2009年05月28日 第171回 通常国会 議院運営委員会 【522】 - 発言
議院運営委員会で憲法審査会の規定制定めぐり2度目の参考人招致
2009年5月28日、議院運営委員会で、改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会の規定制定をめぐり、民主党の枝野幸男・前衆院憲法調査会会長代理を参考人として招致し、意見聴取がおこなわれました。
これは、4月27日の中山太郎・前衆院憲法調査会会長への参考人質疑に続いて2度目の参考人招致となります。
日本共産党は、参考人を呼ぶことは憲法審査会の規定制定の前提づくりとなるという理由で反対しました。
枝野氏は「憲法改定論議は、国会内での広範な合意、政権を担う意思のある政党同士の共同作業が必要だ。自民党の中山太郎会長の努力で共同作業が進められてきたが、安倍内閣のもとで改憲を選挙の争点とし、強引な議会運営が行われ、改憲手続き法の内容について、いくつかの論点で合意形成できないまま強行採決となった」と述べました。
そのうえで、枝野氏は「信頼関係破壊に対する真摯な謝罪と仕切り直しなしに、審査会規定を議決しても議論は進まない」と与党の強硬姿勢を批判しました。
各会派の意見表明のさい、佐々木憲昭議員は日本共産党を代表して「改憲手続法は安倍内閣の改憲スケジュールに沿って強行されたものだが、全国に7000を超える9条の会が結成され、また世論調査でも明らかなように圧倒的多数は9条改憲に反対だ」と強調しました。
そのうえで「国民は改憲論議の場を国会につくることを求めていない。いま求められているのは、憲法25条が脅かされている現実をどうするかということだ」と批判しました。
自民党の議運委筆頭理事・小此木八郎議員は、「引き続きこの国会で規定を制定する立場で協議を続けていきたい」と意見を述べました。
議事録
○佐々木(憲)委員 本日、前憲法調査会会長代理を参考人として呼んだことは、改憲の原案を審査する憲法審査会の規程づくりに向けて一歩を進めるものであり、このようなやり方に強く抗議したいと思います。
ただいま参考人の御意見をお聞きしても、今、憲法審査会規程をつくらなければならないという理由は全く見当たりません。今国民が求めているのは、改憲手続を整備することではありません。深刻化する経済危機のもとで貧困と格差が拡大し、まさに憲法25条の生存権が脅かされている、この現実をどうするか、これが当面の最大の課題であります。
そもそも、改憲手続法は、安倍政権のもとで、自民党などの9条改憲の政治スケジュールに沿って強行採決で成立させられたものであります。慎重審議を求める圧倒的多数の国民の声を無視し、審議も不十分なまま、与野党の合意のないまま、数の力で強行したことは、憲政史上に重大な汚点を残したものであります。
このやり方について、先ほど枝野氏は、発言の中で厳しく批判しておりました。謝罪と反省が与党に必要である、それが前提である、憲法審査会規程を2分の1で押し切るようなことは憲法をおもちゃにしているようなものだ、こういう発言もされていたわけであります。
改憲手続法の内容は、投票率が低くても国民投票が成立し、有権者の2割台の賛成でも改憲案が通るなど、徹頭徹尾、改憲推進勢力に都合よくできております。このような法律に定められた審査会規程が未整備であるということを問題にするなら、むしろ、強行成立させられた手続法そのものを見直し、廃止すべきであります。
いずれにしても、今、どの世論調査を見ても、憲法をどうしても変えるべきだという声は多くはありませんし、憲法9条を変えよという声は極めて少数であります。9条を守れという声が圧倒的多数であり、9条の会が全国で7千以上つくられて、9条を守る、そして世界に広げるというのが国民的な世論にもなりつつあるというのが現状であります。
この議運委員会でも、憲法審査会の規程を今つくれという与野党の合意はありません。合意のないまま、また数の力で強行することを繰り返すことになれば、日本の憲政史上にさらに汚点を繰り返すということになると思います。
今求められているのは、9条や25条、平和と人権の保障を目指す日本国憲法そのもの、これを徹底的に全国民のものにし、そしてこれを生かしていくということが求められていると思うわけであります。このことを強調して意見表明とします。