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その他 (刀剣協会の不正問題)

2007年03月01日 第166回 通常国会 予算委員会第4分科会 【379】 - 質問

予算委分科会で日本美術刀剣保存協会の不正を追及

 2007年3月1日、佐々木憲昭議員は、予算委員会第4分科会で、財団法人・日本美術刀剣保存協会の不正・疑惑を追及しました。
 佐々木議員は、この問題について、2006年12月12日に質問主意書を提出しました、12月22日にその答弁書を受け取っています。
 2001年に、刀剣や刀装具の審査について、文化庁の「改善・注意」を受けていた日本美術刀剣保存協会(佐々淳行会長)が、それ以後も586件の業務改善措置に反する審査を続けていました。
 伊吹文明・文部科学大臣は、「調査をおこない、おかしなところがあれば、指導・監督、命令などを行っていく」と答えました。

 刀剣協会は、事業として、刀剣などを審査、鑑定し、保存・特別保存、重要・特別重要などの指定を行っています。
 この刀剣審査で、特別重要などに指定されれば、刀剣などの価格が上がることもあり、インサイダーのような行動規範の疑いを差し挟まれないように、厳格な行動がもとめられます。
 文化庁によると、刀剣協会は、2001年11月から2007年1月までに業務改善措置に反する審査を、重要・特別重要刀剣の審査で59件、保存・特別保存刀剣の審査で、527件もおこなっていました。
 文化庁は2001年8月、刀剣協会に対して実地検査を実施しています。
 その後、審査の公正性の確保や疑義を挟まれないようにするため、改善・注意を要する事項として「刀剣及び刀装具の審査については、今後は財団の役員、職員ならびにその親族は申請できないように改善していただきたい」としていました。
 これにたいして協会側は、2001年11月に「役員、職員並びにその親族と審査員を含め、内部規律として審査申請ができないようにする」と回答していました。
 しかも、会長や専務理事、事務局長などのハンコが押された回答に対する内部の伺い書を添付して文化庁に業務改善措置を報告していたのです。
 佐々木議員は、2月26日付の刀剣協会内部文書で、「理事やその親族の申請を排除したりするのは弊害あって実利なし」などと開き直っていることを示しました。
 そのうえで、「審査を行う者が申請し鑑定を行うということは、極めて不自然だ。調査を行い実態がどうなのかを把握する必要がある」と追及しました。

議事録

○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 最初に、伊吹大臣にお聞きをしておきたい。
 基本的な考え方です。公益法人は、国からの補助金を受給し、税制面でも優遇されております。したがって、運営の上で、不正とかあるいは疑惑とか、そういうものを生じてはならないと思うんです。文科省、文化庁は、所管のもとにある公益法人に仮に問題があれば、それを指摘し是正させる、そういう監督権限というものが当然あると思うんですが、いかがでしょうか。
○伊吹文部科学大臣 先生、これは補助金をもらっているもらっていないにかかわらず、日本の諸法人というのは基本法として民法によって規制されているわけですから、民法によって、主務官庁は法人に対して監督上必要な命令をすることができるということがまずあります。
 その上に立って、公益法人の設立許可及び指導監督基準に基づいて指導監督を行い、職権による検査や監督上必要な命令を発する権限は当然持っておりますから、公益に反すること、失敗をすることについては、先生の御指摘は全くそのとおりだと思います。
○佐々木(憲)分科員 そこで、具体的な事例でお聞きをしたいと思います。
 きょう取り上げますのは、日本美術刀剣保存協会でございます。文化庁は、平成13年8月30日に、この協会に対して実地検査を行いました。その目的、それからその結果どのような問題が明らかになったか、報告をいただきたいと思います。
○高塩政府参考人(文化庁次長) 財団法人日本美術刀剣保存協会に対しましては、公益法人の指導監督としての定期検査、並びにその直前にございました投書の内容の事実確認のために、平成13年8月30日に実地検査を行ったところでございます。
 その実地検査を踏まえまして、協会側と十分な打ち合わせを行った上で、平成13年10月16日付で、刀剣及び刀装具の審査については今後、財団の役員、職員並びにその親族は申請できないように改善していただきたいことなどを内容とする通知を行い、指導を行ったところでございます。
○佐々木(憲)分科員 その内容が、お配りした資料の右下に1と書いてありますが、こういう形で実地検査の結果に基づいた指導というものが行われたわけです。そこには、今紹介がありましたように、「今後は財団の役員、職員ならびにその親族は申請できないように改善して頂きたい。」と指摘しているわけです。
 なぜ、役員、職員、その親族が申請をしてはならないのか。その理由、確認をしておきたいと思います。
○高塩政府参考人 財団法人日本美術刀剣保存協会は、刀剣を審査し、鑑定、指定を行うことをその業務といたしておりまして、協会内に審査会を設けまして審査を行っております。このため、刀剣審査の公正性を担保し、審査に対して疑義を挟まれることのないよう、同財団の役員、職員、その他の親族等が申請できないよう、自主規制による改善を指導したということでございます。
○佐々木(憲)分科員 公正性を担保するためということであります。
 それで、この10月16日付の改善・注意、この指摘に対して、協会側から回答がいつ、どのような形でありましたでしょうか。
○高塩政府参考人 私ども文化庁の指導を受けまして、平成13年11月7日に、協会の方から、刀剣等の審査に関し、協会の役職員及びその親族並びに刀剣等の審査の審査員が審査を申請できないようにすることなどの改善措置を講じたとの報告を受けたところでございます。
○佐々木(憲)分科員 それが、その次のページに資料で配付させていただいております。
 ここでは、今言われましたように、「今後は審査の透明性を確保するうえでご指摘のとおり、役員、職員並びにその親族と審査員を含め、それぞれの立場を考え、内部規律として審査申請が出来ないようにするとともに、チェック機能として審査日前までに申請書の点検を行うことといたしました。」こういうふうに書かれていまして、内部規律「職員については服務心得の一つとして、本人及び親族を含めて厳守するよう徹底する。 2役員については、役員の立場として本人及び親族を含めて厳守するよう徹底する。」こういうふうに書いていますね。「平成13年12月1日より実施」と。
 こういう回答が協会側からあって、当然これは改善されていなければならないはずでございます。しかし、実態はどうなのか。その実地検査以降の違反件数、これを報告していただきたいと思います。
○高塩政府参考人 平成13年11月7日の協会の報告に係ります業務改善措置に反する刀剣等の審査の申請につきましては、去る1月に協会から報告を受けたところでございます。
 その報告によりますと、審査申請者の内訳は、先生御承知のように、刀剣につきましては四段階のものがございますけれども、そのうち、重要刀剣というものにつきましては、理事3名、職員の親族2名により合計で39件。さらに、特別重要刀剣につきましては、理事2名、職員の親族2名、審査員2名により合計で20件でございます。また、これは重要刀剣の前の段階でございますけれども、保存刀剣及び特別保存刀剣につきましては、理事2名、職員親族2名により合計で527件であるとの報告を受けているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 これは、問題あり、こう改善しなさいというふうに指導をし、このようにいたしますと回答をしているにもかかわらず、公正性を担保するというところが崩れているわけです。現実にこういうことが実施されていないということになるわけであって、何のための回答だったかということが問われるわけです。
 もうちょっと具体的に聞きますが、現職の理事で違反件数というのはどのぐらいあるんですか。
○高塩政府参考人 現職の理事でございましても、理事の就任日以前のものは該当しないということで考えますと、現職の理事に関する審査件数は、重要刀剣、特別重要刀剣で、理事2名につきまして15件、それから、保存刀剣、特別保存刀剣につきましては、同じく理事2名で12件というふうに承知しております。
○佐々木(憲)分科員 今報告ありましたように、現職の理事もこういうことをやっている。私はこれを聞いてびっくりしたわけですけれども、例えば、刀剣美術という雑誌がありまして、2005年11月号で、第51回重要刀剣等指定品発表というのが行われておりますが、そこには現職の理事の名前が堂々と掲載されておりまして、森政雄という方なんですが、この人は現職理事ですか。
○高塩政府参考人 現職の理事と伺っております。
○佐々木(憲)分科員 平成13年の時点で重大な問題があるということで改善するように指摘をしたはずなのに、このように全く改善されていないんです。
 伊吹大臣、このような実態にあるわけですが、どのようにお感じでしょうか。
○伊吹文部科学大臣 この問題については、何度か国会で御答弁を申し上げておるように、私も先生と同じ感慨というか気持ちを持っております。
 それで、率直に言って、一人の理事が申請をする数にしては多過ぎますよね、ありていに言えば。こんなにたくさんの刀剣を持っておられるかという気もします。ですから、何度も文化庁の方も、審査に対する透明性、公正性を確保することは重要であって、先生が御指摘になったような返答をしておるじゃないかということを言っているわけです。
 それで、先生が御提出いただいた資料の中にも、返答するについて決裁をとっているという、これは証拠のようなものなんだと思いますが、しかし同時に、後にまた資料をちょうだいしている文化庁とのやりとり云々を見ると、これは公式文書じゃないみたいな話にもなっているわけです。ですから、これは、ありていに言うと、当該法人の内部の統治のあり方、それから意思決定の仕組み、こういうところまで大いに疑義があると私は思うんですね。
 ですから、文化庁の担当者には、向こうとよく対話をして、そして、おかしなことがあれば民法の規定を使って改善命令も出さなくちゃいけません。しかし、そこへ行くまでにもう少しよく話し合ってみろということを言っているところです。
○佐々木(憲)分科員 この事態、改善されていないだけではなくて、今、伊吹大臣が私の提出資料について御指摘がありましたように、協会執行部の方々が開き直っているわけです、簡単に言いますと。
 例えば、配付した資料の5枚目以降にそれがあるんですけれども、「文化庁とのやりとりについて」という、これは2月26日付ですから、つい3日ほど前の文書であります。理事各位、評議員各位というふうにあて先が書かれておりますけれども、この中身を見まして、言いたい放題なんですよ。例えば、3ページのところの上の方に、「理事やその親族の申請を排除したりするのは弊害あって実利なし」と書いてある。排除しなきゃならぬというのが指導であり、また回答であったのに、全くそれに反する、排除してはならないと逆の立場を書いているわけです。改善内容を真っ向から否定するものであります。
 それから、6ページのところを見ていただければ、6ページの上の方に(4)というのがありまして、いろいろなことがその前に書いてありまして、「以上を総合すると、平成13年10月16日に文化庁の方から具体的な「改善内容」の文書を一方的に押しつけたのは、鈴木氏個人」これは事務局長だったわけですが、「と文化庁担当者との一種の合意により、刀剣申請を巡る騒ぎを沈静化するといった側面が強くあったもので、その意味では、この文書は文化庁としての監督権行使として出された案ではなく、鈴木氏との間で事態の沈静化に向けて作成された政治的な合意文書にすぎなかった」こういう、まさに独断に基づいた書き方でありまして、本当にこんなことを考えているのかというふうに私は驚くわけであります。
 配付資料の下に3と書いてありますところを見ていただきたいんですか、これは判こは黒塗りにしてありますが、平成13年11月7日付で協会から出された報告書、つまり回答。このことについて、そこに、「指摘された改善事項および注意事項について下記のとおり別紙文書(業務の改善措置結果報告について)を以て回答してよろしいか伺います。」と稟議書がつくられているわけですね。稟議書がつけられて、先ほど御紹介のあった回答が文化庁に提出をされたわけですね。
 この稟議書は、伊吹大臣も御指摘がありましたが、会長、専務理事、事務局長、部長というふうに、ずっとすべて回っているわけです、全部判こが押されておりますし。したがって、これは何か個人が勝手に回答をつくったのではなくて、協会としての組織的な検討を経て、その上で回答が行われていたということだと思うんです。この点は、もう一度確認していただきたいと思います。
○高塩政府参考人 今御指摘の、平成13年の日本美術刀剣保存協会、平成13年11月7日でございますから、出されました改善報告につきましては、職印が押印されました文書でございまして、当然、私どもとしては、組織として提出されたというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 手続を踏んで組織的に協会の側も回答し、当然、文化庁の方も個人プレーでやっているわけではもちろんないわけであって、一定の見解に基づいて調査をし、客観的な事実を踏まえて改善の指導をされているわけであります。どうもこの文書は、それを真っ向から否定をするというものになっております。
 そもそも、刀剣審査のあり方がいろいろ不透明だというふうに指摘をされておりまして、本来、きちっとやらなきゃならぬわけでありますが、いろいろな疑惑が指摘されているわけです。
 例えば、現職理事がほかの者の名前で申請しているとか、あるいは、特定の刀剣商などの業者あるいは学芸部幹部と親しい者が審査期間が過ぎてからでも受け付けてもらっているとか、文化庁からいただいた資料を私も見せていただきましたが、重要、特重について受け付け台帳を作成していない、第一段階審査の審査結果の一覧表が作成されていないとか、受け付けの全体を一覧で知ることができないという状態にある。私は、本当にこんなことがあるのかと驚くわけです。
 だから、第一段階の審査について検証することができない、特定の業者、会員により受け付けている状況は不公平である、こういうふうな指摘があるわけです。これは文化庁の資料でも、そういうものは出ているわけですね。
 こういう事実は実際にいろいろな形で発見されていると思いますけれども、実態はいかがなんでしょうか。
○高塩政府参考人 今、申請台帳のお話がございましたけれども、私どもも逐次この日本美術刀剣保存協会には指導を行ってまいりましたけれども、そういった事実を知ったのはつい最近でございます。
○佐々木(憲)分科員 これは実務的なミスではなくて、本当にずさんなやり方が横行していると言わざるを得ないですね。
 審査規程に照らしても非常に不正常な状態にありまして、審査規程第9条3項というのを見ますと、第一次審査では、審査職員により、それぞれの物件の可否を決定投票し、その集計により過半数の可を得たものが第二次審査に付議される。また第四項では、第一次審査で否となった物件について、第二次審査員から審査の経過及び物件について求めがあった場合、閲覧させることができる、こういうふうに規定されているわけです。しかし、審査結果の一覧表も作成していないわけですから、閲覧のしようがないわけでございます。
 しかも、特定の業者によるもの、あるいは非会員からの申請というのが際立って多いわけです。内規によると、重要とか特別重要というのは会員でないと申請できないというふうに定めがあるらしいですが、それがどうも守られていないということでございます。
 特に、特定の業者と言いましたけれども、真玄堂それから霜剣堂というんですか、この二つの業者が全体の57%を占めている、これは癒着じゃないかと。つまり、その特定の刀剣商からの申請が際立って目立つわけであります。
 私は、こういう事態はきちっと調査をさらに行って、実態がどうなのかということを単に報告させるだけじゃだめだと思うんですね。直接現地に行き、そして書類も調べ、どうなっているのかということを把握する。対応を考える場合、実態の把握というのは非常に大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
○高塩政府参考人 この刀剣審査につきましては、財団法人の日本美術刀剣保存協会が独自の考え方に沿って審査を行い、その認定を行うということになっております。そういった認定の方式については私どもは団体の方式を尊重したいというふうに考えておりますけれども、公益法人としてのやはり客観性、透明性ということは求められておりますので、ただいま大臣からもお話がございましたけれども、団体の方と話し合いを行っておりますので、さらに努力をしたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)分科員 伊吹大臣は、昨年10月20日の文部科学委員会でも御答弁がありました。「一つしかない機関がインサイダーだとか行為規範というのと同じ疑いを差し挟まれないように厳正に行動していただくという原点が確立されれば一番いいわけですから、その方向で文化庁が努力をすると思います。」と前向きの答弁がなされましたし、先ほどもきちっとしなきゃいかぬという意思表明がございました。
 私は、改善の方向へ向いているのならまだ話し合って何とかという話もわかりますけれども、しかし、改善どころか、指摘されたことに対してそれを否定し、事実もねじ曲げ、そして開き直ってしまう、こういう状況は極めて重大な事態だと思うんです。これは具体的にどのように改善するかが今問われていると思います。話し合いはもちろん大事です。しかし、その話し合いが、今までずっとやってきているわけですから、どうもらちが明かないわけです。もうちょっと踏み込んだ対応策というものが必要ではないかと思うんです。
 その点、具体的にどういうことを考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
○伊吹文部科学大臣 佐々木先生、これは先生や御党だけではなく、各党からも同じような指摘をちょうだいいたしております。ですから、国会の場で、もちろん日本共産党を含めて、各党からいろいろな御指摘をちょうだいしているんだということも相手によく伝え、そして、公益法人改革ということが今言われている中で、やはりきちっと国民の信頼を得ていかないと当該団体自体も困るわけですから。
 私の率直な印象を言うと、相手の中が一枚岩じゃなくて、どうも統治の流れがきちっとしていないような印象も受けますので、担当者に粘り強く、国会の御指摘も受けて話をさせて、その上で我が省としての判断はどこかではしないといけない、いつまでもこういうことはほっておけませんから。しばらく、きょうの御指摘もあったよということも伝えて、粘り強く話し合いをさせてみたいと思っております。
○佐々木(憲)分科員 きちっとやっていただきたいと思うんですね。私は考えますに、こういう状況になっておりますので、これはやはり責任が問われていると思います、相手側の責任が。
 やはり違反を繰り返しているわけですから、それに対しての一定の処分とか、きちっとなさる必要があると思いますし、例えば審査制度というもの全般についてもう一度見直し、情報公開もきちっと、だれからも疑惑を持たれないような形で公開するとか、あるいは審査基準は果たしてどうなのかということについても検討する、あるいは審査員名簿自身もきちっと提出をさせる、あるいは審査経過の記録の作成、開示、こういうことをやっていれば当然そういうものはそろっていなければ本来おかしなわけであって、そういうこともそろっていないような状況というのは全く不自然な、また公正を欠くやり方だと思っております。
 こういう具体的なことも念頭に置いて、ぜひ前向きに対応していただきたい。最後に、その点についてもう一度確認をしたいと思います。
○伊吹文部科学大臣 先ほど先生の御質問にお答えしたとおりの気持ちで、公益をやはり一番大切に話をさせたいと思っております。
○佐々木(憲)分科員 以上で終わります。ありがとうございます。

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