2000年11月09日 第150回 臨時国会 地方行政委員会 【116】 - 質問
「未成年飲酒防止へ、酒の購入者に年齢証明を求めるべき」地方行政委員会で要求
佐々木憲昭議員は、未成年者に酒やたばこを販売した業者に罰則を強化する、未成年者喫煙禁止法と未成年者飲酒禁止法の一部改正案について、11月9日の日地方行政委員会で質問しました。
この中で佐々木議員は、未成年飲酒・喫煙防止策の強化について「今日の社会的要請にこたえ、WHO(世界保健機関)の勧告にそうものだ」として、実効性の確保策を求めました。
佐々木議員は、未成年者への酒販売にあたり、年齢確認を販売業者に求めているため、酒販店などから「童顔の成人もいれば、老け顔の未成年もいる。確認は難しい」との声があがっていることを紹介。年齢を偽り、外見も成人のような未成年者に酒を売った場合、その業者は法違反となるのかとただしました。
警察庁の黒澤正和生活安全局長は「その場合は違反に問えない」と答弁しました。
佐々木議員はまた、未成年者の喫煙について、厚生省が2010年までになくす目標を掲げていることをあげ、その実現には、たばこ自販機の撤去と対面販売の徹底、購入者の年齢証明の義務化が重要だと指摘しました。
厚生省の篠崎英夫保健医療局長は、「未成年者喫煙防止の有効な方策だ」と述べ、関係省庁・業界と連携していく考えを示しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
未成年の飲酒、喫煙の防止策を強化するということは、今日の社会的要請にこたえるものであります。それは、WHOの勧告にも沿うものであり、したがって、この法律案の内容には、我が党としても基本的に賛成できるものであります。
その上で、まず、警察庁に基本点を確認したいと思います。
次のような場合は法違反になるかということでありますが、未成年者が私は成人ですと年齢を偽って、見たところ未成年とは思えない、そういう人に酒屋さんがお酒を販売した場合に法違反となるでしょうか。
○黒澤政府参考人(警察庁生活安全局長) 個々具体の事案に即して具体的に判断されるものでございますが、一般論として申し上げますと、お尋ねのような事案につきましては、販売業者が未成年者の飲用に供することを知らなかった、こういう場合かと思われますが、構成要件上、未成年者が飲用する、そういうことを「知リテ」というふうになっておりますので、それに該当いたしませんので、したがって違反に問うことはできないと考えております。
○佐々木(憲)委員 国税庁にお聞きをします。
私どもが酒販組合を初め酒屋さんのお話を聞いておりますと、年齢確認が非常に難しい、童顔の成人もいれば老け顔の未成年者もいるというわけであります。コンビニの場合は、従業員指導には限界がある、未成年者に売ると前科がつくと幾ら説明しても、アルバイトが次々かわって、完全に売らないというのは不可能に近い、こう言っているわけです。
ある大手のコンビニでは、未成年者と見られる客がお酒をレジに持ち込んだ場合、店員が未成年と入力する、そうしますと年齢確認を促すブザーが鳴る、こういう新しいシステムを導入すると伝えられております。しかし、業界誌などを見ますと、まず基本の未成年の見きわめの段階で店員の資質が問われる、未成年以外の項目、成年ということでレジに入力すれば酒類の販売、購入が可能、こういう問題が残るというんですね。
こういう状況ですので、実効性を担保できるかどうかという疑問が出てくるわけでありますが、この点について国税庁、どのようにお考えでしょうか。
○塚原政府参考人(国税庁長官官房国税審議官) 未成年者飲酒禁止法の一部を改正する法律が成立した場合においては、国税庁においても、法律の趣旨、内容などについて酒類業者に対して十分周知してまいりたいと考えているところでございます。
国税庁においては、従来から、致酔性、依存性を有する酒類の特性にかんがみて、よりよい飲酒環境を形成して消費者利益と酒類産業の健全な発展を期する観点から、購入者の年齢確認の徹底、あるいは酒類の広告宣伝について未成年飲酒防止への配慮などを要請してきているところでございます。
○佐々木(憲)委員 売る側に過度な負担をかけるというふうになりますと、大変不安が広がるわけでありまして、例えばアメリカでは、買う側が身分証明書を提示しなければ酒類を購入できない。ヨーロッパでも同様の規制があります。したがって、日本の場合も、今後、買う側が年齢証明をするというような方向を目指すべきではないかというふうに思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。
○塚原政府参考人 国税庁といたしましては、先ほどもお答えしましたように、未成年者飲酒防止の観点から、免許業者である酒類販売業者に対して、酒類購入者の年齢確認の徹底を従来から指導してきているところでございますが、先生御指摘のように、買い手側に年齢を証明させることを義務づけするということまでは難しいのではないかと考えているところでございます。
しかしながら、消費者に対する未成年者飲酒防止に関する啓発、広報については、国税庁といたしましても、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 次に、厚生省にたばこの問題についてお聞きをしたいと思います。
未成年者の喫煙は、健康を損ない、心身の成長に害を与えるということになります。国立公衆衛生院の調査によりますと、高校3年では、月一回以上の喫煙者は、男子で36・9%、女子で15・6%、こういう統計が出ております。大変多いわけです。高校3年男子のたばこの入手先、これを調べたところ、自販機が74%、コンビニ40%、たばこ店26%と、これは複数回答でありますが、なっております。したがって、自販機とコンビニの規制というのが徹底的に重要であります。
厚生省は、健康日本21ということを掲げまして、2010年までに未成年の喫煙をなくすということを目標にしておられます。これを本当に達成しようとするならば、たばこの自販機を撤去して対面販売を徹底する、さらに購入者に年齢証明を義務づける、こういうような方向を今後追求することが重要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○篠崎政府参考人(厚生省保健医療局長) 御指摘のように、自販機につきましては、その規制あるいは対面販売による年齢確認等の徹底などの取り組みにつきましては、未成年者による喫煙の防止のための有効な方策であると思っております。
そのために、それを推進するために、私どもといたしましては、関係省庁あるいは関係業界との連携を図ってまいりたい、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。