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金融(銀行・保険・証券) (不良債権処理, 優越的地位の乱用, 金融消費者保護)

2002年11月15日 第155回 臨時国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【183】 - 質問

UFJ銀行頭取に一方的金利引き上げマニュアルの修正を約束させる/東京三菱グループ社長に変額保険被害者への一方的な自宅競売の中止を要求

 2002年11月15日、財務金融委員会で、地域金融機関の合併を進めるための「地域金融機関組織再編特別措置法案」など2法案についての参考人質疑が行われました。午前には、4大金融グループにたいする参考人質疑、午後には地域金融機関4業態の協会長に対する参考人質疑が開かれました。
 UFJ銀行の寺西正司頭取は、佐々木憲昭議員の質問に答えて、融資先企業にたいし金利引き上げを強要するための具体的な対応の仕方をまとめた同行の「金利引き上げマニュアル」について、改定作業を進めていることを明らかにしました。
 この内部「マニュアル」は、日本共産党の志位和夫委員長が11月6日の党首討論で、小泉内閣の「不良債権早期最終処理」とその「加速策」が「健全」とされている中小企業も含めて、すべての中小企業を対象に貸出金利の引き上げ、貸し渋り、貸しはがしを猛烈に進めることを告発した際にとりあげていました。業界の景況などにより融資先をランク付けし、貸出金利などの条件を定めたもので、「金利引上げ交渉時の留意点」として、「適正金利への引上げに応じなければ取引解消も辞さない」と明記しています。
 佐々木議員は、このUFJ銀行の内部「マニュアル」について、「あまりにも一方的なもので訂正すべきだ」と寺西頭取に迫りました。
 寺西頭取は、「表現がやや適切でないという観点で、誤解を与える懸念もあると考える」とのべ、「そのようなことのないように、いま担当部で改定を進めているところです」と訂正の意向を表明しました。また債権の回収に対しても「行き過ぎた行為のないように、きっちり指導していきたい」と答えました。



 さらに、佐々木議員は、東京三菱銀行が変額保険被害者にたいし一方的な回収を行っている問題をとりあげ、東京三菱フィナンシャルグループ社長の対応をただしました。
 政府の不良債権処理加速方針のもとで、銀行による金融被害者に対する自宅の競売が強まっています。
 東京三菱フィナンシャルグループの三木社長は、2002年4月24日の財務金融委員会で、バブル期の提案型融資をめぐる被害について、「話し合いを進めながら解決したい」と答弁しています。佐々木議員は、その答弁を示した上で、「しかし、実際に現場でおこっていることは逆ではないか」として、東京三菱銀行やその系列の信用保証会社から競売申立をされたという訴えが相次いでおり、その中には裁判で係争中のものも含まれていることを指摘しました。
 佐々木議員は、高裁判決で銀行の勧誘行為の違法性が認められ銀行が一部敗訴した田崎喜久二郎、アイ子さん夫婦の事例を紹介。双方が最高裁に上告し、現在係争中であるにもかかわらず、競売を進めている東京三菱銀行の債権回収手法について「社会的批判をあびる行為ではないか」と、三木社長の認識をただしました。
 三木社長は、「可能であれば、双方の納得ができるような解決を望んでいる」と述べたものの、競売手続きを停止する考えは示しませんでした。
 佐々木議員は、東京三菱銀行が、変額保険の債務者に対して保険を差し押さえ、解約して資金回収していることを指摘し、満期まで待てば一定の金額が見込めるのに当面の回収を優先する同行の手法を批判。「一方では大企業に債権放棄で借金をチャラにしてやる。他方では、弱い者に対して路頭に迷わすような回収をやるなんていうのは、まったく納得できない」して、一方的な債権回収をやめるよう求めました。

議事録

○佐々木(憲)委員 参考人の皆さん、御苦労さまです。
 政府が金融再生プランというのを発表しまして、不良債権処理を加速するという方針が出されたわけであります。
 私は、これは銀行の帳簿をきれいにするということが一つの目標になっているんだろうと思うのですが、他方では、倒産あるいは失業というものをつくり出す、デフレを加速する要因になる、これは政府自身も認めているわけであります。私は、これをやり過ぎると、結局経営基盤そのものを弱体化させるのではないかという認識を持っているわけでありまして、今銀行がやろうとしているのは二つあると思うのですよ。一つは、不良債権とみなされた債権について、これを切り離す、処理を加速するというのが一つと、二つは、収益力回復ということで、金利の引き上げということがかなり大きなウエートに位置づけられているように思うわけです。
 最近、東京商工会議所のアンケートによりますと、このところ金利引き上げを要請された企業が急増しておりまして、その結果、大変な事態になっている。つまり、要請を受けざるを得ない。なぜかというと、銀行が強くて、借りている方は弱い。したがって、融資を打ち切られるのではないかというおそれから、銀行の引き上げを受け入れざるを得ない、8割が受け入れている、こういう結果が出ているわけであります。竹中金融担当大臣によりますと、優越的地位を乱用してはならないということをおっしゃっているわけであります。
 そこで具体的にお聞きしますが、UFJは、格付開示マニュアルというものを行内でおつくりになっているようでありまして、私、これを手元に持っておりますが、ことし6月に改定されたものですけれども、この中で大変なことが書かれていまして、金利引き上げの交渉時の留意点というのがありまして、適正金利への引き上げに応じなければ取引解消も辞さない、あるいは、格付がよくなって、本来なら格付がよくなると金利を下げるということなんですけれども、どうなのかといいますと、これに対しては、日々変動しますので将来的な金利水準をお約束することはできかねますと。つまり、格付が上がっても金利は下げない、相手の経営が厳しいところは一層金利を上げる、これは中小企業にとっては大変な事態になるわけでありますが、UFJの寺西参考人、今でもこういう方針でやっているんでしょうか。
○寺西参考人(株式会社UFJ銀行取締役頭取) お答えをいたします。
 私どもの格付開示マニュアルについての御質問だろうと思いますので、お答えをさせていただきたいと思いますけれども、私ども、この4月から銀行の行内格付を開示させていただいております。その心根は、お客様と私ども金融機関との間に、お客様の財務について共通の認識というのでしょうか、物差しを持ちたい、そういう中で、お客様とともにいろいろなことを考えながら財務をよくする、そのために何ができるんだろうかといったことをやるために、この開示ということを一つ行っているところでございます。
 一方で金利の引き上げといったものもお願いをするということもございますが、その中で、いろいろな、金利の引き上げということ、お客様の財務の内容に立ち入るということもございますので、なるたけ正確にお客様にお伝えをしないといけないという観点からマニュアルをつくらせていただきました。
 そこに先生おっしゃったようなことが書かれておるのでございますけれども、全体から見ていただきますと、私どもは営業店での交渉スタンスといったものについてお話をさせていただいておるわけでございまして、我々の意図は、継続的に粘り強く交渉をするという姿勢を示したものととらえておりまして、先生のおっしゃるように、一方的、高圧的に不当な金利引き上げを指示したというようなものではないというふうに認識をいたしております。
 ぜひ、全体を見ていただきますとおわかりいただける、我々の言葉足らずの点があるのかもしれませんけれども、我々の意図するところはそういうところでございますので、ぜひ御理解をちょうだいいただければと思います。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 引き上げに応じなければ取引解消も辞さないとこれは明確に書かれておりますし、将来的な格上げによる金利引き下げを約束することは厳禁、こういうふうに書かれているわけでありまして、これは余りにも一方的なものだと思います。この部分について訂正すべきだ。いかがですか。
○寺西参考人 御指摘のように、表現がやや適切でないという観点で、独禁法上、優先的地位の乱用とかそういったものについては問題はないと認識しておりますけれども、誤解を与える懸念もある、こう考えます。そのようなことのないように、今担当部で改定を進めているところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 これは中小企業に対してもそうでありますが、個人に対しても、一方的に回収を最優先させて、大変な迷惑をかけるというようなことも大変私は耳にするわけでありまして、私、6月12日のこの財務金融委員会で、寺西参考人に対しまして、バブル期の提案型融資に基づいて、一方的な競売の問題を取り上げました。回収のあり方について寺西参考人は、十分な話し合いを行いたい、債権回収に際して行き過ぎた行為とならないよう、引き続き指導の徹底をしてまいりたいというふうにお述べになっております。この方針は私は大事な点だと思いますが、この方針は変わりませんか。
○寺西参考人 私もそういうお答えをしたことをきっちりと記憶をいたしておりまして、債権回収に際して行き過ぎた行為のないように、引き続ききっちり指導をしてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 先ほど佐藤観樹議員が質問をしたことに関連しますが、東京三菱グループの三木社長にお伺いしますけれども、4月24日の当委員会で、海江田議員が質問されました。その点について、話し合いを進めながら、そういう問題については解決をしていきたいというふうにおっしゃいましたし、先ほどもそういうニュアンスの御答弁があったように思います。
 現に、実際に起きていることは、どうもここでおっしゃっていることと違うことが起こっているのではないか。この間、東京三菱銀行、その系列の信用保証会社から競売申し立てをされたという訴えが相次いでおりまして、その中には裁判でまだ係争中のものもある。つまり、裁判でまだ結論が出ていない。東京高裁で、例えば東京三菱銀行が部分的に敗訴をした、これは社長自身もお認めになっているわけですけれども、それが現在両方とも最高裁に上告をしておりまして、係争中であります。
 個々の事例によって違うというふうにおっしゃいましたので、具体的な事例で、では申し上げますけれども、田崎喜久二郎さんと田崎アイ子さんの自宅の競売問題でありますが、今私が申し上げましたのはその事例でございます。つまり、バブル期の過剰融資、これは銀行側にも行き過ぎがあったというふうに当委員会でも御答弁がありました。その銀行側の非をいわば棚上げにして、しかも、まだ争っているのに競売にかけてしまう。これは余りにも私は一方的だと思うわけであります。高裁の判決では勧誘行為に違法性があったということを認めているわけでありまして、それを一方的に競売にかける、これは社会的批判を浴びる行為だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○三木参考人(株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ取締役社長) お答え申し上げます。
 まず、前半についてでございますけれども、先ほども申しましたとおり、また4月に答弁させていただきましたとおり、お客様の個別事情をよく伺って対応するようにしているつもりでございます。(発言する者あり)いや、しているつもりでございます。
 ただいま先生の方から御質問がありました案件は、個別の案件でございますので答弁は差し控えたいところでございますけれども、具体的におっしゃいましたので、これについてちょっと事情を簡単に御説明いたしますと、二審判決は、私どもの敗訴ということでなく一部敗訴ということでございます。(佐々木(憲)委員「だから一部敗訴と言っているでしょう」と呼ぶ)はい、さようでございます。
 これにつきましては、先生御指摘のとおり、両者納得できないということで、双方で上告という形に今なっております。その過程で、先方様が先に仮執行、一部勝訴で認められたことでありますけれども、これを、先に権利を行使されてまいったという事情がございます。私どもといたしましては、この二審の判決でも認められましたところの求償権、これに基づきまして関連会社が競売申請を行ったということではございます。
 しかしながら、私どもといたしましては、競売のみで解決するということをもちろん考えておるわけではございませんで、双方の弁護士同士の話し合い、既にこれは何回も行われておりまして、現に本日もまた行われているというふうに聞いております。可能であれば、双方の納得ができるような、そういった解決を私どもは望んでいるところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 この場合、具体的に申しますと、この方は被爆者の方でございまして、大変苦労されている方であります。家賃収入を既に押さえているでしょう。しかも、その上に競売手続を行っている。既に入札の期日が決まっておりまして、このままでは来年1月に家を追い出されてしまう。これはまさに冷酷なやり方だと思うわけであります。
 しかも、東京三菱は、変額保険のこの債務者に対しても保険を差し押さえる、解約して回収すると。つまり、満期まで待てば一定の金額が見込めるのに、回収最優先だと。取れるものも取れないじゃないですか。
 ですから、今係争中ですから、係争中の事例を、一方的に身ぐるみはいで路頭に迷わすようなやり方はやめるべきだ。係争中の場合、直ちに競売の手続、取りやめなさいよ。当たり前じゃないですか、これは。
○小坂委員長 佐々木委員に申し上げます。
 本日は、参考人に法案に対する意見並びに業界の現状についての意見を聴取いたしております。したがいまして、余り個別具体的な事例に……(佐々木(憲)委員「具体的じゃないと答えできないでしょう」と呼ぶ)幾度も重なるような質問は、形を変えて質問されるようにお願いをいたします。
 三木参考人。
○三木参考人 お答えいたします。
 先ほども申しましたように、私ども、銀行業務といたしまして、債権の回収に最大限の努力をするということは、当然させていただきたいと思うわけでございます。ただし、先ほども申し上げましたように、ただいま弁護士との間で数回にわたってもう話し合いが行われておりまして、その中で解決することを望んでおります。そのことはぜひ御承知いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 だから、要するに、弁護士の間の話し合いというだけでありまして、競売というものはどんどん進めているわけですよ。競売を進めるということは、債務者の土地あるいは家屋を、現に住んでいるところですよ、それを売り払ってしまうということなんですよ。まだ争っているわけなんですから。今話し合いをやっている途中でしょう。どうしてそれを一方的に身ぐるみはいでしまうんですか。これは余りにもちょっと、それを改めない、これはあくまでも身ぐるみはぐ、競売は取り下げない、そういう立場なんですか。これは変えるべきだと思います、再検討すべきだと思います。いかがでしょう。
○三木参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたことでございますが、第二審で一部敗訴になりましたけれども、一部勝訴といいますか勝訴の方が多いわけですけれども、それに対しまして、先方さんは仮執行されました。私どもといたしましても、第二審で認められましたところの求償権に基づいての競売申請ということでございまして、あくまでも話し合いを重ねまして解決したいという気持ちで一生懸命やっているところでございますので、以上で御容赦願いたいと思います。
○佐々木(憲)委員 委員長、私は何も個別問題を揚げ足をとってやっているのではなくて、銀行の貸し出し姿勢について、回収の姿勢について基本的なことをお伺いしているわけです。つまり、個別の事情によって違うとおっしゃるわけですから、個々の事例で、こういう場合はどうなのかと。
 一方では、大企業に対して債権放棄ですよ、借金をチャラにしてやる。他方では、弱い者に対して路頭に迷わすような回収をやるなんというのは全く私は納得できませんので、その点を申し上げまして、終わらせていただきます。

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