アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金融(銀行・保険・証券) (中小企業融資, 政府系金融機関)

2009年05月26日 第171回 通常国会 財務金融委員会 【519】 - 質問

政策金融公庫の中小企業にたいする融資機能を強化せよと求める

 2009年5月26日、財務金融委員会で、与党議員が提案した金融関連2法案と、民主党議員が提出した租税特別措置法透明化法案が、審議されました。
 佐々木憲昭議員は、政策金融公庫の中小企業にたいする融資について、民主党議員に消費税増税に対する姿勢をただしました。

 最初に、佐々木議員は、政府系金融機関として中小企業に対する融資を担っている日本政策金融公庫にたいし、中小企業への有し機能を強化せよと求めました。
 佐々木議員は、日本政策金融公庫による中小企業向け貸し出し残高が、今年3月末で2005年3月末とくらべて約4兆円も減少していることを告発するとともに、深刻な経済危機で中小企業が苦況に陥っているもとで「中小企業向けの融資が軽んじられている」と批判しました。
 たとえば、「公共料金の滞納や納税の遅れなどを理由として、同公庫に融資を拒否された」という声が、中小企業の経営者から相次いで寄せられているとことを紹介しました。
 そのうえで佐々木議員は、「深刻な経済情勢のもと、経営が大変なのが中小企業だ。相手の経営実態をよく掌握し、親切に対応するのが公庫の役割ではないか」とただしました。
 日本政策金融公庫の安居祥作総裁は「公共料金や税金の滞納で判断してはいない。事業者に、きちっと役割を果たすことが当然であり最大の仕事だ。事業者にがんばれるよう最大の努力をしていく」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 今、中小企業の方は大変な経営危機でございまして、体力のある大手企業よりも中小零細企業への支援が大事ではないか、このように私は思っております。
 そこで、最初に融資の実態についてお伺いしたいと思います。
 総枠で結構ですけれども、大手銀行、地方銀行、政府系金融機関、それぞれについて、この3月末の貸出残高、前年比でどういう数字になっているか、これをまずお答えいただきたい。
○山本(明)議員 中小企業への貸出残高ということでございますが、日本銀行の統計等によりますと、21年3月末の貸出残高、そして対前年同期比でありますが、都市銀行につきましては、78兆8786億円で、対前年同期比がマイナス2・6%です。続きまして、地方銀行でありますが、65兆6505億円でありまして、対前年度比マイナス0・3%です。第二地方銀行におきましては、21兆8498億円で、マイナス2・6%。日本政策金融公庫の国民生活事業及び中小企業事業におきましては、13兆2269億円で、マイナス3・3%というふうになっております。
○佐々木(憲)委員 これは、今の経営危機の実態を支援しなければならないはずの金融というものが、中小企業に対しては逆にマイナスになっている。
 総体としていいますと、国内銀行ベースの貸出残高は、総貸し出しは4%ふえているわけです。しかし、中小零細企業の場合はこのように軒並み、本来なら、政府系金融機関もそれを補完して、大手銀行が貸せない、そういうところに対して出動しなきゃならぬのに、この公庫の場合もマイナス3・3%と。本来ならこういうところにてこ入れをすべきでありますが、今回提案されている政策投資銀行の法案というのは、中堅・大企業向けの資金繰り対策ということでありまして、私は対応としては焦点がずれているのではないかというふうに思うわけです。
 提案者に聞きますけれども、今回の法案で、中小企業向け融資というものはどういう位置づけになっているんですか。
○柳澤議員 今度の一連、累次の経済対策におきましては、私どもとしては与党として、政府に対して中小企業金融の円滑化ということについては格別の要求をして、それを実現できている、このように考えております。
 第一には、緊急保証ですけれども、緊急保証の枠は当初は6兆円、それが三倍余りふえて20兆円、さらに今度の予算では30兆円というように次々これを拡大して、まず融資先の信用について補完をしていく、こういうことでやらせていただきました。
 それから、かつての国民生活金融公庫、さらには中小企業金融公庫が統合しました日本政策金融公庫の業務ですけれども、これにつきましても、中小企業の皆さんの受けとめ方も、まあ意外といえば意外、また当然といえば当然ですけれども、行革でかつての国民公庫あるいは中小公庫とのなじみというものがやや薄らいでいるというようなこともありまして、融資活動が少し緩慢なものになってきた。そこで、今回の金融危機に際して、トップに対してもっとトップセールスでも何でもやりなさいということで、大々的な広報活動等もいたしまして、最近におきましてはかなり融資活動も活発化いたしております。
 そういうようなことの見合いもありまして、こういういわばセーフティーネット貸し付けの枠についても手当てをするということでございまして、中小企業金融の円滑化については、我々として格別力を込めているということを申し上げたいと思います。
○佐々木(憲)委員 セーフティーネットあるいは信用保証というのがありますけれども、それを充実させるのは当然だと思うんですが、問題は、銀行の貸し出し姿勢が、これは今の経済危機のもとで経営が非常に苦しい中小企業に対して貸し出したら、不良債権になるんじゃないかというようなことで、本来の機能を果たせないという事態になっている。それを是正する、これが大事なのであって、むしろ大銀行の姿勢を正すという姿勢を政府はとるべきだと思うんですね。
 それから、きょうは政策金融公庫の安居総裁にお越しいただいておりますのでお聞きしたいんですけれども、政府系金融機関が統合をされまして、それで中小企業への貸し出しは一体どうなるのか。私どもはこの統合に反対でした。というのは、国際金融まで一緒に統合して、中小企業向けの位置づけがどうなるんだろう、こういうふうに思ったからです。
 具体的にお聞きしますけれども、国民生活金融公庫の2005年3月末時点の貸出残高は9・6兆円でした。それから、中小企業金融公庫は7・5兆円でしたが、それぞれの部門ごとに今貸出残高は幾らふえていますか。何%ふえましたか。
○安居政府参考人(株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁) 安居でございます。お答えさせていただきます。
 2009年3月末時点のそれぞれの旧機関の融資残高でございますが、まだ速報値なのでございますが、国民生活金融公庫については、融資残高は7・5兆円、2005年比で2兆円減っております。それから、中小企業金融公庫につきましては5・6兆円で、1・9兆円の減少となっております。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 先ほど、トップセールスでもとかいう話がありましたけれども、実際に補完的役割を果たさなきゃならない中小企業向けの政府系金融機関の融資というものが、9・6兆円だった国民生活金融公庫は7・5兆円と2兆円も減っている。中小企業金融公庫も2兆円近く減っている。合わせて4兆円近いマイナスなんですね。これは、政府系金融機関を統合した結果、中小企業向けというのが余りにも軽んじられているんじゃないかと私は思わざるを得ないわけであります。
 具体的に中小企業のお話を聞きますと、貸し出し条件が大変厳しいと。例えばこういう話がある。
 過去の教育ローンが期日に引き落としができていないことがあったので、今回融資はできないよ、こういうふうに断られた。あるいは、これは寝具小売業の例ですが、公共料金が期日に引き落としされていないということで、その事実を見て、もう融資はしませんよと断られた。それから家電販売の例ですけれども、公共料金を口座引き落としにしていないということで断られた。何ですかね、これは。公共料金を口座引き落としにしていない、これはコンビニ払いで払っているというんですよ。コンビニ払いにしてちゃんと払っているのに、口座引き落としになっていないから融資できないと。こういう事例というのはいろいろあるわけです。
 まずお聞きしたいんですが、公共料金、これを口座引き落としにしていない、あるいは引き落とされていなかったという事実をもって、融資はしません、こういうことを、公庫は一体どこにそういう方針を決めているんですか。一体何でそんなことをやっているんですか。
○安居政府参考人 先ほどの残高等の関係でちょっと御説明させていただきたいと思いますが、昨年10月以降、非常に金融危機の中でセーフティーネットを中心に我々いろいろ努力をしてまいりまして、去年の10月からことしの3月まででは、国民生活事業におきましては前年比で176%、それから中小企業事業につきましては279%ということで、これは非常に今伸びてきております。
 そうした関係で、今の御質問でございますが、私どもは、お客様からの御相談に対しまして、財務内容の分析だけでなく、お客様にお伺いしたりあるいは現場を見たり、いろいろなところで経営の実態を把握して、それで結論を出しておりまして、今おっしゃるような、税金だとかあるいは公共料金だけでどうこうということはございません。
○佐々木(憲)委員 私どもが聞いているのは、非常に理解できないようなことで断られたという話がたくさん聞こえてくるわけですね。ですから、ちゃんとそこは相手の経営の実態をよく掌握し、そして親切に、経営が成り立つようにそれをやっていくというのが基本だと私は思うんです、中小企業の融資というのは。
 そのほかにもいろいろな話を聞いていますよ、体調が悪くてちょうど店を休んでいたときに電話がかかってきて、店もあけていないんだから融資できないんだということで断ったとか。そんなの、1日ぐらいシャッターを閉めたからといって何で経営がいきなり悪くなるか。実態を調べないでこんな対応をするというのはおかしい、私はそういうふうに思います。
 公庫の借り入れが、一時的に滞納していても、例えば分納ですとか、そういうこともあり得るわけですし、税金の場合もそういうことがあり得るわけですし、今公共料金の問題も、物価がどんどん上がって、経営が大変な事態になってちょっと滞るということだってあるわけです。そういうことだけをもって貸し出さないという姿勢はよろしくない。だから、2兆円も4兆円も減ってしまうわけです。
 ここはきちっと公庫としての公的な機能を果たす、総裁としてしっかりそこのところはもう一回基本的な姿勢を確認しておきたいと思います。
○安居政府参考人 先ほどの、平成15年から19年まで減りました非常に大きなポイントは、例えば、中小企業につきましては一般貸し付けをやめるとか、あるいは国民生活については教育ローンを一部条件を変えるとか、そういうのが非常に大きな比率を占めていると思っております。
 私どもは政策金融の実施機関でございますから、利用者の皆さんに本当の意味できちっと我々の役目を果たすということが当然であり、かつ最大の仕事と思っておりますので、今お話にございました、例えば条件の変更なんかも今積極的に進めておりますし、そういう意味で、利用者の皆様が頑張ってやっていただけるように最大の努力を進めたいと思います。
○佐々木(憲)委員 次に天下り問題ですけれども、これは非常に多いんですね、政策金融公庫の場合。役員22人中11人が天下りです。常務、14人中10人が天下り、専務以上は7人中5人も天下りなんですよ。総裁は天下りじゃないと聞いておりますが、これは余りにも天下りが多過ぎるんじゃないでしょうか。
○安居政府参考人 天下りの全体的な問題につきまして、私は、これは個人的な意見ですけれども、人によると思います。今私の下に来ていただいている皆さんは幸いに非常に優秀でございまして、そういう意味で、私自身は非常に今満足しております。
 数については、いろいろな今までのルール等もあってそういうふうになったんだというふうに理解しております。
○佐々木(憲)委員 優秀だと言いますけれども、具体的に聞きますが、天下りの副総裁の細川さんは、最近、財務省の現役の役人を秘書にしたと聞いておりますが、事実でしょうか。
○安居政府参考人 秘書にしたという事実はございません。
○佐々木(憲)委員 役員の自宅送迎の車というのは専務以上に認められているというふうに聞きましたが、これも事実ですか。
○安居政府参考人 はい、認められております。
○佐々木(憲)委員 それもどうかと思いますが、常務で一人だけ特別扱いで自宅送迎をされている方がいると聞きますが、この人は天下りの人じゃありませんか。
○安居政府参考人 申しわけないんですが、ひょっとすると、一人いるとすれば、企画管理本部長という仕事をしてもらっている人だと思います。専務というより、むしろ各本部長という形で決めておりますので、そういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 常務の中で板東さんという天下りの方が特別扱いだ、これは公用車を管理する責任者の地位を利用しているんじゃないか、こういうふうに言われております。これは調査の上、是正すべきだと私は思います。
 それから、ことし2月に全職員に職場環境についてのアンケート調査を行ったと聞いていますが、事実ですか。その結果は公表されていますか。
○安居政府参考人 最初のお話の板東さんというのは企画管理本部長をやっておりまして、先ほど申しましたように、本部長は全員、本部長以上ですけれども、つけるということでございますので、特別の扱いということではございません。
 それから、職員のアンケートは実施いたしました。ただ、第一回目で、まだ内容的にきちっとした格好になっておりませんので、ことしの12月にまたもう一回やりまして、それでいろいろな面をよくしていきたいと思っております。
 今、全体的に、四つの公庫が一緒になったものですから、仕事のやり方、組織、その点全体を含めて何とか変えていきたいというふうに思っておりまして、その変えるためのアンケートというのをやったということでございます。
○佐々木(憲)委員 このアンケートは、それぞれの部門の意識がどう違うのかということが数字であらわれるんではないかということで調査したというふうに聞いていますけれども、公表しないというのはおかしいと私は思いますね。これは資料として後で提出をしていただきたい。
 それから、中小事業部、この対象とする中小企業は約5万社と聞いています、それから国民公庫が担当していた部分が1万社、合わせて6万社。ただ、この6万社の中小企業の中には重複している部分があって、一つの会社が、今までの国金の方ともう一つの中小公庫の方と、どっちの部門に行けばいいのかということで、そのあたりの調整もうまくいっていないんじゃないか、非常に不便だという話もあります。ですから、こういうところをきちっと整理して一本化して、中小企業に対して親切に対応する、こういうふうなことが大変大事ではないかというふうに私は思うわけです。
 この点、きょうはもう時間がありませんので、今後ともしっかりとただしていきたい。まだきょうは一回目でございますので、引き続き具体的にやっていきたいと思います。
 以上で終わります。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる