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金融(銀行・保険・証券) (政府系金融機関)

2009年06月03日 第171回 通常国会 財務金融委員会 【525】 - 討論

大銀行救済策を拡大 原案に反対表明

 2009年6月3日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、政策投資銀行法改正案と銀行等株式保有制限法改正案について質疑・討論にたち、採決が行われました。

 政策投資銀行法改正案については自民・公明・民主によって修正案が提示され、銀行株式保有制限法改正案については付帯決議が付されました。
 日本共産党は、銀行等株式保有制限法改正案に反対しました。
 また、日本政策投資銀行法改正案については、修正案に賛成し原案に反対の態度をとりました。
 銀行等株式保有制限法は、銀行などの保有株や金融商品などを国民負担で銀行等保有株式取得機構が買い取るための法律です。

 今回の改正案では金融危機により金融資産の価格が急落したことにより含み損を大量に抱えた大手銀行を救済するため買い取りの対象を拡大するものになっています。
 日本政策投資銀行法改正案は、最大1兆7000億円の公的資金を同行に増資して、危機対応業務を拡大するというものです。
 この資本増強により、さらに最大15兆円の大企業向け支援を上乗せすることになります。
 当初の改正案では完全民営化方針でしたが、修正案ではそれを撤回し政府が3分の1以上保有するというものになっています。

 採決に先立ち、佐々木議員が日本共産党を代表して討論をおこない、銀行の株式保有制限法改定案について、「金融機関の経営責任をあいまいにし、国民にリスクを負わせる大手銀行救済策を拡大する」と反対を表明しました。
 また、国から支援策を受けている大手銀行が中小企業向け貸し出しを大幅に縮小していることに触れて「すでに大手行ではモラルハザードがおき、金融システムの機能不全をおこしている」と批判しました。

 日本政策投資銀行法改定案については、資本増強など救済策の拡大が「大企業経営者の経営責任をあいまいにするばかりか、最終的には過剰の融資の焦げ付きにより巨額な国民負担にもつながりかねない」と原案に反対する理由を明らかにしました。
 修正案については、政府の関与は不十分なものだが「これまでの完全民営化との方針をくつがえし、法律上政府の関与を一定程度確保する内容」と評価して賛成しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、銀行の株式保有制限法改正案について反対、日本政策投資銀行法改正案及び修正案については、原案に反対、修正案に賛成の討論を行います。

 まず、銀行の株式保有制限法改正案についてであります。
 本法案は、米国発の金融危機の影響で金融資産の価格が急落したことにより含み損を大量に抱えた大手銀行を救済するため、銀行等保有株に加えて、金融機関が保有する優先株、優先出資証券、ETF、J―REIT並びに事業法人が保有する金融機関の優先株、優先出資証券を機構が買い取れるようにする措置であります。
 本法の改正案提出のたびに、我が党は、大手銀行の保有資産が低迷するごとにこのような金融資産の買い取りを実施していては、金融機関のモラルハザードを招き、一層日本の金融システムを弱体化させると繰り返し指摘してまいりました。近年、大手銀行は、手厚い支援策にもかかわらず中小企業向け貸し出しを大幅に縮小し、中小零細企業の倒産を後押ししております。既に大手行ではモラルハザードが起き、金融システムの機能不全を起こしているとでも言える事態であります。このようなときに、金融機関の経営責任をあいまいにし、国民にリスクを負わせる大手銀行救済策を拡大する本法案には反対です。

 次に、株式会社日本政策投資銀行法改正案原案についてであります。
 原案に反対する理由は、現在行われている危機対応業務が、経営責任をあいまいにし、国民負担になりかねない大企業支援策だからでございます。
 金融危機対応業務を大幅に拡大するため、日本政策投資銀行に対し最大1兆7千億円の公的資金による増資が可能となります。既に、日本政策投資銀行は、大企業向け長期低利融資やコマーシャルペーパーの買い取りなど、個別大企業に対する直接融資という異例の救済策を実施していますが、この資本増強により、さらに最大15兆円の大企業向け支援を上乗せすることになります。
 このような異例の救済策の拡大は、大企業経営者の経営責任をあいまいにするばかりか、最終的には、過剰の融資の焦げつきにより巨額な国民負担にもつながりかねません。緊急保証制度の実施でも中小企業への貸し渋りは十分に解消されていない中、大企業にのみこのような大盤振る舞いの恩恵を与える本原案には賛成できません。

 なお、修正案については、日本政策投資銀行の政府の関与が不十分ではありますが、これまでの完全民営化との方針を覆し、法律上、政府の関与を一定程度確保する内容であるため、賛成します。
 以上で討論を終わります。

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