税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治, 景気回復 (消費税, KSD問題)
2001年03月30日 第151回 通常国会 財務金融委員会 【127】 - 質問
金融機関による違法なKSD会員勧誘について追及、消費税引き下げ求めて論戦
2001年3月30日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、2日の予算委員会の質疑に引き続いて、金融機関が違法なKSD会員勧誘をしていた問題と、消費税引き下げ求めて、質問しました。
未処分金融機関でも違法行為 内部資料を示し金融庁の“甘い処分”を追及
金融機関が違法なKSD会員勧誘をしていた問題で、金融庁は、1月までの任意調査を受けて、銀行法等に基づく調査を実施し、KSD会員を「不適切に勧誘した」として92の金融機関にたいする業務改善命令を含め、392の金融機関、9つの業界団体にたいし行政処分を下しました。
しかし今回の金融庁の処分で、KSDと組んで巧妙に会員を拡大していながら、処分されていない機関があることを、3月30日の財政金融委員会で佐々木議員が明らかにしました。
佐々木議員は、その証拠として、KSD内部のりん議書を提示。これによるとKSDは、東海地区信用金庫協会の関連会社が発行する雑誌『インフォルモ』にKSD入会のための口座振替の申し込み書類を掲載し、各信用金庫がKSD会員を勧誘する際に活用させていました。
KSDは、この会社に約2140万円の広告料金(2000年度)を提供し、KSD前理事長の古関忠男被告のインタビューも掲載。
一方、同協会は、事実上はこの雑誌を使って勧誘しながら、「インフォルモと資本関係がない」(高木祥吉金融庁監督局長)として、処分を受けませんでした。
佐々木議員は金融庁の調査は不十分であり、「再調査すべき」と要求。これに対して村井仁・内閣府副大臣は検討を約束しました。
これに関し、KSD元幹部は、「金融機関を通じての勧誘は違法だから、KSDは抜け道を考えた。インフォルモによる勧誘はその一つで、『名古屋方式』と呼ばれていた。金融監督庁の処分は甘い」と指摘しています。
消費伸ばす景気対策を 消費税引き下げ求めて論戦
佐々木議員は、政府・与党の「景気対策」が実体経済を直接暖める施策を何一つとっていないとして、根本的な転換を求めました。
佐々木議員は、消費者物価下落の原因を、「家計消費が伸びず、供給過剰状態となっていることにある」と指摘。宮沢喜一財務相(当時)は、「おっしゃるように、消費が増えていない。消費が伸びないのは、収入が伸びないからで、これが、今回の特徴」と答弁し、収入減による消費の冷え込みが物価下落の原因であることを認めました。
佐々木議員は、「ならば、どうしたら消費支出を増やすことができるか」と提起し、日銀の「生活意識に関するアンケート調査」(2000年9月)で、「雇用や収入の不安の解消」「消費税率の引き下げ」を求める声がもっとも多い事実を示し、「この声にこたえる政策を打ち出してこそ、真の『緊急経済対策』だ」と追及しました。宮沢財務相(当時)は、消費税の引き下げが、消費を増やす効果があることを認めつつ、「一時的効果しかないのではないか」などと述べました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
昨日、金融庁はKSDに係る行政処分を発表しました。私は、昨年の11月29日の大蔵委員会でこの問題を取り上げまして、前金融担当大臣が調査を約束されていたものであります。そういう経緯もありますので、まず初めにその点についてただしたいと思います。
発表文書によりますと、「393の金融機関に対し、業務改善命令等の監督上の措置を講じた。」とされています。大変な数でありますが、そのうち、特に92の金融機関で「不適切な業務運営が認められた」というふうに書かれております。
柳澤金融担当大臣にお伺いしますが、まず、この「不適切」というのはどういう意味で、その内容は具体的にどういうものだったか、お示しをいただきたいと思います。
○村井金融担当副大臣 昨年以来、大蔵委員会あるいはこの財務金融委員会でもしばしばいろいろ御指摘をいただいた経緯もございまして、私ども調べたわけでございますが、一つの着眼点は、銀行法上の他業禁止という条項に抵触するかどうかという観点でございます。
その観点から、私どもなりにいろいろ検討をさせていただいたわけでございますけれども、率直に申しまして、いずれの金融機関の行為を見ましても、一つの観点は、他業と呼べるほどの対価を得ているかどうかというような問題意識、それから、KSDの代行行為をしているといいますか、KSDのいわば集金をしたというようなことがあります一方では、他のさまざまの類似の機関からの集金をしているというような観点もございまして、これを要するに他業禁止ということをもろに適用するのにはちょっと問題がある。
しかしながら、例えば、キャンペーンを相当頻繁に行いますとか、あるいはキャンペーンの態様でございますとか、そういうものを、頻度でございますとか、あるいはその態様でございますとかという点を見ますと、銀行法上規定しております他業禁止の趣旨に照らしていささか不適当ではないだろうかというような判断をいたしまして、昨日、処分をいたしましたような結論を出した次第でございます。
○佐々木(憲)委員 この問題の発端は、銀行が本来の業務以外のほかの業務を、不特定多数を相手に集団的、組織的に、かつ繰り返して行われていた、そして対価を得ていた。これは、他業禁止ということになるわけであります。ところが、今の御説明ですと、対価がそれほど大きくはない、それを唯一の判断基準にして、そこに着目して他業禁止違反とは認めない。これは私は非常におかしな解釈だと思うのです。
つまり、銀行法には、第十条で業務の範囲が規定されているのですね。第12条で、「他の業務を営むことができない。」明確にこれが書かれているわけであります。それで、違反した場合は、100万円以下の過料とか、あるいは業務改善命令、場合によっては業務停止、免許の取り消し、こういう処分が規定されているわけです。信用金庫法でもほぼ同様であります。ですから、対価が多い少ないなどというのはどこにも書いてない。それは金融庁の勝手な解釈であって、銀行法にはそういう規定はありません。ほかの業務をやることによって、これは銀行法違反と認定されるわけであります。
そういう意味で、先ほども上田議員の質問に対して同じような答弁がありましたが、他業をこれだけ組織的にやっている、繰り返しやっている、そういうことであれば、当然本業がおろそかになるわけですね。そういう意味で、これは銀行法からいって明確に違反していると言わざるを得ない。金融庁の態度というのは、抜け穴をつくって違反と認めないという、本当に甘い処分をしたというふうにしか言いようがない、このことを私は申し上げておきたいと思います。
次にお聞きをしたいのは、今回の処分に当たって、金融庁が銀行法第24条一項に基づいて実態の把握を行ってきたということですけれども、もしも今度の金融機関に対する調査が、金融機関の側から事実と異なる報告があったり、あるいは事実と異なる資料の提供があるということをした場合、これはどういう処分がありますか。
○村井金融担当副大臣 まず、お尋ねのポイントにお答えする前に、一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますのは、銀行法上、他業禁止という規定がありますのは、私は多分二つのポイントがあると思います。
今委員たまたま仰せになりました、本来業務が妨げられるというようなポイントもございますが、もう一つは、他業をやることによりまして、ある意味では銀行業以外の新しいリスクが加わりまして、それによりまして銀行経営が脅かされるというようなことになる、これがいかぬ、これが一つの視点。それと、先ほどお触れになりました、本来業務である銀行業務に支障を来すような、本業がおろそかになるようなことがあってはいかぬ。恐らくこの二つの視点。
そういう視点から見ますと、私どもは、このたびのKSDの問題というのがそれに当たるとまではちょっと言いにくい水準なのではなかろうか、単なる代金収納の代行、そういう範疇ではなかろうかという判断でございます。
今お尋ねの、報告につきまして虚偽がありました場合でございますけれども、第63条第2号で、1年以下の懲役または300万円以下の罰金という法定刑が虚偽の報告につきまして規定されております。
○佐々木(憲)委員 今の前半の御答弁で、本来業務がおろそかになる、新しいリスクを負うことになると。この点から見ても、KSDの会員募集を年何回もキャンペーンをやって、集団的、組織的に反復継続して行って対価を得ている、これは明らかに他業務をやって本来業務をおろそかにしているということになるじゃありませんか。全くそういう点でいいかげんな対応だとしか私は言いようがない。
次に、先ほどの後半の答弁ですが、罰則があるということですね。私は、金融機関が金融庁に対して、今回の調査に対して正確に報告していないのではないかという疑念を持っております。
例えば、KSDが会員募集の見返りに金融機関に支払った報酬、この中には、口座振替基本手数料という名目があったり、あるいは保有維持協力金という名目があります。これはまさに、KSDの会員を金融機関が募集し、その見返りとして支払われた項目でありますが、例えば、そのうち保有維持協力金というのがあります。
ここに、平成11年度のKSDの事業報告書、決算書があります。この中に、金融機関に対して保有維持協力金として4900万円支払った、こういうことが明確に書かれております。ところが、昨年末金融庁が任意のアンケート調査を行ったわけですね。そのアンケート調査の集計を見ますと、79の金融機関で合わせて4500万円の保有維持協力金の支払いが行われたということになっております。つまり、アンケートの金額の方が400万円少ないわけであります。金融機関が正確に報告をしていれば、こういう格差は出てこないわけであります。
今度は任意の調査ではなくてまさに罰則つきの調査でありますから、当然、正確に報告しなかったら処分の対象になると思うわけであります。したがって、保有維持協力金というのが実際に合計幾らになっていたか、その数字を示していただきたい。
○村井金融担当副大臣 大変申しわけございませんが、突然のお尋ねでございまして、私ども、今委員御引用になりました任意の調査の数字以外ちょっと今手元にございません。なお、これをお示しできるかどうか、ちょっと検討させていただきたいと存じます。
○佐藤(剛)委員長代理 それでは、後ほど委員にお教えください。
○佐々木(憲)委員 今、検討するとおっしゃいました。
今回の実態調査、今回の調査は、まさに個々の金融機関に対して行われていて、この保有維持協力金についても当然調査が行われ、個別の数字はすべて出ているわけでございます。したがって、それを集計すれば幾らになるかは明確で、それとこのKSDの側の決算書と合っているかどうかを調べれば、もしその違いがあれば虚偽の報告があった疑いがあるということになるわけですから、必ずその結果を報告していただきたいというふうに思います。それをお約束していただきたいと思うんですけれども。
○佐藤(剛)委員長代理 では、御検討ください。
○村井金融担当副大臣 先ほど申し上げましたように、報告徴収の通常の手続等々をいろいろ勘案いたしまして、どのようなお答えができるか検討させていただきます。
○佐々木(憲)委員 次に、今回処分されたのは、個々の金融機関だけではなくて金融機関の業界団体、例えば信用金庫協会あるいは信用組合協会などがあります。どのような行為が処分の対象になったか、その中身を具体的に教えていただきたいと思います。
○高木政府参考人(金融庁監督局長) お答え申し上げます。
業界団体等がどういうことをやったか。例えば、傘下の金融機関に対しまして統一キャンペーンの実施を慫慂していたケースだとか、傘下の金融機関の業務推進担当者とKSDとの意見交換会を開催していたとか、あるいは、KSDの方でPR強化月間とかいったものを設けているわけですが、それへの協力を傘下の各信組等に要請したとか、そういったことでございます。
○佐々木(憲)委員 処分の対象になった団体の中に、東海地区の信用金庫の業界団体である東海地区信用金庫協会、これは入っていないわけでありますが、そういうKSDの会員勧誘への関与、これはなかったという判断でしょうか。
○高木政府参考人 お答え申し上げます。
そのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 ここにインフォルモという雑誌があります。これはその一部ですけれども、金融庁が調査したときに、東海地域の各信金からは一様にこのような雑誌を勧誘の手段としていたという報告があったはずでありますが、そういう事実はつかんでおりませんか。
○高木政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、東海地方の信用金庫の中には、すべてではないんですが、KSDの会員勧誘に当たりましてインフォルモという雑誌を活用していた信用金庫があることは承知いたしております。
○佐々木(憲)委員 東海地域の各信金が、押しなべてインフォルモを使って会員勧誘をしているわけであります。そういう事実があります。東海信用金庫協会が関与しているということは極めて明確でありますが、そういう事実をつかんではいないと今おっしゃいましたね。どうなんですか。
○佐藤(剛)委員長代理 高木監督局長、もう一回正確に答えてください。
○高木政府参考人 お答え申し上げます。
私が申し上げましたのは、東海地区の信用金庫がそのインフォルモを使って勧誘していたケースがあったということを申し上げたわけで、信用金庫協会のことを申し上げたわけではございません。
○佐々木(憲)委員 ちょっとそのままで。
つまり、信用金庫協会は関与していなかったんですか、いたんですか。その辺はどういうふうにつかんでいますか。
○高木政府参考人 お答え申し上げます。
私どもも調査の過程でインフォルモについていろいろ調査を行ったわけでございますが、その中で私どもが承知いたしておりますのを具体的に申し上げますと、株式会社インフォルモが出しているわけですが、そこと信用金庫協会との間に資本関係はない。それから、雑誌のインフォルモは年四回発行されております、平成5年ごろから発行されておりますが、その経緯等についてはよくわからなかった。株式会社インフォルモから直接その雑誌が各信金の営業店に送られてきていたということ。それから、その雑誌の中には毎回、古関前理事長の対談記事とかKSDの広告が掲載されていたということは把握をいたしておりますが、東海地区の信用金庫協会とインフォルモとの間に何か特別の関係があったかどうかということについては把握はできておりません。
○佐々木(憲)委員 私は全く調査が不十分だと思いますね。
ここにKSDの稟議書があります。これはKSDの東海支局がつくったもので、インフォルモの活用について本部の決裁を求めたものであります。この「目的」の欄に、「東海地区信用金庫協会の関連会社であるインフォルモ発刊の季刊誌を利用することにより、さらなる口座振替獲得を図って行く。」こういうふうに書かれております。
また、別紙を見ますと、「東海支局管内(愛知、岐阜、三重)における信用金庫のKSD会員獲得推進は、平成6年度から(社)東海地区信用金庫の協力により、季刊誌「インフォルモ」を利用し実施してきた。現在各信用金庫では、このインフォルモを媒体とした新規加入手続きが定着しており、平成12年度においても引き続きこの方式を採用することにより、さらなる口座振替獲得を図って行きたい。」
もうはっきりと、このインフォルモは東海地区信用金庫協会の関連会社であり、それをその信用金庫協会の協力により活用してきたと、明確にKSD内部の稟議書で書かれているわけであります。
もちろんこの中には、古関理事長のインタビューが延々と毎回載っている、あるいは口座振替申込書が毎回載っている。こういう形ではっきりと関与がされているわけであります。
しかも、この配布方法を見ますと、インフォルモから、東海地区信用金庫管内47信用金庫、静岡県15金庫、岐阜県八金庫、愛知県17金庫、三重県七金庫へ一括送付。インフォルモから一括送付し、その後、各信用金庫から取引先事業所へ配布する。つまり、信用金庫がこの雑誌をどんどんばらまくという形になっている。しかも、この稟議書を見ますと、KSDがこのための資金を2140万円払うのだということも書かれております。
これが実際に実行されているわけですから、東海地区信用金庫協会としてKSD会員獲得を推進してきたことは明らかであります。東海地区の信金から統一的にこのインフォルモを使っているのだということが明確ですから、これは協会の関与を疑うというのは当然のことだと思うのですね。私は、こういう点について、明確な調査をもう一度やる必要があると思います。再調査をやるべきだと思います。
柳澤金融担当大臣にお伺いしますが、これだけの事実があるわけですから、全く関係がないということは私は言えないと思います。そういう点で、大臣としての、この問題についての再調査をここでお約束をしていただきたい。
○村井金融担当副大臣 先ほど監督局長からお答え申し上げましたように、いわゆる信用金庫の団体がいたした行為ということで、私ども確認できた限りで処分をいたしたという事情でございますので、今委員から御指摘のありました点につきましては、なお検討させていただきたいと存じます。
○佐々木(憲)委員 今回のこの協会に対する調査というのは、民法67条に基づいて行われておりまして、不実申し立て、事実隠ぺいには罰則が科されるわけでありまして、こういう事実がある以上、検討というよりも、もう一度調査をする。
柳澤大臣、これはちょっと大臣の姿勢をお伺いしたいのですが、この点についてきちっと再調査をして、本当に疑いがないのかあるのか、ここを明確にするというのは大事じゃないですか。いかがですか。
○柳澤金融担当大臣 先ほど高木監督局長は、協会は何も金を出していない、つまり、資本の関係がない、人的関係もない、それを今佐々木先生の方では、KSDは協会の関連会社だと言っておる、こういう話ですね。そして、その関連会社の協力をいただいてきたと言っておる、こういうことですね。それだけの話なのです、今先生のお話を聞いてみても、それからまた、こちらの話を聞いてみても。
ですから、これは、何の関係もなくても両方成り立つ事実なのですよ。何の関係もない。そちらはそちらで勝手にそういうことを言っている。これは両方、そのことは同時に成り立つことなのです、論理的に。論理的に成り立たないというのなら、成り立たないことを言ってください。
○佐々木(憲)委員 委員長、でたらめな答弁だよ、それは。
○佐藤(剛)委員長代理 ちょっと待ってください、議事進行。
詳細についてやる場合には、先生のところから所管庁のところへ要求してやってください。みんなわからないですから。
○佐々木(憲)委員 ちょっと待って、委員長、おかしいよ、それは。そんな整理ないですよ。(発言する者あり)そんな整理ないじゃないですか。おかしいよ、それは。(発言する者あり)
○佐藤(剛)委員長代理 記録を消してください。――記録を外してください。
佐々木君、続けてください。
○佐々木(憲)委員 私は、具体的な事実を示して、KSD側の内部資料も示して具体的な再調査を要求しているのですよ。ないならないで、もう一回調査して、明確にすればいいじゃないですか。そのことを確認していただきたいということなのです。
○佐藤(剛)委員長代理 だれが確認しますか。
柳澤金融担当大臣。
○柳澤金融担当大臣 調査というお言葉は、法令に基づく調査というふうに私は受け取りました。そうだとすると、再調査ということになると、相当これは事実に反したことを相手方はしているということが前提にならざるを得ません。
ところが、今先生が言っていることは、こちらの言っていることと両立可能のことをおっしゃっているのです。先生がおっしゃる……(佐々木(憲)委員「両立可能」と呼ぶ)両立可能です。関連と言っているだけだ、協力を得たということだけだ。こっちは、資金的な関係もない、人的関係もないというのが調査結果ですというふうに言っている。両方成り立ってしまうのです。
ですから、我々は、そういう程度のことだったら、法令に基づく再調査をかけるというのははばかられることだから、よく検討してみますということを副大臣が言ったわけです。
○佐藤(剛)委員長代理 今の大臣の発言に対して何かありますか、佐々木君。
○佐々木(憲)委員 あります。
私は、具体的な資料を示して……(発言する者あり)
○佐藤(剛)委員長代理 やじはやめてください。
どうぞ、佐々木君。
○佐々木(憲)委員 私は、具体的な事実を示して、今までやられた調査が不十分だったのではないか、このことを指摘しているわけであります。
つまり、協会としてKSDの会員を拡大していくということを奨励し、協力し、そういうことをやってきたという事実がここにある。したがって、再調査をすべきだ。検討するというのだから、再調査の検討をきちっとやっていただきたい、再調査していただきたい、このことを要求しておきます。
次に、時間がもうありませんので……
○佐藤(剛)委員長代理 要求ですか。
○佐々木(憲)委員 要求です。何を言いたいのですか、委員長。
○佐藤(剛)委員長代理 高木監督局長が担当の局長なのですから、大臣、副大臣がおっしゃっているのだから、もしそういう話だったら、高木監督局長に確認しておいてください。
○佐々木(憲)委員 そういう問題じゃないだろう。進まないじゃないか、そんなこと言っていたら。(発言する者あり)
○佐藤(剛)委員長代理 円滑に進めるために、私は委員長として言ったのですよ。
○佐々木(憲)委員 円滑じゃないよ。議事の妨害だよ。質問の妨害だよ、それは。
○佐藤(剛)委員長代理 それは見解の相違ですよ。
○佐々木(憲)委員 大体、そういう形で時間がどんどんたっていくわけで、委員長、質疑の時間を多少延長していただかないと、私はこれ、枠にはまらないですよ、こんなことをやっていたら。そうでしょう。
では、次に話題を変えます。景気対策の問題についてお伺いしたいと思うのです。
政府、内閣府の3月の月例経済報告は、日本経済は緩やかなデフレにあると述べて、初めて現状をデフレと認定しておりますが、議論の前提として内閣府にただしたい。なぜ現状をデフレと認定したのか、その理由、端的にお伺いしたいと思います。
○岩田政府参考人(内閣府政策統括官) ただいま御指摘がございましたように、3月の月例報告におきまして、今日本の経済は緩やかなデフレにあるという認定をいたしました。
これまで内閣府では、物価の下落を伴った景気の低迷、特に景気の低迷を、実質の成長率がマイナスになるという事態を景気の低迷というふうに考えておりまして、実質成長率がマイナスで、しかも物価も下落しているという事態をデフレとかつては定義しておりました。その定義に従うとしますと、日本の経済は昨年1・7%成長しておりますので、必ずしもデフレでないというふうにしてまいりました。
しかし、デフレの定義をいろいろ調べますと、物価の持続的下落を指すものとかあるいは景気後退を指すもの、いろいろな使われ方がしております。今回、デフレというように認定いたしましたのは、国際的な基準、特にIMF等の国際機関で使われている用法、あるいは現在の経済状況にかんがみまして、従来の定義を改めまして、今後は持続的な物価下落ということをもってデフレの定義として採用することにいたしました。
以上でございます。
○佐々木(憲)委員 財務大臣にちょっと見解をお伺いしたいと思います。
問題は、持続的な物価下落というのをデフレの定義として今回示したということですが、その物価下落の原因が問題だと思います。一般に消費者物価が下がる理由としては、一つは、技術革新が進んで生産性が向上し、その結果としてコストが低下し、製品価格が下落するというのがあると思うのですね。二つ目は、最終需要部門が低迷して、需要の低迷によって事実上供給過剰となり、価格が下落する。それから三つ目に、アジアからの低価格製品がどんどん大量に輸入されて、それが国内市場に流入して物価を下げるという場合もあると思いますが、大きく言ってこのぐらいが消費者物価を下落させていく要因だと思うのですけれども、一般的に言って大体そんなような認識でよろしいかどうか、財務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○宮澤財務大臣 私は結構です。
○佐々木(憲)委員 そこで、現状をどう見るかということでありますが、財務大臣認めておられるように、企業部門は回復の過程にある、設備投資も伸び、利益も出ている、最近ちょっと陰りがあるとも言われておりますが。しかし、GDPの6割を占める家計消費、これは一向に回復をしていないわけでございます。
総務庁の家計調査によると、全世帯の実質消費支出は、平成5年以来連続8年間マイナスであります。92年をベースにしますと7%落ち込んでいるというのが家計消費の実態でありまして、内閣府の報告も、個人消費はおおむね横ばいの状態だというふうに言っています。
これらは、今日の持続的な物価下落、つまりデフレの原因を明らかにする上で大変大事な視点だと思うのですけれども、財務大臣にお伺いしたいのは、今の持続的物価下落の最大の要因、これは、家計消費が伸びない、そのことによって供給過剰状態となっているというところにあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○宮澤財務大臣 いろいろな統計では、消費は当然金額であらわせますので、したがいまして、佐々木委員の言われました幾つかの原因、技術革新で同じものでもコストが下がったとか、あるいは安い製品が入ってきたとかいうものも、同様の消費をいたしましても、金額で表現しますと小さくなるということはあり得るわけでございます。
しかし、そういうことはあるであろうけれども、私はやはり、佐々木委員の言われるように、どうも収入が目立ってふえていないし、限界消費性向が上がっていないとなると、やはり消費が伸びないのは収入が伸びていないというのが、どうも家計調査を見ていますと、いろいろ原因のある中で、今回特徴的なものではないか。殊に、企業が利益を上げているのに収入が伸びていないということには、それなりの理由があるというふうに私は思うものですから、その点を重大に私も考えます。
○佐々木(憲)委員 家計消費が伸びないというのが大変大きな要因だということなんですが、それも、収入も減っているということでです。その原因を突きとめるということが、もう一つ突っ込んだ対応としては要ると思うのですね。
それで、家計消費が低迷して市場が収縮すると、それに伴って物価が下落し、そうすると企業利益にも、全体にはマイナスに作用する。一層のリストラ促進になって、さらに労働者の収入が減る。さらに消費が冷え込む。まさにデフレスパイラルに落ち込んでいく危険性があるわけで、これを阻止しなければならぬと思うのです。
そこで、日銀にアンケートの調査結果をお伺いしますが、昨年9月に、1年前と比べて支出を減らしていると答えた人の割合、ふやしていると答えた人の割合、これは私の方から、時間がありませんからここだけ言いますと、減らした人が38・9%、ふやした人が6・5%で、全体として支出を減らした人がふやした人の六倍もあるという現状でありますが、そこで、この支出を減らしている理由、これを多い順に四点挙げていただきたいと思うのですが。
○増渕参考人(日本銀行理事) 私からお答えさせていただきます。
このアンケートの調査結果で、支出を減らしている理由につきましては、九つの選択肢から複数回答を認める形で質問しております。その回答、上位四つは、第一番目が、将来の仕事や収入に不安があるからというもので、これが59・3%でございます。二番目は、今後は年金や社会保険の給付が少なくなるのではないかとの不安からというものでございまして、これが54・8%。三番目は、不景気やリストラなどのために収入が頭打ちになったり減ったりしているからというもので、49・2%。四番目は、将来増税や社会保障負担の引き上げがあるのではないかとの不安からというもので、35・7%となっております。
○佐々木(憲)委員 この日銀のアンケート結果は、先ほどの財務大臣の御答弁とほぼ一致しているというふうに私は思います。
問題は、そうすると、この消費支出を、家計消費をどうすればふやすことができるか、これが大変重要だと思うのですね。その点について、財務大臣としてはどうすればいいというふうに思っていますか。端的に。
○宮澤財務大臣 またいつものところへ近づきましたが、つまり、普通でございましたら、これだけ企業が利益を上げておりますので、また普通不況打開のパターンもそうですが、それが賃金を引き上げ、家計をよくするという、そのパターンが今回そのとおり起こっていない。
私はおくれがあると考えておりまして、その原因は、企業利益は上がっているのにそれが労働に回っていかないのは、労働側にやはりそれなりの不安がある。つまり、リストラの最中でございますから、やはり雇用が大事で、賃金要求は、どうしてもこれは二の次になりやすいということはございましょうから、やはり思い切った賃金要求というものになっていない。それは、雇用というものに不安があるということが基本だと思います。
つまり、ITの革命というものは、いつかも申し上げましたが、アメリカはレイオフで済ませてしまえるわけですが、我が国はそれはできませんので、やはり年功序列だとか終身雇用だとかいうものが崩れていくのに時間がかかっている、その間、なかなか企業の利益が家計に回っていかない、そういうふうに私は思います。それに対する対応は、もちろん、雇用の創設でありますとか、基金をつくって失業の対応であるとか、あるいはミスマッチを解消するとか、いろいろなことがございます。これはみんな知られていることでやっておりますし、あるいは経済政策を政府が間違いなくやっていくこと、そういうことで全体的な景況の回復、それを待つのがやはり一番常道である。
消費税を下げたらいいかというと、それはきかないとは申さないのですが、なかなか簡単なことではないなと思っておるわけです。
○佐々木(憲)委員 大分先走った答弁をされたわけでありますが、一番大事なのは、家計消費をふやすためにどうするかということについて考える場合、国民の側の要望というのに耳を傾けるというのが大変重要だと私は思うのですね。
そこで、日銀のアンケートをもう一回お伺いしますけれども、どうすれば支出をふやすというふうに答えているか、多い順に三点挙げていただきたいと思います。
○増渕参考人 お答え申し上げます。
同じアンケート調査の結果でございますが、どの項目が実現すれば支出をふやすと思うかという問いを八つの選択肢から複数回答を認める形で質問いたしております。
この質問に対する回答、上位三つでございますが、一番目は、雇用や収入の不安の解消で全体の45・9%、二番目が、消費税率の引き下げで42・6%、三番目は、年金改革や財政赤字などに対する指針を示し、国民負担の将来像を明確化することで、35・0%となっております。
○佐々木(憲)委員 私は、国民の側の要望、これにどうこたえるか、ここにやはり政策の焦点を当てるべきだと思うのです。
今のアンケートでも、雇用や収入の不安の解消、こういう点では、大企業のリストラ、こういう問題については歯どめをかける、あるいはサービス残業をなくして雇用を拡大する、そういうような方向に転換するということが、やはりこのアンケートでも実際は要求されているのではないか、要望の実態ではないか。
二つ目に、消費税率の引き下げ、これがはっきりと日銀アンケートにも出されている。消費税率の引き下げに対して、何度も宮澤財務大臣はこの委員会で、それは財政問題その他の要因がいろいろあって難しいとおっしゃいますが、しかし、今までの財政の、予算の仕組みをもう一度再検討する必要があるのではないか。
つまり、ゼネコンあるいは大銀行に向けては大変な予算が組まれております。70兆円という枠で銀行支援が行われております。返ってこない分だけでも7兆円以上ある。そういう部分、これは必要だというふうにおっしゃいますが、金融機関、大銀行の自己責任、自己負担、こういうことがやはり大事であって、そこに税金をどんどん注いで果たしてまともな金融機関が生まれるか、根本的に私は疑問に思っております。仮に、その資金を消費税率の引き下げに回せば、3%に引き下げというのは十分可能になるわけであります。ですから、財政構造の改革ということをこういう角度からも考えていく必要があるのではないか。
あるいは、年金改革や財政の将来像の問題についても、今の日銀のアンケートでも、大変大きな要素として、国民の側の将来不安の要因として出されております。そういう点では、年金ですとか医療ですとか介護ですとか、こういう分野に本来予算を厚く回していく、ここに姿勢を転換するということが大変重要だと思うのですね。
4月の初めに緊急経済対策を出されるというわけですけれども、こういう国民の側の要望にこたえる政策がまさに家計消費拡大の一番の王道だと私は思うのですけれども、その点について宮澤財務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○宮澤財務大臣 これは、真剣に申して非常に難しい問題だと思っておりますけれども、財政の方のことは確かにございますが、これを今ちょっとないことにいたしましょう。
それで、消費税を仮に減らしましたときに、当座きっと消費はふえると私は思うのです。しかし、これを契機にしてずっと消費はふえ続けることになったというストーリーなのか。一遍はふえたけれども、そこからはまた同じになっちゃったというのか。つまり、高いから買わないのだと消費者は今必ずしも言っていないので、そうかといって、アンケートは消費税と言っておりますから、あるいは佐々木委員の言われる手もあるかもしれない。どうもしかし、私は、一般に高いから買わないというのではない、ほかの理由があるものですから、下げると、一遍はふえるがということはないのかな。しかし、ここはいろいろ議論のあるところだと私も思っています。
○佐々木(憲)委員 最後であります。これで終わりますが、今、高いから買わないではないというふうにおっしゃいましたけれども、いろいろなアンケートを見ましても、高いということについて、若い人であればあるほど大変敏感なんです。つまり、買いたいものがあるけれども、収入が少ないからどうしても買えないという回答が青年の中には大変多いですね。同時に、年齢が上になってきますと、将来不安の方が大変気になって、先ほどおっしゃいましたように貯蓄性向が非常に高くなる、貯金に回してしまうというような傾向が非常に強くなる。
ですから、消費税の引き下げというのは、これは一時的ではなくて大変重要な、その部分については例えば5兆円ということになるかもしれませんけれども、そのことが全体の消費刺激につながっていくという点で波及効果は非常に大きいと私は感じておりますし、それだけではなくて、それ以外の、リストラ規制とかあるいは将来の安心を提供する、このことが全体として景気回復の軌道に乗せていく大変重要な政策の枠組みではないのか、そのことを私は申し上げたかったわけでございます。
時間が大変なくて、金融の量的緩和についてもお聞きしたかったのですけれども、日銀の皆さんに大変お待たせしながら実際質問できなくて、申しわけございませんでした。
以上で終わります。