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金融(銀行・保険・証券) (保険業法)

2003年06月06日 第156回 通常国会 財務金融委員会 【208】 - 質問

「生命保険予定利率引き下げ」法案 金融審議会では引き下げへの反対意見が多数 「了解された」との答弁を繰り返す竹中金融相を批判

 2003年6月6日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、「生命保険予定利率引き下げ法案」の質疑に立ち、金融審議会の議事録にもとづいて、政府が金融審議会の合意もないまま法案を強行しようとしていることを明らかにしました。

 金融審議会では、5月12日に予定利率引き下げ問題を審議しており、竹中金融担当大臣は、これまでの法案審議で、「金融審議会で行政が作業を進めることを了とされた」との答弁を繰り返し、法案が社会的認知を得られたものであるかのように説明してきました。
 佐々木議員は、前回(6月4日)の質問の際に要求した金融審議会の議事録が資料として金融庁から提出されたことを受けて、議事録を精査すると審議会で賛成意見を述べた委員は2人だけで反対意見が多数だったことを指摘し、「手続き的にも了とされたことになっていないのではないか」と竹中大臣にただしました。
 これにたいし竹中大臣が「作業を進めることは了とされた」と答弁したため、佐々木議員は、議事録に基づき審議会のやりとりを紹介。堀内部会長がまとめに入ろうとしたところ、委員から「金融審議会がエンドース(支持)した政策であると言われると困る」との意見が出され、部会長が「ここは結論を出す場ではない」として「事務局がどう動こうと勝手でございますと言われてしまえばそうですけれども」と発言し審議が終わっている経緯を読み上げました。佐々木議員は、「これは行政的な手続きを了としたということではなく、勝手におやり下さいと言うことだ。合意はされていない」と竹中大臣の答弁を批判しました。
 佐々木議員は、竹中大臣が「作業の方向としては了とされた」と繰り返したため、審議会の席で河野金融庁信用課長が「与党手続きも進行中であり、行政の責任でそれに対応していかなければならない」と発言していることを示し、「要するに審議会はまとまらない、反対は多数だ、しかし与党の自民党がやれというので勝手にやらせていただくと言うことではないか」と、社会的認知もなく、審議会の合意もなく、国民の多数が反対している法案をあくまで押し通そうという政府・与党の姿勢を批判しました。
 また佐々木議員は、審議会のなかで委員から、予定利率を引き下げると解約が増え、新規契約が減るため、損益にマイナス影響が出る心配が大きいとの発言が出ていたことを踏まえ、金融庁が法案の検討に当たってその試算を行ったかどうかをただしました。
 金融庁の藤原総務企画局長が「行っていない」と述べたため、佐々木議員は、金融審議会で問題点が指摘されても検討すら行わない金融庁の姿勢を「最初に予定利率引き下げありき、これしかないと言わざるを得ない」と批判し、試算を行い法案審議用の資料として提出するよう要求しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 前回の質疑で、私は、5月12日の金融審議会金融分科会の第二部会の議事要旨に基づきまして質問をいたしました。私は、このときの第二部会の議論では、15の意見が出たが、10が反対意見だった、反対の方が多かったのではないかというふうにお聞きをしました。これに対して、藤原総務企画局長は、それに同意をせず、具体的に何名賛成で、何名反対というような数え方はいたしておりません、特定の委員が繰り返し発言した、その数え方いかんにもよる、こういう答弁をされましたが、この答弁は間違いありませんね。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) ちょっと、済みません。今聞き取れなかったので、もう一回お願いします。済みません。もう一回、ちょっと聞き取れなかったものですから。(佐々木(憲)委員「この前の答弁、数え方による、賛否の数」と呼ぶ)
 一人の委員が繰り返し御発言なさったケースがあるというふうに申し上げました。
○佐々木(憲)委員 このときは、数え方によっては別な結論も、つまり賛成がふえるかのような言い方をされました。
 そこで、私は議事録を出すように要求をしまして、出されてきたわけであります。その発言内容を私なりに整理したのが今配付している文書であります。
 先ほど上田議員も9人とおっしゃいましたが、私は数えると10人になるというふうに思っておりますが、そのうち、はっきり賛成意見を述べているのはたった2人しかありません。寺阪氏と岩原氏であります。ただ、寺阪氏は、自分の会社では絶対にやらないんだ、こう言っているわけであります。そういう意味でいうと賛成意見は1・5人ぐらいだと思うわけでありますが、逆に、反対意見を述べている人は私は六人いるというふうに判断をいたしました。
 例えば高橋氏は、「厳しいものでも賛同が得られなかったのに、こんな甘いもので賛同を得るということは非常に難しいと思います。」原氏は、「解約停止とか、予定利率引下げに手を挙げた段階で、新規契約が入ってこないというリスクの方が大きい。」池尾氏は、「契約者は総体として有利になるという状況は考えがたいのではないか」。川本氏は、「予定利率の引下げを今なぜするのかということに納得感はない」。今松氏は、「よりコストのかからない形の更生手続というのがあればその方がいい」、「必ずしもこの引下げというところではならないのではないか」。成川氏は、「今回の予定利率の引下げは、個々の生命保険会社の事業を本当に安定化するものであるかどうか、もう一つ明確でない」。こういうふうな発言をされているわけですね。
 これは反対意見の方が明確に多いんじゃありませんか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) 今、先生が整理されましたその表を拝見させていただいたんですが、私どもが見ますと、例えば山下先生のところが三角になっておりますが、この辺のところは、私どもはむしろ明確に御賛成いただいたと思っておりますし、それから池尾先生が明確にバツとなっておりますが、例えばきょうお配りしました審議会資料の33ページの池尾先生の最後の御発言のところをごらんいただきますと、ちょっと読ませていただきますと、「すみません、誤解があってはいけないんですけれども、岩原委員がおっしゃったことに全面的に賛成です。有効な手を打たなきゃいけないということで、私的自治に委ねるような形の今の議論では有効な手にならないだろうという懸念を強調したということ、岩原委員のご意見に全く賛成です。」というふうに言っておられまして、これを一概に、すべて賛成か反対かというふうに色分けするのはなかなか難しいと思います。
 反対というふうに整理されている先生の中でも、こういうふうに、基本的には賛成であるけれどもそういう懸念もあるというようなことでおっしゃっているような方もおられるわけでありまして、これを一概にマル、ペケというか、整理するというのはなかなか難しいような気がいたします。
○佐々木(憲)委員 参考人質疑で池尾先生は、今回のやり方には反対である、更生手続が正しい、こうおっしゃっているわけです。ですから、明確にこれは反対の立場をとっているわけであります。ですから、そういうことをいろいろ考えますと、例えば山下氏でも、仮にこれはマルにしたって、3人しかマルにならないんですよ。しかも、翁さんだって見方によっては反対論ですから。
 こういうことを考えますと、全体としていったら反対意見の方が多数じゃありませんか。はっきりしているじゃありませんか。
○竹中金融担当大臣 今、佐々木委員、参考人で池尾先生がとおっしゃいましたが、池尾さんは出ておられないのではないでしょうか……(佐々木(憲)委員「深尾さんです」と呼ぶ)深尾さんですね。
 それで、ここはどの発言をとらえるかによっていろいろな解釈もあろうかと思うんですが、私も正直言って、ずっと議事録を読んで、私なりの解釈は、やはり山下さんはマルだというふうに思っております。山下さんはつまり、「選択肢の一つとしてこういうものを置いておくということは現時点でも意味があるのではないかと思います。」意味があるというふうに前置きした上でこういうふうな留意点を言っておられるというふうに私は理解をしております。池尾さんも、これはやはりバツじゃなくて三角じゃないのか、同じような意味で下の成川さんも三角じゃないのか。
 これは余り言っても仕方ないことかもしれませんが、ほかに、実は、ここの方以外に5人の方は、事務方の説明に対して異論を言っておられないということになる。これをどう見るのかという問題もあろうかと思いますが、その意味では、私は先ほど申し上げましたように、さまざまな御意見が出た、その点はやはり尊重しなければいけないと思います。その上で、しかし、作業を進めることに関しては了とされたというふうに認識をしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 さまざまな意見が出たというのは事実ですが、反対意見の方が優勢である。これは1人や2人、若干の入れかえがあったとしても、全体としては、明確に賛成論を唱えているのが2人しかいないわけであります。そういう点からいいますと、これは明らかに反対論が大勢を占めているわけです。ですから、数え方によって賛成意見が多数になるということは全く考えられない。そういう意味では、まさに反対論が大勢を占めていたというその結論には変わりないじゃありませんか。
 そういう状況でありながら、何かさまざまな意見が出て、反対論、賛成論がいろいろあって、念頭に置いてやっていく、こういう強引な解釈で一方的にこの法案を提出する、しかも、何かそれが手続的に了解されたなどというような、全くわけのわからない理屈で提案してくる。
 社会的認知が得られていないというのを私は前回指摘しましたが、社会的認知が得られたという証拠は示すことができませんでした。つまり、そのときにその資料を示すことができずに、大臣は二つの論点を挙げて正当化したわけです。
 一つは、社会的認知の前提となる条件が整備された、こういうふうにおっしゃっているわけであります。しかし、その条件とは何かといいますと、財務基盤の強化とか、経営の努力とか、情報開示の進展とか、一体、財務基盤の強化なんていうのはなされていないんじゃありませんか。経営の努力は多少あったかもしれないけれども、実態は全く後退していると言わざるを得ないわけでありますし、仮に前提となる条件が整備されたからといって、社会的認知が得られたというものではありません。それはまた別問題であります。認知が得られたかどうかというのは全く別問題であります。その証明はされておりません。
 もう一つ言わせていただければ、金融審で、行政として作業を進めることは了とされた。これは、もう一つのいわば正当化の論理として出されているわけですが、先ほどの答弁でも、基本的方向としては了解されたとか、そうされていないわけです、実際、なっていないわけです。手続的にも了とされたということにはなっていないんじゃありませんか。
○竹中金融担当大臣 まず、財務基盤の強化なんてなされていないのではないかという御指摘がございました。私が申し上げたかったのは、例えば、この間に、13年から14年にかけて各生保で基金の増額が行われております。これは数次にわたって行っているところもあります。基金調達の多様化ということで、SPCを用いたスキームを用いたところもございました。株式会社化を行ったというところもそのうちの一つだと思います。配当の弾力化、そういった努力が行われたという点を私としては申し上げたつもりであります。
 社会的認知を何で判断するかというのは難しいわけでありますが、これは繰り返しになりますが、議事録で見る限り、私はむしろこの議事録を拝見して、明確に反対を唱えたのは四名であったというふうに認識をしております。もちろん、これは繰り返しますが、問題点もありますから、問題点の指摘はなさいます。私も、いろいろな委員会のメンバーをやりましたけれども、大体問題点を指摘するわけです。そういう傾向の中で、明確に反対だとおっしゃったのは四名ではなかったかと私は認識をしております。
 かつ、一部の方が数回にわたって発言をしておりますので、その点も考えなければいけない。委員長は前向きであるということは参考人質疑で表明をされたというふうに聞いておりますが、五人の方は少なくとも異論は唱えていない、その委員会に出席されて。こういう点もフェアに見なければいけないのではないかというふうに思っております。
 基本的に、最後、また繰り返しになりますけれども、行政として作業を進めることは了とされた、この点は、たしか堀内委員も参考人としておっしゃっておられたと思います。
○佐々木(憲)委員 しかし、随分勝手な発言の解釈をされるものだなと思います。
 山下教授の例を挙げましたけれども、これはマルじゃないかというような話がありましたが、山下教授は、以前、保険ワーキング・グループの座長をされていまして、これは2年前の4月25日でありますが、国際的にはこういう制度はほかの国ではほとんどないわけで、今の生命保険業界がどういう状況になっているのかということについて、国民的コンセンサスを得ないとできない話なんですと。こういう制度は国民的なコンセンサスを得ないとできないんだと、はっきりとそういう意見を述べておられるわけですね。今回、そういう社会的なコンセンサスが得られたかというと、全くそれはありません。ですから、山下教授が賛成をしたなどというのは、これは全く問題の読み違いということでありまして、そういう点などを考えますと、これは三角にしていますが、実はこれはバツなんですね。
 だから、そういう点でいいますと、最大限マルを集め、本当に拡大解釈、誇張解釈をして、それでも4人しか賛成がないんですから。4人しかないわけでしょう。賛成は、私どもが見たところ、これは2人です、この中で。あとは疑問をいろいろ呈している、あるいは反対論を述べているというものでありまして、大臣がそういうようないいかげんな解釈で何か承認されたかのようなことを言うのは全くこれは事実と違うということを述べておきたい。
 それから、もう一つ、この議事録を見まして、大変重大なことが書かれております。議論の冒頭で高橋委員がこういうふうに述べているんですね。「まさか一回の会議で了承をとりつける、あるいは、とりつけたとする形式的なことはないと思うんですが、」とくぎを刺しているわけです。また、終わりの部分で原委員が、「この会はきょうで終わるのですか。いろいろな議論が出ましたけれども、もう一回おやりになるのか。」こういうふうに聞いております。これに対して堀内部会長は、「私がいただいているト書きによりますと、事務局と私が相談しながらという形になっておりますけれども、皆さんがご了解いただくということを前提にしてやっております。 それでは、時間がまいりましたので。」こう言ってまとめに入っていこうとしたわけです。ところが、その後、池尾委員から、「金融審議会がエンドースした政策であると言われると困るというのが今の状況ではないかということですね。金融審議会としてこの政策をエンドースするということであればもっと議論が必要である」というふうに述べているわけです。これに対して堀内部会長は、「ここは結論を出す場ではないということでございまして、行政サイドからは皆さんのご意見をいろいろいただいたと考えます。したがって、事務局がどう動こうと勝手でございますと言われてしまえばそうですけれども、」こう言って、「それでは、時間がまいりましたので、」というふうになっているわけですね。
 つまり、勝手にやらせていただきますと。この場では合意がありませんでした、合意ができませんでした、しかし、いわばさじを投げて、やるならどうぞ勝手におやりくださいと。これは行政的な手続を了としたということではないわけで、どちらかというと、どうぞおやりください、勝手ですよ、それは、やるのは、しかし、ここでは合意はされていませんよ、こういう状況ではなかったんでしょうか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 この第二部会の最後の方で、部会長のまとめでございますが、先ほど先生もお触れになったところとも重なるんですけれども、最終的に部会長の方から、「事務局が説明した考え方についてご異論が出たということを踏まえた上で、さらに事務局と私とで検討させていただいて、予定利率の引下げというものを一つの選択肢として認めていくような準備を進めることをお認めいただきたいのです。」ということに対しまして、これは異論がなく、了承されたところでございます。
○佐々木(憲)委員 多数が反対だった、だから皆さんが了解するという筋書きどおりに進まなかったわけですね。したがって、勝手にやらせていただきますと言うしかないんですよ。
 なぜそうなったのかというのが問題であります。河野信用課長がこういう発言をしているんですね。「行政としまして、今、与党手続も進行中でございますので、行政の責任においてそういったものに対して対応していかなければいけないということはございます。」要するに、審議会ではまとまらない、反対が多数だ、しかし与党の自民党がやれと言うので勝手にやらせていただく、そういうことじゃないんですか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) この5月12日といいますのは、連休明けからずっと議論をしてまいった途中の段階でございまして、その段階で審議会に御報告して御議論をいただいた。私どもは、それを踏まえまして、さらにここでお認めいただきましたように手続を進めていくということでございました。
○佐々木(憲)委員 ずっと議論をしていたのは、どこでだれがやっていたんですか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) 予定利率の問題につきましては、昨年末のセーフティーネットのときから、さまざまな場でさまざまな御議論がありました。
○佐々木(憲)委員 一般論を聞いているんじゃないんですよ。この予定利率の引き下げ問題について法案を出すという議論を、ずっとだれがいつどこでやっていたんですか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) それにつきましては、行政部内で検討は進めておりました。
○佐々木(憲)委員 勝手に行政の中でやっていた、あるいは与党と一緒にやっていた、こういうことですか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) 昨年末以来、行政の中でも検討を進めておりましたし、また、与党とも御相談をさせていただいておりました。
○佐々木(憲)委員 結局、審議会というのは何の権威も与えられていないわけです、これだと。要するに、いろいろな意見が出ている、しかし聞きおいて、ともかく既定路線で、国民に保険金のカット、年金カットを押しつけるという方向をずっと議論して、ともかくその方向で突っ走ってきた、審議会で多数が反対してもそれをやってきた、こういうことじゃありませんか、今の答弁では。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) 先ほどから申し上げておりますように、セーフティーネット問題等の議論の過程で、予定利率の問題についても議論がございまして、これを下げるか下げないか、それも含めての議論であったわけでございまして、一方的に下げるということを前提にして議論したというようなことではございません。
○佐々木(憲)委員 下げる法案を出しているじゃないか。下げる法案を出しているんでしょう。上げる法案、出しているんですか。こういう法案を一方的に準備しておいて、審議会は開くけれどもこれはもう関係ない、そういう位置づけで、これに縛られることはないんだというので出してきたんじゃありませんか。
 しかし、国民の認知は得られていない。どこで国民の認知が得られているんですか。何の証明もないじゃないか。そういう状態で勝手に出してきて、それで通せ通せと。とんでもない話だ。大体、そういうやり方が、これが一体世間に通用すると思ったら大間違いだ。
 ともかく、あなた方のやり方というのは、社会的認知も得られていない、審議会でも合意がされていない、反対が多数、与党の中でも異論がある、そうにもかかわらず、強引にともかく進めるんだ、これが実態だということは今の状況でよくわかりました。ともかく、あなた方のやっていることがいかに反国民的であるか、でたらめであるかということがこれではっきりしたと思うんです。
 一体、竹中大臣、これで国民の認知が得られると思いますか。
○竹中金融担当大臣 繰り返しになりますが、これは審議会で、金融審で御議論をいただいたときも、基本的な作業の進め方、作業の方向としては了とされたというのが基本的な認識でございます。
 この点は、堀内先生も、参考人として、契約条件を変更することを可能とする制度をできるだけ早く準備することが一定の合理性を持っているというふうに判断した、行政サイドで準備していただくという作業を進めてもらうことに関して部会長の責任で了解していただいた、そのような旨の発言をしたというふうにお伺いをしております。
 国民の社会的な認知、この国会での御審議というのはまさに国民の社会的な認知そのものであると私は思っておりますので、我々としても、精いっぱいこの趣旨を御説明申し上げて、御賛同をいただければというふうに思っておる次第でございます。
○佐々木(憲)委員 社会的認知が得られなければ法案は出せないというのがこれまでの結論だったんじゃありませんか。2年前はそういう結論が出ていて、出さなかったんですよ。これから社会的認知を得るんだ、法案を通してから、そんなばかなことはないでしょう。逆じゃありませんか、やっていることが。
 しかも、堀内部会長自身もト書きで書かれたものを読まされて。自分で言っているんだから間違いないんですよ、これ。そのことについて、「事務局がどう動こうと勝手でございますと言われてしまえばそうですけれども、」と、勝手にやっているということを自分でも認めているわけですから。
 こういうでたらめなやり方をして、ともかく国民負担だけは押しつけていく、私は、こういうやり方は本当に許せないと思いますよ。
 大体、この部会で出されたいろいろな意見がありますね。それは検討したんですか。さまざまな意見を念頭に置いてというのは、どう検討したんですか。
 例えば、この中に、川本委員はこう言っているんです。「小さな生保で数百億円程度、大きな生保で数千億円程度の助けになるという計算があると思いますけれども、予定利率を引き下げると解約率が今の10%」、1割、「が2割から3割になる、あるいは、新規契約が5割から7割ぐらいに落ちてしまうのではないかというようなシミュレーションもあって、損益影響を見るとその方が大きいのではないかという心配が考えられます。」
 このシミュレーション、試算、やってみましたか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 試算と申されましたけれども、なかなか、契約者数が変更することを試算の前提として行うというということは、ある保険集団をモデルとして構築する必要が新たにありまして、変動要素も含めて極めて複雑多岐にわたることから、そういう試算を行うことは困難であるということでございます。
○佐々木(憲)委員 困難であるということでやらないというのはおかしいじゃないですか。簡単じゃないですか、この数字を減らしていけばいいんだから、1割減らしたり、2割減らしたり。それで計算できるじゃないですか。最初からやる気がないんだ。今の答弁だと、これは難しいと。そんなことはないでしょう。何でやらないんですか。やる努力はしたんですか、一体。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 川本委員の御意見はそういう御意見としてございましたが、他方、私どもは、そういうものも織り込んだ上で自治的な手続の中で、そういう影響もあり得るということも考えた中で新たな契約変更の条件を検討してもらうということを前提に今回のスキームを考えておりまして、そういうことにならないように、一生懸命、自治の中で御検討を、努力をいただきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 では、どう織り込んだんですか。1・5%、責任準備金1割カット、そこに、契約者がどういうふうに変動したか、どこに入っているんですか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) まさにそれを自治的な手続の中、検討の中で、そういう影響もあり得るということも踏まえた上で検討してほしいということでございます。
○佐々木(憲)委員 だから、数字でどう織り込んだのかと。そういう試算はやったんですか。試算はやっていないでしょう。変動したという前提――では、今織り込んだと言うんだから、それではその資料を出してください。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) 私の方は、あくまでも今回のスキームというのは、保険会社と契約者の間で、どういうふうなスキームであれば今後安定的な保険業を営んでいけるか、そういうのを自治的な手続の中で検討してくださいという話でありまして、私どもがそれをとやかく、こういうことを織り込めとか、こういう話をしておるわけではございません。
○佐々木(憲)委員 さっきの答弁では織り込んだと言ったでしょう、織り込んだと。織り込むということを言うことはできないんだと、今の答弁は。違うじゃないですか。では、さっきの答弁、撤回してください。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) 私は一貫して、自治的な手続の中で、その中で織り込んでもらうということだと思っておりまして、私の方で織り込んだと言ったつもりはございません。もしそれが誤解を与えるのであれば、撤回させていただきます。
○佐々木(憲)委員 結局やっていないんですよ、この試算は。やっていないでしょう。契約者が変動するということを織り込んだ試算は出しているんですか。
○藤原政府参考人(金融庁総務企画局長) 先ほども申し上げましたように、それは川本委員の御意見でございますし、それから、もう一つ申し上げましたように、仮にそういう試算をするとなりますと、ある新しい保険契約集団モデルをつくって、構築して、その変動要素も極めて多岐にわたるところであるということから、これについては行っておりません。
○佐々木(憲)委員 先ほど大臣は、さまざまな意見が出されて、それを念頭に踏まえてこういうものをつくったんだと。何にも踏まえていないじゃないですか。何にも念頭に置いていないじゃないですか。試算さえしていない。やる気さえないじゃないですか。何のための審議会で、何のための意見聴取をやったんですか。そこで出されていることを、しっかりと反論できるような材料を出して説得するというのは当たり前じゃないですか。言われっ放し、反論されっ放しで。あなた方のやり方に対して圧倒的多数の委員が反対をしている。こうなるんじゃないか、ああなるんじゃないか、こういうシミュレーションが必要だ。全くそれを無視して一方的にこんなでたらめな法律を出してくる。そんなやり方は絶対に通用しない。
 私は本当に、この審議会でこういういろいろな指摘がされていても、全くそれに対応しないという金融庁のやり方というのは本当にまあひどいものだ、最初に予定利率引き下げありき、これしかないと言わざるを得ない。
 こういうやり方で拙速にこの法案を出してきたということについて、竹中大臣、こんな法律は一度撤回してもう一度出し直したらどうですか、計算のし直しをやって。
○竹中金融担当大臣 先ほども申し上げましたように、この逆ざやという構造問題を解決していくのは大変難しい、したがって、今回のスキームに関しても非常に難しい問題があるということは我々も十分承知しております。
 そうした点についていろいろな御指摘をいただいたということも事実でございますが、繰り返し言いますが、先般の金融審では、これは全面的に反対された方は、私は4名ぐらいであったというふうに認識をしております。あとの方は、賛成の方もおありになれば、留保条件をもちろんおつけになった、この辺が問題だと。その上で、方向としては了だ、作業を進めるということに関しては了とするということであったというふうに思っております。
 そうした点、この過程でもいろいろな議論がなされました。経営者の責任はどうするのか、ほかの債務者はどうするのか、そういったことに関しては、例えばですけれども、総代会等々の通知の中にそのことを、どのように意思決定するかということをきっちりと書くというようなことも決めましたし、さまざまな皆さんの意見を織り込んでこの法律をつくっているつもりでございます。その点、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 全然理解できません。大体、こういう試算さえ出さないというのは私はおかしいと思うんですね。
 委員長に申し上げたいと思うんですが、契約者の変動、川本氏が提案したような変化が起こった場合にどうなるかというシミュレーションを出してもらうように検討していただきたい。
○小坂委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 今回のこの法案の質疑全体、まだこれからも続くと思いますけれども、これまでの議論でも非常にはっきりしてきたのは、生命保険会社がこのような経営難に陥っていった大きな原因は、三利源によって起こったのではない、逆ざやというのはあるけれども、しかし、ほかの利益によってそれは埋められてプラスになっているわけですね。結局は株価が落ちてその他の損益が発生した、その他の損失が発生した、そのことによってこのような事態が生まれているわけです。つまり、政府の政策によって保険が追い詰められているわけです。
 本来ならばその政府の政策を転換し、保険業が契約者のしっかりとした信頼を得られるように、つまり契約内容が履行されるように指導していくというのが本来の政治のあり方だと思うんです。そのことを全くやらずに、ともかく大変だから契約者だけに負担をさせるんだ。しかも、国民の多数は反対している、審議会でも多数が反対している、野党だけじゃない、与党の中でも反対している。きょうの質疑だってはっきりしているじゃありませんか。そういう状態で強行するというのは、余りにも世論と国会を無視したやり方だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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