2001年06月06日 第151回 通常国会 財務金融委員会 【132】 - 質問
守秘義務があるから真実偽る、塩川財務相いいのがれに終始
2001年6月6日の財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、前日(5日)に引き続き、塩川財務大臣が財務大臣就任後、テレビ朝日系「ニュースステーション」(5月28日放映)で、機密費証言を「忘れた」とする理由について、「あれは政府の一員になったんでもういっさい言えません」などと証言していたにもかかわらず、5日の同委員会で「インタビューに応じていない」「覚えていない」とごまかしていた問題を、あらためて追及しました。
塩川大臣は、テレビでの発言については、「大臣になったら、そんなこと言わんもんだよといったような感じがする」「大臣になると特別の守秘義務がある」と、自らの発言の一部を事実上認めました。しかし、テレビの取材については「あれはインタビューではない」「どかどかと(記者が)2人来て、2、3言葉をいった。それに応対したものだ」とのべ、取材に問題があったかのように言い逃れました。
佐々木議員は、「この発言は大問題だ」と述べ、「『大臣になる前には事実をのべるが、大臣になったら本当のことをいわなくてよい』ということではないか」と大臣の姿勢を追及しました。
佐々木議員質問を紹介し「塩川大臣は本当のことを」と「ニュースステーション」
佐々木議員の5日、6日両日の質問を、当事者である「ニュースステーション」が6日夜の番組で紹介し、塩川大臣への取材経過も含めて詳しく報道しました。
久米宏キャスターは、「塩川さん、答弁では、われわれの取材に失礼だから出てってくれといったと。2、3言葉を言って対応したとかおっしゃっていたんですが、担当した女性ディレクターによりますと、きちんと取材依頼を出してOKをもらって、取材をした」「本当のことをおっしゃっていただけませんかね」とコメントしました。
議事録
○佐々木(憲)委員 塩川大臣に、昨日の続きをやらせていただきます。
5月28日に放映されたテレビ朝日のニュースステーションのビデオ、見ていただけましたでしょうか。私ももう一度詳細に見ましたが、映像は、明るい窓辺で、財務大臣は、いすにゆったりと腰をかけられて、大変リラックスした表情で屈託なくお話しになっておられます。インタビューの場所は、いつも使っている事務所のようでございます。ぶら下がりの取材ではないということは明確でございます。
昨日、インタビューを受けた覚えがないとおっしゃっていましたけれども、もう思い出されたと思うのですが、いかがでしょうか。
○塩川財務大臣 あれはインタビューじゃございません。私の書斎でございました。したがって、着物を着ておりましたので、着物のまま出ておると思うております。着物を着ておりました。
それで、そこへお客さんが立て込んでおりまして、お客さんが帰りました後、二人、女の方とそれからカメラの人がどかどかっと入ってきまして、それでちょっと撮らせてくださいと言うんですよ。それでございますから、インタビューとか何かじゃ全然ございません。
私の秘書は、ちょっと了解をとるまで待ってくれと言っていたんだが上がっていったと。私はすぐに、ちょっと失礼だから出てくれ、こう言ったんですが、何かばばばと2、3個言葉を言いまして、それに対して私が応対した、そのぐらいの記憶しかございません。
○佐々木(憲)委員 インタビューというふうに位置づけておられるかどうかは別としまして、カメラとマイクが入ってきて、お二人が入ってこられてその方々とお話をされた、それが記録として放映された、こういうことだと思うんですね。
ですから、昨日の答弁の中で、大臣になってからはインタビューを受けたことはないとおっしゃいましたが、インタビューという言葉は別としまして、テレビの取材を受けたということだろうと思うんですね。それは事実だというふうに思うんです。
そこで、問題は、大臣自身が、昨日御紹介しましたようなことをおっしゃっているわけであります。その内容が実は問題でありまして、大臣はこうおっしゃっているんですね。
機密費の問題について、あれは政府の一員になったんで、もう一切言えません。役職についたらそういうものに対する責任感が、別の責任感がある、発言にはね。そういうこととまじって、一切言わぬことにしとんねん。
この発言は、大臣になる前には真実を述べるけれども、大臣になったら本当のことを言わなくてよい、こういうふうにおっしゃっているわけであります。わざわざ言わないことにしているというわけでありますから。
つまり、大臣になると今までしゃべっていた事実をもう言わなくてもいい、言わないことが大臣の責任なんだ、そういう意味のことをおっしゃっているんですけれども、そういうことを、きのうのビデオでごらんになって、はっきりおっしゃっていましたね。
○塩川財務大臣 佐々木さんの質問を全部聞いていますと、こうでなかったらこうだろうと反転論拠が多いんですけれども、そんなつもりで私は言っているもんじゃ全然ございませんで、大臣になったらそういうことを言わぬもんなんだよということは言ったような感じは私はいたしますけれども。
それは私も十分マイクの入っておるのを、カメラは、今はこうしたらマイクは同時に入っておるんですね。そんなことも私は意識がございませんでしたが。そのとき、とにかく出てくれと言ったことは事実でございます。それで、なお聞きますからということで女の人が聞きまして、そんなことを言ったのかもわかりません。
○佐々木(憲)委員 今事実を一部おっしゃったんですが、大臣になったらそういうことは言わぬもんだというふうなことをおっしゃったという記憶を今呼び戻されたわけでございます。
それで、正式なインタビューではないということなんですけれども、割合リラックスをされて、マイクがあったかどうかという意識もなかったとおっしゃいましたが。そうすると、非常にリラックスして雑談のような形でおっしゃった。ざっくばらんに話しているということであるからこそ本音が出たというふうにも思えるわけであります。
大臣は、つまり、今までおっしゃっていたことと大臣になってから言うことというのは違うと。本当のことは言わぬことにしてもいいんだ、これが大臣だというふうにおっしゃっているわけですが、そういう認識なんですか。
○塩川財務大臣 大臣になりますと特別の守秘義務というものがございますし、それは国会議員でも全部そうだろうと思いますけれども、そういうことが私は一つの自分自身に拘束になっておる、精神的な拘束になっておったということから言ったんだと思います。
○佐々木(憲)委員 守秘義務があるということは、それまで言っていたことを忘れたとか言った覚えがないというふうに否定することとは違うんじゃないでしょうか。自分が大臣の立場で知っていることを何でもしゃべる、そういうことは守秘義務としてあると思いますが、大臣になる前に知っていた、そしてしゃべっていた、そのことを大臣になってから急に否定したって、これは事実は消せないわけであります。
つまり、今まで言っていたことと大臣になって言うことを違えてもいい、違うことを言ってもいいと。もっとはっきり言えば、大臣になったらうそをついてもいいということにもつながる問題ですよ。これは大問題じゃありませんか、そういう発言は。
○塩川財務大臣 それは極端な言い方でして、私はそういうことは言っておりませんで、今まで言っておりましたことを繰り返して言っているようでございますけれども、1月でございましたか2月か、テレビ朝日のインタビューを受けましたことは混乱したことを言ったということで、私はあの発言は反省しておるということを言っておるのでございます。
ですから、あれは自分自身が体験したものばかりじゃございませんし、何かいろいろな聞いたうわさのことを話したような感じもいたしますし、あのことは定かに覚えておりませんが、テープに入っていることは事実でございましょうから、何かそういうことがあったんだろうと思いますけれども、しかし、あれは私の本心から、発言を準備して言ったものではないので、うかつなことを申したという反省をしておるところであります。
○佐々木(憲)委員 体験したことばかりではないというふうにおっしゃったということは、半分ぐらい、半分というのか、体験が入っていたということをおっしゃったと思うんです。
さて、そこで、きのうも紹介したんですが、事実関係を明らかにして徹底究明したらどうだろうかというようなお話があったときに、大臣は、そう言っているのはテレ朝だけやろ、それはもう国会紛糾してどうにも動かなくなっちゃう、こうおっしゃっているんですね。つまり、国会が紛糾するような問題なんだと。これまでマスコミに対してしゃべってきた機密費の問題、それが、その真相をしゃべると国会が紛糾する、そういうことを大臣はおっしゃっているんじゃないですか。
○塩川財務大臣 そういうことを私は言っておりませんが、想像たくましゅう、こうだったらこっちやろと、もう何でも反対の方をおっしゃっておりますけれども、私は、そうじゃなくて、紛糾と言ったかどうか知りません、迷惑かけるということなんです。それは言いましたね。
だから、紛糾と言ったかなと。テレビで見たらそうなんですが、国会に迷惑かけるなということは言ったんじゃないかなという感じはします。
○佐々木(憲)委員 迷惑をかけるというのは、真実を述べて国会が紛糾すると。紛糾するという言葉は実際おっしゃっているわけですね。
あなたは、大臣になる前には機密費についての体験を大変正直におっしゃってきた。しかし、大臣になった途端に真相をお隠しになる。国会では忘れたとか、テレビではしゃべらないことにしているという。しかも、しゃべったら紛糾するんじゃないかということで、これは重大性を自覚しながら事実を隠そうとしている。このことは明確だと思うんです。
やはり、国会に正直に自分の体験や真実を話すべきだ。そういうことを隠して忘れたとかなんとかというすりかえをやるというのは、私は大臣としては資格がないと思うんです。私は、もう大臣はおやめになったらどうかというふうに思います。
もう時間が来たようですから、そういう点で、その決断をされることを求めまして、質問を終わりたいと思います。