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金権・腐敗政治 (KSD問題)

2001年03月02日 第151回 通常国会 予算委員会≪締めくくり総括質疑≫ 【126】 - 質問

「幽霊探しは難しい」KSDによる自民党費肩代わりについて森総理が不誠実な答弁

 2001年3月2日、予算委員会で、締めくくり総括質疑が行われ、佐々木憲昭議員は、2月13日に引き続いて、KSD問題について取り上げました。
 佐々木議員は、「KSDによって18億円近い党費が肩代わりされ、自民党本部に流れた。幽霊党員の調査に、時間はかからないはずだ。わが党の志位委員長の質問に、『調査する』と答弁してから1カ月たつ。結果はどうか」と森総理に迫りました。

 森総理は「党は、いま調べているが、そんなに簡単ではない。幽霊だというが、幽霊を探すのは難しい」などと、不誠実な答弁に終始しました。
 佐々木議員は「幽霊党員をつくっている側はわかっているのだから、調べることは簡単だ」と批判し、「疑惑をみずから明らかにしようとしない姿勢が、国民の批判を浴びている」とのべました。
 佐々木議員は、村上前議員がKSDの依頼を受けておこなった代表質問が、自民党を代表したものだったこと、幽霊党員の党費が自民党本部に入っていたことをあげ、「自民党がまるごと汚染されていた」と指摘。機密費流用問題もふくめ、疑惑にふたをし、証人喚問もせずに予算案採決を強行するのは「絶対に納得できない。自民党政治の根本的転換が求められている」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。森総理に、KSD問題についてお聞きをしたいと思います。
 昨日、KSD汚職の中心人物でありました村上正邦前自民党参議院議員が、受託収賄容疑で逮捕されました。容疑内容は、KSDから請託を受け、ものつくり大学について代表質問をした見返りに7300万円のわいろを受け取ったというものでございます。
 村上氏は、一昨日の参議院での証人喚問で、このように述べていました。
 我が党の代表質問というのは、草案が練られる、草案が練られる段階は、私は、代表質問させていただきます場合には、多くの議員の皆さん、それからまたマスコミの方たちにも御意見をお聞きし、学者の方々にもいろいろ意見を聞きながら、我が党の政審のスタッフの皆さんにも加わっていただいて議論をし、草案をつくって、そして、でき上がったところで執行部会にこれをお諮りして、そして党の代表質問としてこれを本会議場で国民に発信していくという、そうした姿が代表質問だと思っております、このように村上さんは言っておられるわけです。
 そこで、総理にお聞きをしますが、与党自民党の代表質問というのは、個人の見解を述べるというより、党を代表しての質問だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○森内閣総理大臣 基本的には党を代表して述べることになると思います。
○佐々木(憲)委員 きょうのニュースによりますと、村上氏は、96年1月の代表質問の内容について、事前に古関氏と相談していたことが明らかになっております。国会における政権与党自民党を代表して行った代表質問がKSDのわいろによってゆがめられ汚染されていた、こういう事実は極めて重大でございます。
 村上氏によれば、この質問については、自民党の執行部会に諮られ、そこでオーケーが出された上で実行されたということですね。したがって、自民党そのものがこの疑惑の対象になっていると言わざるを得ない。
 森総理、あなたは自民党の総裁として、その責任をどのように感じておられるか、お聞きをしたいと思います。
○森内閣総理大臣 昨日も、またきょうの先ほどの他の会派の御質問の中でもお答えを申し上げたように、自由民主党におきます大変重要なまた役割を担ってこられた村上前議員でございますだけに、私も大変残念に思っておりますと同時に、公党として、党の責任者として、我が党からこうして二人の逮捕者が出たということについては、まことに遺憾なことであり、申しわけないことだ、国民の皆様にも心からおわびを申し上げたい、このように申し上げました。まさにそういう気持ちでおります。
○佐々木(憲)委員 二人の逮捕者を出したということについては申しわけないとおっしゃいましたが、党の執行部会でオーケーをもらって、それで質問されているわけです。そういう意味で、党としての責任といいますか、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○森内閣総理大臣 あなたは何か、わいろであるとか、古関さんと相談をしてつくった文書といいましょうか演説であるというふうに決めつけられてお話しになって、決めつけじゃない、前提としてお話しになっておられますが、今あたかもNHKの報道によればとおっしゃったように、やはりこれは、これからきちっとした捜査によって明らかにされることじゃないでしょうか。
 ただ、自由民主党としては、たびたび申し上げておりますように、そうした職人大学、当時我々はそういうふうに言っておりましたように承知しておりますが、ものつくり大学であれ職人大学であれ、この政策そのものは私は正しいものだと思っておりますし、これは長い間、何も村上議員だけじゃなくて、私は特に教育問題を党では担当しておりましたから、もうずっと昔から、宮大工初め左官業、こうしたものがだんだん少なくなるということについて心配をいたしておりましたから、これは党の政策としてずっと掲げてきた政策、議論をしてきた政策でございますから、これが村上議員の演説の中に入っていたとしても、これは私は当然なことだと思っております。
○佐々木(憲)委員 私は、そういう姿勢は全く無責任だと思うんですね。といいますのは、村上氏は古関さんと相談をされて、請託を受け、そして代表質問でものつくり大学に触れた。その見返りに7300万円のわいろを受け取って逮捕された。そういう質問を、党としてそれを了解されている。つまり、党の代表質問としてされたわけですからね。その点について全く何の反省もない。これは本当に、私は全く無感覚な姿勢だというふうに思うんです。
 しかも、野党質問と違いまして、政権与党の場合の質問というのは、政府が行う答弁とも一定の整合性が図られるというふうに思うんですね。当時は橋本総理だったわけですが、興味を持って勉強させていただきますと前向きの答弁が行われております。この点でも、私は政権与党自民党の姿勢が問われているというふうに思うんですね。村上氏個人の問題にとどまらない、そういう点が私は非常に重要だと思うんです。
 KSDは、村上氏と小山氏の比例代表の名簿順位を上げるために、KSD会員名簿で勝手に幽霊党員をつくった。村上氏は1992年と98年、小山氏は95年の参議院選挙でKSD丸抱えの支援を受けたわけであります。村上氏は92年に2万2千人、98年に9万8千人、小山氏は95年に7万人の党員をKSDにつくってもらって、党費も丸ごと肩がわりしてもらったという疑惑であります。
 91年から99年までの間に、我々の調査によりますと、KSD側から実に延べ44万6112人の党員名簿をつくってもらっている。その大部分が架空のものでございます。しかも、18億円近い党費が肩がわりされている。そして、それが自民党本部に流れ込んで、まさに自民党を丸ごと汚染している、これが実態であります。
 我が党の志位委員長は、2月9日、この委員会で証拠を示しましてこの点をただしました。その際、森総理は次のように答えておられます。
 こういう問題がいろいろ指摘をされておりますので、ですから、どこにどういうような間違いがあったか、あるいは、今あなたが指摘されるようなことがもしあるとするならば、どういうやり方をしたのかということはやはり調べる必要があるということで、今、党に対して、でき得る限りの調査をして報告をまとめなさいということを総裁として指示しております。
このようにおっしゃっておられましたね。また、
 党の中の組織、あるいは党員の登録の問題、これはやはり党の責任だと思います。御指摘をいただいたり、いろいろ御注意をいただいたりすることは私は謙虚に受けとめます。党にとっても大変深刻な話です。私は、率直にそれは認めます。ですから、今一生懸命に、党の事務局をして、精査をしてください、こう申し上げているわけです。
このようにお答えになっておられます。
 この答弁からほぼ一カ月経過をいたしましたが、疑惑を持たれている、焦点になっているのは、自民党豊明支部というのは、これは東京、埼玉、千葉、神奈川、この四つであります。実態はどうなのかというのは、これは当事者に聞けばすぐわかる話であります。この程度の調査に時間はかからないと思うんですけれども、その調査結果について、ここで御報告をいただきたいと思います。
○橋本沖縄及び北方対策担当大臣 大変恐縮ですが、先ほど私の名前も引用されましたので、私から一言申し上げさせていただきたいと思います。
 私の答弁の是非について御論評いただくことは結構でありますが、野党質問と違って与党質問という言い方をされました。今私は野党質問にお答えをしておりますけれども、与党質問と差をつけて礼を失するようなことはいたしておりません。本会議においても当然のことでありまして、この言葉だけは私はちょっと取り消していただきたい。院の権威にかかわることだと思います。
○佐々木(憲)委員 今ちょっと先に突然橋本大臣がお出になりましたので。
 今の御答弁を聞いておりますと、村上氏の逮捕容疑は、古関さんからの依頼にこたえて本会議で代表質問をし、その見返りに資金を受け取ったという、これが贈収賄容疑の対象になっているわけですね。贈収賄事件の容疑者の質問に対して前向きに答弁をしたということが問題になるわけですよ。この点について、何の胸の痛みも感じない、開き直れば開き直るほど、これは党全体がKSDによって丸ごと汚染されているという疑いをますます深めざるを得ない、そういうことになるんじゃありませんか。
○橋本沖縄及び北方対策担当大臣 大変私どもには理解のできない論理を展開されました。
 私は当時、KSDという団体、そのトップ、そしてその運営、我が党のだれとどういう関係があるか、そのようなことを今報道されているような状態で知る立場にはございませんでした。その上で、政策として、私自身職人の技術というものを大事だと言い続けてきた人間でありますから興味を示して、前向きに検討したいと思ったそのままを申しました。
 大変失礼でありますけれども、私は、御党の御提案で心から賛意を表したものがあったかどうか、記憶にございません。
 しかし、本席におられる中で、扇議員が野党のお立場で私に質問をされました中で、薬物対策について、非常に私はよい御提案をいただいたと思って賛意を表した記憶を持っております。
 与党であるから、野党であるからという先ほどのあなたのおっしゃり方に、政府の責任者として御答弁を申し上げるときに差をつけていないということを私は申し上げているのでありまして、余り奇怪な論理を展開されることは迷惑であります。
○佐々木(憲)委員 弁解をされればされるほど、何かあるのかなと思わざるを得なくなりますよ、これは。おかしいじゃないですか。これ以上やりませんけれどもね。
 では、森総理に先ほど質問したので、どうぞお答えください。どうぞお答えください、森総理大臣。
○野呂田委員長 それでは、森総理大臣。(発言する者あり)静粛にお聞きください。
○森内閣総理大臣 今の橋本大臣の御答弁といいましょうか、また議論はこの後続けていただいて結構でございますが、今橋本大臣からもお話がありましたが、私はさっき、あえて、決めつけと言って、また佐々木先生の御人格を考えて前提と言い直しましたけれども、私は、やはりこれを前提と言い直すのをやめます。あなたは決めつけなんですよ。(佐々木(憲)委員「決めつけじゃないですよ」と呼ぶ)いやいや。事実これは容疑でしょう。村上議員に対する疑いがあるから逮捕されたんです。あなたは全部それが事実、まさに事実のようにおっしゃる論理展開というのは、我々はそれはやはり認めるわけにはいかない。それはまた、そういうふうな質問をされては赤旗に書きたいからでしょうから、私はきちっと申し上げておきますよ。
 それから、もう一つ申し上げておきます。村上議員の丸抱えだ、丸抱えだとおっしゃるのも、もう少し詳細をお調べいただきたいと思うんです。
 村上議員は、あるいは小山議員は、このKSD組織のみで推薦を受けている方ではございません。たしか傷痍軍人会を初めとして数多くの団体を支持団体に持っておられますので、どういう数字でそういうふうにおっしゃるのかわかりませんが、すべてそれはKSD……(発言する者あり)質問に答えていますよ、ちゃんと。それが二つ目の質問だったんです。
 ですから、そういう意味では、丸抱えだということは、私はどうもそれも決めつけだということを申し上げておきたいと思います。
 三番目、調査は早く報告しなさいということでございますが、これも先ほどからの各党の皆様にも申し上げておりましたように、党は党として今調べておりますが、極めて、なかなかそう簡単に調べられるものではない。どういう取りまとめをされたのか、どういう形でおられるのか、例えば、今お話しのように、幽霊だとかとおっしゃるのであれば、幽霊を探すというのは、なかなかこれまた難しいことでございます。
 ですから、いずれにしても、党としてはしっかりと今、どういう経緯をもって、どういう過程をもって党にその進達があったのか、そのことを今私どもとして調べているわけであります。
○佐々木(憲)委員 本当に奇怪な答弁ですね。
 幽霊を探すのは難しいと言うけれども、幽霊をつくった人ははっきりしているわけですから、幽霊をつくった方に問い合わせればいいじゃないですか。何を言っているんですか。
 KSDの疑惑の核心というのは、まさに党費の立てかえにあるんです。それが国会で指摘されて、大問題になっているにもかかわらず、実態を明らかにできない。全く私は無責任だと思いますよ。
 一昨日の証人喚問で、我が党の筆坂議員が村上氏に、どれくらい幽霊党員がいるのか調べたのか、こう聞いたところ、村上氏は、豊政連の中村事務総長に問い合わせたと答えました。これは、支部自体が実態のない幽霊支部で、実際には中村事務総長が切り盛りしていたということを示していると私は思うんです。
 村上氏が幽霊党員について聞いたところ、中村事務総長は、そんなことはないと答えたが、村上氏は、それを丸々信じたわけではない、こういうふうにおっしゃっているわけですね。つまり、村上氏は、幽霊党員のことをもみ殻党員とも言っているわけでありますが、こういうところに実態の一端があらわれているのではないかと私は思う。
 さらに、村上氏は、別の議員が、自民党東京都豊明支部というのを知っていますか、このように尋問をしましたが、それに対して、存在というより、呼称でしょう、つまり呼び方でしょう、こうお答えになっています。読み方は聞いております、所在地は知りません、こう答えました。そして、豊政連には立ち寄ったことがある、こう言っているんですね。
 このことから明らかなのは、自民党豊明支部というのは実体のない支部で、幽霊党員を届けたり党費を立てかえるなどの事務は豊政連の中村事務総長が取り仕切っていたということだと思うんです。これが実態じゃありませんか。どうですか。
○森内閣総理大臣 今いろいろとお話しになったことは、私どもとしてはその辺は定かにいたしておりません。ですから、そうした疑いについて、これから司直の手でしっかりとお調べをいただいて、そして御判断をいただくということなのではないでしょうか。
○佐々木(憲)委員 私が聞いているのは、党内の話ですから、それは責任者としてみずから調べるのは当たり前じゃありませんか。あなたは、調べる調べると言って、実際に何も出てこないということは、調べていないんじゃありませんか。当時、豊政連の事務総長であり、かつ、自民党豊明支部会計責任者だったのが、逮捕された中村勝彦であります。こんなことは調べようと思ったらすぐわかるはずなんですよ。イロハのイなんですね、そういうことは。こういうことさえまともにやっていないということだと思うんですね。本当にそういう点で疑惑をみずから解明しようとしない、そういう姿勢が国民から大変大きな批判を浴びているんだと私は思うんです。
 私どもは、それぞれの支部長と言われる方々にも、これは登録されているわけですから、お会いをして、本人の了解なしに支部長として登録されていたということがいよいよ明らかになりました。まさに幽霊支部長であります。
 森総理、あなたは96年11月から自民党総務会長をされて、98年7月からは幹事長をされています。ですから、98年当時は党組織の状況を一番よく知り得る立場にあったと思います。
 一昨日の村上氏の証人喚問で筆坂議員が紹介しましたように、98年の東京都の自民党党員数は18万人でございます。ところが、豊明支部だけで9万人、約半分を占めているんですね。200以上ある支部、この中でたった一支部が東京全体の党員の半分を占めるという極めて異常な状況であります。
 これ自体、森さん、異常だというふうには思いませんか、この数字。
○森内閣総理大臣 党に共鳴をしてくださったり、また党の議員を御推薦いただいている、そういう組織、団体は、それぞれ一生懸命党員の獲得をしてくださったり、あるいは御支援をしていただくわけでありまして、結果としてどういう数字が出るからそれはおかしいですねということを、私はそういう立場で、おかしいというか、おかしくないというようなことは、申し上げられる、そういう立場ではないと思います。
○佐々木(憲)委員 どうも、まともに調査をする姿勢が見られないし、先ほどから私が指摘しておりますように、直ちに電話一本かければわかるようなこともやっておられないようだ。本当に無責任だと私は思います。(発言する者あり)静かにしなさい。うるさい。
○野呂田委員長 静粛にお願いします。
○佐々木(憲)委員 KSD事件は、中小企業の汗の結晶である共済掛金を自民党本部に流し込んで自民党を丸ごと汚染した、過去に例のない悪質なものであります。だからこそ国民の大きな怒りを買っている。KSD丸抱えでその意向を酌んで暗躍した小山前参議院議員、村上前参議院議員も受託収賄容疑で逮捕されている。このような事態になってもなお無責任な態度をとり続けている。そういう姿勢では、これはもう絶対に国民から支持が集まらないと思います。私は、直ちに退陣をされるべきだ、このことを申し上げたい。
 この衆議院予算委員会の質疑も、与党の一方的な日程の設定によってあとわずかということであります。しかし、予算に直接かかわる機密費について言いますと、外務省から内閣官房への上納という財政法違反の疑い、あるいは与野党議員に対するせんべつ、国会対策費、そういう税金の党略的流用、こういう問題が浮かび上がっております。しかし、その実態は依然として隠されたままであります。
 四野党が共同で要求したKSDと機密費に関する証人喚問、これについても、いつまでたっても衆議院のこの予算委員会では応じようとしない、全くゼロ回答のままであります。
 しかも、森総理は、肝心なみずからの党内のことについても、何を聞いてもまともに答えようとしない、まさに疑惑にふたをしたままで、ともかく予算を通せという一点張りであります。まさに疑惑に包まれているこういう状態を放置しておいて、そして、国民にとってプラスにならない内容の予算を強引に強行するということは、絶対に納得できません。
 私は、国民の期待にこたえて、やはり、野党四党結束をして今闘っておりますけれども、これまでの自民党の政治の根本的な転換が求められていると思います。そのことを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

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