アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金融(銀行・保険・証券) (銀行株式取得機構)

2001年10月31日 第153回 臨時国会 財務金融委員会 【143】 - 討論

「銀行保有株式取得機構」創設の法案が衆院委員会を通過、佐々木議員が反対討論

 2001年10月31日財務金融委員会で、銀行保有株式取得機構を創設する「銀行株式保有制限法案」が採決され、共産・民主・自由・社民の野党4党が反対するなか、自民・公明・保守の与党3党の賛成で可決され衆院委員会を通過しました。
 佐々木憲昭議員は、29日の質疑に引き続き、日本共産党を代表して反対討論を行いました。

 このなかで佐々木議員は、「法案は、銀行に対する株式保有制限の導入を理由に、銀行保有株式取得機構を創設し、銀行支援のために新たな財政資金投入をおこなおうとするもの」だとして、「機構が銀行から取得した株式に損失が発生した場合、銀行の負担には上限があるにもかかわらず、それを超えたすべての損失が国民に押しつけられる仕組みとなっている。これは、銀行の株式損失リスクを国民に肩代わりさせるものであり、株価変動による自己資本比率の低下を公的資金で支えるものにほかならない」と法案の核心を指摘しました。

 そのうえで、佐々木議員は、次のように指摘。
(1)現在、自己資本相当額を大きく超えて株式を保有しているのは一部の大手銀行であり、機構の買い取り対象となるのはもっぱらこれらの銀行であること
(2)都銀9行だけでも5年間で12兆円の株式含み益を上げており、株価が低迷したらその負担は国民へというやり方にはなんの道理もないこと
(3)法案質疑のなかで、当事者である全国銀行協会の会長も、機構については“業界としてのニーズはない”と述べ、大手銀行は計画的に保有株式の売却を進めていること

 「審議を通じて道理のなさがつぎつぎと浮き彫りになった本法案は、きっぱりと廃案にすべきものだ。それを、あくまで押し通そうという政府・与党の対応は、大手銀行支援のためなら国民負担がどんなに増えてもかまわないという理不尽な姿勢を内外に示すものでしかない」と述べ、本法案に反対であることを表明しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、銀行等の株式保有制限等に関する法律案に反対する討論を行います。
 本法案は、銀行に対する株式保有制限の導入を理由に、銀行保有株式取得機構を創設し、銀行支援のために新たな財政資金投入を行おうとするものであります。
 法案は、機構が銀行から取得した株式に損失が発生した場合、政府保証で穴埋めする仕組みを盛り込んでおりますが、その際、銀行の負担には上限があるにもかかわらず、それを超えたすべての損失が国民に押しつけられる仕組みとなっています。これは、銀行の株式損失リスクを国民に肩がわりさせるものであり、株価変動による自己資本比率の低下を公的資金で支えるものにほかなりません。
 本法案の質疑の中で指摘したように、現在、自己資本相当額を大きく超えて株式を保有しているのは一部の大手銀行であり、機構の買い取り対象となるのは専らこれらの銀行であります。しかし、大手銀行は、これまで株式の含み益による益出し操作で莫大な利益を手にしてきました。都銀九行だけでも、5年間で12兆円の利益を上げてきたのであります。株価が低迷したらその負担は国民へというやり方には、何の道理もありません。
 政府は、本法案の質疑の中で、機構は株価の下落から信用秩序を維持するために必要だと繰り返し、機構は銀行に株式保有制限の達成を促していく制度の一つだと述べて、機構の創設を正当化しようとしました。
 しかし、株価の動向は、300兆円という取引全体の需給の中で決まるのであり、この間の銀行による株式売却が株価の動向に影響を与えてこなかったことを、金融庁自身が認めています。さらに、当事者である全銀協会長も、一昨日の参考人質疑の場で、機構については業界としてのニーズはないと言い、我々は市場売却を中心に考えていると述べております。実際に、この間大手銀行は計画的に保有株式の売却を進めており、今後も売却を進める方針をとっているのであります。
 このように、審議を通じて道理のなさが次々と浮き彫りになった本法案は、きっぱりと廃案にすべきものであります。それを、あくまで押し通そうという政府・与党の対応は、大手銀行支援のためなら国民負担がどんなにふえても構わないという理不尽な姿勢を内外に示すものでしかありません。
 銀行の株式保有を規制することは、公共的性格を持つ銀行の経営が株価によって左右されることを防ぐ上で当然必要なことです。しかし、その達成は、銀行が自己の責任で行うべきものであります。税金投入による新たな支援策は、銀行のこの自己責任原則を国の側からねじ曲げる護送船団行政そのものであり、絶対に容認できません。
 以上の理由から、我が党は本法案に反対であることを表明しまして、討論といたします。(拍手)

Share (facebook)

このページの先頭にもどる