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金権・腐敗政治 (政治資金収支報告書の虚偽記載, 政治資金規正法の改定, 政党助成金)

2009年07月09日 第171回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【533】 - 質問

民主党に企業・団体献金の禁止と政党助成金廃止について質問

 2009年7月8日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会が開かれ、前日、趣旨説明された民主党提出の政治資金規正法について質疑が行われました。佐々木憲昭議員は、民主党にたいし、企業・団体献金や政党助成金について質問しました。

 佐々木議員は、民主党の法案が企業・団体献金の全面禁止を3年後に先送りし、その間は受け取る内容になっているのはおかしい。直ちに禁止すべきだと主張しました。
 また、2002年に4野党で共同提案した公共事業受注企業献金禁止法案に入っていなかった1件1億円未満の受注企業の献金容認が民主党案に入っていると批判しました。
 さらに「企業・団体献金も政党助成金も受け取りながら、個人献金を集めようとしても集まるはずがない。政党の姿勢そのものが問われる」と指摘しました。
 答弁に立った民主党の長妻昭議員は、1億円を基準とする根拠も示せず、「見返りを求めない献金もある」などと合理化しました。
 佐々木議員は、個人献金が増えない場合には、公的助成の拡充を検討することを盛り込んだこの法案は「個人献金が集まらないことを理由に政党助成金を増額するものだ」と指摘しました。
 そのうえで、「いまでも党本部財政の8割を政党助成金に依存している民主党は、ますます税金依存を強めることになる」と述べ、「強制カンパを国民に押しつけ、それを山分けする仕掛けをつくるなど、とんでもない話だ」と批判しました。

 また、故人や献金の意思のない人の名義を利用した偽装献金が問題となっている民主党の鳩山由紀夫代表が6月30日の記者会見で、自身の個人資産の預金から、必要な都度担当の秘書に引き出させていたと述べたことについて、「納得できない」と指摘しました。
 民主党の提案者である篠原孝議員も「鳩山さんのは訳が分からない」などとのべました。
 その一方で、「答弁する立場にない」と繰り返し、資金の出所についての確証を示すことができませんでした。
 佐々木議員は、鳩山氏みずからが事実関係を明らかにすべきだと強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 この審議の参加状況を見ますと、提案している民主党は何か半分以下しかいないし、公明党はだれもいない、自民党は半分しかいない、こういう状況ですから。先ほどの午前中の質問を聞いておりますと、他党を批判するのに大騒ぎしながら、終わったらさっさといなくなる。一体これでまともな審議なのか、私はそう思いますよ。
 この委員会のあり方について、委員長、どう思われますか。
○河本委員長 委員会は成立していると思います。
○佐々木(憲)委員 ぎりぎりということですけれども、私は、本当にふまじめな対応だと思うので、こういう問題はきちっとして理事会でも議論してもらいたいと思います。
 では、本題に入りますけれども、鳩山代表の個人献金問題というのはこの委員会で何度も取り上げられましたが、私どもは、真相の究明というのが一番大事なことであって、政争の具にしようとは思っておりません。先ほど原口提案者が答弁されましたように、疑惑を受けた政治家本人が説明責任を果たすべきである、これは非常に大事な点でありまして、この種の問題は、きちっと説明をするということによって事実を明らかにすることが大事なことだと思います。
 そこで、提案者の側に感想をお伺いしますけれども、この鳩山代表の個人献金問題というのは、どこが問題だったというふうに思っておられるか。世論調査では、7割、8割の方々が説明責任を果たしていないと答えておられるわけですが、民主党としては、これをどう受けとめてどう対応するおつもりなのか、まずお伺いしておきたいと思います。
○篠原議員 何度も同じ答弁で恐縮でございますけれども、鳩山代表の件、我々すべて承知しているわけではございませんで、きちんと答弁はできかねると思います。
 しかし、せっかくの御質問ですのでちょっとだけ答えさせていただきますと、簡単に言いますと、私のようなお金が足りない人といっぱいある人とで全然違ってよくわからない、これが一番の国民の率直な感想ではないかと思います。
 こんなことを言っては悪いんですが、ほかの方々、与謝野さんの、二階さんの、小沢さんのも大体想像がつくわけです。こんなふうに、こんなのだろうなというのはできるんですが、鳩山さんのはわけがわからないというのが率直な心境でございます。
○佐々木(憲)委員 大変率直なお答えだと思うんですね。我々もよくわからないわけですよ。なぜ、2005年から2008年の4年間で、193件、約90人分で2200万円という大金が、訂正せざるを得ないような、事実に反する記載をされたのか。亡くなった方もいたとか、献金したことがないという人もいたとか言われていますけれども、なぜそうなったのかというのがよくわかりません。
 鳩山さんは記者会見で、多分私に対して個人献金が余りにも少ないものですから、そのことがわかったら大変だという思いが一部にはあったのではないかと推測しております、このように発言をされています。私はこの鳩山さんの発言を聞いて、なぜこういう発言をされたのか、これも大変疑問に思うわけです。推測と言われていますけれども、自分で自分の秘書に、どうしてそんなことをしたのか、こう聞くとその実態がわかるはずであります。
 提案者はどのような説明を受けておられるでしょうか。秘書がどういう理由で私はこういうことをしましたと、その説明を党内でされたのでしょうか。それをどのようにお聞きになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○長妻議員 佐々木委員にお答えをいたします。
 これは繰り返しで大変恐縮でございますけれども、私ども、本法案の提出者の立場で答弁席に立っておりますので、本質問に責任を持って答える立場にはないと考えておりますけれども、基本的には、鳩山代表から文書で、弁護士さんも含めて、説明を全民主党議員が受け、そしてそれはマスコミにも発表されていると聞いております。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、本人からそういう話が、つまり公設秘書の話があったのかどうか、そして、なぜその秘書に確かめなかったのか、それを聞いているんです。
○長妻議員 その点につきましては、繰り返しになって恐縮ですけれども、本法案提出者の立場で答弁席に立っておりますので、本質問に答える立場にはないというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 先ほど篠原提案者がよくわからないとおっしゃったわけですが、やはり党内で事実関係をきちっと確かめるということをやることが大事ではないかと思うわけです。つまり、推測するとか、こう聞いているというようなことでは説明が果たされたというふうには世間では受け取られないわけですね。ですから、この点を明確にしていただかなければならないと私は思うわけです。
 本人が説明できないのなら、一人ではないと思うんです、会計の担当、実務担当というのがおられると思うので、そういう方々に、どうしてこういうことが発生したのか、その理由をただすというのは当然やるべきことだと思うわけです。この点、いかがでしょうか、篠原提案者。
○篠原議員 これも何回も同じ答弁で恐縮でございますけれども、私の答える範囲外のことではないかと思います。
 先ほどちょっと申し上げましたけれども、鳩山代表は、午前中も答弁いたしましたけれども、34人の全記者、全部質問が終わるまで聞いてということをやって、これで相当説明が果たされているんじゃないかと思います。
 それで十分かどうかということでございまして、世論調査の数字も出されましたけれども、私、国会議員になって6年ですが、この手の話でいろいろ説明すると、世論調査をした場合に、では、みんな納得したという答えがあったことはほとんどないのではないかと私は思います。ですけれども、どういう態度でもって説明しているかということを考えれば、鳩山代表は、今までの方々と比べても、相当真摯に答えられているんじゃないかと思います。
 こういうことは言いたくはないんですけれども、二階大臣、与謝野大臣と比べたら、記者会見のやり方等を考慮しても、非常にきちんと説明されているのではないかと思います。その点では私は理解しているつもりでございます。
○佐々木(憲)委員 私は別に党略的に攻撃しようと思っているわけではなくて、事実関係をきちっと明確にすることが大事なことではないかと思うから質問をしているわけでございます。
 例えば、個人献金が少な過ぎたから、それをふやすためにやったんだという説明、そう推測するという説明がありました。ところが、個人献金が実はかなり多い方だということが事実関係でも明らかになった後の鳩山さんの説明は、企業・団体献金が、鳩山は金を持っているからということで、なかなか集まらない、その焦りもあったと思うというふうに修正した形で説明をされているわけですね。つまり、企業・団体献金が少なかったからこうしたんだと。
 最初は個人献金が少なかったからこうしたんだと言っていたんですけれども、その後で、企業・団体献金が少ないのでこうしたと。どうも説明が一貫していないわけです。だからこそ、その真相というものがどこにあるのか、なぜこんな莫大な、大量の事実に反する記載をされたのか、これをちゃんと説明してもらわないと納得できないわけです。
 それから、今の答弁では、これは説明が尽くされたということに私はならないと思いますので、ぜひそこはさらに説明をきちっとやっていただきたい。
 もう一点は、鳩山さんの個人財産である預金からこのお金が出たんだということを言われている点なんですが、鳩山さんはこう言っているんです。私の個人資産として普通預金に入れているもののうちから、必要な都度、担当者に引き出させて預けていたものだというふうに説明されているんですね。つまり、個人の預金と政治資金というものが何か混同されて、ごっちゃになっているような感じがするわけです。秘書が勝手に2200万円も引き出して、これを政治資金に充てる、こういう説明はどうも納得ができないんですね。
 やはり、個人の預金が原資になっているというのが本当なのかどうか。この委員会でもいろいろ指摘がありましたけれども、ここで聞きたいのは、鳩山さんの個人の預金が原資になっているということを証明する資料というものは党内では提出されているんでしょうか。
○武正議員 佐々木委員にお答えをいたします。
 重ねて、繰り返しになりますけれども、私ども提案者は、この民主党の議員立法である政治資金規正法等の一部を改正する法律案についての質疑ということで、今の御指摘のお答えについて、答弁する立場にはないということをまず繰り返させていただきたいというふうに思います。
 ただ、午前中も同僚委員から答弁がありましたように、やはり政治資金規正法の趣旨というものが、国民の不断の監視と批判のもと、そしてまた、政治資金が民主政治の健全な発展を希求して拠出された国民の浄財である、こういったことを我々個々の議員が肝に銘じて、そして、その政治資金が国民のそうした不断の監視と批判のもとにさらされるべく、それぞれの議員が公開ということで努力をしていくというのが法律の趣旨であるということを肝に銘じていることを私としてはお答えをさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 公開をすることによって国民のチェックの対象として提供し、そして不断の監視のもとに置く、そういうことであるならば、私の個人的な預金から使ったんだという説明をされているわけですから、当然それを証明するものが提出されているのかどうか、これはやはり大事な点だと思うので、私が聞いたのは、そういうことがなされたかどうかというのを聞いているわけです。
○武正議員 繰り返すようで恐縮ですが、あくまで私どもは、ここは法案提出者として質疑に応じて答えているところでありますので、今の件についてお答えはできないということでございます。
○佐々木(憲)委員 提出されたのなら提出されたとお答えになるはずですから、今の答弁ですと、これは提出されていないということだと思うんですね。
 そうなりますと、口頭ではこれは個人預金であるということで説明をされていますけれども、それを証明するものがないと、出所が明らかにできないようなお金ではなかったのかという疑問に対しての回答にはならないんですね。その疑問を解消できないですね。
 ですから、やはり私は、これだけ大規模な、不正確な、あるいは偽装なのか、よくわかりませんが、事実と違うことを記載せざるを得なかった理由、これがもう一つわからない。それからもう一つは、その原資であります鳩山さんの個人の預金から出たという説明をされていますけれども、それも、それがそのとおりであるという証明がなされていない、口で言っているだけである、こういうことになりますので、この二点について、やはりしっかりとした説明というものがされる必要がある、このことを求めておきたいと思います。
 佐藤大臣に確認をしたいと思いますけれども、そもそも、政治資金規正法における政治資金というのは、国民の浄財、すなわち個人献金であります。だからこそ、国民の政治参加の手段、国民の権利という位置づけになっているわけですね。その上で、政党や政治団体が国民の不信を招くようなことをすれば、議会制民主主義そのものの不信につながるということを指摘しているわけです。
 したがって、支持する政党に政治献金を行うということは、憲法で保障された国民の一人一人の参政権の一つであり、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と結びついたものであるというふうに位置づけられているわけです。これは公布以来一貫して変わらない原則だと思うんですが、現在の法体系というのは、政治資金というのは国民の浄財、すなわち個人献金であるべきではあるが、すぐには個人献金に全面移行できないので、一定の規制を加えることによって企業・団体献金を認めている。つまり、本来なくすべきものだけれども、過渡的な形で、ルールを明確にして容認しているというのが実態だと私は思います。
 したがって、有権者による個人献金、浄財というものと企業・団体献金による献金というのはやはり性格を異にするものである、根本的に私は違うものだというふうに思いますけれども、総務大臣、これはこのとおりでよろしいですか、そういう考えで。
○佐藤総務大臣 お答え申し上げます。
 個人献金でございますけれども、国民の政治参加の表現の重要な一形態でございます。いわば参政権の一つというべきものでございます。また、国民自身が政治を支えるという見地から、民主政治の健全な発展を図る上で不可欠なものでございまして、広く国民から献金がなされるということは有意義なことであるというふうに考えております。
 一方、企業等の団体も一つの社会的存在でございますし、先ほどから申し上げておりますように、最高裁の判決にもあるように、本来政治活動の自由を有するものでございますし、節度を持って行われるべきであるというふうに思います。企業・団体献金そのものを一概に否定すべきではないというふうに思います。
 いずれにいたしましても、政治資金の集め方については、国民の批判を招くことのないような、節度を持って行われるべきものであるということは当然なことではないかなというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、個人献金と企業・団体献金というものの性格が違うのではないかと。つまり、主権者たる国民が政治参加の一形態として行うものと、企業や団体というのは性格が違いますね、目的が。そういう組織ですね。これはやはり違うのではないかと聞いたわけです。
○佐藤総務大臣 国民の政治参加の表現の重要な一形態であるとともに、国民自身が政治を支えるという見地からも、民主政治の健全な発展を図る上で不可欠なものでありまして、広く国民個人から献金がなされることは有意義なことであるというふうに先ほど申し上げました。
 そして一方、企業献金については、最高裁の判例にございますように、八幡製鉄事件、昭和45年の判決でございますけれども、企業は自然人とひとしく社会的実在であること、そして企業が政治活動の自由を有すること、政治資金の寄附もその政治活動の自由の一環であること、企業の行う寄附が国民の参政権を侵害するものとは言えないということを明確に示しているところでございます。
 いずれにいたしましても、何回も申し上げますが、政治資金の集め方については、国民の批判を招くことのないように、節度を持って行われるべきものではないかなというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 企業について、何か、個人と同じように社会の一員だから献金して当然である、権利があるんだ、こういうふうに言われました。しかし、私は違うと思うんです。
 この八幡判決について、1993年、衆議院の政治改革に関する調査特別委員会に元最高裁長官の岡原さんというのが出席をされまして、あの裁判をもとに企業献金はどれだけでもいいという考え方はやめてもらいたい、あれは助けた判決だったんだ、助けた判決というものだ、こういう暴露をされているわけですね。
 それから、熊谷組の株主代表訴訟の福井地裁の判決によりますと、企業や団体の経済力が個々の国民とは比べ物にならず、企業・団体献金が政党に与える影響が大きい、こういうことを指摘して、自民党と財界の不正常な癒着の温床をつくり、国民の選挙権、参政権を侵害する、こういう判決がちゃんと下っているんですよ。
 ですから、企業・団体献金と個人献金というのは明確にこれは区別すべきものであり、参政権は国民に与えられた権利でありますけれども企業には与えられていない、このことを明確に言っておきたいと思います。
 そこで、提案者にもお聞きしたいんですけれども、このような個人献金と企業・団体献金の違い、これをどのように認識されているかをお聞かせいただきたい。
○篠原議員 お答えいたします。
 佐々木委員は、個人の献金と企業・団体献金をきっぱり分けておられます。そういう考え方もあるかと思います。
 ただ、世の中にはいろいろな考えが、あるいは価値観があっていいのではないかと思います。欧米諸国、特にアメリカでは、企業が何々財団をつくって、そこからいろいろな福祉事業にお金を出すというので、社会の潤滑油になっているわけですね。そして、それが今、企業の社会的責任ということでますます大きくなって、特に環境団体等には企業がたくさん寄附しております。
 ですから、企業が、例えばですけれども、立派な政治家になりそうなのがいる、私でもいいんですけれども、企業の社長がこれを育ててやろうということで企業の意思としてやるということについても、私はあってもいいのではないかと思います。
 ただ、なぜ今こういうふうにこういう法律を出すかというと、しかし、そうはいっても、今大きな不信を招いているのは企業献金である、だから、その状況を考えた場合、企業の献金によってうまくいっている部分もあるけれども、それが、環境NGOとかそんなのでなくて政治家に対して向けられてもいいわけですけれども、大きな不信のもとになっている。ですから、政治への信頼を取り戻すためには、やはりこっちの公益の方が大きいので、企業献金を禁止して個人献金にしていこうじゃないかという決断を我が党はしているわけです。
 だからといって、佐々木委員のおっしゃるようにきっぱり分けたわけではありません。党内でもいろいろ議論いたしました。やむを得ずということではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 3年後とはいいながら企業・団体献金を全面禁止という法案を出されているわけですから、企業・団体献金を認めるというのであれば、この法案を出す必要はなかったんじゃありませんか。何のためにこの法案を出しているのか疑われるような答弁じゃないかなと私は思いますよ。
 長妻さんに伺いますけれども、企業というものの存在、これは利益を得ることを本来の目的にしている営利団体ですね。政治にお金を出すということは、その企業が目的としている営利につながる、つまり投資に見合った見返りというのを求めることに私はならざるを得ないんじゃないか。その献金が企業にとって何らかの利益に結びつく献金だとすれば、これは、性格からいうと賄賂性を持ってくると私は思うんです。逆に、企業の利益にもし結びつかないようなお金の出し方をしたといたしますと、それはその企業に損失を与えることになり、背任行為になるのではないかと思うわけですね。
 したがって、企業・団体献金というのは、本来透明だとかクリーンなお金というのは考えられない。企業・団体献金というのは本質的にそういう性格を持っておりますから、これは廃止するしかないと私は思っておりますが、提案者である長妻さんはどのようにお考えでしょうか。
○長妻議員 佐々木委員にお答えをいたします。
 先ほど八幡製鉄事件判決に言及されましたけれども、この判決、私どもも承知をしておりまして、この判決では、会社には自然人たる国民と同様、政治資金の寄附も含めて政治的行為をなす自由があるという判断をしましたけれども、確かにおっしゃるように、この判決に対しては、学説上、憲法が強大な経済力と社会的影響力を持つ会社に対して自然人と同じく政治的行為の自由を無制限に、無限定に認めていると解するのは行き過ぎであり妥当でない、こういう意見があったり、もう一つは、多額の寄附が国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに大きな影響を及ぼすことは否定しがたいということももちろん言われているわけでございます。
 佐々木委員がおっしゃられるお話で、企業というのは利益を出すというのも一つ大きな目的で運営をされている、そのときに、お金を支出するときにはその利益に資するお金でないと、極端に言えば背任になるという理屈もわからないではないんですけれども、現実に、私どももいろいろ企業の献金やあるいは社会活動などを拝見しておりますと、政治献金そのものにおいても見返りを全く求めない献金というのも、つまり、日本国社会が豊かになってほしい、国が繁栄してほしい、こういう非常に広い意味での願いを持った献金というのも、これはあるのも事実だというふうに思っております。
 必ずしもそういう意味では、すぐに、直ちに悪だということを言っているわけではございませんけれども、これまで幾度となく企業・団体献金が国民の政治不信を招いてきた、あるいは口ききにつながる、こういうことがありますので、諸外国も見て、フランス、カナダも企業・団体献金は全面禁止となりましたし、イギリスでは、企業献金に関しては寄附先と金額が株主総会の承認事項ということで、これもいろいろな考えがあるんでしょうけれども、我々としては3年後ということでこういう法案を提出させていただいたところでございます。
○佐々木(憲)委員 企業が献金をするということは、これは何か見返りを求めないものとしてやるものがあるかのようにおっしゃいましたけれども、それであるなら、きちっと、例えば企業が税の負担をする、あるいは社会保障の負担をする、そういう形で社会的貢献を行うべきであって、特定の個人あるいは特定の政党にのみ献金をするという行為、これは一般的な企業の貢献ということとは私は違うと思いますね。それはやはり本来の社会的責任の果たし方ではないというふうに思います。
 いずれにしても、企業・団体献金については、どうも民主党の考え方はそれを容認する、悪ではないという形で容認をされるようですね。それなら、なぜ禁止をするのかという問題が逆に出てくるわけです。私なんかは、禁止をするなら今すぐやった方がいい。つまり、禁止をするなら、お金を受け取らなければそれで済むわけですから、何も経過措置というようなものも必要はないと思いますので。
 我々日本共産党としては、企業・団体献金は1円も受け取らないという原則を掲げて、法律を何度も提案をしたことがございます。しかし、法律を提案するだけではなく、身をもって実行しようということで、1円も私どもは受け取っておりません。すべて個人献金であり、そして党費であり、また赤旗などの事業収入ということで我々の党活動というものは支えられております。ですから、本来、やる気になればそういうことができると思うんですね。
 ところが、一番問題なのは、自民党は、財界、大企業から、日本経団連の音頭で毎年30億円がばっともらっているわけです。民主党ももらっていますけれども、民主党は8千万円ですね。
 そういう状況にありますから、私は、民主党は、企業・団体献金を禁止というなら、こういうところもすぱっとやめるという姿勢が求められると思うんですけれども、直ちになぜやめないのか、この説明をいただけますか。
○篠原議員 お答えいたします。
 政治にはお金がかかる。今、現にどういうお金で政治をやっているかというと、一般的な人は企業、団体の献金もあるでしょう。個人献金もあるかと思います。それから政党助成金もあります。それから、先ほどから問題にされています個人、自分のためたお金で政治に投資していこうという人もあるはずなんです、どなたのことを言っているかおわかりだと思いますけれども。
 そういったときに、入り口と出口とをきちんとしていかなくちゃいけない。私は結論は透明性だと思いますけれども、しかし、現に動いているところに、やはり年金もそうですけれども、経過措置というのは私は必要じゃないかと思います。
 今の国民の政治不信を解消するために企業・団体献金を廃止していくと我々は決断いたしましたけれども、今すぐ、即刻できるかというと、それは現実問題として無理ではないかということで、3年間かけて個人献金を普及させていこう、そして全面禁止をしよう、その間に、わかっていることですけれども、1億円以上のいろいろな高額な契約をしている企業はやはり全面的に禁止しようというようなことで、妥協案としていろいろ考えた末のものでございます。我々は現実的な道筋を考えた上でのことでございます。
○佐々木(憲)委員 民主党の党本部への個人献金額というのは幾らぐらいあるんでしょうか。
 それから、個人献金が集まらないから経過措置として3年間は企業・団体献金に依存するんだということなんですけれども、それは、個人献金を集めないからではないんですか。集める姿勢がやはり大事だと思いますね。つまり、企業・団体献金を受け取ります、政党助成金をもらいますというままでは、だれも個人献金をやろうなんというふうになりませんので、そういう意味で、私は政党の姿勢そのものが問われているというふうに思っております。
 先ほどの私の最初の質問ですけれども、党本部に対して個人献金、それから政治資金団体、国民改革協議会ですか、これは実際には個人献金は幾らぐらいあるんでしょうか。
○長妻議員 佐々木委員にお答えをいたします。
 これは調べてみますと、平成19年分の民主党本部に対する個人献金は、少ないんですけれども、10万6千円、そして民主党政治資金団体である国民改革協議会への個人献金額は385万4600円ということになっておりますけれども、これは、民主党の県連とか、あるいは私ども総支部あるいは民主党国会議員の資金管理団体などなどで、本当に必死に全力でお願いをして集めているところでございまして、今申し上げたのは、あくまで本部の数字でございます。
○佐々木(憲)委員 民主党は、本部と政治資金団体合わせて400万に満たないということなんですけれども、個人献金でいいますと、自民党は、本部で3億6700万、政治資金団体の国民政治協会は1億8768万。約5億5千万ぐらい、個人献金ですね、自民党の方は。それから、公明党は、本部で99万。社民党は、本部で2740万。国民新党が、本部で692万。日本共産党は、本部で6億5797万ということでございます。これは本部のみということではありますけれども、しかし、他の党に比べて民主党は、党本部に対する個人献金というのは極端に少ないわけですね。
 それぞれ、個人とかあるいは支部とか県連単位でやっておられるといいますけれども、個人献金に移行する、そういうことであるならば、やはりこの点に対してどう取り組むかというのが今後問われるわけであります。ですから、3年間猶予するというような形でもらっていって、3年後に法律ができないからまた先延ばしなんということになると、全く変わらないわけですから、そういうことになる危険性があるなというのをちょっと私は感じております。
 さてそこで、もう一つ聞いておきます。
 先ほど、公共事業受注企業からの献金の件について、3年の間、経過措置として、1件1億円以上の契約ということで、企業の契約規模を基準を設けていますね。
 実は、野党4党で以前に提出した法案にはこういう基準はなかったと思うんです。何で1億円にしたのか。1億円だと公共事業受注企業からの献金が入ってくるんじゃないでしょうか。ですから、私はこの理由がよくわからない。受け取るためにこんなに基準を高くしちゃったのか、どういう考え方でこういうふうにしたのか。
○篠原議員 今ここに法案、条文そのものを持ち合わせていないのでちょっと正確じゃないかもしれませんが、どういう企業かというのが非常に抽象的な表現だと、それではほわっとしていてわからないので、1億円以上の企業はだめよということを明確にするために、むしろ、しり抜け云々じゃなくて、逆に、1億円以上の企業というのは特別な関係になってきてしまうので、それはだめですよ、それは3年後を待たずにもうだめだということを念を押したわけです。おわかりいただけましたでしょうか。
○佐々木(憲)委員 今の説明だとちょっと理解できないんですが、以前は、そういう基準なしですべて禁止しようと野党4党でやったんですよ、民主党も含めて。合意してやっていたんです。それを、何かえらい規制緩和しちゃって、1億円までオーケーですよというようなことではおかしいんじゃないかということです。
 それから、もう一つ聞きますけれども、この法案には、「この法律の施行後における個人のする政治活動に関する寄附の状況等を勘案し、検討が加えられるものとする。」となっておりますね。つまり、個人献金の集まりぐあいを見て、その検討の対象は何かというと、「国会議員の公設秘書の増員、政党交付金の増額その他の国会議員及び政党に対する公的助成の拡充」、これを検討となっております。
 これを我々が見ますと、個人献金が集まらないと政党助成金をふやすことによって穴埋めする、そういう考えになっていると思うんですね。そういう理解でよろしいですか。
○武正議員 お答えをいたします。
 本改正案において、個人献金に係る税額控除の拡充についても定めているところでありますが、万が一個人献金が普及しなかった場合には、公的助成を拡充すべきかどうか検討することになる。その際、安易に公的助成に頼るのではなく、慎重に検討することは当然であります。
 ただ、仮に公的助成を拡充する場合には、国民の理解を得られる範囲にしなければならないと考えておりまして、やはり政治活動の経費を個人献金やパーティー券購入で成り立たせることができるように、個人献金、個人によるそうした購入で成り立たせることが大原則、それぞれの政治家が個人献金を集めるための努力をし、そうした工夫を凝らしていくということでございます。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、企業・団体献金は、基本的には認めるといいながら、いろいろな間違ったお金が入りそうだから全面禁止をする、しかもそれは3年後と。その間受け取るわけですね。私は、すぐやめた方がいいと思います。
 それから、では、個人献金が集まらない状況が続いた場合、企業・団体献金を減らしていくかわりに、今度は政党助成金をふやしてもらうということになりますと、今でも民主党は8割ぐらい政党助成金に依存しているわけですから、ますます依存することになりますね。果たしてそれでいいのかという問題が問われると思いますね。
 国民の税金を、いわば強制カンパですよ、これは自民党だって公明党だって、みんなほかの党は同じなんですけれども、国民に強制カンパを押しつけておいて、それを山分けするような仕掛けをつくるなんというのはとんでもない話で、これは思想、信条の自由という観点からいっても、こういうやり方は廃止すべきだというふうに私は思っております。
 最後にそのことを述べて、質問を終わります。

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