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財政(予算・公共事業), 平和・憲法

2001年10月17日 第153回 臨時国会 財務金融委員会 【139】 - 質問

米軍の報復戦争支援に財政の歯止めなし、国民生活を圧迫することは必至

 2001年10月17日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は「報復戦争参加法」にもとづいて米軍への後方支援を行った場合の、財政負担について質問しました。

 佐々木議員は、日本経済が停滞し税収減が避けられないなか、「アメリカの報復戦争に日本が財政的に歯止めなく支援をすることになれば、財政負担がいっそう増える」と後方支援予算についての政府の見解をただしました。
 このなかで佐々木議員が、航空機C130輸送機をパキスタンに派遣した費用について明らかにするよう求めたところ、財務省の村上誠一郎副大臣は、「航空機の修理費が1億2700万円、地上支援等の経費が7100万円でだいたい約2億円と聞いている」と、政府として初めてその金額を答弁。また、年度内の追加的措置については補正予算、予備費で対応することを明らかにしました。

 佐々木議員は、「では、対米支援の額はどれくらいの規模になると想定しているのか」と、さらに追及し、「もし、アメリカから要請があった場合に日本の財政支出に歯止めはあるのか」とただしました。
 村上財務副大臣は、「(対米支援の)追加的経費が発生するのかは不確定で、今後の状況の推移をみながら考えていく」と事実上、アメリカへの財政支援に歯止めがないことを認めました。
 佐々木議員は、「財政赤字が深刻ななかで、アメリカの軍事報復でさらに財政負担が増えれば結局、国民生活関連分野が圧迫されかねない」と批判。
 その例として、医療費の国庫負担を大幅にカットする財務省の「医療改革の論点」を示し、「アメリカの要請にこたえて軍事費を青天井で増やし財政破たんに拍車をかけ、暮らしと生命を脅かすやり方は反対だ」と主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 おはようございます。日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 9月11日のアメリカで発生した同時多発テロ、これに対する10月8日のアメリカの武力行使、こういう緊迫した事態が、ニューヨーク株式市場での株価の大幅下落、ドル安、こういう事態をもたらしております。今後の日本経済に少なくない影響が出てくると予想されるわけでありますが、まず塩川財務大臣にお聞きをしたいと思います。
 この多発テロと米軍のアフガンへの攻撃によって、今後、世界と日本の経済にどのような影響があらわれると見ておられますか。また、実質1・7%と見込んでおられました今年度の政府経済見通しはどの程度落ち込むというふうに予想されていますか。まずこの点をお聞きしたいと思います。
○塩川財務大臣 まず、現在の、テロ事件に対しますテロ防止対策の世界、国際的な連帯に行うところの行動でございますけれども、これに対する影響は、まだ定かにはわかりません。しかし、やはり社会、経済には一定の影響があることは事実でございますし、まず特定の産業界においての影響も出てきております。
 しかし、全体として見ました場合に、これは戦争というような一面も持ってはおりましょうけれども、より以上に、そういうテロ行為を行うところのいわゆる集団と申しましょうか政権と申しましょうか、そういうようなものを未然に防止するために壊滅させていこうということが主眼でございますので、そういう点から見まして、戦争的な一面を持っておりますけれども、反面、むしろ国際外交の問題が主体となってきておるように思っておりますので、今直ちに戦争的な経済の影響というものに重点を置いた考え方をすべきではないと思っております。
 けれども、この事件によりまして経済界全体が受けましたダメージは大きいものがございますので、そういうことから、不測の事態が起こらないように、十分緊張感を持って事態の推移を見守っていって、適時適切な対策を講じるということの用意をしておかなけりゃいかぬと思っております。
○佐々木(憲)委員 政府経済見通しが1・7でありましたけれども、これはかなり、この事件が起きる以前から極めて深刻な状況が生まれていると思いますが、今年度の見通しはどのようにお考えでしょうか。
○塩川財務大臣 見通しにつきましても、私はまだ十分に承知いたしておりませんけれども、しばらくの間、私は低成長が続いていくだろうと思っております。その意味において、現時点に立ちまして、直ちに景気が回復するあるいは活況を呈するということは期待は薄いのではないか。しかしながら、これもそんなに長期にわたるものではないと思っております。
○佐々木(憲)委員 竹中経済財政担当大臣は、昨日、政府見通しは1・7だけれどもマイナス1・0に下方修正するというふうに記者会見でおっしゃったそうです。大体そういう考えでおられますか。
○塩川財務大臣 それは経済財政諮問会議にかかっているわけではございませんで、竹中大臣としては学者的な、いわゆる対象から見てそのように言っておられるんだと私は思っておりまして、それは研究をされた結果の発言であろうと思って聞いております。
○佐々木(憲)委員 アメリカでは、テロ事件以後、個人消費が非常に萎縮して落ち込んでいるということで、大変大きな問題になっております。
 日本でも、GDPの約6割を占めるのが個人消費であります。これがどうなるかというのは、今後の日本経済の動向を左右する非常に重要なかぎになると私は思うわけですが、総務省が5日に発表しました全世帯家計調査によりますと、8月は前年比で1・1%の減少であります。連続五カ月前年水準を割り込んでいる、こういう状況であります。これは8月の数字ですけれども、問題は9月以後ですね、これがどうなるかということであります。
 大臣の基本認識をお聞きしたいのですけれども、今後の日本経済における個人消費の役割、これは私は大変重要だと思うのですけれども、この家計消費というのが経済にとってどんな位置づけというふうに認識されておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。
○塩川財務大臣 私は、最近の消費者物価指数であるとかいろいろな数字が言われておりますけれども、これらの数字が本当に実体社会を正確に反映しているかどうか、いわゆる統計そのもののファクターから十分検討する時期に来ておるのではないかなと。私は、間違っているとは言っておりませんが、しかし、検討する必要があるんだろうと思っております。
 それは何かといったら、従来の消費者物価指数というのは、余りにも生活の物質面における統計を中心にいたしておりましたけれども、現在で消費者動向を見ますと、消費者はむしろハードの支出よりもソフトの支出が非常に多くなっていることは事実でございます。それは佐々木さんも御存じだと思うのです。そういうようなものはどのように消費者統計に出ておるかということにつきまして、私は、若干これは研究してもらう必要があるのではないか。
 したがいまして、消費が落ち込んでおることは事実でございます。それは物質的な消費は落ち込んでおりますけれども、一方において、ハード的な面における消費は、新しい開発が行われたりなんかしまして、それなりに活況を呈する面もある。全体として消費者といいますか国民がいわゆる生活あるいは家計上に使っておる支出というものは、そんなに私は変動しておるものじゃないと思っております。
○佐々木(憲)委員 統計指数をより正確にするというのは重要だと思うのですね。
 ただ、今おっしゃったように、現在の統計が不正確であるとすれば、私は、より大事なことは、生活の実感にどれだけその統計が合っているのかという角度から見直すということが大事だと思うのですね。そういう点からいいますと、どうもこの統計は実感に合わない、むしろ生活実態の方がより深刻だ、こういう声をよく聞くわけであります。
 ですから、景気のウオッチャー調査ですとかいろいろな工夫をされているようですけれども、しかし、大臣の言うように、現実は楽だけれども統計が厳しくあらわれるというのでは私はない、これは逆ではないかというふうに思いますので、その統計の検討も、より正確にやっていただければというふうに思うのです。
 そこで、個人消費の重要性については大臣もお認めになっていると思うんですけれども、アメリカはこの個人消費の落ち込みに対して大変大幅な減税を行うということが発表されておりまして、それは金額にして総額約600億ドル、日本円で7兆2千億円の減税ということですね。
 塩川大臣にお聞きしたいんですけれども、個人消費の落ち込みに対して、アメリカではこういう措置をこれからとろうとしておりますが、日本の場合も大変深刻な事態にありますが、これに対して何らかの対応を考える必要があるというふうにお考えなのか、それとも、これはもう特に対応するということも必要がない、こう考えておられるのか。その点について、政策の基本的な方向性についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○塩川財務大臣 これは正確じゃございませんでしょうけれども、私が最近アメリカの方からもらいました指数によりますと、確かに9月の落ち込みは、対前月2・4%消費は落ちておるという報告がございますが、その中に括弧して、この主たる要因は自動車関係の販売の不振によるということが書いてございまして、したがって、一般消費は落ち込んではおるけれども、そんなには落ち込んでおらないだろうと思っております。
 私らの方で、日本におきましても、消費は、衣食住の面に関しまして、私はやはりこれからの消費の重点を置いていくべきは住じゃないかなと思っております。食と衣は大体において消費者の水準はまあ以前よりは低下しておらない、むしろよくなっておるようには思いますけれども、住宅の改良に対する要求は相当ございますので、住宅関係に関する消費をもう少し高めていく必要があると思っております。
○佐々木(憲)委員 食と衣が低下していないというふうに、この問題を議論しておりますといつも塩川大臣はそのようにおっしゃるんですけれども、私は衣も食も今大変落ち込んでおるというふうに考えておりまして、それは、正確ではないとおっしゃるけれども、政府の統計では前と比べてかなり落ち込んでいることはこれは事実でございます。住宅も落ち込んでいる。
 そういう状態の中で、これはもうしようがないんだというふうな考えでどうも今おられるような感じなんですけれども、果たしてそれでいいのかどうか。塩川大臣は、個人消費の重要性は認めておられると思うんですね。これがどんどん落ち込んでいるという状況の中で、これに対して、今の御答弁ですと、まあ政府としては特に改めて何か対応するようなこともない、大体そういう考えなんでしょうか。
○塩川財務大臣 いや、何も対策が必要ないとは思っておりません。
 しかしですよ、佐々木さん、最近、衣料品にしても、特に食料品なんて、物すごい価格破壊が起こっておるんじゃないでしょうか。今まで1万円ぐらいかかっておったレストランのいわゆるフルコースが、5千円、7千円という程度に下がってきております。ですから、実質的な消費というものはそれほど落ち込んでおらないんだけれども、価格が非常に低下してきた、廉価してきたことが、消費全体と見ました場合に、消費が落ち込んでおるような私は数字になってきておると思っております。衣料品につきましてもそうでございまして、もう以前に比べまして、10年前の衣料品の平均価格と現在と比べましたら、かなり低下しておる。これはやはり経済界の努力もあったんでございましょうけれども、流通システムだとかいろいろな面の改革、機構改革が行われた結果、こういうことをもたらしたと思っております。
 ですから、消費量と消費に使っておる価格の総額というものとは、ちょっと私は最近違うんではないかと思っております。その意味において、私は、現在の統計をもう少しいろいろな面から、ファクターを再検討してもらいたいなと思っておるんです。
○佐々木(憲)委員 今、統計の話ばかりされますけれども、需要が落ち込んでいるために物が売れない、売れないから価格が低下する、これはデフレ的現象ですよね。しかもアジアからどんどん低価格が入ってくる、そういう関係で起こっているわけでありまして、これが生活にプラスになっているということでは私はないと思うんですね。これはそこばかり議論してもしようがないんですけれども。要するに、私が質問をした点について大臣は、個人消費が落ち込んでいてもそれに対して正面から何か取り組むというような姿勢はどうも見られないわけであります。
 そこで、もう一度全体の経済に戻して考えてみますと、経済が成長率がかなり低下してくる、マイナスになる、当然、そうしますと税収も落ち込んでまいります。財政に与える影響というのは大変深刻だと思うんですね。そこで、今年度の税収、これは当初予算では50兆7270億円と見込んでおられましたが、かなり低下すると思うんですが、この辺はどのように数字の上で見通しておられますか。
○塩川財務大臣 先日、当局者の方から聞きましたら、大体、年間通じまして1兆1千億円ぐらいの減収になるであろうという報告を受けております。
○佐々木(憲)委員 1兆1千億円の減収というのは大変深刻だと思うんです。
 そこで、もう一つは、今度、歳出の面でありますが、昨日、米軍支援のための法案が特別委員会で採決をされました。これは、アメリカの報復戦争に後方支援という名で自衛隊が参加する、我々はこれは憲法違反の法案だと思いますけれども、反対でありますが、この法案が仮に実施されていくとなった場合、これに伴ってどのような財政上の負担が生じるかというのが私の知りたい点であります。
 このテロ対策法、あるいはアメリカ戦争支援法と言ってもいいと思うんですが、今までできなかったことをいろいろやろうということであります。一番典型的なのは、武器弾薬の輸送であり、かつその支援の範囲が地理的には無限定であるという答弁でありました。かなり大規模な支援ということになるのではないか。法案によりますと、補給、輸送、修理、整備、医療、通信、空港及び港湾業務、基地業務、その他いろいろありますけれども、この中身を見るだけでも、かなり広範囲の財政負担が伴うだろうというのが想定されるわけであります。
 そこで、今年度予算との関連でまずお聞きをしたい。今年度予算では当然、想定外のことが今起こったわけであります。法律もつくって想定外のことをやろうとしているわけであります。そうすると、最初にこの予算は組まれていないわけですから、その費用を一体どこから出すのか。この点、まずお聞きしたいと思います。
○村上財務副大臣 佐々木委員の御質問にお答えします。
 まず、このテロ対策関連法案に基づいて、我が国の支援については、御高承のように、米国等の意向なども踏まえて、どのような協力支援活動をするかというのは今随時検討が進められているんですけれども、現時点においては、同法案に基づく支援内容がどのように行われるのか、また、追加的経費が発生するのか、またしないのか、それについても非常に不確定な状況にあります。
 それから、今後、具体的な支援内容でもって既定予算で対応し切れない追加的な措置が生じる場合には必要な財政措置を考えているんですが、今の御質問で、具体的な財源措置として、年度内の追加的措置については、補正予算への計上あるいは予備費用による対応が考えられるということが言えると思います。
○佐々木(憲)委員 じゃ、もうちょっと具体的にお聞きしたいんですけれども、10月6日に航空機C130輸送機六機が愛知の小牧基地からパキスタンに飛んだわけですね。3泊4日かけて行った。このための費用、具体的には幾らかかりましたでしょうか。
○村上財務副大臣 このC130の六機がパキスタンに派遣された費用なんですが、大体、航空機の修理費が1億2700万、それから地上支援等の経費が7100万円で、大体約2億円と聞いております。
○佐々木(憲)委員 これだけのことをやるだけでも2億円がかかるわけであります。
 過去も、例えばカンボジアへの派遣、これで平成4年で75億円、平成5年29億円。それからモザンビークへの派遣の経費も平成5年で10億円、平成6年7億円。ルワンダ、平成6年57億円。過去の事例を見ましても、非常に限定的ではありましたけれども、それでもこれだけの金額がかかっているわけでございます。
 そうしますと、これは補正予算で措置をしたいというふうなお考えですけれども、では補正予算はいつごろ提出されるんでしょうか、塩川大臣。
○塩川財務大臣 補正予算の提出の時期でございますけれども、やっと税収見積もりが大体確定しまして、今精査いたしておりますのがもう近く決まると思っております。そういたしますと、いろいろな査定がこれから行われてくることでもございますので、11月の10日前後ではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 それで、その規模ですね。これは、今も村上副大臣がおっしゃいましたが、この米軍支援というものも含めて考えておられるのか、それとも、それはまた別途考えておられるのか。新聞報道によりますと、一次補正で景気対策などをやり、二次補正でこの米軍支援の問題をやるというようなことも言われておりますが、その辺はどういう区分けになるんでしょうか。
○塩川財務大臣 それは、特定の経済界を代表する新聞がそんなことを書いておりますけれども、他の新聞はそういうことは冷静に扱っておりまして書いておりませんが、一次補正、二次補正というものは、風聞であることは事実でございますけれども、政府の方針としてはそれはとっておりません。
 あくまでも、近く、11月の上旬、あるいは中旬になるかもわかりません、私は大体10日前後と思うておりますが、提出できると思います補正予算、これが本物の政府の補正予算でございまして、風聞による補正予算はどこから出るかは私は承知しておりません。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、竹中経済財政担当大臣が一次、二次と考えているというふうにおっしゃいましたが、これは違うわけですね。
○塩川国務大臣 どういう意味か、私は全然わかりません。しかし、政府はそうであるということだけ申し上げておきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 竹中大臣は政府じゃないわけですね。
 それで、今、米軍支援の問題も補正で措置するという答弁、村上副大臣がおっしゃいましたね。これは、それではどのくらいの規模になるのか。どの程度を想定しておられますか。
○村上財務副大臣 お答えいたします。
 先ほどお答え申し上げましたように、現時点では米国から後方支援にかかわる要請についてはまだ把握しておりませんし、また、今申し上げたように、追加的経費が発生するのか、しないのか、まだまだ不確定な状況でありまして、そこら辺は今後の状況を見ながら考えていきたい、そのように考えております。
○佐々木(憲)委員 10日までにこれは出すわけですから、どの程度というのはある程度想定はつくと思うんですが、どうも今はまだ不確定だとおっしゃる。
 それでは、アメリカの側は、日本に後方支援という形でやってもらいたいというような話がアメリカから伝わってくる。日本の政府としては、小泉総理も、最大限やるんだ、できることは何でもやる、こうおっしゃっているわけです。
 そうしますと、要請された支援の内容、これはどの規模になるかわかりませんけれども、しかし日本政府の立場としては、この要請に対して、何かこの辺までは、もうこれ以上はできないよ、予算も大変な事態だから、財政も大変な事態だからこれ以上はできないよ、こういう考えはあるんでしょうか。それとも、要請されたらできるだけ、上限なしに対応したいというふうに考えておられるのか。その辺の考え方はどうですか。
○村上財務副大臣 それは当然、先生御高承のように、憲法の範囲内でもありますし、それからもう一つは、今回のアフガンの戦いは湾岸戦争とちょっと戦い方も違うでしょうし、そこら辺をまだまだ、初めてのコンバットですから、だれもが想像つかない点が多々あるわけで、現時点でそこまではだれも把握できていない、私はそう考えております。
○佐々木(憲)委員 金額について、今の御答弁ですと、特に上限を設けて何かやろうとしているわけではないということだと思うんですね。
 そうすると、アメリカ側はこの軍事作戦はかなり長期になるということを言っているわけですね。当然、日本も長期にわたる後方支援、財政負担というのが要請される。そうなると、今のただでさえ大変な赤字財政が大変圧迫されてくると思うんですけれども、そうなっていくと、問題は、その負担がほかの費用に回されて、後方支援関係がふやされるけれども、ほかのところが圧迫されるという可能性が非常に出てくると思うんです。
 そこで、塩川大臣にお聞きしたいんですが、30兆円の国債の枠、この点について、先週の金曜日、当委員会で御答弁になったのをお聞きしますと、30兆円は原則です、これはもうやめるわけにはいかないんだというふうにおっしゃいました。新聞報道によりますと、小泉総理は、今緊急事態だから、30兆という枠、この点についてこだわらないという話も伝わっておりますが、大臣はどのようなお考えなんでしょうか。
○塩川財務大臣 私は、小泉内閣として閣議で決定いたしました国債発行の枠を30兆円内に抑えて、それで予算を編成していくという基本方針には変わりません。
 小泉総理自身も、非常事態が起こった場合ということでございますが、現に非常事態が現在起こってきておりません。将来はわかりません。けれども、今のところ、そんな状況ではない。私が冒頭佐々木さんの質問で申しましたように、現在のアフガンに対しますアメリカがとっております作戦は、一面、戦争のようではございますけれども、実態を見ますと、グローバルな外交交渉が主体であるということでございますので、しかも、いや、事実そうなんですよ。だから、戦争じゃないですよ。向こうでやっているのは事件でありましょうけれども。
 しかし、そういう点から見て、我々に何の経済的な要請はまだ出てきておりません。ですから、そういうようなものが具体的に出てきた段階において考えるべきであって、我が国は主体性を持っておるんですから、日本のいわゆる方針、政府の方針によって予算を組めばいいのであって、アメリカがどうだろうから第二補正だ何だという、そんなことを今の時点で考える必要はない。我々日本人として考えておりますから、御承知いただきたい。
○佐々木(憲)委員 まあしかし今の御答弁を聞いていますと、アメリカが爆撃していることさえどこか忘れ去ったような話で、現実に軍事作戦を組み、毎日爆撃が行われているんですよ。それで、一般市民が巻き添えを食って、大変な死傷者が出ている。そういう事態について全く認識がないという感じがいたします。
 いずれにしても、そういうことに対して日本が後方支援するという法律を今与党の側は強行しようとしているわけであります。そのための財政措置もとろうというわけでしょう。そうすると、赤字財政が非常に深刻だ、その中で30兆の枠は守るんだ、そうすると、どこからお金は出るんですか。結局は、国民の生活に関連するところ、こういうところが圧迫されていくじゃありませんか。
 では最後に具体的に伺いますが、厚生省が医療改革の試案を出しましたが、財務省は10月5日に「医療制度改革の論点」というものを出されましたね。この「医療制度改革の論点」というのは、厚生省の案と比べて、財政的な面でいいますと、財政の負担、つまり公費負担、国庫負担について、より国が医療に対してかかわりを薄くしていく、手を引いていく、こういう形になっているんじゃありませんか。厚生省の側は、これも国民負担をどんどんふやすなんというのは我々から言わせればけしからぬわけだけれども、それでもまだ生ぬるいということで出されたんじゃないでしょうか。その基本的な比較、内容について、大臣からお考えを聞かせていただきたいと思います。
○塩川財務大臣 私は、佐々木さんとは大分考え方が違いますね。私は、だからちょっと私たちの考え方をちゃんと教授しておきますから、覚えておいてください。
 財政の基本は、入ってくる、入るをはかって出るを制すというのがやはり財政の基本なんです。そうでしょう。これはわかりますでしょう。ところが、従来は、景気対策だといって出る方ばかりはかって、そして入る方をどうするこうするということを考えて、それが国債発行666兆円というところまで来てしまった。だから、そこで財政をこの際健全化しなきゃならぬ。これはおわかりでしょう。そうするならば、入るをはかって出るを制すという原則に返るべきであるということであります。これが一つ。
 それからもう一つ、厚生省に対しては、「論点」でございます。論点を出すということは、まさに査定するところの交渉じゃありませんか。何も意味がなくて、ただ削ればいいというのが査定じゃございません。私たちは、こういうところが問題があるから検討しようというので論点を出したのであって、意見を出したんじゃありません。
○佐々木(憲)委員 時間ですからこれで終わりますが、今おっしゃった点は、いろいろ我々、異論があります。
 660兆の借金をつくったのは、今までのあなた方の政権がやってきたわけでありまして、それがどんなに財政を深刻な事態にさせてきたかという反省が、まずない。
 それからもう一つは、それをどういう形で解消しようとしているか。我々は、むだな公共事業を削れということを言っております。しかし、まともな公共事業を削る案なんか出てきていないじゃありませんか。
 もう一つ問題は、それをどこに向けているかというと、医療、社会保障、生活、こういう分野の切り込みを、これは査定とかなんとか言っていますけれども、ばっさばっさと削ろうという姿勢が見え見えであります。
 我々は、その中身を問題にしているのです。本当のむだを削って、国民の暮らし、国民の命、ここにかかわるところはしっかりと確保し、そして財政の再建の方向を見通していこうと。だから、今回のように青天井で、アフガン攻撃をがんがんやっているアメリカを補正予算を使ってどんどん支援して、財政破綻に拍車をかけるようなやり方は反対だ、このことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

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