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金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (銀行公的資金注入, 不良債権処理, 金融機関の破綻, 保険業法)

2003年05月28日 第156回 通常国会 予算委員会≪外交・経済等集中審議≫ 【206】 - 質問

りそな銀行への2兆円公的資金は小泉失政の穴埋め 生命保険予定利率引き下げの一方で自民党に巨額の献金

 2003年5月28日、予算委員会で小泉首相出席のもと、経済・外交等の集中質疑が行われ、佐々木憲昭議員が、りそなグループへの公的資金投入問題と生保が自民党に多額の献金をしている問題について質問しました。
 佐々木議員は、「失政の穴埋めに公的資金を2兆円も投入するというのは根本的に間違っている」と指摘し、「それで中小企業に資金がまわるようになるのか」と追及しました。

 りそなグループには、過去3回、合計1兆1680億円の公的資金が注入されています。
 質問の冒頭で佐々木議員は、今回新たに2兆円を投入することになった政府の責任をただしました。竹中金融担当大臣は、「再び公的資金を必要とする状況になった、これは大変遺憾なことだ」と述べ、銀行の経営者全員が退任することなどを答弁しましたが、政府の責任については言及しませんでした。
 これに対し佐々木議員は、「りそな問題は、小泉内閣がすすめてきた経済政策がもたらしたものだ」と強調。小泉内閣が期限を切って「不良債権の最終処理」を強引にすすめ、倒産と失業が増やしてデフレを加速したため、株価が落ちて銀行の体力が落ちたことを指摘するとともに、「竹中プラン」(「金融再生プログラム」)でこれまで以上に査定を厳しくし、銀行を内部から締め上げた結果、りそな銀行は経営難に追い込まれたと述べ、「こうなれば、どんな銀行だって経営が難しくなるのは当たり前だ。追い込んだのは小泉内閣ではないか」と小泉総理の責任をただしました。
 小泉首相は、「不良債権早期最終処理」の方針を「迷うことなく」すすめる考えを示し、みずからの責任については、「いずれ選挙がくる。選挙で国民に信を問いたい」と答弁しました。
 佐々木議員は、小泉内閣の政策が金融機能を低下させていると述べ、「失政の穴埋めに公的資金を2兆円も投入する、こんなやり方は根本的に間違っている」と小泉首相の姿勢を批判しました。

 次に佐々木議員は、「2兆円を投入したら、中小企業に資金が回るようになるのか。その保障はどこにあるのか」と述べ、公的資金投入によって「竹中プラン」が打ち出した「特別支援銀行」となるりそな銀行の借り手中小企業が、どのように扱われるのかを明らかにしました。
 金融庁は、4月4日に公表した方針(「特別支援金融機関における『管理会計上の勘定分離』について」)で、「特別支援銀行」の借り手を「再生勘定」と「新勘定」の2つにわけ、「再生勘定」には「要注意先」以下の債権を入れ、「新勘定」にはそれ例外の「正常債権」などを入れて管理することを明らかにしています。金融庁方針では、「再生勘定」は「不良債権の早期処理等の観点から」管理すると書いています。これまで、政府は「破たん懸念先以下」を不良債権といって処理を加速してきました。ところが、こんどは「要管理先以下」という区分をもってきて、不良債権の早期処理をすすめるというものです。
 「要管理先」の債務者とは、「全部または一部が要管理債権である債務者」(金融庁「金融検査マニュアル」)です。つまり、ある企業が3件の融資を受けていた場合、その1つの返済が3ヶ月以上滞った、あるいは返済条件の変更を受ければ、その企業は「要管理先」になるということです。佐々木議員は、「こういう中小企業も不良債権処理の対象として扱われて、つぶされてしまうんじゃないか」と、政府の対応をただしました。
 竹中大臣は、「再生勘定は再生に向けて、公的資金を注入した結果を出していただく、そのようなしっかりした管理をしていただいたい」と、再生に向けて努力する旨を強調しました。
 これに対し佐々木議員は、「再生というからには、不良債権処理の対象から外すのか、融資を継続するのか、借金は免除するのか。ここに入れたら全部が再生されるのか」と追及しました。竹中大臣は、「それはまさに銀行の経営判断になる。」「再生させるものは再生させる。スリム化していくものはスリム化をしていく」と述べました。
 佐々木議員は、「来年の3月までに不良債権を半分に減らす政府の大方針が変わらない限り、再生といってもそれは言葉だけだ」と批判し、「竹中プランで中小企業が生き返って大変喜んだという話は聞いたことがない。どんどんつぶされて怨嗟の声が満ち満ちている」と述べたうえで、「竹中プラン」を撤回し中小企業に資金がまわる政策に転換するよう求めました。



 次に、佐々木議員は、生保が自民党に多額の献金をしている問題について質問しました。
 佐々木議員は、自民党政府が生命保険の予定利率引き下げ政策を打ち出す一方で、生命保険会社から10年間で約14億円もの巨額の献金を受け取っている問題を追及しました。

 佐々木議員は、新聞の投書で、「予定利率を高く設定するリスクを考えずに商売しておいて、そのリスクに耐えられなくなったら『相手に負担してほしい』では詐欺だ」との声が上がっていることを紹介し、「保険というのは契約が命だ。契約違反を政府が決めて国民におしつけるというやり方は、保険事業に対する不信を広げることになる」と強調。生保の予定利率引き下げをすすめる小泉首相にたいし、「こういう国民の声にどう応えるのか」と追及しました。
 小泉総理は、「保険契約者が予定通りの利率をのぞんでいることは事実だ」と認めつつ、「ひとつの選択肢を提供したということだ」と利率引き下げを合理化しました。

 佐々木議員は、生保会社が成り立たなくなるような経営環境をつくっておきながら、それを理由に予定利率の引き下げをすすめる政府の対応を批判したうえで、「もうひとつ問題を提起したいのは、生保会社各社の自民党に対する献金だ」として、一方で国民負担をおしつける政策を打ち出しながら、自民党の政治資金団体・「国民政治協会」が、保険会社から莫大な政治献金を受け取っている事実を独自調査にもとづき明らかにしました。
 佐々木議員の調査によれば、生命保険会社21社(破綻した生保も含む)の10年間の献金総額は、13億8505万4110円にのぼります。しかも赤字続きで破たんした7社すべてが、破たんの直前まで献金をしています。

 「経営危機の保険会社から毎年毎年献金を受け続ける、これをこれからも続けるのか」との佐々木議員の追及にたいし、小泉総理は、「どの政党も国民の献金で政治活動をしている。その一環だ。資金のあるべき姿はどのようなものが望ましいかということを今議論の最中だ」と開き直りました。
 佐々木議員は、「私は去年ここで、鈴木宗男議員の問題にも関連して、国民の税金を使って仕事をする会社からの献金はやめよと言った。検討すると言って1年半たってもまだ結論が出ない。しかも、生命保険会社からこれだけ献金を受け続けても、やめるという決意さえ出てこない。こういうやり方は即刻やめてもらいたい」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 りそな銀行への公的資金の投入問題についてお聞きをしたいと思います。
 金額は2兆円を超えると言われておりまして、大変な額でございます。まず、事実を確認したいんですけれども、りそな銀行になる前の大和銀行、あさひ銀行のときにも公的資金が入っていると思いますが、これまでに何回、幾らの公的資金が入ったか、お答えをいただきたい。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) りそなホールディングスへのこれまでの公的資金の注入状況でございますが、まず、旧安定化法時代に、旧大和銀行、旧あさひ銀行それぞれに、劣後ローンで各1千億円。それから、早期健全化法に基づくものといたしまして、平成11年3月に、旧大和銀行、旧あさひ銀行それぞれに資本注入が行われましたが、旧大和銀行が優先株式4080億円、旧あさひ銀行は優先株式4千億円と劣後ローン1千億円、合計で5千億円。さらに、13年4月に、グループの近畿大阪銀行に優先株式で600億円。合計で1兆1680億円が資本増強されております。
○佐々木(憲)委員 今の話にありましたように、総理、今まで2回あるいは3回投入されまして、1兆1680億円、これが投入されたわけです。しかし、全くこれはむだになった。
 今回、新たに投入をする、こういう結果を招いたわけですけれども、この責任、一体だれがどのようにとるのか、お答えをいただきたい。
○竹中金融担当大臣 過去に1・2兆円の公的資金を注入した銀行が再び公的資金を必要とする状況になった、これは大変遺憾なことであるというふうに思っております。
 これまでの公的資金というのは、その時々において金融を安定化させる重要な役割を果たしたわけでございますけれども、最終的に銀行が健康体に戻ったというふうにはとても言えない状況になっている。こうした点も踏まえて、これまでの改めるべき点は改めるということで、昨年に金融再生プログラムをつくって、改めて申し上げますけれども、資産査定をより厳格に、自己資本を充実させ、さらにコーポレートガバナンス、経営をしっかりさせる、そういう枠組みを強化したわけでございます。
 我々としましては、こうした銀行が今回の公的資金注入によって今度こそしっかりとした基盤を築いて日本の経済の中でしっかりとした根を張って貢献できるように、そういった仕組みをつくって実行していくことがまさに我々の責任であるというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 責任をだれが一体どうとるのかというのを私は質問したわけであります。銀行側、政府の両方あると思うんですが、一体どういう責任をとったことになっているんですか。
○竹中金融担当大臣 今回の資金の注入に関しましては、御承知のように、りそなのホールディングスと銀行を含めて、代表取締役の肩書を持つ五人の経営者全員には退任をしていただく、さらには、退職金の支給は一切行わない、また、行内に関しましても、人件費を総額で30%削減をする等々の、そういう意味での厳しい責任を含む体制をつくってもらうということにしております。
 しかし、繰り返し申し上げていますように、一度公的資金を注入した銀行が再びそういうことを要している、大変遺憾なことである。我々としては、過去のその点も踏まえて、しっかりとした金融の行政、監督検査の行政を行っていくことが我々にとっての重要な責任であるというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 今の答弁で、銀行の責任には触れましたけれども、小泉内閣としての責任、これは全く触れなかったし、またとろうとしていない。
 大体、りそな問題というのは、小泉内閣が進めてきた経済政策がもたらしたものでありまして、りそなホールディングスが発表した文書がここにありますけれども、こういうふうに書いているんですね。30%以上下落した株の含み損を計上した、政府の金融再生プログラムの趣旨を踏まえて繰り延べ税金資産を厳格に見た、これが今回の事態に至った引き金になった。
 問題は、それを一体だれがつくったのかということであります。
 小泉内閣が、期限を切って不良債権の最終処理を強引に進めて倒産と失業をふやした、デフレを加速した、デフレ要因だというのは総理もお認めになっておりますが、しかも、ことしから来年にかけて4兆円の国民負担増を押しつける、そのために消費が低迷し、経済の先行きがますます不透明になるというのは、これはもう明確であります。だから株が落ちて銀行の体力が落ちるわけですね。
 その一方で、いわゆる竹中プランでこれまで以上に査定を厳しくして、繰り延べ税金資産は従来どおり認めない、こうして内部から締め上げるという形をとるわけでありまして、こうなれば、大体どんな銀行だって経営が厳しくなるというのは当たり前であります。追い込んだのは小泉内閣ではないのか。
 小泉総理、責任は全く感じませんか。
○小泉内閣総理大臣 これが政治の難しいところで、野党の中にも、不良債権を早く処理しろという政党もいる。今、共産党のように、早く処理し過ぎるんじゃないか、もっとゆっくりやれという野党もいる。竹中プランを出したときには、これは金融界も大反発した。こんな厳しいのはいかぬ、もっと甘くしてくれという意見も出たぐらい。それに対して、いや、厳しいのは当然だという意見もある。そこが政治の難しいところなんですよ。
 私は、竹中プランのとおり、既定方針どおり進めて、予定どおり不良債権処理を4%台に2005年の3月末には進めていくべきだ、その方針に迷うことなく対処してほしいと竹中大臣に指示しております。今回、厳し過ぎるという声もありますが、私は、改革の路線に沿って、従っている。
 責任はどうか。いずれ選挙が来ます。選挙で国民に信を問いたいと思います。
○佐々木(憲)委員 今までの経済政策についての責任感は全く感じられない。自分の責任じゃないと人ごとのような答弁であります。一昨日発表されました銀行の決算を見ますと、小泉内閣の政策で大手銀行は軒並み赤字でありまして、金融機能を逆に低下させているわけです。しかも、その失政の穴埋めに公的資金を2兆円も投入する、こんなやり方は根本的に私は間違っているというふうに思います。
 一言で2兆円といいますけれども、これが一体どんなに大きいかということを考えますと、例えば政府は医療費を2割から3割に上げました。それを含めまして、医療費負担だけで1兆5千億円、国民の負担をふやしたわけです。だから、2兆円といいますと、この負担増をゼロにするぐらいの大きな金額なんですよ。
 今、国民の中には、なぜ銀行だけに公的資金なのか、不公平じゃないか、こういう声が広がっておりまして、きょうの朝日新聞に載った世論調査によりますと、公的資金の注入に対して、評価しないというのが61%に上っているわけであります。
 大体、今まで30兆円の公的資金を投入して、これで銀行がよくなったのかといいますと、銀行は、全くよくならないばかりか、悪くなる一方であります。
 では、2兆円投入したら中小企業に資金が回るようになるのか、その保証はどこにあるのかという点であります。
 まず、実態を確認しておきたいんですけれども、りそな銀行の貸出先のうち中小企業の金額と件数、その構成比を示していただきたいと思います。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) 平成15年3月期のりそな銀行におきます国内の貸出残高が約21兆円でございます。このうち、個人向けを含む中小企業向け貸し出しの残高が約16兆円。したがいまして、そのシェアは77%程度ということになります。
 それから、貸し出しの件数で申し上げますと、総与信のベースで、同じく15年3月期、国内総与信件数が、りそな銀行は約67万9千件ございます。このうち、個人向けを含む中小企業向け与信の件数は約67万7千件でございますので、シェアで申しますと99%程度ということになります。
○佐々木(憲)委員 このりそな銀行というのは、地域に非常に密着したと言われている銀行でありまして、中小企業の比率が非常に高いわけであります。つまり、中小企業等でありますが、今貸出金額の77%、件数でいいますと99%と圧倒的に中小企業が対象なんです。この中小企業がこれから一体どういう扱いになるのかというのが大変不安を広げておりまして、りそな銀行というのは竹中プランにある特別支援銀行、こういうもので最初のケースになるわけですね。
 金融庁が4月4日に公表した方針によりますと、この特別支援銀行の場合には、再生勘定と新勘定、この二つに分けまして、再生勘定には要注意先以下の債権を入れる、新勘定にはそれ以外の正常債権などを入れて管理する、こういう仕掛けになっていると思いますが、事実かどうかだけ、お答えをいただきたい。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) 4月4日に特別支援金融機関における管理会計上の勘定分離ということで、金融再生プログラムのいわゆる特別支援を受けることになった金融機関の新勘定、再生勘定の管理会計上の区分を明らかにする方針を出しております。
 この中では、特別支援を受ける原因になった不良債権などの資産に対応する部分、これを再生勘定、その他の部分を新勘定というように、管理会計上分離をするということになっております。
 再生勘定の方に回りますのは、要注意先ではなくて要管理先以下、いわゆる不良債権として開示をされる債権、これが中心になるということでございます。
○佐々木(憲)委員 今説明がありましたように、ここに、それを図に示したものでありますが、これはりそな銀行の債務者の区分でございます。(パネルを示す)正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、破綻先など、こういうふうになっておりまして、今までは破綻懸念先以下が不良債権とされて処理の対象、従来の処理対象がこうなっていた。今度は、再生勘定という勘定を設けまして、今言われたように、要管理先、要注意先のうちの一部でありますが、要管理先以下、これが不良債権早期処理の観点から管理を行う、こういうふうになっているわけであります。
 そうしますと、要管理先である債務者というのは一体何なのかということになってくるわけですね。金融庁の金融検査マニュアルによりますと、「全部又は一部が要管理債権である債務者」とされているわけですね。簡単に言いますと、ある企業が3つの銀行からお金を借りる、そのうちの1つの銀行に対する返済が3カ月以上滞る、あるいは返済条件を変えてもらう。2つの銀行に対しては計画どおり返済している、しかし1つの銀行に対してそういう状態が起こったら、その企業は全体として要管理先になるわけです。
 しかし、こういう債務者というのは世間に幾らでもあるわけでありまして、金融庁の方針に何が書いてあるかといいますと、この再生勘定に入る要管理先以下は不良債権の早期処理等の観点から管理すると。こうなっていきますと、こういう中小企業も不良債権処理の対象として扱われて、つぶされてしまうんじゃないか、こういう不安が出されるわけですけれども、これは一体どうなるんでしょうか。竹中大臣にお答えをいただきたい。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) 平成13年の4月に緊急経済対策が出ておりますが、この中で、いわゆる不良債権につきまして、こちらで今お示しの表の従来の処理対象、破綻懸念先以下、これは再生も含めまして一定期間内に早期のオフバランス化をする、それから要管理先につきましては、同じ緊急経済対策におきまして、やはり不良債権ではあるわけですが、これは正常債権化をするような体制を整える、こういう位置づけになっておるわけでございまして、この勘定分離というのは、行われましても管理会計上の話でございますので、緊急経済対策の基本的な考え方に変更があるわけではございません。
○佐々木(憲)委員 変更がある、変更がないという話じゃないんです。ここに入れられたら、方針に書いてあるとおり、不良債権の早期処理等の観点から管理すると書かれているわけですから、不良債権を加速するということになるわけですね。つまり、要管理先、つまり3カ月以上も支払いが滞った、この程度の企業はここに入るわけです。そうしますと、不良債権処理の対象として管理するんだ、こうなるわけですから、これはつぶされるんじゃないかというのは当たり前じゃありませんか。
○竹中金融担当大臣 新勘定と再生勘定の問題は、恐らく債務者の皆さんでも大変心配しておられる方がいらっしゃると思いますので、ぜひきちっと申し上げたいというふうに思います。
 まず、我々、今度、新勘定と再生勘定というふうに、なぜこういうことを考えるかといいますと、まさに、今まで公的資金を入れたけれどもなかなか結果が出せなかった。我々、新しい経営者に結果を出してほしいわけです。結果を出していただくためには、ちゃんと収益が上がる正常ないしはその他要注意の、ここからは収益をちゃんと上げてくださいね、それがあなたの責任ですよという勘定と、ここは今すぐ収益を上げることはできないけれども、きっちりと再生に向けて管理してくださいね、そこをしっかりと分けて、まさにそれが局長が言われた管理会計ということの意味です。
 一般に、雑誌等々では、これは、グッドバンクとバッドバンクに分けて、バッドバンクは外に出すんだ、スウェーデンがやったようなそういうイメージで話される方がいらっしゃいますけれども、これは間違いです。そんなことは全く考えておりません。新しい経営者はすべてに対して責任を負います。しかし、ここからはきちっとした収益を上げてくださいという責任、これはしっかりと再生してくださいという責任、それが管理会計の意味です。
 それで一方で、今局長が答弁しましたように、しっかりとオフバランス化をしていかなければいけない。これは、りそなだけではなくて、すべての銀行に対して、平成13年4月に、これは私の就任前でありますけれども、つくられたルールがあります。そのルールはどこに適用されるかというと、これは今までどおり破綻懸念先以下に適用されるわけで、今回、新たに要注意先にそれを適用しようということは全くございません。
 その意味では、そういう意味での今佐々木委員が御指摘のような御心配をここで債務者の方に持っていただく必要は、私は、もう全くないというふうに申し上げたいと思いますし、しかし、新しい経営者には、再生勘定は再生に向けて、収益の上がる新勘定は収益を上げて、まさに公的資金を注入した結果を出していただく、そのようなしっかりとした管理をしていただきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 今説明がありましたが、この要管理先以下の部分が入って、これで再生なんだと、盛んに再生、再生ということをおっしゃいますけれども、再生のためには銀行はきちっと融資をしなきゃならぬのですよ、これは取り上げたらつぶれるんですから。
 再生と言うからには、では不良債権処理の対象から外すんですか、融資を継続するんですか、借金は免除するんですか。はっきりこれは答えてください。ここに入れたら全部が再生されるんですか。
○竹中金融担当大臣 それはまさに銀行の経営判断になります。これは、再生できるものは再生させる、そのために結果的には産業再生機構もつくったわけでありますけれども、産業再生機構には、この要管理先から、まさに出口の見えるもの、再生可能なものはぜひ積極的に産業再生機構を活用するような方向に全体として私たちもぜひ持っていきたいと思います。
 これは、再生させるものは再生をさせる、さらにスリム化していくものはスリム化をしていく。これは、繰り返し申し上げますが、今までの債権の管理と同じやり方で要管理先については対応をしていただくということになります。しかし、繰り返し言いますが、その場合に、通常、正常に収益がある部分とそうでない部分、経営者の責任の区分を明らかにするためにそういう勘定の分離をまさに管理会計上行ってもらうということです。
○佐々木(憲)委員 再生させるものは再生させると口では言いますけれども、実際に今まで、不良債権処理で圧倒的多数の中小企業がつぶされてきているんですよ。
 政府は、来年の3月までに不良債権を半分に減らす、これが新しい方針でしょう。つまり、不良債権とされた中小企業の半分をつぶすという方針なんです、政府は。再生させる方針なんかないじゃないですか、まともに。この大方針が変わらない限り、再生と言っても、それは言葉だけなんです。
 結局、再生勘定に入れられた中小企業の多くがつぶされるという危険性が非常に強くなる。これは再生勘定じゃなくて中小企業破壊勘定じゃないのかと言わざるを得ないですよ。
 大体、竹中プランで中小企業は生き返って大変喜んだという話、聞いたことありませんよ。竹中さんありがとうという声なんか聞こえないですよ。どんどんつぶされて、怨嗟の声が満ち満ちているんですよ、今。何人自殺したと思っているんですか、不良債権処理で。
 こんなことをやったら、経済全体でも、デフレはますます深刻化して日本経済は破綻する。直ちに竹中プランは撤回して、中小企業つぶしはやめて、末端に資金が供給されるようにすべきだ、このことを申し上げたいと思うのです。
 政策の破綻による国民へのツケ回しという点では、生保の問題だって、総理、これは同じようなものなんですよ。つまり、予定利率を引き下げていく。
 新聞の投書で、こういう訴えがあるんです。予定利率を高く設定するリスクを考えずに商売しておいて、そのリスクに耐えられなくなったら相手に負担してほしいでは詐欺だと。これは愛知県、60歳の男性。これは中日新聞、東京新聞に出ているんですね。
 保険というのは、もともと契約が命であります。契約違反を政府が決めて国民に押しつけるというのは、こういうやり方は保険事業そのものに対する不信感を広げることになるわけであります。
 総理はこういう国民の声に対して一体どうこたえるのか、お答えをいただきたい。
○小泉内閣総理大臣 金融機関への公的資金注入も、今回の生保の予定利率の引き下げの問題も、それでは、すべて批判されますが、りそなに対して公的資金を注入しない場合どうなるのかということをやはり考えなきゃいかぬと思うのです。預金者、取引先企業、そのままほっておいていいのか、取りつけ騒ぎなんか起こった場合どうするのか、この破綻がほかの金融機関に波及していいのか、やはりこういうことを未然に防がなきゃならない。そのバランスを考えなければいかぬ。
 生保予定利率の問題についても、これは選択できるんですが、これは会社ごとそれぞれによって判断が違うと思います。予定どおり利率の、保険契約者が予定どおり望んでいることは事実だと思います。これが破綻した場合と、破綻させないで、ある程度予定利率を下げていい場合と、それぞれ会社が自主的に判断し、保険契約者との信頼関係に基づいてやられるわけでありますので、これも私は、会社と契約者の間で十分な信頼関係のもとでなされるべき一つの選択肢を提供したということを御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 選択肢と言いますけれども、あるいはつぶれるよりも負担が軽くなると言いましたが、必ずしもそうならないというのが実態で、東京生命の場合は、破綻したけれども責任準備金はカットされませんでした。新しい予定利率も2・6%、政府の試算1・5より高いのです。
 ですから、何か、つぶれる前にこういうことをやるんだと言いますけれども、そういう状況、つぶれるような経済環境を政府がつくって、デフレを加速して、国民負担をどんどんふやして、成り立たないようにしているその政策をまず転換しなきゃならぬ。国民の消費、需要、これを拡大するという方向に転換する、これが一つと、それから、政府がこういう金融機関に対して、末端に、中小企業に仕事が行くように、あるいは国民の信頼を取り戻す、契約者の信頼を取り戻す、こういう方向に転換するということが先決じゃないんでしょうか。
 私は、もう一つ問題を提起したいのは、この生命保険会社各社の、国民政治協会、つまり自民党に対する献金ですよ。
 私はこれを調べてみましてびっくりしましたけれども、自民党は、一方でこのようにして保険金、年金をカットしていくということを決めておきながら、ずっとこの間、献金を受け続けている。自民党の資金管理団体の国民政治協会へ献金をしている生保会社、21社、これは破綻した生命保険会社も含んでおります。10年間の献金総額は13億8505万円。赤字続きで破綻した七社すべてが、破綻の直前まで献金しているんですよ。あなた方は、経営危機にある保険会社から14億円も吸い上げておきながら、その一方で、国民には、保険金カット、年金カット、こういうツケ回しをしている。
 総理にお伺いしますけれども、こういう状況の生命保険会社から毎年毎年このような献金を受け取る、これはこれからも続けるというつもりでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは、吸い上げているというのは語弊があると思うんですよ。献金、寄附、これは、どの政党も国民の献金によって政治活動をしている。その一環でありますから、私は、今回の政治資金の問題につきましても、今国会中に少しでも前進できるような対応をとっている。今協議中でありますので、どのように政治活動のための資金を国民からいただくことができるか、また、その資金のあるべき姿というのはどのようなものが望ましいかということを今議論の最中でありますので、この点に向けては、今国会中に一歩でも二歩でも前進できるような対応をとろうということで今与党でも真剣に協議中でございます。
○佐々木(憲)委員 大体、今、政治資金規正法の問題おっしゃいましたけれども、私は、去年ここで、鈴木宗男議員の問題にも関連して、政治資金、公共事業、国民の税金を使って仕事をするような会社からの献金はやめなさいと言ったわけですよ。検討すると言って、1年半たってもまだ結論が出ない。しかも、生命保険会社からこれだけ献金を受け続けても、やめるという決意さえ出てこない。まさに、これだって国民の税金を注ぎ込むような仕掛けをつくっているんですよ。しかも、国民の年金やこういうものまで削る、これを続けていくという小泉内閣というのは、本当にあきれて物が言えない。もうこういうやり方は即刻やめてもらいたいということを申し上げて、終わります。

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