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その他 (規制緩和)

2000年11月10日 第150回 臨時国会 大蔵委員会 【117】 - 質問

コンビニでの酒の深夜販売の規制、差別的リベートの是正を要求 不当なリベートの実態を示す

 2000年11月10日、大蔵委員会で、9日の地方行政委員会に引き続いて、佐々木議員が質疑に立ち、未成年者飲酒の防止を徹底するために、コンビニエンスストアの酒の深夜販売を規制するよう政府に要求しました。

 佐々木議員は、未成年者の酒の入手先で一番多いのがコンビニであるとの統計を示し、コンビニでの販売時間の制限などの具体策をとるよう求めました。これに対し国税庁の塚原国税審議官は「販売責任者の配置を要請している」と述べるにとどまりました。

 また佐々木議員は、量販店による酒の不当廉売をなくすために、メーカーによる差別的なリベート供与をただすよう要求。
 独自調査にもとづき、酒店が協同組合をつくってビールを10万ケース以上の大量仕入れをしても、1ケース当たりの仕入れ価格が3795円なのに、3万〜4万ケースしか仕入れない量販店では3730円〜3799円で売っている実態を示し、「大量のリベートが量販店に流れているとしか考えられない」と強調しました。
 佐々木議員が、メーカーに対する調査をしてリベート体系の全容を公表するよう求めたのに対し、根來公正取引委員長は、現在ヒアリング(聞きとり)をしていることを明らかにしました。
 また小売店が量販店と公平な競争ができるよう、政府の対応を求められた宮沢大蔵大臣は「経営規模によって、競争上有利になりやすいのは事実だ。行政は十分注意していく」と答えました。

 この日、未成年者に酒を販売した業者の免許取り消しを可能とする酒税法一部改正案が、未成年者飲酒禁止法等一部改正案とともに、衆院本会議で全会一致で可決されました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 未成年飲酒防止策の強化というのは、今の社会的な要請にこたえるものでありまして、WHOの勧告にも沿うものだと思います。したがって、日本共産党としては、この法律案の内容には基本的に賛成であります。
 その上で、実効性をどう確保するかという点で確認をしたいと思います。
 個人の酒屋さんは、自己負担で自販機を撤廃したり、あるいは営業時間を自粛するなどの大変な努力をされております。ところが、一方、コンビニは、規制緩和のもとで24時間営業で、酒販免許を取得する店が年々ふえております。そのために、例えば未成年のアルバイトが店員となり未成年に酒を販売する、こういう事例さえ多発しているわけであります。事実上、コンビニの24時間営業は、お酒の販売野放し状態ということであります。
 高校3年男子の酒の入手先、統計を見ましても、一番多いのがコンビニであります。したがいまして、コンビニの深夜販売を規制するということをしないと実効性がないと思うわけでありますが、国税庁はどのように対応されますでしょうか。
○塚原政府参考人(国税庁長官官房国税審議官) 24時間営業のコンビニのうち、酒類の夜間販売を自粛している店の割合など、私ども正確な数字を承知していないところでございますが、先生御指摘のとおり、業界関係者の話では、コンビニエンスストアは消費者の利便性をセールスポイントとしているということから、夜間において酒類の販売だけを自粛している店はないのではないかということでございます。
 国税庁においては、従来から、未成年者が夜間において酒類を購入することを防止するために、未成年者の酒類購入を責任を持って防止できる者を配置するなど、夜間における酒類販売の体制を整備するよう、コンビニ業界を含む酒類業界に対して繰り返して要請をしてきているところでございます。
○佐々木(憲)委員 その程度の規制では実際には規制にならないわけでありまして、例えば、販売時間の制限とか、あるいは購入者自身に年齢証明をさせるようにしていくとか、何か具体的な規制策、対応策を打ち出すべきだというふうに思いますので、ぜひ検討していただきたい。
 次に、不当廉売などの問題についてお聞きをしたいと思います。
 公正取引委員会にお聞きしますが、不当廉売あるいは差別的対価、こういう訴えは年に何件あるでしょうか、教えていただきたい。
○上杉政府参考人(公正取引委員会事務総局審査局長) お答えを申し上げます。
 ただいまお尋ねの申告件数を行為類型別に内訳を示すことにつきましては、同一事案につきまして複数の申告がある場合など若干取り扱い上の問題がございまして、正確な統計資料を作成しておりません。
 概数を申し上げますけれども、平成11年度におきまして、不当廉売のおそれということで当委員会に申告された件数は約1600件ございます。そのうち大体半分くらいが酒類の不当廉売に係るものということでございます。
 それから、もう一つお尋ねの、酒類の差別対価に係るものということでございますけれども、平成11年度においてはほとんどございませんでした。
○佐々木(憲)委員 差別的対価の訴えに対する何らかの処分、これを出した件数はありますか。
○上杉政府参考人 差別対価に関する申告等が少ないということもございまして、措置をとったものはございません。
○佐々木(憲)委員 差別的対価に当たるものを正確に把握していないのじゃないか、不当廉売の中にこれを含めているのじゃないかという疑いを私は持つわけであります。しかも、処分を出した事例はないと。私は、非常にこれはおかしいと思うのですね。メーカーが差別的にリベートを出している事例はあちこちで聞くわけでありますし、先ほど議論の中にも出てまいりました。
 私が調査した事例では、例えば酒屋さんが協同組合をつくって10万ケース以上まとめて大量に仕入れた、そういう場合、一ケース当たり3795円ということでありました。ところが、量販店で、大型店で3万から4万のケースで仕入れる、それなのに、販売価格は3730円から3799円でこれを売っているわけであります。つまり、これでもうけが出るというのは、大量のリベートがその背後になければ、もうけが出るとは考えられない。何十種類のリベートがあるとも言われておりますけれども。
 そこで、公取委員長にお聞きをしたいのですが、こういう事例は相当大量に、全国的に私どもも聞いております。こういう点について、公取として、どんなリベートの体系になっているのか、ビールメーカー、卸売などを調査して、そして実態を公表し、不当なものを正すということが大変重要ではないかと思いますが、公取委員会の考え方をお聞きしたいと思います。
○根來政府特別補佐人(公正取引委員会委員長) この件については前にも御指摘があったと思いますけれども、私どもは、こういう酒類の不当廉売ということについて、いろいろ世の中も騒がせておりますし、国会でも御議論がございますので、今のリベートと申しますか、そういうことについてヒアリングというやり方でいろいろ調査をしているところであります。
○佐々木(憲)委員 ヒアリングをした上で具体的な対応策を厳しくやっていただきたい。とりわけ、全体のリベート体系がどうなっているかという点を明確にするということが今大変重要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 大蔵大臣に最後にお伺いいたしますけれども、中小企業が大手の量販店あるいは大型店、こういうところと公平な競争ができるようにするというのが大変重要だと思うのですね。政府としても、こういう不当な対価ですとかあるいは不当な廉売ですとか、そういう点について問題意識を持ってぜひ対応していただきたいというふうに思います。そうしなければ、同じ土俵で競争ができないというわけです。全然違う条件のもとで競争ということはあり得ないわけであって、同じ土俵であって初めて競争ができるという訴えを我々は聞くわけでありまして、そういう角度というのは大変重要だと思いますので、大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○宮澤大蔵大臣 今のお話は大変大事なことだと思っておりまして、殊に酒販の業界というのは、これはよくも悪くもと申し上げなければなりませんけれども、従来酒屋さんというものは免許事業でありました。伝統的にかなり厳しい行政もいたしましたけれども、しかしその反面では、言葉は不適当ですが、かなり愛情を持って行政をしてきたのは事実でございます。その間に、しかしコンビニエンスストア等々も免許を獲得することになりますと、これはおのずから、経営の規模からいっても、またそういう伝統的なきずながないということから申しましても、どうしても競争上有利になりやすいということは事実であろうと私は思っています。
 先ほど、国税庁の方から、コンビニエンスストアが夜間に酒類を販売するときに間違いが起こらないようによくよくということを言っておるわけでございますけれども、伝統的な酒屋さんでございますと、その辺のところは、そう言われればかなりぴしっと守っちゃう、コンビニエンスストアになりますと、そういう歴史的なきずながございませんものですから、もっとドライに処理しちゃうというようなところがございます。それからまた、先ほど公取委員長にお尋ねのございましたようなこともありますので、行政は十分注意をいたしてまいります。
 古いものをえこひいきするというような気持ちで申しているのではありませんで、とかくそういうことになりやすいということは、十分行政の上で注意をいたします。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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