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金権・腐敗政治, その他 (KSD問題)

2001年02月13日 第151回 通常国会 予算委員会≪KSD問題等集中審議≫ 【122】 - 質問

宇和島水産高校「えひめ丸」への米原潜衝突事故で外務大臣を追及、KSDがすすめた「ものつくり大学」について追及

 2001年2月13日、予算委員会で、KSD問題等集中審議が行われ、11月29日の大蔵委員会に引き続いて、佐々木憲昭議員が質問に立ちました。

「米政府に抗議を」 宇和島水産高校「えひめ丸」への米原潜衝突事故で外相を追及
 まず最初に、佐々木議員は、米原潜グリーンビルが宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」に衝突した事故について日本政府の対応の遅れと米軍の責任を追及し、米側の主張を繰り返す河野洋平外務大臣の答弁に、怒りの声をぶつけました。
 佐々木議員は、「沿岸警備隊や米海軍の派遣は事故が起こってから約1時間後だ」と指摘。原潜が乗組員を救助しなかったことについて、「事実を確認し米政府に抗議すべきだ」と迫りました。そして、原因の徹底究明と再発防止のためにアメリカ政府にすべての情報を公開し、責任を明らかにするよう求めるべきだとのべました。
 河野外務大臣は、「ファーゴ米太平洋艦隊司令官から桜田外務省政務官に説明があった。それによると、グリーンビルは事故発生直後から捜索救助活動にあたった」と答弁。「ただし洋上には3〜6フィートの波があり、潜水艦の湾曲構造もあり潜水艦で直接収容するよりも沿岸警備隊の船で収容する方が安全であったと聞いている」と、米側の説明をそのまま繰り返しました。
 佐々木議員は、「えひめ丸」の船長が「波が高いということはなかった」「潜水艦にも波は打ち上げていなかった」と証言していることをあげ、大きな食い違いがあると追及。河野外務大臣から出たのは「それぞれの見方だ。やがて(事実は)明らかになってくるだろう」と人ごとのような答弁でした。

ものつくり大学の補助金増額 自民党・亀井氏の要請が「大きく影響」と厚労大臣に認めさせる
 次に、佐々木議員は、「ものつくり大学」への補助金増額への自民党議員の関与をとりあげて追及しました。
 中小業者の共済掛け金を自民党が食い物にしていたケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)をめぐる汚職事件。KSD前理事長の古関忠男被告が推進してきた「ものつくり大学」設立への国からの異例の補助金支出は、KSD資金に汚染された自民党が、政治をゆがめていく実態を示しています。
 2000年度政府予算案で「ものつくり大学」への補助金は、概算要求段階より20億円積み増しされています。
 佐々木議員が、この増額は99年11月29日に開かれたKGS(国際技能振興財団)・大学設立準備財団主催の朝食会で自民党議員から働きかけがあったからではないかと坂口力厚生労働大臣にただしたところ、坂口大臣は「そのときに(亀井静香自民党政調会長から)要請があったことが(増額に)大きく影響したことは事実だ」とのべ、亀井氏らの働きかけの結果、増額されたことを認めました。あわせて厚生労働省の酒井英幸職業能力開発局長は「亀井先生の話は重みがあるわけでして、それらを踏まえて(増額の)必要ありと判断した」と答弁しました。

“開学前の私大に補助金は前例なし” 佐々木議員の追及に、政府のごまかし崩れる
 KSDがすすめた「ものつくり大学」の異常さは、開学前の私立大学に施設整備費などで多額の補助金が出たことです。一民間団体が推進した私立大学の開学前に、国の補助金を出すことは、前例がないことです。
 異例の補助金支出は、古関被告の要請を受けて、KSD資金で汚染された自民党政治家が、行政に圧力をかけたからです。
 政府は、これまでの国会答弁で、文部省からは開学前の私大に補助金を出さない原則であることは認めつつも、その他の省庁からは補助金が出た例があるかのようにいってきました。
 しかし、佐々木議員は、「(政府は)産業医科大学、自治医科大学には開学前にも(補助金を)出したという。しかしいずれも、民間資金は一円も入っておらず、実質的に準国公立大学というべきもの。民間資金が入った大学に、国の補助金が出たことはあるか」、と政府のごまかしを追及。
 町村文部科学大臣も、最後には、民間資金の入った開校前の大学に「国の資金」を出した例は「ものつくり大学」一つもないことを認めざるを得ませんでした。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 宇和島水産高校の実習船がハワイ・オアフ島沖で、急浮上してきた米攻撃型原子力潜水艦と衝突して、沈没をした。依然として九名が行方不明であります。当面の最大の課題は、その捜索と救助に全力を挙げるということだと思うのです。
 今度の事故は、一般の船が米軍軍事用の原潜と衝突したという大事故でありまして、したがって、日本だけではなくて、どこの国でもこういうことが起こり得るという問題でございます。徹底的に原因を究明して、二度とこのような事故を起こさないというようにしなければならないと思うわけであります。
 今回の事故は米原潜が急浮上したために起こったわけで、そのために実習船の生徒が海に投げ出される。なぜ原潜が急浮上したのか、直ちにアメリカに対してその詳細を公表するように求めるべきであります。
 そこで、午前中の議論で、総理の対応が問題になりました。第一報は10時15分に海上保安庁から内閣情報集中管理センターに入った。その内容は、簡単に言うと、衝突して沈没したという事実と、ヘリが上空にいて14名を確認したということ、それから9時50分、米軍とコーストガードが入ろうとしている、こういうことだということでございました。
 問題は、その内容がどのように総理に伝えられたのかという点でございます。この点が重要でありますけれども、総理に秘書官からどのように伝えられたのか。14名が確認されたということが情報として入ったというわけですけれども、35人いたわけですから、あとの21人というのはどのような状態だと総理に伝えられたのか、この点をお伺いしたいと思います。
○福田内閣官房長官 10時15分に海上保安庁から官邸にあります危機管理センターに入った情報、これが総理に最初に伝えられたというように思います。
 その内容は、宇和島水産の練習船えひめ丸がオアフ島の南十マイルで米原潜グリーンビルと衝突、沈没、現在コーストガードが14名を確認、こういう情報であります。
○佐々木(憲)委員 ということは、21人については伝えられなかった、どのような状況かということについては説明を総理にはされなかった、こういうことですか。
○福田内閣官房長官 その後、10時43分に、25名が救助された模様という追電が入っております。
○佐々木(憲)委員 第一報の点についてお伺いしているわけでありますが、第一報が総理に連絡が入ったとき、21名については一切説明がなかった、こういうことでよろしいんですね。
○福田内閣官房長官 この時間帯でいきますと、10時15分の情報が第一報として総理に伝わっているのではないか、こう思っております。
○佐々木(憲)委員 つまり、総理に対しての情報伝達が、14名というのが確認されたというだけであって、それ以外の方々がどのような状況になっているかということについては報告がされていなかった、このことは確認できるわけですか。そういうことですか。
○福田内閣官房長官 今私が持っております、手元にあります資料によりますとそういうことでございます。それ以外、私はなかったんじゃないかと思います。
○佐々木(憲)委員 私は、総理に対する伝達の内容の問題というのは一つあると思うんですね。つまり、35名が乗っているということは、これはもう事前の事実関係でわかるはずですから、したがって、14名が確認されたというわけでありますから、そのほかの方々がどういう状況なのか、つまり、助けられつつあるのか、あるいは依然として行方不明で生死の大変危険な状況にあるということなのか、その点が伝わっていなければ、これは総理の対応にもいろいろな変化が起こるといいますか、伝わっていなければ、ああ大丈夫なんだな、こういうことになるんじゃありませんか。
○福田内閣官房長官 ただいま私は、10時43分の情報は入ってないというふうに申し上げましたけれども、時間的に言うとそれは入っていたというように、今ちょっと調べてわかりました。そうしますと、25名が救助された模様、この情報まで入っているんではないか、こう思います。
 10時50分に総理に第一報が入りました、それは、今申しました10時43分の情報まで入っている、こういうふうに訂正させていただきます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、25名というのは伝わったけれども、それ以外の状況は伝わらなかったということであります。そういうことですね。
○福田内閣官房長官 まさにおっしゃるとおり、25名まで救助された、までというように言うべきか、25名救助された、こういう情報でございます。
 その情報に基づきまして、総理から、人命救助と情報収集に最大限の米国側の協力を要請せよという指示を出しております。
○佐々木(憲)委員 それでは次に、2月10日の外務省の発表文を見ますと、米沿岸警備隊及び米海軍は全力を尽くして救助活動を行っている、こういうアメリカ側の伝達が伝えられているわけでありますが、アメリカ軍は全力を尽くしている、こういうふうに外務省は伝達を受けて、それを公表した。しかし、問題は、この事故が起こった直後にどのような対応がとられたかという点であります。
 実際には、事故が起こってから沿岸警備隊が、あるいは米海軍が派遣される、それまでの間約1時間、1時間が経過しているわけであります。したがって、問題は、この1時間の間に、事故を起こした潜水艦がまともな救助活動をやっていたのかどうかという問題であります。
 えひめ丸の船長はこのように言っております。潜水艦はしばらく通り過ぎたように見えたが、その後反転して近くで漂泊しているようだった、司令塔には数人の人が見え、そして司令塔から縄ばしごをおろしていた、でも、潜水艦に救助された乗組員はいない、ゴムボートか何かおろしてくれるかなと思ったが、ただ監視しているような感じだった。これは、現場にいた船長の正直な実感であり、また実態だったと思います。
 河野外務大臣にお伺いしますけれども、米原潜は、えひめ丸の乗組員を救助せずに、そのまま放置していたのではないか、こういういろいろな疑問も指摘されているわけであります。このことについて、事実を確認して、アメリカに抗議すべき点があれば厳重に抗議する、こういうことをやるのは当然ではありませんか。いかがですか。
○河野外務大臣 原子力潜水艦グリーンビルの衝突後の動きにつきましては、ファーゴ・アメリカ太平洋艦隊司令官より桜田外務政務官、これは今現地におりますけれども、政務官に対する説明がございました。その説明によりますと、グリーンビルは、事故発生直後から捜索救助活動に当たった。グリーンビルは、事故発生後、直ちに沿岸警備隊に通報するとともに、えひめ丸の救命いかだを視認し、沿岸警備隊と連携しつつ、捜索活動に従事した。ただし、そのとき洋上には三から六フィートくらいの波があって、また潜水艦の湾曲構造もあり、潜水艦で救命いかだにいた乗員を直接収容するよりも、現場に急行した沿岸警備隊の船で乗員を収容する方が安全であるとの判断があったという報告を聞いております。
○佐々木(憲)委員 今のは、アメリカのグリーンビルの話であります。その紹介だけでございます。つまり、捜索をし、救助活動に当たったと言われていますけれども、実態はそうはなっていなかったと船長が記者会見でおっしゃっているわけであります。
 えひめ丸の船長は、波が高いというようなことはなかったと。つまり、三から六フィートというけれども、まあ1、2メートルの波、そういう波が高いというようなことはなかった、いかだに乗っていても波で落ち込むこともなく、潜水艦にも波は打ち上げていなかった、潜水艦はゴムボートも積んでいないのかなと思った、こう証言をしております。つまり、太平洋艦隊の言い分と船長の認識というのは大変大きな食い違いがあると思います。この1時間の間に、潜水艦の方は一人も救助していない。連絡はしただろう、しかし救助の活動はしていない。
 外務大臣にお聞きしますけれども、この実態は実際どうだったのか。原因の徹底究明と再発防止のためには、この実態についてアメリカ政府に、すべての情報を公開して、その責任を明らかにするように求めるべきだと思いますけれども、この点はいかがですか。
○河野外務大臣 当然、原因究明は、我々としては求めなければならないと思っておりますし、既に原因をきちっと究明してもらいたいということは先方に言っております。
 あの時点では、そのこともさることながら、とにかく人命救助に全力を挙げてほしいということが、まず私の米側に対する要請でございました。それが第一だ、そして、それと同時に、原因の究明をきちっとやってほしいということを言ったわけでございます。
○佐々木(憲)委員 人命救助に全力を挙げてほしい、そういう気持ちはわかりますが、現実に衝突をして船を沈めた潜水艦の側が救助をしなかった。現実にそういう活動をしなかった、これが現実の実態だ。これはもう間違いのない実態だと思うのです、船長が言っているわけですから。救助されましたか。されませんね。したがって、そういう状況にあるわけですから、これはきちっと抗議をして、事実はどうだったんだ、こういうことを言うべきじゃありませんか。いかがですか。
○河野外務大臣 確かに、えひめ丸の船長は、救助活動がなかったということを言っております。しかし一方で、グリーンビルの艦長を初め、グリーンビルサイドといいますかグリーンビルの関係者は、事故発生直後から捜索救助活動に当たったと述べているわけで、ここはそれぞれの見方だというふうに思わなければなりません。それはやがて明らかになってくるというふうに私は思います。
○佐々木(憲)委員 河野外務大臣の態度は、一体どこの国の外務大臣なのかと思わざるを得ないですよ。つまり、日本の船が米原潜によって沈められた、原因は米原潜にある、まず抗議すべきだ。しかも、その米原潜が一人も救助しなかった。救助の手だてはいろいろあるはずだ、こう指摘されている。ゴムボートですとか、ブイですとか、いろいろなものを出すべきだという意見もある。ところが、あなたは、アメリカがこう言っている、アメリカがこう言っておりますと。実態を究明し、アメリカに対してきちっと抗議をするというのは当たり前じゃないですか。なぜそういうことをやらないのですか。
○河野外務大臣 それはどうも、私のとった行動、発言をもう少しはっきりと受けとめてからおっしゃっていただきたい。
 私は日本の外務大臣として、日本の国民の生命財産、こういったものにだれよりも強い関心を持っております。したがって、ファーゴ太平洋艦隊司令官にも直接電話をしたときに、相当に私としては強い口調で私は人命救助について要請をいたしました。
 今繰り返して申し上げましたが、原因究明も重要です、原因究明もやらなければならぬということも言いました。しかし、何よりもあの場面で大事なことは、全員を救助することが何より大事だということでありますから、私は、あいつが悪い、こいつが悪いという議論ではなくて、とにかく、あそこにはアメリカの艦船があって、アメリカの基地があって、アメリカにたくさんの機材、つまりヘリコプターもあれば飛行機もあれば艦船もあるわけですから、そうしたものを全部使ってでも救助してもらいたいということを私としては言ったことが、何が日本の外務大臣らしくないとおっしゃるんですか。今の話は取り消してもらいたい。
○佐々木(憲)委員 取り消す必要は一切ありません。何を言っているんですか。失礼じゃないですか、そういう言い方をするのは。
 あなたが言っているのは、アメリカ側はこう言っている、その紹介をしている。日本政府として、日本の国民の命を預かっている、そういう立場で、アメリカがどんな行動をしたのか、きちっと実態を明確にし、抗議すべきは抗議する。当たり前じゃないですか。そういうことをやるというのが日本の外務大臣の責任じゃありませんか。
○河野外務大臣 私は、アメリカにきちんと言い、アメリカがそれを受けてきちんと作業をしているということを国会に報告しているのであって、それが何が悪いんですか。
○佐々木(憲)委員 国会にアメリカの言い分をただただ伝えるというだけが外務大臣の仕事じゃない。そこははっきり言っておきたい。
 では、時間もありますので、次にKSDの問題についてお聞きをしたいと思います。
 KSDの問題は、国民の政治に対する不信、自民党政治に対する不信を非常に大きく広げました。日本共産党の志位委員長の質問で、KSDの党費の肩がわり、これで小山氏や村上氏が議員バッジをもらい、自民党はそのお金を吸い上げ、丸ごと汚染されていたということが明らかになりました。しかも、その原資は、中小企業の汗の結晶である共済掛金だった。このことに大きな怒りが寄せられております。
 では、KSDへの見返りはどのように行われたのか。これも自民党ぐるみだったんじゃないか。自民党がつくっているKSD関連の議員連盟、いろいろある。村上正邦参議院議員が会長をしていた豊明議連とKGS議連、また、額賀衆議院議員が会長をしていた国会議員の会などもあります。ダブりを除きまして222人が参加しているというのが豊政連新報に載っております。昨年6月の豊政連新報には、225人の名前が載っている。その先頭に村上参議院議員が立っていたということは明らかでございます。
 ここで、資料を配付していただきたいのですが、KSDは、今資料を配付いたしますけれども、関連合同部長会議という会議を1992年1月10日、KSDビルの八階で開いております。出席者は、逮捕されたKSDの古関理事長を初め赤松専務理事、小山理事などでありますし、また、豊政連から、逮捕された中村総長までが出席をしております。KSDの福利厚生部、各支局長が出席をしております。
 その内容を見ると、大変驚くべきものであります。この中には、最初に古関理事長が、村上正邦先生の署名運動について話したい。村上先生は、IMM、これはアイム・ジャパンのことでありますが、アイムの設立に大きな助力をいただいた。前回の比例区の選挙では名簿では六番であったが、今回の7月の選挙では三番目に上げたい。KSDで自民党の党員数20万を確保する。そうなれば自民党の幹事長が最敬礼する、こう言っておるわけですね。この前哨戦が村上先生の署名運動である、こう述べて、100万人署名実現のためにどこにどう割り当てるかということを相談し、実際に実行したわけであります。
 総務省の選挙部長にお聞きしますけれども、92年の参議院選挙で、村上議員は何位で当選をされましたか。自民党の党の順位であります。
○大竹政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 1992年、平成4年の参議院比例代表選挙におきますところの村上正邦議員の名簿順位は、自由民主党の第三位でございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、ここの会議で言われていたことがそのまま実現しているということになるのじゃありませんか。村上議員は、92年にも98年にも、KSD丸抱えで当選をしております。ちょうどその中間の95年の選挙は、小山議員もKSD丸抱えでありました。
 98年に使った署名用紙が、もう一つの資料でございます。ここに古関忠男氏の名前も出ております。ここで、こういうことを言っているのですね。村上先生は、中小企業経営問題議員連盟、豊明議連をつくって我々のために頑張っていただいていますと推薦文を書いております。下の方を見ますと「この署名簿は、自由民主党総裁に提出され、村上正邦議員の比例代表選挙において重要な資料となります。」こう書かれているわけであります。
 総務省にお聞きしますけれども、96年に閣議決定された公益法人の設立許可及び指導監督基準、あるいは72年の「公益法人監督事務連絡協議会申し合せ事項」、ここには、特定個人を支援するということは公益法人として適当でないと規定されていると思いますが、いかがですか。
○衞藤政府参考人(総務大臣官房審議官) 今先生御指摘の指導監督基準でございますが、御指摘の箇所の特定個人とは特定の自然人の意味でございまして、したがいまして、ここでは団体は含まれないと解しているところでございます。
 ここでの規定は、後援会等は、通常、特定個人の精神的、経済的支援を目的とするものでございまして、公益法人としては適当でない旨例示したものでございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、こういう個人に対する公益法人KSDの支援というのは非常に問題があると思うわけですけれども、坂口厚生労働大臣にお伺いをいたします。
 KSDのこういうやり方というのは、公益法人の性格から見まして明らかに逸脱しているのではないかと思いますが、所管大臣としての見解をお伺いしたいと思います。
○坂口厚生労働大臣 現在から逆算をしてその当時のことを見れば、それは問題なしとしないというふうに思うわけですが、当時としては、やはりそういう状況であったかどうかということが完全に把握をされていなかったのではないかというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 またこれ、はっきりしない答弁であります。
 逆算をしてと言いますが、この会議が行われたのは92年ですね。資料を提出いたしました。既にその時点では、1972年に公益法人監督事務連絡協議会の申し合わせ事項というのがあって、公益法人のあり方について規定がされている。その中で、後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするものは公益法人としては適当でない、こういうことが既に決まっていたわけでありますから、これは、逆算じゃなくて、普通に考えても、その流れからいうと逸脱しているということになるんじゃありませんか。
○坂口厚生労働大臣 私が逆算をしてと言うのは、そういうふうなことが行われていたということがわかっていなかった。お手元にいただいて、そういうことが当時行われたということを今拝見しておりますけれども、当時としてはそういうことがわかっていなかったということを言っているわけで、今からその当時を振り返ってみれば、それは問題なしとしないということを申し上げたわけです。
○佐々木(憲)委員 問題なしとしないということでございます。(発言する者あり)問題ありですよね、問題なしとしないということは。当たり前のことであります。
 次に、注目したいのは、この議事録の中に「恩返し」ということが書かれていることであります。一体何の恩返しか。「村上先生は、IMMの設立に大きな御助力を頂いた。」つまり、アイム・ジャパンという公益法人の設立に大きな御助力をいただいた。「恩返しの意味もある。」と。「村上先生は豊明議連の幹事長であり、IMMの設立を三ケ月で労働省を捩じ伏せた。これは我々の力ではなく村上先生の力である。」こう書いてあるんですね。
 経過を振り返ってみますと、こうなんです。91年5月14日に、豊政連が外国人研修生受け入れ構想を実現するために総決起大会を開催いたしました。その後、村上参議院議員が同行して法務、外務、労働、通産の各省を訪問し、各大臣に陳情書と署名簿を提出しております。8月には、KSDがアイム・ジャパンの設立に向けて労働省との協議を開始いたしました。その8月からちょうど三カ月後の11月、労働省はアイム・ジャパンの設立申請を受理し、一週間後に許可をしております。まさに三カ月でこういう事態が達成されている。アイムの設立を三カ月で労働省をねじ伏せたというのは、そのとおりではありませんか。
 厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、この間、村上氏からどのような要請を受けたか、その内容を具体的に示していただきたい。
○酒井政府参考人(厚生労働省職業能力開発局長) お答えを申し上げます。
 アイム・ジャパンの設立の過程におきましては、ただいま先生も言及をされましたけれども、正式の許可申請から許可までは、一見、期間が短うございますけれども、その前の数カ月間にわたりまして私どもじっくり内容を検討しておったところでございまして、村上先生からの働きかけということでございますけれども、当時の労働省関係者への聞き取りも行っているところでございますが、特段承知していないということでございました。
○佐々木(憲)委員 承知していないというのは調査不十分ですね。
 アイムを公益法人として認可してもらいたいというKSDの請託を受けた村上氏は、労働省をねじ伏せた。その見返りにKSDが100万人署名などで村上氏の自民党の比例順位を上げたというのが事実関係であります。それだけじゃありません。KSD豊明会は、この92年に架空党員2万2138人をつくり、党費8855万2千円を立てかえております。
 逮捕された小山氏は、請託を受けて質問をし、わいろを受け取ったわけであります。村上氏がやったことも全く同じ構造でございます。村上氏はこれと同じことをいろいろな形で繰り返しておりますが、ものつくり大学でも、同じようにKSDから請託を受けて労働省に働きかけております。その見返りをもらっている。
 そういう点で、次に、このものつくり大学についてお伺いをしたいと思います。
 まず、文部科学省にお伺いしますが、私立大学に対する補助金交付の原則についてお伺いをしたいと思います。
 文部科学省では、開校前の私立大学の設備整備費に対して補助金は出せないことになっておると思いますが、事実でしょうか。
○町村文部科学大臣 お答えをいたします。
 文部科学省では、私立大学に対しまして、その教育研究条件の維持向上や学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るために、私立学校振興助成法に基づきまして、経常費や施設設備の整備費を補助しております。その際、同法第六条におきまして、設置後、完成年度、例えば4年制大学であれば4年間を超えていない私立大学には、経常費補助金を交付しないことができる旨規定をされております。
 それはなぜかといいますと、文部科学省は大学の設置認可を行う、そういう官庁でございますから、設置認可前の私立大学には補助を行っていない、文部省はそういうポリシーでやってきているわけであります。
○佐々木(憲)委員 ところが、このものつくり大学については、開校前の施設整備費に対して補助金が出ているわけであります、労働省からでありますが。文部省に行けば、開校前の私立大学の施設整備費は出せませんと言われる。しかし、労働省に行きますと、それは出しましょう、こうなる。なぜこうなるんですか。
○町村文部科学大臣 先に一般論でお答えをしておきますけれども、これは、大学等の設置の趣旨が特定の政策目的に沿ったものであれば、国やあるいは地方公共団体が大学等の設置のために助成を行う、この点は全く問題がないわけでありまして、既に自治医科大学等の前例もございます。
○佐々木(憲)委員 同じ政府なのに、開校前の私立大学の施設整備費を、一方では出しましょう、一方では出せません、大体、こういう矛盾が起こるのはおかしいんじゃありませんか。
 この間の答弁を聞いていますと、今もそうですが、過去に二つの大学、産業医科大学と自治医科大学の例があると言いました。しかし、産業医科大学も自治医科大学も、民間の資金は一円も入っておりません。産業医科大学は、土地を北九州市が提供し、上物はすべて国が出しております。自治医科大学は、都道府県が計画し、資金は国と都道府県が出しております。いずれも実質的には準国公立大学と言えるものであります。どちらも民間資金は一円も入っておりません。
 改めてお聞きしますけれども、それでは、民間資金が入った大学の開校前の施設整備費に国の補助金を出した例はありますか。
○町村文部科学大臣 国の金ではなくて、自治体が土地を提供したりお金を出したりして、民間のお金と一緒になって私立大学をつくった例はたくさんあります。
○佐々木(憲)委員 例えばどういう大学でしょうか。
○町村国務大臣 13年度だけでも、例えば東北公益文科大学、これは山形県あるいは酒田市、鶴岡市ほか12市町村、新潟医療福祉大学、これは新潟県及び新潟市、鳥取環境大学、これは鳥取県及び鳥取市などなど、幾つも例はございます。
○佐々木(憲)委員 もう一度確認しますが、民間資金が入った私立大学に、開校前の施設整備費に出した補助金のことを今おっしゃったのですか。
○町村文部科学大臣 民間寄附金を大学設置の財源としている大学で、さらに協力する地方公共団体があるのが、今言った新潟医療福祉大学とか、そのほか、例えば日本赤十字九州国際看護大学、これは福岡県と宗像市、長岡大学、これも新潟県と長岡市。
 こういう形で、民間寄附金を大学設置の財源として、さらにそれに地方自治体が協力をする。これは、今のはもちろん、平成13年度開学の私立大学だけですよ。だから、12年もたくさんあるわけです。そういう例はいっぱいあるわけであります。
○佐々木(憲)委員 これまで、私立大学の開校前の施設整備費に国の補助金を出した例というのは二つしかないとおっしゃったのですね。自治医科大学と産業医科大学。その二つというのは、結局、私立、つまり民間の資金は入っていなかったわけであります。
 そうしますと、今まで説明したことは、この二つの大学以外にたくさんあった、二つの大学しかなかったという説明は間違っていた、こういうことですか。
○町村文部科学大臣 ですから、よく聞いてくださいよ。自治体がと私は申し上げました。自治体が協力したのは、今これだけありました。国が出したのは、二校だけです。
○佐々木(憲)委員 だから、そこを聞いているわけですよ。国が補助金を出している大学ですよ。私立大学の開校前の施設整備費に出したのは、二つしかない。その二つは、民間の資金は入っていないじゃありませんか。だから言っているんですよ。あなた、何かごまかして、いっぱいある、いっぱいあると、そんなことないんです。
 だから、民間資金が入った大学では、ものつくり大学というのは、開校前に国の補助金を受けた初めての例なんですよ。これは異例なんです。それはお認めになりますね。
○町村文部科学大臣 ですから、国が設置前に出したのは二校ある、しかし国及び自治体が協力したケースでいうと、自治体はたくさんある、こう区別して私は答弁をしておるので、よく聞いていただきたい。
○佐々木(憲)委員 そんなでたらめな答弁をしてごまかそうしてもだめなんで、私が聞いていることに正確に答えてくださいよ。私が聞いていることと全然違うことを答えているんじゃありませんか。だめですよ、そんなのは。
 つまり、私立大学の開校前の施設整備費に国の補助金を出す、二つしかない、民間資金が入った大学に出したことは今まで一度もない、これが事実ですね。初めてそれをやったのが、ものつくり大学なんですよ。だから異例なんですよ。
 だから、96年6月18日にKGS議連が設立されて、会長に就任した村上氏は、その実現のために奔走をするんです。労働、通産、建設など各省庁との協議などを行っていくとあいさつをして、実際にやったわけです。
 7月23日には、滋賀県八日市市でのものつくり大学大学研修施設開設式典に出席をしまして、この施設は大学建設のテンポを速める施設、KGS側の強いアピールにこたえていきたい、こういうあいさつをした。96年11月になりますと、KGS議連が関係六省庁を呼んで会合を開き、大学設置の協力を要請している。今までにないことをやろうとするから、そういうことを何度も何度もやるわけですよ。
 それで、村上議員は、97年2月の豊政連新報でも、各省庁との協議を行っていきたい、こう宣言をして、あけすけにその立場を表明しているわけであります。
 ですから、こういうことで、今までやったことのないことを初めて実行するために、どんなにいろいろな形で圧力をかけたか、またKSDからいろいろな要請を受けてきたか。そのことが、小山さんなどのような逮捕者を生むような事態をつくったわけです。
 それで、結果的にどうだったか。その結果、4億9千万円の概算要求が出される。12月の98年度予算案では、ものつくり大学のために4億7500万円が初めて盛り込まれる。全くこれは異例な状況であります。
 村上議員の疑惑はこれだけではないのです。2000年度概算要求のかさ上げ問題というのもございます。
 99年8月の概算要求では、ものつくり大学については50億8千万円でありました。ところが、その要求が変更されまして、20億5千万円が追加されました。結果として、71億3千万円の予算決定となったわけでございます。その原因は、直接的には、99年11月29日にKGS財団、大学設立準備財団が主催して行われた都内のホテルでの朝食会で、労働省に対し大学予算の増額を要求した、これが原因であります。そこには、労働省から伊藤事務次官が出席をしております。ここに、村上議員を初め、亀井自民党政調会長、小山前参議院議員、藤井孝男元運輸大臣も出席しております。
 労働省にお聞きしますけれども、概算要求、最初の50億8千万円、これを改定して増額要求をした。その原因となったのは、この11月29日の会合で要請された、このことがその原因だったのじゃありませんか。いかがでしょうか。
○坂口厚生労働大臣 一方的に決めつけてお話をお進めになりますが、KSD関連のこの問題は、いわゆるものつくり大学の問題は、1990年ぐらいから話はスタートしているわけであります。
 この前、私はここでも答弁をさせていただきましたが、いわゆるSSFというフォーラムができ上がりまして、そこがこのスタートをさせたわけであります。そしてSSFとKSDとが一緒になりまして、50、50の資金を出して現在のKGSをつくった、こういう経緯になっておるわけですね。そして、そこが準備財団になりまして、今日を迎えてきている。
 そういう経過の中で、自民党から、議員連盟からのいろいろの話があったということでありますが、このいわゆるものつくり大学というのは、これはもう自民党の党としての政策になっていた、私はそう理解をいたしております。だから、党としての政策になっております以上、それは政調会長等からこれは党としての意見だという御意見が出るのは当然の話だというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 だから、自民党丸ごとやっていたということになるわけですね。
 概算要求を最初50億でやっていたわけです、労働省としては。それでよろしいということで概算要求していたわけであります。しかし、その過程で、11月29日に、それを変更して上乗せしてほしいという圧力がかかった。現にそれが実行されております。
 したがって、私が聞いているのは、そんな一般論ではなくて、この時点で要求された結果、20億が上積みされたのですね、このことを聞いているわけです。
○坂口厚生労働大臣 それは、そのときに御要請があったということが大きく影響していることは事実だというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 つまり、11月29日の以前の段階では、労働省として増額変更の計画は実態的にはなかった、しかし、11月29日にそういうことをやってほしいということを頼まれて初めて増額の改要求、つまり概算要求の上積み、これをその後実施したということが明らかになりました。
○坂口厚生労働大臣 その前に、民間から集めるというふうに言っておりましたのが、これがその当時も非常に、経済的な問題もありまして、なかなか集まらなかった。そのことがあって、それのかわりをどこがするかということになって、とにかく国の方からここは何とかしてほしいという話になってきたということでございます。そこのところを御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 ですから、労働省としては9月の段階で民間の資金が集まらないというのを認識した。しかし、それ以後、増額の要求をするということは、11月29日のこの会合以前にはやっていないわけです。
 では、労働省としていつ大蔵省に対して改要求をしたのですか。
○酒井政府参考人 大臣の方からの御説明のとおりなんでございますが、11月の会合の以前から、実は概算要求後に、関係の国際技能振興財団、これが大学づくりを支えている財団でございますが、その大学づくりをやっている団体から、もっと魅力のある大学にしてほしいという要望がふだんから出ておりました。11月の半ばに文書でもって私どもにもその要求、要望が出されておりました。
 そういう中で、ただいまのお話、朝食会等がありまして、亀井先生の話は、もちろん、大臣申し上げましたように、一定の重みがあるわけでございますが、それらを踏まえて、私どもといたしまして、必要性ありという労働省としての判断をいたしまして、12月の上旬に大蔵省に対して話をし始めたということでございます。
○佐々木(憲)委員 12月の上旬というのは、12月7日ですね、大蔵省に口頭で申し入れ。そして、文書で申し入れたのは22日ですね。
○酒井政府参考人 そういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 最初からそういうふうに答えなさいよ。
 11月29日の会合直後に、要請にこたえて、それで、ものつくり大学には20億上積みをした、こういうことが明らかになりました。
 その当時は失業者が、今でもそうですけれども、大変な数でふえていたわけであります。労働省予算では、雇用保険の改悪がねらわれておりました。職業訓練校の予算をその結果削減するという事態まで生まれたわけであります。ものつくり大学の予算増額のためにこういう形でいろいろなしわ寄せを受けるというのは、私は絶対に許せないと思うわけであります。
 村上氏は、ものつくり大学の実現を要請する中で、98年の参議院選での党費立てかえ、やみ献金などが指摘されております。既に小山氏はアイムとものつくり大学をめぐる受託収賄で逮捕されております。小山氏の場合とどう違うか。ほとんど違わないですよ、村上氏がやったことは。
 これまで指摘してきたような請託を受けて、そのために質問もしたり、あるいはいろいろな要請をして、そしてKSDからさまざまな形で見返りを受けております。これは、党費立てかえはもちろん、あるいは秘書の給与の立てかえ、その他パーティー券の購入、村上氏の著書の購入、わかっただけでも数億あるいは10億、こういう単位の金を受け取っている。そういう問題について、当然、この村上氏の一連の行動というのは受託収賄に当たる、そういう可能性があるというふうに思います。この点について、法務省としての見解をお伺いしたいと思います。
○古田政府参考人(法務省刑事局長) ただいまのお尋ねは、ある場面を想定しての犯罪の成否をお尋ねになっているわけでございますけれども、具体的な犯罪の成否は、事実関係の正確なところに基づいて判断されるべき事柄でございます。私がここでいろいろ答弁申し上げるのは適当ではないと存じますので、答弁は差し控えたいと思います。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、厳しく事実関係を調べるように要求して、質問を終わります。

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