に対応する、そういう請求があった場合にはきちっと対応するということを指示する、あるいはそういう態度表明を大臣がされるというのは、これは当然ではないんでしょうか。
○山本金融担当大臣 おっしゃる意味はわかるんですけれども、会計基準の変更で、財務の健全性を求めるというようなことから、直ちに司法判断を超える措置をとるということになるかどうかについては、非常にそこのところは無理があるような気がしますが、おっしゃっているように、過払い請求については会社の経営判断等がありまして、それを誠実におこたえになっているということであるならば、そういった方向を進めてもらいたいということはもう間違いないわけでございます。
○佐々木(憲)委員 何か奥歯に物が挟まったようなわけのわからぬ、少し最後は前向きのような感じの答弁でありましたが。
 問題は、過払い請求があるので引当金を積んでいるわけなんですよ。積むということは、請求があったら払うということですね。過払いということは、つまり払わせ過ぎている、つまり自分が受け取り過ぎているわけです、サラ金側からいいますと。受け取り過ぎているので請求があるだろうから、そのために、あった場合にはお返ししますという引当金なんです。それが1兆円なんですよ、既に。
 これは、きのう、参考人の質疑の中で、被害者の方々からもいろいろな訴えがありました。その中で、過払い請求を集団で一斉にやっていると。11月13日に、被害者1800人、全国で一斉に返還請求を提訴した、請求金額合計32億を超えております。これはなぜかということでお聞きしましたところ、大手サラ金業者などの金利が利息制限法違反の違法金利であることを周知させるためにやっているんだというのが一つの目的だと言っていましたね。これを知らない方が随分多いと。つまり、利息制限法を超えて自分が払っても、払い過ぎていると思っていなくて、言われたとおり払っている、しかし、それが違反の金利だということを知らないで払っている場合があると。そうではないんだよということを知らせるためにこういう運動をやっているんだという話をされておりました。もちろん、直接的には取り戻すということが一つの目的ですけれども、周知徹底するということの一環でもあるというふうに言っておられたわけであります。私は、非常に大事な点だと思うんです。
 現在、この引当金が積まれているわけですから。1兆円積んでいるんですからね。それに対して、この請求のある金額だけでも32億円なんですから、ほんのスズメの涙で、そんなのはすぐ解消するわけですね。私は対象者はもっと多いと思います。そういうことについて、やはり国の方も、当然、そういう過払いの可能性があります、利息制限法を超えている部分については返還を請求できるんですよということを国民全体に知らしめる、これは大変大事なことだと思うんですけれども、その姿勢はしっかり示していただきたいと思います。
○山本金融担当大臣 弱者の立場に立って、しっかりしたことをやっていくような行政でありたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 弱者の立場にしっかり立ってということでありますが、そういう立場でやっていただきたい。どうも山本大臣は答弁書にとらわれ過ぎている面がありまして、もっと自由に発言してもいいんじゃないでしょうか。渡辺副大臣もそうであります。
 この問題について言いますと、先ほどもありました、年間大変な数の自殺が出ております。経済苦による自殺というのが大変な数なんですよ。ですから、やはりこれは一刻も早くそういう状況を解消するということが大事だろうというふうに思います。
 それから次に、この法案は、実施時期、施行から2年半後となっております。おおむね今後3年間は、グレーゾーンそのものも廃止ではないわけであります。廃止の方向は示していると思いますが、事実上これがその間維持されてしまう。やはりこの利息制限法を超える無効な融資、それからみなし弁済の問題、こういうものは一刻も早く解消をすべきだと思います。この点で、利息制限法を超える部分は無効であるというこのことを、法律が3年後ということではなくて、早く、即刻これは実施するというのが私は当然のことだと思うんですけれども、山本大臣の決意を聞きたいと思います。
○山本金融担当大臣 グレーゾーン金利の廃止や出資法の上限金利の引き下げの実施に当たりましては、貸し渋りや貸しはがしによって既存の債務者が急激に返済を迫られ、かえって生活に悪影響が出る等の事態を招かないことが重要であると考えております。このため、借り手が無理のないペースで返済し債務残高を減らすために必要な期間として、上限金利引き下げまでおおむね3年程度の準備期間を設けるという考え方に立っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 それは理解できないですね。なぜかといいますと、急激に下げると悪影響が出るといいますけれども、下げたら大変よろしいんじゃないでしょうか。何の悪影響が出るんですか。悪影響というのは利用者側に出るはずがありません。悪影響は業者側に出るんですか。貸す側に影響が出る、こういうことなんですか。
○山本金融担当大臣 先ほど佐々木議員からしばしば御指摘のとおり、貸付実効金利が20%を超えているわけでありまして、そう考えていきますと、いわゆる貸金業者のありようからしますと、20%以下で貸さざるを得ない、そういう状況になった場合に、廃業ということが考えられます。この廃業は債権債務の整理ということを伴います。そうしますと、もし、個別ケースで廃業して、残った債権について取り立てだけがその廃業業者の仕事であるというようなことを想定した場合に、どうしてもそこに急な取り立て、そして、返済できる資力、直ちに20%金利にして、それで借り手に何か措置があればいいんですが、格別その措置がないとするならば、やはりそこには急な取り立てに対する対処の方法がない人たちがより困った生活実態に陥らざるとも言えないというような社会現象を予測するときに、我々は、急なことはちゅうちょというような考え方でこの法律の全体像を考えてきたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 私は、何も3年間も猶予期間をとる必要はないと思いますね。これはもっと短くするということが大変重要だと思います。
 今おっしゃいましたが、貸しはがしだとかそういう問題に走る可能性があると。それならば、それを規制することが大事なんであって。それからもう一つは、借りる側が困るとおっしゃいました。それならば、借りる側をどう支援するのか、これが大切なことなんであって、そのためにこそ、公的金融あるいは現在の銀行の公共的性格をしっかり発揮してもらうような個人融資の拡大ということが大切だと思うんですね。そういうことをしっかりやらずして、いや、これをやったら困るんだというだけでは、これは今の解決につながっていかない。むしろ被害者の方々は、まだ3年間も被害者を出し続けるのか、こういう訴えがあるわけです。そういう意味で、できるだけ早く実行していくということが今求められているというふうに思います。
 もう時間が参りましたので、最後の答弁をお聞きいたしまして、終わりたいと思います。
○山本金融担当大臣 多重債務者の問題を日本の社会から早く解消したいという委員の熱いお気持ちはしっかり受けとめました。ぜひ、その共通認識のもとに、この法案を早期成立、早期実施、そして早期、多重債務問題解決への移行ということになっていきたいと願っております。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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