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金融(銀行・保険・証券), その他 (銀行の手数料, 優越的地位の乱用, 関税・EPA(経済連携協定)・TPP)

2003年03月18日 第156回 通常国会 財務金融委員会 【193】 - 質問

銀行の手数料値上げは「優越的地位の乱用」ではないか/海上貨物到着即時輸入許可制度の新設で税関のチェック体制を後退させる

 2003年3月18日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、銀行手数料について、「海上貨物到着即時許可制度」について質問しました。

 都市銀行による土曜日昼間のATM利用料のいっせい値上げについて、3月12日に公正取引委員会が、価格カルテルの事実はなかったとする調査結果を発表したことを受けて、佐々木憲昭議員は、徹底した調査を求めました。
 佐々木議員は、公正取引員会が調査結果をまとめた文書のなかで、大手4行のなかでコストを積み上げて手数料を105円とした銀行がひとつもなく、ATMの利用コストを試算していない銀行もあったことが指摘されていることをとりあげ、竹中金融担当大臣にたいし「コストを積み上げもせず、一方的に値上げを決める。しかも各行横並び。こういう銀行の姿勢は正常なのか」と見解を求めました。
 竹中大臣は、「事細かな計算をすることは難しいのではないか」など、銀行を擁護する姿勢を示しました。
 佐々木議員は、「105円の手数料を決めて押しつけるというのは、明らかに優越的地位の乱用ではないか」と指摘し、優越的地位の乱用に当たるかどうかを調査するように求めました。答弁に立った公正取引員会の上杉経済取引局長は「当然優越的地位の乱用を視野において調査したが、そういうことはなかった」と述べました。
 これを受けて佐々木議員は、土曜日昼間のATM利用料だけでなく、当座小切手用紙交付手数料や手形用紙交付手数料が一気に3倍以上に引き上げられていることを指摘し、銀行のあいつぐ手数料値上げが優越的地位の乱用に当たらないかどうか、調査をしていくよう強く要求しました。
 上杉経済取引局長は、金融機関による優越的地位の乱用について、2001年に公正取引委員会としての考え方を示していることに言及して、「十分に注視し、この考え方にもとづいて、具体的な情報があれば厳正に対処していきたい」と述べました。



 佐々木議員は、関税定率法等一部改正案に盛り込まれた「海上貨物到着即時許可制度」が、税関の水際でのチェック体制を後退させるものだと批判しました。
 「海上貨物到着即時許可制度」は、税関検査が不要と判断された場合に、相手国から出港する時点で予備申告を受け付けて、書類審査をおこない、船が港に入るまでに輸入許可を出すものです。港に到着した荷物は、港での現物検査を受けることなく、ただちに国内に持ち込むことができます。
 佐々木議員が、新制度について、「税関検査が必要か不要かを判断する基準は何か」とただしたところ、田村財務省関税局長は、「海上貨物通関情報システムの情報にもとづいている」と答弁。これを受けて佐々木議員は、「情報システムで問題を起こしていない企業だとされたら、検査不要となってフリーパスで荷物が国内に持ち込まれる」と指摘し、出港の段階で社会悪物品が混入しても国内への持ち込みをチェックできない仕組みになることを、効率化による水際でのチェック体制の後退を進めるものだと批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 法案の質疑の前に、若干、銀行の手数料問題について簡単にただしておきたいと思います。
 2月24日の予算委員会で、銀行の手数料問題について質問をいたしました。ATMの手数料が、なぜ大手が横並びで105円なのか、また、両替機での手数料も、100円玉を1円玉に両替すると200円の手数料が取られる、こういう問題を取り上げたわけであります。
 その後、公正取引委員会は3月12日に調査結果を公表しておりますので、公取にまずお聞きをしておきたいと思いますが、今回のATM手数料に関する調査で、大手4行でコストを積み上げて105円とした銀行があるのかどうか。これをまず確認しておきたいと思います。
○上杉政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) お答えいたします。
 当方の調査結果によりますと、4行ともコストを積み上げて105円というふうに決定したものではなくて、土曜日の他の時間帯あるいは日曜日の手数料が105円であるということに合わせたものであるということでございました。
 それから、検討に当たりまして、ATMの利用コストを試算している銀行と、試算を行っていない銀行があったということでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、今回、手数料を105円、横並びで決めたということでありますが、それはコストを積み上げて決めたものではない、それからATMの利用コストを試算していない銀行がある、これが公取の調査結果だということであります。
 竹中大臣にお伺いしますが、コスト試算もしないで一方的に値上げを決める、しかも各行横並びで行う、こういう銀行の姿勢は果たして正常なのかどうか。大臣の見解を伺いたいと思います。
○竹中金融担当大臣 御指摘のとおり、公正取引委員会の調査結果において、今答弁があったような結果が出ているというふうに認識していますが、銀行という非常に大きな組織を持った企業で、それぞれの非常に細かな行為について事細かな原価計算のようなことを行うというのは、銀行のみならず、一般論としては、やはりなかなか難しいことではないかというふうに思います。
 銀行として、例えばATMの営業時間外の手数料であれば、ATMの銀行の営業時間外に稼働させるために追加的に生ずるメンテナンスの費用とか、サービス提供にかかる費用とかを勘案して、それぞれのやり方で、個々の銀行において独自に決定しているというふうに理解をしております。
○佐々木(憲)委員 極めて銀行寄りの答弁でありまして、コスト計算もしないで何で手数料が決められるのか。これが正常だという認識は、私は全く理解できません。しかも、横並びであります。
 もう一つの側面からいいますと、では、105円と決めた、それを押しつけるわけですから、明らかにこれは優越的地位の乱用ではないかと思うんですね。
 竹中大臣も、私の質問に対する答弁で、「その個々の経営判断に優越的な地位の乱用がないように、これは公取でしっかりと監視をしていただく。さらに、競争がさらに促進するような環境を我々としてはつくっていく必要があると思っております。」こう答弁されていたと思うんですが、これは覚えていますね。
○竹中金融担当大臣 一般論として、もちろん、優越的な地位を乱用して云々ということは許されることではないというふうに思います。
 しかし、今回の公取の報告の中でも、この4行間で土曜日のATM手数料の有料化について、決して話し合いが行われたり、「共通の意思が形成されるなどの事実関係は認められなかった。」というふうに言っているわけでありまして、これは手数料でありますから、先ほども申し上げましたように、それぞれの銀行で、例えば追加的にどのぐらいの費用がかかっているのか、それをメンテナンスするためにどのような費用があるか、これは個々には当然のことながらいろいろと計算しているわけですけれども、例えばそれにかかった共通の費用をいかにそれぞれに案分するか、そういった意味での原価計算は、やはり一つ一つには大きな組織ではできないのではないかというふうに私は思います。
 その意味では、優越的な地位というふうにおっしゃいますが、銀行大手は同じような料金であるけれども、それに準ずる銀行について料金はやはり違いますし、地銀においてもそれぞれ違っている。そうした中で、決して一方的に価格を押しつけるということではなくて、それぞれに、それなりの競争メカニズムの中で各行が経営戦略として価格設定をしているというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 追加的な費用あるいはメンテナンスの費用、これを計算していると思うとおっしゃいましたが、計算していないじゃないですか。
 先ほどの公取の報告によっても、コストを積み上げて105円とした銀行はないというわけでありまして、大臣は何か非常に、各銀行とも計算をして決めたようなことをおっしゃいますけれども、これは全く事実と違うわけであります。しかも、横並びで105円なんというのを勝手に決めて押しつけるわけですから、これは一方的な通告だけでありまして、何の競争原理も働かないわけであります。
 公取は、カルテルについて、その調査結果に基づいて注意というようなことを一応されたようでありますが、今回は優越的地位の乱用というようなことは調査をされていないわけですね。これは当然調査すべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○上杉政府参考人 今回調査を行いましたのは、従来から、各種の手数料につきまして大手銀行が値上げを実施しますと、他の銀行が追随するという形が見られましたので、今回の土曜日のATM利用手数料につきましても、同調的な行動がとられたというような報道がございましたので調査を行ったものでございます。
 なお、私どもは、調査を行う場合には、まず事実関係の究明ということを行いまして、それに独占禁止法の諸規定に照らして問題があるかどうかということを調べる、こういうことを行いますので、当然、優越的地位の乱用というような問題についても視野に置きながら調査を進めたということでございまして、そのような観点からの問題は見られなかったということでございます。
○佐々木(憲)委員 それはATMについてそういう結論を出されたと思うのですが、私はATM自体も問題だと思いますが、それ以外も、例えば当座小切手用紙の交付、つまり、当座勘定を開いている方が小切手用紙50枚つづり1冊を交付される。その場合に、今まではこの手数料が630円だった。ところが、新しい手数料は、昨年12月2日には2100円に上がっているんです。3倍以上です。あるいは、手形用紙50枚つづり1冊、これが、1050円だったのが3150円。3倍ですよ。これは昨年12月2日に、両方ともみずほ銀行です。
 こういうことが一方的に行われるというのは、ここに何の競争原理も働いていないわけです。例えば、3千円以上に上げたいと思いますが、いかがでしょうかという相談はありましたか。ありませんね。一方的にやるわけです。つまり、まさにこういうことは優越的地位の乱用に該当する疑いが強い。
 今回は、ATMの手数料の問題、これについてのカルテル的行為を調査されたようですけれども、しかし、それ以外にも、手数料のこのような一方的値上げというのは優越的地位の乱用の疑いが濃厚であると私は思いますけれども、これからも、こういう問題については全く調査をする意図も、そういう視点からの考慮もないという立場なんでしょうか。それとも、多少はこういう問題について検討していく、あるいは調査していく、そういう姿勢はあるんでしょうか。
○上杉政府参考人 お答えいたします。
 公正取引委員会として、金融機関による優越的地位の乱用というような問題が多々指摘されておりましたので、平成13年7月に、金融機関の取引慣行につきまして調査を行い、その結果に基づきまして、優越的地位の乱用に当たる場合についての考え方を示し、それを公表したところでございます。
 したがいまして、私どもとしても、金融機関による優越的地位の乱用というものについては十分注視してまいりたいと考えておりまして、具体的な情報がございますれば、この考え方に基づいて厳正に対応したいと考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 事実関係は、私が指摘した問題はほかにもいろいろありますので、それを調査して十分対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 では次に、法案についてお聞きをしたいと思います。
 今回の法改正の中に、通関の一層の効率化という立場から、海上貨物到着即時輸入許可制度というのがあります。これは、税関検査が不要と判断された場合、相手国から出港する時点で申告を受けて予備的な審査を開始する。つまり、出港の段階で予備審査を行う、港に入るまでに輸入許可を出すというものであります。
 そうすると、貨物が到着したら、コンテナヤードに搬入せずに、直ちに国内に持ち込むということになるわけですね。これは、現物検査というものは全く行われないことになると思うのですが、いかがでしょうか。
○田村政府参考人(財務省関税局長) お答え申し上げます。
 海上貨物の到着即時輸入許可制度でございますが、基本的には、今先生おっしゃられたとおり、まず大前提として予備申告が必要でございますが、その予備申告が行われた海上貨物のうち、税関における審査の結果、取り締まり上の支障がないとして検査が不要とされた貨物につきましては、その貨物を積載した船舶の到着が確認され次第、輸入を許可するということでございまして、予備申告により検査扱いとなったものについては、従来どおり保税地域へ貨物を搬入して、そこで実際に実物を審査、検査を行って、輸入貨物を許可することとなるということでございます。
○佐々木(憲)委員 結局、現物検査は行わない、こういうことになってしまうわけでありまして、それでは、その前提となっている、今おっしゃいました検査が不要と判断をする、これは何を基準にして不要であるという判断をされるのでしょうか。
○田村政府参考人 私ども、貨物の通関に当たりまして、これは全般的にそうでございますが、限られた人員で社会悪物品等の流入を水際で効果的に阻止しなければなりませんので、そういう観点から、いろいろさまざまな情報を蓄積したシステムであります通関情報総合判定システムというものを持っております。そして、これを基本的には活用することによって、適正な申告が行われていない可能性が高いいわばハイリスクな貨物なのか、あるいはローリスクな貨物なのかによって選別をいたしまして、そういう判定の中からいわば決めてきているということでございます。
○佐々木(憲)委員 簡単に言いますと、総合判定システムというのは、疑いという点での情報があるかどうか、あるいはこれまで問題を起こしている企業であるかどうか、そういうような情報を基準にする。
 そうしますと、情報がない、あるいは従来問題を起こしていない企業が輸入すると、これは検査が不要であるというふうになりまして、フリーパスになるわけですね。
 しかし、そういう対象が、例えば輸出をする積み出しの港で不正なものが混入される、こういう場合、自動的にフリーパスになるわけです。そういうもののチェックが働かなくなるということで、我々は、こういうやり方というのは、水際での例えば社会悪のチェックなどを後退させるものではないのかということで、これまでもこれに厳しい批判をしてきたわけですけれども、今回も、この新しい制度の導入によって、保税制度そのものも形骸化していく、そういう危険性が非常に強いということであります。
 この点、もう時間が参りましたので指摘だけにとどめておきますが、こういうやり方については反対であるという立場を表明して、質問を終わりたいと思います。

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