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金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入, 不良債権処理, 中小企業融資, 優越的地位の乱用)

2002年11月13日 第155回 臨時国会 財務金融委員会 【182】 - 質問

「金融再生プログラム」による公的資金投入策の不当性、地域金融機関の合併と地域経済への影響など質問

 2002年11月13日、財務金融委員会で、預金保険法改正案、地域金融機関組織再編特別法などの審議が行われ、7日の本会議の代表質問に引き続いて佐々木憲昭議員も質問しました。

「金融再生プログラム」の2つの公的資金投入策=金融危機と関係なく平時の税金投入も検討
 11月13日の財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、政府が10月30日に発表した「金融再生プログラム」に盛り込まれた大手行への公的資金投入問題について、竹中金融担当大臣に質問しました。
 「金融再生プログラム」では、資産査定を厳格化などによって経営悪化した大手銀行にたいし、公的資金を投入する仕組みをつくっています。
 そのひとつが、現行の預金保険法にある危機対応策を発動して、公的資金を投入する方法です。
 現行の預金保険法では、「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」金融危機の場合に、公的資金の投入を認めています。これに対して、今回の「金融再生プログラム」では、「個別金融機関が経営難や資本不足もしくはそれに類似した状況に陥った場合に」、現行法に基づく試行的資金の投入を「即時適用する」としています。
 佐々木議員は、現行法に比べて今回の「プログラム」が、公的資金を使うケースを幅広くとらえていることを問題にし、「経営難や資本不足、それに類似した状態で、現行法が適用できるのか」と、竹中大臣の認識をただしました。
 竹中大臣は、「一律に、一概に、前もって申し上げることはできない。個々の判断をしていかなければならない」と述べ、明確な答弁を避けました。
 これに対し佐々木議員は、預金保険法に危機対応の仕組みを導入した際の法案審議のなかで、政府が危機対応の発動を限定的なものだと説明していたことを指摘し、「現行法から逸脱している」と批判しました。
 「金融再生プログラム」は、もうひとつの公的資金のルートを盛り込んでいます。「不良債権処理を終結させるため、迅速に公的資金を投入することを可能にする新たな制度の創設の必要性などについて検討し、必要な場合は法的措置を講ずる」というものです。
 この新たな公的資金投入策について、佐々木議員は、「システム的な危機とは全然関係のない金融が安定している状態で、不良債権を処理するために税金を投入する、いわば平時の税金投入体制を検討するものか」と竹中大臣を追及しました。
 竹中大臣は、「かねてより専門家の間で、危機の対応だけで十分かとの問題が提起されてきた。現行法の限定的な形だけで平成16年度までに不良債権問題を解決できるのかどうか、この点について、枠組みが必要かどうかということも含めて、検討をすすめたい」と佐々木議員の指摘を否定しませんでした。
 佐々木議員は、「これまでの政府の説明では、公的資金を使うことは、システミックリスクの恐れのあるときのみに使えるということで限定されていた」と指摘。今回の新たな投入策について「これまでの枠を越えて、国民の税金をどんどん注ぎ込んでいこうと言うことがよくわかった」と述べました。

「不良債権処理で資金回る」は空論=新生銀行の実態を示し追及
 次に、佐々木議員は、“不良債権処理をすれば必要なところに資金が回る”という小泉「構造改革」論に根拠がないことを明らかにしました。
 「リスクとしての不良債権を取り除くこと」が「きちっとした企業にお金を回していけるようなシステム」をつくる手だてだとする竹中平蔵金融・経済財政担当相にたいし、佐々木議員は、不良債権を処理しても融資が大幅に減っている新生銀行の実態を示し追及しました。
 新生銀行は、一時国有化した長銀を政府が巨額の税金を使って不良債権を処分し外資が買った銀行です。同行の2002年3月末の国内向け貸し出しは4兆8000億円で、新生銀行が発足した2000年3月末の7兆5000億円に比べ2兆7000億円も減少しています。
 佐々木議員は、税金で不良債権を処理してもらっている新生銀行の貸し出しが大きく減っていることを踏まえて、不良債権があるから新しい貸し出しができないのではなく、リスクを取ろうとしない銀行の姿勢に問題があると指摘しました。
 これに対し竹中大臣は、「(新生銀行は)新しいビジネスモデルを模索し移行している途上である」と答弁。貸し出しが減少する要因が不良債権ではなく「銀行の姿勢の問題」であることを認めました。同時に竹中大臣は、新生銀行の不良債権比率が20%と高い数字を示していることを強調しましたが、佐々木議員は、瑕疵担保特約によって旧長銀から新生銀行が引き継いだ債権が不良化すれば国に買い戻して貰えることを重ねて指摘し、新生銀行には不良債権に関し何の心配もないにもかかわらず、貸出を減らしていることを批判しました。
 佐々木議員は「ビジネスモデルを理由に各銀行が不良債権を処理しても貸し出しを縮小することはある。やるべきは中小企業に資金が回るように銀行の行動を是正していくことだ」と強調しました。竹中大臣は「その限りでは、まったくその通り」と認めながら、「(佐々木氏と)違う点は銀行の姿勢を変えさせるためには不良債権を取り除くことだ」として不良債権処理の加速にあくまで固執する姿勢を示しました。

銀行の一方的な金利引き上げを是正せよ=“問題があれば必要な措置をとる”と金融庁が答弁
 政府の不良債権処理のもとで、銀行による一方的な貸出金利の金利引き上げが横行しています。佐々木議員は、金融庁にたいし、優越的地位を利用した銀行の一方的な金利引き上げをただすよう求めました。
 佐々木議員の質問にたいし、竹中金融担当大臣は、「貸し手という優越的な地位を利用するような形で、不当な取引の押しつけのようなことがあっては絶対にならない」と述べたうえで、「これは、公正取引委員会に窓口がある。一方で、我々は、貸し渋り貸し剥がしホットラインというものを設けて、これが地方の財務局でも稼働できるような体制に持っていったところ」だと述べました。
 佐々木議員は、新設された「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」が、被害を受けた借り手から訴えを受け付けるだけなく、具体的に調査もし、銀行の側に非があると認められる場合には是正をさせるよう、金融庁としての指導を求めました。
 答弁に立った五味金融庁監督局長は、「法令上問題がある、あるいは銀行経営の適切性という面から見て問題があるということであれば、報告徴求といった行政上の手続きを踏んだ上で、事実を確認し、必要な措置をとる」と明言しました。

地域金融機関の合併が地域経済にマイナスに
 佐々木議員は、「地域金融機関組織再編特別措置法案」の質疑に立ち、地域金融機関の合併と地域経済への影響を質問しました。
 この質問で、佐々木議員は、塩川財務大臣が、一律の基準で地域金融機関の合併を進める考え方を示していることを取り上げました。
 塩川財務大臣は、政府経済財政諮問会議のなかで、信用金庫が預金8000億円、地方銀行で預金1兆円という基準を示し、地域金融機関の合併をすすめる必要性に言及しています。
 しかし、金融庁のデータでも、塩川大臣の基準を上回っている金融機関は、全国349の信用金庫のうち23金庫、第2地方銀行では54行のうち19行にすぎません。塩川大臣が示した基準に照らせば、大合併は必至です。
 佐々木議員が、基準の根拠をただしたところ、塩川大臣は、「腰だめ的な数字だ」と無責任な答弁。その一方で、行員1人あたりの生産性を念頭に置いたものであることを明らかにし、「金融機関の体力向上のために非常に大きいスケールでの合併をしてもらいたい」と述べました。
 佐々木議員は、「規模は小さくても立派な経営をしている信金、信組はたくさんある。大きくなればいいことだというのはまったく現実とは違う」と反論し、金融機関の合併によって貸し出しをストップされるケースが発生していることや、支店の廃止や職員の大規模な削減によって、地域との関係が希薄になる事態が生まれるなど、合併による地域経済の悪影響を指摘しました。
 また佐々木議員は、これまで合併した信金、信組について調べたところ、合併後に収益も預金も減っている例があることを示し、合併すれば収益が上がるという政府の考え方を実態にそくして批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、10月30日に公表された金融再生プラン、あるいは改革加速のための総合対応策、この問題についてお聞きをしたいと思います。
 この中心課題として据えられておりますのが、不良債権処理の加速であります。竹中大臣はしばしば、不良債権処理をしなければ必要な分野に、成長分野に資金が回らないんだ、こういうふうに言っておられますね。
 しかし、よく考えてみますと、果たしてそうなのかどうかという疑問が出てくるわけでありまして、まず前提として、この委員会で何度も私は日銀総裁とも議論をしましたが、その説明によりますと、今、既に過去最大の金融緩和ですね、大変な金融緩和であります。ですから、日銀から銀行に対しては大変な資金が供給されておりまして、総裁自身も、じゃぶじゃぶ供給されている、こういう表現を使っているわけです。したがって、現在は、銀行にとっては資金不足ではなくて、いわば資金的には過剰状態にある、こういうふうに言えるのではないかと思いますが、大臣の認識はいかがでしょうか。
○竹中金融担当大臣 銀行にとって資金が過剰かどうかということでありますけれども、これはどういう判断基準によるのかだと思います。銀行が利用可能な、例えば日銀等々、いろいろなマネーマーケットで調達可能な資金の量そのものは決して不足していないという意味では、これは、日銀総裁の言葉を御引用されましたが、委員のおっしゃるような面はあるかと思います。
 しかし、銀行にとって、きちっと健全にリスクをとって、そのリスクとリターンとの関係できちっとした形で貸し出しを伸ばしていけるような状況にあるかどうかということになりますと、つまり、自分がリスクをとって利用できるというようなお金が十分かどうかというと、残念ながら、そうはなっていないのだと私は思います。
 であるからこそ、貸しはがしとか貸し渋りとか、この意味は、本当に必要としているちゃんとした借り手にお金が回っていないという意味であるとするならば、そういうことが起こり得る状況になっているんではないのかなというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今大臣の御答弁では、銀行にとっては利用可能な資金量は不足していない、しかし、その先に行かないのはいろいろ理由があって行かないのだ、こういう話であります。
 ですから、不良債権を処理しなければ資金が足りない、あるいは資金不足である、こういう状態ではないわけですね。つまり、日銀から銀行の間には、過去最大規模の大量の資金供給が行われている。問題は、銀行から先に資金が供給されていかない、必要な分野にもそれが行かない、そこに大変大きな問題があると思うんです。その理由は何かということを究明することがむしろ大事ではないかと思うわけですね。
 二つあると私は思っております。一つは、この不況が非常に深刻になっているために資金需要が低迷している、したがって、なかなか資金が移動しないというのが一つ。それから二つ目に、今大臣もおっしゃったように、銀行側の貸し出しの姿勢に非常に問題がある。銀行自身が貸し渋りあるいは貸しはがしに走るような状況になっている。銀行自身に問題がある、こういうことが言えるのではないかと思うわけですね。したがって、そこに問題があるならば、それにどう対応するかを考える必要があると思うわけです。
 したがって、竹中大臣のお考えをお聞きしたいのは、銀行から先に流れていかないその理由、私は二つ申し上げましたが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○竹中金融担当大臣 基本的に考えている枠組みというのは、お話を伺っている限り大きな差はないように、ここまでのところは思えます。
 ただ、大変重要な点は、銀行から貸し出しがふえない理由は何なのか、そういうお尋ねでありますが、一つは、資金需要がないという御指摘、それは、現下の経済状況下で従前に比べて資金需要が強くないという点は確かにあると思います。しかし、資金需要がないという表現と貸し渋り、貸しはがしがあるという表現は、明らかに矛盾があると思います。
 つまり、貸し渋り、貸しはがしというのは、借りたいと思っている人が借りられないという意味ですから、借りたいと思っている人がいるということですから、その意味では、マクロで見ると資金需要が以前より少ないということはあるかもしれませんが、需要がないということではないわけですね。
 もう一つ、貸し出しの姿勢だというふうにおっしゃいました。私も、貸し出しの姿勢という点でそれを否定するつもりはありませんが、では、なぜそんな貸し出しの姿勢になるのかということが重要だと思います。
 ここは、やはり二つ重要な点があろうかと思います。一つは、銀行自身が不良債権、不良な資産を持っているからリスクがとれないということです。リスクがとれない。不良債権の償却に追われて、不良な資産を持っているがゆえにリスクをとって前向きに貸し出そうとすることができない、これが一つの大きな要因だと思います。
 もう一つは、これは委員と多分意見が一致すると思いますが、本当に健全な企業で、そこの資金を必要としているところに対してお金を貸すというのが、これは銀行の利益になるはずです。にもかかわらず、そういうことが起こっていないとすれば、銀行は、みずからの収益を高めるという当たり前の行動がとれていない可能性があるのではないだろうかということになる。これはどういうことかというと、まさに銀行の経営においてのガバナンスに何らかの問題があるのではないのかということになるわけであります。
 したがって、資産査定をきっちりとして、自己資本も充実して、不良債権の処理を進めることがやはり重要であり、ガバナンスを強化して、ちゃんとした企業にちゃんとした貸し付けをしていけるような、そういうガバナンスを確立していくことが重要であるというのがその再生プログラムの出発点になっているわけであります。
○佐々木(憲)委員 大臣の認識は半分私と共通しているんですが、あとの半分が大分違うんであります。
 共通しているという点で申しますと、借りたい人がいる、借りたい企業がある、にもかかわらず貸し出さない、あるいは高い金利をつけなければ貸さないよ、こういう銀行の行動、ここが問題なんだ、それを直さなければならぬ、この点は共通すると思うんですね。問題は、不良債権があるためにリスクがとれないので貸し出せないんだ、この点ですね。
 私は、それでは不良債権を処理してしまえば貸し出せるのか、その関係が本当にあるのか、この点について、次に具体的な事例で議論をしてみたいと思うわけです。
 例えば、不良債権が処理されてしまった後、銀行から企業に資金が円滑に流れるかどうか。一つの例として、新生銀行があるわけですね。これは、不良債権を国民の税金できれいさっぱり処理をしているわけです。新生銀行は、一時国有化された長銀がリップルウッドに譲渡された後、名前を新生銀行に変えたわけです。国民の税金が7兆4千億円使われたわけですね。このうち、長銀が持っていた不良債権の処理や引き継ぐ債権の引き当てのために3兆5千億円が使われました。これは返ってこないわけです。国民負担は3兆5千億円、もう既に確定しております。
 その上で、瑕疵担保特約というのがありまして、2割以上減価すれば不良債権が新たに発生するということで、これも国民負担で買い取ってやらなければならぬと。至れり尽くせりのやり方をして、新生銀行にとっては不良債権処理は完全に終わっておりまして、その結果、2001年3月期の当期利益も900億円を超えているわけです。2002年3月期も607億円の利益を上げております。10億円で買った銀行が、既に2年で合計1500億円の利益を上げている。
 このように、新生銀行というのは、現在では不良債権処理から完全に解放されている銀行であります。竹中大臣の言うとおりであれば、不良債権を持っているためにリスクがとれないというような状態ではありません。
 具体的な数字をお聞きしますけれども、その前に、この新生銀行の貸し出し状況、ふえているのかどうか、どんどん拡大しているのかどうか、これはどのようになっていますでしょうか。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) お答えいたします。
 新生銀行の国内向け貸し出しでございますが、平成14年3月末の実績で4兆8461億円でございます。1年前の平成13年3月末の実績は、国内向け貸し出し、6兆円でございます。さらに1年前の12年3月末の実績は7兆4970億円でございます。
○佐々木(憲)委員 この新生銀行は不良債権の負担から完全に解放されておりますが、貸し出しがその分ふえていったかといいますと、今報告がありましたように、平成12年3月末で7兆5千億円の貸し出しがありました。それが、平成14年3月末では4兆8461億円、大変な減り方であります。
 これは一体どういうわけか。不良債権を処理しても貸し出しはふえない、必要なところに貸せる状況が本来あるはずであるにもかかわらず、貸し出しが大幅に減っている。これは、竹中大臣がおっしゃっているような、不良債権があるから新しい貸し出しができないのだということではなくて、全く別の原因で貸し出しが減っている。つまり、銀行が貸し出さないんです。リスクをとりたがらないんです。そういうところに問題があるのであって、不良債権に問題があるのではないということはこの事例をとっただけでも明らかではないんでしょうか。
○竹中金融担当大臣 これは、どういうようなタイムスパンでその貸し出し行動を評価するかということだと思います。
 今、特定の銀行の例を出されましたけれども、これはそれ特有のいろいろな要因が働いていると思います。さらには、そこの社長なり頭取なりの方針によって、今、新しいビジネスモデルに移行していく最中なのであろうかということを私は理解をしております。
 そういった形で、最適な規模というものを模索しているでありましょうし、その中での一つの定常的な状態をビジネスモデルとしてつくった後は、これは当然のことながら自己収益を上げて、自己資本を拡充して、それによって収益を最大化していくために適切な貸し出しを行っていくというふうに、時間のスパンをもって考えていくのがやはり自然なのではないかと私は思っております。
○佐々木(憲)委員 新生銀行が発足したのは2000年の3月末であります。タイムスパンといいますか、もう既に3年近くたっているわけですね。不良債権処理はもう既にこの銀行には関係のない話になってスタートしたわけですから、当然、貸し出しがどんどん伸びていくというのが当たり前でありますが、それが伸びていっていないわけです。
 特有の要因が働いているとおっしゃいましたが、そういうことであるならば、不良債権がたまっていたから貸し出しが伸びなかったということではないわけでありまして、不良債権が処理されても貸し出しが伸びない、そういう結果になっておるわけですから、不良債権が足かせになっているという理由は成り立たないと思うんですが、いかがでしょうか。
○竹中金融担当大臣 そこは一概には言えない問題であると思います。
 不良債権の問題というのは、要するに、明らかにこれは銀行だけではなくて、すべての企業にとってのリスク許容度というのを弱めるわけでありますから、同じリスク許容度で判断するならば、当然のことながら、不良債権があることによってそのリスクがとれない度合いというのは格段に高まるということだと思います。
 繰り返して言いますが、今の個別の銀行の事例というのは、新しいビジネスモデルを模索して、それに移行している途上であるというふうに私は思っております。そういったことで、もしこれに多額の不良債権があったならば、そのリスク許容力というのはますます小さくなっていくということはこれは否定できないわけでありますから、そうでないときに比べて、リスク許容力が高まって、健全な貸し出しができるようになっていっているというふうに考えるのがやはり自然であると思います。
○佐々木(憲)委員 全くの詭弁だと思いますね。リスク許容度の話をされましたけれども、不良債権を処理しても融資が大幅に減っている、このことは大変重大でありまして、不良債権を処理すれば必要なところに資金が回るという議論は全く成り立たない、空論だということしか私は受けとめることはできません。
 しかも、来年の3月末、この段階で、では貸し出しの予定はどうなっているのか。これは4兆円であります。ですから、貸し出しの目標自身も縮小しているわけです。
 中小企業の問題について申しましても、当初の中小企業向け貸し出しは、2000年度では4300億円この段階で貸し出しを減らしました。2001年度になりますと800億円減らしているわけであります。2002年度になりますと、さらにこれは残高で5千億近くも減額する、こういう計画を立てているわけであります。しかも、瑕疵担保特約によって、2002年度は、今年度ですね、2700億円、これを国に買い戻させようとしているわけであります。
 つまり、中小企業向け貸し出しそのものも、一時は問題がありまして業務改善命令が出されて、若干立ち直ったかのように見えたけれども、全く基本的には変わっていない。したがって、私はこの例というのは典型的な不良債権処理終了、つまり国民の税金によって抜本的に、これ自体けしからぬわけですけれども、国民負担によってやったということは。しかし、それによっても、そのことによって不良債権が完全に処理されても、全く必要なところに資金が回らない。
 ですから、何が問題かといいますと、貸し出す姿勢を変えなきゃならぬのですよ。新しいビジネスモデルをつくるんだとおっしゃいましたけれども、その新しいビジネスモデルを理由にして、これは各銀行とも勝手にそういう理由で不良債権処理が終わってもどんどん縮小するということだってあり得るわけでありまして、そういうことで全く合理化できるような話ではないというふうに思います。
 そこで問題なのは、銀行から先の貸し出しの姿勢をどう正していくか。先ほど大臣は、やはり必要なところに資金が回るように貸しはがしや貸し出しは抑えなければならない、正さなければならない、こういうふうにおっしゃいました。やはりそういうところに資金が回るようにしていくということが大変重要だというふうに思うんです。
 これはホームページで、「中小企業政策を考える」「シンクタンクのメッ」というところから引用させていただくわけですけれども、これは中小企業関係の方の発言でありますが、「赤字なら非効率な企業で、高額の収益があれば高生産性分野の企業と呼ぶんでしょうか。で、前者の企業はさっさと処理して、つまり、たとえ倒産しようとも融資金を引き揚げて、後者の企業に回せというのでしょうか。しかし、企業というものは生き物で、数年赤字が続いたかと思うと、突如成長を始めることが珍しくありません。企業のなかで、低生産性分野から高生産性分野に資源が移動するんですね。」「とにかくいまダメだから将来もダメだなんてことはないわけです。つまり、非効率な企業を温存しているという主張には、企業のダイナミズムという視点が欠けている」「非効率な企業を淘汰するよりも、非効率な企業の生産性をどうあげるかが重要なのではと思います。とくに金という資源は簡単に移動できますが、ヒトやノウハウなどの情報的資源は簡単には移動できません」「低生産性企業に関しては、もしそれらがすべて無くなってしまったら、日本の経済はどうなるのかということも考えておく必要があります。」
 こういう発言でありまして、これは現場の感覚を大変よく反映したものだというふうに私は思います。したがって、こういう可能性のある企業をどう支えるのかということが、銀行のまさに新しいビジネスモデルの中心に据えなければならない課題だろうと思うわけですね。
 この点で竹中大臣にお伺いをしますけれども、今やるべきことは、本来必要としている中小企業に資金が回るように銀行の行動を是正していく、これがやはり今やるべき中心課題ではないのかと思いますが、いかがでしょうか。
○竹中金融担当大臣 お話を伺っている限り、私は全くそのとおりだと思います。ただし、非常に違う点があるとすれば、姿勢を変えさせなければいけない、姿勢はどうしたら変わるのかということなのだと思います。
 一点、ちょっと補足させていただきますが、先ほど、個別の銀行の紹介がありまして、不良債権はないはずなのに、これが減っている、貸し出しが減っているということがありましたが、その銀行の不良債権比率は、公表されている数値で20%でございます。これは、他の銀行の一般よりはるかに高い比率に今のところなっております。そのことは事実として申し上げておきたいと思います。
 それで、今がだめなら将来がだめだということはない、これはもうそのとおりだと思います。企業という非常に複雑な経営体の将来にわたる、目、生き死にをはっきりと見きわめる目こそがバンカーの目であるというふうに思います。
 そのために、どうしたらよいのかということで、例えばですけれども、これは大手の大口債務者には限られますが、例えば今回議論させていただいているディスカウント・キャッシュフローの方法というのも、今の時点ですぱっと切るのではなくて、将来にわたる成長性とかも見てきちっと判断できるようにしましょうということであるからこそ言っているわけでございます。
 銀行の姿勢が、銀行の姿勢というのは私が言っている言葉だと、まさにガバナンスの問題、本当に必要としているきちっとした企業にお金を回していけるようなシステムをつくっていくということでありますから、その限りにおいては、私はおっしゃっていることは大変もっともだと思いますが、その姿勢を変えさせる、変えるのは、やはりこれはリスクをきちっと取り除くことであり、リスクとしての不良債権を取り除くことであり、きちっとしたガバナンスの働くようなシステムを持っていくことであり、私はやはり、そういう再生プログラムに書かせていただいたような政策に尽きるのではないかなと思っております。
○佐々木(憲)委員 前段の新生銀行のお話ですけれども、不良債権の比率が20%という話でしたけれども、一つは、それ以前にあった不良債権は大胆に処理をされているわけであります。しかも、それを国民の税金によって処理をしたわけでありまして、それ以後も貸し出しが減っているという話を私はさせていただいたわけであります。それからもう一つは、この買い取った資産が目減りをすれば、その分を国が買い取ってくれるという大変ありがたい仕組みがつくられているわけでありまして、そういう意味でも二重三重に不良債権の負担を軽減されているという点を指摘しておきたいと思います。
 それから次に、姿勢の問題ですけれども、銀行の姿勢を変えるということが大変重要だというふうに申し上げました。具体的に、これは共通して見られるわけですけれども、例えば東京商工会議所がアンケート調査をやりました。その結果、回答をした企業のうち金融機関からの金利引き上げ要請を経験しているのはどの程度かというのがあります。業態別にいうと、都銀が75%であります。次いで信用金庫が16%。圧倒的に都銀が金利引き上げを求めている。つまり、リスクを負担せずに押しつけているわけであります。
 しかも、要求された金利の引き上げ幅は、1%未満が66%、1%超2%未満が30%。結構大胆に、金利を上げろ、こう言われているわけであります。しかも、長期の運転資金融資を完全に返済をした後、新たな融資契約を断られた、あなたのところはもう返してもらったけれども、もう新しく次の融資はしませんよ、こういう企業が14%に達している。返済期限を短縮して、例えば、1年のところを六カ月で返しなさい、あるいは2年のところを1年で返しなさい、そういう経験を持つ企業は14%であります。
 しかも、こういうところは、ほぼ中堅、中小企業が圧倒的ということなんですね。ですから、体力のある大手銀行、都市銀行が体力のない中小企業に対して無理難題を吹っかけて高い金利を要請した、その要請を受け入れたのかどうかというのを聞いていますけれども、受け入れざるを得ないというので、82%の企業が受け入れているわけです。こういう状態ですので、全く、銀行の姿勢というのは中小企業に対しては非常に冷たい。
 これは、同じ東京商工会議所の調べですけれども、ことしの9月5日から10日に調べた、つい最近の調査ですが、資金繰りについて、7―9月期の資金繰りはどうですか。悪化したと回答する企業は、前回から4・1ポイント増であります。31・8%で、3割を上回る状態になっておる。好転した、よくなったという企業は、前回に比べて1・9ポイント減少、4・7%にすぎない。貸し渋りによる企業経営への影響についてはどうか。既に限界に来ており、経営に深刻な影響が出ている、いずれ影響が出ると思うと回答した割合は、前回の調査は71・1%でしたが、3・5ポイント増加して74・6%になっております。
 つまり、最近になって急に銀行側の貸し出し姿勢が悪くなっている、極めて渋くなっているということがこの調査結果に出ているわけであります。もう限界だというところに、金利を上げなければあなたのところ貸しはがしやりますよ、こういうおどしまでかけられている。
 あるいは、中小企業家同友会、全国組織の中同協というのがありますが、そこの調査によりましても、最近の7―9月期の調査を見ましても、金利引き上げの要請を受けたというところが非常に急増しております。要請を受けた企業で、応じた企業は70%。それから、応じざるを得なくなった理由。一方的に通告されたというのが26・6%、融資がとめられることを懸念した、これが32・8%。つまり、もう問答無用で、あなたのところはこれから1%上げてもらいますよ、それが嫌なら融資をとめますよと言われることを恐れて受け入れざるを得ない、こういう状態であります。
 竹中大臣にお伺いしますが、こういう、急速に銀行の貸し出し姿勢が厳しくなって、中小企業は大変苦しんでいる。これについては、ホットラインその他の体制もつくって何とか対応したいというお話がありましたが、じゃ具体的に、銀行のこういう姿勢を変えるためにはどういう手だてを打つべきなのか。これは、至急調査をして、対応策を検討して、必要なところに資金が回るような具体的な措置をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○竹中金融担当大臣 今委員は、商工会議所のアンケート調査を御紹介くださいましたが、そうしたアンケート調査に示されているとおり、現状、大変厳しい金融環境が続いているということは承知をしております。
 改めて申し上げますけれども、これまでの銀行の不良債権の処理のおくれが、こうした形でさまざまな問題を生じさせつつある。この点に対しては、非常に注視をしながら、混乱を避けながら、ぜひとも持続的な銀行の貸し出しが可能になるような状況をつくりたい、それが金融再生プログラムが目指しているところであります。
 言うまでもありませんけれども、一般論としては、取引先の信用リスクを十分見きわめた上で、このリスクに見合ったリターンをとるという観点から貸出金利の引き上げ交渉を開始しているといった動きがあることは承知しておりますし、やはりリスクとリターンが見合ってこそ、先ほどから申し上げているように、安定的に取引関係を続けることができるわけでありますから、これはこれで、きちっとやるべきことはやらなきゃいけない。そうすることによって、本当に中長期的な観点から資金仲介機能を適切に果たせるという面はやはり私はあると思いますし、認めなければいけないのだと思います。
 ただ、銀行、貸し手という優越的な地位を利用するような形で、不当な取引の押しつけのようなことがあっては絶対にならないというふうに思います。
 どのような対応策をとるのかということでありますが、私たちとしては、一方で、きちっと中長期的に持続的な発展が可能な、サステーナブルな金融システムをつくるために、不良債権処理の加速を軸としたこの金融再生プログラムを着実に進めていきたい。一方で、その間の対応策としては、やはり非常に多様なことをしなければいけないと思っております。いわゆる貸し渋り、貸しはがしといったようなことが生じないように、これまでも金融庁は銀行に強く要請をしてきましたが、こうした姿勢は今後ともさらに必要になってくると思います。
 同時に、先ほど優越的地位の乱用はけしからぬという話をしましたが、これは公取に窓口がある。一方で我々は、貸し渋り貸しはがしのホットラインというものを設けて、これが地方の財務局でも稼働できるような体制に持っていったところであります。この結果を検査等々にも着実に反映させていきたいと思いますし、公取の窓口との連携等はしっかりと深めるように尽力したいというふうに思います。
 さらに、これも金融再生プログラムの中に書き込んでおりますが、やはり、中小企業に対する新しい貸し手、この新規参入というものも積極的にぜひ実現したいと思っております。免許申請からそれが実現するまでの短縮をどのように行えるかということを今工程表の中で検討しておりますし、信託を利用した新しい中小企業への資金供給の仕組みをいかにつくるべきかということの検討も始めております。
 こうしたことを、多様な政策を組み合わせることによって、問題が生じないように全力を尽くしたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の話がありましたので、ちょっとその具体的な中身についてお聞きしますが、これは、一般の被害を受けた借り手の側からの訴えをホットラインで受け付けるということになるんだろうと思うんですね。
 その場合の対処の仕方であります。今の御答弁では、検査に反映させると。それだけでは、ホットラインで、何とかもうあすから、手形が落ちないので何とかしてほしい、銀行の貸し渋りでえらい目に遭っている、こういうことに対応することにならないのではないでしょうか。やはり訴えがあったら即それに、具体的に調査もし、銀行の側に非があると認められる場合には是正をさせる、こういうことがないと、ただ聞きおいて、ああ、今度いつあるかわからないけれども検査のときに調べてみましょうという程度じゃ、これは対応策にならないと思うんです。
 もちろん、全体の銀行の姿勢を正すということは必要だと思いますが、個別の対応について、もうちょっと具体的な、リアルな対応策が示されなければ、これは全く絵にかいたもちに終わらざるを得ないのではないでしょうか。
○伊藤金融担当副大臣 この「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」につきましては、今、経済産業省、中小企業庁の方にもお願いをして、全国の中小企業団体にもこのことを設置したということを広く伝えていただくことをお願いいたしております。
 そして、ここで集まってきた情報につきましては、検査そして監督に生かしていくということでございますから、その中で明らかに法令違反ということがある場合には、私どもとしては、私どもに与えられている権限の中で適切に対応をしていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 その適切対応の内容なんですが、検査監督に生かすというだけでは是正にはならないですよね。その場で是正するんでしょうか。訴えがあった、聞きました、検査監督にそのうち生かしましょうというんじゃ話にならないわけで、どうするんですか、その辺。
○五味政府参考人 お答えいたします。
 金融再生プログラムには、ホットラインによって通報された内容につきまして「重大な問題があると判断される場合には、その金融機関に対して報告を徴求するほか、必要があれば検査を実施し、適切な行政処分を行う。」という記述になっております。
 一つ一つの取引について、民間同士の取引でございますから、当局がこれをどうせよという命令をするという権限はございませんけれども、それが法令上問題がある、あるいは銀行経営の適切性という面から見て問題があるということであれば、報告徴求といった行政上の手続を踏んだ上で、事実を確認し、必要な措置をとる、こういうことになります。
○佐々木(憲)委員 訴えにきちっと対応できて、適切な措置がとられなければ、ホットラインといって、ただ電話が来ました、ああそうですかじゃ話にならないわけですから、効果のある対応策をぜひとっていただきたいというふうに思います。
 さてそこで、次に、金融再生プランの公的資金投入の部分についてお伺いをしたいと思います。
 この金融再生プランの内容を見ますと、資産査定を厳格化しまして、その場合には再検査なども、特別検査を行いまして、引当金を積み増す、あるいは処理を加速する、こういうことになっているわけですが、それ自体中小企業にとっては迷惑な話でも一面ではあるんですけれども、ここにはこう書かれているんですね。「個別金融機関が経営難や資本不足もしくはそれに類似した状況に陥った場合等には、以下に示す「特別支援」の枠組みを即時適用し、」というふうに書かれております。そして、その枠組みの中には、必要な場合、「現行の預金保険法に基づき、速やかに所要の公的資金を投入する。」こういうふうに書かれております。
 私が前回竹中大臣に確認をしたときは、この現行法の枠内でできるものというのは、金融危機対応会議の議を経て、内閣総理大臣の認定を受けた金融機関のみが定められた期間内に申し込むことができて、そして、資本増強を実際に行うかどうかは総理大臣が決定すると。その前提として、公的資金の注入ができるのは、我が国または当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められる場合、いわばシステミックリスクを引き起こす危険性があると認定された特定の金融機関に対して公的資金が投入できる、これが今の法体系であります。
 今度の再生プランというものは、この法体系から見ますと、かなり幅が広い感じを受けるわけです。経営難に陥る、それから資本不足に陥る、これはシステミックリスクの危険性が起きる前段の話ですね。もしくはそれに類似した状況に陥った場合、類似した状況。
 お聞きしたいんですけれども、個別金融機関が経営難に陥ったり資本不足に陥るだけで、果たして現行法が適用できるんでしょうか。
○竹中金融担当大臣 現行法というのは預金保険法102条のことであると思いますが、これは何度か答弁をさせていただきましたが、どういう場合にこの102条が適用できるか、つまり危機と認定できるかということに関しては、これは一律に、一概に、前もって先見的に、危機はこうであるということを申し上げることができないものですから、個々の判断をしていかなければいけないというふうに思います。
 その意味では、現状で何か確定的なことを申し上げるのは困難なわけでございますけれども、状況判断しながら、これは適宜適切に、間違いのない判断をしていかなければいけない問題であると思っております。
○佐々木(憲)委員 そんな答弁じゃ何にも答弁にならないですね、漠然としていて。
 つまり、現行法では、当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがある場合と限定をしているわけであります。その場その場に応じて適切に判断すると書いていないんですよ。そんないいかげんなこと、書いていないですよ、この法律には。
 私も、この法律ができるときに、大蔵委員会でしたか、質問しましたが、その場合には非常に限定的なんだという答弁を繰り返しお聞きしました。ですから、今の答弁のように、何か漠然として、そのとき判断すればいいんだというようなことではありません。経営難や資本不足だけで、大体、経営難というのは一体だれがどのように判断するんですか。そういうときに公的資金が投入できるルートが開かれる、これは現行法からいって完全に逸脱している部分だと思います。
 それからもう一つは、それに類似した状況に陥った場合。経営難に類似した状況、資本不足に類似した状況、何ですか、これは。説明してください、具体的に。何が類似しているのか、どういうことなんですか。
○竹中金融担当大臣 まず、その危機につきましては、これは、今申し上げたことは何度も御答弁をさせていただいていることと共通であるというふうに思っております。
 金融危機への対応にはさまざまな局面がありますから、その定義を具体的に申し上げることは困難である。あえて申し上げれば、信用秩序の混乱によって、我が国あるいは当該地域全体の金融機能が不全に陥りかねず、実体経済への悪影響も懸念されるような事態などが考えられる。しかしながら、いずれにせよ、個々のケースごとに金融危機対応会議の議を経た上で総理大臣が判断する仕組みとしているということで、これは繰り返し御答弁をしていたことであります。
 これは法律の定めでありますから、102条は法でありますから、この法を超えて公的資金を注入するというようなことは、これはもうあり得ないわけでございます。金融再生プログラムに書いておりますのは、そういったさまざまな事態を想定した上で、この枠組みを適切に使って、金融部門から絶対に経済の底割れを起こさせないという我々の決意とその枠組みを書かせていただいているわけでありまして、公的資本注入に関してよって立つところは、これは預金保険法の102条ということに尽きるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 預金保険法の102条の解釈というのが、当時の法改正のときの説明、答弁が有権的な解釈でありまして、繰り返し答弁しているから同じことでいいんだというのは、これは、全く繰り返しでたらめな答弁もできるということになるわけであって、全く説明になっていないと思いますよ。
 それから、質問に答えておりません。経営難に類似した状況、あるいは資本不足に類似した状況とは何でしょうか。
○伊藤金融担当副大臣 これは特別支援を前提にという御質問だというふうに思いますので。
 公的資金投入については、このプログラムの中にも書かれているように、現行の預金保険法に基づきということでございます。
 特別支援は、日銀と政府が一体になって、そして万全の危機管理体制をつくる、つまり流動性というものをしっかり確保するということでございます。その流動性をしっかり確保する対象になる個別の金融機関が経営難あるいは資本不足、それに類似する場合ということをここで例示させていただいておりまして、具体的なことについては、今事務方に精力的に検討をさせていただいている。
 ここに書いております特別支援というのは、繰り返しになりますが、政府と日銀が一体となって万全の危機管理体制をつくるということでございます。
○佐々木(憲)委員 政府、日銀一体で万全なんというのは、それはここに書いているとおりのことであって、私が聞いたのは、経営難に類似した状況とか資本不足に類似した状況。それを詰めたら、それは具体的にはこれから検討すると。何か具体的なことを聞き始めると、検討する、検討するといって、ここに書いてあることの説明ができていないんですよ。つまり、再生プランというものを責任を持って発表しているわけですから、発表している以上は、ここに書かれていることはこういう意味ですということをきちっと説明してもらわなきゃ困るわけです。それでなければ意味がないわけですね。
 今のこの部分についても大変あいまいで、どのような状況を想定しているのか。経営難といっても何が経営難なのか、基準は何か、これも全く明らかではありませんし、類似したと、経営難に類似するなんというのは日本語としてもよく通用しないような言葉であります。
 もう一つお聞きしますけれども、公的資金の制度について別のルートをつくろうとしているわけですけれども、ここの四ページにありますが、「不良債権問題を終結させるため、迅速に公的資金を投入することを可能にする新たな制度の創設の必要性などについて検討し、必要な場合は法的措置を講ずる。」こうなっているわけですね。つまり、今の特別支援金融機関、その問題とは別枠で公的資金を投入する仕組みをつくりたい、検討したいと。
 これは一体何なんでしょうか。不良債権問題を終結させるための公的資金、これはどういう意味なんでしょうか。システム的な危機とは全然関係のない、いわば金融が安定している状態で不良債権を処理する、そのために税金を投入しますよ、こういう新しい、全く別の、いわば平時の税金投入体制を検討する、こういうことなんでしょうか。
○竹中金融担当大臣 現行の預金保険法102条というのは、いわゆる危機を想定して、その危機時の対応の中で、危機宣言をした上で対応するということになっているわけでございます。その危機とは何かということについて、先ほどから何度かお尋ねがございましたし、それについて御答弁をさせていただいたつもりでありますが、この問題に関しては、かねてより専門家の間で、危機のこうした対応だけで十分かどうかと非常に幅広い問題が提起されてきたというふうに認識をしております。
 今日の預金保険法102条の限定的な形だけで、法的な枠組みだけで、平成16年度に不良債権問題を終結させるという問題に対応できるのかどうか。この点について、幅広く、その新たな枠組みが必要かどうかという必要性をも含めて検討していきたいということを申し上げているわけでありまして、現時点でこういう場合を想定している、ああいう場合を想定しているということでは決してございません。しかし、必要性については幅広く、専門家からも指摘があると思っておりますので、それについて検討を進めたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 全然私が聞いていることに正面からお答えにならないんですが。
 不良債権問題を終結させることと公的資金を投入するということ、これが結びつけられているわけですね。どういう形で公的資金が、何に使われるのか、そこを説明してください。
○竹中金融担当大臣 この金融再生のプログラムは、先ほどの委員の御質問にも関連しますけれども、基本的な方針を書いているものであります。しかし、言うまでもなく、金融行政そのものは緻密な実務の積み上げでありますから、実務の積み上げの話と基本的な方針の話というのは、これはやはり分けて考えていただかざるを得ないと思います。その実務の積み上げの中でどのような対応が可能かということを検討する、そのために工程表を作成するということを明記しているわけでありまして、そうした中で議論を深めていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 全然答弁になっていないね。
 「不良債権問題を終結させるため、迅速に公的資金を投入する」、こうなっているんです。方針を聞いているんです。実務を聞いているんじゃないんです。ここの方針、こういうふうに書かれている、これはどのような意味なんでしょうかと。もう少しわかるように説明をしてください。この方針の内容についての説明を求めているのであって、実務の話を聞いているんじゃないんです。今の説明じゃ何もわかりませんよ。
○竹中金融担当大臣 ですから、基本的な考え方を御説明申し上げているわけです。今の状況というのは、今の枠組みというのは危機が起きたときの枠組みであります。
 では、危機が、危機的ではないような状況の中で何か対応策をとる必要もあるのではないかという専門家の指摘が幅広くある。その認識を踏まえた上で、どういうことが必要なのかどうかも含めて検討をしていくというふうに明確に述べているわけです。
○佐々木(憲)委員 危機的な状況でもない場合でも公的資金を投入する仕組みをつくる、それを検討するということですか。
○竹中金融担当大臣 そういうことが必要かどうかも含めて検討をするということです。
○佐々木(憲)委員 必要かどうかも含めて検討するということは、否定されないわけだから、今までの枠組みを大幅に広げて公的資金投入、つまり税金投入、国民の血税を投入するという場合は、これまでは非常に限定されていたわけですよ。特別な場合ですよ。政府の説明によって、今までも、危機、システミックリスクあるいはそれにほとんど近い、そういうおそれのあるときにのみ使えると。
 今回提案されているのを見ますと、最初に私が指摘をさせていただいた経営難、資本不足、こういうものだとか、今回の不良債権処理のための公的資金投入、これは全く現在の法律、預金保険法の枠をはるかに超えているものでありまして、国民の税金をこんな形でどんどん投入できる仕掛けだけは拡大する、こういうやり方というのは、しかも説明を求めてもまだ具体的なことは言えない、これでは議論ができないわけですね。
 まあ今わかったことは、今までのようなシステミックリスク対応型ではもう狭いので、それ以外の状況でもいろいろ理由をつけて国民の税金を大いに注ぎ込んでいこう、国民負担はその分ふえる、こういうことがよくわかりました。
 さて、それでは次に、今度の法案について触れていきたいと思いますが、合併を促進する、そのための法案である、それを支援するんだ、こういうことですね。
 塩川大臣にお伺いしますが、経済財政諮問会議の9月9日の御発言ですけれども、こういう発言をされていますね。「信用金庫は300以上あるが、資本金1千億円以上とか預金8千億円以上とか、地方銀行では預金1兆円以上といったモデルケースを示し、これを一つの基準に合併するとの意見もある。すると、信用金庫が三つ、四つ集まるケースも出てくるのではないか。」こういう発言をされたと思いますが、記憶はありますか。
○塩川財務大臣 発言したことはあります。
○佐々木(憲)委員 この場合、例えば信用金庫で預金8千億円以上、これはどうして8千億なんでしょうか。理由は何でしょうか。
○塩川財務大臣 8千億円で、精密な数字を算定して申したのではございませんで、現在、金融機構としてやっておりますので都市銀行相当の主要15行でございますか、平均いたしまして、行員一人当たりの生産性は大体20億でございますね。20億円相当でございます。そうすると、それに合わせて計算してくると、信用金庫等においては、現在の人員状況を見ますと、8千億円ぐらいが必要なんではないか。また、地銀においては2兆円以上のところが必要なんではないかなという、そういう腰だめ的なことでございます。
 要するに、体質改善しなきゃだめだ、それぞれの金融機関の単位がもっと強化しなければだめだ、そういう意味においての例示的な数字で言ったものでございまして、計算して言ったものでは、正確な算定をしたものではございません。要するに、一人当たりの生産性を基準にして言ったということであります。
○佐々木(憲)委員 一人当たりの生産性というのは全く発想が別の話だと思います。
 例えば、中京大学の先生が、どのぐらいの規模が信用金庫にとって望ましいのか、これを研究されておられまして、そこでこういうふうに言っているんです。この方は、「信金は預金量5千億円以上になってはいけない」というふうに言っているんだと。「中小企業融資をその収益の生命線とする地域金融機関にとって、融資や地域を見る目線を中小企業と同じにする必要があるからです。アメリカのコミュニティー銀行の定義は預金量10億ドルが上限です。日本の場合ならば、職員数も百数十名くらい、理事長が融資部などの職員と日常的に意見交換ができる状況にあり、中小企業と同じ感覚で経営し、地域との関係を築いていくことで都市銀行がケアできない地元の商店や工場に食い込んでいくことが、コミュニティーバンクを名乗る条件でしょう、」こういうふうに言っています。
 これに対して、信用金庫の側の、これは日興信金の理事長の御発言ですけれども、こう言っているんです。「私は、信用金庫に入って、どうすれば貸せるかを終始考えさせられました。私にとって信金は最初から中小企業の「再生工場」でした。定量的に融資をすれば融資先が夜逃げをしていなくなってしまうということになりかねない。」「オフバランス化の議論は、金融機関は中小企業の首吊りの足を引っ張って放り出せということです。」「地域密着であるためには、「信金は預金量5千億以上になってはいけない」との意見に賛成です。顧客から理事長の顔が見えなくなってしまうからです。」これは、借りる側も、それから貸す側もこのような発言をされている。これは一つの例であります。
 ですから、預金量は8千億円以上でなければならない、これは一つの考えかもしれないけれども、しかし現場の感覚からいいますと、なぜそんなに大きくしなければならないのか、顔が見えなくなるではないか、こういうことになるわけですね。
 そこで、具体的に、ではその預金量8千億というのは、日本の信金、信組、あるいは地銀で、どのぐらいのところがそれに入るのか。これを、機械的で結構なんですけれども、例えば地銀の場合、第一地銀それから第二地銀、それからもう一つは信金、信組ですね。信金、信組の場合には預金8千億円以上、それから地銀の場合には預金1兆円以上、これは塩川大臣がお示しになった基準ですけれども、この基準を超えるものは全体の中でどのぐらいなのか、数字を示していただきたい。
○五味政府参考人 申しわけございません。信用組合の計数を持ってまいりませんでしたので、信用金庫と地銀、第二地銀で申し上げます。
 信用金庫につきましては、平成14年3月末で全体の機関数は349金庫ございますが、このうち預金が8千億円以上のものは23金庫でございます。それから、地方銀行は平成14年3月末で64行ございますが、お話の預金1兆円以上ということになりますと57行でございます。それから、第二地方銀行、同じく54行ございますが、1兆円以上のものは19行でございます。
○佐々木(憲)委員 今数字を示していただいたわけですけれども、この基準でいきますと、信用金庫は349あるんですけれども、基準に達するのは23でありまして、それ以下のところはすべて合併の対象になるということになりますね。つまり、9割以上が合併の対象になる。それから地銀の場合も、特に第二地銀、これは3分の2ぐらいは合併の対象になる。大変なこれは大合併じゃありませんか。
 こういうことをもし実行した場合、塩川大臣の地元の関西だけで見ましても、第二地銀ですが、7行あるうち5行は消えてもらいましょう、合併してもらいましょう、こういうことになるわけですね。果たして、それで一体、地域の金融機能というものが支えられるのかどうか。これは大臣、こういう基準でやるべきだ、こういうお考えなんでしょうか。
○塩川財務大臣 当初申しましたように、数字はあくまでも腰だめ的な数字でございまして、行員一人当たりの生産性ということを私は一つの基準にして申し上げたことでございます。いわゆる弱小金融機関とメガバンクのような銀行と、それぞれの社会的、経済的役割は違っておるのは当然でございますけれども、それにいたしましても、余りにも金融機関の中で弱小金融機関というものは、それは経営がしょせんは激しい競争の中にあって難しくなるであろうと私は想定いたします。
 そうであるならば、この際にやはり体力を強化して、信用補完は十分できるような体制をとっておくべきだと思っております。現に、バブルの崩壊しましたこの結果から見て、あらゆる金融機関が同様の災難を受けておりますけれども、特に弱小機関においての被害というものも相当きつく出てきております。そういうところを見ると、私は、金融機関の体力向上のために非常に大きいスケールでの合併をしてもらいたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 全く実態を無視した考えだと思います。弱小とおっしゃいますけれども、規模は小さくても立派な経営をしている信金、信組はたくさんあります。規模は大きくても、貸しはがし、貸し渋りをやっているところはあります。大きくなればいいことだというのは全く現実と違うと思います。
 しかも、合併に伴ってさまざまな問題点が生まれているわけですね。例えば、30数年来の取引が合併でストップした、合併をしたという理由で、もうあなたのところは取引先だとはみなしません、どうぞ別なところへ行ってください、こんなでたらめなやり方があるでしょうか。
 あるいは、例えば京都の場合を取り上げましても、京都は北部の5つの信金の合併が発表されて、ことし11月5日に京都北都信金ができました。京都府下には3つの信金、1地銀、非常に少なくなってしまいました。
 この4月に京都の中小企業家同友会が行った調査があります。北部五信金合併・金融問題緊急調査というものですけれども、それを見ますと、合併に当たっての不安、新規融資の実行に不安を覚える、46・9%、融資の継続に不安を覚える、32・7%、店舗の廃止、これが不安だ、30・6%。つまり、結局、取引している中小企業にとっては合併して果たしてよくなるのかというと、不安を覚えているという方の方が多いわけです。
 店舗が減少して得意先が遠く離れてしまう、このことについて、必要な情報を得るために担当者がじっくり話し込むという時間さえとれなくなる、現場の職員の話でそういう話が出ているわけですね。
 あるいは、貸し出しが非常に厳しくなる、こういうふうに指摘をされておりますし、東京の場合でも、王子、太陽、荒川、日興、これは来年7月をめどに合併するというわけですけれども、存続金庫である王子信金に企業の格付や融資の査定を合わさざるを得なくなる。今まで、それぞれの顔が見える、地域の中小企業、業者のおやじさんの顔を見て、この人は信頼できる、あるいはしっかりした経営能力がある、それを見越して貸し出していた。ところが、4つ5つ集まりますと、特定の一つの信金の基準に全部従わざるを得ない。そうすると、今まで貸していたところが、これはだめだと言われる。こういうことがあちこちに起こってくるわけであります。こうなっていきますと、これは一体何のための合併なのか。
 現場の融資担当者の話でも、合併に向けて支店の3割減、職員の千名削減、こういうことが言われて、地域を回れる信金マンの数も減って、企業を細やかに見て、経営者の人となりを知る担当者はさらに少なくなる。融資の基準を査定が厳しいと言われる存続金庫に合わせることになれば、企業育成どころか、現状の融資が続けられるかどうかもわからない。既に営業の中心は、保証協会つき融資と住宅ローンになっていますと。本当に地域の産業、地域の中小企業を守るような方向になっていないのではないか。
 こういう状況が生まれるわけでありまして、大きくすれば何かよくなるという発想は私は幻想だと思うんですけれども、塩川大臣、いかがですか。
○塩川財務大臣 弱小のものが集まって大きくなっても何の意味もないと思います。しかし、やはり経営力のあるところが経営力の弱いところを合併して、スケールを大きくするということは、それだけ金庫としての、金融機関としての基盤が強くなることだと思っております。
○佐々木(憲)委員 合併したら金融機関の基盤が強くなるんでしょうか。私は具体的な事例を調べてみたわけですけれども、例えば、幾つか信金を調べてみました。合併、これは破綻ではなくて通常の合併でありますが、合併してもその利益はどんどん減っているところがたくさんあります。
 例えば、呉信金と芸陽信金の合併の場合を見てみますと、両金庫の合併前の預金積み立ての合計額は6247億円でありました。それが次の年に6220億に減りまして、さらに貸出金も、4700億円から4100億円に減っております。それから福鞆信金と東城信金の合併の場合、合併前の二金庫の合計は、預金は1500億でありました。それがさらに、次の年、減りました。それから、業務純益はどうか。合併前は12億円の業務純益でありましたが、9億に減りました。経常利益も2億8千万から6億の赤字に転落をいたしました。それから、高山信金、神岡信金、私は全部調べられませんので、ぽんぽんと任意に選んで調べてみたんですが、結果的には、利益も減っておりますし、貸出金、預金などもそんなに改善をしているわけではありません。
 こういう状況を見ますと、合併をすれば何か収益力が上がる、あるいは合併をしたら貸し出しがふえていく、こういうことにはならないのではないか。ですから、私は、むしろそういうことよりも、現在ある、地域の信用金庫あるいは地域の金融機関が中小企業にどれだけ親身になって融資をするのか、そのところを中心に置いた経営の指導監督ということをやるべきであって、何か特定の基準を設けて、預金8千億とか預金1兆円とか、一律のを上から当てはめて号令をかけるようなやり方というのは、やるべきではないというふうに思います。
 既に日本の金融機関というのは大幅に減少しておりまして、この数年間をとりましても、例えば信用組合は、政府の一律の検査マニュアルによる検査によってどんどん破綻させられた。既に122の信用組合が減少しております、減っております。それから、信用金庫は67減っております。第二地銀は9行マイナスであります。これは、この6年間の数字です。しかも、昨年、一昨年、大変減り方が急増しているということです。
 その結果、地域にとっては大変不便な事態が生まれておりまして、これは本当にゆゆしき状況だと私は思うんです。例えば、船橋の信用金庫が合併によって目の前から店舗がなくなって、その地域の中小企業が本当に苦労しているという訴えが寄せられております。目の前から支店が消えまして、遠いところまで時間をかけて行かなければならない。これが、合併といいますか、破綻し吸収されたその地域の中小業者の嘆きの声であります。
 こういう状況を考えますと、私は、この合併というものを何も上から、上からやるんじゃなくて自主的だという話がありますが、合併すればいいのだ、何かいいことがあるんだというふうに単純に言えるのではないと思いますけれども、その点、竹中大臣、塩川大臣、それぞれ御見解をお伺いしたいと思います。
○塩川財務大臣 私は、これを基準に合併せいと言っているんじゃありません。私は、金融機関がなぜ破綻をし、各地域においてそれぞれ非常な迷惑をかけておるか、それこそ取引しておる者が大変な迷惑を受けておるわけでございますから、それはやはりそれぞれの金融機関にそれだけの体力がなかったことだと思っております。
 佐々木さんがいろいろと例を挙げられましたこと、そういうことも私はあると思います。そういう利用者の声もあると思っております。しかしながら、公に全般的な問題として見ました場合に、やはりこの際に、日本全体がオーバーバンキングであり、しかも格差が非常に大きいという事実に着目しなければならぬと思っておりまして、そうであるとするならば、それぞれの金融機関が創意を込めて、それぞれの体質強化のために合併をするか、あるいは増資をするかを考えなければならぬのでありまして、例えば信用金庫にいたしましても、先ほど五味局長から言っておりましたように、8千億円以上のところで大体100億円近くの出資金しかございません。しかも、自己資本といったら1千億円もないような状況でございます。
 こういう資本の弱小が、結局は体質強化するためには合併して補強するということをせざるを得ないのではないか。いろいろおっしゃいますけれども、だんだんと信用金庫、減っていくとおっしゃいますけれども、これは、消えていくんではなくして新しく生まれ変わっていく、こう見ればいいわけでございまして、合併によって信用金庫は新しい生まれ変わりをする、それで、いろいろおっしゃいますけれども、されど信用金庫は合併へと進んでいく、こういうことは言えると思います。
○竹中金融担当大臣 まあ、合併というのはあくまで一つの手段でありますから、やる場合は、非常に意味のある、うまい戦略的な合併をしていただく、そうじゃない合併はもちろん意味がないのだと思います。一方で、独自で特色を発揮してやっていけるところも当然にある。そういう中で、もうこれは個々の経営戦略の問題であると思います。
 ただ、塩川大臣おっしゃいましたように、一般論としては、財務基盤が弱いところがあるのではないかという問題意識はやはり重要だと思っておりまして、そうした中でそれぞれの経営戦略が適切に戦略されていくということを期待しております。
○佐々木(憲)委員 もう時間がないので一言ですが、破綻をし迷惑をかけていると先ほどはおっしゃいましたが、一律の検査マニュアルによって、小泉内閣になって50幾つの信金、信組が破綻させられました。自然に破綻したのではなくて、政府が破綻をさせたわけであります。その結果、大変な迷惑が広がっているんですよ。そのことの反省をまずしていただかなければならないんです。
 それから、金融庁は、ことし7月12日に懇話会の報告というのを出しまして、こういうことを言っているんです。
 最近の経済学では、数量化の困難なソフト情報の処理に際しては、小規模組織の方が大規模組織より……
○小坂委員長 質問時間が終了しております。
○佐々木(憲)委員 効率的という考え方が支持を集めている、このため、合併、統合させさえすればいいという一律の施策はとるべきではない。
 金融庁の懇話会の報告がこういうふうに言っているわけですから、竹中大臣はここによく耳を傾けて、今までのような、合併すればいいという発想を根本的に転換していただきたい。このことを最後に申し上げて、質問を終わります。

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