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金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (金融機関の破綻, 中小企業融資, 税金の還流)

2002年01月24日 第154回 通常国会 予算委員会≪総括質疑≫ 【153】 - 質問

公共事業をめぐる「口利き」疑惑、大銀行の貸し渋り、信金・信組の破たん問題で追及

 2002年1月24日の予算委員会で、佐々木憲昭議員は、小泉総理に対し、加藤紘一元自民党幹事長の私設秘書の「口利き」疑惑、小泉内閣の不良債権処理について質問しました。

加藤紘一元自民幹事長らの証人喚問を要求 私設秘書の「口利き」疑惑で
 佐々木議員は、小泉総理に対し、加藤紘一元自民党幹事長の私設秘書の「口利き」疑惑についてただしました。
 佐々木議員は、「加藤氏は『事務所と無関係』というが、(元事務所代表の)佐藤三郎氏は、政治資金を取り仕切る会計責任者であり、事務所そのものだ。説明になっていない」と指摘し、「自民党議員、自民党員である秘書を党の責任で証人喚問に応じさせるのは当然だ」と自民党総裁である小泉総理の決断を迫りました。
 これに対し小泉総理は、「まず個々人の問題であり、どう説明責任を果たすのかよく議論して欲しい」と責任回避の答弁に終始したため、佐々木議員は「こういう問題を積極的にやらなければ、総理が『自民党をかえる』といってもその証明にならない」と述べて、予算委員長に、加藤紘一氏、佐藤三郎氏の証人喚問を行うよう求めました。その取り扱いは理事会で協議することになりました。

 また佐々木議員は、税金で行う公共事業を受注した企業や公的資金の注入を受けた銀行から政治家への献金が行われたならそれは税金の横流しだとして、このような政治献金を禁止するよう求めました。
 小泉総理が「政治献金を悪とする考え方には立たない」などと合理化したため、佐々木議員は「政治の主権者は国民であり、企業献金は、それを金の力でゆがめるものだ」と主張し、「首相には、腐敗にメスを入れる姿勢がないと言わざるを得ない」と批判しました。



大銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせよ 公的資金を受けながら「公約」の中小企業融資は大幅減
 佐々木議員は、不良債権の最終処理を推し進める小泉内閣のもとで、不況で苦しむ中小企業の経営者が自殺にまで追い込まれた痛ましい実態も示し、銀行の貸し渋りを改めるよう小泉純一郎総理に要求しました。質問の模様は、NHKが生中継しました。

銀行の強引な回収で自殺に追い込まれた社長の遺書を手に
 佐々木議員は、大手銀行の強引な資金回収にあい、死亡時の保険金で下請けなどへの返済にあててほしいといって自殺した中小企業の社長の遺書のコピーを手に、「自分も、できることはやったつもりですが、限界でした。あと3カ月時間があったらもう少し別な方法を取れたかもしれませんが、これしか会社・社員を救う道はなかったです」との言葉を紹介し、「銀行側は『社長さんの生命保険に質権を設定させてもらう』と言ったという。あまりにもむごい回収の仕方だ」と大銀行の対応を批判し、平沼経済産業大臣に対し、「銀行が中小企業融資の回収を強めている実態をどう受けとめ、対応するのか」とただしました。
 佐々木議員の追及に、平沼大臣は、「たしかに、金融機関の貸し渋り、貸しはがしは厳しい状況になっている」と認め、「わが国の経済の基盤をになっている中小零細企業のために一生懸命努力したい」といわざるをえませんでした。

銀行の融資 中小中堅企業は44.6兆円減、大企業は6.9兆円増
 佐々木議員は、1997年3月期から2001年9月期まで4年半の間に、銀行全体の大企業向け融資が6.9兆円増える一方、中小・中堅企業向けは44.6兆円もの激減となっている事実をパネルで紹介。公的資金を資本注入した大銀行には中小企業への貸し出しを増やす計画が義務付けられているにもかかわらず、逆に3兆4千億円も減少しているとして、政府の見解をただしました。
 そもそも、政府が98年に公的資金を使って大銀行支援に乗り出した最大の理由は、「中小企業向け融資を増加させる」ことでした。このため、大銀行は、中小企業向け融資の増加計画を自ら作成し、政府に達成目標として提出したのです。

 佐々木議員は「適切な貸し出しがなされるよう厳正なフォローアップを行う」と政府自身が改革先行プログラムで明言していることも指摘し、銀行に貸し出し目標を守らせるよう「内閣をあげてとりくむべきだ」と要求しました。
 これに対し、柳沢金融担当大臣は「自由主義経済のもとで、計画を順守させる方法はない」と答弁。
 小泉純一郎総理は「銀行の経営健全化のため不良債権処理は進めるべきだ。不良債権処理と新しい産業、中小企業育成の両方の道を探るなかで(貸し渋りが)起きており、一朝一夕には解決しないが、努力する」と、貸し出し増に冷淡な態度を示しました。
 佐々木議員は、「計画は達成できなくても仕方ないなどという(政府の)いいかげんな態度は許されるわけがない」と厳しく批判しました。

信金・信組破たんに追い込む金融庁検査を見直すよう要求
 さらに佐々木議員は、大銀行が中小企業への融資を縮小するなか、中小企業の最後の“貸し手”である信金・信組が、小泉内閣発足後に44も破たんさせられている実態を指摘。日本共産党がおこなった信用金庫・信用組合破たんの実態調査もふまえて、「破たんした信金・信組の多くは、金融庁の金融検査マニュアルにもとづく検査の結果、破たんにおいこまれたものがほとんどだ」と、金融庁の画一的な金融検査マニュアル適用をやめて、地域への貢献や中小業者育成の観点から独自の検査基準をつくることを要求しました。
 柳沢金融担当大臣は、金融庁検査の結果、信金・信組の破たんが相次いだことは認めたものの、金融検査マニュアルについては、「(中小企業融資には)特別の配慮をしなさいと細かく書いてある」と答弁。現場での運用改善で画一的検査にならないよう配慮しているとの認識を示しました。
 佐々木議員は、日本共産党として「地域経済と中小企業を守る緊急要求」を発表したことを紹介し、その実現のために全力をあげることを強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 初めに、加藤紘一議員秘書の口きき疑惑についてお聞きをしたいと思います。
 この事件は、国民の税金で行われる公共工事を食い物にし、所得を隠し、脱税をしていた、全くひどい事件であります。
 総理は、一昨日の本会議でこのように答弁をされました。世間から疑惑を持たれている場合は、まずは個々の政治家が国民にきちんと説明し、対応していくものと考えておりますと。では、加藤議員の説明はきちんと行われているのかどうか。加藤氏は、加藤事務所に無関係、こういう説明をされています。これがきちんと説明したことになっていると総理は思われますか。
○小泉内閣総理大臣 それは、今後いろいろな疑惑に対してどう説明していくかというのは、個々人、議員の判断でございますので、私は、疑惑が降りかかったならば、疑惑を振りのける責任はまず個人が対応すべきではないかということを言ったまでであります。
○佐々木(憲)委員 説明になっているかどうかとお聞きしたんですけれども、十分お答えにならないわけですが。
 私は、この無関係という説明は全然説明になっていない、うそだと言わざるを得ないと思うんです。なぜかといいますと、佐藤三郎氏は一般的な秘書じゃないわけであります。加藤氏のただ一つの政治資金管理団体、社会計画研究会の会計責任者、いわば金庫番であります。加藤議員の政治資金を一手に取り仕切っていた加藤事務所そのものであります。何が無関係か。ちゃんとした説明になっていない。私は、そういう点で総理の責任も問われていると思いますよ。
 秘書の佐藤氏は自民党員でございます。元幹事長加藤氏も当然自民党の議員であります。総理は党の責任者であります。したがって、疑惑解明のために当然証人喚問に応じるのは当たり前だと思うんですけれども、加藤氏自身、喚問について、自分のことは党に任せてある、党の判断に従うと言っているわけでありますから、これは小泉さんが判断することであります。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、疑惑を持たれたら、どうやって責任ある説明をするかというのはまず個々人の問題である、そういう中で、議院全体の関心が持ち上がって、どういう場でその説明責任を果たすかという点についてはよく議論してください、私は妨げるものではないと。
 まず疑惑を持たれたら、必要な説明は行った方がと言っているわけですから、そういう方向で、どういう場でやるかということはこれから議院の皆さんが相談すべきことではないのかと。私は妨害する気持ちは全くありません。
○佐々木(憲)委員 妨害するつもりはないということでありますから、ぜひ喚問に応じていただきたいと思うのですね。こういうことも積極的に、前向きにやらなければ、総理が自民党を変えると言っても、一体何がその証明になるのかということになるわけです。
 そこで、委員長に申し上げたい。日本共産党は、公共事業にかかわる一連の疑惑の真相を解明するために、その第一弾として、まずは元自民党幹事長加藤紘一衆議院議員、同議員秘書、事務所代表の佐藤三郎氏を当委員会で証人として喚問することを要求したいと思います。
○津島委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 次に、政治献金の問題についてお聞きしたいと思いますが、日本共産党は、企業・団体献金をきっぱりと禁止することを主張し、実行しております。当面、少なくとも国民の税金で行われる公共事業を受注した企業からの献金や、公的資金を受けている銀行、こういうところからの献金は直ちに禁止するというのは、これは当然のことだと思うのですね。献金を受け取ることを認めたら、税金の政治家への横流しを認めるということになるわけであります。これを禁止するのは当然じゃないかと思いますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 企業献金、団体献金というものに対してどういう規制を設けるべきか。それは、今までにも数々の規制が設けられてまいりました。また、各党によって資金調達の方法も違います。政党のよって立つ基盤も違います。民主主義の中で政党の政治活動をどのような資金によって賄うかという問題にもかかわってまいります。この点については、これからの国会におきましてよく議論をしていただきたい。
 そして、このような公共事業と金銭にかかわる不正な問題が起きないような対策はどうあるべきか、私は、真剣に取り組んでいくべき問題でありまして、共産党の立場は立場としてお伺いいたしますが、それは企業献金悪、団体献金悪という立場に私は立っておりません。やはり、政治活動に対して各界各層からの寄附を求めるということは、国民が政党を育てる、国民がどういう政治環境を好むかという問題にも深くかかわってまいりますので、よく議論をしていただきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は、国民が、一人一人が選挙権を持っているわけでありますが、企業も団体も選挙権はないんです。違うんです、質が。国民主権というのは、国民自身が支持をするかしないか、その献金をするかどうか、一人一人が決めることであって、企業・団体献金を認めるということになりますと、それ以外の力で政治が動かされるということになるわけで、当然、企業・団体献金の禁止は当たり前だ。
 現在の法律も、私が指摘したのは、今全部直ちにということを、今すぐと言っているわけじゃなくて、少なくとも、国民の税金を使って公共事業をやる企業、公的資金注入の銀行、当然こういうところの政治資金については、まずは禁止したらどうか。
 大体、今の法律でも、公選法の199条、国会議員は、選挙期間中、公共事業受注企業の選挙資金の寄附を禁止しております、候補者に禁止されております。国会議員というのは、いつ選挙になるかわからないわけでありますね。いつも選挙をやっているようなものです。だから、当然、公選法で禁止されていることは日常的に禁止するというのは当たり前なんです。それもできないようでは、腐敗にメスを入れる姿勢がないということを示すことになるわけで、このぐらいは前向きに検討するという姿勢を示していただきたい。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 今言った点も含めて、よく議論していただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 我々は、この問題でどうも総理が前向きになっていないと。自民党を変えるとか改革だとか言うなら、まずこういうことをやったらどうですか。全然その姿勢が見えない。
 次に、私は、経済問題についてお聞きをしたいと思います。
 日本経済は、まさにデフレスパイラルへの突入というような異常事態に陥っております。国民の痛みというのは大変なものでございます。
 きょうは時間がありませんので、中小企業、中小業者に対する融資の問題についてお聞きをしたいと思うんです。
 ここにありますのは、倒産したある中小企業の社長の、自殺をされた方の遺書でございます。御遺族の了解を得て紹介をさせていただきたいと思うわけですけれども、ここには、「○○さん、いろいろありがとうございました。自分も、できることはやったつもりですが、限界でした。あと3カ月時間があったらもう少し別な方法をとれたかもしれませんが、これしか会社、社員を救う道はなかったです。ひきょう者と思われるかもしれませんが、自分としては責任をとることも含めて最善だと思っています。まだまだやり残したことがあると思っていますが……。よろしく頼みます。」と。
 この社長は、死亡時の保険金で下請などへの返済に充ててほしいということで、みずから命を絶ったわけでございます。これは大手銀行の強引な資金回収の結果なんです。交渉記録によると、銀行側は、社長さんの生命保険に質権を設定させてもらう、こう言っていたそうであります。余りにもむごい回収の仕方だと私は思うんです。こういう事例は今たくさん生まれております。
 まず平沼経済産業大臣にお聞きしますけれども、銀行の貸し渋り、貸しはがしというのは大変ひどくなっております。最近は、身近な信金、信組、次々と破綻をし、この1年間でも50近く、大変な規模で破綻をし、信金、信組の地元では大変な不安も広がっております。政府系金融機関に駆け込んでもまともに対応してくれない、一体どうすりゃいいんだ、こういう悲鳴が聞こえてきているわけでございます。平沼大臣は、中小企業のこの深刻な実態をどのように受けとめて、どう対応されようとしているのか、まず御見解を伺いたいと思います。
○平沼経済産業大臣 お答えさせていただきます。
 確かに、今、非常に厳しい状況でございまして、特に金融機関の中小企業に対する貸し渋りあるいは貸しはがしというのはだんだん厳しい状況になってきています。
 平成10年の信用収縮のときがピークでございまして、それから一時回復をしてきました。あの10年当時は、中小企業庁が毎月実施しております金融機関の貸し出しの実態調査で、非常に資金調達が厳しくなってきたというのが、その調査では35%でございました。それがおととしの9月では19・4まで下がってきたわけでありますけれども、また最近は、先ほど来御論議が出ておりますBSEの問題や大型倒産、そして、さらには世界同時不況的なこういう不況の中で、直近のデータではこれが24%、こういう形になってきています。
 したがいまして、また厳しいそういう金融機関の貸し出し状況になっているわけでありまして、経済産業省といたしましては、こういう実態を踏まえまして、平成10年のときには特別保証制度ということで手当てをさせていただきました。しかし、これは異例、特例の措置でございましたから、委員御承知のように昨年の3月31日で打ち切りましたが、さきの臨時国会で、全党の御同意、御賛成を得まして、特に売り掛け債権に着目をいたしまして、そしてそれの新たな保証制度を出させていただきまして、昨年の12月17日からそれが実施をする段階になっております。
 まだまだちょっとPRが不足でございまして、もっともっと周知徹底をしなければならないと思っていますけれども、そういったことを新たにさせていただいたのと同時に、平成13年度の第一次補正予算の中では、特にこういう状況にかんがみまして、セーフティー貸付制度とセーフティー保証制度、こういうものを、1400億の原資をいただいて、そしてきめ細かくやる。
 非常に厳しい中ですけれども、でき得る限り我が国の経済の基盤を担っていただいている中小零細企業に対して一生懸命に努力をさせていただきたい、このように思っています。
○佐々木(憲)委員 これは日銀の統計からつくった表なんですけれども、1997年3月を起点にいたしまして直近の2001年9月期まで、全国の銀行の大企業向けの貸し出し、それから中堅・中小企業向けの貸し出し、これがどのように推移したかを示したものでございます。
 大企業向けの方はこのようにどんどんふえております、傾向的に。この間、6・9兆円ふえました。比率では7・2%。その一方、中堅・中小企業向けはどんどん減らされているんです。11・6%マイナスになり、金額では44兆6千億円。わずかこの間にこんなに貸し出しが減っているんです。
 これは非常に重大な問題でございまして、とりわけ私が指摘をしたいのは、融資をする主体の側でありますが、都銀、大手銀行の融資態度に問題があるんじゃないか。小泉内閣が誕生した後、昨年6月以後、連続して大手銀行の貸し出しはマイナスとなっております。その幅も大きくなっております。
 柳澤金融担当大臣にお聞きしたいと思うんですが、これらの大銀行の多くは、国民の税金、公的資金が投入されていると思うんですね。我々日本共産党は、税金投入には反対でありました。しかし、そのときの提案では、貸し渋り解消のための資金投入だ、あるいは、中小企業向けの融資の増加計画を政府に出させてそれを必ず達成させるから、こういう約束だったわけであります。99年に金融再生委員長だった柳澤大臣も、国会でそういう答弁をされました。
 銀行は、国民の税金は懐に入れるけれども、中小企業に貸し出すこの計画はどうでもいいというものでは絶対にないと思うんですね。目標は必ず達成してもらわなけりゃならぬと思うんです。これは国民への公約です。この中小企業向け貸し出し計画というのはそういう性格を持ったものじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○柳澤金融担当大臣 健全化法による資本注入のときに、非常に大きな関心事は、今委員御指摘のように、中小企業の貸出先に対して資金の疎通を十分行うようにということで、健全化計画の内容として中小企業貸し出しに対する計画を聞くというような、そういう仕組みがあったわけでございます。そういう意味では、それは大いに督励をするという姿勢が全体として健全化法を国会で認めていただく大きなファクターだった、これはもう申すまでもございません。
 しかし、ここは佐々木委員に申さなきゃならないんですけれども、その健全化計画の中身としてそういうものを提出させてはいますけれども、それは、それじゃその計画を絶対遵守させるんだということは、方法としてはないわけでございます。
 つまり、これは相手のあることでございますので、そこでどういうことにしているかというと、やはり計画を出させて、それとの乖離の状況等について、いわば公衆の目に触れさせて、世論、今先生がそういうような議論をされること自身も一つのプレッシャーなんですけれども、そういうプレッシャーをかけることによって、それの実現を図っていこう、大体において、この自由主義経済でこうしたことをやる場合にはそういう手法をとることが多いんですが、そういうことをさせていただいているわけであります。
 もしそれが計画に至らないような状況が出てきたときには、私ども、もちろん注意して、もっとこれはしっかり実現するような方策を講じなさいと言って、体制は整備させることができます。体制を整備させることはして、そして、もっと中小企業への融資が促進されるような、そういう体制を部内に設定しなさい、設置しなさい、こういうようなことをやって努力をさせるということはやるわけですけれども、しかし、一番最後の実際に貸し出しが行われるかどうかというのは、あくまでもやはり今言ったようなパブリックプレッシャーのもとで実現を図っていく、こういうことです。
 もちろん、体制整備もやらないようなところについては、私どもも、ある銀行がそうだったわけですけれども、これは銀行法上の業務改善命令を措置いたしまして、体制は整備しろ、こういうようなことまではやるわけでございますけれども、最後のところはやはり自由な当事者同士の自由意思の合致するところで融資が行われる、このことは、やはり我々の国が自由主義経済あるいは自由企業体制のもとで行われることということで御理解を賜る以外にないと思います。
 ただ、もう一つちょっとつけ加えますと、このごろ不良債権の処理に物すごいマンパワーが要るということがあるわけです。
 私は、この前の、あれは工程表のときだったと思うんですけれども、どうもそういう声が聞こえる、不良債権処理に物すごいマンパワーを食われていて、しかもそのマンパワーが戦場のような状況の中で不良債権の処理に当たっているというようなこともありましたので、もうちょっとバランスをとって、貸し出しの方にも力を入れてくれということを、これはもう注意を喚起するという意味で改革工程表の中にもそうしたくだりを入れさせていただいて、それは私自身が銀行界に対して、改革工程表ができました直後に会合を開いて、そのことに対する注意を特に喚起させた、こういうようなことはいたしております。
 状況を包括的に説明させれば、以上のとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 どうも今の説明は、計画は出さすけれどもそれを達成させる方法がないんだといった答弁でありますが、私はおかしいと思うんですよね。それなら税金投入はやめるべきですよ。計画を達成するからといって税金投入を決めたわけでしょう。計画が達成されない、それは自由だから、こういうようないいかげんな答弁じゃだめですよ。
 実際、今どうなっているか。昨年の3月までの実績からことしの3月、2350億円ふやす計画になっている。ところが、昨年の9月末、ちょうど中間点ですね、昨年3月末の実績を下回って、これは大幅に下回っている。3兆3650億円マイナスになっているんです。だから、目標達成のためには3兆6千億円の中小企業向け貸し出し増を実現しなきゃならない。それを、自由にやってもらって銀行の自主的な努力でというような程度のことでは、何のための目標かということになるわけですよ。
 もう一つグラフを出しましょう。
 実際に銀行の姿勢に大きな問題がある。これは中小企業の側からの、経済産業省の方から、中小企業庁からいただいた、資金繰りやあるいは長期資金、短期資金の借り入れをしやすいのかあるいは難しい状況なのか、これをグラフにしたものですが、下がれば下がるほど深刻である、つまり、貸し渋りが、資金需要があるにもかかわらず銀行が貸さない、そういう状態がどんどん深刻化しているんですよ。目標は立てても、目標から大幅に下がっている。
 では、小泉総理、お聞きしますけれども、改革先行プログラム、この中に何て書いていますか。この中には、「公的資金による資本注入を受けた銀行については、経営健全化計画に沿って健全かつ責任ある経営と適切な貸出がなされるよう厳正なフォローアップを行う。」と書いているんですよ。当然厳正にこういうことをやるべきですよ。やはり、国民に約束した以上、それを達成するために、通達を出すとか、あるいは達成できないような状況のところには業務改善命令。先ほど言ったように、答弁されましたが、単に仕掛けができているかできていないかで判断するんじゃなくて、実際にふえているかどうかで判断しなければ、何のための計画かということになるわけです。
 総理にお聞きしますけれども、これは内閣を挙げてこういう方針を決めて、達成するという、厳正なフォローアップを行うと書いているわけですから、現実に大幅に下がっている状況をどう改善するのか、まず総理の決意をお聞かせいただきたい。
○小泉内閣総理大臣 不良債権処理と、そして発展可能性ある企業にどう融資していくか、非常に難しい問題なんです。
 銀行の今までの護送船団方式、横並びというのでなくて、早く銀行経営を健全化することによって、銀行の経営者、経営体質を強化することによって、これからも中小初め新しい意欲のある企業に融資していく体制を早くつくりたい。そのためには不良債権処理を進めていかなきゃならない。これは実は難しい問題なんですが、この難しい道をこれからも探りながら、不良債権処理と、これから新しい産業育成に努力していく、中小企業育成に努力していく、この両方の道を今後とも探りながらやっていかなきゃならない。そういう中で起きている問題でありまして、非常に一朝一夕に解決する問題ではございませんが、そういう点についても十分、どの程度政府がそういう経営に対して関与していいかどうかという問題もありますが、努力をしていかなきゃならない問題だと思っております。
○佐々木(憲)委員 努力をするというのであれば、当然、銀行の貸し出し姿勢を正さなければならない。貸し渋り、貸しはがしを正さないと、貸出計画自体も達成できない。これは、不良債権処理ばかり後押ししていては、貸しはがしが広がるだけで、実際に立てた目標が達成できないんですよ。だから、目標が達成できるようにするには銀行の姿勢を変えなきゃならぬ。そういう指導をきちっとやる。努力をすると言われましたから、具体的なその成果を上げていただきたい。3月までに達成できるかどうか、そこのところを我々は厳しく監視していくつもりであります。
 では次に、信金、信組問題、信用金庫、信用組合。これは今大変重大な危機的な事態になっておりまして、大銀行が中小企業の融資を縮小している、そういう中で、信金、信組というのは、中小企業に対して、少々赤字が続いたり返済がおくれても、これは長年の取引の実績、あるいは経営者の人柄や経営能力、商売の可能性、そういうものを総合的に判断して融資に応じ、不況のもとで必死に頑張っている中小企業を支援している。この信金、信組が、小泉内閣になってから破綻がもう急増しているのですよ。
 この9カ月で、破綻した信用金庫は10、破綻した信用組合は34、合わせて44に上っております。昨年の3月末にあった信用組合の12%が消滅している、小泉内閣のもとで。これほど短期的にこれほど大量につぶれるというのは、まさに異常事態だと思います。
 これでは、地域の経済を支える、地域の中小企業を支えるための金融機能が麻痺するというのは当たり前であります。信金、信組の破綻の被害者というのは借り手の中小企業でありますけれども、何の罪もないこれらの中小業者を守るのは、これは当然だと思います。
 私たちは、地域金融対策委員会というものをつくって、各地の実態を調査してまいりました。その上に立って、このような要求をまとめました。これは政府にももちろん提出をしておりますけれども、この実態を調査して、私どもは大変驚いたわけでありますが、信金、信組を連続破綻に追い込んだ最大の要因というのは、金融庁が行う画一的な検査マニュアルの適用がある。
 信金、信組というのは、大手の銀行、都市銀行とは違うわけであります。違う性質を持ったものです。地域の協同組合的な、お互い助け合う、そういう融資機関です。それなのに、ここに国際的な活動を行う大銀行と全く同じ金融検査マニュアルを適用して検査を行う、これはもう本当に問題なんです。
 そういうふうにやりますと、貸出先が中小企業ですから、これはもう、担保がない、あるいは返済が多少おくれている、どんどんレッテルを張って、不良債権だ、そのためには引当金を積みなさい、こう言ってどんどん負担を重くして、それに耐えられない信金、信組はばたばたつぶれる、これが実態なんです。
 例えば、私どもが調査へ行きました岩手県の信用組合の関係者は、我々に金融庁のやり方に非常に怒りを持った言葉を言っておりました。こう言っているのです。
 信組は、他の金融機関では借りられない金を貸している、そういう駆け込み寺みたいな面があるのに、政府はアメリカの言いなりで、自己資本比率4%。あるいは検査マニュアルでの検査内容も、余りにも機械的、しゃくし定規。債務者区分の査定、これも信組の担当者が債務内容を幾ら説明しても、20代か30代の金融庁担当者は、これはマニュアルと違う、これは担保がない、こういうことで全く聞く耳も持たない。金融庁は検査をどんどん厳しくしていった。血の通った検査なら信組はまだ生きられたと考えている。検査マニュアルでも、つぶす立場でやるのか、生かす立場でやるのかでやり方は全然違う。今の検査はつぶすための検査と言われても仕方がない、こう言っているわけであります。
 参議院の財政金融委員会で、我が党の大門参議院議員の質問に対しまして柳澤大臣は、現在の検査マニュアルが中小企業への融資実態と合わないということを事実上お認めになって、検査マニュアルの改定についてこのように答弁をされました。
 適切な機会に改定するというようなことはこれからも想定されるわけでございます。また御意見を寄せていただく、我々が検討させていただくということはちっとも私ども、それ自体を拒否しようということはありませんと答弁されているわけですね。
 私は、この地域金融機関に対する現在の金融検査マニュアルの画一的な適用というのは、やはり直ちにやめて、信金、信組本来の役割が十分発揮できるようにしなきゃならぬと思うのです。例えば、地域への貢献度はどうなのか、あるいは中小業者の育成、地場産業の育成に役立っているのかどうか、こういう観点を含んだ地域金融機関にふさわしい独自の検査基準をつくる、こういうことが当然やられるべきだと思うんですね。
 この辺について、柳澤金融担当大臣の見解を伺いたい。
○柳澤金融担当大臣 いろいろ盛りだくさんに発言なさいましたので、簡潔にちょっといろいろな項目に触れさせていただきたい、こう思いますけれども、先ほどの改革先行プログラムで先生がお引きになったところは、まさに我々が、先ほど総理も言ったように、不良債権の強化と金融の活性化をどうやってバランスをとってやらせるかということで、あえてこの段階から、我々、今の問題の所在にかなり関心を強く持ちまして、こういうくだりを入れてございます。
 したがって、私、ちょっと先ほどこのペーパー自体を持たずに御答弁申し上げましたのですけれども、ここにありますように、フォローアップをしっかりやって、督励はしていくということでございますが、ただ、先生に申させていただきますが、やはりこれは両者の、民間の消費貸借契約でございますから、両者の合意が前提でございます。それぞれの自由意思に基づく合意でございますので、その点は、先生が想定されている世界が、経済社会がどんなものか、私存じませんけれども、そういう原則はひとつ御理解を賜っておきたい、このように思います。
 それからもう一つは、検査マニュアルについてのお話でございますけれども、これは、検査マニュアル、ここに現物のコピーを持っていますけれども、この下線を引いたところが、もう御案内のとおりでございます。物すごく細かく、中小企業には特別の配慮をしなさい、こういうところを見なさいということが、検査マニュアル自体に記入されております。
 そして、私ども、これは行政内部のことでございますけれども、検査の中で、こういったところには財務局の職員が行くわけですけれども、若干ふなれというか、張り切り過ぎというようなことも懸念もされないわけじゃないので、そういうことはないように、この監督者というか、ベテランの人たちに、よく留意をするようにということは常に申しているところでございます。
 そういうようなことでございまして、なお、このところ信金、信組について破綻が重なっているということは御指摘のとおりでございますが、これはかねて申し上げておりますとおり、初めて信組などは国の所轄になりました。そして、昨年度いっぱいをかけてずっと検査が一巡したわけであります。そして、その後、新しい年度、平成13年度になりまして、それで問題点をいろいろ指摘して、それについての考え方の御報告を求め、そして話し合いをしていて、そうしてその結論が出て、これはやむを得ませんねというのが昨年の年末あたりに固まったということでございます。
 それで、私も、そういうことが余り多くなってきつつあった段階で、要因別破綻原因についてよく考えてみるようにということを申したわけでありますけれども、やはり、バブルそのものとは言いませんけれども、不動産関連融資の不良化、それからリスクの高い有価証券、まあ余資が相当ありますから、余裕資金がありますから、それを非常にリスクの高い有価証券に利用した、それがデフォルトを起こすというようなことで実は起こっているというようなことを申し添えさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 今御答弁がありましたけれども、実際に、話し合いでと言いますが、かなり強権的に金融庁の方がもうばっさばっさと機械的にやっているというのが我々が聞いているほとんどですよ。そういうものを是正するということ。
 それから、検査マニュアルについても、こういう大銀行と信金、信組とただ一つの同じマニュアルで検査するなんておかしいですよ。やはりここは、それぞれの性格が全然違うんですから、それぞれの性格に応じた適正なマニュアルをつくる、基準をつくるというのが、これはもう当然の話でありまして、そういうことをきちっとやっていっていただきたい。
 私どもは、地域の中小企業業者を守るため、我々が提案しているこの「緊急要求」をぜひ実現したいということで、今後も頑張る決意を表明いたしまして、時間が参りましたので、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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