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金融(銀行・保険・証券) (証券取引所, 電子化)

2002年05月17日 第154回 通常国会 財務金融委員会 【172】 - 質問

「証券決済システム法案」は中小証券の経営を圧迫する/大阪証券取引所の不正取引事件の徹底究明を

「証券決済システム法案」は、中小証券の経営を圧迫する
 2002年5月17日、財務金融委員会で、政府提出の「証券決済システム法案」の質疑が行われ、佐々木憲昭議員が、法案の中小証券会社への影響を質問しました。
 法案は、証券取引の決済期間を短くしたりリスクを減らすために、統一的な証券決済法制を整備しようとするものです。すでにCP(コマーシャルペーパー)は、ペーパーレス化や振替決済の法整備が行われており、今回の法案は社債や国債についても統一的決済の対象としています。
 佐々木議員は、法案が株式を対象外としていることをとらえ、今後、株式も対象とした統一的なシステムをめざしていく考えなのか、金融庁の方針をただしました。
 答弁に立った柳澤金融担当大臣は、「今回が準備が整わなかったが、できるだけ早く株式を取り込んだ統一的な証券決済制度を構築したい」と述べました。
 「そこで問題となるのは、統一的な証券決済システムの導入が中小・中堅の証券会社にどのような影響を与えるかだ」と問題提起した佐々木議員は、「中堅証券会社の方から聞いたところ、新システムに移行するためには、コンピューター・システムなどで数百億円かかるという。これを負担できるのは大手だけだと言われている。中小証券にとっては、この負担は到底不可能で、大手の金融機関に口座を開設してもらって新システムに加わることになるという。銀行に口座を維持してもらうためには、当然手数料がかかる。また、翌日決済のような短期間の決済のためには、一定金額を預託する必要がある。その負担も経営を圧迫する要因になる」と中小証券会社の実状を紹介。「この法案が、いまでも厳しい経営環境におかれている中小証券をいっそう不利な状況に追い込むことになるのではないか」と、中小証券への影響に対する柳澤大臣の認識を求めました。
 柳澤金融担当大臣は、「新しいシステムの導入には相当な経費がかかることは事実」と認めつつ、「他面このことで日本の証券市場が活性化する。また券面の管理や保管などの人件費など今までかかっていたコストが削減される」と述べ、このシステムを推進していきたいと表明しました。
 これに対し佐々木議員は、「今回の法案は大手と中小の格差を広げるものだ」と批判しました。



大阪証券取引所の不正取引事件の徹底究明を 監督当局が調査を約束
 次に、佐々木議員は、大阪証券取引所(大証)をめぐる不正取引事件の徹底究明を求めて監督当局の対応をただしました。
 大阪証券取引所では、大蔵省OBの天下りである野口副理事長(当時)が、1996年以降、ペーパーカンパニーを含む11もの関連会社をつくり、大証での取引が繁盛しているかのように見せかける仮装取引を繰り返していました。このような取引は証券取引法に違反するものです。
 この事件については、すでに明らかとなり、大証が自主的に内部調査を行い、事件に関わった副理事長らは退任しています。
 ところが、大証の調査では、関連会社のひとつであるロイトファクスと現在の大証の社長である巽氏が当時社長を務めていた光世証券との間の不正取引については、一切口をつぐんでおり、日本共産党は、2年前から、国会で具体的な資料を示し追及してきました。
 質問のなかで佐々木議員は、1997年7月18日から大阪と東京の両証券取引所で取引が開始された「個別株オプション取引」をめぐる光世証券とロイトファクスの取引をとりあげ、不正取引を示す新たな内部資料として光世証券がロイトファックス宛に出した「取引報告書」やロイトファクスの「総勘定元帳」を示しました。
 佐々木議員は、大証が東証との取引高競争に勝つために、焦点となっていたソニーと日本興業銀行の取引を確保しようと、ロイトファクスと光世証券が相通じて大阪での売買が商盛であることを装うための不正取引を繰り返した疑いがあると指摘し、金融庁が責任を持って調査するよう求めました。
 これに対し、証券取引等監視委員会の渡辺達郎事務局長は、現在金融庁と共同で大証に対して検査を行っていることを明らかにし、「(なれ合い売買を禁止している証券取引法)159条の構成要件との関係を調査する」と答弁しました。
 佐々木議員は、証券取引所に対する検査が30年ぶりであることを明らかにし、「そういう状況の下で、大証は不正行為を働いてきた」として、監督当局の対応をただしました。柳澤金融担当大臣は「法令違反が発見された場合は、厳正に対処する」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 提案された証券決済法案は、決済期間を短くしたり、リスクを減らすために統一的な証券決済法制を整備しようとするものであります。既に、CPについては、ペーパーレス化あるいは振替決済の法整備が行われております。今度の法案では、社債あるいは国債についても対象とされる、しかも、国債を、リスクの大きなデリバティブ取引の一種であります金利スワップ取引の対象にする、これ自体、大変大きな、重大な問題だと私どもは思っております。
 そこで、柳澤大臣に基本的なことについてお聞きをしたいんですが、この法案では株式は除かれておりますね。今後、株式も対象とした統一的なシステムを目指していくという考えなのかどうか、これをお聞きしたいと思います。
○柳澤金融担当大臣 私どもは、この決済制度、決済の迅速化ということを考えますときに、ぜひ、このコンピューターシステムを使って、ペーパーレス化した統一的な証券決済制度というものをつくりたいと強く願っているところでございまして、今回はその準備が整わなかったことで株式を除外した法制になっておりますけれども、できるだけ早く、株式も取り組んだところの、先ほど来申している統一的な証券決済制度というものを構築したい、このように考えている次第でございます。
○佐々木(憲)委員 そこで問題となりますのは、この統一的な証券決済システムの導入が、中小あるいは中堅証券会社にどういう影響が与えられるかという点でございます。
 金融審議会の第一部会ワーキンググループの報告、「証券決済システムの改革及びこれに伴う投資家保護策について」という2月15日の報告書がありますが、この中では、中小、中堅証券に対する分析が全くないわけであります。
 私たちが中堅証券会社の方からお聞きをいたしますと、新しいシステムに移行するためにはコンピューターシステムなど約数百億円かかるのではないか、そうなりますとこれを負担できるのは大手だけではないかと言われているわけであります。
 中小証券にとっては、この負担というのは到底不可能で、そうなりますと、大手の金融機関に口座を開設してもらって新しいシステムに加わるということになる。そうすると、今度は銀行に口座を維持してもらうために当然手数料がかかります。あるいは、翌日決済のような短期間の決済のためには一定金額を預託する必要がある。この負担も大変だということで、大変な経営圧迫要因になるのではないかと思うんですね。
 そこで、お配りした資料の1枚目を見ていただきたいのですけれども、この間の証券会社というのも随分破綻をしておりまして、大変な数に上っております。しかも中小証券に集中していると思うんです、数の上から言いまして。
 柳澤大臣にお聞きしますけれども、この法案というのは、今でも大変厳しい経営環境に置かれております中小証券を一層不利な状況に追い込むことになるのではないか、中小証券への影響を大臣はどのようにお考えか、この点をお聞きしたいと思います。
○柳澤金融担当大臣 佐々木委員は、ある制度をつくるときにそのマイナス面を指摘されるということが大体いつものことでございますが、それはそれで、我々にとってもいろいろな問題を考えておかなきゃならないという意味で私は積極的に考えております。
 ただ、この件について、中小証券、なるほど数が多いけれども、例えば三洋、山一、これを見れば、我々は記憶に非常に鮮やかなところで、そういう大手も余り適切な経営をしなければ破綻をするというのはもういたし方ない、こういうことでございます。
 さて、今回の証券決済システムの導入に伴う費用ですけれども、それはそれなりに、コンピューターの新しいシステムを入れることになれば相当な経費がかかるということは事実でございますけれども、しかし他面、このことによって日本の証券市場全体が活性化していくという大前提がありますし、また逆に、このシステムを入れることによって、今までかかっていた費用が削減されるということもございます。
 先ほど来申し上げておりますように、まだ商法が発券停止というかそういうことを認めておりませんで、有価証券の無券面化というようなものも株式については一部にとどまっておるわけでございますけれども、やはり、券面の管理や保管あるいは受け渡しというようなものにはそれなりの、恐らく人件費的な形をとると思いますけれどもコストがかかっているわけでございまして、そういうものが削減されるという面もあるわけでございます。そういうメリットの方もございますので、私どもとしてはこれを進めてまいりたい、このように考えております。
 なお、委員、つとに御指摘もいただいたわけですけれども、みずからそのコンピューターのシステムをつくれないというようなことの場合には、一時的にそのシステムの一環になった証券会社等に口座を開設することによって、みずからの顧客との関係というものの処理をそこに委託するというようなこともこの制度では許容されておりますので、そういうことでコストの削減も図れるように配慮がなされているということでございます。
○佐々木(憲)委員 費用が削減される面もある、しかし他面で、費用負担に耐えられないところは、特に中小の場合にはさまざまな面でデメリットが発生する、したがって大手と中小の間の格差というのはやはり拡大するのではないか、そういう点での配慮はどうしても私は必要だと思います。残念ながら、今回のこの法案には、その配慮が見当たらないということであります。
 そこで、この証券会社の改革という場合に欠かすことができないのは、やはり、証券市場の不正あるいは不公正な取引、こういうものを一掃するということであります。こうしてこそ、証券市場に対する国民、投資家の信頼を確保することができると思うんですね。
 具体的な事例として、既に当委員会でも何度も取り上げられてきた大阪証券取引所、大証をめぐる不正取引事件についてお聞きをしたいと思うんです。
 まず確認をしたいのですが、証券取引法第159条では相場操縦の禁止というのが規定されておりますけれども、これに違反した場合にはどのような罰則があるでしょうか。
○原口政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えをいたします。
 証券取引法上、相場操縦につきましては第159条において禁止されており、この規定に違反した者に対する罰則としては、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれを併科することとされております。また、財産上の利益を得る目的で行った者は、5年以下の懲役及び3千万円以下の罰金を科することとされております。
 なお、法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他従業者が、その法人または人の業務または財産に関して違反した場合は、その行為者を罰するほか、その法人に対して5億円以下の罰金刑を科することとされております。
○佐々木(憲)委員 まさに、その違法性が問われるような疑惑が大阪証券取引所で発生しております。
 既に一昨年6月に大証がまとめた調査報告書というのがあります。その中で、野口元副理事長が理事会の承認なしに関係会社を設立したこと、あるいは、関係会社の一つでありますロイトファクスと日本電子証券との間で行われた、電子取引市場、Jネットで、取引をめぐり不正支出を行ったこと、こういうものが確認されております。
 ロイトファクスとはどんな会社か。この会社は、1996年以降大証が設立をした11の関連会社の一つであります。
 資料の2と資料の3を見ていただきたいのですけれども、資料の2を見ましても、「関連会社資金取引状況」というものでありますが、これだけたくさんの大証関連の関連会社がございます。大証システムサービスというのが最初にありまして、その後にたくさんの関連会社がぶら下がっている。ロイトファクスもその一つとして、そこにあるように、存在をしていたわけであります。
 そこで、この調査報告書の中でも、このロイトファクスは、その事業活動の状況からして、公的性格の強い大証の関連会社としては不適切と思われる会社と指摘をされているわけであります。さらに、実体がなく、大証及び関連会社間の取引のつけかえをしているペーパーカンパニーに近い存在である、こういうふうに書かれているわけであります。
 金融庁も、昨年の4月2日の参議院の金融経済特別委員会で乾局長が、「金融庁といたしましても、ロイトファクスの設立は大証の公共性、設立手続等の観点から見まして適切ではなかったと考えております」こう答弁されているわけですね。
 この点、間違いないか確認をしたいと思います。
○原口政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 では、このロイトファクスがどういうことをやってきたのか、具体的にお聞きをしたいと思います。
 1997年7月18日から個別株オプション取引が東京と大阪の証券取引所で開始されました。焦点となったのは、両取引所の共通銘柄だったソニーや日本興業銀行であります。これを東京がとるのかあるいは大阪の証券取引所がとるのかということで、大変激しい競争が行われていたわけであります。そこで、大阪証券取引所は、東証との売買高競争に勝つために、大阪での売買が商盛である、大変売買が数多く行われているということを装うためにロイトファクスを利用した。
 ここに、資料の中に資料4というのがありますけれども、光世証券がこのロイトファクスあてに出した取引報告書であります。日付は8月1日。この取引を整理しましたのが資料五であります。資料5を見ていただきますと、全体の数が、統計が整理されております。
 そこで、取引報告書に出ている光世とロイトファクスの間でのソニーの取引は、ロイトファクスの売りが271単位、1単位は千株でありますけれども売りが271単位、買いが331単位となっております。ところが、光世証券の市場での売買記録には、この上の段ですね、光世証券の売りが639単位、買いが669単位となっているわけであります。
 注目したいのは、光世証券の市場での売買数量がロイトファクスとの売買数量の約2倍になっていることであります。これは、ロイトファクスの売買注文に対して、光世証券が市場で、いわば自己商いで、売り注文に対しては買い向かい、買い注文に対しては売り向かっているという疑い、これが極めて濃厚だということを示しているわけであります。
 ちなみに、この日の大証で取引されたソニー株のうち、18%に当たる部分が光世証券によるものであります。極めて大きいんです。これは、大証で株券オプション取引の売買が繁盛しているかのように見せかけるものであります。これは双方が通じ合った不正売買の疑いがあると思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
○渡辺政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) お答えいたします。
 今の先生の御質問に直接お答えするという形にはなかなかならないんですけれども、私ども今、御承知と思いますけれども、大証に検査に入っておりまして、4月の18日に検査の実施を予告いたしまして、5月の9日から検査をしているという状況でございます。
 この検査におきましては、御承知のように大証が株式会社化されたということを受けまして、今までやっていただいておった自主規制機能というものがさらに重要性の高まりが見られますので、それをちゃんと継続的にやっていただけるのか、その他、金融庁検査局とも合同で財務の状況等についてもチェックをする、こういう趣旨で入っております。
 そういう中で、私ども、いろいろな観点から、それだけにとどまらず、証券取引等監視委員会といたしまして、私どもの任務の範囲内でいろいろと関連する取引等の公正性というものをチェックするということもいたしておりまして、先生の御指摘のような取引というのが、実際に私が検査に行っているわけじゃありませんけれども、もし見つかって、仮に、それが証券取引法に違反するということであるとすれば、当然のことながら、法の定めに従って厳正に対処していくということになろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 この8月1日の取引をめぐって、もう一つ疑惑があるわけです。光世証券の取引記録である売買手口によりますと、8月1日の取引に、興銀の売り買いのそれぞれが、その表にありますように、実に1500の単位となっております。
 1500単位という取引は、これは専門家に言わせますと、とてつもないものだと。当日の当該銘柄の取引1514単位の出来高の99%以上を占めている。これは、現物株式の取引に置きかえますと150万株の売買に相当する、約25億円の取引金額となる。これは極めて大規模なものでありまして、通常は、だれが考えてもこれは考えられないと言うのですね。
 しかも、この資料4の取引報告書には、これは出てこないんです。これも大証で株オプション取引の売買が繁盛しているかのように見せる光世証券の自己売買の可能性がある。不正がないかどうか、これも当然検査に含めて調べるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺政府参考人 今おっしゃったようなことも踏まえまして、検査を進めてまいりたいと思います。
○佐々木(憲)委員 資料の6を見ていただきたいんですね。これは総勘定元帳でありますが、これはロイトファクスの総勘定元帳です。
 株式オプション取引を行う場合には、証券会社に証拠金を預けなければならないわけですね。総勘定元帳にはその出し入れの記載があります。これを見ますと、ロイトファクスが光世証券に預け金をしていることがわかります。つまり、株式オプションを行うためのものですね。
 この経緯については、調査委員会の関係者への聴取、これを見ますと、野口元大証副理事長が証言をしております。個別株オプション取引で大証にメーンの市場としての役割を持たせるという意味合いで、ロイトファクスを設立して取引させた、その証拠金を証券会社に預ける必要があったとはっきり述べているわけです。総勘定元帳に名前の出てくる大和証券というのがありますね。これは取引を中止しております。なぜ中止したかといいますと、こういう取引は問題がある、そういう認識で中止をしたというわけです。そこで、後に残った光世証券がロイトファクスの取引を続けたということであります。
 資料七を見ていただきたいんですけれども、光世証券の株オプションの取引実績は、大証でオプション取引が始まった97年7月18日からスタートをしております。そして、99年1月26日には終わっております。それ以後は全く出てこないんです。これは繁盛していると見せかけるための取引だったということがここにあらわれているのではないかと思うんですね。その後は日本電子証券に切りかわっております。この日本電子証券とロイトファクスの取引については、調査報告書で、問題がある、こういうふうに指摘をされているわけですね。
 証取法第159条では、なれ合い売買は禁止だというふうになっております。ロイトファクスと光世証券のこの取引も証取法に触れる可能性があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
 今のお話だけでもちろん即断は私はできないと思いまして、事実をきちっと調査いたしたいと思いますけれども、159条に相場操縦に触れるような行為の構成要件が書いてありますので、これとの関係をきちっと調査したいと思います。
○佐々木(憲)委員 大証がロイトファクスを利用したのは、そもそも不正を行う意図によるものではないかと思うわけであります。ロイトファクスと光世証券の取引関係というのは、たまたま個別にそういうものがあったというだけじゃないんですね。つまり、大証が、先ほど最初に示したように、一連の関連会社をつくっているわけです。そして、そういうものを使って、いわば架空、偽装の取引をやる、そういう不正事件の一環をなすものだと我々は考えるものであります。現在行っている金融庁の検査で、当然こういう点も含めて検査をされるということですから、ここはしっかりと究明をしていただきたいと思うんです。
 そこで、問題は、このような不正を行った光世証券の当時の社長はだれかということです。これは、現在の大阪証券取引所の社長の巽氏であります。このような状況を放置していては、これはもう証券取引所と証券市場に対する不信を広げるということになるんですね。つまり、大証が子会社を使って不正な取引をやった、その不正な取引をやった実行部隊の証券会社の社長が今の大阪証券取引所の社長をやっているというんですから、これはもう全く信用できないということになるわけです。
 金融庁の乾局長は、昨年6月5日に当委員会でこのように答弁しております。「証券取引所の役員である者が証券取引法等に違反する行為をしたことがあってはならないことは当然のことでございまして、そうした事実が把握されました場合には、これも法令にのっとって厳正に対処する所存でございます」と答弁しています。大証の社長を務める人物にかかわる不正が指摘されているわけでありますから、検査の結果、不正が確認されれば、厳正な対処をするのは当然だと思いますが、これはいかがでしょうか。
○原口政府参考人 まさに一般論として申し上げれば、先生のおっしゃるように、そういう不正なことを行ったということが確認されれば、それに対応して我々としても法令に従って適切な措置をとるということでございます。
○佐々木(憲)委員 このロイトファクスと光世証券の不正取引については、我が党は2年前から国会で指摘しているんですよ。これは調査を求めてきたわけでありますが、監督当局が大証に検査に入ったのは、今まで、いつ検査を行いましたか。今回は何年ぶりでしょうか。
○渡辺政府参考人 正確なちょっと日付、今手元に持っていないんですが、私の記憶では大体30年か31年ぶりであると思います。
○佐々木(憲)委員 とんでもない話なんですね。つまり、金融機関に対する検査、銀行に対する検査というのは一定のサイクルでやられておるわけですけれども、証券取引所、つまり公正な市場がそこで成立していなければならない、その証券取引所に対する検査が30年ぶりだと。これではまともに監督が行われているのかどうかというのは疑わしい。大体、そういう検査が行われないものですから、やりたい放題、大証は11も関連会社をたくさんつくって不正取引をやっている、そういうことが野放しになってきているというのが今までの実態であります。
 今検査に入っているというわけですけれども、今まで何度も我々が指摘してきたわけだけれども、まともにみずから調べるということはなかった。大証の身内の調査、調査報告書というのが出ていますけれども、それはそのとおりだということで直接検査をせずに受け入れるというのがこれまでの姿勢だったんですね。やはりそういう点は根本的に改めていく必要が私はあると思います。
 やはりこういう不正事件を見逃すことにつながるということになるわけで、こういう点で最後に柳澤大臣に確認をしたいんですけれども、やはり監督当局として、今後このような株式市場、公正な株式市場の取引を確立する、あるいは投資家、国民の信頼を確保するという上で検査を適正に行うということが必要になっていくと思いますし、不正を見つけたならば直ちに厳正な対処をするということが必要だと思いますけれども、その決意をお聞かせいただきたいと思います。
○柳澤金融担当大臣 取引所につきましては、これまでは公益法人ということでございまして、また、みずから自主規制機関というような立場も持っておりまして、そういうことで、何と申しますか、いろいろ限られた人的資源の振り回しの中で、なかなか検査対象にするというようなことができなかったわけですが、今回は、昨年度の取引所の株式会社への組織変更ということがございまして、これはこの機会にやはり検査をしておく必要があろうということで、差し当たり東証と大証に検査を実施するということにいたしたわけでございます。
 ただ、この検査は、言うまでもないことですけれども、そういう業務がちゃんとしたいろいろな組織立てのもとできちっと行われているかどうかということを検査するものでございまして、そういう過程の中で違法、法令違反というようなものが発見された場合には、今委員が御指摘のように、当然これは厳正に対処する、こういう考え方でおるわけでございまして、今後とも、それぞれの証券取引所が、マーケットということの公正な業務の運営ということが確保されるように我々監督当局としては努めてまいりたい、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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