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金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (金融機関の破綻, 保険業法)

2003年04月15日 第156回 通常国会 財務金融委員会 【195】 - 質問

生保破たんへの公的資金投入策 国民負担枠は保険業界の10数倍から20倍 生保会社が10年間で14億円の自民党献金

 2003年4月15日、財務金融委員会で、生命保険会社の破たん処理に公的資金を投入する仕組みを3年間延長する法案が審議され、佐々木憲昭議員も質問しました。

 現行の生命保険会社の破たん処理制度は、責任準備金のカット、計算基礎率の引き下げ、早期解約控除など、契約者の利益を切り捨てる仕組みになっていますが、今回の法案では、契約者に負担を追わせる仕組みは、改められていません。
 佐々木議員は、「個人に負担を負わせる仕組みはまったく改善されない。それなのに、税金を投入する仕組みだけは継続するというのは、いかがなものか。こうしたやり方が、生保に対する信頼を失わせている」と批判しました。
 政府は、生保破たん処理に備えて、今回の法案で4000億円もの公的資金を用意していますが、保険業界の負担は1000億円とされています。しかし、実際の保険業界の負担額は、200億円から300億円程度にすぎません。現在、生保破たんに備えてつくられている保険契約者保護機構には、220億円の拠出金が残っており、加えて、すでに破たんした東邦生命、第百生命、大正生命保険の処理費用が精算されれば、400億円から500億円が戻ってくるといわれているからです。
 佐々木議員は、用意された国民負担の枠組みが、保険業界の負担の10数倍〜20倍であることを指摘し、「あまりにもバランスを欠いた仕掛けだ。これは、契約者保護機構ではなく、契約者と国民の負担によって保険会社を助ける“保険業界保護機構”というべきもだ」と強調。「保険会社の経営の失敗は、経営者・業界にある」として、経営者の責任を国民に尻拭いさせる仕組みを批判しました。



 次に、佐々木議員は、生命保険会社21社が、1992年から2001年までの10年間に、自民党の政治資金団体である国民政治協会に対し、13億8505万4110円もの献金をしていることを明らかにしました。これは、佐々木議員が、各年の「官報」掲載の政治資金収支報告書の記載内容を調査し、集計したものです。
 献金の実態を示した佐々木議員は、「税金投入の仕掛けをつくった業界から献金を受けとるという癒着姿勢」だと批判し、塩川財務大臣の見解をただしました。
 さらに佐々木議員は、献金している21社のなかに、1997年以降に破綻した7社すべてが含まれ、破たんの直前の年まで毎年献金をしていることを指摘。小泉総理が株主に対し無配当の会社からは献金をもとめない考えを答弁していることを示し、経営悪化の生保会社からは献金を受け取らないようにすべきだと主張しました。
 これに対し、塩川財務相は、「献金は応分の政治参加への意思表示だ」「法にのっとって処理している」などと献金の合理化に終始しました。


 この日、法案の採決が行われ、佐々木議員は、採決に先立ち反対討論を行いました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 まず、保険業法の位置づけについてお聞きをしたいと思います。
 ことし3月18日に総務省が公表した個人年金に関する市場調査というのがありまして、その結果を今配付しておりますが、それによりますと、老後の生活に不安を持っていると答えた人は39・3%、どちらかというと不安が40・2%、合わせると79・5%、約8割に達するわけであります。これは、公的な年金制度など、老後の備えに対する国民の不安を反映したものだと思うんですね。
 このような不安にどうこたえるかというのが今問われているわけでありまして、生命保険というのは、老後の公的な支えを補完するものとして大変重要な役割を果たすものだと私は思います。その意味で、保険業界自身の社会的責任は非常に重いと思いますが、竹中大臣の基本的な認識をまずお伺いしたいと思います。
○竹中金融担当大臣 私自身のことで大変恐縮でございますが、約30年前に初めて社会人になりましたその最初の日に、ある保険会社から昼休みに勧誘を受けまして、その場で、よくわからないままに加入したのを覚えております。改めて生保会社の販売威力というのはすごいなというふうにも今思いますが、それだけ保険の制度というのは今思っても大変難しいのでありますけれども、当時の私でもやはり生命保険は重要だということは、親の生活等々を見て私の体の中にしみついていたのだろうというふうに思います。
 今佐々木委員がアンケートの結果を御紹介くださいましたけれども、生命保険というのは非常に個人の生活の中に深く定着しているものであろうかと思います。何といっても、家族、特に働き手を失うことに対する恐怖というのがつきまとっているわけでありまして、そうしたことを踏まえて、個人の生活の非常に重要な支えになっているのがこの生命保険であろうかと思います。それを担う生命保険会社というのは大変重要な社会的な責任を負っている、その意味では、これも委員の御指摘のとおりかというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 そこで、提案されている保険業法改正案というのが、保険業界にその責任をしっかり果たさせるものになっているのかどうかということを確認したいと思うんです。
 銀行業界の預金者保護制度では、現在は、破綻しても、預金が全額保護されるということになっております。では、保険業界の契約者保護制度というのはどういうものなのか。契約者保護と言う以上、現行の制度で、保険会社が破綻したときに、契約した保険は100%補償されるものなのかどうか、この点をまず確認したいと思います。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 保険会社が破綻しました場合には、まずは、その保険会社内で対応することが基本でございます。保険契約者につきましても、自己責任の原則に基づきまして、責任準備金のカットや予定利率の引き下げ等が行われることになっております。
 しかしながら、生命保険につきましては、株式等のように市場で売買されるものでもなく、また、将来の変化まで見通した選択を保険契約者に期待することが困難な長期の契約であるという特性から見まして、破綻時の不利益のすべてを保険契約者の自己責任のみに帰することは適当でない面もあるということから、生保のセーフティーネットにおきましては、責任準備金の90%まで補償することとなっております。
○佐々木(憲)委員 現在の制度では、破綻した場合に、契約者が100%保護されるものではない。今、責任準備金のカットの話がありましたが、そのほかにも、計算基礎率の引き下げ、早期解約控除、こういうもので契約者の利益をいわば切り捨てるという仕組みになっております。
 例えば、資料の3ページを見ていただきたいんですけれども、ここで「契約条件変更後の保険金額と年金額」ということで、破綻した日産生命と東邦生命のケースを示しておりますが、本来100の保険金が支払われなければならないにもかかわらず、契約者の受ける保険金は補償されない。中には、7、8割もカットされるという場合もあるわけです。
 早期解約控除について言いますと、破綻した生保を引き継いだ生命保険会社が、契約者がほかの生命保険会社に流出するのを防止するために、高い解約手数料を設定しているわけであります。契約者に負担を負わせるこういう仕組みというのは、今出されている法案では改善されるんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回御提案申し上げておりますスキームにつきましては、平成12年に特例措置として、業界の負担と国の負担、そのあれをもう一回張り直すということでございまして、補償内容については何ら変更するものではございません。
○佐々木(憲)委員 結局、この点は何も改善されない、契約者に新たな負担を負わせるという部分が何の変更もないということであります。
 例えば、この配付した資料の4ページを見ていただきますと、破綻した生保を買収した7社が、解約手数料だけで何と4700億円も手にしているわけであります。大変な金額なんですね。契約者に負担を負わせることによって投資金額の4割を回収した、こういうわけでありまして、私は、こういうあり方がやはり現在の生保に対する信頼性というものも損なっているのではないか。
 資料の2ページを見ていただきますと、個人年金または年金型商品の世帯加入率というのは落ち込んでいるわけでありまして、個人に負担を負わせるこういう仕組みは、今回の法案では全く改善されないわけであります。それなのに、税金を投入する仕組みだけは継続するというやり方はいかがなものかと思うわけですね。
 もともと、保険会社の経営の失敗の責任は、基本的には経営者、業界側にあるわけでありまして、保険業界として責任を一体どうとるのかというのが大変大事なわけであります。この点は極めて不十分だと思うんです。
 今度の法案では、保険業界は新たにそれでは幾ら追加拠出をすることになるんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 この4月1日から始まります新しいスキームにおきましては、保険業界といたしまして1千億円を負担し、それを超えた場合、そのときの生命保険業界の負担の状況等を勘案した上で、政府におきまして予算措置を講ずることができるという仕組みになっております。
○佐々木(憲)委員 なぜ1千億円が上限なのかという点が疑問なのでありますが、上限というのは法令上決められているんでしょうか。
○藤原政府参考人 業界の負担対応につきましては、現下の生命保険を取り巻く環境にかんがみまして、平成12年改正時を上回る負担を求めることは困難ということでございます。したがいまして、平成12年と同様1千億円ということを決めまして、平成15年度以降3カ年間の追加的な負担が1千億を超えた場合、政府補助を可能とするというような仕組みになっております。1千億ということが決まっております。
○佐々木(憲)委員 いや、法令上決まっているのかと聞いているんです。
○藤原政府参考人 政令で1千億と規定する予定でございます。
○佐々木(憲)委員 政令ですね。
 平成12年4月14日の大蔵委員会の議事録を見ますと、この制度がつくられた当時、大蔵省の福田金融企画局長はこういう答弁をしているんです。
 「生命保険のセーフティーネットでございます保険契約者保護機構の運営費用につきましては、基本的には会員である生命保険会社の負担金により賄うという考え方でございます。 したがいまして、法令上で申し上げますと、負担金については、「資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額として定款で定めるところにより算出した額」まで積み立てるという業法上の規定がございまして、」「法令上、総額、現行4600億円の拠出でもってその負担金の拠出義務がなくなるという性格ではございません。」こういうふうに答弁をされているわけですね。上限を法令で決めているわけじゃないというわけであります。
 この1千億というのは、なぜこういう数字になったのか、いろいろなことを勘案してと、こう言うんですけれども、どうもその理由がよくわからないんですが、なぜ1千億なのか、ここをはっきり説明していただきたいと思います。竹中大臣、いかがですか。
○藤原政府参考人 再三御説明申し上げているところでございますが、前回、12年に、従来のスキームに加えまして、さらに1千億の業界負担を得た上で、その上で国の補助が4千億までやれるスキームを構築したわけでございますが、そのときの状況に比べまして、現在の生保業界の置かれている状況は改善されておらないというふうなところから、少なくとも前回と同じ並みの負担をしていただいた上で、同じようなスキームをもう一回構築するというようなことで今回御提案させていただいたところでございます。
○佐々木(憲)委員 要するに前回並みというだけで、1千億という根拠が非常にわからないですね。
 では、次にお聞きしますが、この1千億の追加負担の全額を生保業界が丸々負担するのかどうか、これを検討してみたいと思うんですが、機構の拠出金の残高は現在幾らでしょうか。
○藤原政府参考人 機構は現在借入金をしている状況でございまして、残高はございません。
○佐々木(憲)委員 借入金というのは、全体の負担を毎年やっていくわけですから、その必要な金額を借り入れるということであって、業界負担として既に払わなければならない金額というのがありまして、その分使われた金額がありますね。それを引いて幾ら残っているか、これを聞いているんですよ。
○藤原政府参考人 委員の御指摘になっておられるのが、12年のスキームで当初業界負担とされたもののうち幾ら残っているのかというか、使われなかったか、そういう趣旨でお答え申し上げますと、それは220億ほど使わないで済んだということでございます。
○佐々木(憲)委員 だから最初からその金額を言ってもらえばいいわけであります。220億ですね。
 破綻した東邦生命、第百生命、大正生命保険で資金援助が既に5380億円行われたということでありますが、しかし、戻ってくる部分もありますね。制度上は清算によって一定程度戻る、そういう仕組みになっていると思いますが、いかがでしょう。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) お話のありましたように、これまで破綻処理を行いました破綻保険会社のうち、東邦生命、第百生命、大正生命、この3社にはいずれも清算保険会社が存在しておりまして、その残余財産をもって一般債権者、旧職員等からの訴訟に基づく債務支払い等に充てるということになっております。
 これらの残余財産は、昨年の3月期決算、確定している直近の決算でございますが、この昨年3月期決算時点で、3社合計775億円ございます。14年度中において既にこの中から140億円程度の支払いが行われております。また、今後もさらなる支払いが見込まれる、こういう状況にございます。
 こうした中で、将来、最終的に債務が確定されますと、この確定されました金額が保護機構への最終的な支払いということで支払われることになります。この金額がどの程度になり、またいつごろになるのかというのは今後の訴訟等の動向にかかわるものでございまして、今の時点で確たることは申し上げられない、こういう状況でございます。
○佐々木(憲)委員 清算で戻ってくる仕組みになっているということですね。現在その作業中だということですが、昨年12月28日の朝日新聞によりますと、生命保険協会の横山進一会長の話としまして、「今後、400億円前後の返済が見込まれる」、こういうふうに報道されております。また、12月17日付の日経でも、「400億円前後はその後の実際の処理過程で回収できる見通しが立っている。」という報道があります。さらに、12月28、1月4日合併号の週刊東洋経済でも、「生保協会長会社の住友生命は、」「500億円台が東邦、第100、大正の清算で戻ってくる見通し」ということが述べられたと報道されています。
 大体400億か500億、こんなところだと思いますが、いかがでしょうか。
○五味政府参考人 繰り返しのお話になりますけれども、将来的に債務が確定した段階でこの金額というのは明らかになるわけですが、現時点では、今後の支払いの発生が現実に見込まれている部分もございますので、幾らぐらいがいつごろに戻ることになるかということについては、それぞれに見通しを述べられる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、私のところでは、これが現時点で申し上げられる状況にはないということでございます。
○佐々木(憲)委員 金融庁としてははっきりした金額が言いにくいのでしょうけれども、報道のとおりだとしますと、差し引きで業界負担額は大体200億から300億だということになるわけであります。
 1千億円の新規負担と言うけれども、実際にはこの程度の負担でありまして、その反面、国民負担の仕組みの方は4千億を用意する。これはすぐ使われるかどうかは別としまして、そういう枠組みをつくるわけでありますから、保険業界の負担の十数倍から20倍というような負担の枠組みになるわけで、竹中大臣、これはちょっとバランスを欠いた仕掛けではないのかなと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○竹中金融担当大臣 監督局長からの答弁にもありましたように、数字そのものについて、現在では確たることを申し上げることはできません。
 しかし、これはそもそもこの仕組みの考え方の問題であろうかと思います。これとこれとこういう計算をすればこんな数字が出てくるという今のお話でございましたが、この趣旨はあくまでも、今回、まさに今までの制度が時限的なものであって、それがなくなる、それを受けて、新たに前回と同じようにつくろうということで、千と4千という数字が出てきているわけでございます。これについては、業界の負担能力等々も考えて、しかし、業界の責任といいますか業界の果たすべき役割も考えて前回と同じような枠組みをつくろうとしているわけでございますので、この点の趣旨を御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 業界負担1千億と言いますけれども、実際には200億から300億という水準でありまして、業界負担は前よりは軽くなっている。しかし、国民負担の方は変わらない。こういうことでは、私はバランスを欠いた仕掛けだと思うんです。
 要するに、これは契約者の負担というものも、先ほど一番最初に申し上げましたように、一定の負担を実際上強要することになってしまう、それから財政負担、国民負担の方も必要になる、こういう仕掛けになっているわけです。そうなりますと、結局、これは保険会社を助ける保険業界保護機構ではないかという感じを私は持つわけであります。
 保険会社の経営危機というのは、確かに、超低金利のもとで、逆ざやのほかに、契約高の減少ですとか株価の下落というような理由があります。これ自体、政府の政策の結果だと私は思いますけれども。
 しかし、それだけではなくて、これまでに破綻した生保の事例を見ますと、日産生命の場合は高利回りの年金型保険を売りまくったことが破綻の原因となったわけであります。特に、金融機関が融資一体型の提携商品を、銀行員自身が保険勧誘を行っていた、これは違法性が極めて高いわけであります。私もその問題を大蔵委員会でただしたことがございます。千代田生命の場合には、負債金額3兆円ということで生保最大の倒産でありました。この会社は、ホテルニュージャパン向け融資、貸金業のアイチ、九州でサーキットを建設する日本オートポリス計画、こういうものに膨大な融資を行って焦げついたものであります。
 ですから、これは一部の事例でありますけれども、私は、経営者の責任は極めて重いと思うんです。保険業界、保険会社の乱脈的なこれまでのバブル時代のあり方、こういうものも大変大きかったわけでありますが、竹中大臣は、経営者の責任についてどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。
○竹中金融担当大臣 佐々木委員から、今回の措置が契約者の保護ではなくて保険会社の保護ではないかというような御指摘もございましたが、しかし、保険会社の負担というのも結局は契約者の負担になる、国の負担というのも国民の負担になるということでありますから、そうした点を考えて、しっかりとしたバランスをとっていくということに尽きるのではないかと思います。
 それと、直接お尋ねの経営責任でございますけれども、保険会社の破綻に関する経営者の責任の所在については、これは個々のケースに即して判断される必要があるわけです。
 破綻処理の過程においては、保険管理人または更生管財人により破綻に至った事情が調査されて、必要に応じて経営者の厳格な責任追及が行われるという仕組みになっております。
 具体的に申し上げますと、まず、保険業法の手続におきましては、保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われまして、保険会社の業務執行権等は保険管理人に専属することになるとともに、保険管理人は当該保険会社の旧経営陣の民事、刑事上の責任の追及を行っていくということが定められている。更生手続においては、裁判所から任命された管財人が、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定を裁判所に対して申し立てることができるというふうにされております。
 これまで処理された保険会社7社のうち、5社のケースにおいて経営責任の追及が行われておるというふうに認識をしております。
○佐々木(憲)委員 金融庁としての問題は、そういう経営者自身の破綻後の責任というものの追及ももちろんですけれども、しかし、経営自身の内容について、投機的な運用で契約者に迷惑をかけていないのかどうかというようなことも含めまして、事前にきちっとチェックをしていくというのがやはり大きな責任だろうと思うわけです。
 そういう点が極めて不十分ではなかったのか、過去の破綻の事例を考えますと、私は思うわけであります。結果として、そのしりぬぐいが国民に押しつけられる、そういう仕掛けをつくるということになると、これは我々は賛成するわけにはいかないというふうに思っているわけです。
 そこで、別の角度からお聞きをしたいんですが、配付した資料の最後のページを見ていただきたいのですけれども、これは、生保会社から国民政治協会、自民党への献金の一覧表であります。官報に掲載された政治資金収支報告書に基づきまして、92年分から直近の2001年分までの10年分をまとめたものでございます。
 私は、先日、予算委員会で小泉総理に質問をいたしました。配当もできないような赤字会社からの政治献金は受け取るべきではないというふうに聞いたわけです。それに対して小泉総理は、「無配の会社からは求めないという体制にしていかなきゃいかぬ」と答弁をされました。
 この表で大変驚いたのは、献金をしている生保会社21社、これは破綻した生保も含むわけでありますが、10年間の献金の総額が13億8505万4110円に上る。14億近い膨大な資金が献金されているわけであります。直近の2001年で、1年間だけでも献金合計が4993万円、約5千万近いわけであります。これは11社の合計金額です。これは極めて大きな献金だなと思うわけで、私、さらにその中で重大なのは、赤字続きで破綻した七社が、すべてが破綻の前の年まで献金している。これは、献金をした重圧でつぶれたとは言いませんけれども、余りにも異常な状況ではないのかと思うんですね。
 塩川大臣にお伺いしますが、自民党の中心的な幹部として、この表を見て、これからこういう会社からは献金を受け取らない、総理もそうおっしゃったわけですけれども、そういう姿勢をとるべきじゃないかと思いますが、大臣としてはいかがでしょうか。
○塩川財務大臣 これは、政治献金となっておりますけれども、自由民主党直接ではないと思いますね。国民協会に対する献金だと思っております。
 でございますから、法にのっとって生命保険会社も処理をしておられる、また、その範囲内のことであると思っております。政治と金のあり方という問題として考えるべき問題であって、自由民主党の献金のみの問題ではないと思っております。
○佐々木(憲)委員 国民政治協会というのは自民党の資金を扱っているわけでありまして、直接自民党じゃないといえばそうかもしれないけれども、そこを通じて自民党に行っているわけですから、それは言い逃れだと私は思うんです。ですから、やはりこの点では、何らかの対応をするということがないと、では、これからも同じようなことをやる、こういう理解でよろしいんですか。
○塩川財務大臣 これはやはり、国民政治協会に献金をしていただくところの各事業会社、生保もそうでございますが、その事業会社と協会との間の意思疎通を十分しておくということが一つ大事だと思いますし、また、国会等におきまして議論されておる政治と金のあり方等について、明確な国民の理解が得られる線で決定していくことが大事だと思っております。
○佐々木(憲)委員 では、国民の理解が得られるというのは、具体的に言うとどういう措置をとれば理解が得られると思われるわけですか。
○塩川財務大臣 その一番代表的な意見の決定というのは、やはり国会だろうと思います。
○佐々木(憲)委員 国会ということは、大臣自身自民党の幹部ですけれども、具体的にどういう措置を国会として決めるべきだというふうにお考えなんでしょうか。
○塩川財務大臣 これは私どもの所管事項ではございませんけれども、政治家として考えられることは、政治参加への意思表示として国民協会を通じて応分の寄附をしておられるということは、私はこれは是認されるべき問題だと思っておりますが、その程度の問題につきましては、企業経営の中身なり、あるいはまた献金を受ける方にいたしましても、それを強引に強要するというような姿勢があってはならぬと思いまして、十分にお互いが理解した上で献金を受けるという、その根本の精神が必要だろうと思っております。
○佐々木(憲)委員 銀行業界の場合は、公的資金を受けている銀行の政治献金については、自民党は、「平成10年10月より、公的資金投入銀行からの一切の寄附を自粛しております。」ということで、小泉総理も昨年の10月21日に本会議で答弁をされております。
 しかし、保険業界の場合は、国民の税金を使う仕掛けを継続していっているわけであります。今回の法律でもその継続を提案されているわけですね。つまり、国民の税金を投入する仕掛けを提案しながら、その相手から献金を受け取る。これは、政治姿勢としてよろしいのかどうか。銀行業界と全く違うということなのか。その点は、私は違わないと思いますね、基本的に。税金を投入する仕掛けというのは全く同じなわけですから。
 そういう点で、やはり生保業界からの献金も自粛する、総理もそういうふうに銀行の場合はおっしゃっているわけですから、当然そうすべきじゃありませんか。
○塩川財務大臣 絶えず自戒心を持って考えていくことが必要だと思います。
○佐々木(憲)委員 自戒心といっても、自戒心というのはもらうことなんですか、もらわないことなんですか。どうなんですか。
○塩川財務大臣 法律によってもらえるものはもらってもいいと思います。でございますから、先ほど来言っておりますように、制度の問題がきちっと国会で決められておるんでございますから、その制度の中において行われておるものは善意として受け取っていく。ただし、私が言っていますように、制度があるから強要する、そういう姿勢がいけないということを言っておるんです。
○佐々木(憲)委員 銀行の場合は、制度があってやっているわけじゃなくて、自粛をしているわけですね。制度がなければできないということではないわけであります。生保業界の場合はどうするんですか。
○塩川財務大臣 それは、生保業界で十分に御検討していただいて決定していただいたら結構です。
○佐々木(憲)委員 生保業界の問題ではないんです。それは献金を出す側に責任を転嫁しているわけでありまして、もらう側の態度を私は問題にしているわけです。塩川大臣は、今までのこういうやり方を全く反省なく続けていく、こういうことだと。結局、お金をもらっている業界に国民の税金を投入するという仕掛けをつくる。これが実際にやっていることだということでありますから、まさにこれは政官業癒着そのものではないかと私は思うわけです。
 この法案では、契約者を保護するといいながら、結局は契約者と国民の負担によって生保業界保護、私はそういうふうに思うんですけれども、こういうものであって、到底認められないと思います。それから、税金投入の仕掛けをつくった業界から献金を受け取るという癒着姿勢も改まっていない。そういう点からいって、この法案には反対であるということを申し上げまして、質問を終わります。

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